CGデザイナーとは
まず、CGデザイナーの仕事内容を解説します。CGデザイナーは、複数の職種の総称です。そのため、職種ごとに仕事内容を紹介していきます。
CGデザイナーの種類と仕事内容
CGデザイナーは、さまざまなコンテンツのCG部分をデザインし、制作する職種の総称です。主に「モデラー」「リガー」「アニメーター」「エフェクター」「コンポジター」の5つに分類されます。それぞれの仕事内容を見ていきましょう。
モデラー
平面に描かれた物体を、3DCGソフトで立体的に描き直す職種です。平面では表現しにくい部分などを立体化していく作業が主な仕事です。モデラーはさらに多角形面を組み合わせて物体を描く「ポリゴンモデラー」、数学的な面の形状で物体を表現する「サーフェイスモデラー」、作成した物体を組み合わせてさらに別の物体を表現する「ソリッドモデラー」に分類されます。サーフェイスモデラーやソリッドモデラーは製造業などからの需要も高まっています。
モデラーに求められるスキルとしては、デッサン能力や空間把握能力、立体化の能力などが挙げられます。
リガー
モデラーが作成したモデルに対し、実際に動かすための準備を行う職種です。CGにアニメーションを付与することを「リギング」と呼びます。リギングとは、物体に可動部分(ジョイント)を設定し、CGが動く範囲を決定していく作業です。「Maya」や「3ds Max」といった3DCGソフトを使うことが多く、こうしたツールの操作方法を熟知している必要があります。
CGデザイナーの中でも、特に論理力やシステム的な知識が求められる職種です。したがって、クリエイターよりもエンジニアの要素が強いといえるでしょう。
アニメーター
アニメーターは、実際にCGに動きを設定する職種です。キャラクターであれば、「走る・転ぶ・ジャンプする」といった動きそのものを作成していきます。アニメーターにはモデラーと同じようにデッサン力が求められるほか、「動き」が起こる原理や理由などを論理的に理解する力が必要です。CGデザイナーの中でもセンスや想像力が問われる職種といえるでしょう。
エフェクター
エフェクターは、CGの中に映像効果を作成する職種です。ここでいう映像効果とは「爆風」「火花」「波紋」など自然現象を考慮した視覚表現のことです。映像効果は演出としての要素もあるため、見栄えの良い演出を作るセンスや自然現象を論理的に理解する能力が求められます。
コンポジター
コンポジターとはCGのデータを組み合わせ合成(コンポジット)し、ひとつのコンテンツとして完成させる職種です。具体的には、色調・解像度などを調整し、写真や映画のワンシーンのような統一感・美麗感が感じられるように仕上げを行います。コンポジターの手腕次第でCGコンテンツの質が決まると言っても過言ではないため、CGデザイナーの中でも特に重要なポジションです。
コンポジターに求められるスキルとしては、構成力や色の組合せに対する知識などがあります。
関連記事:CGデザイナーになるには!?必要なスキルや将来性も解説します
CGデザイナーの需要と将来性
次に、CGデザイナーの需要と将来性について解説します。
CGデザイナーの需要
CGデザイナーは、もともとエンターテイメント業界(ゲーム、パチンコ)や広告業界からの需要が多い職種でした。しかし近年は、他の産業(製造業、建築業、自動車業界など)からの需要も取り込みつつあります。VRやARがさまざまな分野で活用されるにつれ、3DCGの需要が増えているからです。
また、ハイスキルな人材は常に不足しており、スキルや経験次第では高年収を目指すことも不可能ではありません。ただし、長時間労働が常態化する職場も少なくないため、年収と労働時間の二極化が徐々に進んでいるという見方もあります。
CGデザイナーの将来性
結論から述べると、CGデザイナーの将来性は十分にある、といえるでしょう。
今後はVRやARを活用したコンテンツが普及していくため、以前よりも仕事の幅が拡がると予想されます。そのためCGデザイナーという広いくくりで考えれば、将来性はそこまで危惧する必要はありません。
ただし、前述したように要求されるスキル水準も上昇傾向にあるため、常に自己研鑽が必要になります。特に、各ポジションで求められるコアスキル(モデラーは画力、リガーはソフトウェアの知見や論理的思考力など)を高めておく必要があるでしょう。
そもそもCGデザイナーの需要は、技術の進歩によってもたらされたものです。したがって、この進歩についていけるような人材であれば、キャリア・収入も十分に上向いていくでしょう。
また、近年は、「CGデザインを専門的に学んだ人材」だけではなく、デッサンや絵画を専門的に学んだ美大出身者などが、CGデザイナーとして頭角を現すケースが増えています。高いデッサン力や構図作成能力を持った人材が参入することで、今後は競争が激化していく可能性があります。また、簡易なCGであれば専用ツールを使うことで誰もが簡単に作れる時代になることも忘れないようにしたいところです。
CGデザイナーが備えておくべきスキル
CGデザイナーが備えておくべきスキルを3つ紹介します。一つずつ見ていきましょう。
デッサン力
デッサン力とは、端的にいうと「物体の形状を正確に認識し、描く力」です。CGデザインには対象物の全体像を多角的にとらえて、なおかつ忠実に再現するスキルが必要です。また、形状だけではなく、光の加減や素材の質感などを再現するために、一定の想像力が求められることも覚えておきましょう。
構成力
いわゆる「構図」を決定する力です。構図を決定する力を磨くための手段の一つとして、「できるだけ質の高い絵に沢山触れ、分析する」ことが挙げられます。また、デッサンを重ねる中でも構成力が身につくといわれています。アニメーターやコンポジター、エフェクターを目指す場合には特に重視すべきスキルです。
ツールを扱うスキル
3DCGデザインでは、「Maya」「3dsMax」「Softimage」など複数のツールを使用します。こうしたツールの操作方法に精通していなければ、今後の3DCGデザイン業務についていくことは困難です。特にモデラー、リガー、エフェクターはツールに対する理解を深めておきましょう。
CGデザイナーの年収相場
レバテックのCGデザイナー求人数は100件以上(2023年2月時点)、月収は350,000〜750,000円と上下の差が開いています。中央値は月収500,000円となり年収にすると600万円が相場と考えられるでしょう。
ただし、こちらはフリーランスや業務委託での年収相場であり、企業に所属するCGデザイナーでは相場額も異なります。厚生労働省が公開している職業情報提供サイトではCG制作の全国平均年収は478.6万円です。
求人例をいくつか見てみましょう。
【想定年収】
540万円
【業務内容】
映像制作におけるMayaを使用したリグ制作、任せる作業はスキルによって異なる
【求められるスキル・経験】
Mayaを使用したリグ制作の実務経験
【想定年収】
480万円
【業務内容】
プロジェクションマッピングやインタラクティブコンテンツ等の映像制作、顧客対応や進行管理
【求められるスキル・経験】
イベントの企画・設計、制作、運営、プロモーション
Adobeソフト(主にXD、illustrator)、Officeソフトの基本操作
【想定年収】
900万円
【業務内容】
最新の映像制作技術をベースにした、3DCGテクニカルアーティストの作業
【求められるスキル・経験】
DCCツールの使用経験、映像業界での実務経験
CGデザイナーに向いている人
コンピューターを使用し業務にあたるCGデザイナー。向いている人を知っておきましょう。
コンピューターや新しい技術・表現方法に興味がある
手作業はほとんどなく、コンピューターを使用して仕事するため基本操作はもちろん興味を持つことが絶対条件です。技術の進歩が著しい分野であり、常に新しい情報や技術のキャッチアップが求められます。
一定のCGデザインだけでなく、新しい手法や表現を取り入れられる方は、CGデザイナーに向いているといえるでしょう。
芸術的センスや構成力などがある
技術だけでなく、クライアントや利用者が「見る」「利用する」ものなのでセンスも問われます。顧客の層に合わせたデザインが必要となり、ただハイセンスなだけでなく、デザイン感覚や創造力、構成力がある人が適しているといえるでしょう。
根気や集中力がある
デザイナーというと華やかなイメージが強いかもしれませんが、実際の業務中はコンピューターと向き合って地道な作業が続きます。トライアンドエラーの繰り返しでも、コツコツ作業できる集中力が求められるでしょう。
地味な作業でも、一つのことに集中して取り組める方はCGデザイナー向きです。根気強い性格の方は、CGデザイナーの道も視野に入れてもよいかもしれません。
CGデザイナーに関するQ&A
CGデザイナーに関するよく聞かれる質問を、Q&Aでまとめました。一つずつ確認してみましょう。
Q1.CGデザイナーの離職率は?
CGデザイナーに限らず全体職業の中でも離職率は問題視されることが多く、高いのが実態といえそうです。CGデザイナーに限って考えると、業種によってかなり変動します。
例えば映像業だとそれなりの作業時間が発生し、ライフワークバランスが取りにくいといった問題を抱えるデザイナーもいるでしょう。その場合は、別業種に転職したりフリーランスとして独立したりすることもあります。
Q2.CGデザイナーの仕事はなくなる?
CGデザインはエンターテイメントの分野を超えて医療や製造現場など他分野でも注目されており、将来性は十分にあると考えられます。
将来的に仕事がなくなるかという心配は、現状あまりないといえそうです。
Q3.CGデザイナーにはどんな人が向いていますか?
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・デザインに必要なコンピューターに興味があり、最新の技術・情報をキャッチする能力がある人
・芸術的なセンス、構成力やクライアントの求める表現方法が実現できる人
・単純作業でも長く続ける根気、集中力がある人
以上の人がCGデザイナーに向いています。
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