組み込みエンジニアの転職市場|評価されるスキルや経験も解説

最終更新日:2024年2月5日

組み込みエンジニアとは、家電や機器などに組み込むシステムの開発をするエンジニアを指します。自動車や家電、産業用機器などへのIoT普及に伴って、組み込みエンジニアの需要は拡大傾向にあります。しかし、若手エンジニアの育成・参入ハードルが高いことから、人材不足が顕在化しつつあります。

そこで、別業種から組み込みエンジニアに転職するときの仕事内容や転職市場の状況について紹介します。確かなスキル・経験をもったエンジニアであれば転職により年収アップが期待できるでしょう。少しでも有利な条件で転職するために、転職市場で評価されるスキル・経験を理解して転職活動を行いましょう。

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この記事のまとめ

  • 組み込みエンジニアとは、機械に組み込むシステムを開発するエンジニア
  • 組み込みエンジニアは人手不足のため売り手市場である
  • IoTの普及により活躍できる業界が増え、組み込みエンジニアの需要は拡大傾向にある

組み込みエンジニアとは

組み込みエンジニアとは、機械に組み込むためのシステムを開発するエンジニアです。対象とする機械は幅広いですが、たとえば、家電、自動販売機、自動車、パチンコ台などが挙げられます。昔からある機械もあれば、AI機能を搭載した最新家電などもあります。そのため、組み込み業界で使用される技術は古いものから新しいものまで幅広いです。

組み込みエンジニアの仕事内容

組み込みエンジニアの仕事内容は組み込みシステムの開発です。具体的には「要件定義 → 設計 → プログラミング → テスト」という流れで開発が進みます。

キャリアが浅いエンジニアは下流工程を担当し、キャリアを積んだエンジニアは上流工程を担当する傾向があります。キャリアを積めば積むほど、プログラミングなどの工程よりも要件定義や設計が中心になっていく可能性は高いでしょう。

関連記事:組み込みエンジニアとは?仕事内容や年収・将来性などを徹底解説

組み込みエンジニアの転職市場状況

組み込みエンジニアはエンジニアの中でも古くから存在しますが、今は組み込みシステムの進化の影響があり、より人手不足になっています。そのため、売り手市場といえるでしょう。

組み込みエンジニアの将来性

数あるエンジニア職の中でも、今後も需要が見込まれる職種なのが組み込みエンジニアです。その理由について記載します。

関連記事:組み込みエンジニアの需要と将来性について

常に人材不足と囁かれている

組み込みエンジニアは以前から存在しており、組み込み開発を得意とする企業も少なくありません。それでも常に人材が不足しています。

その理由の一つが、IT技術のトレンドとは関係が薄かったことです。インターネットの登場、Webの利用拡大、クラウドの普及などはSI業界に大きな影響を与え、業態の変化とともに技術者がなだれ込んだ側面があります。

一方で、組み込みエンジニアの活躍する領域は、最近までIT技術の革新による大きな変化は見られず、人材不足が解消されることはなかったと考えられます。

近年では、組み込みエンジニアは従来の家電製品や業務用機器に加え、IoTの分野からも旺盛な需要があります。IoTは複数の業界で広く普及が進み、今後も拡大が確実視される技術です。今後、組み込みエンジニアには継続的な需要拡大が期待できます。

さらに、若手技術者の参入がWeb・クラウド系の分野に偏っていることや、人材育成に時間がかかることから、人材不足は慢性化する可能性が高いでしょう。

関連記事:組み込みエンジニアは難しい?なぜ人材不足なのか

歴史があるからこそベテランエンジニアの市場価値が高い

需要拡大と新規参入者の不足から、既に十分な経験・スキルを持ったエンジニアの将来性は高いです。上流工程の経験やプロジェクトマネジメントスキル、IoTなど新規分野での開発スキルなどを備えたエンジニアは、末永くキャリアを磨ける環境になっています。

特に、若手よりも豊富な経験を持った30代以降のエンジニアに採用意欲を持つ企業が多いようです。昨今の組み込み業界は分業化が進んでおり、分野ごとのスペシャリストが増えています。

しかし、中〜大規模なプロジェクトでは、スペシャリストとコミュニケーションを成立させながら、プロジェクトの全体最適化を達成するための人材が必要不可欠です。いわゆる「スペシャリストを取りまとめるゼネラリスト」が必要であり、このポジションとして複数分野のスキル・経験を横断的に持つエンジニアが求められています

30代以降の経験豊富な組み込みエンジニアであれば、こういったゼネラリストのポジションを目指すことで、努力次第では年収・キャリアアップへとつなげられるでしょう。

幅広い仕事に対応できるため製品の開発に欠かせない

組み込みシステムは幅広い製品で需要があります。そのため、スキルの汎用性は高いです。また組み込み開発の技術が進化すると同時に機能のモジュール化も進んでいて、開発が効率的になっています。

つまり最新技術をキャッチアップしている組み込みエンジニアは、幅広い開発現場で高い生産性を発揮できるということです。

AI技術の発展により今後も需要が見込める

AI技術の発展により、組み込みシステムにもAIが搭載されるようになっています。しかし、AIを搭載した組み込みシステムを開発するためには、AI開発のスキルだけでは不足しています。組み込み開発のスキルとAI開発のスキルの両方が必要です。

両方のスキルを持っている人材は当然需要が高いですが、組み込み開発のスキルのみでも有利な状況です。すでに組み込み開発のスキルがある場合は、今後AI開発のスキルを身につけることで活躍の場が広がるので、ポテンシャル採用にもつながりやすいでしょう。

組み込みエンジニアの転職先例

組み込みエンジニアは、開発するシステムや、システムを組み込むハードウェアの種類によって仕事の領域が分かれます。

どの領域の組み込みエンジニアになりたいかを考えた上で転職先を選ぶようにしましょう。

組み込みエンジニアが活躍する分野

開発するシステムの内容によって転職先を選べば、入社後に「やりたい仕事に携われない」という悩みを抱きにくくなります。代表的な組み込みエンジニアが活躍する分野をもとに、転職先を検討してみましょう。

小型の機器に搭載するシステムの開発

小型機器の代表例としてはスマホやカーナビ、電子パネルなどが挙げられます。

これらのシステムは、製品の小型・軽量、低消費電力、省資源、高性能を実現するために必要です。組み込みエンジニアは製品のコンセプトと目的を検討し、必要なソフトウェアやハードウェアを選択・開発・統合・テストする仕事を行います。

開発の対象となる製品の種類や規格が多いので、幅広い知識が必要です。近年では、小型機器の組み込みシステムがますます進化しており、AIや機械学習の技術が積極的に活用されています。これらの最新技術を理解し、技術トレンドに敏感であり続けることも重要です。

通信速度高速化のためのシステム開発

通信速度高速化のためのシステム開発とは、たとえば第5世代移動通信システム(5G)や光ファイバー通信システムです。

大容量のデータを高速に伝送するために必要で、システムを設計・開発するために、通信ネットワークや無線通信・光ファイバー通信の原理や技術を理解する必要があります。

たとえば、ネットワークセキュリティの確保、通信プロトコルの最新動向への対応、リアルタイムデータ処理の実装などです。さらに、将来の通信技術の発展や需要の変化に備え、継続的な学習と技術の更新が求められます。

インターネットの高速化がますます発展すると予想されるため、通信型組み込み開発は今後一層の重要性を増すでしょう。

施設を動かすためのシステム開発

発電所や工場など大規模な施設を動かすシステム開発を行うのが、プラント系組み込みエンジニアです。

たとえば、プラントの電力供給システムや制御システムなどの構築やメンテナンスを行います。プラント系組み込みエンジニアになるには、コンピュータ科学や電子工学などの専門知識や技術が必要です。

また、プラントはいずれも大規模な施設であるため、土木や化学、機械などの他分野のエンジニアと協力しながら仕事を進めるために、チームワークやコミュニケーション能力も重要です。

近年は環境問題への対応や省エネルギー化への関心が高まっており、プラント系組み込みエンジニアのニーズは今後ますます高くなることが想定されます。今後、新たな技術の導入やデジタルツイン技術の進展が期待されます。これにより、リアルタイムなデータ分析や予測メンテナンスの実現が可能になり、運用効率や生産性の向上が期待されます。また、人工知能や機械学習の活用により、より柔軟で自律的な制御システムの開発が進むでしょう。

組み込みエンジニアが活躍する業界

多くの組み込みエンジニアが活躍している業界から転職先を選ぶのも良いでしょう。代表的な業界は、家電業界や産業機械業界、情報・通信機業界です。また近年は、ゲーム業界でも組み込みエンジニアの需要が高まっている傾向があります。幅広い業種で活躍が可能です。

ここからは、組み込みエンジニア経験者の転職先としておすすめの業界を紹介します。さまざまな業界で仕事ができるため、自身のキャリアパスを実現できそうな業界を選ぶとよいでしょう。

自動車業界

自動車業界での組み込みエンジニアの仕事は、自動車に搭載されるコンピュータ(ECU)のソフトウェアを開発する場合があります。

自動車の環境性能・快適性能・安全性能を向上させるための、ブレーキやスピードなどを制御するソフトウェアなどです。

自動車の運動機能を担っているため、高い安全性や品質が求められます。自動車業界は日本の代表産業であり、国際競争力を維持するために技術革新が必要です。

家電業界

家電業界での組み込みエンジニアの仕事は、家電製品や小型機器の動きを制御するシステムの設計などです。家電製品にはマイコンと呼ばれる小型のコンピュータが搭載されており、そのプログラミングを行います。

家電製品はユーザーの操作に応じて動作するため、エラーが起きないようにあらゆる状況の想定が必要です。また、コストや性能の面からもコンパクトなプログラミングが求められます。家電業界はIoT技術などの最新技術にも対応しているため、組み込みエンジニアの需要は高まっています

産業機械業界

産業機械業界での組み込みエンジニアの仕事は、産業用ロボットや工業機械などの動きを制御するシステムの設計・開発です。産業機械には小型のコンピュータが組み込まれており、そのプログラミングを行います。

産業機械は工場の生産性や品質を向上を目的に動かすため、高度な制御技術が必要です。また、IoTやAI技術などの最新技術にも対応しているため、組み込みエンジニアの需要は高まっています

通信機器業界

通信機器業界での組み込みエンジニアの仕事は、インターネットに接続する携帯電話やルーターなどの通信機器の高速化を図るシステムの開発・設計です。通信機器には小型のコンピュータが組み込まれており、そのプログラミングを行います。通信機器は人々の生活やビジネスに欠かせません。

ロボット業界

ロボット業界での組み込みエンジニアの仕事は、産業用ロボットや医療用ロボットなどの制御システムの開発・設計です。ロボットには小型のコンピュータが組み込まれており、そのプログラミングを行います。

ロボットは人間の代わりに危険な作業や高度な作業を行うため、高い信頼性や安全性が必要です。また、最新技術やサービスに対応するため、常に学習を続ける必要があります。

住宅設備業界

住宅設備業界での組み込みエンジニアの仕事は、給湯器や照明などの住宅設備を制御するシステムの設計・開発です。住宅設備が効率的に機能するように、マイクロコントローラーやセンサーなどの技術を駆使してシステムを構築します。

住宅設備の進化に伴い、近年ではIoT技術の導入が進んでいます。これにより、インターネットを介して外部から住宅設備をリモートで操作したり、住宅のセキュリティを効果的に管理できるようになりました。たとえば、スマートフォンを使って給湯器の温度を調節したり、照明の明るさを調整ができます。同時に、セキュリティ機能も向上し、遠隔から住宅の鍵を管理できるなど、生活の利便性と安全性が向上しています。

将来的には、住宅設備のIoT化が一層進展すると考えられます。IoT住宅の増加に伴い、組み込みエンジニアの需要はますます高まるでしょう。

組み込みエンジニアへの転職は「やめとけ」といわれる理由

利用される技術が限られるなどが理由で、組み込みエンジニアは「つまらない」「やめとけ」といった意見も見られます。しかし、技術的な範囲で見ても、組み込みエンジニアの扱う領域ではタイトなリソースでバグのないアプリケーションの作成が必要とされるため、レベルの高いスキルが要求される分野です。ほかのエンジニア職と比べても、そん色のない奥深さを持った職種といえます。

組み込みエンジニアの転職で企業が評価するスキルや経験

組み込みエンジニアの経験者向けの転職時に、評価されるスキル、経験を紹介します。

C言語、C++、アセンブラなどのプログラミングスキル

組み込み業界では、依然としてC言語やC++がよく使用されています。アセンブラは一時期に比べると使用頻度が落ちましたが、メモリ処理の最適化や高速化のために使われることが多いようです。ただし、これらプログラミングスキルは必須要件や最低条件であることが多く、これだけで高年収の条件を満たすわけではありません。

並列処理に関するスキル

近年、組み込みソフトウェア業界ではマルチコアやマルチスレッド処理に対応できるスキルが求められています。従来のマルチタスク処理とは異なる、いわゆる「並列処理」と呼ばれる分野のスキルです。

ハードウェア(特にCPU)の進化により、制御対象となるデバイスが複数の命令を同時に実装できるマルチコア・マルチスレッド機能を持つようになりました。しかし、マルチコア・マルチスレッド機能は、ソフトウェア側が対応していなければ、その真価を発揮できません。デバイスの性能をフルに引き出すため、並列処理を使いこなせる組み込みエンジニアの需要が伸びているのです。

回路設計のスキル

回路設計のスキルとは、マイクロプロセッサや電子回路の設計技術に精通し、ハードウェアの性能を引き出しつつ効率的な処理を実装するためのスキルのことを指します。

特にドライバ・ファームウェア開発は、メーカーから提供された資料に沿って開発を行うため、ハードウェア・回路設計に関する知識は必須です。ただし、近年では組み込み業界でも分業化が進んでおり、自動車や航空機器など分野別に求められるスキルが細分化している傾向があります。

ミドルウェアやアプリケーションなどの開発経験

ハードウェア構成を元に、ファームウェア、ドライバ、ミドルウェア、アプリケーション開発まで携わった経験があれば、組み込みエンジニアとして一通りのスキルは持っていると評価されます。特に、自らが開発に携わったハードウェアの仕様(CPUやチップセットなどパーツごとの特性)も理解しておくと、類似の分野で評価されやすくなり、応募できる求人の幅が広がるでしょう。

リアルタイムOSを用いた開発経験

ITRON、VxWorksなど、メジャーなRTOS(オペレーティングシステムの一種)を扱った経験があれば、即戦力として評価されやすくなります。ただし、プログラミングスキル同様に、必須要件や最低条件であることが多いです。

オブジェクト指向に対応できるスキル

独自設計が主流であった組み込み業界にも、汎用化・共通化の波が到来しています。ほかのエンジニアがメンテナンスしやすいように、オブジェクト指向を用いた可読性・汎用性の高い処理の記載が求められます。

基本設計からデバッグまで一貫して関わった経験

設計からテストまで一貫して携わった経験があると、「自律型人材」や「フルスタック型エンジニア」として評価の対象になります。分業化が進んだ現在でも、プロジェクトの始まりから終わりまで安定したパフォーマンスを出せる人材への需要は、依然として高いです。特に、人手不足に陥りがちな中堅規模の企業から評価されることが多いでしょう。

複数分野の経験とマネジメント力

組み込み業界は、自動車・家電・鉄道・IoTデバイスなど、分野によって必要な知識・スキルに若干の違いがあります。徐々に分業化・細分化が進む組み込み業界において、複数の分野に必要な知識を統合し、プロジェクトを成功に導ける人材は貴重です。高い技術力を持つスペシャリスト集団を束ねるだけの知見・経験があれば、高年収を提示される可能性が高くなるでしょう。

英語力

組み込みエンジニアが是非とも持っていたいスキルとして、英語力があげられます。最新かつ専門的な技術が必要とされる組み込みエンジニアですが、そのための情報収集も業務の一環です。技術情報は英語のみのことも多いので、これらを読み解くためにも英語力が大いに役立ちます。

関連記事:組み込みエンジニアが英語を使えることで得られるメリット

転職時に組み込みエンジニアとしてのスキルを証明できる資格

組み込みエンジニアになるために必要な資格は特にありません。しかし、資格があればプロジェクトへのアサイン時や転職時などに役立ちます。

ETEC(組込み技術者試験制度)

ETEC(Embedded Technology Engineer Certification:組込み技術者試験制度)は一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)が運営する組み込み技術者向けの試験制度です。二段階のレベルがあり、クラス2は組込みソフトウェア開発者としてのエントリレベル、クラス1は組込みソフトウェア開発者のミドルレベルの知識を有することを示す試験です。クラス1はETSSのレベル3に相当します。

JSTQB(テスト技術者資格認定試験)

JSTQB 認定テスト技術者資格とは、ソフトウェアのテスト技法やテストマネジメント、テスト評価に関するスキルを証明する資格です。JSTQBはJapan Software Testing Qualifications Boardの略称で、ソフトウェアテスト技術者認定の運営を行っています。各国のテスト技術者認定組織と相互認証を行っているため、海外でも有効な資格となっています。

「Foundation Level」ではソフトウェアテスト全般に関する知識が問われ、「Advanced Level」ではテストマネジメントやテスト評価に関する知識が問われます。組み込み系に特化した資格ではありませんが、テストエンジニアリングに関する知識を習得することができます。

基本情報技術者試験

基本情報技術者試験は独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の運営する国家資格試験です。ITエンジニアとして実務に臨むための基礎レベルのスキルが問われます。出題範囲はハードウェア、ソフトウェア、プログラミング、プロジェクトマネジメントなど多岐にわたります。組み込みエンジニアを含めたITエンジニアとしてのスキルと知識を示す資格となっています。

応用情報技術者試験

応用情報技術者試験は独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の運営する国家資格試験です。ITエンジニアとしての基礎レベルを問う基本情報技術者試験からワンランク上のスキル、知識を持つことを示すことができる資格です。ITエンジニアとしての応用レベルのスキルを持ち、高度IT人材として方向性の定まった者を対象者としています。出題範囲は基本情報技術者試験と同様に多岐にわたります。組み込みエンジニアに限らず広くITエンジニアとして、ワンランク上のスキルと知識を保有することを証明してくれる資格となっています。

エンベデッドシステムスペシャリスト試験

エンベデットシステムスペシャリスト試験は独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の運営する国家資格試験です。IoTを含む組込みシステムの開発に関係する広い知識とスキルを持つ設計・構築・製造を主導するエンジニアを対象者としています。IoTを含めた組み込みソフトウェアに特化した資格試験であり、組み込みエンジニアとしての高いスキル保有を示すことが可能です。

関連記事:組み込みエンジニアに役立つおすすめ資格6選|参考書籍や求められるスキルも解説

未経験のITエンジニアが組み込みエンジニアに転職する方法

組み込みエンジニアの活躍する組込・制御の分野では、タイトなリソースで稼働する品質の高いプログラムが要求されます。IT職種がまったくの未経験の場合、最初から組み込みエンジニアを目指すのは難易度が高いです。

IT職種未経験から組み込みエンジニアを目指す場合に考えられる選択肢について紹介します。

SIのエンジニアから目指す

SI(システムインテグレーション)領域のITエンジニアは組み込みエンジニアよりも募集人数が多く、その結果、未経験でも採用される可能性のある求人が多く存在します。SI領域のエンジニアとして働きながら、スキルを向上させて組み込みエンジニアへ転職するのが一つのキャリアパスとなります。

プログラミングを学びポートフォリオを作成する

未経験者であっても、組み込みエンジニアとして活躍するためのスキルは事前に身につけておく必要があります。まずはプログラミングについて学びましょう。学習に問題がなければ独学でも構いません。スクールやオンライン学習など、自分に合う学習方法を選びましょう。
学んだ内容をアウトプットするため、学習したプログラミングスキルを活かしてポートフォリオを作成し、転職活動の際に提出できるようにします。

転職エージェントを活用する

転職エージェントを活用することで、複数のメリットを得られます。具体的には、非公開の求人を紹介してもらえる、履歴書や面接のアドバイスをもらえる、エージェントと話すことで自分の考えがまとまるなどです。

自分一人で求人を探すのも良いですが、転職は人生を左右する一大イベントです。失敗しないためにも、転職エージェントの力も借りてみることをおすすめします。利用料は無料なので、負担はありません。

関連記事:組み込みエンジニアになるために必要な勉強

組み込みエンジニアの転職における年収例

2023年12月時点のレバテックキャリアで「組込・制御エンジニア」を検索すると、平均年収は35~600万円でした。最低年収は228万円、最高で1700万円となります。上流工程やリーダーのポジションにあたる求人では、最低年収500万円台で最高年収は1000万円前後の高い給与を用意している求人・転職情報も存在しています。
このように、組み込みエンジニアは年収幅の広い職種といえるでしょう。

組み込みエンジニアから転職する場合のキャリアパス例

組み込みエンジニアとして実績を積んだエンジニアが転職する際に有力となる選択肢について記載します。

システムエンジニア(SE)への転職

組み込みエンジニアとして高めたスキル、開発手法などを活かせるのがシステムエンジニアへの転職です。比較的技術領域は共通する範囲も多く、プロジェクト管理技法などは共通しています。システムエンジニアへ転職する場合は、より広い技術範囲への知識と興味が必要となります。

IoTエンジニアへの転職

組み込みエンジニアとしてのキャリアアップといえるのが、IoTエンジニアです。組み込み領域の開発技術に加え、IoTで利用されるネットワーク通信、その先のデータの収集、分析、活用に関するスキルを持つと活躍の場が広がります。

Web系エンジニアへの転職

Web系エンジニアへの転職でも、組み込みエンジニアとして磨いたプログラミングスキルは活かせます。ただし、Webという技術体系への習熟、アジャイル型の開発手法への適応が必要となります。

ソフトウエアエンジニアへの転職

ソフトウェアエンジニアはスマートフォンやパソコンのアプリケーションや家電や自動車などの機器を制御するソフトウェアの設計・開発を行う職種です。そのため、プログラミング言語やITの基礎知識だけでなく、顧客の要望に応えるためのコミュニケーションスキルやドキュメント作成スキルも必要になります。

AIエンジニアへの転職

AIエンジニアの仕事は、AI(人工知能)を開発したり、AIを活用してデータ分析したりすることです。AIエンジニアは、プログラミング言語や機械学習、ディープラーニングなどの技術を用いて、人間と同じように自ら思考できるシステムを作ります。

AIエンジニアは、産業用ロボットや自動運転、音声認識などさまざまな分野で活躍できる人材です。

フルスタックエンジニアへの転職

フルスタックエンジニアは、システムやWebの設計や開発、運用、メンテナンスなど、全工程を一人で担当できる職種です。フルスタックエンジニアの仕事内容としては、バックエンドの開発、フロントエンドの開発、モバイルアプリの開発、サーバー管理、クラウド管理、データベース管理、デザインなどがあります。

このように対応する業務幅が広いため、アプリやインフラ、クラウドなどの幅広い知識やスキルを持っている必要があります。フルスタックエンジニアは、コスト削減や開発速度の向上などに貢献できるため、需要や市場価値が高いです。

システムアーキテクトへの転職

システムアーキテクトとは、システム開発の上流工程を担当する上級エンジニアのことです。システムアーキテクトの仕事内容には以下があります。

・アーキテクチャの検討/設計…クライアントの要望や経営課題をヒアリングし、最適なシステムの構造や仕様を決める
・プロジェクトのマネジメント…システム開発の全工程を管理し、予算やスケジュール、品質などをコントロールする
・システム構築のサポート…システムエンジニアやプログラマーなどの開発チームに技術的な指示や助言を行う
・開発プロジェクトの結果分析…システム導入後の効果や問題点を分析し、改善策を提案する

システムアーキテクトになるには、システム開発やプログラミングなどの技術力に加えて、システム戦略やコミュニケーションなどの知識やスキルが必要です。

プロジェクトマネージャーへの転職

プロジェクトマネージャーとは、システム開発などのプロジェクト全体を管理する人のことです。プロジェクトマネージャーの仕事内容は以下があります。

・プロジェクトの計画…顧客の要望や予算、スケジュールなどをヒアリングし、最適なプロジェクトの内容や方法を決める
・プロジェクトチームの編成…プロジェクトに必要な人員や役割を確保し、チームを作る
・プロジェクトの管理…プロジェクトの進捗や品質、コストなどをチェックし、問題があれば対処する
・プロジェクトの評価と改善…プロジェクトが終わったら、成果や問題点を分析し、次のプロジェクトに活かす改善策を提案する

プロジェクトマネージャーになるには、システム開発やプログラミングなどの技術力に加えて、マネジメントやコミュニケーションなどのビジネススキルが必要です。

QAエンジニアへの転職

QAエンジニアとは、ソフトウェアの品質保証を目的としたエンジニアのことです。QAエンジニアの仕事内容は以下のとおりです。

・テストの設計や計画…ソフトウェアの機能や性能を確認するためのテスト項目や方法を決める
・テストの実施…設計したテストに従ってソフトウェアの動作を検証し、不具合や改善点を見つける
・テスト結果の分析と報告…テストで発見した問題を集計し、原因や対策を分析する。開発者やクライアントにテスト結果や品質評価を報告する
・品質改善の提案と実施…テスト結果や分析から得られた知見をもとに、ソフトウェアの品質を向上させるための改善案を提案し、実施する

QAエンジニアになるには、プログラミングスキルやソフトウェア開発の知識に加えて、コミュニケーションスキルやマネジメントスキルが必要です。

組み込みエンジニアに関するよくある質問

組み込みエンジニアに転職したい人がよく抱く疑問について回答します。

Q1. 組み込みエンジニアの活躍する業界は?

組み込みエンジニアが活躍する業界には以下が挙げられます。

・自動車業界
・家電業界
・産業機械業界
・通信機器業界
・ロボット業界
・住宅設備業界

いずれの業界もIoTやAIなどに対応していくため、ハイスキルな組み込みエンジニアの需要が高まっています。

Q2. 組み込みエンジニアはどんな仕事?

組み込みエンジニアの仕事内容は以下が挙げられます。

・基本設計
・詳細設計
・プログラム開発
・テスト
・デバッグ

大まかな仕事内容はこちらが基本ですが、活躍する分野によって細かな工程や仕事の流れ、必要なスキルは異なります。

まとめ

自動車や家電、産業用機器などへのIoT普及に伴って、組み込みエンジニアの需要は拡大傾向にあります。しかし、若手エンジニアの育成・参入ハードルが高いことから、人材不足が顕在化しつつある現状があります。

そのため、確かなスキル・経験をもったエンジニアであれば転職により年収アップが期待できるでしょう。少しでも有利な条件で転職するために、転職市場で評価されるスキル・経験を理解して転職活動を行いましょう。

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