Kotlin は、GoogleがAndroidの公式開発言語に認定し、急激に認知度が高まりました。技術の幅を広げたいエンジニアにとって、気になるプログラミング言語のひとつではないでしょうか。一方で、比較的新しい言語のため、将来性に不安を感じる方もいるかもしれません。本記事では、Kotlinの将来性や学習するメリット・デメリットを解説します。また、Kotlinが向いている人の特徴についてもまとめていますので、これからKotlinを学ぼうとしている方はぜひ参考にしてください。
- Kotlinとは
- Kotlinの将来性が高いと考えられる3つの理由
- なぜKotlinが選ばれるのか|4つのメリットを紹介
- Kotlinを学ぶ際の3つのデメリット
- Kotlinはどんな人に向いている?
- Kotlinエンジニアの年収・求人をチェック
- エンジニアへの転職ならエージェントの利用もおすすめ
Kotlinとは
Kotlinは2011年にリリースされた、オブジェクト指向のプログラミング言語です。Javaは1996年、Pythonは1991年生まれであるため、Kotlinは比較的新しい言語といえます。チェコ共和国のプラハに本拠地を置くソフトウェア開発企業「JetBrains」によって開発されました。
2019年にGoogleがAndroid公式開発言語として認定したことをきっかけに、Kotlinは大きな注目を集めました。Androidアプリを開発するうえで、Kotlinの学習は実質的に必須の条件となり、ユーザーが急速に増えています。
Kotlinの将来性が高いと考えられる3つの理由
Kotlinは将来性が高いと考えられているプログラミング言語です。その理由として以下3つが挙げられます。
GoogleがAndroidの公式開発言語としている
GoogleがAndroidの公式開発言語に認定したことで、Kotlinは広く普及しました。iPhoneアプリ開発ではSwiftがデファクトスタンダードですが、Androidアプリ開発においてはKotlinがデファクトスタンダードとなりつつあります。
公式開発言語の認定に際し、処理能力の高さ・プログラミングのしやすさ・セキュリティの強さなど、さまざまな面からチェックが行われたはずです。つまり、公式開発言語に認定されたことは「Kotlinがプログラミング言語として優れている」証拠といえるでしょう。
Googleでは、Kotlinを利用してさまざまなサービスを開発しています。Google マップ、Google Home、Google Play、Google ドライブ、メッセージなどが代表例です。
また、数多くのオンライントレーニングやサンプルプログラムなども提供されています。「Kotlin ファースト」と呼ばれる、Googleによる強力なバックアップ体勢が、将来性の高さを感じさせる要因のひとつです。
日々進化を続けている
安定版であるKotlin 1.1がリリースされたのは2016年2月15日です(それ以前のバージョンは2012年リリース)。その後、2017年に1.2、2018年に1.3がリリースされました。
Android公式言語に認定されて以降の2021年には1.4.30、1.5.0、1.5.20、1.5.30、1.6.0と立て続けにバージョンアップしており、開発が加速している様子が伺えます。なお、2022年11月時点での最新版は1.7.20です。
また、JetBrainsによる公式のライブラリや、サードパーティーによるフレームワークなども続々と登場しており、今後ますますKotlinの使い勝手はよくなると予想されます。
世界的企業やサービスで使われている
アプリ開発にKotlinを採用しているのはGoogleだけではありません。Gradle・Corda・Evernoteなど、世界的に有名な企業やサービスでも多く使われています。
今後もスマートフォンやタブレットのさらなる普及とともに、Androidアプリを開発する企業は増加していくと予想されるため、Kotlinの需要はますます高まるでしょう。
なぜKotlinが選ばれるのか|4つのメリットを紹介
続いては、なぜKotlinが選ばれるのか、おもなメリットについて解説します。特徴を把握することで、Kotlinの将来性についてより理解が深まるはずです。
記述するプログラムが短い
Kotlinは文法がシンプルであり、Javaのような他の言語と比較して、プログラムを簡潔に記述できます。
以下は、Kotlinで「Hello World!」と記述する場合のプログラムです。
fun main(){
println("Hello World!")
}
このように、非常に短いコードで記述が可能です。Javaでは行末に必須である「;(セミコロン)」もありません。
シンプルでわかりやすい文法は、プログラム作成の手間を削減するだけではなく、可読性を高めたり、ミスを減らしたりするメリットもあります。効率よく開発を進められるとともに、費用の削減にもつながるでしょう。Kotlinは、多くのエンジニアにとって扱いやすく、利便性の高い言語です。
安全性が高い
Kotlinには、Null安全(Null Safety)と呼ばれる機能が実装されています。変数にNullが入りうる状況ではエラーとなり、コンパイルできません(あえてNullが入りうる状況にすることも可能)。そのため、Kotlinで書かれたプログラムは安全性が高く、実行時に思わぬエラーでプログラムが落ちるトラブルを防げます。
また、不要なコードを省略できるため、安全性だけではなく生産性も高まります。なお、JavaにはNull安全のチェック機能はありません。こうした安全性の違いも、JavaからKotlinへ変更する企業が増えている大きな理由です。
Javaとの親和性が高い
Kotlinは、Java仮想マシン(JVM)上で動作するなど、Javaとの親和性が高い言語です。Javaのプログラムが実行できている環境であれば、Kotlinも基本的に動かせます。
また、文法もJavaと似ているため、Javaユーザーであれば比較的習得しやすい点も魅力です。
Javaで作成したIT資産を有効活用できる
JavaとKotlinは共存が可能であり、Javaで作成したIT資産を有効活用できます。
Javaは、Androidアプリ・Web・基幹システムなど多くの分野で使われた実績があります。それらのプログラムは、資産として今後も使い続けられるものばかりです。
Kotlinであれば、既存の資産を活かしつつ、Nullに対する安全性を高めた開発ができます。改修や機能追加などの案件で、Kotlinが選ばれるケースは今後さらに増えていくでしょう。
Kotlinを学ぶ際の3つのデメリット
メリットが多く、将来性も期待できるKotlinですが、デメリットもいくつか存在します。Kotlinに興味を持っている方はメリットだけではなく、デメリットも把握したうえで、学習すべきかを検討してください。
学習用の日本語ドキュメントが少ない
Kotlinは比較的新しく、大きな注目を集めたのはAndroidの公式プログラミング言語に認定された2019年以降です。そのため、現状では日本語で書かれた学習用の資料はそれほど多くありません。
例えば、Amazonで「Java 入門」と検索すると1000件以上の書籍がヒットするのに対して、「Kotlin 入門」ではわずか163件です(※2022年11月現在)。これはインターネット上の情報やドキュメントも同様です。
これから独学でKotlinを習得したい方にとっては、とくに厳しい状況といえます。また、実際の開発現場でKotlinを利用する際にも、「ほしい情報がなかなか見つからない」ケースが多いため注意が必要です。
一方、Googleは「Kotlin ファースト」として、Kotlinのチュートリアルなどを提供しています。その多くは英語ですが、技術に関する内容であるため、比較的シンプルな英文で書かれていることが特徴です。ある程度の英語力を持っている方は、英文読解力の強化もかねて、英語のドキュメントでKotlinを学んでみるのもよいでしょう。
将来的な需要が読みづらい
Kotlinは比較的歴史が浅いため、まだそれほど多くの現場では使われていません。例えば、レバテックキャリアの求人数を見てみると、Javaが約5800件あるのに対し、Kotlinは約1200件です(2022年11月現在)。
Kotlinの利便性や安全性などを考慮すると、Javaからの変更により、今後シェアが伸びていくと予想されます。しかし、「Javaを特殊な使い方で利用しており簡単に置き換えできないケース」や、「クライアントが言語の置き換えに反対するケース」などもあるため、Javaで書かれたすべてのシステムがKotlinに変更されることはないでしょう。
このような理由から、日本国内においてKotlinエンジニアの需要がどこまで伸びるのか、価値がどこまで高まるのかは、読みづらい状況といえます。
汎用性はJavaに及ばない部分もある
Kotlinは優れたプログラミング言語ですが、現状ではAndroidアプリ開発やサーバーサイドの開発がメインの使われ方です。
一方、Javaはアプリやサーバーサイドの開発に加え、基幹システムや組み込みソフトウェアなど、さまざまな分野で利用され、進化を続けてきた実績があります。汎用性の面では、KotlinはまだJavaに及ばない部分が多いです。
とはいえ、Kotlinも日々進化を続けているため、今後さらに汎用性が高まり、できることが増えていくでしょう。
Kotlinはどんな人に向いている?
これまで紹介したメリット・デメリットを踏まえ、Kotlinが向いている人の特徴をまとめました。
仕事の範囲を広げたいJavaエンジニア
JavaとKotlinは相性がよく共存できるため、今後Javaで書かれていたプログラムの多くがKotlinに置き換わっていくと考えられます。JavaとKotlinの両方を使えれば、仕事の幅がさらに広がるはずです。
Androidアプリの作成に携わりたいエンジニア
GoogleがAndroidの公式開発言語に指定したことで、Androidアプリ開発ではKotlinが主流となりつつあります。Androidアプリ開発に携わりたいエンジニアにとって、Kotlinの習得は必須といえるでしょう。
最新技術をフォローしたいエンジニア
Kotlinはいま大きな注目を集めており、日々進化を続けています。今後もさまざまな最新機能が実装されていくはずです。最新技術をフォローしておきたいエンジニアにとって、学ぶべき価値のある言語といえます。
Kotlinを使用する企業は徐々に増えているものの、Kotlinエンジニアはまだ多くは存在しません。今持っている技術に加えてKotlinも使えれば、希少価値の高いエンジニアになれるでしょう。
Kotlinエンジニアの年収・求人をチェック
これからKotlinを習得して、年収を上げたいと考えているエンジニアの方もいるのではないでしょうか。ここでは、Kotlinエンジニアの平均年収や求人数について解説します。
レバテックキャリアのKotlinエンジニアの求人を見ると、年収は350万円~1000万円以上と幅広いレンジが提示されています(※2022年11月現在)。Javaエンジニアなどと比較して、Kotlinエンジニアが特別稼げるわけではありません。
言語の違いよりも、技術力やこれまでの経験などが年収に大きく影響するといえるでしょう。つまり、Kotlinをマスターして、スキルを最大限に活かせる職場を目指せば、年収アップにつながる可能性が高いです。
一方、Kotlinエンジニアの求人数は約1200件です(※2022年11月現在)。Javaは約5800件、Pythonは約3600件、Rubyは約2300件であり、求人数では人気の言語に及ばない部分もあるようです。
エンジニアへの転職ならエージェントの利用もおすすめ
Kotlinエンジニアとして転職を考えているのであれば、エージェントの利用もおすすめです。これからKotlinを学習し、なおかつ転職活動もするとなると、時間を有効に使わなければいけません。
転職で年収アップやよい条件を狙うのであれば、スキルや経験が評価されやすい企業を探すことが重要です。
エージェントを利用すれば、希望の条件に合う求人のみが提示されるため、転職先を探す時間を削減できます。浮いた時間をKotlinの学習や職務経歴書のブラッシュアップなどに充てれば、より有利な転職活動につながるでしょう。
また、「これまでの経験をどのように活かせるのかわからない」という方も安心です。エージェントでは、丁寧なカウンセリングを通じて、一人ひとりの強みやアピールポイントを整理してもらえます。さらに、経験やスキルを活かせる求人紹介サービスがある点も魅力です。
エージェントは無料で利用でき、登録も簡単なので、まずは気軽に始めてみてください。
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