組み込みエンジニアが人材不足である理由と、これからの組み込みエンジニアに求められる知識とスキル組み込みエンジニアはなぜ人材不足なのか

最終更新日:2020年11月11日

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急激なIoTの普及を受け、組み込みエンジニアに注目が集まっています。

しかし、組み込みエンジニアは「なり手」が少なく、一人前と呼ばれる人材が不足していると言われています。その理由として、製造業独自の業務知識やハードウェアの知識といった、他分野のエンジニアとは一線を画する知識を求められることなどが挙げられます。

一方、組み込みエンジニアとして活躍できるだけの知識やスキルを身に付ければ、良い条件で転職できる可能性が高まるでしょう。ここでは、組み込みエンジニアが人材不足である理由とこれからの組み込みエンジニアに求められる知識・スキル、年収例などについて解説します。

1. 組み込みエンジニアが人材不足である理由

まず、組み込みエンジニアがなぜ人材不足なのかを解説します。

身に付ける知識・スキルの難易度が高い

冒頭でも触れたように、組み込みエンジニアには一般的なIT業界のエンジニアとは一線を画した知識・スキルが求められます。たとえば、「RTOS(タスク処理のリアルタイム性に特化したOS)を扱うスキル」や「電子回路の知識」などです。

組み込みエンジニアの多くは、組み込み対象となるハードウェアの回路図面をもとに仕様を理解し、ソフトウェアの仕様を確定させていきます。このとき、必ずしもハードウェアの仕様書や設計書が完成しているとは限りません。設計書や仕様書の不足分を補完しながら開発を進めるためには、電子回路をはじめとしたハードウェアの知識が必須と言えるでしょう。ハードウェアの理解には理系の素養・下地が必須であり、参入のハードルが高くなる一因となっています。

トレンドの言語を使用しない

組み込みの分野では、近年人気を集めている「軽量言語(Python、Rubyなど)」がハードウェア操作に長けていないことなどから、組み込み開発では使用する機会が少ないのが現状です。主流となるのは、「C言語」や「アセンブリ言語」で、これらはハードウェアの操作に適しており、組み込みの分野で広く使用されています。

未経験者がプログラミングを学ぶとき、文法がシンプルなどの理由から学習難易度が低いと言われている軽量言語を選ぶ傾向にあるため、組み込みエンジニアが不足する一因と考えられています。

純粋な需要増

組み込みエンジニアは、家電製品や業務用機器といった既存分野に加え、IoT機器の分野からも注目されています。IoTエンジニアは組み込みエンジニアとしての経験・スキルがあるかどうかを重視される傾向にあるからです。

2. 企業が新人組み込みエンジニアに求めているスキル・知識

次に、組み込みエンジニアに求められる知識やスキルについて紹介します。以下は、組み込み業界に属する企業が、新人に対して求める知識・スキルのうち、代表的なものを抜粋してまとめた結果です(※)。

組み込み業界に属する企業が新人組み込みエンジニアに求めるもの

注:カッコ内は「必須」と回答した企業の割合

・言語スキル
C(約60%)、Java(約32%)、C++(約31%)、C#(約20%)、JavaScript(約16%)

・OSの操作スキル
Windows(約72%)、Linux(約35%)、Mac(約8%)

・オフィス系ソフトの操作スキル
表計算(約68%)、ワープロ(約62%)、プレゼンテーション(約42%)

・OSの知識
Windows(約48%)、Linux(約32%)、ITRON(約15%)、Android(約12%)、iOS(約9%)、T-Kernel(約8%)、FreeRTOS(約6%)

・開発プロセス知識
ウォーターフォール(約22%)、プロトタイピング(約24%)、アジャイル(約14%)、スパイラル(約12%)

・設計技術知識
構造化(約34%)、オブジェクト指向(約32%)、デザインパターン(約11%)

・CPU知識
ARM(約22%)、SH(約14%)、x86(約8%)、H8(約7%)など

・ハードウェア知識
論理回路(約22%)、回路図を読む力(約19%)、FPGA(約12%)、DSP(約5%)

このように、組み込みエンジニアに求められる知識・スキルは多岐にわたります。特に設計技術知識の「構造化」やCPU知識、ハードウェア知識は組み込み業界特有のものと考えて良いでしょう。一般的な業務スキルに加え、こういった独自性に対応できれば、組み込みエンジニアとして採用される可能性が高まります。

また、組み込み業界の人材不足は慢性的であり、大手企業であっても自社のみで開発要員をまかなうことは難しいとされています。つまり、大手企業を支える中小企業が数多く存在しているのです。もし未経験から組み込みエンジニアを目指すのであれば、未経験者採用が比較的多い中小企業を狙っても良いでしょう。

※参考:一般社団法人 組み込みシステム技術協会(JASA)「新入社員に求める組込み技術知識と人物像 調査報告書(2018 年度版)」

3. 組み込みエンジニアに求められる知識・スキルの習得方法

次に、組み込みエンジニアとしての知識・スキルを磨く方法について紹介します。

一般的には、理系大学の学部や大学院、国立高専などを卒業する方法が王道といえるでしょう。しかし、組み込みエンジニアは文系や大卒以外にも広く門戸が開放されているため、書籍やスクールを活用した自己研鑽(知識・スキル習得)を続ければ、転職は可能です。

書籍学習は不明点の解決が困難なため、エンジニア未経験者には向いていませんが、経験者であれば費用を抑えて学習できるメリットがあります。エンジニア未経験から習得を目指す場合は、講師に質問できるスクールを活用すると良いでしょう。

組み込み開発を学ぶ上でおすすめの書籍やスクールを、いくつか紹介します。

役立つ書籍

『組込みシステム実践プログラミングガイド ~ITRON仕様OS/T-Kernel対応』(坂村 健、技術評論社)
組み込み業務で必要となるプログラミング基礎知識と応用、用語集などがまとまっている書籍です。基礎知識から専門用語まで幅広く学習できます。

『組込みソフトウェア開発のための構造化プログラミング』(SESSAMEWG2、翔泳社)
構造化設計とC言語を中心に、組み込みシステム開発の下流工程に対応した知識・スキルが学べます。初心者向けの内容となっており、C言語の基礎知識を有する新人が、初めて構造化プログラミングを学ぶときに活用できるでしょう。

『ARM組み込みソフトウェア入門―記述例で学ぶ組み込み機器設計のためのシステム開発』(Andrew N. Sloss・Chris Wright・Dominic Symes、CQ出版)
ARMを使用した組み込みシステム開発に役立つ書籍です。ソフトウェア記述例が豊富なため、実際の開発作業の参考になるでしょう。

組み込み技術が学べるスクール

NPS
「組込み系マスターセット」というカリキュラムを提供しているスクールです。C言語の基礎から応用、組込み開発まで一気通貫で学習することができます。C言語の基礎から学習しますので、未経験者でも学習しやすいカリキュラムと言えるでしょう。

Winスクール
C言語の基礎からマイコンボードと呼ばれる実機を使った学習まで一気通貫のカリキュラムを提供しているスクールです。組み込み開発特有のデータ通信規格であるCAN通信に特化したカリキュラムなども用意されており、幅広く学習することができます。

KENスクール
C言語のカリキュラムを基礎と応用に分けて提供しているスクールです。まずはC言語を学習してみてから、組み込み開発に挑戦するか検討したいという人に向いています。

4. 組み込みエンジニアの年収

最後に、組み込みエンジニアの年収について紹介します。組み込みエンジニアの年収帯は、レバテックキャリアに掲載されている募集では300万円〜700万円程度と幅があります。若手時代は300万円~500万円程度ですが、リーダーでは500万円〜700万円程度、PMクラスになると1,000万円程度の年収を得ることも可能です。

求人例1:家電、自動車用精密機器、医療医療などの開発

【業務内容】
・顧客企業の新製品の開発(車載用オーディオ、家電AV機器、医療機器など)

【応募条件】
・ソフトウェア開発経験
・設計業務の経験
・アウトソーシング企業での勤務経験

【想定年収】
300~700万円

求人例2:パチスロ機の制御プログラムの開発

【業務内容】
・制御プログラム設計(液晶表示、可動役物)
・通信制御プログラム設計

【応募条件】
・C/C++による組み込みソフトウェア開発経験
・遊技機業界(パチンコ、パチスロ機のメーカーもしくは開発会社)でのサブメインプログラム開発経験

【想定年収】
400~700万円

5. まとめ

この記事では、組み込みエンジニアが人材不足である理由と、組み込みエンジニアに求められる知識・スキル、年収例などについて解説しました。組み込みエンジニアは学習ハードルがやや高いですが、企業が求める知識・スキルを身につけることができれば、IoT市場の拡大などから長く安定したキャリア形成が可能です。組み込み開発経験者の方が就職しやすいですが、未経験者であっても学習次第で就職は十分可能です。スクールで実機開発経験などを積んで、スキルをアピールできるようにすると良いでしょう。

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