AIや自動化技術の進歩は、プログラマーの将来性にどう影響を与えるのか?プログラマーの将来性と、今後需要が高まるスキル

プログラマーは、プログラミング言語やデバッグツール、ライブラリなどを使用してシステムを開発する職種です。現在需要の高い職種ですが、AI技術の進化やプログラミングの自動化などにより、将来的に需要が減少したり求められるスキルが変わったりする可能性があります。この記事では、プログラマーの現在の需要状況と将来性に加え、この先プログラマーとしての価値を高める方法について解説します。

1. プログラマーの現在の需要状況

まず、IPA(情報処理推進機構)や経済産業省の調査をもとに、プログラマーの現在の需要について解説します。IPAの「IT人材白書2018(※1)」によると、IT人材の需要状況について「大幅に不足している」「やや不足している」と回答した企業は8割近くに上っています。また、経済産業省の「IT人材需給に関する調査(※2)」によると、IT人材は2018年に22万人、2020年に30万人不足すると試算されています。これらの調査から、プログラマーを含めたIT人材は高い需要がある状況と言えます。
 
※1 参考:IPA「IT人材白書2018(P79)」
※2 参考:経済産業省「IT人材需給に関する調査」

2. プログラマーの将来性

続いて、プログラマーの将来性について考察します。

現時点では、需要が大幅に減少する可能性は低い

プログラマーの需要は、向こう3年程度で大幅に減少する可能性は低いと考えられます。プログラミングの自動化技術やAIなどの開発が進んできてはいますが、現時点(2019年11月時点)ではこれらに代替していく大きな動きは見受けられません。ただし、技術進歩は非常に早いため、中長期的(向こう3年以上)にはどのような状況になっているか予想できない部分が多いでしょう。

プログラミング自動化の状況
すでにコマンド一つで自動的にコードが生成されるフレームワークや、ボタン一つでウェブサイトのコードを生成するツール等が登場しはじめています。このようなプログラミング自動化の波は今後も進んでいくと考えられています。ただし、現時点で自動化されているのは、入出力処理などの汎用的な機能が多く、カスタマイズ性の高い処理(データ分析や企業独自の業務ロジックなど)は今後もプログラマーが実装していくことになるでしょう。
また、自動化するツールを開発するプログラマーの需要も高まると考えられます。

AIの状況
オックスフォード大学のマイケル・オズボーン准教授らが発表した論文「THE FUTURE OF EMPLOYMENT(雇用の未来)」(※)の中で、労働人口の47%がAIやロボットによって代替されるリスクがあると推計されています。この論文では702の職種について調査しており、レジ係、ウェイター、ホテルのフロント、テレフォンオペレーターなどは、90%以上の確率で代替されると推計しています。プログラマーが代替される可能性は49%となっており、現時点では今後の動向は明確に予測できてはいません。将来的には、設計部分をプログラマーが担当し、コーディングはAIが行うなど、AIとプログラマーとで担当する技術領域が分かれることになるかもしれません。
 
※参考:「THE FUTURE OF EMPLOYMENT(雇用の未来)」(マイケル・A・オズボーン、カール・ベネディクト・フレイ)

オフショア開発はこの先も広がっていく見込み

プログラマーの将来性を考える上では、オフショア開発など開発体制のトレンドも頭に入れておく必要があります。オフショア開発とは、プログラミング等の業務を人件費の安い海外に発注することを言います。
 
日本企業の発注先としては、中国、インド、ベトナム、フィリピンなどが代表的です。業務の一部を人件費の安い国に依頼することで、企業は開発コストを削減したり、災害に備えたリスク分散(開発チームを海外に作ることで災害に影響されない体制を作る)につなげたりしています。
 
現時点では、自動化やAIよる開発は実用化に至るまで数年かかるといった理由から、オフショア開発は今後も広がっていくと予想されます。仕様書通りにプログラミングするだけでなく、システムを改善し新機能の開発を提案できるようなスキルが求められるようになるでしょう。

35歳定年説は打ち破られつつある

プログラマーを目指す方の中には、何歳まで現役のプログラマーとして働けるか気になっている人も多いでしょう。「体力的に厳しい」「新しいことを覚えるのが難しい」「管理職になる年齢」などの理由で、プログラマーは35歳が定年という説がありました。しかし昨今では、Web業界を中心に35歳を過ぎてもプログラマーとして働いている人は多く、以前ほど年齢を気にする必要はなくなりつつあります。ただし、プログラマーとして活躍し続けるには、新しい知識とスキルを習得し続ける必要がある点は変わりません。

3. プログラマーとしての価値を高める方法

次に、プログラマーとしての価値を高め、この先も現役として長く活躍するための方法について解説します。経済産業省の調査(※)では、今後需要が高まるIT人材として、AI、IoT、セキュリティに関する人材を挙げています。そのため、これらに関する技術を身に付けることで、プログラマーとしての需要を高めやすくなるでしょう。
 
※参考:経済産業省「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」

AI開発を支えるスキルを身に付ける

AIモデルを構築するAIプログラマーになるためには、線形代数や統計などの数学知識に加え、機械学習やディープラーニング等の技術を理解する必要があり、学習ハードルも高い傾向にあります。
 
しかし、近年ではこのポジションに加えて「MLOps」という新しいポジションが登場してきています。MLOpsとは、DevOpsの概念を機械学習に応用したもので、機械学習機能を有したサービスに必要な実行基盤、開発・運用フローを構築するプラクティスを指します。
 
具体的には、クラウド上のインフラ構築、インフラのコード化、CI/CDツールを使用したテストやデプロイの自動化などを行います。いきなりAIプログラマーへキャリアチェンジすることはスキルハードルとして難易度が高いため、まずはMLOpsの人材としてAI開発案件へ参加することで、知識やスキルを習得していくと良いでしょう。

IoT開発スキルを身に付ける

IoTは、あらゆるモノをネットワークに接続し、大量のデータを収集して分析することが可能になる技術です。医療業界や家電業界、物流業界などさまざまな業界で新たな価値を生み出す技術として期待されています。
 
IoTでは、センサーなどのデバイスを利用してデータを収集するため、組み込み系のプログラミングスキルが必要です。収集したデータはネットワークによって転送されるため、ネットワークの知識も求められるでしょう。スキルを身に付けるには、Raspberry PiやArduinoなどの安価なデバイスを購入して、実際にプログラミングしながらIoTを作成してみる方法が実践的でおすすめです。

セキュリティに関するスキルを身に付ける

情報化社会の到来に伴い、セキュリティ人材の需要が年々高まっています。一方で、セキュリティ人材には非常に広範なスキル・知識が求められます。
 
IPAは、ITサービスの提供に必要なスキルを体系化した「ITSS+(※)」を定めており、セキュリティ人材に必要なスキルを定義しています。ITSS+では、情報セキュリティデザイン、インシデントハンドリング、脆弱性診断などが専門分野として分類され、各専門分野に必要なスキルが細かく記載されています。これらを習得するには、ITSSの内容をベースに出題される国家資格「情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)」を活用した学習が効率的です。
 
※参考:IPA「ITSS+」

4. まとめ

この記事では、プログラマーの現在の需要から将来性、プログラマーとしての価値を高める方法まで解説しました。この記事で説明したように、現時点でプログラマーの将来性は明確に予測できていません。しかし、AIや自動化の波は着実に進んでおり、プログラマーの将来性や求められるスキルにも影響を与えるでしょう。今後の技術動向に注目しながら、需要が高まる領域のスキルを柔軟に習得し続けることが重要です。

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