COBOLエンジニアの需要は、クラウド時代でも金融業界を中心に根強く続いているCOBOLエンジニアの転職に必要な経験・スキルとは?

最終更新日:2020年5月13日

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COBOLは、長らく汎用機と呼ばれる大型のコンピューターを中心に使用されてきたプログラミング言語です。企業の情報システムが汎用機からクライアントサーバーシステム、さらにはクラウドへと移行してきており、需要は徐々に減っています。ただし、これら新しい環境を構築するためには、汎用機内に存在する情報資産の保守・運用・移行作業が必要です。こうした作業を担うCOBOL人材への需要は、今後数年の間は継続すると考えられます。この記事では、COBOLエンジニアの転職に必要なスキル・経験・実際の年収例などを紹介します。

1. COBOLでの転職は可能か?需要と将来性

まず、COBOLエンジニアの需要と将来性について解説します。

根強いCOBOLエンジニアへの需要

結論から述べると、COBOLエンジニアには底堅い需要があります。
かつて日本企業では、汎用機と呼ばれる大型コンピューター上で稼働するシステムが業務を支えていました。汎用機は、企業の基幹業務システムなどに用いられる一極集中型の大型コンピューターのことで、メインフレームやホストコンピュータとも呼ばれます。COBOLはこれら汎用機の中で動作する言語として、一世を風靡しました。
 
汎用機の多くは2000年代までにクライアントサーバーシステムに置き換わったものの、一部は金融機関や官公庁、交通系機関などを中心に現在でも稼働し続けています。例えば、2019年に大規模なシステム移行を完了したとあるメガバンクグループの新システムでは、台数こそ減らしたものの、汎用機を継続採用しています。また、大手企業や老舗企業では、COBOLで記述された数万~数千万ステップの資産(ソースコード)を抱えているケースが少なくありません。汎用機は大規模システムが多く、新システムへのスイッチングコストが非常に高いため、継続利用している企業が多いというのが実情です。

そのため、新規開発の案件数こそ減ったものの、法改正対応や新規業務への対応などを含め、COBOLを用いたシステム維持・更新作業は常に発生しているのです。

移行プロセスの難しさから原点回帰の動きも

上述した膨大なCOBOLのソースコードには、企業の業務プロセスや効率化・安定稼働のノウハウが詰め込まれています。そのため、貴重なノウハウが失われないように慎重に、まずは人事機能のみといった部分的な移行が進められています。また、汎用機で構成されるシステムは非常に高価で、ビッグバン的な新環境への移行は、コスト面から現実的ではないと判断されることもあるため、部分的な移行を進めつつ「いかにCOBOL資産を再利用するか」を検討する企業が増えています。実際に、汎用機からクライアントサーバーシステムへ移行し、自社開発のメインフレームへと基幹システムを回帰させた事例もあるほどです。
 
また、クラウド環境への移行でも、COBOL資産をそのまま活用できるソリューションなどが登場しており、COBOL資産の有効・再利用はシステムマイグレーションにおけるトレンドのひとつと言えます。

COBOLエンジニアの将来性

このようにCOBOLには一定の需要が発生しているものの、COBOLエンジニアは減少傾向にあります。COBOLが隆盛を極めた時期に活躍していた人材は、大半が定年退職やマネジメント層への昇進によって現場から退いているからです。一方、若年層はCOBOLよりもJavaやPython、Rubyといった言語を学ぶ傾向にあり、世代交代が進んでいません。したがって、ここ数年は常に人材不足の状態が続いています。実際に2020年時点では、未経験者や中高年層を対象としたCOBOLエンジニアの求人が常に発生している状態です。
 
こうした事情から、汎用機の数や開発案件が減少し続けたとしても、5年程度はCOBOLエンジニアに一定の需要が続くと推測されます。ただし、10年スパンで見ると、COBOL資産の移行が一巡して案件数が減るため、需要は低下していく可能性があります。

2. COBOLエンジニアの転職で評価されるスキル・経験

次に、COBOLエンジニアの転職で評価されるスキル・経験について解説します。

COBOLでのプログラミングスキル
プログラミングスキルでは、特定の汎用機上で動作するCOBOLではなく、オープン系システム上で動作するCOBOLのスキルが重視される傾向にあります。これは、汎用機からオープン系システムへの移行案件において必須とされるためです。COBOLの基本的な文法に違いはないものの、運用方法(オペレーターの有無)や、文字コード、DB構造、オンライン画面仕様の違い(CUIかGUIか)などから、異なった記述方法を求められることがあります。
 
例えばオペレーターの存在が前提となる汎用機では、オペレーターコンソールと呼ばれる装置との処理に関する命令が必須です。しかし、オープン系システムではこうした装置を用いないため、別の記述に置き換える必要があります。同様に、帳票出力についても汎用機は紙ベースですが、オープン系システムでは電子帳票が主流です。したがって、帳票出力部分の記述も相応の内容に変更するスキルが求められます。このように、環境によって求められる記述に対応できるかが、プログラミングスキルの評価ポイントになるでしょう。

要件定義、基本設計、詳細設計スキル・経験
他言語のエンジニアと同様に、要件定義、基本設計、詳細設計スキルは重要な評価ポイントです。上流工程ほど習得難易度が高いため、対応できると年収が上がる傾向にあります。

金融、保険業界、官公庁などの業務知識
COBOLの需要は、金融・保険業界や官公庁に集中しています。金融・保険業界の専門的な業務知識をシステムに落とし込むスキルは、評価に関わる重要なポイントです。

マネジメントスキル・PM経験
COBOLエンジニアは、年齢が高めで経験年数も長いことから、マネジメントスキルを期待される傾向にあります。設計・開発・実装・進捗管理まで独力で進めつつ、チームやプロジェクト全体を見渡せるスキルがあれば、評価の対象となるでしょう。特に、PMを担当した経験があれば、高年収を狙いやすくなります。

その他のスキル・経験
上記以外にも、COBOL案件で問われることが多い下記の経験は評価の対象になります。
 
・汎用機からオープン系、ERPパッケージなどへの移行プロジェクト経験
・AS400やIBMiなど、代表的な汎用機での開発、運用、保守経験

3. COBOLで転職した場合の年収例

最後に、実際の求人からCOBOLエンジニア求人の年収を紹介します。

大手電機メーカーのシステム開発子会社(システムエンジニア)
【想定年収】450~550万円
【業務内容】要件定義、環境構築、実装、テスト、マネジメント
【求められるスキル・経験】COBOLでの開発経験

医薬品・医療機器メーカー(システムエンジニア、PM、PL)
【想定年収】400~720万円
【業務内容】流通、サービス業の基幹システムやPOSパッケージ開発、運用保守など
【求められるスキル・経験】・社会⼈経験3年以上且つ、何らかのシステムの開発・運⽤・保守いずれかの経験1年以上
COBOLエンジニアの年収は400~600万円程度がボリュームゾーンです。エンジニアの中では、それほど高い年収ではありません。その理由として、新規開発よりも運用保守や追加改修案件が大半であることが挙げられます。ただし、金融・保険業界や官公庁系の汎用系システムの開発経験や上流工程の経験、運用・保守チームのリーダー経験などがあれば、600万円以上の年収で採用されるケースもあります。

4. まとめ

この記事では、COBOLエンジニアの転職に必要なスキル・経験・実際の年収例などを紹介しました。今後も汎用機からクラウドサーバーシステムへの移行が行われている間は一定の需要が続くと考えられますが、移行が進んだ10年、20年先には需要が減少する可能性もあります。COBOLのスキルを磨くことはもちろんですが、長期的な観点では、新たに他の言語も習得しておけば安心でしょう。

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