組み込みエンジニアの将来性は?人手不足と囁かれる理由をご紹介

最終更新日:2025年2月10日

組み込みエンジニアは、IoT機器や自動車、医療機器など、さまざまな分野で欠かせない職業です。近年、その人手不足が深刻化しており、特にシステム全体を俯瞰し設計・管理できる人材の需要が高まっています。一方で、「どんなスキルが必要なのか」「将来性はあるのか」といった疑問を抱える人も多いでしょう。

本記事では、組み込みエンジニアの仕事内容や必要なスキル、キャリアパスについて詳しく解説します。需要の高さや今後の展望に興味がある人は、ぜひ参考にしてください。

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この記事のまとめ

  • 組み込みエンジニアは不足傾向にあるため、将来性が高い
  • IoTなどの普及で組み込みエンジニア特に「システム全体を見ることができる人材」が求められている需要は高まっている
  • 組み込みエンジニアはハードウェアハードウェアとソフトウェアを統合的に設計・開発できる組み込みエンジニアは需要が高い、ネットワーク/セキュリティの知識など、要求されるスキルが多い
  • 組み込みエンジニアに必要なのは「ハードウェアとソフトウェアを統合し、システム全体を俯瞰して設計・制御できるスキル」

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組み込みエンジニアの仕事内容

組み込みエンジニアとは、家電や自動車、医療機器、IoTデバイスなどのハードウェアに組み込まれるソフトウェアを開発するエンジニアです。リアルタイムOSやC言語を用いて、センサー制御や通信プロトコルの実装、システム全体の設計を行います。

IoTの普及により需要が増加しており、高い専門性を持つため、幅広い業界で活躍の場があります。組み込みエンジニアの仕事内容を具体例を挙げながら、以下にまとめました。

主な仕事内容 概要
組み込みソフトウェアの開発 C、C++、アセンブリなどを使い、
プログラムを設計・実装する
リアルタイムOS
(RTOS)の活用
リアルタイム性が求められるシステムで、
タスクのスケジューリングやデータ処理を行う
ハードウェア制御 センサー、モーター、ディスプレイなどの
ハードウェアをソフトウェアで制御する
デバッグ・テスト 実機やエミュレーターを使い、
動作確認・バグ修正を行う
システム設計 ハードウェアとソフトウェアの
連携を考慮した全体設計を行う
通信機能の実装 Bluetooth、Wi-Fi、CANなどの通信プロトコルを用いて
デバイス間のデータ送受信を構築する
運用・保守 開発したプロダクトのシステムメンテナンスや、
アップデートに対応する

詳しい仕事内容は以下の記事を参考にしてください。

関連記事:組み込みエンジニアとは?仕事内容や年収、資格、将来性などを解説

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組み込みエンジニアは将来性・需要のある職業

組み込みエンジニアは将来性と需要のともに高い職業です。その理由は以下の2つが挙げられます。

IoT機器の普及により需要が増えているため

組み込みエンジニアがなぜ将来性・需要のある職業かというと、IoTの普及に伴ってM2Mを含むシステムの需要が拡大しているからです。IoTとはあらゆるモノがインターネットに接続され、データをやり取りする技術を指します。M2Mはモノ同士が直接通信し、自律的にデータを交換・処理する技術です。IoTの一部であり、スマートホームや自動車、産業分野で活用されています。

M2Mを支えるIoTデバイスの開発では、ハードウェアとソフトウェアを統合的に設計・開発できる組み込みエンジニアが不可欠です。このため、IoT時代における組み込みエンジニアの需要は今後も増加し続けると予想されます。

今後人材が不足するとみられるため

前提として、組み込みエンジニアをはじめとするIT人材は不足傾向にあります。IT人材の不足について、詳しくはIT人材の不足 - システムエンジニアの人手不足はなぜ起こる?を参考にしてください。

このようなエンジニアが不足する背景がある中で、さらに「組み込みエンジニアが活動する分野が拡大傾向にあること」「需要が高い職業であること」が組み込みエンジニアの将来性の高さの理由になります。

また、情報処理推進機構(IPA)が発表した組込みソフトウェアに関する動向調査(2018年)によると、特に今後不足が予想される人材は「システム全体俯瞰思考人材」といわれています。

この調査から見ると、組み込みエンジニアの中でもシステム全体を理解し、設計できるエンジニアは特に需要が高いです。将来性を高めるためには、複数分野の知識を横断的に持つことやトラブルの原因を全体から探れるスキル、システム設計・アーキテクチャの能力を身につけるとより効果的です。

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組み込みエンジニアになるために必要なスキル

組込みソフトウェアに関する動向調査(2018年)によると、組み込みエンジニアの中でも全体を理解したエンジニア、全体の構造を担当できるスキルを持つ人材が特に求められています。ここでは業界全体から需要のある「システム全体俯瞰指向人材」に着目し、組み込みエンジニアになるために必要なスキルを解説します。

プログラミングスキル

プログラミングスキルは組み込みエンジニアの基本スキルです。特にC言語、C++などの言語は必須であり、汎用性の高いPythonを習得していると強みになります。

プログラミングスキルはただコードを書く能力だけでなく、ソフトウェアとハードウェアの相互作用を理解する力にもつながります。これを意識すると、システム全体の設計において最適な技術的選択が可能です。

システム全体を俯瞰できるスキル

システム全体を俯瞰するスキルとは、組み込みシステムがどのように構築され、動作し、他のシステムと連携するかを理解する力です。これは、IoTやM2Mの時代において特に重要です。

たとえば組み込みエンジニアが「システム全体の構造や流れを理解できる」ことで、開発プロジェクトの効率化や、異常発生時のトラブルシューティングが可能になります。システム全体を最適化する設計ができれば、より組み込みエンジニアとしての能力を高められるでしょう。

上流工程の設計スキル

上流工程の設計スキルとは、要件定義やアーキテクチャ設計などです。システム開発の方向性を決定づける重要な工程であり、ビジネス要件を技術的な仕様に落とし込む能力が求められます。

上流工程の設計では、システム全体を見通す力が必要です。全体構造を理解し、連携や将来的な拡張性を考慮した設計ができるスキルがあると、組み込みエンジニアとして信頼度も高まります。

IoT・M2Mに特化した専門スキル

IoTやM2Mの分野において、センサーや通信プロトコル(MQTT、HTTP、LoRaWANなど)、クラウドインフラなどの特有知識が必要です。

IoT・M2Mに特化した専門スキルは組み込みエンジニアの特に重要な部分であり、このスキルがあるとセンサーからクラウドまでの一貫した設計が可能になります。システムの効率性と信頼性を高めることにもつながるため、重点的に学ぶことをおすすめします。

IoTに特化したスキルに関しては、以下の記事も参考にしてください。

関連記事:IoT技術とは?活用事例・周辺技術などを分かりやすく解説

問題解決力・管理能力

組み込みエンジニアの開発現場ではトラブルも多く、問題解決力やプロジェクト管理能力が求められます。たとえば、メンバーが抱える技術的課題を引き出し的確なサポートを行ったり、顧客の抽象的な要望を具体的な仕様に落とし込む能力が必要です。

問題解決力は、システム全体を把握していることでより強力になります。全体の流れを見通してトラブルの原因を特定し、他の部分への影響を考慮した解決策を導く能力が重要だからです。このスキルを身につけるためには、全体構造への深い理解が必要になります。

また、進捗管理やリソース管理も全体を理解すると的確に行えるようになるでしょう。このような解決方法を行える組み込みエンジニアは需要も高く、キャリアの幅も広がりやすいです。

リーダーシップ・ヒアリングスキル

組み込みエンジニアにはチームを率いる場面やクライアントの要望と向き合うシーンがあります。その際に、リーダーシップとヒアリングスキルが求められます。

具体的には、システム全体を理解しチームやプロジェクトをけん引するリーダーシップが大切です。またクライアントは必ずしも技術的な知識があるわけではないため、ビジネス要件を技術的な言葉に変換するためのヒアリング力も役立ちます。

この点を意識すると、クライアントのニーズとシステム設計の整合性が保たれ、俯瞰的な視点も養えます。

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組み込みエンジニアのスキルが活かせる業界

組み込みエンジニアのスキルが活かせる業界には、以下の3つが挙げられます。それぞれどういったスキルが活かせるのかも踏まえて解説します。

自動車業界

組み込みエンジニアの自動車業界での需要は高まっています。需要増加の主な理由としては、自動運転技術の進化やAI技術を活用したブレーキシステム搭載車の誕生、ハイブリッド車の生産拡大などが挙げられます。これらの開発には、電気部品を制御するプログラムが必要であり、それを構築できる組み込みのエンジニアは必要不可欠です。

また、国土交通省などが推進する日本版MaaS(Mobility as a Service)の実現においても、IoTをはじめとした組み込みプログラムは欠かせない技術です。こちらも組み込みエンジニアの活躍が期待される分野となっています。

AIによる自動運転の実用化や、電子制御ユニットへの需要の高まりが、組み込みエンジニアへの需要を高める結果につながっています。

医療業界

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、国内では遠隔医療診療の普及が進みました。遠隔医療診療には、診断に使われる高度なセンサーや、インターネット経由で情報を処理するためのIoT機器が必須です。医療機器業界におけるIoTは「Internet of Medical Things」を略してIoMTと呼ばれています。これらの機器を扱えるのは組み込みエンジニアであるために、スキルが活かせる業界です。

医療機器システムをオンラインネットワークに接続して活用する概念は、医療の重要性や人的リソースの負担軽減、利便性の高さなどの面で重要視されており、今後も進歩が期待される分野の1つです。これらの研究開発は主に組み込みエンジニアが担います。

遠隔診療以外にもウェアラブルデバイスを用いた、健康状態を確認する習慣の普及も組み込みエンジニアには追い風です。Apple Watchなどのウェアラブルデバイスに搭載するプログラムも組み込みエンジニアの開発対象のため、需要のある分野といえます。

電気・家電業界

組み込みエンジニアが特に活躍しているのが、電機・家電業界です。最近ではIoTやAIの技術を組み合わせた家電製品が登場し市場が拡大しています。この市場に欠かせないのが組み込みエンジニアであるため、注目しておきたい業界です。

IoTの登場以前は、電機・家電は職場や家庭内などで限定された用途で使用されていました。しかしIoTの普及により、現在は家電同士のネットワークを経由した接続や遠隔操作が可能です。

今後の組み込みエンジニアは、単純にハードウェアを制御するための知識に加えて、ネットワークに関する知識や、ネットワーク接続を前提とした電機機器や家電を設計するセキュリティ技術が求められるでしょう。IoTやそのセキュリティに関するスキルを持った組み込みエンジニアは、要求スキルが多い一方で需要が高まっていくと考えられます。

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組み込みエンジニアのキャリアパス

組み込みエンジニアのキャリアパスは幅広く、「専門性を深めるキャリア」「新しい分野へ挑戦するキャリア」などさまざまな選択肢があります。以下に、代表的なキャリアパスを紹介します。

組み込みエンジニアのキャリアパス 理由
専門特化型上級エンジニア
(ファムウェアエンジニア、
制御エンジニアなど)
組み込みエンジニアで習得したC/C++の深い理解があり、
特定の通信プロトコルの専門知識を活かせるため
プロジェクトリーダー、
マネージャー
組み込みエンジニアで経験した開発スケジュールの
管理やリソース配分、進捗の追跡、チームメンバーや
クライアントとの調整力を活かせるため
システムアーキテクト 組み込みエンジニアで習得した全体俯瞰力、
ハードウェア、ソフトウェア、通信の設計に
関する総合的な理解が活かせるため
IoTエンジニア 組み込みエンジニアのスキル全般が活かせるため
AI、
データサイエンス分野への転向
組込みシステムにおけるデータ処理技術が活かせるため
独立、
フリーランスや起業
プロジェクトに関する全般のコミュニケーション、
設計から開発までのスキル、マネジメント能力が活かせるため

組み込みエンジニアのキャリアパスは多様ですが、特に「全体を見通すスキル」に長けているとキャリア幅を広げられます。自分の興味やスキルに応じて柔軟に進路を選べるようになるため、組み込みエンジニアとして活動する中でも「将来のビジョン」を描きながら、キャリアを構築することが重要です。

また、いずれの道でも「システム全体を理解し俯瞰できる視点」は大きな武器になります。

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組み込みエンジニアに関するよくある質問

組み込みエンジニアに関するよくある質問をまとめました。

Q1. 組み込みエンジニアはオワコン・やめとけと言われていますが本当?

組み込みエンジニアはオワコン・やめとけという意見があるのは実情ですが、事実ではありません。なぜならIoTや自動車、医療機器など組み込み技術の需要は今後も拡大する分野が多数見つかるからです。前提として組み込みエンジニアは将来性が高い職業ですが、さらにシステム全体を理解できるエンジニアになると、需要も高まり将来性がより安定します。

Q2. 組み込みエンジニアのスキルはどのように身につける?

まずは組み込みエンジニアに必要なスキルを理解し、プログラミング言語の習得からスタートするのをおすすめします。リアルタイムOSの仕様、通信プロトコルの理解へと広げていくことで、段階を追ってスキルが身につきます。書籍やオンライン学習プラットフォーム(Progate、Udemyなど)、実際のプロジェクトでの経験を活用すると効果的です。

詳しくは以下の記事を参考にしてください。

関連記事:組み込みエンジニアになるために必要な勉強

Q3. 組み込みエンジニアにおすすめの資格はある?

組み込みエンジニアにおすすめの関連資格には、以下が挙げられます。

資格名 おすすめポイント
基本情報技術者試験 IT基礎知識を技術面からも証明できる
組込みソフトウェア技術者試験
(ETEC)
組み込み分野に特化した資格
IoTシステム技術検定 IoT関連の知識がアピールできる
応用情報技術者試験 設計や開発の応用力を対外的に証明できる

このほかにも複数関連資格はあるため、アピールしたい領域や自分に足りないスキルを補完するために資格取得を活用しましょう。以下の記事も参考にしてください。

関連記事:組み込みエンジニアに役立つおすすめ資格6選!参考書籍や求められるスキルも解説

Q4. 未経験から組み込みエンジニアに就職・転職するには?

未経験から組み込みエンジニアに就職・転職することは可能です。まずはC言語や組込みシステムの基礎から学び、独学を経て簡単なポートフォリオ作成までを達成させます。未経験OK求人に応募することで就職できますが、未経験の場合は特に転職エージェントの活用がポイントになります。

未経験から組み込みエンジニアになる場合、以下の記事を参考にしてください。

関連記事:文系卒・未経験者は組み込みエンジニアに転職できる?仕事内容や年収も紹介

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まとめ

組み込みエンジニアは、IoTや自動車、医療分野など幅広い業界で活躍できる将来性の高い職業です。需要の高さもありますが、同時に人手不足であるのも事実といえます。特に、システム全体を俯瞰し、設計や最適化ができるエンジニアは不足しており、需要も高いです。

技術の進化とともに需要が拡大しているため、専門性を磨けば活躍の場は無限に広がります。本記事を組み込みエンジニアとしての第一歩を踏み出す参考にしてみてください。
 

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