社内SEは自社システムの開発や管理などの役割を担う
社内SEは、自社システムの構築や運用・保守、IT資産の管理といった業務を担当する仕事です。社内システムやパソコンに関連する業務に取り組むのが基本的な役割ですが、システムエンジニアの業務と大きく変わりません。
社内システムの開発が行われる際は、社内SEが自ら開発に加わるパターンと開発を他社やフリーランスに外注(アウトソーシング)するパターンがあります。外注で開発を進める際は、社内SEが進捗や品質を管理する場合がほとんどです。
働く場所によっては社内IT環境の予算の管理や、社員から来る社内システムやパソコンに関する問い合わせの対応、IT機器の故障時の不具合対応など、ヘルプデスクの役割を社内SEが担うケースもあります。
SEやSES、SIとの違い
SE(システムエンジニア)は一般にソフトウェアの設計・開発に携わるエンジニアです。「社内SE」も「SES・SIに所属するSE」もSEの範疇に含まれます。SES(システムエンジニアリングサービス)やSI(システムインテグレータ)は、外部のクライアントからシステム開発を受注しますが、それに対して、社内SEは自社の内部でシステム開発・システム運用に携わります。
社内SEの仕事内容
社内SEは、基本的には社内で利用する業務システムの開発や運用、管理を行う役割をもつIT技術者です。また、間接部門として企業のIT予算・資産の管理や業務効率を高めるための企画提案なども行います。
そのほかにも、社員から寄せられるシステムに関する問い合わせ対応や情報セキュリティ対策など、幅広い業務を担当します。よって、社内SEは技術力だけでなく、コミュニケーションスキルやビジネス企画力も求められる職種です。
関連記事:社内SEの仕事内容とは?必要なスキル、役立つ資格も解説
社内システムの「開発」における社内SEの仕事内容
社内SEの仕事内容を領域ごとに分け、それぞれの役割について解説します。まずは社内システムの「開発」における社内SEの役割を説明します。
社内システムの評価、問題点の整理
社内システムの操作性や処理速度、コスト、不具合の発生頻度、各部門からの改善要求などを整理して改善するための評価を行います。定期的な評価・問題点の整理によって、社内システムの安定的な運用に寄与する役割を担っています。
新システムの導入における方向性の提案
評価にもとづいて、新規に導入するシステムで改善したい問題点や、求められる機能を明確化し、関係者に提案して承認を取ります。業務の改善や効率化を図るのが目的です。
サービス、ベンダー選定
導入する製品・サービスの開発ベンダーを選定します。状況に応じて最適な選定をするには、IT製品の幅広い知見や複数のベンダーの強みなどに精通しているのが望ましいでしょう。コンペを開催する場合も多く、労力の高い業務です。
予算計画の立案、予算管理
ベンダーの提案をもとに予算を算出し、社内で稟議を通します。このとき、予算はシステム導入にかかるコストだけでなく、その後のランニングコストも合わせて考える必要があるでしょう。ハードウェアは、リースやレンタルで用意する手段もあるため、資産管理や設置場所なども考慮してさまざまなパターンで予算を比較検討します。
発注、進捗管理
契約時には企業とベンダーとのあいだでトラブルが起こらないように、法務部や弁護士の力を借りて契約内容を精査するのが一般的です。発注後は、ベンダーから進捗報告を定期的に受け、必要に応じて社内の関係者への報告会を開きます。作業の遅れや追加作業の発生時には、契約内容を確認しつつ必要な追加予算の確保や納期の調整も行います。
導入
受入試験を行い、品質確認ができれば社内PCへのインストールなどの導入作業を行います。また、導入するITシステムやサービスには、業務パフォーマンスを上げる経費精算システムや、設備コスト削減を図るクラウドサービスなどが挙げられます。
社内への周知、教育
システム導入後、新システムへの移行タイミングや利用方法について周知し、社内に教育の機会を設けます。まったく新しいシステムを導入する場合、管理者・ユーザーそれぞれのマニュアル作成も必要です。
ソフトウエア開発
企業によっては、ベンダーにハードウェアなど一部だけを発注し、ソフトウェア開発を社内リソースのみで行うケースもあります。
近年では、クラウド型の業務アプリケーションを導入するケースが主流で、自社で開発するケースは少数になってきているといえるでしょう。自社で開発する場合は、上記で紹介してきた役割に加えて、要件定義、基本設計、詳細設計、コーディング、単体テスト、結合テスト、総合テストといった作業が発生します。
社内システムの「運用」における社内SEの仕事内容
次に、社内システムの「運用」における社内SEの仕事内容について詳しく説明します。社内SEは、運用方法の策定からマニュアル作成、そしてインシデントへの迅速な対応まで、多岐に渡る役割を果たします。
運用方法の立案・マニュアル作成
社内システムの利用方法や監視方法、メンテナンス方法などを立案し、具体的な方法をマニュアルに落とし込みます。社内の組織変更など、システム上の設定変更が多く生じる場合は、特に注意して運用計画を考えるのが大切です。
Wordなどで作成する場合もありますが、近年では、Q&Aやインシデント、ファイルの管理機能などを有するソフトウェアといった、クラウド型のIT運用支援ツールで運用内容や操作方法を管理するのが一般的です。
運用
マニュアルに沿ってシステムを運用します。具体的には、不具合発生時の応急対応やデータの復旧、サーバーの再起動、パフォーマンス監視などです。企業によっては、社内SEは直接関与せず、ヘルプデスクに運用を任せる場合もあります。
インシデント発生時の対応
システム運用中に、ウイルス感染やサイバー攻撃、そのほかのインシデントが発生した場合、応急対応と経営層への報告が必要です。その後、原因究明や対応策を検討し、必要に応じてベンダーやコンサルタントに支援を依頼します。
問題が収束した後は報告書を作って関係者に報告し、改善策の立案・実施を行わなければなりません。
こうした役割を担うため、社内SEにはセキュリティの知識・スキルがあると望ましく、インシデント対応では社内でリーダーシップを発揮する必要があるでしょう。
そのほかの社内SEの仕事内容
社内SEが担当する「開発」「運用」以外の、そのほかの業務について説明します。社内SEは、ITトレンドの学習・研究を行いつつ、ヘルプデスクやIT資産管理、IT予算計画の策定と管理など、さまざまな業務に取り組みます。
ITトレンドの学習・研究
社内SEは、社内の業務改善やコストダウンなどのために、最新のIT利活用を推進する立場です。そのため、展示会や情報誌でITトレンドや最新技術の動向を把握するのも役割の1つでしょう。また、最新技術を把握するだけでなく、今後の潮流を見据えたスキル習得も大切です。
ヘルプデスク
業務システムやオフィス製品、OA機器などに関する社内からの問い合わせに対応します。規模の小さい企業では、社内SEが一人しかいないために、システム開発から運用、ヘルプデスク対応まで行わなければならない「一人情シス」といわれるケースも多々あります。一方で、年商が数十億円以上の企業では、業務が分業されているケースが多く、社内SEに求められる役割すべてを一人で担当するケースは稀でしょう。
IT資産管理
社内のサーバーやネットワーク機器、社用パソコンなどのIT資産を管理します。社内SEの具体的な役割は、IT資産額の集計や報告、インストールメディアやダウンロードコンテンツ、ソフトウェアライセンスの割当状況、クラウドサービスのライセンス数、保守契約の状況などの管理です。多くのIT資産の償却年数は5年ですが、3年、4年のものもあり毎年状況が変わります。
IT予算計画の立案と管理
現行システムの維持、一時的に発生する保守費用、システム開発のために必要なコストを算出して予算計画を作ります。予算計画作成後は、経営層に次年度のIT計画と予算案を説明し、承認を得なくてはいけません。そして、承認された計画をもとに執行し、日々の予算進捗状況を管理します。
社内SEに求められる知識・スキルとは
ここでは、社内SEに求められる知識・スキルとして以下の7つを紹介します。
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1. 業務・業界に関する知識・スキル
2. プロジェクトマネジメントスキル
3. IT戦略の企画・立案に関するスキル
4. 社内システム構築ができるスキル
5. 社内システム保守運用に必要なスキル
6. 臨機応変に対応できるスキル
7. セキュリティ対策への深い知識
それぞれの知識・スキルについて順番に説明します。
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社内SEに必要なスキル!SEとの違いや役立つ資格も解説
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1. 業務・業界に関する知識・スキル
システム開発・導入の主要な目的は、経営課題や業務課題の解決です。そのため、システム開発に携わる社内SEには業務知識の理解が求められます。さらに、経営課題の解決策をシステムを通じて実現するには、自社が属する業界の慣習やビジネス環境を深く理解することも必要です。したがって、社内SEには業界知識も求められます。
2. プロジェクトマネジメントスキル
システム開発・導入は一般的にプロジェクト形式で進められます。したがって、社内SEはプロジェクトマネジメントのスキルをもつ必要があります。これは、プロジェクトを社内で完結させる場合でも、外部にアウトソーシングする場合でも同様です。作業の進捗を管理したり、ステークホルダーと調整したりする役割を社内SEが担います。
3. IT戦略の企画・立案に関するスキル
社内SEはIT戦略の企画や立案を行います。具体的には、まず社内業務の改善や経費削減、効率アップなどの経営面を踏まえた社内システムを検討します。そのうえで、開発・導入するシステムの概要やスケジュール、予算などを企画案として作成し、経営層に提案します。IT戦略の企画・立案は、マネージャー以上の役職が担当する場合が多いです。
4. 社内システム構築ができるスキル
社内システムを構築するのも社内SEの仕事なので、構築に関する知識・スキルの習得も必須です。
社内システムを提案する際には、どのようなシステムが必要なのか調査・分析し、プロジェクトの企画を立案します。プロジェクトの企画が通ると、要件定義や設計、開発といったシステム開発の全工程で携わることになるため、プログラミングスキルやITインフラ系の知識、UI/UXデザインの知識などが必要です。
5. 社内システム保守・運用に必要なスキル
制作・導入したシステムの運用・保守に関するスキルも社内SEに必要なスキルの1つです。社内システムの構築・導入の完了後は、運用・保守がメイン業務になります。主にサーバーやパソコン、ネットワーク、ソフトウェアなどの運用・保守を行い、システム障害の対策を講じるのが社内SEの役割です。システムやインフラ部分に関する知識、障害対応のスキル、コミュニケーション力といったスキルが求められます。
6. 臨機応変に対応できるスキル
社内SEは突発的なシステムトラブルの発生や各種問い合わせなど、予定外の対応が求められる仕事です。そのため、あらゆる業務に対して臨機応変に対応できるスキルが必要になります。限られたリソースをどのように配分するか、リスクヘッジを踏まえた上でスケジュール管理が行えるかなど、不測の事態に備えて業務を遂行できる能力を身につけておきましょう。
7. セキュリティ対策への深い知識
社内システムのウイルス対策ソフトの導入やアップデート、不正アクセスの監視などのセキュリティ対策スキルも社内SEには必要です。多くの企業で、社内の機密情報や顧客の個人情報などの重要データが保存されており、セキュリティ対策が欠かせません。
万が一これらの情報が流出すると、金銭的な損失や企業の信用問題に関わるなど大きなトラブルに発展するでしょう。このような事態にならないためにも、社内SEはセキュリティに関する深い理解と適切な対策を講じるスキルが必要です。また、社員向けにセキュリティ対策に関する通知や教育をする場合もあります。
社内SEの将来性について
社内SEへの就職・転職を検討する際に重要なのが将来性でしょう。結論、社内SEは今後も需要が高くなる職種だと予測でき、将来性があるといえます。IT機器や自社システムなどを活用する企業が増えており、IT化は今後も進んでいく見込みです。その中で、IT環境の導入や開発、運用・保守を行う社内SEの役割はますます重要性が高まります。
関連記事:社内SEの将来性は?仕事内容や平均年収とキャリアパスも紹介
多様性が重宝される
社内SEの基本的な仕事は自社システムの構築や運用・保守ですが、今後はより一層、幅広い知識やスキル、経験を活かした働き方が重宝されます。企業によっては、社内SEがヘルプデスクや社内インフラ整備などの業務を行う場合もあるでしょう。
このような多様性を身につけるには、自主的に幅広い知識やスキル、経験を得る必要があります。他職種での業務経験や知識・スキルも上手く活用できれば、社内SEとして活躍していけるでしょう。
リモートワークの普及に伴い需要が拡大
多くの企業でリモートワーク化が進んだことにより、社内SEの需要がますます拡大しています。しかし、リモートワークの採用における課題もあり、中でもネットワーク環境の整備やパソコン、スマホなどの社用IT機器の確保・整備などは、多くの企業が頭を抱えるところです。
また、リモートワークに伴って、セキュリティ対策やクラウド活用などのIT環境の整備も重要性が高まっています。これらの課題解決を社内SEが担っていくと予想でき、将来性は高いといえるでしょう。
社内SEのメリットとデメリット
社内SEには、メリット・デメリットがどちらも存在します。たとえば、エンジニアとしてあらゆる分野・領域の開発プロジェクトに関わり経験を積んでいきたい場合、社内SEになるのは好ましくありません。逆に、上流工程や業務システムなどに絞って経験を積み知識を深めていきたい場合には、社内SEがおすすめです。
メリット・デメリットを踏まえた上で就職・転職を検討すれば、その後の後悔やミスマッチを減らせるでしょう。ぜひ参考にしてください。
関連記事:
社内SEのメリット・デメリットは?院内SEも含めて解説
社内SEが簿記を取得するメリットは?勉強方法なども紹介
社内SEのメリット
社内SEになるメリットには以下が挙げられます。
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・上流工程に携わることができる
・業務知識が身につく
・ベンダーマネジメントの知識が身につく
・業務システムの知識が身につく
1つずつ解説します。
上流工程に携わることができる
社内SEは自社システムの開発全般の業務に携わり、企画の立案や要件定義などの上流工程から業務を行います。プロジェクトの上流工程に携わりたい方には大きなメリットになるでしょう。また、上流工程ではプロジェクトの方向を決定したり、場合によってはクライアントと折衝したりと下流工程と比較して責任が大きいので、給与面で優遇される傾向にあります。
業務知識が身につく
社内システムの開発・運用・保守に携わっていると、自然と幅広い業務知識が身につきます。プロジェクトによって仕事内容は多岐に渡り、基幹システムやマーケティング、人事、生産管理などの知識が身につくでしょう。
社内SEとして必要な業務知識を身につけると、社内での評価が上がってキャリアアップできたり、将来的にキャリアチェンジする際にも有利に働いたりします。また、ゼネラリスト的な働き方をしたい方にも利点といえるでしょう。
ベンダーマネジメントの知識が身につく
社内SEはITベンダーに発注する立場であるため、契約管理やパフォーマンス管理などのベンダーマネジメントの知識・スキルも身につけられます。ベンダーマネジメントはベンダーのパフォーマンスを最大化し、プロジェクトを成功させるのが目的です。
プロジェクトでは、ベンダーに依頼したきりでその後関与していないと、思ったような成果物に仕上がらなかったり、予期せぬトラブルに発展したりといった事態が起こりかねません。そのため、社内SEはベンダーと上手くコミュニケーションをとりながら、プロジェクトをしっかり管理していく必要があります。
ベンダーマネジメントの知識も、評価アップや就職・転職で有利に働くので、身につけるとメリットになるでしょう。
業務システムの知識が身につく
業務知識に付随して、基幹システムやグループウェア、会計パッケージなどの業務システムに関連する知識も身につきます。企業によっては、CRM(顧客関係管理)やMA(マーケティングオートメーション)などのマーケティング系のシステム開発や運用・保守にも携われる場合もあります。
業務システムの知識を深めておけば、ヘルプデスクの業務を行う際にも役立つでしょう。また、ここまで紹介したスキルや知識と同じく、習得しておくと評価アップにつながります。
関連記事:
社内SEが「人気・勝ち組の職種」と呼ばれる9つの理由
社内SEが「楽な職種」と言われる5つの理由
社内SEのデメリット
社内SEになるデメリットには以下の4つが挙げられます。
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・企業次第で開発実務に携わることができない
・コスト部門とみなされてしまう
・ヘルプデスク業務になるケースもある
・開発をしたい人には物足りなさを感じる場合がある
メリットとあわせて検討し、社内SEが自分に合った職業なのか検討してみてください。
企業次第で開発実務に携わることができない
社内SEでも働く場所によっては、サーバー構築やプログラムの実装といった開発実務を外注しているケースがあり、開発に携われない場合があります。開発を外注している企業の社内SEの主な業務は、IT戦略の企画やマネジメントなどです。開発まで担当したい方にとってはデメリットになるでしょう。
社内SEとして自社システムの開発に携わりたい場合は、就職・転職を検討している企業で開発実務を外注していないか事前に確認しておくことを推奨します。
コスト部門とみなされてしまう
社内SEは企業の情報システム部門の担当者になるため、管理部門として扱われる場合があります。つまり、企業に直接利益をもたらす部門ではなく、人件費がかさむコスト部門とみなされがちです。
コスト部門とみなされるデメリットには、営業や製造部門と比較して評価が上がりにくかったり、他部署と比べて賞与の割合が低かったりすることが挙げられます。年収や評価アップを積極的に狙いたい方にはデメリットです。
企業規模が大きいほど待遇が良い傾向にあるため、社内SEとして年収や評価アップを狙うなら、そういった就職・転職先を検討すると良いでしょう。
ヘルプデスク業務になるケースもある
企業によっては社内SEの数が非常に少なく、社内SEがヘルプデスクの役割を兼任するケースがあります。自社システムの開発や上流工程に携わりたい方にとって、ヘルプデスクの業務がメインになるのは不本意でしょう。特に、ヘルプデスクの業務はトラブル対応や問い合わせ対応など、ストレスを抱えやすい業務が多いです。人によっては仕事を続けるのが難しく感じるでしょう。
ヘルプデスクとしての業務がまったくない企業は比較的少ないですが、自社システムの開発や運用・保守の業務をメインに仕事ができるかどうかは、働く前に確認しておきたいポイントです。
関連記事:社内SEとヘルプデスクの違い
開発をしたい人には物足りなさを感じる場合がある
技術志向の人にとって、社内SEの仕事は退屈に感じるでしょう。なぜなら、つねに新しいシステムの開発に情熱を傾ける人にとって、社内SEの役割は多岐に渡り、ときには雑多な作業も求められるからです。
社内SEは、社内システムに対して多面的なサポートを提供する役割があります。そのため、パソコンを初めて使う人に対して使い方を指導するなど、開発からかけ離れたさまざまな業務に従事するでしょう。また、新規システムの開発に比べて、保守や運用管理にウェイトを置く場合もあります。
これらの要素を考慮し、自身が社内SEの役割に適しているかを検討しましょう。
社内SEの平均年収について
社内SEに限った平均年収に関する公的なデータがないため、近いと考えられる厚生労働省が発表した「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、システムエンジニアの平均年収は約654万円です。平均年収は、職業分類「システムコンサルタント、設計者」の「(所定内給与額)×12ヶ月+(年間賞与その他特別給与額)」で算出しています。
また、2024年6月現在でレバテックキャリアに登録されている社内SEの転職求人情報を見てみると、社内SEの平均年収は約649万円でした。上記のシステムエンジニアとほぼ変わらない年収といえます。ただし、募集企業ごとに約300〜2,000万円と年収に大きな幅があります。つまり、経験やスキルによっては、平均年収を下回る場合もあれば上回る場合もあるでしょう。
社内SEの求人・転職情報>
社内SEの求人例
ここでは、2024年6月現在でレバテックキャリアに登録されている社内SEの求人例を紹介します。求人情報には、仕事の特色や働き方、求められるスキルなどが掲載されているため、実際の社内SEの業務内容や役割をイメージする際に役立ちます。以下は、あくまでも数多くある求人情報の中の1例です。
【想定年収】
500~700万円
【業務内容】
社内システムの運用・保守や改善に向けた取り組みに挑戦いただける社内SEを増員いたします。事業拡大に合わせ協力しながら、今後の情報体制を一緒に考えるITコンサルタントのような働き方をしていただきたいです。
【具体的な仕事内容】
・社内ITインフラストラクチャの整備と新しい技術の導入検討
・サーバ、ネットワークなどの設計/構築/保守
・社内システムの運用保守とトラブルシューティング
・社内システムの運用状況の監視と維持管理
・社内インフラ環境の整備と構築/改善
【仕事の特色】
2名体制で、メンバーと連携しながらネットワークやセキュリティの改善に注力していただきます。
【求められるスキル・経験】
・社内システム、ネットワークなど、社内インフラ全般の管理経験(3~5年程度)
・戦略的な視点を持ち、コンセプトからコピーまで一貫して考えられる方
・スピード感や裁量を持って仕事がしたいと考えている方
・創意工夫し、提案や考察をすることが好きな方
【働き方】
・一部リモート
・9:00~18:00 フレックスタイム制
未経験からの社内SEの目指し方
未経験から社内SEを目指すなら、基本情報技術者試験などのシステム開発の基礎知識を証明する資格を取得するのが有効です。社内SEへの転職にはITに関する知識やスキルを持っているほうが有利です。また、資格は知識やスキルの証明にもなります。
経営層への提案やプロジェクト管理などの経験がある場合は、採用担当者に積極的にアピールしましょう。社内SEには情報システムの企画・開発において、経営陣への提案やプロジェクトマネジメントスキルが役に立つ場面があります。
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社内SEからのキャリアパス
社内SEからのキャリアパスとしては、リーダーやマネージャーへのキャリアアップやセキュリティエンジニア、ITコンサルタントなどへのキャリアチェンジが挙げられます。
実務経験3年を目途として、自社に残る場合は管理職への昇進を目指すのが無難です。リーダーシップスキルを磨けば、部門やプロジェクトのマネージャーとしての役割を担うポジションを目指せます。また、転職・独立する場合、技術的スキルを磨くとセキュリティエンジニアやITコンサルタントへ転身できるでしょう。
関連記事:社内SEのキャリアパス!具体例やキャリアアップ転職のコツを解説
リーダー、マネージャー、管理職などへのキャリアアップ
リーダーシップスキルを磨くと、社内SEのリーダー職やマネージャーが目指せます。実際の業務での成果や同僚や上司からの高い評価がキャリアアップにつながります。したがって、ITのスキルや知識とともに、リーダーシップやマネジメントについてのスキルを身につけると良いでしょう。
セキュリティエンジニア、ITコンサルタントなどへキャリアチェンジ
社内SEからセキュリティエンジニアやITコンサルタントを目指す道もあります。
セキュリティエンジニアは、企業の情報資産を不正アクセスや情報漏洩から守るのが役割です。自社の機密情報を守る使命は社内SEと通ずるものがあります。したがって、セキュリティ関連のスキルを身につけてセキュリティエンジニアを目指すキャリアパスは非常に有望です。
また、ITコンサルタントは顧客企業にITの効果的な活用に関するアドバイスを行う職種です。社内SEとして経験を積んで、システム開発やITプロジェクトを通じて経営問題を解決する能力を磨けばITコンサルタントに転職できます。
社内SEに関するよくある質問
社内SEへの転職を考えている方から寄せられるよくある質問を紹介します。特に、仕事内容、SEとの違い、情シスとの違いなどについての質問が多いので、これらに対する回答を以下にまとめました。多くの人に共通する質問なので、自身の疑問と同じような質問があれば、ぜひ参考にしてみてください。転職活動を始めるまでには、あらゆる疑問を解消しておくと良いでしょう。
Q1. 社内SEは何をする職種ですか?
社内SEは、自社のシステム開発や構築後の運用・保守、ITインフラの整備、ヘルプデスク業務などを行う仕事です。社内システムの開発については、社内SEが自ら開発に携わるパターンと開発業務を他社やフリーランスに外注するパターンがあります。外注で開発を進める場合は、社内SEが進捗管理や品質管理を行います。
Q2. 社内SEとSEの違いは何ですか
SE(システムエンジニア)は一般にソフトウェアの設計・開発に携わるエンジニアです。また、社内SEもこの定義に含まれます。しかし、社内SEは開発業務をメインとせず、業務効率化のためのシステムやツールを提案したり、社内のIT資産を管理したりするのが主業務で、ときにはヘルプデスクの役割も担います。
関連記事:社内SEとSEの違いは?仕事内容や必要スキルを徹底比較
Q3. 社内SEと情シスの違いを教えてください
社内SEはエンジニアの「職種」で、情シス(情報システム部)は「部署」を表しています。比較的大規模な企業では社内システムを管理する部署として情シスが設置され、そこでの社内SEの所属は情シスです。しかし、小規模な会社では情シスがなく、総務部などに所属している社員が社内SEの役割を担うケースがあります。
まとめ
この記事では、社内SEの仕事内容や求められる知識・スキル、メリットとデメリット、将来性やキャリアパスなど幅広く解説しました。
IT企業に勤めるSEと異なり、社内SEはシステム評価や改善立案、予算管理、ベンダーマネジメントなど上流工程に関する役割が多い特徴があります。また、企業によってはECサービスの運用(画像やテキストのアップロード)やデジタルマーケティング、経営企画(ITを活用した改善提案やビジネス企画など)まで担うケースもあります。
企業によって社内SEの業務内容は大きく異なるため、就職・転職をする際は求人情報をしっかり確認した上で応募してください。
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