ITエンジニアの将来性が高い理由は?需要の高い分野やキャリアパスも紹介

最終更新日:2023年12月8日

近年、IT人材の不足が深刻化しています。人材の「量」だけではなく「質」も不足しているといわれており、新技術の構想を策定して実装する先端IT人材が求められているのが特徴です。エンジニアがキャリアを計画する上では、このような需要が高い分野を理解し、キャリアアップを図る必要があります。

ITエンジニアの将来性を不安視している人、これからIT業界に触れたいと考えている人に向けて、今回は先端IT人材の将来性や、需要の高い技術領域・職種について解説します。

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この記事のまとめ

  • 不安視の声も上がるITエンジニアの将来性だが、企業のDX推進やデジタル化が進む中でIT人材への需要は高まり、将来性は十分に高いといえる
  • ITエンジニアの仕事は多種多様に存在し、自身の特性に合う仕事を見つけてキャリアパスに活かすことが大切
  • 不足するIT人材の中で、キャリアアップのポイントになるのは幅広い知見を得ることと最新技術・情報をキャッチすることなどである

ITエンジニアの将来性は依然高い

「ITエンジニアの将来性はない」という情報も散見されますが、結論としてIT業界自体の将来性は高く、30年近くトップレベルで成長を続ける業界であり、現在でも将来性はあるといえます。

ITエンジニアの“エンジニア”とは情報システムの設計や開発を担当する技術者の総称です。担当する業態によって、ITエンジニア、SE(システムエンジニア)、Webエンジニアなど、細かく職種が分けられます。具体的にSEが担当するのは、顧客企業の要望に応じてソフトウェアの設計や開発を行う仕事です。また、Webエンジニアは、Webサービスを自社運営する企業で、開発・運用を行う役割を担います。

情報技術が普及し、多くの業界でデジタル化が求められる中、ITエンジニアへの高い需要が見込まれています。金融や製造といった事業会社においても、社内の業務プロセスを高度化させたり、新たなビジネスモデルを構築したりするのに情報技術が欠かせないからです。

特に、あらゆる業界でDX(デジタルトランスフォーメーション)による生産性向上や新規事業開発を標ぼうする企業は増えているため、DXの実現に貢献できる高い技術やスキルを持ったITエンジニアが求められています。10年後のIT業界を考えても、ITエンジニアは将来性のある職種だと考えられるでしょう。

AIに取って代わられる可能性は低い

先端IT人材の需要が高まるなか、非先端IT人材の働き方は、これから変わらざるを得ないとの指摘があります。たとえば、自動化ツールやノーコード・ローコード開発ツールの登場により、単純な開発作業は減少するでしょう。また、標準化されたサービスであるSaaS(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)が普及し、カスタム開発を行うSEの仕事も変わっていく可能性が高いことも指摘されています。

AIの進化によりIT技術は信頼性と効率化が向上していますが、働き方や求められる知識が変わったとしても、AIのプログラミング実行ができるIT人材がAIに取って代わられる可能性は低いといえるでしょう。

一方、レガシーシステムの保守に代表されるように、自動化や開発環境の変更が難しい領域もあります。未経験で就職した経験の浅いエンジニアの仕事内容は、今とは変わっていくかもしれませんが、エンジニア全体として需要がなくなることは考えにくいでしょう。

関連記事:未経験でAIエンジニアになるには?求められるスキルや役立つスキルを紹介

ITエンジニアの将来性が高い理由

ITエンジニアの将来性は高いということでした。上でもその理由について触れてきましたが、以下ではITエンジニアの将来性が高いと言える理由についてより掘り下げていきます。

IT人材が不足しているため

2016年に経済産業省が行った「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」では、2030年までに最大で約79万人のIT人材が不足するという試算が公開されました。ビッグデータやIoT(Internet of Things)といった新技術の登場を背景に、IT人材に対する需要は引き続き増加すると予想できます。

しかし一方で、主に若年層で労働人口が減少している影響もあり、IT人材の獲得は年々厳しさを増すと考えられています。実際、弊社が行った「2022年12月のITエンジニア・クリエイター正社員転職/フリーランス市場動向」の調査では、2022年12月の正社員転職の求人倍率は約15.8倍です。

前年同月の調査と比較すると高止まりですが、高いことに変わりはなく、来年度以降も高い水準は続くでしょう。

関連記事:エンジニアの転職理由とは|面接で使える例文とポイントを解説

ビッグデータやIoTの需要が高まっているため

10年後のIT業界では、ビッグデータやIoTといった先端技術が重要さを増してくると考えられます。これらの開発を担うエンジニアは「先端IT人材」と呼ばれ、特に需要が高まるでしょう。先端技術の領域は、技術の進歩と共に拡大しており、データサイエンス、人工知能(AI)、X-Tech、AR/VR、ブロックチェーン、自動運転など、社会に影響を与えるであろう重要な技術の開発が進んできています。

関連記事:ITエンジニアになるには?未経験からの目指し方や面接のポイントも解説

DXを戦略に掲げる企業が増加しているため

デジタル化を伴う業務改革を目指すDXを戦略に掲げる企業は増えています。そこでは、開発作業を実施するエンジニアだけではなく、IT技術を理解した上で組織を動かし、DXプロジェクトを牽引できる経験を持った人材が必要です。

IPAが発表している「DX白書2023」内では、そのような事業改革を推進できる人材として「デジタル事業の実現を主導するリーダー格のプロダクトマネージャー」「デジタル事業に関するシステムの設計から実装ができるテックリード」などが挙げられています。

IT技術の進歩でエンジニアの需要は増加していく見込み

あらゆる場面でITが活用されていて、さらに技術が進歩していることは誰の目から見ても明らかでしょう。そして、これらのシステムの裏側には必ずエンジニアの仕事があります。つまり、エンジニアの需要も伸びているということです。

今後はさらにIT化の推進、技術の進歩が活性化していくでしょう。これに伴い、エンジニアの需要はさらに増加していく見込みです。

ただし「質」上げられないITエンジニアの将来性はない場合も

ITエンジニアの需要自体は右肩上がり、もしくは平行線でも高止まりで推移すると考えられます。しかし、これはあくまでも一定以上のスキルを有するエンジニアへの需要が大きいということです。言い換えれば、スキルが低いエンジニアは求められていないとも言えます。

企業側の目線で考えれば、名前がエンジニアなだけで必要なシステムを開発するスキルがなければ採用するメリットがないからです。そのため、ITエンジニアは自身の質を高めていく必要があります。

ITエンジニアの現状

ITエンジニアの現状について解説します。

IT業界全体で人手不足は続く見込み

上でも解説した通り、IT業界全体が人手不足です。上で紹介した経済産業省のデータは有名ですが、他のデータでもIT人材の人手不足は加速していくと考えられています。現在も将来的にも人手不足ということです。

IT業界以外での需要も高い

IT業界以外でもIT職種の人材は必要です。IT企業に開発を依頼すればどの業界でも自社のシステムを構築可能ですが、運用や軽微な修正まで含めてすべてIT企業に外注するのは非効率的になります。そのため、IT業界以外にもたとえば社内SEのような人材は必要です。社内SEなども人手不足の状態で、需要があります。

フリーランスや副業のITエンジニアが増加

ITエンジニアはフリーランスや副業に向いている職種です。そのため、フリーランスや副業のITエンジニアも増加していて、今後はさらに増えていくでしょう。副業の場合は本業はエンジニアと無関係の職種の人もいれば、本業もエンジニアで副業もエンジニアの人もいます。

IT業界において需要の高い職種

IT業界で特に需要の高い職種を紹介します。

ビッグデータ 、AIエンジニア

多様なデータから価値を創出するプロジェクトの需要は、ますます高まっていくと考えられます。マーケティングに関するデータから各種デバイスで収集したセンサーデータまで分析対象は増えており、そこから新たな動作を導き出したり、判断を自動化したりする事例が増えていくでしょう。機械学習や深層学習の専門家としてAIエンジニアが求められています。


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IoTエンジニア

工場や物流施設でのセンサーデータや、個人が日常的に身につけるウェアラブル端末を活用したシステムが増えています。データを収集したり、分析結果に基づいてデバイスを操作したりするため、ハードウェアに近いシステムを担当できるエンジニアが必要とされています。

クラウドエンジニア

システム設計を行う際にクラウド環境を前提に検討する「クラウドファースト」の考え方が浸透し、多くの業界で導入が進んでいます。普及が進むと共に複数のクラウド事業者の環境を併用したり、クラウドとオンプレミスを複合して使用したりと、複雑な構成が取られるケースもあります。クラウド運用を円滑に行えるエンジニアは需要が高いでしょう。

セキュリティエンジニア

サイバー攻撃は社会問題となって久しく、企業の情報システムやインフラが被害にあう事例も多数報告されています。犯罪者といたちごっこの状況にあるため、最新の情報に明るく、企業の情報システムを保護するセキュリティの専門家が必要とされています。

関連記事:IT技術者(ITエンジニア)に必要なスキルとは?

Webエンジニア

WebエンジニアはWeb周りのサービス開発、保守点検を行う仕事です。近年では既存Webサービスを利用するだけではなく、各企業が自社独自のWebサービスを開発するケースも多いでしょう。

この状況に素早く対応するためには、Webサービスを内製化する目的でWebエンジニアの採用を進めます。スマートフォンが普及している現代では、従来のWebサイトをスマートフォン対応にする急務もあり、よりWebエンジニアの需要は高まると予想できます。

関連記事:ITエンジニアの面接質問集42選|各種回答例を紹介

アプリケーションエンジニア

Webサイト・Webサービスの開発を行うWebエンジニアに対し、アプリケーション関連の開発・保守点検を行うのがアプリケーションエンジニアです。アプリというとスマートフォンのアプリ開発をイメージすることが多いですが、組み込み系アプリケーションや業務系アプリケーションなど企業によって求めるものは多岐にわたります。

DXによるビジネス改革が進む現在、アプリケーションエンジニアの立場は重要なもので将来性も高い職業といわれています。

ネットワークエンジニア

ネットワークエンジニアは安定的な需要がある職種です。なぜなら、現在も今後もITにおいてネットワークは欠かせないからです。またクラウドの普及によって、クラウドに強いネットワークエンジニアへの需要も伸びています。ネットワークエンジニアは比較的従来からある技術を踏襲する傾向の強い職種ですが、最新の技術に触れる機会も増えているということです。

先端IT人材のキャリアパス

先端IT人材は、これまでにない技術を実装したり、事業変革を推進したりすることが期待されています。以下では、これからキャリアアップを目指すエンジニアが考慮しておくと良いIT業界の職種について解説します。

関連記事:ITエンジニア向け志望動機の書き方を例文付きでご紹介!

先端技術エンジニア、データサイエンティスト

これまで述べたように、先端技術に対する需要は今後高まっていくと考えられます。特に、データを分析し、新たな洞察を得るプロジェクトが増えていくと予想されます。このような経験を積み、社内外で高い評価を得たエンジニアは、多くの企業から必要とされるでしょう。

テックリード

アーキテクトとも呼ばれ、技術面でチームを主導する上級職種の一つです。技術的な知見に基づいて、複数の実装方法の中から最適なものを選択し、システム全体の設計に責任を負う役割があります。ソフトウェア開発から、インフラ、セキュリティ、パフォーマンス、可用性まで、多様なスキルが必要とされます。

プロダクトマネージャー

デジタル事業の構想を練り、戦略立案や要件定義を行う役割です。ビジネスとITの双方を理解した上で、開発作業の優先順位付けを行う仕事も含まれます。特に、DXプロジェクトにおいては、自社の業務プロセスや事業内容を十分に理解した上で、ITによる解決策を実現できるプロダクトマネージャーが重要な役割を果たします。

UI/UXデザイナー

あらゆる業界で情報技術が使われるようになる中で、ユーザーにとって使い勝手のよいシステムは競争優位の源泉となります。Webサービスであれば優れたUI(ユーザーインターフェース)/UX(ユーザー体験)はユーザー獲得・維持の要因になるでしょう。また、社内システムでも業務効率や投資対効果に影響があります。ユーザー体験を分析した上で最適な設計を施したり、UIの開発作業を担当したりできるUI/UXデザイナーは、高い需要が見込まれています。

キャリアアップのためのポイント

IT人材の「質」が求められる状況では、エンジニアは将来についてよく検討し、新たなスキルを習得していく必要があります。キャリアアップを考える上で考慮するべきポイントについて見ていきましょう。

需要が高い技術を習得する

プログラミング言語やフレームワークは流行り廃りが激しいものです。現在、良く使われているものでも、数年後には使われなくなっている恐れがあります。技術トレンドに敏感になり、需要が高い技術を知っておく態度が求められています。エンジニアは好奇心を持って、学習を続けていくことが推奨されます。

求人情報を定期的に確認する

技術トレンドを理解するのに、求人情報を調べるのは良い方法の一つです。エンジニアの募集要項には、必要なスキル・保有しているのが望ましいスキルが明記されており、業界の動向を把握できます。定期的に転職エージェントと連絡をとって、自身のスキルの棚卸しや市場価値の相談をする方法も考えられます。

関連記事:転職エージェントを利用したITエンジニアの志望動機の書き方や例文|添削ポイントも解説

キャリアプランに合わせた実務経験を積む

これから専門性を磨いていきたいか、マネジメント経験を積んでいきたいか、といったキャリアプランをたてましょう。キャリアプランについて上司と相談し、希望のスキルを獲得できる案件に入れるよう要望するべきです。事業の状況などを理由に希望が通らなければ、前向きに転職を検討してもよいでしょう。

社外の情報にアクセスする

技術コミュニティに参加するなどして、先端IT技術に触れる機会を増やす方法があります。大学の社会人課程に入学し、専門性を磨いているエンジニアも見受けられます。また、英語を学習し、海外の最新情報を収集する方法もあります。

コミュニケーション能力をさらに高める

ITエンジニアにはそれぞれ担当が分かれておりさまざまな職種があるように、たった一人で完結する業務は少ないです。アプリ開発を例に挙げても、他部署で起こる問題を洗い出す人材が必要で、顧客からのニーズなどを汲み取る営業部の情報も大切です。こうした他メンバーの意見をもとにプログラマーが設計図を書き、トラブルが起こると都度コミュニケーションを取らなくてはなりません。クライアントとのやり取りも必要でしょう。

普段から関係者と広くコミュニケーションを取れていると、自然と良好な関係が築けスムーズに業務がはかどります。その結果としてキャリアアップにつながる可能性もあるため、コミュニケーション能力を鍛えるのは重要なポイントです。

柔軟性と論理性のある思考力を身につける

IT業界は日々最先端技術が更新され、その土台を作るのは従来の方法ややり方にとらわれない柔軟な発想です。アイデアは奇抜であれば良いだけでなく、実際に実用できるかどうか論理的に説明できるスキルも大切です。従って、柔軟性と理論性を併せ持つ思考力があると、IT人材としての地力向上につながるでしょう。

どの職業にもいえますが、自分の成功体験だけを頼りに過去のやり方や経験にとらわれるのは推奨できません。技術革新に対して素早く対応できる能力、柔軟性を持ちながらスキルアップするのが理想です。

ITエンジニアに関するよくある質問

ITエンジニアに関するよくある質問と回答を紹介します。

Q1. ITエンジニアは将来性がある職業ですか?

ITエンジニアは現在も需要があり、今後さらに需要は伸びると考えられます。あらゆる業界でITツールは導入されていて、技術は進歩しています。ビジネスにおいても人々の生活においてもITは欠かせないもので、それを開発するITエンジニアは必須の存在です。

Q2. 将来性のあるITエンジニア職はなんですか?

ITエンジニアは全般的に将来性がありますが、中でも特に将来性があるのはAIエンジニア、クラウドエンジニア、IoTエンジニア、フルスタックエンジニアなどです。つまり最新の技術に関わるエンジニアや、幅広い業務をこなせるエンジニアはより将来性があるということです。

Q3. ITエンジニアの人手不足の理由はなんですか?

ITエンジニアが不足している理由は複数あります。少子高齢化、技術の進歩に対応できる人が少ない、適性やスキル習得の大変さからエンジニアとして活躍できない人もいる、といったことが挙げられるでしょう。

まとめ

ITエンジニアは将来性の高い職業と言えます。その理由は複数ありますが、ITの需要が大きく今後も技術進歩が進んでいくこと、ITシステム開発の裏側には必ずITエンジニアが存在することなどです。

ITエンジニアの将来性は高いということですが、すべてのエンジニアが生き残れるわけではありません。需要に対して供給が追い付いていないものの、企業側にとってスキルのないエンジニアを採用することはできないからです。

需要が大きいのはあくまでもスキルのあるエンジニアに対してで、不足しているのもスキルのあるエンジニアです。そのため将来的にも需要のあるエンジニアになるには、新しい技術を把握し、勉強し続けることが重要になります。

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