- DTPオペレーターの現状と将来性
- DTPオペレーターの将来性は厳しいと言われる理由
- DTPオペレーターからの転職先候補
- DTPオペレーターとWebデザイナーの年収比較
- DTPオペレーターのスキルキャリアアップで習得しておくべき要素
- DTPオペレーターからWebデザイナーに転職する際のポイント
- DTPオペレーターに関する質問
- まとめ
DTPオペレーターの現状と将来性
DTPオペレーターの需要は以前まではありましたが、現在は需要がなくなってきています。DTPオペレーターの求人は少なく、また他の職種に飲み込まれている状況です。具体的には、WebデザイナーがDTPオペレーターやDTPデザイナーの役割も担っています。
また、現在では紙媒体のデザインの需要が低く、圧倒的にWebデザインの需要が高いです。これらの理由から、DTPオペレーターの将来性は低いと言えるでしょう。
関連記事:Webデザイナーは将来性がない?後悔しないために知るべきこと
DTPオペレーターの将来性は厳しい
詳しくは後述しますが、複数の理由からDTPオペレーターは将来性が低いと言えます。かつてはDTPデザイナーとDTPオペレーターは業務内容が分かれていましたが、近年はWebデザイナーが兼任しています。さらに、DTPデザイナーの求人も少なくなってきているため、DTPオペレーター単体の将来性はかなり厳しいと言えます。
単にDTPの操作(図面修正やレイアウト配置、PDF化など)がひととおりできる、というレベルであれば、すぐに仕事はなくならないにしても将来的にやっていけるスキルとは言えません。
実際の求人では「DTP+Webデザイン」といった内容が増えており、DTPオペレーター専業では評価されにくい時代になっています。上でも触れましたが、DTPオペレーターの将来性が厳しいと言われる理由をより詳しくご説明していきます。
フリーランスの需要も縮小傾向
1990年代には年間売上が1000万円を突破したフリーランスもいたようですが、現在は正社員で年収350万円前後となっています。長年続くデフレや業界全体でDTPオペレーターの仕事が減っていることからフリーランスの需要も年々減少しています。今後はDTPオペレーターだけで生計を立てていくのは難しいかもしれません。
DTPオペレーターの将来性は厳しいと言われる理由
上でも触れましたが、DTPオペレーターの将来性が厳しいと言われる理由をより詳しくご説明していきます。
Webが主流になり印刷媒体の業界が縮小している
今は紙媒体の印刷物は減少している時代です。広告費の中心もテレビメディアからインターネットに移行しています。2019年の段階で、テレビの広告費をインターネットの広告費が上回ったという話は有名でしょう。
このようにネット全盛の時代なので、印刷媒体の業界は縮小しています。そして、今後もこの傾向は続くでしょう。
知識や技術がなくても印刷物が作れる
今の時代は、無料のテンプレートを使用したり、安い業者に発注したりして簡単に印刷物が作れるようになっています。高度なものでなければ、あえてDTPオペレーターを雇って制作しなくても良いということです。
海外に外注(オフショア)をする企業が増えてる
ある程度クオリティの高い印刷物を大量に制作する場合、海外に外注するという選択肢があります。そして、実際このようにしている企業が増えています。あえて国内の単価の高い人に依頼するよりも、人件費の安い国の人に依頼した方が良いという発想です。同じ技術力なら、人件費の安い国に依頼した方がコストを抑えられます。
DTPオペレーターからの転職先候補
DTPオペレーターからの転職先候補になりうる職種を紹介します。
Webデザイナー
Webデザイナーは、DTPオペレーターからの転職先候補として王道です。どちらも「デザイン」を土台とする職種であり、DTPで培ったデザインの知識が活かせるからです。近年は、紙媒体とWeb媒体を同時に制作するケースも増えており、紙媒体のデザインをWeb媒体向けにリファインする人材として重宝されるでしょう。
関連記事:Webデザイナーの仕事内容とは?未経験からの目指し方も紹介
マークアップエンジニア
マークアップエンジニアは、WebデザイナーによるデザインをWebサイト内に適用するためにHTMLやCSSのコーディングを行う職種です。HTMLやCSSのようなマークアップ言語は、ITに対する知見が無い人材でも比較的習得しやすいという特徴があります。また、SEO(検索エンジン最適化)の知見も備えてWebサイト運用・管理を担えるようになれば、より付加価値が高い人材と見なされるでしょう。
グラフィックデザイナー
広告媒体全般のグラフィックデザインを担うグラフィックデザイナーも有望な転職先候補です。グラフィックデザイナーの仕事内容は「クライアントの要求に応じたコンセプトの立案」「デザイン企画」「デザインの考案」などであり、DTPオペレーターよりも上流の工程を担っています。DTPオペレーターとしての経験をもとにアシスタントとしてグラフィックデザインを学びつつ、Adobeが提供するクリエイター資格を取得して基礎を身に着けるというルートなどが考えられます。
関連記事:未経験でグラフィックデザイナーになるには?求められるスキル
DTPオペレーターとWebデザイナーの年収比較
厚生労働省の統計によるとDTPオペレーターの全国の平均年収は403.7万円、Webデザイナーの平均年収は478.6万円とWebデザイナーの方が収入が高くなっています。また、DTPオペレーターは73.3%の人材が正社員として勤務していて、Webデザイナーは64.5%が自営業やフリーランスとして勤務していることも収入の違いに現れているのかもしれません。
DTPオペレーターのキャリアアップで習得しておくべき要素
前述した職種への転職するためのスキルアッププランを考えてみましょう。ここでは、「デザインスキル」「UI・UX関連のスキル」「プログラミング言語のスキル」の3つに焦点を当て、具体的なスキルアッププランを紹介します。
関連記事:Webデザイナーに必要なスキル・スキルマップとは
デザインスキル
デザインスキルは「基礎」や「原則」を身に着けると「評価されやすいパターン」の手札を増やすことが可能です。DTPオペレーターから転職を目指す場合は、まずPhotoshopやIllustratorなど、メジャーなデザインソフトの使い方をおさえておくと良いでしょう。
ちなみにPhotoshopとIllustratorについては、資格取得によってスキルを身に着けていく方法もおすすめです。ここでは具体例として、「Photoshopクリエイター能力試験」と「アドビ認定アソシエイト」の概要を紹介します。
Photoshopクリエイター能力試験
難易度別に「スタンダード」「エキスパート」の2試験が提供されています。スタンダードは、「ファイル操作」「カラーの選択」「環境設定」「選択ツールの使い方」「カラーモードと色調補正」といった基本的操作が中心の内容です。
これに対しエキスパートでは、「フィルターの応用」「画像の入出力」「Web用画像の作成」「アクションと自動処理」「DTP/Webデザインの基本知識」など実務寄りの内容が出題されます。いずれも実技試験を伴うことから、実践的なデザインスキル習得に役立つでしょう。
アドビ認定プロフェッショナル
「アドビ認定プロフェッショナル(Adobe Certified Professional)」は、Photoshop やIllustration といったアドビ製品に対して一定の知識を持つことを証明する資格試験です。デザインスキルを磨くのであれば、「Visual Design using Adobe Photoshop CC 2020」や「Graphic Design & Illustration Using Adobe Illustrator CC 2020」の取得がおすすめです。
UI・UX関連のスキル
近年のプロダクト設計では「UI・UX」が必須となっています。UIとは「ユーザーとプロダクトとの接点」、UXとは「UIから得られるユーザーの体験」を指す単語です。プロダクトの性能や仕様よりも「ユーザーにどのような体験を提供できるか」が重視される今、UI・UXは普遍的なスキルとして注目されているのです。
UI・UX関連のスキルを磨く方法としては「多くのデザインパターンに触れる」「優れたUIを持つWebサイト・サービスを模倣する」「メジャーなIT企業が公開しているリファレンスに触れる」などが挙げられます。特にGoogleの「マテリアルデザイン」やAppleの「HIG(ヒューマンインターフェースガイドライン)」は、UI・UXの基礎を学べる教材となっているため是非チェックしてみましょう。
マークアップ言語、軽量スクリプト言語のスキル
Webデザイナーやマークアップエンジニアへの転職では、マークアップ・プログラミング言語を身に着けることが重要です。特に「HTML」「CSS」「JavaScript」の3つは、Webサイト制作で頻繁に使用される言語です。HTMLとCSSについては、初心者でも比較的習得しやすく、常に需要が発生しています。JavaScriptは前述の2言語と比べるとやや難易度が高いものの、習得できれば仕事の幅が一気に広がります。DTPのデザイン経験とプログラミング言語のスキルを備えることで、転職先の選択肢はかなり増えるでしょう。
関連記事:デザイナーとして就職するためには?職種と必要なスキルを解説
DTPオペレーターからWebデザイナーに転職する際のポイント
DTPオペレーターからWebデザイナーに転職してキャリアチェンジする場合にどのようなことに気をつけたらいいのでしょうか。
未経験でも必要スキルを学習しておく
「DTPオペレーターのスキルアップで習得しておくべき要素」にはWebデザイナーとしても必要となるスキルが多くあります。まずは前述のスキルを学習しておきましょう。
ポートフォリオを用意する
ポートフォリオとはこれまでの実績やスキルなどがわかる制作物をまとめたものです。過去の作品を選考時に見てもらい、技術面やスキル面で就職しても活躍できることを検討してもらいやすくなります。
Webデザイナーの転職の場合はWeb上にポートフォリオサイトを作って見てもらうことが多いですが、オフラインでの面接時には紙に印刷してファイリングの上で持ち込むこともあります。作品ごとに工夫した点や使用可能なソフトなどをまとめておくことも忘れないようにしましょう。
志望動機の例文
私はWeb業界に起きている日々の変化に関わりたいと考え、Webデザイナーを志望します。
これまでの5年間、DTPオペレーターとしてデザインや印刷技術を学んできました。しかし、紙媒体に大きな変化はなく、今後も似た業務を続けていくことに限界を感じています。一方でWeb業界は常に進化し続け、新しい技術やトレンドが次々と誕生しています。デザインに限定してもLP構築からWeb広告デザイン、メタバースなどの3D空間デザインと様々です。
これらのデザイン作成に、私のDTP業務での経験や知識は力になります。また、貴社の作成するユーザーを魅了するデザイン作成へも紙媒体で培った知識ならではの視点で一助になると考えております。貴社に入社後は、2DのWebデザインやWeb広告デザインから3Dのオブジェクトデザインや空間デザインに挑戦していきたいです。
関連記事:
WEBデザイナーの志望動機を攻略!書き方のポイントと例文を紹介
グラフィックデザイナーの志望動機!未経験向けの例文も紹介
DTPオペレーターに関する質問
最後に、DTPオペレーターに関する質問に回答していきます。
Q1.DTPデザイナーの将来性は?
DTPオペレータの将来性は低いと言えます。なぜなら、WebデザイナーがDTP業務を担当している、紙媒体デザインの需要が下がり、Webデザインの需要が上がっているからです。
今後も需要の上昇を見込めないため、Webデザインの技術を身に着けるなどの対策が必要です。
Q2.DTPオペレーターの年収は?
厚生労働省の調べによると、Webデザイナーの平均年収478.6万円に対してDTPオペレーターの平均年収は403.7万円となっています。また、Webデザイナーは64.5%が自営業やフリーランスなのに対して、DTPオペレーターは73.3%の方が正社員です。雇用形態や要求スキルなどの理由からWebライターの年収のほうが高い傾向にあります。
Q3.DTPオペレーターとデザイナーの違いは何ですか?
DTPデザイナーはチラシやポップ、広告など紙媒体のデザイン作業を行う職種に対して、DTPオペレーターはDTPルールに基づいて文字サイズ・レイアウトの調整などを行い、印刷できる形式に調整する職種です。最近ではDTPオペレーターとDTPデザイナーの業務を兼任する企業が多くなっています。しかし、一般的にはDTPオペレーターは技術的なスキルと正確な作業を、DTPデザイナーは創造性やクリエイティブな側面に重点をおいている職種といえます。
Q4.DTPオペレーターってどんな仕事?
DTPオペレーターの仕事内容は、デスクトップパブリッシング(DTP)ソフトウェアを使用して、印刷物や出版物の制作などです。DTPデザイナーが作成したデザイン案を基に、文字詰めやレイアウトの調整、画像の編集、色の管理などを行い、デザインを印刷可能な状態に仕上げます。
まとめ
DTPオペレーターは、主に紙媒体においてデザインを担当する職種です。出版不況、活字離れ、Web移行などにより、DTPオペレーターの需要は低下傾向にあります。しかし、DTPオペレーターとして培ったスキルを活かすことで、他職種への転職は可能です。具体的にはWebデザイナー、マークアップエンジニア、グラフィックデザイナーなどが候補として挙げられます。デザインスキルやマークアップ言語のスキルを習得しておくことで、将来の仕事の幅が広がるでしょう。
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