SIerに将来性はある?なくなるといわれる理由と対策を解説

最終更新日:2024年10月16日

現在も日本国内では、大手SIerが企業のITシステム開発の多くを担っています。しかし近年、このSIerの将来性について悲観的な声も見られるようになりました。果たして本当にSIerの将来性は低いのでしょうか。

SIerへの転職・就職を検討しているが将来性が不安と思われている人や、このままSIer業界に居続けていいのか不安に感じている現役エンジニアに向けて、SIerの将来性をさまざまな角度から整理・分析していきます。

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この記事のまとめ

  • 複数のハードウェア・ソフトウェアなどを用いて、部門横断型の汎用的なITシステムを生み出す業務を提供する事業者が「SIer」と呼ばれる
  • クラウドの普及や慢性的な高コスト体質などよりSIerは将来性がないという見方もある
  • 一方で公共機関や金融機関などの大型プロジェクトはSIerの需要が大きく、SIerを続けるには活動する分野選定が重要視される

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SIer(システムインテグレーター)とは?わかりやすく解説

複数のハードウェア・ソフトウェアなどを用いて、部門横断型の汎用的なITシステムを生み出す業務のことを「SI(システムインテグレーション)」と呼びます。そのSI業務を提供する事業者が「SIer(システムインテグレーター)」です。SIerは端的にいうと、「クライアントの要望に応じてソフトウェアの設計や運用、コンサルティングまでさまざまなITサポートを請け負う企業」を指します。

まずはSIerの概要からチェックしていきましょう。

30年以上の歴史

SIerは90年代に政府の主導により生まれた業界です。90年代に大規模なシステムの需要が高まったことから、多くのSIerが誕生することになりました。現在も当時から稼働している、官公庁や金融機関のITに関するプロジェクトが複数存在します。

2000年代のITバブル崩壊以降、多くの企業は自社の情報システム部門をSIerに売却することになります。これにより他業界から派生したSIerも増えていたのです。

SESやSEとの違い

SESはシステムエンジニアリングサービス、SEはシステムエンジニアの略です。SESはエンジニアを雇用している企業が顧客と契約し、エンジニアの労働時間を提供するサービス形態です。一方でSEはあくまでも職種であり、SIerとは明確に異なります。

SESとSIerは近いですが、SIerのほうが関わる業務の幅はより広義です。システム開発を請け負っている企業全般がSIerに該当します。そのSIerの中でシステムエンジニアリングサービスに特化している企業がSESに当たります。

SIerの種類

SIerにはいくつか種類があり、ビジネス領域によって5種類に分けられます。それぞれの分類によって特徴や働く環境に違いがあり、転職の際には向き不向きを検討するために把握しておくことをおすすめします。

  • ・メーカー系

    ・ユーザー系

    ・独立系

    ・コンサル系

    ・外資系

それぞれの分類について詳しく知りたい方は、関連記事もご覧ください。ここからはSIerの5種類の特徴を紹介します。

関連記事:SIとは?事業や仕事内容。工程ごとの業務をわかりやすく解説

メーカー系

メーカー系は、ハードウェアなどのメーカーがソフトウェア部門を独立させたSIerです。独立したSIerは、元の企業が親会社になります。そのため、親会社の下請けになることが多いです。具体的な企業としては、日立系、NEC系などの企業が該当します。

ユーザー系

ユーザー系は、システムユーザーとなる企業である金融機関などがシステム部門を独立させてできたSIerです。親会社のシステム開発がメインになるので、親会社の業務システムに特化するという特徴があります。

独立系

独立系はメーカー系にもユーザー系にも属さず、独自に設立されたSIerです。独立系SIerは数が多く、様々なプロジェクトに参画しているケースが多いです。いろいろなプロジェクトに参画できることは、経験を積むのに役立ちます。

コンサル系

コンサル系SIerも親会社が存在せず、コンサルそのものに強みを持つSIerです。上流工程のみ携わる場合が多く、一般的なSIerとは異なります。具体的な企業としては、野村総合研究所、日本総合研究所、アビームコンサルティングなどが該当します。

外資系

外資系SIerは海外に拠点を置くSIerを指す分類です。日本と比べると海外にはSIerに特化した企業はまだ少なく、たとえばハードウェアなどを販売しながらSIerとしての業務も行っているといったケースが多いです。

関連記事:外資系SIerの企業例9選!年収、メリットやデメリットも解説

SIerの仕事内容

SIerの仕事は担当するクライアントとなる他企業に対して、システム開発を含むITソリューション全般をサポートする役目を持ちます。開発の工程を細かく分類すると、要件定義・設計・開発・運用が挙げられます。

また、開発だけでなくシステム運用やコンサルティングなど、さまざまな分野を総合して担当するため幅広い業界知識を求められると考えておきましょう。ITSIerの中でも大手企業は上流工程を担当することが多く、下請けの中小企業は主に下流工程を担当することが多いです。

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SIerの将来性が「ない」といわれる理由

SIerの将来性については、ここ数年のあいだで将来性を疑問視する声が増えてきました。その理由として挙げられるのは「クラウドの普及」や「SIerを雇うと慢性的な高コストが気になる」「エンジニア不足によりSIerの人数と質が保てなくなるから」などがあります。

問題点について解説します。以下で挙げる理由は概ね事実ですが、後述する通りSIerがなくならない理由もあります。SIerは短所も目立つものの、長所もある業界といえるしょう。

クラウドの普及

クラウドサービスの成熟は、SaaS・IaaS・PaaSといったプラットフォームから、インフラ構築をサービス化しました。あらゆるシステムがクラウド上に容易に構築できるようになり、ゼロベースでのスクラッチ開発が不要の時代に突入しています。日本の大手SIerが得意としてきた、独自で決めた仕様によるスクラッチ開発は需要自体が低下しているのです。

慢性的な高コスト体質

Slerは大手になればなるほど発注コストが高くなり、一定以上の規模感を持つプロジェクトでなければ採算が合わないのが実情です。しかも多大なコストを投じて作り上げたシステムが、見合った効果を発揮してくれるとは限りません。

現代は小さく作って頻繁に試行しながら、状況に応じて組み替える「スモールスタート」や「マイクロサービス」がトレンドです。このようなトレンドとSIerのビジネスモデルがマッチしていないことも、将来性を危惧される要因のひとつでしょう。

「創発型」の高付加価値な提案がしにくい

これまで国内のSIerはクライアントの要望に基づいて仕様を決定し、要望を忠実に実現したシステムの構築をおこなってきました。そのためSIer発信での企画や、付加価値の高い企画の提案という事業はあまり実施しない文化でもあったのです。

そもそも国内企業にとってそのような需要が少なく、日本ではそのような風習や文化がなかったともいえるでしょう。そのため、現在でも創造型の高付加価値のある提案がしにくいという事情があります。

エンジニア不足による「動員力」の低下

SIerの強みのひとつに「動員力」があります。これまではITエンジニアをスピーディーかつ大量に調達できていたため、大規模な案件をいくつも抱えることができました。しかし現代ではITエンジニア不足が深刻化しています。

みずほ情報総研の調査によれば、2030年時点で最もIT需要の伸びが小さい場合でも約16万人のエンジニア不足になると予測されています。さらにIT需要が2~5%伸びる中位シナリオでは約45万人、3~9%伸びるシナリオでは約79万人が不足するとの試算もあるほどです。こうした調査結果の影響からか、SIerはこれまでのように「動員力」を発揮できなくなり、徐々に優位性を失っていくという見方が強まっています。

リカーリングビジネスの減少

リカーリングビジネスとは「継続的な収益をもたらすビジネス」を指します。IT業界は華やかな開発フェーズのみに目を奪われがちですが、本当の旨味は開発終了後の「運用保守フェーズ」にあると言えます。

SIerは自らが手掛けたシステムの運用保守を担い、継続的な収益の柱としていました。つまりリカーリングビジネスが、SIerの収益基盤を支えていたのです。しかしクラウドサービスやパッケージソリューションが普及すれば、運用保守は内製化されリカーリングビジネスの割合は減少します。これはSIerの収益基盤の弱体化につながりかねません。

海外にはSIerの構造がなく海外進出しにくい

企業がSIerにシステム開発をまるごと外注して、運用から保守まで一括して依頼するビジネスモデルは日本特有です。海外にはそのようなビジネススキームはあまり見られないため、日本のSlerは海外進出がしにくいという事情があります。

グローバル社会をリードしているIT分野において、国内でも海外のIT企業が進出することは珍しくありません。海外のビジネスモデルが日本でもスタンダードになれば、Slerそのものがガラパゴス化してしまう可能性も危惧されるでしょう。

多重請け構造への問題視

SIer業界は多重請負構造になっています。大手SIerが中小SIerに仕事を流し、さらに零細SIerに仕事が流されるというイメージです。三重請け、四重請けになっているケースも珍しくありません。そしてこのような多重請負構造は法的にはグレーゾーンであり、解決すべき課題もたくさんあります。そのため、問題視されることが多いのです。

法的な問題だけでなく、下流で仕事を請けている企業に負担が集中し、結果的にブラック企業になってしまうことも考えられるでしょう。具体的には業務量に対して中抜きされた分収入は少ないという状況が続いています。

年功序列制による若い世代の働きにくさ

IT業界は若い人材が多いですが、SIerは歴史がある分年齢層が高めの傾向にあります。その結果、年功序列制が比較的残っている業界であり、参入し始めた若い世代にとって働きにくさを感じることもあるでしょう。一部の企業ではありますが、人材育成が間に合わず、若い世代の入れ替わりが激しいところもあります。

また年収面でも懸念すべきポイントがあります。年功序列で年収が決まる企業だと若い人材には「年収アップ」の期待がしにくく、働きにくいと感じるかもしれません。

優秀な人材がSIer離れしつつある

顧客である企業が求めるシステムの開発においては、顧客都合でスケジュールが決まることがめずらしくありません。そのため十分な開発期間が確保できず、仕事量や労働時間が過重になりがちです。
その影響は下流工程になればなるほど、下請け企業に影響する傾向も見受けられます。

このような多重受け構造では、業務内容や年収といった面で差が出てしまいます。SIerはシステム開発を企画から請け負っていますが、担当業務の多くは資料作成やマネジメントになるため、開発現場で求められるプログラミングスキルはあまり身につきません。したがって、スキルを磨いてキャリアアップを図る人材はSIerから離れてしまい、優秀な人材は転職が多い傾向にあるのもSIerの将来性を考えるポイントの1つになります。

開発スキルを身につけにくいケースが多い

SIerはシステム開発が事務作業かされている場合が多く、役割分担が進んでいます。またソースコードも定型のものが使われていて、自由に設計やコードを考えるのではなく現場の規約に合わせてルール通りにプログラミングしていく場合が多いでしょう。

上記のような作業が中心になると、開発スキルというよりはSIerでの事務的なスキルが身につく傾向があります。また上流工程を担当するようになるとより一層開発からは離れるので、開発スキルを身につけにくいということです。

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今後もSIerはなくならないといわれる理由

SIerの将来性については、確かに不安材料も多くみられます。しかし現時点でSIerの業績は好調です。実際に矢野経済研究所の調査を参考にすると、2023年度のIT市場規模は前年度比5.4%増となっており、SIer市場は拡大傾向にあると考えられます。

少なくとも、たとえば数年後にSIerがなくなるといったことは考えにくいです。また徐々に縮小していく可能性はあるもののそうはならない可能性もあり、縮小するにしてもペースは緩やかだと考えられます。
ここからはSIerの将来性について、前向きな意見を中心に傾向をチェックしていきましょう。

大型案件はSIerの独壇場

政府系機関や公共性の強い事業者や、金融機関などの大型プロジェクトはSIerでなければ受注できないのが実情です。官公庁や金融機関などのシステムはセキュリティ面が特に重視されるため、信頼・実績のあるSIerでなければ受注が難しいのが現状といわれています。

このような大型案件はほぼ定期的に発生するため、安定的に一定の需要が見込まれます。

「2025年の崖」に代表される旧システムの移行問題

経済産業省が公表した2025年の崖にもあるように、レガシーシステムの老朽化は経済損失をもたらすリスクを持ち合わせています。こうしたリスクを避けるためにも、今後数年で基幹システムや業務システムが新システムへと移行していくでしょう。システムのマイグレーションは大規模プロジェクトになることが多く、調整を行いながら豊富な人員を投入できるSlerの力が必要不可欠です。

大規模システムはクラウド化が難しい

システム規模が大きくなればなるほど、すべてをクラウドに移行することは困難です。オンプレミス環境は減少傾向にはありますが、事業の専門性や継続性など考慮するとクラウドにはないメリットもあります。実際にクラウドとオンプレミスのハイブリッド環境で構築されるシステムを構築することもめずらしくありません。このような環境の構築や保守運用は、SIerの存在なしでは現実的ではないでしょう。

システムの需要がなくなることはない

多くの日本企業が運用するITシステムは導入からかなりの年月が経過しているため、今となってはレガシーな技術で動いているシステムが数多く存在します。そのため最新技術を導入しにくく、引き続き古い技術を採用するケースも少なくありません。古いシステムを更新しながら運用しなければならないことも多いため、SIerの需要は今後も続くことが予測されます。

DX需要の増加

多くの企業が高効率・高付加価値経営を目指すべく、DX(デジタルトランスフォーメーション)の導入が加速しています。DX需要の増加に対応すべく、CRM(顧客管理システム)やMA(マーケティング活動の自動化ツール)などのパッケージソフトが広く普及してきました。このような企業向けツールの導入においては、SIerの存在を発揮できるジャンルでもあります。

このようなパッケージソフトのソリューションは、スクラッチ開発の独自システム開発事業から今後置き換わっていくでしょう。つまり既存の独自システムを導入したSIerが、スクラッチ開発のノウハウを活用してパッケージソフトの導入を担うケースが想定されます。

プラットフォーマーへの転換

国内事業だけでなく、海外で新たなビジネスを立ち上げるケースも見受けられます。例えば海外で決済システムのプラットフォームを構築し、プラットフォーマーを目指しているSIerも存在します。これまでの「受託者」とは全く別のポジションを狙い、収益を確保しようという試みです。

関連記事:SIerの志望動機の書き方と例文!書く時のポイントと注意点も解説

中小SIerは生き残り戦略を見直す時期

中小のSIerはもともと身軽であるというメリットがあります。そのため大手SIerの下請けとしてプロジェクトに参画するだけでなく、並行して自社開発などを行っているケースも少なくありません。ひとまずは下請けSIerで収益を出し、並行して自社サービスを開発することで収益を伸ばしていくというスタンスです。

中小SIerの活動の幅は今後より広がっていくことでしょう。SIerへの転職を考えているエンジニアは、転職先企業が大手SIerの下請けだけを行うところか、自社でのシステム開発やアプリ開発、そのほかプロジェクトのマネジメント業務などに乗り出していく傾向にあるかを見極め、自身のキャリアプランも見据えて適した企業を選ぶことをおすすめします。

求人はまだまだ安定して多い

SIerの求人数はまだまだ安定しています。SIerの業態が不安視されることはありますが、SIer市場自体は拡大傾向です。特に金融業界、公共機関では安定してSIerの需要が見込まれます。SIerに投入される予算が縮小する可能性はありますが、需要は安定しているので仕事がなくなることは考えにくいでしょう。

レバテックキャリアで募集中のSIer求人数は6,000件を超えており、需要の高い状況が続いています。求人数に関しては安定しており、「SIerが今すぐに必要なくなる」とは考えられないのも、SIerの将来性の高さを証明しています。

SIerの求人・転職情報>

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SI業界の将来を踏まえエンジニアがとるべき対策

IT業界は人材不足が叫ばれる一方で、経済産業省の調査によると「2030年には従来型IT人材が10万人余る」という試算もあります。これは、人材不足が叫ばれているのはあくまでも「先端IT人材」であり、受託開発・保守運用などに携わる従来型IT人材は、そこまで不足していないという実情があるからです。

この試算を参考にするとSI業界で働くエンジニアがとるべき対策として、今後はスキル習得によって「先端IT人材への転換」を目指していくことが、年収・キャリア向上の鍵を握っているといえます。ここからはSIerとして長く続けるために対策できること、身につけたいスキルなどを解説します。

副業でスキルを高めるのもおすすめ

IT関連の副業は多数あるので、これらを受ければ現状のSIerとしてのスキルを高め、実績を作ることができます。現在の業務が事務作業寄りでスキルを身につけにくい環境の場合は、特に副業をするのがおすすめです。まずは簡単な案件から受託し、徐々にスキルアップしていくと良いでしょう。最初のうちは単価にこだわらず、積極的に案件をこなしていくことが重要です。

自社開発を行う企業への転職や独立も手段の1つ

自社開発を行う企業への転職や独立をすることで、スキルアップが可能です。まず自社開発は大規模プロジェクトなどに比べると事務作業よりも開発に力を入れています。そのため、スキル習得に集中できる傾向にあるでしょう。また独立すれば自分のスキルアップに役立ちそうな案件を選べるので、よりスキルアップに有効です。

関連記事:SESの客先常駐はどんな仕事?メリット・デメリットやSIerとの違い

今後のITエンジニアが身につけるべきスキル

今後ITエンジニアが年収やキャリアの向上を目指すにあたって、専門スキルの習得は欠かせません。多数いるSIerの中でもどう差別化を付けるのかは、「需要の増大が見込まれる分野に特化したスキル」を身につけるとよいでしょう。
具体的にはどのようなスキルを身につけるべきかを以下で解説します。

自動化、仮想化対応スキル

これまで手動で行っていたネットワークやセキュリティの設定、ネットワーク機器のコンフィグ設定作業などを、コーディングによって自動化するといったスキルは需要が高いでしょう。

システム運用業務の自動化を優先課題として掲げる企業が増えている現状ですが、まだ完全に普及しているかというとそうではありません。また、自動化、仮想化に対応した後も運用サポートや保守点検の作業が発生するため、この分野のスキルと知識を身につけておけば活動する分野を広げられます。

IoT関連

組込みエンジニアであれば「センシング対応」や「無線通信機能の実装」などを身に着けることで、IoTエンジニアへの転身が可能です。IoTの開発は、現在だとPythonが多く採用されています。Pythonが未習得の場合は優先的に扱えるよう学習したり、バッグエンドエンジニアとしてのスキルと知識も身につけておくと、より活用できると考えられるでしょう。

UI・UX対応スキル

UIはユーザーの使い勝手やプロダクトの表面のことを指し、UXは体験・経験に寄与する部分を指します。特にUXに関連するスキルは既存のITエンジニアにはそれほど求められず、これまではデザイナーの領域とされていましたが、Webサービスの競争が激化する中で「使いやすく快適なサービスは何か」という視点がエンジニアにも求められる傾向にあります。今一度UI/UXの視点を持っておくと、エンジニア業務にも活かせるでしょう。

AI、機械学習関連スキル

ここ数年で業界業種を問わず、AI・機械学習ソリューションの導入が進んでいます。「省人化・省力化・高品質」を同時に達成するには、AI・機械学習ソリューションの持つ力が不可欠だからです。AIや機械学習に関するスキルとしては、次のようなものが挙げられます。

  • ・Python、R、Juliaなどによるコーディングスキル

    ・AIを動作させるための環境構築スキル

    ・AIに投入するデータのクレンジングスキル(データプレパレーションスキル)

    ・統計学の基礎知識

マネジメントスキル

ITエンジニアはマネジメントスキルを身に付けることで上流工程にキャリアアップでき、年収アップ、需要アップにつながります。リモートワークの普及によって個人主義になっている印象があるかもしれませんが、だからこそ余計にマネジメントスキルが求められます。

リモート環境では、チャットツール、Web通話、資料共有などによってマネジメントを行います。対面でのマネジメントスキルと概ね同じですが、リモートでのマネジメントにも慣れておくと良いでしょう。

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SIerからの転職の選択肢

SIerで身につけたスキルをベースにすることで、そのほかの職種に転職することも容易になります。SIerは必要人員が多い分未経験者に対しても門戸が広い傾向があります。そのため未経験者からSIerに入り、そこでスキルを身につけて次のキャリアにステップアップするという戦略もあるのです。

ここからはSIerからどんな転職先があるのか、職種や企業に分けて解説します。それぞれの特徴を掴み、自分のキャリアプランや強みに合わせて転職先を選ぶ参考にしましょう。

関連記事:SIerからの転職先は?よくある転職理由やおすすめタイミングを解説

Web系企業

Web系企業はSIerよりもトレンド寄りの技術を用いており、また自社開発している企業も多いです。客先常駐ではなく自社開発の環境で働けるという点も魅力でしょう。Web系のスキルを身につけることで、将来的に独立しやすいというメリットもあります。

またSIerよりもWeb系企業のほうが入社難易度が低いため、SIerでスキルを身につけた後でWeb系企業に転職するというキャリアプランも有効です。

関連記事:SIerからWeb系企業への転職のコツを解説!成功例も紹介

社内SE

社内SEとはIT業界以外の企業で、IT部門に属するSEを指します。SIerで身につけたITスキルは他業界でも重宝されるので、社内SEとして転職することが可能です。企業にもよりますが社内SEは間接部門なので、IT企業に在籍するSEと比べるとワークライフバランスを維持しやすいという特徴があります。仕事とプライベートを両立するといった目的で、社内SEに転職する人も多いです。

ITコンサルタント

ITコンサルタントはITの観点から企業に提案を行う職種です。プロジェクトの工程で言うと、最上流工程に該当します。SIerの役職だとプロジェクトマネージャーよりもさらに上の工程となり、IT知識、広い視野、コミュニケーション能力などが広く求められます。またITコンサルタントは平均的に収入が高い傾向があるので、SIerからのキャリアアップとして選ばれる職業です。

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SIerに関するよくある質問

SIerに関するよくある質問と回答を紹介します。SIerはエンジニアとは異なる職業であり、「どのように収入を得ているのか」という基本的な部分にも疑問が及ぶ声もあります。また、「SIerの年収は?」「仕事内容は?」という質問も多く聞かれます。

こうしたSIerに関するよくある質問を1つずつチェックしていきましょう。

Q1. SIerの収益源は何ですか?

SIerの収益源は、人月単価です。つまり会社から人材を派遣し、それに対して報酬をもらうということです。システムのクオリティや売り上げに対して収益を得るのではなく、人を派遣することに対して固定報酬をもらうという点がポイントです。

Q2. SIerの給料はいくらですか?

レバテックキャリア内の求人を参考にすると、SIerの平均年収は764万円です。これはレバテックキャリア内の求人から算出したデータですが、他の転職エージェントサイトなどの統計でも概ね同じような結果になるでしょう。またIT業界内のSIer以外とSIerを比較すると、平均的には大きな差はありません。

Q3. SIerは何をする職業ですか?

SIerは工程によって分業されていて、自分がどの工程でプロジェクトに参画するかによって業務内容が変わってきます。全工程を含めると、クライアントの業務の把握・分析、課題解決のためのコンサルティング、システムの設計、プログラミング、保守運用、システムのテストなどです。

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まとめ

今後もSIerでなければ受けられない仕事もあるため、「将来性がない」「仕事がゼロになる」といったことは考えにくいです。しかし今後はスキル習得によって「先端IT人材への転換」を目指していくことが、年収・キャリア向上につながるといえるでしょう。

またSIer企業も多様な動きをしており、自社開発と並行して事業をおこなっている企業も数多く存在します。SIerでスキルを身につけて転職することも可能なので、一言でSIerに転職すると言っても選択肢やその後のキャリアプランは豊富です。SIerへの転職という面だけで考えるのではなく、企業の活動を見ながら自身のキャリアプランを考えて最適な選択をすることが重要といえます。

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