AIエンジニアとは?仕事内容やなるために必要なスキル、年収を解説

最終更新日:2024年4月25日

近年、AIの実用化が進んだことから、AIアルゴリズムの実装や分析・モデリングなどを行うエンジニア職種の需要が増えました。こうした職種は「AIエンジニア」と呼ばれ、次代を担う先端人材として注目されています。

他の職種からAIエンジニアを目指す場合、AI関連の分野は高度な専門性を要する業務が多いため、転職を成功させるには一定の知識・スキルが必須です。

本記事では、近年のAI関連サービス増加によりAIエンジニアに興味がわいてきたITエンジニアに向けて、AIエンジニアの仕事内容やスキル・知識、将来性などについて解説します。AIエンジニアを目指すきっかけになれば幸いです。

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この記事のまとめ

  • AIエンジニアとは、AIを活用したアプリケーションや開発に携わるエンジニア
  • AIエンジニアの要求されるスキルや経験の範囲は非常に広い
  • 対応業務の幅も広く、どの業務に特化しているかでデータサイエンティストなど職種名が変わる

AIエンジニアとは

AIエンジニアとは、AIアルゴリズムの開発やAIを活用したアプリケーションやサービスの開発に携わるエンジニア職種です。AIに必要なデータ基盤の構築、機械学習などのチューニング、AIを活用した情報の分析を主な業務とする場合もあります。基礎的な理論を理解するための数学の知識や論理的思考、AIの実現に必要なITについての知識とスキルなどが求められる専門性の高い職種です。

関連記事:AIエンジニアの年収を年代・業務内容・業務形態別に紹介します

AIエンジニアのプログラミング分野の仕事内容

AIエンジニアのプログラミング分野の仕事内容は大きく分けて以下の3つに分類できます。


  • ・AIに用いるデータの収集、整形

    ・AIを用いたアプリケーションやサービスの設計、開発

    ・AIアルゴリズムの開発、実装


まずはプログラミング分野の仕事内容を確認していきましょう。

AIに用いるデータ収集・整形

AIエンジニアはAIアルゴリズムの設計や開発だけでなく、必要なデータ収集や整形を担当する場合もあります。AIの精度向上には収集したデータ量や事前の処理が大きく影響するためです。

また最近ではデータの準備コストを削減するためのサービスを用いた環境構築を担当する場合もあります。データパイプラインやデータウェアハウスなど、データを収集する仕組み構築などです。

AIを用いたアプリケーションやサービスの設計

AIをアプリケーションやサービスに組み込む場合、AIの知識を要求されるためAIエンジニアが担当します。現在主流のAIは特定のタスクに特化しており、範囲外のタスクを任せると効果を発揮しにくいからです。

AIアルゴリズムの開発、実装

AIアルゴリズムの開発・実装は、プログラム分野のAIエンジニアの主な仕事の一つです。機械学習やディープラーニングといった手法を用いてAIアルゴリズムを設計し、実装のためのコーディングも担当します。

AIエンジニアのアナリティクス分野の仕事内容

AIエンジニアはプログラミング分野だけでなく、アナリティクス分野の仕事も担当します。主な仕事内容は以下の2つです。


  • ・データ分析結果を用いたコンサルティング業務

    ・仮説検証と提言


それぞれについて詳しく見ていきましょう。

データ分析結果を用いたコンサルティング業務

アナリティクス分野のAIエンジニアの場合は、コンサルティングやデータサイエンスの手法を使った分析業務も担うことが多いです。たとえば、次のような仕事が挙げられます。

  • ・経営課題の把握、戦略立案

    ・業務課題の洗い出し、優先順位付け

    ・解決の対象とすべき課題(ターゲット)の選定

    ・達成目標の明確化

    ・課題解決、目標達成に向けた仮説立案

こうした業務は、AIが登場する以前から、事業企画部門やコンサルティングファームが担ってきました。近年は、データ活用を前提とした経営戦略の広まりを受け、データサイエンティストやAIエンジニアが積極的に関与するようになっています。

関連記事:未経験でAIエンジニアになるには?必要なスキルや役立つ資格を紹介

仮説検証と提言

仮説と分析結果を比較し、検証を行います。また、事業・業務の改善に役立つ項目のKPIを設定しレポートにまとめます。さらに、経営改善に必要な提言を行う場合もあります。

AIエンジニアの需要が見込まれる業界・分野

技術の進歩により、AIはさまざまなタスクに対応できるようになりました。では具体的にどのような業界や分野に需要があるのでしょうか。ここからはAIエンジニアの需要が見込まれる業界や分野を紹介します。

AI推進中の企業や支援サービスを展開する企業

現状幅広い業界の企業でAIが推進されています。具体的には、医療、金融、製造、ゲーム、自動車、などが挙げられます。今後はより幅広い業界に浸透していくでしょう。そして、これらの業界でAIエンジニアに需要があります。IT投資に比重を置いている企業であれば、業種は関係なくなってきている状況です。

もちろんIT業界でもAIエンジニアの需要があり、開発プロジェクトで活躍できる機会があります。AI開発が増えていくのは確実といっても過言ではないはずです。

研究機関

AIは技術の中でも最先端分野なので、税金を使って研究に取り組んでいる機関が複数あります。そのため、開発エンジニアではなく、AIの研究者という選択肢もあります。エンジニアがものづくりを行っているのに対して研究職は技術の発展やそれを社会に役立てるための試行錯誤を行います。

研究職はエンジニアに比べると間口が狭いため、たとえば転職サイトなどで外部から参画するハードルは高めでしょう。

教育機関

今後はAIエンジニアだけでなく、AIを活用する企業担当者なども増えていくでしょう。その結果、AI教育の需要が高まります。AI教育は税金で運営する国の機関、民間機関でより活発に行われていくと考えられます。

AIエンジニアやAI研究者としてAIのスキル、知見を高めておけば、AI教育者としてのルート選択もしやすくなるはずです。

AIエンジニアが携わる開発の例

昨今、多くのサービスや製品にAIが組み込まれています。AIを組み込んだプロダクトにはAIエンジニアが関わっているため、AIエンジニアを目指す方は事例を確認しておきましょう。ここからAIエンジニアが携わる開発の例を紹介します。

経験を伴う判断の自動化

AIの得意なタスクの1つに判断などの分類タスクが挙げられます。たとえば、ローン申請者に貸し出すのかの判断などです。これまでのローン申請者の年収などの属性情報と貸し倒れしたかを学習することで、申請者が貸し倒れしないか予測するAIモデルを構築できます。貸し倒れ予測モデルを作成することで、事前知識のない人でもローン申請を承諾して問題ないか判断できます。このようにこれまで多くの経験を基に判断していたタスクをAIに代替可能です。

売り上げ予測や需要予測

AIは時系列データと呼ばれるデータの予測にも使用されます。時系列データとは日付データと数値、各情報をまとめたものです。たとえば、日毎の店舗売り上げや来客数、天気や休日か否かをまとめたデータなどです。上記のデータを使用すると、今後の店舗売り上げを予測するAIモデルを構築できます。売り上げを予測することで、シフト管理や在庫管理を最適化できるため、飲食業界などで使用される機会が多いです。

自動運転

自動車の自動運転もAIを活用した技術の代表例です。自動運転では画像認証や音声認証で得た情報を基に、人間のように周囲を認識して運転します。また、AIは人間のように注意力低下などの影響でミスしないため、技術が確立されると人間よりも安全性が高いとされています。

カードなどの不正使用探知

クレジットカードなどが不正使用される事件が起こっているため、AIによって不正使用を探知し、被害を抑止しています。AIが会員の動きをモニタリングし、パターンから大きくずれている場合などはカード会社から会員に連絡が入ります。

オペレーション

コールセンターのオペレーション業務をAI化することで、人間が対応する業務内容を削減できます。また、AIは会話を分析して的確な対応をするので、ユーザーにとっても利便性、満足度の向上につながります。

AIエンジニアの種類と役割

AIエンジニアの業務幅は広いため、各業務に特化した職種が存在します。また、特化した業務に応じて職種名も異なるため、AIエンジニアを目指す前にどの職種を目指すか必ず確認しましょう。ここからは、AIエンジニアの種類と役割を紹介します。紹介する職種は以下の3つです。


  • ・機械学習エンジニア

    ・データサイエンティスト

    ・データアナリスト


それぞれについて詳しく見ていきましょう。

機械学習エンジニア

AIは人間に近い思考ができるコンピューターソフトウェアで、人工知能とも呼ばれます。機械学習とは、AIの中心技術の1つです。

機械学習と似た単語にディープラーニング(深層学習)があります。ディープラーニングは機械学習の中の1種類です。改めて階層をまとめると以下のようになります。

AI > 機械学習 > 深層学習

AIの中心技術の1つが機械学習で、機械学習の中心技術の1つが深層学習です。深層学習エンジニアやディープラーニングエンジニアという言い方はしないので、深層学習に特化しているエンジニアも機械学習エンジニアに含まれます。AIエンジニアと呼ばれる場合もあるでしょう。

データサイエンティスト

データサイエンティストとは、企業や組織において、データの収集・加工・分析を通して、ビジネス課題の解決や状況改善につながる提言・施策立案を行う職種です。近年はビッグデータをマーケティング等に活用する企業が増えたため、さまざまな場所でデータサイエンティストの需要が生まれています。

またひとことにデータサイエンティストという職種名であっても、所属している企業によって業務内容が異なります。技術的に深い内容に従事しているデータサイエンティストもいれば、プログラミングなどは行わずマーケターなどの職種に近い業務を行っているデータサイエンティストも存在します。

関連記事:
データサイエンティストになるには?目指し方や必須スキルを解説
データサイエンティストの仕事内容を解説!必要なスキル、知識、学習方法もご紹介

データアナリスト

データアナリストとは、データ分析の専門家です。企業のデータベースに蓄積される大量のユーザーデータや業務システムの実績等を集計・分析し、ユーザーの行動や将来のニーズ、業務最適化などに向けて解析・予測し、自社やクライアントが抱える課題の解決を支援します。

データサイエンティストと類似していますが、データサイエンティストの方がよりシステム構築に近い業務を含む傾向があります。データアナリストはデータサイエンティストが作ったシステムを使い、データ収集や分析をしてマーケティングなどに役立てる役割を果たすケースが多いです。

AIエンジニアとITエンジニアの違い

ITエンジニアは幅広くIT技術を利用してシステムやアプリケーション、サービスなどを開発する職種です。IT技術の中にAIも含まれるため、AIエンジニアはITエンジニアの一種といえます。

一般にITエンジニアといった場合には、幅広くシステム開発に携わるエンジニアを指すのに対し、AIエンジニアは開発だけでなくAIを活用したビジネス提案などを行う場合もあります。AIエンジニアはAIの活用に加えて、ほかのITエンジニアよりも業務の幅が広いです。ただし、先にご紹介した通り同じAIエンジニアであっても業務内容は異なります。

AIエンジニアになるために必要なスキル・知識

AIエンジニアになるためには、スキルや知識、経験といったハードスキルが重要視されます。紹介したようにAIの専門家はまだ少なく、AIエンジニアとして長く続けていくにはスキルセットが大切です。

本項では、プログラム分野のAIエンジニアに求められるスキル、アナリティクス分野のAIエンジニアに必要なスキル、その両方に共通して求められる基本となるスキル・知識を解説します。

関連記事:AI関連の資格おすすめ15選!取得のメリットや勉強方法も解説します

プログラム・アナリティクス分野の両方で必要なスキル・知識

前述の通り、AIエンジニアの業務範囲は大きく分けてプログラミング分野とアナリティクス分野に分けられます。ここから紹介する知識はいずれの領域でも要求される知識です。


  • ・PythonやR言語などのコーディングスキル

    ・機械学習やディープラーニングの基礎知識

    ・クラウドサービスの知識

    ・論理的思考力

    ・データベースやSQLの知識


それぞれについて詳しく見ていきましょう。

PythonやR言語などのコーディングスキル

AIエンジニアの開発現場の多くは「Python」を使用します。また、AIの実装では多くのライブラリを使用するため、関連ライブラリの知識も必要です。代表例に「scikit-learn」「Pandas」「Numpy」「Tensorflow」などが挙げられます。

また、現場や案件によっては「R言語」や「C/C++」の知識も必要です。いずれのプログラミング言語もPythonと比較すると習得難易度が高いですが、差別化につながるためPythonを習得した後に挑戦してはいかがでしょうか。

関連記事:Pythonとは?特徴やできること・活用事例などを解説!

機械学習やディープラーニングの基礎知識

機械学習やディープラーニングはAIの基本となる技術です。そのため、機械学習やディープラーニングの基礎知識が必要になります。AI開発を行うエンジニアはもちろん、AIを使用してデータ解析を行うエンジニアにとっても必須の知識です。

クラウドサービスの知識

クラウドサービスとは、サーバー上で提供されているサービスでネットワークを介してアクセスすると利用できます。一見するとAIとは関連が無さそうですが、AIサービスの開発でよく使用します。代表例はAWSやAzure、GCPなどです。

今後、企業はAIとクラウド技術が組み合わさったサービスを利用する可能性が高いため、どちらのスキルもあれば開発やコンサルティングに役立てられます。

論理的思考力

ITエンジニアと同様にAIエンジニアも論理的思考力が必要です。AIエンジニアの担当する業務の多くは課題を解決するためにAIを採用します。たとえば煩雑な判断を簡略化したい、人の判断を介さずに自動化したい、などです。これらの課題を解決するにはAIにどのような作業を割り当てるのか、どのような情報を基に判断させるのかなどを検討するため論理的思考力は必要不可欠です。

データベースやSQLの知識

AIエンジニアは日常的に大量のデータを収取・加工するため、DB上のデータを操作するためのスキルは備えておきたいところです。特に、基礎的なSQLの読み書きは必須知識といえます。

プログラム分野のAIエンジニアに必要なスキル・知識

AIエンジニアの中でもプログラミングを主とする職種では特に以下のスキルや知識を要求されます。特に要求されるスキルや経験は以下の通りです。

概念実証モデル運用の経験

「概念実証」とは、ある施策の「実現可能性」「効果・効用」について、技術的な観点から検証するプロセスを指します。一般的には「PoC(Proof of Concept)」とも呼ばれ、PoCの経験があるエンジニアは、経営層や部門長から依頼を受けて、投資判断のサポートを行えます。

アナリティクス分野のAIエンジニアに必要なスキル・知識

アナリティクス分野に特化したデータサイエンティストと呼ばれるAIエンジニアを目指す方は、以下の知識が要求されます。


  • ・数学の知識

    ・データ分析・レポーティングのスキル

    ・効果検証、およびそのデザインを行うスキル


当然、前述したプログラミングスキルなども要求されますが、特に上記3点を要求される機会が多いため、それぞれ確認していきましょう。

数学の知識

AI開発、AIを用いたデータ分析には数学の知識を使います。プログラミングに数学が必要というわけではなく、AIの設計、利用に際して数学の知識が必要です。これは一般的なエンジニアとは大きく異なる点といえるでしょう。また、実務でAIを使用する場合は説明性を要求されます。「AIが生成したからこれを使いましょう!」では通用しません。AIの出力結果を説明するには大学レベルの数学が必要になるため、AIエンジニアの中でもデータサイエンティストは数学の知識が必要不可欠です。

データ分析・レポーティングのスキル

PythonやExcelなどプログラミング言語や統計ツールを用いてデータ分析や可視化するスキルです。前述の数学の知識で解説した「説明性」をデータの可視化によって行い、意思決定の助けになる状態に整形します。多くの場合はPythonで行いますが、簡単な作業の場合はExcelで行うケースもあるようです。

効果検証、およびそのデザインを行うスキル

施策が成功・失敗した原因をデータから読み解くためのスキル・経験も必要です。端的にいえば「効果検証」のスキル・経験を指し、たとえば、A/Bテストでマーケティング・プロモーションの効果検証を行った経験や、独自の効果検証方法を構築するスキルなどは、評価される傾向にあります。

AIエンジニアに向いている人の特徴

AIエンジニアは要求されるスキルレベルの高さや広さから、向いている人の特徴がはっきりしています。AIエンジニアを目指す方はどのような人が向いているのか事前に確認しましょう。ここからはAIエンジニアに向いている人の特徴を3つ紹介します。紹介する特徴は以下の3つです。


  • ・データ処理や分析が得意

    ・学習意欲・向上心が高い

    ・課題解決への意欲が高い


それぞれについて詳しく見ていきましょう。

データ処理や分析が得意

AIエンジニアの対応する業務の裏には常に数学の知識が紐づいています。特にデータ処理や分析のタスクでは数学の知識が必要です。データアナリティクス業務だけでなく、プログラミング業務でも必要になってくるため、データ処理や分析が得意な人がAIエンジニアに向いているといえるでしょう。

学習意欲・向上心が高い

AIはITの中でも特に技術革新の早い分野です。そのため、AIエンジニアとして活躍し続けるには自己研鑽を続ける必要があります。以上より、学習意欲や向上心の高い方はAIエンジニアに向いているといえるでしょう。

課題解決への意欲が高い

AIエンジニアはAIを手段として課題解決する職種のため、課題解決への意欲が高い人が向いているといえるでしょう。AIと一言で言っても様々な手法や技術があります。さまざまな手法の中からから課題に最適な手法、技術を選定して課題解決する知識が必要です。

AIエンジニアになるには

AIエンジニアになるためのキャリアパスについて解説します。キャリアパスはIT業界出身者とそれ以外の場合とでは異なり、経験者はより専門的な知識を磨く、未経験者や異業種からの転身の場合は体系的に学ぶ環境を整えるのが大切です。

両者がAIエンジニアを目指す場合、どのようにスキル・知識を身につけるのがおすすめかチェックしていきましょう。

関連記事:未経験でAIエンジニアになるには?求人例や年収、役立つ資格やスキルも紹介

IT業界・エンジニア経験者で他言語を習得している場合

既にAI開発に用いられている言語(Python、C++、R言語など)のスキル・開発実績などを持つ方の場合には、まず「機械学習に特化した開発スキル」を身につけてください。具体的には、数理モデルのコーディングや、機械学習用のライブラリを活用するスキルです。

また、これらの技術的なスキルと同時に、アナリティクス分野のスキル(データ分析、レポーティング、効果検証など)を磨いておきましょう。

その後は、ある程度準備が整った段階で、「機械学習エンジニア」への転職を目指し、1~3年程度の実務経験を積みます。最終的には、社内にAIエンジニアのポジションがあるかどうかによって、昇進・転職を選択することになるでしょう。

IT業界未経験で技術的なバックボーンがない場合

AIエンジニアに要求されるスキル・経験は、技術的なものだけではありません。したがって、アナリストや研究職としての実務経験があれば、評価の対象になる可能性は高いでしょう。ただし、エンジニアスキルは必ずといって良いほど必要になるため、以下にご紹介する方法でスキルを身につけるのが有効です。

AIエンジニアの専門学校で学ぶ

AIエンジニアの専門学校では、プログラミングはもちろん、機械学習、ディープラーニング、ビッグデータ分析などAIエンジニア特有のスキルも学べます。

AIエンジニアの転職におすすめの資格

AIエンジニアの転職に資格は必須ではありません。しかし、資格を取得することで客観的にスキル証明ができ、転職に有利になることはありえます。特にAIエンジニアは持っている知識やスキルによって収入・携わる分野の幅広さが左右されるため、具体的にどの資格を選択すべきか解説します。

G検定

G検定はディープラーニングを活用できる人材を育成することを目的とされています。機械学習やディープラーニングに関する内容はもちろん、歴史、法律、倫理など付随する知識も問われます。AIエンジニアだけでなく、今後仕事でユーザーとしてAIを利用する人も受験します。

開催頻度 年5回(2023年実績より)
受験料 一般:13,200円(税込)
学生:5,500円(税込)
概要 問題数:200問程度(多岐選択式)
合格率:約6割~7割 試験時間:120分

参考:日本ディープラーニング協会 G検定

E資格

E資格はディープラーニングの理論を理解したうえで実装する能力を身につけることを目的にしています。受験条件として、日本ディープラーニング協会が認定したプログラムを試験日の過去2年以内に修了している必要があります。

開催頻度 年2回(2023年実績より)
受験料 一般:33,000円(税込)
学生:22,000円(税込)
会員:27,500円(税込)
概要 問題数:100問程度(多岐選択式)
合格率:約6割~7割
試験時間:120分

参考:日本ディープラーニング協会 E検定

Python3エンジニア認定データ分析試験

Python3エンジニア認定データ分析試験はAI開発も含めたデータ分析の需要に応じて追加で作られた資格試験です。以前から公開されている「Python3 エンジニア認定基礎試験」の上位試験に当たるので、Pythonの経験がない方は基礎試験から挑戦してはいかがでしょうか。

開催頻度 通年
受験料 一般:11,000円(税込)
学生:5,500円(税込)
概要 問題数:40問 (多岐選択式)
合格条件:正解率70%以上
試験時間:60分

参考:Python3エンジニア認定データ分析試験

画像処理エンジニア検定

画像処理エンジニア検定は画像処理に特化した検定です。ベーシックとエキスパートの2種類があります。画像処理エンジニア検定の受験層としては、画像処理のエンジニアや研究者です。特にエキスパートはより専門的な知識が求められるため、かなり難易度が高いといえます。

開催頻度 年2回
受験料 ベーシック:5,600円(税込)
エキスパート:6,700円(税込)
概要 2023年度前期の合格率: ベーシック:約7割
エキスパート:約4割
問題数:10問(マークシート形式)
試験時間:ベーシック60分、エキスパート80分

参考:画像処理エンジニア検定

データベーススペシャリスト試験

データベーススペシャリスト試験は情報処理推進機構(IPA)が運営する高度情報技術者試験の1つです。経済産業省が認定する国家資格になります。応用情報技術者試験の上位試験の1つと記載すればわかりやすいかもしれません。名前の通りデータベースに特化した試験であり、試験の難易度はかなり高いです。

開催頻度 年1回
受験料 7,500円(税込)
概要 合格率:10~15%
問題数、試験時間、試験方式:
午前Ⅰ 30問、50分、多岐選択式
午前Ⅱ 25問、40分、多岐選択式
午後Ⅰ 3問出題2問回答、90分、記述式
午後Ⅱ 2問出題1問回答、120分、記述式

参考:IPA「データベーススペシャリスト試験

AI実装検定

AI実装検定は、AIのプログラミングスキルやAIに関連する数学能力を認定する内容です。難易度的にはそれほど高くはなく、上でご紹介したG検定、E検定と同等レベルかやややさしいレベルです。B級はAIのユーザーレベル、A級はAIの実装者、S級は応用的な実装者、が対象となっています。試験範囲が被っているのでJDLAの試験対策にもおすすめです。

開催頻度 通年
受験料 S級:33,000円(税込)
A級:一般14,850円、学割8,250円(税込)
B級:一般9,900円、学割5,500円(税込)
概要 合格基準:70%以上
問題数、試験時間:
S級:50問、60分
A級:数学20問、プログラミング20問、AI20問、60分
B級:30問、40分

参考:AI実装検定

統計検定

統計検定は統計に関する知識を問う試験で、レベルや内容に応じて以下のように分類されています。

資格レベル 開催頻度 受験料(税込) 概要
統計検定1級 年1回 統計数理:6,000円
統計応用:6,000円
2科目同時受験の場合:10,000円
大学専門過程(3、4年次レベル)で習得すべき項目を専門分野ごとに検定する
統計検定準1級 通年開催(CBT方式) 一般価格:8,000円
学割価格:6,000円
大学における統計学の基礎的講義、応用的な統計学の諸手法について検定する
統計検定2級 一般価格:7,000円
学割価格:5,000円
大学基礎過程(1、2年次レベル)で習得すべきことを検定する
統計検定3級 一般価格:6,000円
学割価格:4,000円
大学基礎統計学の知識として求めら得る統計活用力を検定する
統計検定4級 一般価格:5,000円
学割価格:3,500円
データやグラフ、表や確率など統計に関する基礎的な知識を検定する
統計検定 統計調査士 一般価格:7,000円
学割価格:5,000円
統計検定3級合格程度の基礎知識に加えて、社会人に求められる公的統計の理解を検定する
統計検定 専門統計調査士 一般価格:10,000円
学割価格:8,000円
統計検定2級合格程度の専門知識に加えて、社会や経済で広く利用される統計手法やデータ作成過程などを検定する
統計検定
データサイエンス基礎(DS基礎)
一般価格:7,000円
学割価格:5,000円
データアナリティクスの基礎として下記3点を検定する。
・データハンドリング技能
・データ解析技能
・解析結果の適切な解釈
統計検定
データサイエンス発展(DS発展)
一般価格:6,000円
学割価格:4,000円
倫理、AI、数理、情報、統計に関する大学教養レベルの内容を検定する
統計検定
データサイエンスエキスパート
(DSエキスパート)
一般価格:8,000円
学割価格:6,000円
計算、統計、モデリング、領域知識に関する大学専門レベルの内容を検定する

AIエンジニアの将来性は高い

近年、「AIが人間の仕事を奪う」といった論調を耳にする機会が増えました。AIの脅威については、ITエンジニアの世界でも語られています。しかし、概してAIエンジニアの将来性は高いといえるでしょう。

そこで、期待と危惧の両方の意見を踏まえつつ、AIエンジニアの将来性を整理してみましょう。

AI開発の需要は増している

日本国内に限定すれば、AI開発および活用はやっと本格化したばかりです。また、コロナ禍を経験したことで人々の生活では「オンラインシフト」が進んでいます。

今後はどの業界・業態でもオンラインを前提としたコミュニケーションツールの開発や、自動化施策を進めていかなくてはなりません。AIは、コミュニケーション・自動化などで特に威力を発揮することから、AI開発の需要は伸び続けると考えられます。

労働人口の減少も影響している

日本は少子高齢化の影響で、労働人口が減少しています。結果的に、AIエンジニアの需要が伸びているにも関わらず、人材不足になっています。人材不足ということは需要過多の状態なので、AIエンジニアにとっては有利な状況です。

AIエンジニアは専門性が高く育成に時間を要する

AIエンジニアはほかのエンジニアに比べて専門性が高いです。そのため、AIエンジニアの育成には時間を要します。AIエンジニアになるためのハードルが高く、現在は大学などで専門的に学んだ人材が多いです。ほかのエンジニアは、独学などでもスキルを習得しやすいのですが、AIエンジニアに限っては育成時間や学習時間がかかる点が懸念されます。

レガシーシステムからのマイグレーション需要もある

経済産業省がまとめた『DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~』からもわかるように、今後数年で多くの企業がDX(デジタルトランスフォーメーション)の必要性に迫られます。レガシーシステムからの脱却と同時にAIをはじめとした先端ITの導入が進むことは、想像に難くないです。

また、AIエンジニアの需要が減少するのは、AI開発が一巡し、ほかの職種がAIに代替された後だと考えられます。したがって、影響を受ける順位としては下位に属します。

参考:経済産業省「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~」

AIエンジニアの年収相場と求人例

ここまでAIエンジニアについて確認してきた方にはAIエンジニアの年収相場が気になる方が多いのではないでしょうか。ここからはAIエンジニアの年収相場と実際の求人例を紹介します。

AIエンジニアの平均年収はほかのITエンジニアより高い傾向にあります。これはほかのITエンジニアより要求レベルが高いからです。具体的な数字を確認していきましょう。

AIエンジニアの年収相場について

ここからはAIエンジニアの年収相場を紹介します。2024年3月執筆時点でレバテックキャリアに掲載されている最新30件のAIエンジニア求人を確認しました。確認したところ、平均年収は約650万円です。また、AIエンジニアの募集求人はいずれも500〜1,200万円のような年収幅が広く設定されています。スキルや経験で年収差が生まれることが分かります。

AIエンジニアの求人例

AIエンジニアの求人は要求レベルだけでなく、どの業務に特化した職種かによっても条件が異なります。

データサイエンティストの求人例

【想定年収】
720~800万円

【主な仕事内容について】
・AIシステムのシステムアーキテクト、保守運用業務(オンプレ環境、Azure環境)
・データサイエンティストと協業し、AIモデルの開発業務(機械学習やDeep Learning)
・ビジネス部門やシステム部門との折衝 他

【要求されるスキル・経験】
<経験>
・サーバーサイドエンジニアとして、2年以上システム開発のご経験をお持ちの方
・AIシステムのシステムアーキテクトにご興味をお持ちの方

<学歴>
・大学、大学院

<マインド>
・特になし

【働き方】
一部リモート

機械学習エンジニアの求人例

【想定年収】
500~1,000万円

【主な仕事内容について】
・数理統計や機械学習、深層学習等を用いた分析、数理モデル設計業務
・PythonやR、SQL等のプログラミング言語を用いた分析フローや数理モデルの実装(データの前処理や後処理含む)
・上記の類似の技術を使い、教育データの活用を実施

・画像や音声を用いて授業や子どもたちの非認知能力の可視化
・MEXCBTやドリル、学力テストや自己評価アンケートなどの教育データのデータ分析、AIモデル開発による技術開発支援と価値創造

【要求されるスキル・経験】
<経験・スキル>
・データ分析プロジェクトの業務経験(1年以上)
・基本的なビジネススキルやコミュニケーション能力

<学歴補足>
・大卒以上

<求める人物像>
・常に「顧客の嬉しさ」を追求し、サービスを通じて世の中を変えたいという熱量を持っている方
・部下だけでなく、上司、チームメンバー、他部署を巻き込みながら、指示を待たずに主体的にスピード感をもって動ける方
・新規サービス開発に必要なスキル習得に前向きに取り組んでもらえる方

【働き方】
一部リモート

AIエンジニアの用いる開発環境

AIエンジニアについて確認したところで、どのような環境を用いてAI開発を行うのか気になる方も多いのではないでしょうか。ここからはAIエンジニアが開発する際に用いる環境を紹介します。紹介する環境は以下の3分野に分けて紹介します。


  • ・プラットフォーム

    ・ハードウェア

    ・ソフトウェア


それぞれについて詳しく見ていきましょう。

プラットフォーム

AIモデルの開発や調整には調整するソフトウェアやプラットフォームが必要です。プラットフォームを用いて調整する場合、PaaS(Platform as a Service)と呼ばれるクラウドサービスを使用する機会が多くなっています。具体的にはAWSやAzure、GCPなどです。

また、各PaasではAIモデル構築に特化したサービスを展開しているため、効率的にAIモデルを開発できます。具体的にはAWSのSageMakerなどです。

Paasを用いて開発する場合、事前に高性能なハードウェアやソフトウェアを準備する必要が無く初期費用を抑えられるケースが多いため、特にスタートアップ企業などはPaasを活用しています。

ハードウェア

セキュリティ要件などからPaasを使用できない、個人で手軽に開発する場合はローカルPC上でAIモデルを開発します。ハードウェアの性能でAI開発速度は大きく異なるため、適切なスペックのPCの準備が大切です。

AIを用いて解決するタスクによっては要求するハードウェアのスペックが高くなります。具体的にはChatGPTなどのLLM開発や実行、画像処理、ディープラーニング(深層学習)などです。これらのタスクをローカル環境で実施したい場合は適切なグラフィックボード(GPU)を準備しましょう。

また、Pythonの一部ライブラリはNVDIA社の提供しているCUDA(Compute Unified Device Architecture)を前提に設計されています。CUDAとは、グラフィックボードを用いた並列計算環境です。CUDAを前提したライブラリを使用する方はNVDIA製のグラフィックボードを使用すると良いでしょう。

ソフトウェア

多くの場合、AIモデルはPythonを用いて開発されます。そのため、ローカルPCでPythonを開発するためのソフトウェアが必要です。

一般的に使用されるソフトウェアは以下の2つです。


  • ・Visual Studio Code(VSCode)

    ・Jupyter Notebook


Visual Studio Codeとは、Microsoft社の提供している無料のコードエディタです。HTMLやCSS、JavaScriptなどPython以外のプログラミング言語開発にも使用されています。Visual Studio Codeは利用者が非常に多いため、拡張機能が豊富です。これからコードエディタを用意する方へ特におすすめなコードエディタともいえるでしょう。

Jupyter Notebookとは、ブラウザ上で動作する無料のPython開発環境です。厳密にはIPython Notebookと呼ばれるノートブック形式の開発を行います。ノートブック形式とは、セルと呼ばれるソースコード開発部分とマークダウン記法を用いたメモ部分で開発できる形式です。セルでソースコードの実行結果を確認し、メモ部分に実行結果の記録や考察を記載できます。可視化したグラフに注釈などを加え、そのまま共有できるため意思決定や共有の場で重宝されます。

一般的にVisual Studio Codeは機械学習エンジニア、Jupyter Notebookはデータサイエンティストが使用する機会が多いです。

AIエンジニアに関するよくある質問

AIエンジニアに関してよく見かける質問に回答し、本記事をまとめます。AIエンジニアの概要から
キャリアパスの選択肢、将来性の高さなどを見ていきましょう。

Q1. AIエンジニアとは何ですか?

AIエンジニアとは、AIそのものやAIを活用したアプリケーションの開発に携わるエンジニア職種です。AIに関連したデータ基盤の構築やAIの学習の実施、AIを活用したデータ分析を行う場合もあり、プログラミング分野とアナリティクス分野の業務が存在しています。

Q2. AIエンジニアになるのは難しいですか?

AIエンジニアになるのは難しいのが事実です。ほかのITエンジニアに比較すると、ハードルは高いといえます。その理由として、以下のようなものが挙げられます。


  • ・未経験可の求人が少ない

    ・スキル習得が難しい

    ・技術の進化が早い

Q3. AIエンジニアのキャリアパスの選択肢を教えてください。

AIエンジニアからのキャリアパスとしては、以下のような選択肢があります。


  • ・AIコンサルタント

    ・データサイエンティスト

    ・マネジメント職


AIエンジニアとしてスキルを磨いていくキャリアはもちろん、上記のようなキャリアパスが挙げられます。AIコンサルタントは、企業に対してAI化のアドバイスなどを行う業務です。今後多くの企業でAIの活用が進むと考えられるので、AIコンサルタントの需要も伸びるでしょう。

Q4. AIエンジニアのやりがいは何ですか?

AIエンジニアのやりがいは最新技術を学び、身につけた技術で課題を解決することです。AIを活用して様々な業務の改善、属人化していた作業の解消など、顧客の課題を解決できます。

また、AIモデルの精度は数値化されるため、数値の向上でやりがいを感じる方も多いようです。

Q5. AIエンジニアはいらない・オワコン・やめとけって本当ですか?

AIエンジニアに対する否定的な声の多くは、要求されるスキルの多さからきているようです。AIエンジニアはほかのITエンジニアと比較して学習する領域が広く、簡単に目指せる職種ではありません。そのため、ほかのITエンジニアと比較して就職する難易度が高く過酷であるため「やめとけ」などの声があります。

一方でAIエンジニアの需要は年々増加しているため、目指している方は気にせず挑戦しましょう。

まとめ

AIの実用化が進み、AIアルゴリズムの実装やAIを活用した分析・モデリングなどを行う職種が増えました。しかし、AIエンジニアの数は需要に追い付いていない現状があります。今後もAI需要が拡大するのに伴い、AIエンジニアの需要も高くなることが期待できます。

日本国内でも需要の高い人材として、高い評価を得られると見込まれるため、転職にはおすすめの職種といえるでしょう。ただし、AI関連の分野は高度な専門知識を必要とする業務が多いため、一定の知識・スキルを習得したうえで転職活動に取り組んでみてください。

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