IoT開発で使うプログラミング言語は?必要なスキルや勉強方法

最終更新日:2024年6月25日

IoTの普及により、IoTエンジニアの需要が徐々に伸びています。IoT開発では「Python」や「C系言語」などのプログラミング言語をはじめとして、組み込み系の知識・スキルも必要とされます。ここでは、IoT開発に興味がある方に向け、IoT開発で使われるプログラミング言語、必要とされるスキル、推奨資格などを紹介しています。

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この記事のまとめ

  • IoTとは、モノをインターネットに接続するという意味で、身近な活用例としてはスマート家電などが有名
  • IoT開発によく利用される言語には、C言語、C++、アセンブリ言語、Pyhton、Java、R言語の6つが挙げられ、開発の内容によって利用言語は異なる
  • IoTエンジニアを目指すなら、プログラミングのスキルを身につけることは必須

IoTとは?

IoTはInternet of Thingsの略で、モノをインターネットに接続するという意味です。インターネットに接続することで、モノをリモートで操作する、情報を収集する、モノ同士で情報共有する、といったことが可能になります。では、どのように活用されているのでしょうか。以下で解説していきます。

IoTの活用事例

IoTの活用事例としては、スマート家電などが有名です。たとえば、外出先からスマホでエアコンや照明の操作を行う、スマートウォッチなどのウェアラブルデバイスでメッセージのやり取りをする、といったことが挙げられます。現在は家電で使用されているイメージが強い傾向ですが、これからは事業やオフィスなどでも幅広く活用されていくと予測できるでしょう。

IoTの需要と将来性

IoTは家電だけでなく、自動車の製造をはじめとする事業展開、工場やオフィスにおける業務改善を目的として活用されつつあります。IoTが導入されている製品を使うことによって、私たちが生活していく上で便利になり、仕事などでもさまざまな負担が軽減されるでしょう。将来的に、今よりももっと流通していくと考えられ、注目されている分野だといえます。

IoT開発でよく使われるプログラミング言語とは?

開発の内容によって使われるプログラミング言語は異なりますが、C言語、C++、Pythonなどの6つが挙げられます。では、どのような特徴のある言語なのでしょうか。ここでは、それぞれの言語を詳しく説明します。

C言語

古い部類のプログラミング言語であり、低水準言語(低級言語)として知られています。C言語の強みとしては、ハードウェアに近い次元で動くこと、自由度が高いことなどが挙げられます。システムに求める要件が単純であれば、高速な処理を安定して実行できるでしょう。また、C言語を学ぶと、プログラミングの基礎やOSの仕組みも知ることになるため、開発者としての基礎力が高まります。

C++

C++は、C言語に「オブジェクト指向」の要素を取り入れて機能を拡張した言語です。C言語よりも大規模かつ複雑なプログラミングに適しています。また、デバッグや改修はC言語よりも容易で、保守性が高いことも強みでしょう。C言語よりも扱いやすく、ハードウェアの細かな制御も可能なことから、IoT開発でも重宝されています。

アセンブリ言語

アセンブリ言語はプログラミング言語の中でも非常に長い歴史を誇り、ハードウェアを制御する力に優れています。コンピューターが直接解釈できる機械語を人が分かる言語に変換する役割を担っており、それゆえに「低級言語の王者」と呼ばれることもあるほどです。アセンブリ言語を学ぶことで、ほかの言語を使用する際にどういった命令を出すべきかのヒントを得られるでしょう。

Python

PythonはC言語やJavaに比べると制約が少なく、記述量も少ないことから、IoT開発でも人気を集めています。特にIoTデバイスに搭載されたセンサーから取得したデータの可視化などに使われることが多いでしょう。さらに、「Raspberry Pi(ラズペリーパイ)」などの小型マイコンボードを使用したシステムであれば、「MicroPython」を使うことで、より柔軟な開発が可能です。MicroPythonとは、C言語で書かれた処理をPythonで制御できるように最適化した言語です。

Java

Javaは、IoTデバイスのみならず、IoTを扱うシステム全体で使われている言語です。プラットフォームやOSに依存しない汎用性の高さが魅力であり、異なるOSが混在する環境でも容易に移植できる強みを持っています。また、ほかの高級言語に比べると動作が軽く、安定した処理実行が期待できます。IoT開発ではインターフェース開発などに用いられることが多いでしょう。大規模なIoT開発ならば、システムのどこかにJavaが使われている可能性も高くなります。もしすでにJavaを身につけているのであれば、IoT開発に参入する足掛かりとなるかもしれません。

R言語

R言語はデータ解析や統計に特化したプログラミング言語です。機械学習でも使用されるので、IoTとも相性の良い言語です。ただしほかの分野ではややマイナーな言語なので、情報が少なく習得が難しいという特徴もあります。また汎用性の観点でもたとえばWeb開発などではあまり使用されないので、優先順位としてはPythonのように汎用性、知名度が高い言語の方が習得メリットが大きいといえるでしょう。

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プログラマーが扱うプログラミング言語|種類別の特徴や選び方も解説

IoTシステム開発に必要な要素

IoTシステムはエンジニアにとっても特殊な技術領域です。どのように作るのか、何が必要なのかを知ることはとても大切です。ここでは、ネットワークやデバイスなどの必要要素を6つを挙げ詳しく解説します。ぜひ参考にしてみてください。

ネットワーク

IoTはモノをネットワークに接続する技術なので、ネットワークが必要です。ネットワークには、インターネットのような広範囲のものと、Bluetoothのような狭い範囲のものがあります。IoTはどちらのネットワークでも使われますが、ほかの技術と比較するとインターネットのような広範囲なネットワークを活発に利用していることが特徴です。

データ分析

IoTはモノをインターネットに接続し情報を収集することができる不可欠な要素です。IoTで収集した大量なデータはビックデータと呼び、そのままだと役に立たないのでAIなどの処理していく技術で分析し、使えるデータに変換する必要があります。

デバイス

デバイスとは、私たちが日常的に使うPCやスマホなどのデジタル機器や、それらに内蔵されるハードディスクやメモリ、デジタル機器に接続されるスピーカーやマウスなどを指します。IoTはモノをインターネットに接続するため、デバイスがなければ正常に作動しません。また、デバイスにも種類があり、それぞれ役割が違います。主なデバイスについて解説します。

センサー

センサーはモノに取り付けて情報収集するためのものです。たとえば脈拍数を測定するウェアラブルデバイスなどがありますが、これはセンサーで装着者の情報を収集しています。ほかにも、温度、位置、人感、振動、加速度、ひずみなどの情報をセンサーで取得できます。

ビーコン

ビーコンは、無線で発せられる電波や信号などで位置情報を得られるシステムです。
身近なところでいえば、タブレットやスマートフォンなどの端末でBluetoothをオンにしておくと位置情報が正確に把握できる例が挙げられるでしょう。

IoTゲートウェイ

IoTゲートウェイは、IoTにおいて端末とサーバがデータのやり取りをする際の中継点としての機能を持っている機器です。IoTの製品にはセンサーや高解像度カメラなどが搭載されていることが多く、これらで得た情報を送信するには充分な通信機能が必要です。IoTゲートウェイがあればセンサーなどに通信機能をつける必要性がなくなり、小型化ができます。

IoTシステムの開発の流れ

IoTシステムの開発はどのような流れで行われているのでしょうか。必要な流れを知ることは大切です。ここでは、基本的なシステム開発の流れを挙げているので、是非参考にしてみてください。

要件定義

要件定義とは、どのようなシステムを開発するのか、予算はどのくらいか、人員はどれだけ必要かを決定する作業です。開発チームのメンバーと、顧客で話し合って決めるのが一般的です。どのようなシステム開発でも、多くの場合最初に要件定義を行います。

設計

設計には大きく分けて、基本設計(外部設計)と詳細設計(内部設計)があります。基本設計はシステムの大枠の設計で、どのような機能が必要かをざっくりとまとめます。詳細設計はシステムの細部の設計で、具体的にどのようなプログラムを書くのかを細かく指定していくイメージです。

プログラミング

主に詳細設計の内容に基づき、プログラミングを行っていきます。詳細設計ではソースコードまで指定する場合も多いので、詳細設計が細かければ細かいほどプログラミングの工程は楽になる場合が多いでしょう。ただし、実際にプログラミングして設計通りにいかないこともあります。

テスト

テストは大きく分けて、単体テスト、結合テスト、総合テスト、運用テストの4つがあり、単体テストは単一の処理ごとに動作を確認し、結合テストは複数の処理を組み合わせて動作を試します。

総合テストでは、システム全体としてユーザーが要求している要件を満たしているかどうかを確認していき、運用テストでは実際の運用環境で正常に動作するかどうかを試行します。

IoT開発に求められるスキル・知識

IoT開発に求められるスキルや経験を知ることは、業務を行う上でとても大切です。では、どのようなスキルや経験が必要なのでしょうか。ここでは、4つ具体的に挙げて紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

電子回路とマイクロプロセッサの知識

IoT開発では、デジタルデバイスに搭載される制御用基板の設計・開発、制御用基板で動作するプログラムの開発・実装を行います。したがって、電子回路・マイクロプロセッサの基礎知識が必要となることが多いでしょう。

リアルタイムOSの知識

リアルタイムOS(以下、RTOS)は、組み込み開発で使用される特殊なOSです。一般的なPC用のOSよりもリアルタイム性を重視しており、決められた時間内に規定の処理を確実に実行するための機能が特徴です。代表的なRTOSとしては、「ITRON」「VxWorks」などがあります。RTOSはIoT開発でも用いられるため、RTOSに関する知識・経験があれば有利になります。

プログラミングスキル

IoT開発ではさまざまなプログラミング言語が使用されています。中でも、コアな部分を実装する「C言語」「C++」「アセンブリ言語」はIoTエンジニアにとって重要なスキルです。特にC言語は必須スキルといっても過言ではなく、IoTエンジニアを目指すならば必ず身につけておきたいところです。

マイコンボード、シングルボードコンピュータの操作スキル

IoT開発では、小さな基盤にPCと同じようなリソース(CPU、メモリ、ネットワークインターフェースなど)を配置したマイコンボードやシングルボードコンピュータが使用されます。そのため、これら超小型で制限が多いデバイスを効率よく操作するプログラミングスキルが求められるでしょう。

IoTエンジニアになるには?プログラミング勉強方法や目指し方

IoTエンジニアになるためには、スキルを身につける必要があります。特にプログラミングスキルは必須なので、自身に合った勉強方法を見つけて目指すことが大切です。ここではプログラミングスキルを身につける方法を紹介します。

入門者向けの教材で独学する

書籍、Webサイト、動画などでIoTエンジニアのための教材が用意されています。そして、教材の多くは入門者向けのものになっています。人気のある教材の中から自分に合いそうなものを選び、継続的に学習すれば必要スキルが身につくでしょう。

プログラミングスクールに通う

プログラミングスクールは充実しており、IoT専用のコース、もしくは身につけたいプログラミング言語のコースを選択して学習できます。近年はオンラインスクールの数も増えてきているので、通学するかオンラインで受講するか、ライフスタイルや予算に応じて決めましょう。

通学だと講師と顔を合わせて授業を受けることができるため、わからないことがあればその場ですぐに質問することができます。また、一緒に学ぶ人がいるので情報交換などで助け合うこともできるでしょう。

オンラインなら通学の時間がなくなり時間を有効活用しやすいです。また、動画教材が録画で用意されているタイプのスクールなら自分の好きな時間に学習を進められます。オンラインで講師に質問などもできるので、動画教材だけ与えられて独学するというわけではありません。

エンジニアとして実務経験を積む

ある程度のスキルを身につけたら、あとは実務を通してスキルアップを図るのがベストです。逆に言えば、手を動かさずにインプットばかりしていると一定以上スキルが上がらなくなってくるでしょう。

プログラミングはあくまでもモノづくりなので、知識を身につけることよりもその知識を使っていかに作り上げていくかが重要です。また細かい部分は、必要になったときに調べながら作っていけば問題ありません。

IoT開発に役立つ資格

IoT開発で役立つ資格を持っていると、転職の際にスキルや知識を証明でき役に立つでしょう。業務をするときにも役立ちます。ここでは、IoT関連の資格や検定を紹介しているので、自身のレベルに合うものを見つけて目指すことをおすすめします。

IoT検定

IoT検定制度委員会が主催する検定試験です。IoT検定制度委員会は、複数の業界団体・企業・有識者で構成されています。IoT・AI・ビッグデータなどの技術のほか、マーケットについての知識やスキル関連の検定を行う民間団体です。IoT検定では以下の2つの試験を提供しています。

IoT検定ユーザー試験パワー・ユーザー(IoT-PU)

IoT検定ユーザー試験パワー・ユーザー(IoT-PU)は、開発者向けの検定というよりIoTシステムを使うビジネスパーソンに向けた試験です。技術的内容よりも戦略立案やIoTプラットフォーム上での実務などが試験範囲です。

出題範囲はIoTを用いた戦略や産業システム、法令、ネットワーク、データ分析、IoTプラットフォームに関する知識などで、難易度はそれほど高くありません。

IoT検定レベル1試験プロフェッショナル・コーディネータ(IoT-PC)

IoT検定レベル1試験プロフェッショナル・コーディネータ(IoT-PC)は、IoT開発プロジェクトを主導できるレベルを目指す試験です。純粋な開発者向けの試験ではなく、現場のリーダー・マネージャークラスがターゲットです。IoT-PUよりも技術的な内容の比重が高い点が特徴です。

出題範囲は「戦略とマネジメント」「産業システム」「法務」「ネットワーク」「デバイス」など全8カテゴリーです。IT系資格試験の中では平均的な難易度といえるでしょう。

IoTシステム技術検定

モバイルコンピューティング推進コンソーシアム(MCPC)が主催する試験です。検定に必要なレベルとしては、IoTに関する基礎知識から、システム構築や活用に関するより実務的な専門技術まで難易度別に3つのグレードが提供されています。

IoTシステム技術検定 基礎(IoTアドバイザ)

IoTシステム技術検定 基礎(IoTアドバイザ)は、IoTを扱うビジネスパーソン向けの試験です。IoTに関する基礎知識を問う問題が多く、「構成と構築技術」「センサーとアクチュエータ技術と通信方式」「データ活用技術」「IoTセキュリティ」「IoTシステムのプロトタイピング」などのカテゴリーがあります。

IoTシステム技術検定 中級(IoTエキスパート)

IoTシステム技術検定 中級(IoTエキスパート)は、IoT構築に関する技術的知識の基礎が問われる試験で、「構成と構築技術」「センサーとアクチュエータ技術と通信方式」「データ活用技術」「IoTセキュリティ」「IoTシステムのプロトタイピング」などが出題範囲となります。

実際の開発に即した内容が多いため、IoTエンジニアとしての評価に結び付く可能性が高い試験です。実務経験を積みながら合格を目指してみてください。

IoTシステム技術検定 上級(IoTプロフェッショナル)

IoTシステム技術検定 上級(IoTプロフェッショナル)は、IoTを用いた専門サービスの構築に必要な知識が問われる試験です。システム企画・設計などを行う上流工程を担当するエンジニアが対象になるでしょう。

専門技術講習や論文試験が課されるため、難易度は高めです。

エンデベットシステムスペシャリスト試験(ES)

エンベデッドシステムスペシャリスト試験(ES)は、IPAが主催する高度情報処理試験のひとつで、IoT関連の試験の中では、難易度が高いです。テクノロジー・マネジメント・ストラテジーの各分野から満遍なく出題されるため、IPAの公式情報などを参照しながら勉強を進めてみてください。実務未経験の場合は、予備校の対策講座などを活用することも検討してみましょう。

IT系資格の中でも最難関レベルに位置し、合格率も10%台後半であることから、エンジニアとしての評価に結び付く資格です。

資格については、「IoTエンジニア向け資格4つを試験内容や難易度で徹底比較」の記事も参考にしてみてください。

IoT関連のプログラミング言語に関するよくある質問

IoT関連に興味を持つ方の中には、IoT開発に必要な言語やIoTエンジニアについて気になる方が多いようです。ここではIoT関連に関するよくある質問に答えています。同じような疑問を持つ方は参考にしてみてください。

Q1. IoT開発に必要な言語を教えてください

IoT開発に必要な代表的な言語は、「C言語」「C++」「Python」「Java」「アセンブリ言語」「R言語」の6つが挙げられます。開発の内容によって使う言語が異なるため、多くの言語の知識を身につけておくと役立つでしょう。

Q2. IoTエンジニアとは何ですか?

IoTエンジニアとは、モノをインターネットへ繋げるためのシステムやIoTを活用した製品を開発するエンジニアです。システムの企画、設計、開発、運用を行うので幅広い知識やスキルを身につける必要がある職種です。

まとめ

社会的にIoTが普及し始めている今、IoTエンジニアの需要も徐々に伸びています。IoT開発で用いられるプログラミング言語としてはPythonが有名ですが、C系言語の需要も高いことから、両方のスキルを身につけておくことをおすすめします。また、組み込みエンジニアと同様のスキルを求められることもあるため、電子回路やマイコンボードなど、プログラミング言語以外に関する知識・スキルも備えておきたいところです。

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