C#とC++の違いは?特徴やできることを徹底比較

最終更新日:2024年3月8日

C#とC++は名称が似ているものの、全く別の言語です。技術的なつながりは僅かに存在しますが、それぞれが得意とする分野は異なります。もし今後どちらかの言語を習得しようと考えているならば、得意分野と自分が進みたい業界・キャリアパスを照らし合わせながら選択すべきでしょう。ここでは、これからプログラミング学習を始めたいと思っている方に向けて、C#とC++の言語的な特徴、違い、習得が向いている人などを解説します。

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この記事のまとめ

  • C++はC言語の拡張版で、クラスや継承などのオブジェクト指向の機能を追加しメモリを節約できる
  • C#とC++は、名称が似ているがまったくの別系統で互換性は薄い
  • C++は高水準のアプリケーション開発に特化、C#は高水準のアプリケーション開発に特化
  • プログラミング初心者ならC#のほうがC++と比較すると学習難易度は低いが、C言語経験者ならC++が学びやすい

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C#とC++、C言語の特徴

C#とC++、C言語それぞれ名称が似ているため混同されることもあるプログラミング言語です。

ところがそれぞれを分類わけすると「C言語の拡張版であるC++」「双方と関連性の薄いC#」といった形で分けられます。本章ではそれぞれの成り立ちや特徴についてより詳しく見ていきましょう。

C言語とは

C言語は、C#やC++よりも歴史があり、1970年代初頭に開発されたプログラミング言語です。オペレーティングシステム「UNIX」の開発に伴い生まれたC言語は、その後数十年にわたり業界標準のプログラミング言語として、幅広く利用されてきました。

シンプルで効率的な文法を持つC言語は、低レベルの操作から高レベルのアプリケーション開発までをカバーし、現代の多くのプログラミング言語の基盤となっています。

関連記事 : C言語とは|特徴やC++やC#との違いを分かりやすく解説

C言語の特徴

C言語は、ハードウェアに直接アクセスできる低レベルな操作と、抽象的な高レベルなコーディングの双方をサポートする文法を持つ点で独特なプログラミング言語です。

具体的な技術的特徴として、C言語は「ポインタ」を用いることでメモリ上のアドレスを直接操作でき、高度なメモリ管理が可能です。しかし、この柔軟性の反面、プログラマはメモリを手動で確保・開放する責任を負うことになります。メモリ確保・解放やポインタなどの概念は慣れないと難しいため、学習するには少々難易度が高いという側面もあります。

また、C言語のコードはポータビリティが高く、さまざまなハードウェアやOS環境で動作するため、一度書かれたCのコードは、多岐にわたるプラットフォームでの再利用が可能です。この特性は、リアルタイムシステムや組み込みシステムなど、高いパフォーマンスや反応速度が求められる場面でC言語が頼りにされる大きな理由の一つです。

C++とは

C++は1979年ころに誕生したといわれ、C言語に「オブジェクト指向」を取り入れた言語です。「C」にインクリメントの意味を持つ「++(1つ足す)」を付け加えることで、「Cより一歩前進した言語」という意味が込められています。いわばC言語のオブジェクト指向版といえるでしょう。

関連記事 : C++とはどんな言語?特徴やC言語との違いをわかりやすく解説

C++の特徴

C++最大の持ち味は、その実行速度です。C言語と同等レベルの実行速度を持つにもかかわらず、コーディングの量が少なく、小さいデータで動作させられます。
C言語と同じように機械語に近いため、ハードウェアとの結びつきが強い開発(OSや産業用機械など)に適しています。

主な機能としては「多重継承」「テンプレート」「関数」「演算子のオーバーロード」「例外処理」などがあり、最新の言語と比較してもあまり遜色がありません。また、C言語と一定の互換性を持ち、C言語で記述された言語をC++でコンパイルすることもできます。(ただし、逆は不可能)アプリケーション開発や大規模業務システム、データ解析など「規模」「速度」を重視される分野で活用されている言語です。

このように高性能かつ万能な言語であるC++は、習得難易度が高いことでも有名です。特にC言語由来の「ポインタ」と「オブジェクト指向」の理解がハードルになりがちです。
C++には複数のバージョンがあり、それぞれ使用可能な機能が異なります。そのため、最新バージョンか準最新バージョンの習得がおすすめです。

C#とは

C#は、マイクロソフト社が開発し2000年にリリースした言語です。よくC言語の派生言語だと勘違いされますが、実際には「C++」と「Java」をベースに作られた言語です。.NET Frameworkのリリースとともに世に出たC#は、複数のプログラミング言語の長所を取り入れ、基本的な文法はC言語に近いものとなっています。

関連記事 : C#とは?特徴やメリット、C言語やC++との違いを解説

C#の特徴

C#の文法や構文はC言語やC++に酷似しているものの、互換性はありません。C#の最大の特徴は「Javaと同じように”ガベージコレクション”を使える」点だと言えるでしょう。ガベージコレクションとは、簡単に言えば「動的なメモリ管理機能」です。プログラムが確保したメモリ領域のうち、不要な領域を自動で解放してくれることから、コーディング時のメモリリークを防ぎ、リソース管理が容易になります。

また、C#はコンパイラ言語としても、インタプリタ言語としても活用できます。これは事前コンパイル、MSIL(マイクロソフトが開発した中間言語)を利用したJITコンパイル、インタプリタ内蔵による疑似スクリプト言語化などが可能なためです。

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C#、C++の関係性は薄く、互換性もない

C#とC++は、名称が似ていることから「派生言語」「兄弟言語」の関係にあると捉えられがちです。どちらもオブジェクト指向に対応しており、文法も似ている部分があり、たしかにC言語由来という意味では兄弟言語かもしれません。ただし、まったくの別系統であり、相互の関連性は薄いと言えるでしょう。

前述のようにC++はC言語の拡張版です。C言語にオブジェクト指向の要素を取り入れ、より高機能で汎用性の高い言語になっています。一方のC#はC++とjavaの機能を合体させた言語です。したがって、兄弟というよりは遠縁にあたる関係とでも言えるのではないでしょうか。

ただし、「C#からC++の関数を呼ぶ」「C#からC++(DLL)に配列を渡す」といった具合に、ある工夫を施すことで2つの言語を連携させることは可能です。

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C#とC++の違い

では、遠縁の関係にあるC#とC++の違いについて整理していきましょう。2つの言語には、「活用される分野」「技術的な観点」などの点で違いがあります。

活用される分野の違い

C#は主にUnityなどのゲーム開発分野や、.NET Framework上で稼働するWindowsアプリの開発で使用されています。さらにASP.NETを利用することでWebアプリの開発も可能になりました。最近では、スマートフォン向けアプリの開発やAR・VRなど仮想現実系のコンテンツ開発でも使用されています。

一方C++は、比較的大規模な業務システム開発や、IoT用ソフトウェア開発、データ解析や統計など速度が重視されるシステムで用いられます。前述したように機械語に近くハードウェアを直接操作できるという特性が、実行速度の速さにつながっているようです。

また、信頼性が重視される業務システム開発において、C++が蓄積してきたノウハウは非常に魅力的です。C言語時代からのノウハウを流用できるため、安定性と速度を求められるシステム開発に適しています。

関連記事 : C#エンジニアの将来性が高い8つの理由!Javaとの比較や平均年収も解説

技術的な相違点

C#とC++には、いくつかの技術的な相違点があります。下記はその一例です。

  整数のデータ型の違い バイト数の違い 型情報取得の際の記述
(インスタンスから取得の場合)
C# 符号なしの場合unit 1バイト sbyte、2バイト Char など Type type = obj.GetType();
C++ 符号なしの場合 unsigned int 1バイト Char、2バイト wChar_t など type_info& type = typeid( obj );

また、C++ではポインタはよく使われますが、C#では基本的にポインタは使えないように制限されています。ポインタは処理速度の向上などC++のメリットを最大限に生かせる機能です。C#でもポインタは使おうと思えば使えますが、ポインタを使うとデメリットもあるため使用する際には一定の手順を踏まなければならないようになっています。

C#とC++は、似ている部分もあるため混同しがちな点は要注意です。どちらかの言語を知っていて、もう一方の言語を学ぶ場合は、両者の違いをしっかりと把握して学習を進めましょう。

学習難易度の違い

C++とC#はどちらも一般的なプログラミング言語です。ただし、その難易度にはいくつかの違いがあります。プログラミング言語の知識がない人の場合、C++は学習のハードルが高いとされる一方で、C#は比較的学びやすいという傾向です。C++がプログラミング初心者にとって難しいとされる主な理由は以下の4つです。

  • ・ポインタの理解と適切な使用が必要

    ・ハードウェアの特性に関する深い知識がコーディングに影響

    ・メモリ管理を手動で行うため、メモリの確保や解放に関する注意が必要

    ・言語の構造や仕様が複雑

対照的に、C#は直感的な文法とライブラリの充実により、上記のような事柄を意識する必要はなく、初心者でも一定の努力をすれば技術の習得が可能です。

ただし、プログラミング経験者の場合、これまでに経験した言語によって学習難易度は大きく変わります。C言語を使ってのプログラミング経験があるならC ++特有の難しさは既知のものであり、学習難易度は大きく下がるでしょう。Javaの経験者なら、C#の学習難易度は初心者の場合よりも格段に下がります。

関連記事 : C#の効率的な勉強方法とは?難易度や学習時間の目安も紹介

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C#で開発できるもの

C#は、主にMicrosoftの技術スタックに組み込まれており、高水準のアプリケーション開発に特化しています。そのため、ビジネスアプリケーションやエンターテインメント、特にUnityを利用したゲーム開発などに向いています。

Webサービス

C#は、Microsoftが提供する.NETフレームワークやその後継である.NET Core/.NET 5(以降)を利用して、動的なWebサービスやAPIを開発するための言語として広く利用されています。特にMicrosoftが提供しているASP.NETというフレームワークを用いることで、見た目も機能も魅力的なWebアプリケーションAPIを短期間で開発することが可能です。

Unityを使用したゲームやVRコンテンツ

C#は、Unityというゲームエンジンでの主要なプログラミング言語として採用されています。Unityを使用すると、C#で3DゲームやVR(仮想現実)・AR(拡張現実)コンテンツを開発することができ、その出来上がったコンテンツは多様なプラットフォーム(PC、ゲーム機、モバイルデバイスなど)で動作します。

デスクトップアプリ

Windows Formsなどを使用することで、C#で高機能なデスクトップアプリケーションを開発することができます。これにより、日常の作業を助ける小さなユーティリティツールや、会社の業務をサポートするアプリケーションなどの作成も可能です。

スマートフォンアプリ

スマートフォンはiOSやAndroidなどプラットフォームの違いがあるため、そのままではプラットフォームごとにプログラムを作成しなければなりません。しかしC#は、専用のフレームワークを利用しやスマートフォンアプリのクロスプラットフォーム開発が可能です。これにより、C#一度作成したプログラムを複数のプラットフォーム向けのアプリにでき、開発コストを削減できます。

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C++で開発できるもの

C++は機械語に近く実行速度が速いという特性から、高いパフォーマンスを要求される場面やハードウェア指向の開発、大規模なシステム開発において適しています。C++は多様なプラットフォームや環境で動作する汎用的なアプリケーションの開発に利用されます。

IoT用ソフトウェア

C++は、その実行速度の高さやハードウェアへの直接的なアクセス能力から、IoT(Internet of Things)デバイスのソフトウェア開発において重要な言語となっています。特にリソースが限られた環境での動作が求められるIoTデバイスにおいて、C++の効率性は大きな強みとなります。

大規模な業務システム

C++は、メモリ管理や多機能なライブラリの提供により、大規模な業務システムやエンタープライズレベルのアプリケーションの開発にも適しています。大量のデータを処理し、実行速度が求められるエンタープライズシステムの性能要件を満たすためにC++で開発されています。

速度が重視されるシステム

C#はインタプリタ言語であり、記述されたプログラムを少しずつ実行するため、実行速度が遅い点が難点です。一方C++はコンパイル言語であり高速に実行できます。そのため、リアルタイム処理や高度な計算が求められるシステム、例えばゲームエンジン、シミュレーションソフトウェア、3Dレンダリングツールなど、速度が非常に重視されるシステムの開発においてC++は不可欠な言語となっています。

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身に付けるならC#とC++はどちらが良い?

最後に、C#とC++それぞれで習得が向いている人を紹介します。

C#の習得が向いている人

Windowsアプリの開発やスマートフォン向けモバイルアプリケーションの開発など、一般的に「アプリケーションエンジニア」と呼ばれる職種を目指す人に向いています。非常に汎用性が高い一方で習得難易度は高めであり、しっかりと身に付けることができれば、経験が浅い人であってもWindowsアプリ開発関連のプロジェクトで活躍が見込めます。

また、Javaと似ている部分があるため、すでにJavaを習得している人にとっても、C#の習得はおすすめです。Javaとの違いを意識しつつも、似たところはJavaの知識を活かせます。

C++の習得が向いている人

IoTエンジニア、組み込みエンジニア、家庭用ゲームのプログラマーなど、業務システムに絡んだ比較的規模の大きな開発に携わりたい人に向いています。また、OSやドライバの開発プロジェクトでスキルを磨きたいという方にもおすすめできます。OSの開発はC言語やC++で行われることが大半です。

また、OSとハードウェアのあいだを取り持つOS内で動作するデバイスドライバも同様です。大規模で性能要求が高く、なおかつ「オブジェクト指向」が重視される開発プロジェクトであれば、C++の持つ強みが発揮されるでしょう。

すでにC言語を習得している人なら、C++は習得しやすい言語です。C言語にはないクラスなどオブジェクト指向の概念を身に付けるのに少々手間取るかもしれませんが、C言語の知識を様々な部分で活かせます。

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C#、C++に関するよくある質問

Q1. C#とC++は学習するならどちらがいいですか?

学習難易度の面から言えばプログラミング初心者なら比較的低いC#がおすすめです。ただし、C言語経験者ならC++のほうが学びやすいでしょう。また、IoTなど組み込み関連ならC++、ゲームならC#など開発したいものに合わせた選択も検討してください。

Q2. C言語とC++、C#の違いは何ですか?

C言語:ハードウェアに近い操作が可能でポータビリティが高い、オブジェクト指向ではない
C++:C言語にクラスや継承などのオブジェクト指向の機能を追加、実行速度の速さがメモリを節約できる
C#:WindowsアプリケーションやWebサービスの開発に適したオブジェクト指向のプログラミング言語

Q3. C#とC++に互換性はありますか?

基本的に互換性はありません。ただし、「C#からC++の関数を呼ぶ」「C#からC++(DLL)に配列を渡す」などプログラミング上で工夫をすることで、片方で作成した関数やライブラリを呼び出すことは可能です。

Q4. C#とC++のそれぞれのメリットは何ですか?

C#はメモリなどのリソース管理が容易で比較的学習しやすい点がメリットです。一方C++は、コンパイルして利用するため実行速度が速いことや、メモリを節約した処理が可能な点がメリットといえます。

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まとめ

C#とC++は、名前こそ似ているものの関連性の高いプログラミング言語ではありません。C言語由来という意味では兄弟言語かもしれませんが、まったくの別系統の言語です。

C#はWindowsアプリの開発やモバイルアプリケーションの開発など、主にアプリケーション関係の開発に使われます。一方、C++は、業務システムに絡んだ比較的規模の大きな開発に使用されるケースが多い傾向です。

これから習得を検討している方は、まずは各言語の特徴や習得難易度、使われている領域などを調べてから実際の学習に進みましょう。

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