IT業界とは
ITとは「Information Technology」の略で、情報技術のことです。IT業界は情報技術を活用したサービスや商品を提供する業界といえます。
IT業界といっても、PCの物理的なハードウェア部分を取り扱う企業も、PCの中で動くソフトウェアを開発する企業も、スマートフォン向けのアプリを開発・提供している企業もその一部です。このように、提供しているサービスの種類は非常に幅広いものとなります。
IT業界の分類
IT業界は業務の内容によって、大きく5つに分類することができます。選ぶ業界によっては、やりたいこと・実現したいことに関連した業務に携われる可能性が低くなってしまいます。IT業界に入って何をしたいのか、目的を明確にするためにもそれぞれの業界の特徴を知っておきましょう。各業界について解説します。
情報処理サービス業界
情報処理サービス業界の企業は、主に情報システムの設計、開発、運用、保守を担います。代表的な企業には、クライアントのシステム開発を請け負うシステムインテグレーター(SIer)があります。規模の大きな仕事が基本で、関連企業や下請け企業まで含めると関わる人数も非常に多い傾向にあります。
取り組む領域は幅広いです。金融機関や公共交通機関のような社会インフラを担う大規模なシステムから、小売企業やメーカーなどの業務系システムまで、あらゆる業界の企業や官公庁がクライアントになります。
また、ITシステム、アプリケーション、プログラムなどのソフトウェアからPC、サーバー、IoT向けデバイスなどのハードウェアまで顧客が必要とするものが提供対象です。
近年はIoTやビッグデータの分野が注目されていることもあり、情報処理系サービスを提供する企業の求人や案件は増大しつつあり、データ分析に関するサービスにも注力するようになりました。
ソフトウェア業界
私たちが普段PCやスマートフォン上で使っている、さまざまなシステム・アプリケーションを設計・開発している業界です。
ソフトウェアとは、コンピューター上で実際に処理を行うプログラムのことをいいます。大きく分けて、PCやスマートフォンなどのシステム全体を管理するオペレーティングシステム(OS)と、OS上で特定の作業を行うためのアプリケーションの2種類があります。
身近な例では、WindowsやMacOSがオペレーティングシステム、WordやExcelなどがアプリケーションに該当します。近年ではクラウド型のソフトウェアが主流となってきており、ブラウザ上で動作するSFA(営業支援)やCRM(顧客管理)などのソフトウェアが提供されています。
クライアントの多様なニーズに応えるべく、次々と新しいソフトウェアが開発されており、年々市場は拡大傾向にあります。
ハードウェア業界
現在ではIT関連技術が用いられる対象はPCに限らず、ゲーム機や家電、モバイル端末なども含まれます。これらのハードウェアを扱う業界をハードウェア業界といいます。
ハードウェアとは、ソフトウェアと相対するワードとして用いられ、ITの世界においては形のある機器のことを指します。具体的には、PC本体をはじめマウスやプリンター、サーバー、通信機器、内部を構成する電子回路などがあります。
この業界には、機器を製造する大手メーカーや関連企業が含まれます。前述の情報処理サービスを提供する大企業の多くは、ハードウェアの開発・販売も手がけていることが多いです。これらの企業が開発したハードウェア製品を制御するシステムを開発する技術者を、ハードウェア業界独特の職種として「組み込みエンジニア」と呼びます。近年では、IoTの発展に伴い、組み込みエンジニアの需要が高まってきています。
また、従来のサーバーは物理的に購入するものでしたが、現在ではクラウドサービスとして提供されるものが主流に変わってきています。代表的なクラウド型のサーバーサービスは、Amazonが提供するAWSやGMOが提供するレンタルサーバーConoHaなどです。これらは、サブスクリプション型の課金体系で提供されており、物理的に購入しなくてもインターネットを通して利用することができます。このようにハードウェア業界のサービスは、必ずしも物理的な購入を必要としないものへとシフトしています。
Web・インターネット業界
インターネット業界は、ブロードバンドの普及により急速に発展してきた業界です。インターネット業界は、インターネットを活用してさまざまなサービスを提供する企業で構成されています。BtoBと呼ばれる企業向けのサービス提供を行う企業と、BtoCと呼ばれる個人向けのサービスを提供する企業に大別されます。
BtoBサービスには、企業のコーポレートサイトやECサイトを提供するWeb制作企業、ネットワーク構築を専門とする企業、クライアントの認知度向上や集客を支援するリスティング広告・SNS広告の運用を代行して行うインターネット広告代理企業があります。
BtoCのサービスは、ポータルサイトや動画配信サイトを運営する企業、SNSやチャットのWebサービスを提供する企業、ECサイトを運営する企業などが代表的です。近年はインターネット技術の進歩に伴い、BtoCのWebサービスが増えています。
インターネット業界の代表的な職業としては、Webサイト制作を監督するWebディレクター、Webサイトのデザインやコーディングを行うWebデザイナー、インターネットを活用した広報活動や集客などを支援するWebマーケターなどがあります。もちろん、バックエンドの開発を行うプログラマーやシステムエンジニアなどの職種もあります。
関連記事:Web業界の仕事とは?代表的な企業や職種9選を紹介
通信サービス業界
数あるIT業界の仕事のなかで、忘れてはならないのが通信サービス業界です。この業界が急成長したからこそ、今のIT業界の発展があるといえるでしょう。
通信サービス業界とは、音声・データ・情報をやりとりするための通信サービスを提供する業界です。通信事業者各社が提供する電話回線やインターネット回線が通信サービスの代表例です。
通信サービスは、インターネット接続サービスを提供するインターネットサービスプロバイダと固定電話を提供する固定通信、スマートフォンや携帯電話等の通信サービスを提供する移動体通信の3つに大別されます。
近年、インターネットサービスが爆発的に普及した背景として、特に通信サービス業界が高速インターネット回線を提供するようになったことと、スマートフォンの登場が挙げられます。通信サービス業界はIT化社会を根底から支えており、ビジネスにもプライベートにも必要不可欠な業界です。
IT業界の将来性
IT業界は現代社会において基盤といっても過言ではありません。人々の生活はITによって成り立っています。そして、これは将来的にも変わらないでしょう。むしろAIの普及などによって、生活のIT化はより加速していくと考えられます。つまり、IT業界は将来的にも需要がある、むしろ需要は加速していく可能性が高いということです。
IT業界では人材不足が続いている
IT業界では常に人材が不足しています。経済産業省の- IT 人材需給に関する調査 -調査報告書によると、2030年にはIT人材は最大で79万人不足するとされています。業界の中にもさまざまな職種があり、その中でもエンジニアは不足が見込まれる職種です。
現状もIT人材の不足は続いています。企業も一定のスキルを持った人材を求めているため、なかなか人材のギャップが埋まらない点が問題となっています。
そのため、企業や国で対策がされており、企業では採用年齢の引き上げ、待遇を他社よりも良いものにするなどが行われています。政府は将来のIT業界の人材の確保のため、教育によるスキル底上げを目指し、2020年から小学校でのプログラミング教育が必修化されました。
AIやIoT、ビッグデータを扱う分野は特に将来性がある
IT業界の中でも特に「AI(人工知能)」「IoT」「ビッグデータ」を扱う分野が今後発展すると見られており、将来性は高いと考えられます。現状もこの分野の専門性のある人材は十分ではないため、経験を積むことができれば市場価値の高い人材になれる分野です。
IT業界の代表的な職種と仕事内容
IT業界の代表的な職種と仕事内容を紹介します。まずIT業界の職種は、大きく分けると「エンジニア職」「営業・コンサルティング職」「マネジメント職」「Web・インターネット業界特有の職種」の4つです。細かく分けるとほかの分類もありますが、分かりやすく上記のような分類で解説していきます。
エンジニア職
まずはIT業界の中で直接的に手を動かすエンジニア職から紹介します。システム・アプリケーションを動かすためのプログラミングに大きく関わる職種です。エンジニア職がいないとIT業界は成立しないので、最重要といえるでしょう。
プログラマー
プログラマーは後述するシステムエンジニアが作成した設計に基づいて、プログラミングを行う職種です。プログラマーが書いたプログラムが動くことでシステムになるので、プログラマーはIT業界の中でももっともシステムに近いIT職種といえるでしょう。
システムエンジニア
システムエンジニアは顧客との要件定義や設計を主に担当する職種です。システムエンジニアが作成した要件、設計にもとづいてプログラマーがプログラミングを進めます。ただしプログラマーではなく、システムエンジニア自身がプログラミングを行う場合もあります。
組み込みエンジニア
組み込みエンジニアは家電やスマートフォンなどに組み込むシステムを開発するエンジニアです。組み込みエンジニアは開発環境が特殊で、ソフトウェアだけでなくハードウェアにも触れるという特徴があります。
機械学習エンジニア
機械学習エンジニアはAIに使用される機械学習アルゴリズムの実装、運用などを行うエンジニアです。AIエンジニアと機械学習エンジニアを比較すると厳密にはAIエンジニアの方が担当範囲が広いですが、実態としては同じものと考えて問題ないでしょう。
インフラエンジニア
インフラエンジニアはサーバーやネットワークなどのインフラの設計、構築、運用、保守などを行うエンジニアです。ネットワークエンジニアやサーバーエンジニアの総称としてインフラエンジニアという名称が使われることも多いです。
営業・コンサルティング職
営業・コンサルティング職もIT業界には欠かせない職種です。特にコンサルティング職は需要が大きく、エンジニア職の上位職種と考えられることも多いです。営業職もコンサルティング職もエンジニア職よりも年収が高くなる場合も多く、狙い目の職種といえます。
ITコンサルタント
ITコンサルタントはITに関する知見を活かしてシステム導入やビジネス課題の解決を行う職種です。自分自身で手を動かして開発することは少ないですが、専門的な内容を知識がない人でも分かりやすいように説明する能力などが求められます。知識のあるエンジニアとも同じレベルでやり取りできる必要があります。
セールスエンジニア
セールスエンジニアは技術的な知見を活かした営業職です。エンジニアという名称ですが、業務内容としてはどちらかというと営業寄りになります。ただし一般的な営業職に比べると技術的に踏み込んだ交渉が必要で、たとえばクライアントシステムに合わせたシステムのカスタマイズなども提案する必要があります。パッケージ製品を売り込むだけの場合もありますが、その場合も自社製品はもちろんクライアントシステムを理解して提案できるレベルと技術的知見は必要でしょう。
マネジメント職
マネジメント職はプロジェクト内で管理業務を主に担当する職種です。エンジニア職を経験して、技術だけでなく開発の流れやプロジェクト全体を知ったうえで目指すのが一般的です。マネジメントに特化して最初からマネジメント職を目指す場合もありますが、その場合も一定の技術力を有していた方がエンジニアの業務を理解したマネージャーとして、評価されやすい傾向があるでしょう。
プロジェクトマネージャー
プロジェクトマネージャーはプロジェクトメンバーの選定、スケジュール管理、成果物管理などの業務を担当する職種です。プロジェクトを牽引する立場なので企業やプロジェクトから評価されやすく、年収も高めに設定されている場合が多いです。
プロジェクトリーダー
プロジェクトリーダーはプロジェクトマネージャーに似ていますが、システムエンジニアの中のリーダー職種のようなイメージになります。そのため、マネジメントだけでなく開発業務も行うのが一般的です。プロジェクトリーダーはマネジメント職ともエンジニア職ともいえるでしょう。
Web・インターネット業界特有の職種
Web・インターネット業界はほかのシステム開発よりもWebに関する深い知識・スキルが求められるため、特有の職種名で募集されていることが多いです。
Webプロデューサー
WebプロデューサーはWebサイトの企画立案、クライアントへのアフターフォローといったプロジェクトの上流工程を担当する職種です。実際にプロジェクトが稼働し始めたら、プロジェクトに参画するというよりは全体の調整を担当するのが一般的です。利益に対しての責任を負う場合も多いでしょう。
Webディレクター
WebディレクターはWeb関連プロジェクトの管理を主に担当する職種です。Webプロジェクトではデザイナー、エンジニア、ライターといった制作職種の担当者がいるので、Webディレクターは制作職種の人たちと連携してプロジェクトを進めていきます。システム開発でのプロジェクトマネージャーに近いポジションといえるでしょう。
Webデザイナー
WebデザイナーはWebサイトのデザインを制作する職種です。フロントエンド側のデザインに特化しています。具体的には、HTMLとCSSでコーディングをして、デザインを作成します。
IT業界別に見る職種と年収一覧
IT業界の職種ごとの年収を紹介します。国の統計では職種別での年収が調査されておらず、正確な数値は分かりません。なぜなら、職種の区分自体が不明確で、なおかつその職種に該当する人全員の年収を把握することは不可能だからです。そこで、レバテックキャリアの求人をもとに算出した数字を紹介します。
情報処理サービス業界
以下は情報サービス業界の平均年収です。レバテックキャリアの求人から、おおよその平均値を算出しました。
職種 | 平均年収 |
---|---|
機械学習エンジニア | 700万円程度 |
データサイエンティスト | 700万円程度 |
プロジェクトマネージャー | 700万円程度 |
プロジェクトリーダー | 650万円程度 |
ITコンサルタント | 800万円程度 |
AIと関連性の高い職種や、より上流工程を担う職種の平均年収が高いことが分かります。逆にプロジェクトリーダーのように一般的なエンジニアに近い職種だと平均年収はやや下がります。上流工程や、よりトレンドのスキル習得をすれば年収はアップするということです。
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ソフトウェア業界
ソフトウェア業界の職種の平均年収です。
職種 | 平均年収 |
---|---|
プログラマー | 450万円程度 |
システムエンジニア | 550万円程度 |
ソフトウェアエンジニア | 550万円程度 |
アプリケーションエンジニア | 550万円程度 |
エンジニアの種類ごとの年収の差異はなく、プログラマーよりもその他のエンジニアの方が平均年収が高い結果になりました。エンジニアはプログラマーを経ているケースが多いため、キャリアにも差があると考えられます。スキルだけでなく経験年数の差も平均年収の差につながっていると考えられるでしょう。
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ハードウェア業界
ハードウェア業界の職種の平均年収は以下です。
職種 | 平均年収 |
---|---|
組み込みエンジニアおよびIoTエンジニア | 650万円程度 |
セールスエンジニア | 650万円程度 |
組み込みエンジニアおよびIoTエンジニアは開発職種で、セールスエンジニアは営業職種です。しかし平均年収としては概ね同程度の水準でした。ほかのエンジニア職種と同程度の水準です。年収という観点では、エンジニア職種と営業職種に大きな差異はないでしょう。
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Web・インターネット業界
Web・インターネット業界の職種の平均年収は以下です。
職種 | 平均年収 |
---|---|
Webエンジニア | 600万円程度 |
マークアップエンジニア | 400万円程度 |
Webプロデューサー | 700万円程度 |
Webディレクター | 650万円程度 |
Webデザイナー | 600万円程度 |
Webマーケター | 500万円程度 |
上流工程を担当する職種の方が平均的に年収が高く、また制作系のなかでも高いスキルが求められる職種の方が平均年収が高いです。マークアップエンジニアはHTMLやCSSの簡易的なコーディングを専門とする職種なので、平均年収は低めになっています。
Webデザイナーもコーディングを行いますが、Webエンジニア・フロントエンドエンジニアと区別されておらず、JavaScriptでフロントエンドの実装も求められる場合が多々あります。
上記のような場合は単にフロントエンドとサーバーサイドの違いだけなので、平均年収の差異はあまりなくなります。Webマーケターについては高いスキルが求められる場合もありますが、専門スキルはなくて既成のツールを使った簡易的なマーケティングに留まる場合もあるでしょう。
Webマーケターはスキルの個人差により大きく年収差が出るため、平均すると年収はそこまで高くないと予想されます。
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通信サービス業界
通信サービス業界の職種の平均年収は以下です。
職種 | 平均年収 |
---|---|
インフラエンジニア | 600万円程度 |
サーバーサイドエンジニア | 600万円程度 |
フロントエンドエンジニア | 650万円程度 |
プリセールスエンジニア | 650万円程度 |
ネットワークエンジニア | 600万円程度 |
サーバーサイドエンジニアとネットワークエンジニアを合わせてインフラエンジニアと呼ばれるのが一般的です。そのため、これら3職種の間に年収の明確な差異はありません。フロントエンドエンジニアは開発職種のエンジニアなので、インフラ側のエンジニアよりはやや平均年種が高めです。
プリセールスエンジニアは営業寄りの職種ですが、開発側のエンジニアであるフロントエンドエンジニアと同水準の平均年収です。
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IT業界未経験者でも転職できる?
IT業界未経験者でも、IT業界の職種に転職することは可能です。他職種・他業界での経験も十分に活かせます。ただし、職種によっては未経験からの転職は厳しいのが現実です。ここでは、未経験者に門戸が広い職種にはどのようなものがあるのか挙げていきます。営業寄りの職種や、下流工程を担当する職種は未経験からでも転職しやすい職種です。
未経験者が転職しやすいIT業界の職種
IT業界へ未経験から転職を検討する場合、自分にできるのか不安に思う人も多いでしょう。実際に未経験で転職するのが難しい職種はありますが、その一方でIT業界自体が初めてでも目指せる職種は多くあります。ここでは未経験者が転職しやすい職種を紹介します。
関連記事:IT業界は未経験から転職可能?挑戦しやすい分野や志望動機の例文
セールスエンジニア
セールスエンジニアは技術自体の知識よりもプレゼンテーションスキルやコミュニケーションスキルを重視する傾向がある職種のため、未経験からの転職がしやすい職種といえます。接客や販売の経験を活かすことができるうえ、未経験者向けの研修がある場合が多いです。
プログラマー
プログラマーは常に人手不足の職種です。そのため、経験者だけでなくポテンシャル採用で未経験者を採用し、社内で育成することを視野に入れている企業が多々あります。
全くプログラミングをしたことがない人に向けて、3~6ヶ月の長期間の研修期間を設けている企業もあります。
関連記事:Javaとは?特徴や学習方法などをわかりやすく解説
IT業界で活躍する職種に共通して求められるスキル・資質
IT業界といっても幅が広く、本記事内でも多くの職種を紹介しています。それぞれの職種に専門的な領域があり、知識やスキルが求められますが、IT業界の職種に共通して必要となるスキル・資質もあります。
これらのスキルの多くは学習や反復的な訓練により身につけることが可能です。IT業界で活躍するためには、これらのスキルを持っていなければならないのではなく、これから習得するものとして捉えてください。
コミュニケーションスキル
あらゆるIT業界の仕事は一人では完結しません。ユーザーが存在しており、多くの場合は共同作業者も存在します。相手の意図を汲んで求められるプロダクトを作ることがIT業界全般で求められる成果です。成果を出すためには顧客だけでなくエンジニアや経営陣など幅広くコミュニケーションを取る必要があります。
コミュニケーションが苦手な場合には成長余地があると考え、コミュニケーションスキル向上を目指しましょう。
課題解決スキル
IT業界の仕事の多くは単純な繰り返しではなく、これまで存在しなかったシステム、アプリケーション、Webサイトなどのプロダクト・サービスを作り上げるものです。新たなものを作り上げるには、決まった道はなく、多くの課題が発生することが普通です。発生する課題の一つひとつを解決することが仕事ともいえるため、技術知識や事例を知り、柔軟な発想を持って実現可能な方法を探る課題解決スキルが重要となります。
また、IT業においては顧客に提供するプロダクトやサービスは、物理的な形を持たないソフトウェアであることが多いでしょう。これらのソフトウェアは、何らかの課題を解決することにより価値が生まれるものです。プロダクトやサービスでできることを理解して適切に提案できることも、顧客の業務上の課題を解決するスキルといえます。
論理的思考力
IT業界の取り扱うITは情報を集めたもので、小さな論理の積み重ねで成り立っています。必然的に業務を効率的かつ高い品質で行おうとした場合には、理にかなった形でITを形にする必要があります。多くの原理、理論を知り、それを組み合わせて大きな仕組みを作るためには論理的思考力が欠かせません。
学習意欲
IT技術は日進月歩で進化しています。1年前の技術がすでに過去のものであることは少なくありません。最新の技術を用いることにより新たにできることが増え、そこに価値が発生します。高い価値を提供するには新たなことを学び続ける必要があります。
IT業界の仕事では、日々新しくなる技術を学習し、利用します。技術の習得はIT業界で働く間は続ける必要があるため、新技術の情報を積極的に探し、自発的に理解しようとできる人が向いているといえるでしょう。
学習意欲が高くない場合には、学習を行うことは自己の成長に向けた時間の投資と前向きにとらえて意識を変えていきましょう。
IT業界未経験者におすすめの資格
IT業界で活躍する職種のほとんどは、就職するために資格は必要ありません。しかし、IT業界未経験の場合、資格の保有は一定以上のスキルを示すことができる有効な手段です。もちろん、資格を取得するための学習は自身のスキル向上にも繋がっているので、IT業界での就業後にも役立つものとなります。IT業界未経験者向けの資格を紹介します。
ITパスポート
ITパスポートは業務でのIT利用に向けたスキル保有を示す資格です。独立行政法人情報処理推進機構(IPA)により運営され、経済産業省が認定する国家資格「情報技術者試験」の入門的なポジションにあたります。
IT業界でも最低限のITスキル、ITリテラシーの保有を示す資格として広く認知されています。ただし、難易度は高くないため、エンジニア職種への就業に向けてスキルをアピールできる程ではありません。あくまで初歩のステップとして取得し、さらに上位の情報技術者試験を取得すると良いでしょう。
基本情報技術者試験
基本情報技術者試験はIT技術者としてエントリレベルのスキルを示すことのできる資格試験です。IPAにより運営される情報技術者試験の一つで、ITエンジニアの登竜門ともいわれています。
エントリレベルとはいえ、ハードウェア、ソフトウェア、プログラミング、システム開発技法、プロジェクトマネジメント、IT戦略など試験範囲は幅広く、難易度は低くはありません。しかし、どのようなITエンジニア職種に向けても、技術者としてのベースが整っていることを示せるため、未経験からIT業界を目指す場合にはおすすめの資格です。
Python3エンジニア認定基礎試験
Python3エンジニア認定基礎試験は、一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会によるPythonスキルを示せる資格試験です。上位の試験としてPython3エンジニア認定実践試験、Python3エンジニア認定データ分析試験などがあります。
Pythonは人気の高いプログラミング言語で、データサイエンスやAIなどの分野のプログラミングでも活用される言語として今後も需要が見込まれます。IT業界未経験者が最初のプログラミング言語にPythonを選択し、そのスキルを示すのに役立てられる資格です。
情報セキュリティマネジメント試験
情報セキュリティマネジメント試験はIPAが運営し、経済産業省が認定する国家資格「情報技術者試験」の中でも、平成28年から開始された比較的新しい資格です。IT活用上で欠かせない情報セキュリティに関するスキル、知識を問う内容となっています。
企業の中でも情報セキュリティマネジメントを行う立場の人に向けた資格試験で、ITパスポートからステップアップできる資格といえます。ITエンジニアとしての高いスキルを示す資格ではありませんが、IT業界のあらゆる分野でセキュリティに関する知見は役立ちます。
統計検定
統計検定は、一般財団法人統計質保証推進協会が実施し、日本統計学会が認定する統計に関する知識、活用能力を評価する資格試験です。統計検定4級から1級、他の専門分野に加え、データサイエンス基礎、データサイエンス発展、データサイエンスエキスパートの分野があります。
データサイエンスはIT業界でも注目を集める分野で、データの分析により新たな知見をもたらす技術です。その基礎には数学、統計学の分野があるため、統計検定はIT業界でデータサイエンス分野を目指す場合に有用となる資格となります。
データサイエンティスト検定
データサイエンティスト検定は、一般社団法人データサイエンティスト協会の実施するデータサイエンティスト向けの資格試験です。2024年4月14日時点では、アシスタントデータサイエンティスト(見習いレベル)のスキルを示せる「データサイエンティスト検定 リテラシーレベル」のみが提供されています。
データサイエンス、AIなどの分野での初学者向けの資格試験です。これらの分野で活躍を目指すIT業界未経験者でも取り組み易い資格試験といえます。
IT業界の職種に転職する方法
未経験からIT業界の職種に転職する際には、スキル習得や正しい方法での転職活動が重要になります。スキルを習得したうえで、そのスキルを適切な場所に適切な形でアピールするということです。どのような流れで進めるのが良いかを先に把握したうえで、着実に進めていくのがおすすめです。
まずはITスキルを身につける
IT業界の職種を目指す場合には、スキルの習得が必要です。未経験者応募可能の求人も存在しますが、いずれも就職後にはITスキルの習得が必要となります。ITスキルを転職前に身につけることで、転職活動時のアピールポイントにもなり、自分に適した職種を探すのにも役立ちます。
スクールやWeb上の学習サービス、書籍などを利用して、最低でも転職活動開始と同時にITスキルを身につけましょう。資格の取得などを目標として学習してみるのも一つのプランです。
転職エージェントを活用する
未経験からIT業界への転職を目指す場合、職種が多く違いや適性などを理解するのが難しく感じるでしょう。転職先の情報を求人情報だけで探すとアンマッチが発生する場合もあるので、迷う場合には転職エージェントを活用することがおすすめです。
IT業界での実績のある転職エージェントを利用することで、自分の希望する職種を明確化し、転職先を絞った活動が可能となります。また、エージェントはIT業界の企業について多くの情報を持っているので、未経験者のサポートや教育体制が整った企業についても情報を得ることができます。
外資系企業と国内IT企業の主な違い
同じ業界のIT企業でも、外資系企業と国内IT企業では評価や教育制度などで大きく違いがあります。
外資系企業は能力主義による採用や評価体系を取っていることが多く、未経験からの転職の場合には外資系の企業はハードルが高めです。転職時の応募には保有スキルをはっきりと示すことが求められるため、未経験者には条件が合わないことが多いためです。
外資系企業では、企業内の公用語に英語が採用されているなどの外国語スキルが求められるケースが多いことも特色の一つです。グローバルに人材を集めているため、同僚にも外国籍の従業員がおり、コミュニケーションに向けた外国語スキルも必要となってきます。
国内企業は一般的には能力主義と年功序列を組み合わせた評価制度を持っています。また、転職時の採用基準も会社によって差異はありますが、現状の能力だけでなくこれまでの業務経験や前の業界の業務知識なども評価に繋がります。求人などの情報でどのような人材を求めているかにも注目しておきましょう。
IT業界に関するよくある質問
IT業界に関するよくある質問とその回答を紹介します。IT業界というと枠組みが広いですが、目指すべき職種などが定まっていない場合は、まずは大枠から知っていくのがおすすめです。たとえば、IT業界ではどのような事業があるのか、具体的な仕事内容は何かなどです。以下ではIT業界の大枠についての質問と回答を紹介しているので、参考にしてください。
Q1. IT業界では何をしますか?
IT業界では、ソフトウェアやハードウェアの開発を行います。システムなどを開発しますが、職種によって役割が異なります。直接開発は行わず、コンサルティング、プロジェクトマネジメント、テストなどを担当する人もいます。
Q2. IT業界の魅力を教えてください
IT業界の魅力は複数あります。たとえば、最新技術に触れられる、スキルアップすれば収入が上がる、自分自身の成長を実感しやすい、などが挙げられます。企業や職種によっては、時間や場所にとらわれない働き方ができることもあります。
Q3. IT企業が多い地域はどこですか?
IT企業は東京などの都心部に集中しています。ITは場所を選ばないことが強みですが、実態としてはプロジェクトメンバー、クライアント企業が集まりやすい都心部にIT企業も集中しています。しかし、近年はリモートワークやニアショア開発なども広がっており、ほかの地域にも増えている傾向です。
Q4.IT業界の主な職種は何ですか?
IT業界の主な職種は以下が挙げられます。
-
・プログラマー・システムエンジニア
・組み込みエンジニア
・機械学習エンジニア
・インフラエンジニア
・ITコンサルタント
・セールスエンジニア
・プロジェクトマネージャー
・プロジェクトリーダー
・Webプロデューサー
・Webディレクター
・Webデザイナー
まとめ
この記事では、IT業界の全容と職種ごとの主な仕事内容について解説してきました。IT業界は幅広いですが、システム開発を行う業界全般がIT業界と考えられることが多いでしょう。またIT業界内の職種も種類が多いですが、代表的な職種を把握しておけば問題ありません。
類似する職種も多いため、代表的な職種を把握しておけば聞きなじみのない職種であってもどのような仕事内容を担当するのか概ね予想がつくからです。IT業界内でどのような職種を目指すべきか迷っている場合、まずはIT業界について知ることが重要です。
IT業界について把握しておくことで、目先の勉強だけでなくキャリアプランなども考えてステップアップできるようになります。ただしその時々で必要なスキル習得に集中することも重要なので、長期的な目線を持つことと短期的な目線で目の前のことに集中することの両方に力を入れることでIT業界内で活躍できるでしょう。
ITエンジニアの転職ならレバテックキャリア
レバテックキャリアはIT・Web業界のエンジニア職を専門とする転職エージェントです。最新の技術情報や業界動向に精通しており、現状は転職のご意思がない場合でも、ご相談いただければ客観的な市場価値や市場動向をお伝えし、あなたの「選択肢」を広げるお手伝いをいたします。
「将来に向けた漠然とした不安がある」「特定のエンジニア職に興味がある」など、ご自身のキャリアに何らかの悩みを抱えている方は、ぜひ無料のオンライン個別相談会にお申し込みください。業界知識が豊富なキャリアアドバイザーが、一対一でさまざまなご質問に対応させていただきます。
「個別相談会」に申し込む
転職支援サービスに申し込む
※転職活動を強制することはございません。
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