TypeScriptの将来性は?特徴やメリット、習得方法を解説

最終更新日:2024年1月24日

インターネットの利用の普及によりWeb系の開発ニーズが高まるなか、Web開発における代表的なプログラミング言語であるJavaScriptの上位互換「TypeScript」に興味を持っているエンジニアも多いでしょう。

TypeScriptの習得を検討している場合には「TypeScriptでは何ができるのか」「JavaScriptとの違いは何か」「TypeScriptを使うことでどんなメリットを得られるのか」を知り、言語の将来性を見極めることも大切です。

当記事では、TypeScriptの習得を目指すエンジニア向けに、TypeScriptの概要、JavaScriptとの違い、将来性、特徴、求められる知識・スキル、未経験での学習方法について解説します。

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この記事のまとめ

  • TypeScriptは従来Webで多く活用されてきたJavaScriptと互換性のある新しいプログラミング言語です
  • ネット利用の拡大にともなうWebサイト開発のニーズは高く、TypeScriptのスキルを持つエンジニアの需要は高まることが予想されます
  • JavaScriptの経験者はTypeScriptを習得しやすいため、初心者はまずJavaScriptから身につけるのがおすすめです

TypeScriptとは

TypeScriptとは、2012年頃にMicrosoft社がリリースしたプログラミング言語です。

JavaScriptの「大規模開発に適さない」という課題点を補う目的で開発され、JavaScriptのスーパーセット(上位互換)にあたり、高い互換性を持ちます。そのため、一般的にTypeScriptは、JavaScriptの後継にあたるプログラミング言語として認識されています。

また、TypeScriptはJavaScriptと同様、主にWebサイト・Webアプリケーション開発といったフロントエンド開発に使用されています。リリース以降、Googleをはじめとした国内外のさまざまな企業がTypeScriptを使ってシステムを開発しており、注目されているプログラミング言語です。

関連記事:TypeScriptとは?入門者向けに特徴やメリットを解説

TypeScriptとJavaScriptの違い

TypeScriptはJavaScriptの上位互換として作られた言語です。共通する部分は多いものの、違いも存在しています。TypeScriptとJavaScriptの違いについて解説します。

TypeScriptは静的型付け言語、JavaScriptは動的型付け言語

静的型付け言語とは、変数や関数の引数などの型を明示する必要がある言語です。一方、動的型付け言語は、型を明示しなくても、コンパイラなどが型を自分で推測して実行する言語を指します。

詳細は後述しますが、この違いによってメリットや使い方にも差がでます。

インターフェースとクラスの定義が可能

TypeScriptは、C#やJavaなどのオブジェクト指向言語と同様に、インターフェースとクラスの定義が可能です。インターフェースとは、メソッドの引数・戻り値を定義したものです。JavaScriptではインターフェースとクラスの概念そのものが存在しませんでしたが、TypeScriptでは導入されています。

なお、JavaScriptでもECMAScript2015よりクラスの定義ができるようになっています。

関連記事:JavaScriptとJavaの違いとは?特徴・技術的な違い・需要などを解説

TypeScriptの特徴

TypeScriptはJavaScriptの課題点を補う目的で開発されており、そのために複数の特徴を持っています。以下では、TypeScriptの主な特徴を3つ紹介します。

JavaScriptの上位互換言語である

TypeScriptは、JavaScriptと高い互換性があります。TypeScriptで記述されているプログラムをコンパイル(トランスパイル)すると、JavaScriptのプログラムを生成し、JavaScriptとして実行可能です。そのため、従来JavaScriptを利用していた多くの企業が、言語変更によるハードルを感じずにTypeScriptの導入を進めています。

エラーを発見しやすい

TypeScriptは、前述のとおり静的型付けの言語です。変数宣言時にデータの型を宣言しておくことで、実行前にエラーを発見でき、開発効率の向上につながります。

一見すると、型の記述を省ける動的型付け言語のほうが効率的に思えますが、型を明示することによりソースコードを読む際に分かりやすくなるメリットがあります。また、統合開発環境等では、型の明示された変数に対して格納する値などについてチェックを行う機能を持ち、コンパイル前にエラーを検出できる点も大きなメリットです。

特に大規模開発では、誰が見ても読みやすいソースコードにすることは重要です。そのため、静的型付け言語は大規模開発に向いています。

クラス、インターフェースを作成できる

JavaScriptとの違いでも少し触れましたが、TypeScriptはオブジェクト指向言語であるため、JavaScriptと異なりクラス、インターフェースの定義が可能です。クラスを使うことでコードが読みやすくなり、JavaScriptでは冗長になりがちだったソースコードを読みやすく改善できます。

後にECMAScript2015にて、JavaScriptでもクラスの定義は可能となっていますが、インタフェースについては2023年12月21日時点でも実装されていません。

TypeScriptの将来性

TypeScriptはJavaScriptの上位互換にあたり、JavaScriptからの移行も容易なことから、将来性は高いといえます。背景には、Web開発の需要が続いていることや、Googleなどの大手企業に採用されたことで言語のサポートが推し進められること、JavaScriptの課題であった大規模開発にも対応していることなどが挙げられます。

本項では、TypeScriptの将来性についてより詳細に解説します。

関連記事:JavaScriptの将来性とは?需要状況を解説

Webエンジニアの需要が高い

近年、スマートフォン・インターネットの普及に伴い、Webサイト・Webアプリケーションなどの開発ニーズが高まり、Webエンジニアの需要はますます高まっています。特にTypeScriptについては、人気が上昇しており、StackOverflowによるプログラミング言語の人気調査においても、2021年では30.19%の開発者が利用し7位、2022年では34.83%の開発者が利用し5位、2023年では38.87%の開発者が利用し5位と、人気が高まり普及度合いも進んでいることが分かります。

現在、Web開発のフロントエンドで使用されるプログラミング言語は、HTML、CSS、JavaScriptなどが主流です。今後は、JavaScriptに並行もしくは変わるかたちでTypeScriptが使われていくと考えられます。

TypeScriptの人気が高まるにつれて、TypeScriptエンジニアの需要も高まっていくでしょう。

既存システムのJavaScriptからの移行が考えられる

前述のとおり、TypeScriptはJavaScriptをベースに開発されており、高い互換性があります。そして、既存のフロントエンドシステムの多くはJavaScriptで作られているため、改修や追加、新規開発において、今後はTypeScriptが採用されるケースが増えると考えられます。

また、TypeScriptは大規模開発に適している点も注目されています。今後は新規の大規模開発に採用される可能性があり、TypeScriptは高い将来性が期待できるでしょう。

世界的大手企業(Google)が社内の標準開発言語として採用

2017年に、世界的な大手企業であるGoogleが、社内の開発標準言語としてTypeScriptを採用し、大きな話題となりました。また、JavaScriptのフレームワークであるAngularは、TypeScriptで使われることを念頭に開発されました。

こうした動きをきっかけに、Vue.jsやReactなどのフレームワークも、TypeScriptのサポートを開始しました。その結果、さまざまな国内外の企業がTypeScriptを積極的に採用しはじめています。

TypeScriptが使われるフロントエンド開発の需要が拡大していること、JavaScriptでは難しかった大規模開発ができること、Google以外にも大手企業がTypeScriptを採用しはじめていることなどから、今後もTypeScriptは需要が高まると予想され、将来性は明るいといってよいでしょう。

TypeScriptのメリット・デメリット

TypeScriptをWebのフロントエンド向けのプログラミング言語として選択する場合の、メリット・デメリットを説明します。JavaScriptとの関係性や比較がポイントです。

メリット

TypeScriptを開発言語として選択する場合のメリットには下記が挙げられます。JavaScriptのメリットを活かしながら、さらなるメリットを得ることができる点が共通しています。

JavaScriptと互換性がある

TypeScriptはJavaScriptの上位互換であり、TypeScriptで作られたプログラムは実行に際してJavaScriptにトランスパイルされて実行されます。JavaScriptとは互換性があり、基本的に既存の資産をそのまま移植して利用することが可能です。

互換性があることに加えて、新たな機能も利用できるため、移行に際したハードルが低い点は大きなメリットです。

JavaScriptの知識を活かせる

JavaScriptと互換性があるため、JavaScriptの開発経験があるエンジニアはすぐにTypeScriptの利用を始められます。JavaScriptでの開発で得た知見はそのまま利用できることが多く、無駄になりません。

JavaScriptのフレームワークでもReact、Vue.jsはTypeScriptへの対応を行っており、AngularはTypeScriptに向けてAngularJSを作り直したものです。これらのフレームワークに関する知識も、そのまま役立てることができます。

デメリット

TypeScriptを選択した場合に、デメリットとなる点については下記が挙げられます。

設定項目が多く難しい

TypeScriptでは、JavaScriptへのトランスパイルのために設定ファイルやコンパイラオプションの指定が必要となります。JavaScriptでの開発ではない作業であり、複雑な内容であることから、習得のハードルとなる可能性があります。

JavaScriptに変換する手間がある

TypeScriptはソースコード記述後、JavaScriptへの変換(トランスパイル)を行ってから実行が可能になります。多少なりとも時間と手間がかかるため、開発効率を低下させる要因となります。

ランタイムのエラー検出は手動

TypeScriptでは静的型付けを採用し、型推論などによるコンパイル時のエラー検出が可能です。ただし、全てのエラーがコンパイル時に検出できるわけではなく、ランタイムエラー(実行時エラー)についてはJavaScriptと同様に手動のテストによって検出する必要があります。大きなデメリットではありませんが、全てのエラーを事前に検出できると期待していた場合にはデメリットに感じるかも知れません。

【未経験者向け】TypeScriptの学習方法

未経験者向けのTypeScriptの習得方法について解説します。

注意点として、プログラミング自体が未経験の方は、まずJavaScriptから習得するのがおすすめです。TypeScriptは新しい言語のため、JavaScriptに比べると参考書や学習サイトが多くありません。そのため、疑問点があってもなかなか解決できないなど、学習に苦労してしまうおそれがあります。すでに多くのエンジニアが利用するJavaScriptであれば、未経験向けの参考書や学習サイトが豊富にあるため、スムーズに学習を進められるでしょう。

JavaScriptを含めた他言語の経験がある方は、以下の方法でTypeScriptの習得を目指してみてください。

関連記事:TypeScriptの資格3選!企業が求めるスキルを解説

入門書などの書籍で独学する

TypeScriptに関する書籍は徐々にそろってきており、入門書も複数存在します。全体を把握できるように、基本概念から具体的な環境構築まで解説してあるものが、未経験者にもおすすめです。

スクール(オンライン含む)で学習する

書籍ではなかなか学習が進まなかったり、不明点を解決できなかったりする場合は、スクールを活用しましょう。最近では、オンラインで受けられるスクールも多くあります。リモートであってもプロの講師の授業やメンタリング、Q&Aなどが可能です。

オープンソースドキュメントを活用する

TypeScriptにはオープンソースのドキュメントTypeScript Deep Diveが存在しており、参考にすることで手を動かしながら学習することができます。「TypeScript 入門 & 環境構築」の章があり、環境構築方法からサンプルコードまで記述されているため、初心者でも安心して学習が可能です。

TypeScriptに初めて触れる方は、基礎的な学習として活用するとよいでしょう。さらに、実際に簡単なWebアプリを作成してみることで、JavaScriptとの違いを実感できるはずです。

TypeScriptエンジニアの年収

2023年12月16日時点で、レバテックキャリアに掲載されている求人・転職情報のうちキーワード「TypeScript」に該当するものは約2,300件存在します。このなかから30件を抽出し、年収の最大値と最低値の中間の平均値より、TypeScriptエンジニアの平均年収は約695万円と想定できます

最大年収に1,000万円以上を設定している求人・転職情報も複数存在しており、比較的高い年収を望めるエンジニア職種といえます。

TypeScriptエンジニアの求人・転職情報

TypeScriptエンジニアに求められる知識・スキル

TypeScriptエンジニアとして活躍するためには、TypeScriptだけではなく、他のプログラミング言語も含めた幅広い知識を習得する必要があります。TypeScriptは活用できる開発範囲が広く、他のプログラミング言語との連携もしやすいことから、他のプログラミング言語の知識や開発スキルを求められる可能性があるためです。

なかでも、サーバーサイド開発に関する知識・スキルがあると、広く開発に携われる人材として重宝されます。

また、TypeScriptをサポートするフレームワークも徐々に増えています。さまざまなフレームワークの知識・スキルを身につけておくと、スキルアップにつながるでしょう。

TypeScriptに関するよくある質問

TypeScriptに関するよくある質問と回答をまとめました。TypeScript習得を検討する参考になれば幸いです。

Q1. TypeScriptが使われている理由は何ですか?

TypeScriptは、JavaScriptの課題である「大規模開発に不向き」という問題点を解決するために作られた言語です。

静的型付けの導入などにより、Webの大規模開発で効率的な開発を実現できることがよく利用される理由の代表的なものです。また、JavaScriptの知識があれば、学習コストは低く、多くのJavaScriptエンジニアが取り組み易いことも理由に挙げられます。

Q2. TypeScriptとJavaScriptの関係性を教えてください

TypeScriptはJavaScriptのスーパーセット(上位互換)です。TypeScriptで作成したプログラムは、実行の前にトランスパイルを行い、JavaScriptのソースコードに変換されます。以降、実行環境等はJavaScriptと同等です。

TypeScriptで作成したコードをJavaScriptから呼び出したり、JavaScriptのライブラリをTypeScriptで利用するといった連係も可能です。

Q3. TypeScriptの欠点は何ですか?

TypeScriptをJavaScriptと比較した場合の欠点として、下記が挙げられます。
 

  • ・追加している機能の分学習コストが必要

    ・トランスパイルという一手間がかかる

    ・開発に関連する情報が取得しづらい

まとめ

TypeScriptは、JavaScriptの上位互換にあたるプログラミング言語です。JavaScriptの大規模開発に適さないという課題を解消するべく開発されており、Webのフロントエンド開発などにおいてJavaScriptの代替となることが期待されています。

Web開発のニーズは今後も続くと想定されます。そのような状況下で、JavaScriptに対して互換性を保ちながら機能の追加を行っているため、技術者のスキル習得や環境面でもハードルが低く、JavaScriptから乗り換えるケースは今後より増加すると考えられます。

Google社で開発言語として採用されるなど、言語へのサポートも期待でき、各種のJavaScriptのフレームワークでも対応が行われていることから、将来性は高いです。

エンジニアにとっても高い年収が望めるため、習得したい言語の一つです。

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この記事の監修

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