組み込みエンジニアは、IoT時代の到来で需要が増加傾向にある組み込みエンジニアの転職で評価されるスキル・経験とは

最終更新日:2020年4月15日

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IoTの普及に伴い、組み込みエンジニアの需要が高まっています。一方で、組み込みエンジニアは学習難易度などにより若手エンジニアの育成・参入ハードルが高いことから、人材不足が続いています。そのため、求められるスキル・経験をもったエンジニアであれば売り手市場のため良い条件で転職できる可能性があります。
この記事では、少しでも有利な条件で転職するために、転職市場で評価されるスキル・経験などを解説します。

1. 組み込みエンジニアの転職で評価されるスキル、知識、経験

まず、経験者向けに組み込みエンジナニアが転職時に評価されるスキル、経験を紹介します。

C言語、C++、アセンブラに関するスキル

組み込み業界では、依然としてC言語やC++がよく使用されています。アセンブラは一時期に比べると使用頻度が落ちましたが、メモリ処理の最適化や高速化のために使われることが多いようです。ただし、これらプログラミングスキルは必須要件や最低条件であることが多く、これだけで高年収の条件を満たすわけではありません。

並列処理に関するスキル

近年、組み込みソフトウェア業界ではマルチコアやマルチスレッド処理に対応できるスキルが求められています。従来のマルチタスク処理とは異なる、いわゆる「並列処理」と呼ばれる分野のスキルです。ハードウェア(特にCPU)の進化により、制御対象となるデバイスが複数の命令を同時に実装できるマルチコア・マルチスレッド機能を持つようになりました。しかし、マルチコア・マルチスレッド機能は、ソフトウェア側が対応していなければ、その真価を発揮できません。デバイスの性能をフルに引き出すため、並列処理を使いこなせる組み込みエンジニアの需要が伸びているのです。

回路設計のスキル

組み込みエンジニアに求められるスキルの中で、最も特徴的なもののひとつが回路設計のスキルです。具体的には、マイクロプロセッサや電子回路の設計技術に精通し、ハードウェアの性能を引き出しつつ効率的な処理を実装するためのスキルのことを指します。特にドライバ・ファームウェア開発は、メーカーから提供された資料に沿って開発を行うため、ハードウェア・回路設計に関する知識は必須です。ただし、近年では組み込み業界でも分業化が進んでおり、自動車や航空機器など分野別に求められるスキルが細分化している傾向があります。

ファームウェア、ドライバ、ミドルウェア、アプリケーションなどの開発経験

ハードウェア構成を元に、ファームウェア、ドライバ、ミドルウェア、アプリケーション開発まで携わった経験があれば、組み込みエンジニアとして一通りのスキルは持っていると評価されます。特に、自らが開発に携わったハードウェアの仕様(CPUやチップセットなどパーツごとの特性)も理解しておくと、類似の分野で評価されやすくなり、応募できる求人の幅が広がるでしょう。

リアルタイムOSを用いた開発経験

ITRON、VxWorksなど、メジャーなRTOS(オペレーティングシステムの一種)を扱った経験があれば、即戦力として評価されやすくなります。ただし、プログラミングスキル同様に、必須要件や最低条件であることが多いです。

オブジェクト指向に対応できるスキル

独自設計が主流であった組み込み業界にも、汎用化・共通化の波が到来しています。他のエンジニアがメンテナンスしやすいように、オブジェクト指向を用いた可読性・汎用性の高い処理の記載が求められます。

基本設計、詳細設計、実装、テスト、デバッグまで一貫して関わった経験

設計からテストまで一貫して携わった経験があると、「自律型人材」や「フルスタック型エンジニア」として評価の対象になります。分業化が進んだ現在でも、プロジェクトの始まりから終わりまで安定したパフォーマンスを出せる人材への需要は、依然として高いです。特に、人手不足に陥りがちな中堅規模の企業から評価されることが多いでしょう。

複数分野の経験とマネジメント力

組み込み業界は、自動車・家電・鉄道・IoTデバイスなど、分野によって必要な知識・スキルに若干の違いがあります。徐々に分業化・細分化が進む組み込み業界において、複数の分野に必要な知識を統合し、プロジェクトを成功に導ける人材は貴重です。高い技術力を持つスペシャリスト集団を束ねるだけの知見・経験があれば、高年収を提示される可能性が高くなるでしょう。

2. 組み込みエンジニアの需要と将来性

次に、組み込みエンジニアの需要と将来性について解説します。

需要について

組み込みエンジニアは、従来の家電製品や業務用機器に加え、IoTの分野からも旺盛な需要があります。IoT化は、複数の業界で広く普及していくことが確実ですから、継続的な需要の伸びが期待できます。さらに、若手技術者の参入がWeb・クラウド系の分野に偏っていることや、人材育成に時間がかかることから、今後も人材不足は慢性化する可能性が高いでしょう。

将来性

需要拡大と新規参入者の不足から、既に十分な経験・スキルを持ったエンジニアの将来性は高いといえます。上流工程の経験やプロジェクトマネジメントスキル、IoTなど新規分野での開発スキルなどを備えたエンジニアは、末永くキャリアを磨くことができる環境になっています。

特に、若手よりも豊富な経験を持った30代以降のエンジニアに採用意欲を持つ企業が多いようです。これまでも繰り返し述べてきたように、昨今の組み込み業界は分業化が進んでおり、分野ごとのスペシャリストが増えています。しかし、中~大規模なプロジェクトでは、スペシャリストとコミュニケーションを成立させながら、プロジェクトの全体最適を達成するための人材が不可欠です。いわゆる「スペシャリストを取りまとめるゼネラリスト」が必要であり、このポジションとして複数分野のスキル・経験を横断的に持つエンジニアが求められています。30代以降の経験豊富な組み込みエンジニアであれば、こういったゼネラリストのポジションを目指すことで、努力次第では年収・キャリアアップへとつなげられるでしょう。

3. 組み込みエンジニアの転職における年収例

最後に、実際の求人から組み込みエンジニアの年収例を紹介します。

電子・精密機械向けソフトウェア開発企業(自社開発)

【想定年収】500~800万円
【業務内容】半導体デバイスのソフトウェア設計、評価業務など
【求められるスキル・経験】デジタル機器のファームウェア開発経験、画像および音声圧縮の処理の経験、高速IF向けソフトウェア開発など(いずれも3年以上)

医療・OA機器向けソフトウェア開発企業(受託開発)

【想定年収】400~800万円
【業務内容】制御ソフトのドライバ、ミドルウェア、アプリケーション、UI開発
【求められるスキル・経験】C・C++、リアルタイムOS(μitron、VxWorks)、マイコン電子回路の知識など

組み込み業界は、全体的にプロジェクトの大規模化が進んでいます。これに伴い、分業化が進み、個々人の担当範囲は狭くなっています。一方、以前よりも高い専門性・技術力が求められる傾向にあることも事実です。したがって、専門性を突き詰めれば高年収は達成しやすいでしょう。また、複数の専門分野を横断的に理解し、技術者を取りまとめられる人材の需要も発生していることから、マネジメント経験がある人材も高年収を狙いやすい状態です。

4. まとめ

自動車や家電、産業用機器などへのIoT普及に伴って、組み込みエンジニアの需要は拡大傾向にあります。しかし、若手エンジニアの育成・参入ハードルが高いことから、人材不足が顕在化しつつある現状があります。そのため、確かなスキル・経験をもったエンジニアであれば年収アップが期待できるでしょう。少しでも有利な条件で転職するために、転職市場で評価されるスキル・経験を理解して転職活動を行いましょう。

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