C++の勉強方法とは?経験別の転職ポイントについても解説

最終更新日:2023年12月21日

C++は、C言語をベースに開発されたプログラミング言語です。豊富なライブラリを利用できる点や、細かなメモリ制御を行える点が特徴で、パフォーマンスが求められるアプリケーションで多く利用されています。これからC++の習得を検討しているITエンジニアは、概要や特性を理解するとともに、勉強方法や転職のポイントも押さえておきましょう。

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この記事のまとめ

  • C++はリアルタイム制御やパフォーマンスが求められる分野で利用される
  • C++と他プログラミング言語の違いを理解することで学習効率が向上する
  • C++の業務未経験で転職する場合、他の業務経験をC++のキャッチアップにどう活かせるのかを整理する

C++の基本

まず、C++の基本について解説します。これからC++の勉強を始める方は、C++の概要と利用分野、基本文法を理解しておきましょう。

C++とは

C++とは、C言語をベースにして設計されたプログラミング言語です。ソースコードをコンパイルしてバイナリファイルに変換するため、実行速度が速く、エラーを事前に発見しやすい点が特徴です。また、オブジェクト指向をサポートするプログラミング言語でもあります。

C++の利用分野

C++の利用分野は多岐にわたります。ここでは、主な利用分野とその理由を解説します。

OS開発

C++は、カーネルやドライバの開発に広く利用されています。その理由として、システムプログラミングが可能であることやメモリ管理の柔軟性、セキュリティ面での安全性が高く堅牢な実装がしやすいことなどが挙げられます。

ゲーム開発

C++はリアルタイムでの細かなパフォーマンス制御が可能で、マルチプラットフォームでの開発に向いていることから、ゲーム開発にも用いられます。また、ハードウェアへ直接アクセスできることもゲーム開発に利用される理由です。

金融分野や科学技術計算

C++が金融分野や科学技術計算に利用されるのは、歴史の長いプログラミング言語であり、信頼性と安定性があるためです。また、他の利用分野と同様に、リアルタイム処理やセキュリティ面などが重視されることも理由として挙げられます。

C++の基本文法

次に、C++で取り扱う基本的な文法を紹介します。これからC++を勉強する方が最初に押さえておくべき内容です。

名前空間

名前空間とは、プログラム内で使用される変数、関数、クラスなどのスコープを制御するための仕組みです。スコープとは、変数や関数、クラスなどが利用可能な範囲のことで、プログラム内での名前の衝突などを制御する概念を指します。

変数の宣言方法

C++で変数を宣言する場合は、型、変数名、値の順番で記述します。C++で取り扱えるデータ型については後述します。

int age = 30;

標準入出力

標準入出力とは、C++プログラムとコンピューターを操作するユーザーもしくは他プログラムとデータのやり取りを可能にする仕組みです。例えば、標準入力であれば、C++のプログラムを実行する際にキーボードからの入力を受け付け、入力内容にもとづいてプログラムの処理内容を分岐させることができます。

条件分岐

C++で取り扱う主要な条件分岐としては、if文、switch文、条件演算子などが挙げられます。

ループ処理

C++で取り扱う主要なループ処理には、for文とwhile文があります。

関数

C++では関数を定義することが可能です。関数の定義で、戻り値の型、関数名、引数名、関数本体の処理を定義しておき、関数名と引数を指定することで関数を実行できます。

main関数

main関数は、C++で定義される関数の中でも特別な関数であり、プログラムの実行時に最初に呼び出されます

クラスとオブジェクト

C++は、オブジェクト指向をサポートするプログラミング言語です。そのため、クラスとオブジェクトの概念があります。クラスはオブジェクトを生成するための設計図であり、フィールドとメソッドから成り立ちます。

C++で取り扱うデータ型

これからC++を学習する方向けに、C++で取り扱う主要なデータ型である整数型、浮動小数点型、文字列型、ユーザー定義型を紹介します。また、それぞれのデータ型を理解しやすいようプログラムでの記述例も記載しました。

整数型

整数型は、それぞれで表現できる整数の範囲が異なるため、用途に合わせて使い分ける必要があります。

int 通常の整数を表現するために使用。4バイト。
short 短い整数を表現するために使用。2バイト。
long 長い整数を表現するために使用。4バイト以上。
long long さらに長い整数を表現するために使用。8バイト。C++11以降で使用可能。
整数型の記述例

int myInt = 88;
short myShort = 23;
long myLong = 1234567890L; // 末尾のLは、long型であることを表現します
long long myLongLong = 9876543210LL; // 末尾のLLは、long long型であることを表現します

浮動小数点型

浮動小数点型は、それぞれの有効桁数が異なるため、用途に合わせて使い分ける必要があります。

float 単精度浮動小数点数を表現するために使用。
double 倍精度浮動小数点数を表現するために使用。通常、floatよりも精度が高く、倍精度演算を行える。
long double より高精度な浮動小数点数を表現するために使用。通常はdoubleよりも精度が高い。
浮動小数点型の記述例

float myFloat = 3.14;
double myDouble = 2.71828;
long double myLongDouble = 1.414213562;

文字型(string型)

C++で文字列を表現する場合は、string型を使用します。

文字列型の記述例

std::string myString = "文字列の例を表現しています。"; // 文字列の初期化

ユーザー定義型

ユーザー定義型は、基本的なデータ型(整数、浮動小数点数、文字列など)をもとに、独自の型を定義するものです。構造体、クラス、列挙型などが挙げられます。

構造体 関連するデータメンバーをひとまとめにするために使用。
クラス データと関連するメソッドをカプセル化するために使用。
列挙型 整数の定数セットを定義するために使用。
列挙型の記述例

// 列挙型の定義

enum class Day { Sunday, Monday, Tuesday, Wednesday, Thursday, Friday, Saturday };

// 列挙型の利用

Day today = Day::Wednesday;

関連記事:C++とはどんな言語?特徴やC言語との違いをわかりやすく解説

C++と他のプログラミング言語の比較

ここでは、C++をC言語やC#と比較していきます。これからC++を勉強する方は、プログラミング言語の違いを理解しておくことで学習効率を上げられるでしょう。

C++とC言語の比較

C++は、C言語をベースに拡張されたプログラミング言語であり、C言語でできないことがサポートされています。しかし、プラットフォーム依存性はC++のほうが強くなっています。

  C++ C言語
オブジェクト指向 サポートしている サポートされていない
メモリ管理 C言語のメモリ管理を継承し、オブジェクト指向の特性や新しいメモリ管理手法を持つ mallocとfree関数を用いた手動管理
標準ライブラリ 標準テンプレートライブラリにより、多くのデータ構造やアルゴリズムが提供されている 統合された標準ライブラリは存在しないため、独自実装が必要になる
プラットフォーム依存性 プラットフォームに依存するため、バイナリに互換性がない場合がある プラットフォーム依存性はあるが、C++よりは互換性があるコードを書ける

関連記事:C言語とは|特徴やC++やC#との違いを分かりやすく解説

C++とC#の比較

C++とC#では、メモリ管理の方法やプラットフォーム依存性に違いがあります。細かいメモリ制御を必要としない場合や、マルチプラットフォームでの開発が求められる場合はC#、よりパフォーマンスチューニングが重視される場合はC++を用いるなど、用途に応じたプログラム言語選定が必要です。

  C++ C#
メモリ管理 明示的な管理が必要 明示的な管理が不要
プラットフォーム依存性 プラットフォーム依存性がある マルチプラットフォーム開発がしやすい
ライブラリやフレームワーク 標準ライブラリをサポートしているが、特定のライブラリやフレームワークの追加が必要 .NETフレームワークに組み込まれたライブラリやエコシステムを利用できる
オブジェクト指向 サポートしているが、あくまでオプションという位置付け オブジェクト指向で開発することが念頭に置かれている

関連記事:C#とは?特徴やメリット、C言語やC++との違いを解説

C++の勉強方法

C++は、書籍やオンラインで学ぶことができます。それぞれの勉強方法のメリットやおすすめの書籍、プログラミングコンテストの活用などについて解説します。

書籍を用いた学習方法

書籍を用いた学習方法は、プログラミングの基礎を身につけるために役立つため、C++のプログラミングを初めて勉強する方におすすめです。

C++初学者向けの書籍

1週間でC++の基礎が学べる本 (1週間プログラミング)
プログラミングの基礎とC++の基礎をわかりやすく解説している一冊です。ほか、サンプルのプログラムを入力して、手を動かしながら学ぶこともできます。プログラミングを初めて学ぶ方や、これまで別の方法での学習を試みて挫折してきた方におすすめです。

スラスラわかるC++ 第3版
プログラミングの基礎知識とC++の言語構文を学べる本で、章末毎に理解度テストが記載されています。

C++中級者以上向けの書籍

Modern C++ チャレンジ C++17プログラミング力を鍛える100問
数学問題や文字列処理、日付と時刻、並列性、暗号化、ネットワークなどに関する課題をC++のプログラミングで表現していくことで、C++のプログラミング力を磨ける本です。ある程度C++のスキルが身についている方向けの、より実践的な内容となっています。

オンラインでの勉強方法

オンラインの学習サイトを活用してC++を学ぶことも可能です。最近では、無料で利用できるプログラミング学習サイトも多く登場しています。また、プログラミングスキルの向上を目指す場合は、プログラミングコンテストに挑戦してみるのもよいでしょう。

プログラミング学習サイト

プログラミング学習サイトのメリットは、アクセスのしやすさや、多様な学習コースが用意されている点です。また、プログラミングに対するヒントやフィードバックを得られることも魅力です。他のユーザーの進捗状況を確認できる学習サイトもあるため、競争意識から勉強のモチベーション向上にもつながるでしょう。

プログラミングコンテスト

プログラミングコンテストでは、与えられた問題や課題に対してプログラムを開発し、特定の条件下で実行して正しい結果を得ることが求められます。そのため、問題や課題の内容を理解するスキル、問題を解決するためのアルゴリズムを考えるスキル、アルゴリズムをプログラムで表現するスキルを磨けます。

C++エンジニアの需要・年収

次に、C++エンジニアの需要と平均年収を解説します。

C++エンジニアの需要

オランダのTIOBEが毎月発表している、プログラミング言語の人気を指標化したTIOBEインデックスによると、2023年11月現在、C++はPython、C言語に続いて3位にランクインしています。C++は、ゲーム開発や組み込みシステム、安全性がシビアに求められる金融系、個人情報を取り扱う開発、リアルタイム性などのハイパフォーマンスが必要なプログラムの開発などに活用されています。C++は汎用性に優れており市場価値が高いため、C++エンジニアの需要もますます高まっていくと予想されます。

C++エンジニアの年収

2023年11月現在、レバテックキャリアに登録されているC++エンジニアの求人情報1,790件のうち、30件の求人情報の年収下限の平均値は約437万円で、年収上限の平均値は約782.6万円です。最も多い年収は1,200万円でした。

C++エンジニアの経験別転職のポイント

最後に、C++エンジニアへ転職する際のポイントを紹介します。業務未経験者と経験者に分けて、転職後のキャッチアップや直接的な業務に活かす方法を解説します。

C++エンジニアとしての業務経験がない場合

C++エンジニアとしての業務経験がない場合は、独学で習得したC++の知識をアピールすることはもちろん、他の言語でのプログラミング経験をどのようにC++エンジニアの業務に活かせるのかを整理します。
例えば、C言語での業務経験がある場合、C言語をベースに開発されたC++のキャッチアップが早いことをアピールできるでしょう。コンパイル型のプログラミング言語を扱っていた場合も、C++エンジニアの業務に活かせる可能性があります。

C++エンジニアとしての業務経験がある場合

他の企業でC++エンジニアとしての業務経験がある場合は、これまでに携わってきた業務の深さと広さを整理します。深さとは、C++に対する習熟度や特定の利用分野での知識の深さです。広さは、C++の業務の広さや応用範囲を指します。
例えば、深さについては、C++でパフォーマンス効率やセキュリティ面を高めるためのプログラミング方法や、ゲーム開発分野で必要となる前提知識などが挙げられます。広さについては、これまで経験してきた利用分野の幅広さなどを示すとよいでしょう。

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この記事の監修

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