サポートエンジニアとは?仕事内容や年収、将来性まで徹底解説

最終更新日:2023年10月17日

サポートエンジニアとはユーザに向けた製品、サービスの利用をサポートするエンジニア職です。製品・サービスのバックグラウンドとなる技術知識はもちろんのこと、顧客と対応する窓口となるのでホスピタリティも必要とされます。顧客満足度向上だけでなくユーザエクスペリエンスの提供も担う重要性が評価されており、マイクロソフトなど大手企業でも採用強化にも注目が集まる職種です。

サポートエンジニアを目指す方、キャリアパスとして検討する方に向けて、需要や仕事内容をはじめ、必要な知識とスキル、メリットや将来性、平均年収などについて解説します。

この記事のまとめ

  • サポートエンジニアは、ソフトウェアやハードウェアの利用者(クライアント、ユーザー)の支援を行う
  • BtoBであれば開発後の運用サポート、BtoCならクライアント先で稼働しているシステムのサポートなど、扱うシステム・サービスによって形態が異なる
  • 未経験からサポートエンジニアを目指すためには、基本情報技術者試験やITILファンデーション、マイクロソフトをはじめとするベンダー試験が有効
  • レバテックキャリアでサポートエンジニアを検索すると、2023年9月現在で416件の求人があり平均年収は約535万円となっている
  • 業務内容は幅広く、未経験でも狙いやすい業務といえる

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サポートエンジニアとは

サポートエンジニアとは自社で提供するプロダクトや、サービスを利用するユーザーの課題解決をサポートするエンジニア職です。一般的なITエンジニアとは異なり、開発・運用には関わらず顧客のサポートを行うことが主な業務となります。

サポートエンジニアの仕事内容

一般的にサポートエンジニアの仕事は、自社の提供するソフトウェア(システム、アプリケーション、サービス)やハードウェアの利用者(クライアント、ユーザー)の支援を行うことが主な業務となります。利用方法に関する技術的なQ&A、システムトラブルの受付から解決といった業務は、扱う製品・サービスに関わらず利用者の印象を左右するため重要な業務といえます。

なかでもQ&Aやトラブル解決から顧客の体験・意見を汲み上げて、製品開発部門へフィードバックする役目は重要視されています。さらにはカスタマーエクスペリエンスの実現者として顧客満足度を高め、ユーザーの継続利用を担う役割も持っています。

製品・サービスの種類、ビジネス領域、サポート範囲によっては、サポートエンジニアとしての仕事に幅が出てくることもあるでしょう。そのためサポートデスク、テクニカルサポート、ヘルプデスクといった名称で呼ばれることもあります。

また顧客が企業である場合(BtoB)と個人である場合(BtoC)で、サポートエンジニアの仕事内容は変わってきます。BtoBの代表的な例としては、開発した業務システムの運用保守として引き続きサポートデスク業務を受注するケースです。その場合は自社開発のソフトウェア以外にもクライアントが利用しているPC、アプリケーション、システムに関する問い合わせ、トラブル対応が業務に含まれるケースもあります。

最初からサポート業務をメインとした契約で、クライアント先で稼働するシステムの運用支援、業務支援を行う形式もBotBの一つの形です。この場合は顧客先に常駐して、業務部門や情報システム部門の業務遂行をサポートします。クライアントのシステム運用チームの一員として活躍し、業務上のトラブル対応、システムの改善も業務の範疇です。

一方でBtoCのサポートエンジニアの代表的な例となるのが、パッケージソフトウェアやSaaSを提供する企業での自社サービスに対する問い合わせ、トラブル対応などの業務です。顧客とのQ&Aやトラブル対応の窓口業務に加えて、システムメンテナンス、システムの改善と兼務する場合もあります。

関連記事:テクニカルサポートとヘルプデスクの違いとは?

問い合わせ対応

ビジネス形態に関わらずサポートエンジニアの主な業務となるのが、顧客からの問い合わせ対応です。システム、サービス、ハードウェアなど自社のプロダクトを利用している顧客から、利用方法や契約上の問題といったあらゆる問い合わせの窓口として連絡を受けつけます。すぐに回答できる場合はその場で回答しますが、難しい場合は技術部門や営業部門といった部署に連絡を回して、しかるべき回答につなげることも問合せ業務の一部です。

また、問い合わせに対するチャネルを複数用意することも一般的になっています。電話やメールに加え、チャットツールを用いた対応もサポートエンジニアが担います。

トラブル対応

自社プロダクトを利用して起きたトラブルや問題・課題についても、サポートエンジニアが窓口となるケースが多いでしょう。トラブルの詳細を聞き出して情報としてまとめ、インシデント情報をチーム内に共有します。その後、問題の切り分けを実施し、必要であれば関係部署にエスカレーションをするなど適切な対処が求められます。

遠隔サポート

顧客の問い合わせやトラブルに関して、遠隔でサポートを行うこともあります。一般的な電話サポートに加えてリモートアクセス可能なツールを活用して、顧客と画面を一緒に見ながら問題を解決します。口頭での説明が難しい、伝わりにくいケースでは有効なサポート方法といえるでしょう。

ドキュメント作成

自社プロダクトについてのマニュアル整備、仕様などをまとめたドキュメント作成もサポートエンジニアの業務です。問い合わせやトラブルで受け付けた内容をドキュメント化することで、ノウハウを共有しながら効率的なサポート業務を実現します。

アフターフォロー

顧客との窓口対応はメインとなる業務ですが、その後のアフターフォローもサポートエンジニアの重要な役割です。対応後のアフターフォローは、顧客が満足できる体験を構成する要素の一つです。

サポートエンジニアの種類

サポートエンジニアはサポートする範囲によって、いくつかの種類に分けられます。代表的な種類について解説します。

カスタマーサポート

提供するサービスの顧客(カスタマー)に対し、あらゆる問い合わせやトラブル対応、手続き依頼、苦情などを受け付け対応する職種です。技術的な問い合わせに対しては一次窓口として機能しますが、契約に関する手続きやクレーム対応も業務範囲に含まれることがあります。企業によってはサポートセンターやサポートデスクという名称で呼ばれる場合もあります。

プロダクトサポート

特定の製品(プロダクト)に特化している点が特徴のプロダクトサポートも、顧客との窓口対応となるので業務内容はカスタマーサポートと同様です。製品に関する問い合わせに対して、調査結果や蓄積した知見による回答をすることが重要な職務となります。

テクニカルサポート

テクニカルサポートも顧客との窓口対応がメイン業務となるため、その点はカスタマーサポートやプロダクトサポートと同様です。異なる点はより技術的な問題の解決に関わる度合いが強い職種であることです。問い合わせに対して環境の再現を行ったり、プログラムを解析して実際の調査も行う場合もあります。

関連記事:テクニカルサポートとは?仕事内容や必要なスキル・資格も解説

セールスサポート

営業担当者をサポートし、顧客とエンジニアチームのコミュニケーションを橋渡しする職種です。技術営業やセールスエンジニアとも呼ばれます。技術的な知識を持ち、顧客にわかりやすく伝えるスキル、顧客の要望に技術的に対応可能かどうかを判断するスキルなどが必要になります。

SEとの違い

エンジニアと表現するとSEと混合されがちですが、SEとの一番の違いはシステムやソフトウェアの開発を行うかどうかです。SEはクライアント企業のシステムを設計・構築をする職種ですが、サポートエンジニアは開発が完了して提供済みの製品に対し、企業やユーザーが円滑に使用できるようにサポートする職種といえます。

同じシステムであっても開発フェーズと運用フェーズで担当は異なるものの、顧客から見れば同じエンジニアとして捉えられる場合があるため注意が必要です。SEとしての知識やスキルも持ち合わせていれば、市場価値の高いサポートエンジニアとして活躍が期待されるでしょう。

サポートエンジニアの就職先例

サポートエンジニアの就職先となるのは、IT製品、サービスを提供するあらゆる企業です。その幅は広く、例として下記があげられます。


  • ・Webサービス事業者

    ・パッケージソフトウェア開発事業者

    ・SIer

    ・IT機器メーカー・販売会社

    ・メーカー機器サポート会社(メーカーの子会社など)

    ・家電メーカー

    ・サポートデスク業務をアウトソーシングする企業

など

サポートエンジニアが活躍する就職先には大手のIT企業も存在します。例えば、マイクロソフト、Googleの例があげられます。

マイクロソフトではOSからサーバ、アプリケーションなど幅広いサービスを開発し、ビジネスの幅を拡大し続けています。開発・販売する製品が増えれば増えるほどサポート範囲も広がるため、各製品のプロフェッショナルであるサポートエンジニアを求めています。

Google社の場合、サポートエンジニアにあたる職種として「テクニカル ソリューション エンジニア」「アプリケーション サポート」といった名称の職種があります。Google Cloudへの切り替えサポートや技術的な問題のトラブルシューティングなどを行います。

サポートエンジニアに求められる知識とスキル

サポートエンジニアは顧客に対する窓口となり、自社の製品・サービスの代表として対応が求められる仕事です。サポート対象の製品・サービスに対する知識だけでなく、クライアントとのコミュニケーションスキルも必要となります。

基礎的なITスキル

サポートエンジニアにとって基礎的なITスキルや知識は必須です。顧客からの問い合わせを受け付けるにあたり、詳しい知識を持たない相手からソフトウェアやハードウェアに関する状況をヒアリングしなければなりません。広範囲の知識を持ちながら、相手にとってわかりやすい言葉と照らし合わせるスキルが求められるでしょう。

製品・サービスに関する知識

顧客から問い合わせを受ける際、サポートエンジニアは会社を代表した窓口となります。製品・サービスについてよく知らず間違った回答をしてしまうと会社の信頼を失うだけでなく、顧客までも失うことに繋がりかねません。顧客との窓口になる立場においては、技術面での製品知識と顧客ビジネスにおける役割への知見の両方を兼ね備える必要があります。

製品・サービスの開発に必要な技術スキル

製品・サービスに関するトラブルを解決に導くには、製品・サービスの技術的なバックエンドを知り、ソースコードレベルで調査できる開発技術スキルが必要です。どこまでのスキルがサポートエンジニアに求められるかは、案件や職場などで変わってきます。

製品・サービスで発生するトラブル、エラーを調査する場合には、動作環境についても精通していなければなりません。PCなどのデバイス、OS、サーバー、ネットワークといった環境に関する知識も、事象の切り分けを行なうためには重要なスキルです。

コミュニケーションスキル

サポートエンジニアはエンドユーザと直接やり取りを行う立場です。顧客から見れば会社を代表する立場としてやり取りをするため、高いホスピタリティが必要になります。

とくにトラブル対応時は障害や製品の欠陥など繊細な要素を含む可能性があります。また連絡してくるクライアントも切羽詰まった状況のため、論理的でなかったり感情的な場合もままあるため、高いコミュニケーション能力が求められます。

英語をはじめとする語学力

技術的な問題の解決にあたるサポートエンジニアにとって、英語を始めとする語学力は必要不可欠です。最新のIT技術に関するマニュアルやドキュメントは英語で記載されたものが多く、そこから正しい情報を読み取る必要があるためです。

プロダクトによっては海外の顧客がサポート対象になるかもしれません。英語は多くの相手に通じる共通言語でもあるので、ぜひ身に着けておきたいスキルといえるでしょう。

問題解決能力

サポートエンジニアが受け付ける問合せ、トラブル、苦情といった問題は、一つひとつを解決して顧客を満足させる必要があります。そこで重要となるのが問題解決力です。ヒアリングした問題を読み解き、効率的に解決する方法を探すことが重要といえるでしょう。自分ですぐに解決できない問題は周囲の力を上手に利用し、知識を持った協力者を得て解決に導ける能力が重要視されます。

プレゼンテーション力

サポートエンジニア業務ではスライド資料を作成してプレゼンテーションを行うことはありませんが、電話やメールでのコミュニケーションは必要不可欠です。会話や資料を通して製品仕様や原因調査の内容を説明するためにも、プレゼンテーション力を最低限身につけておくと顧客対応時に役に立ちます。

サポートエンジニアにおすすめの資格

サポートエンジニアの職務上で役立つ資格について紹介します。

ITサービスマネージャ試験

ITサービスマネージャ試験は独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の主催する情報処理技術者試験の内、高度な知識・技能を示す試験の一つです。サービスの運用・保守の管理者としての高いスキルを証明できる資格であり、ITスキル標準(ITSS)レベル4にあたります。サポートエンジニアの職務においては、サービスの運営、管理を行う高いスキルを示せる資格です。

基本情報技術者試験

基本情報技術者試験もIPAによって運営される情報技術者試験の一カテゴリであり、多くのITエンジニアが取得を検討する資格試験です。情報処理の基礎的知識からアルゴリズムに関する知識まで幅広く問われ、ITエンジニアとしてのエントリレベルのスキル保有を示せます。サポートエンジニアに必要とされる広く基礎的なIT知識が問われるため、スキルを示すのにはうってつけの資格といえるでしょう。

スーパーバイザー資格

コン検(コンタクトセンター検定試験)は一般社団法人 日本コンタクトセンター教育検定協会が運営・認定する、コンタクトセンター業務のスキルを評価する資格試験です。その中でもスーパーバイザー資格は、コンタクトセンター管理者として必要なマネジメントの知識・スキルの習得を認定する資格として位置づけられます。

サポートエンジニアの名称はさまざまですが、各種のコンタクトセンターで活躍することが多いため、本資格は実務スキルを示す資格として有効です。下位のオペレーター向け試験、上位のオペレーションマネジメント資格などもあるのであわせて受験を検討してください。

PeopleCert/ITIL®ファンデーション

ITILは英国商務省により出版されたITサービスマネジメントにおけるベストプラクティス(成功事例)をまとめた書籍群をベースとした、ITサービスマネジメントスキルの認定資格試験です。現在の認定元・試験運営はPeopleCert社によって行われています。

ITILファンデーションは4段階あるITIL試験の一番下位のレベルの試験で、ITエンジニアおよびITサービス管理者に向けた入門レベルのスキルを示せる資格となっています。ITサービス運営の一環として、サポート業務に関連するスキルを示すことが可能です。

マイクロソフトをはじめとするベンダー資格

Microsoft社の提供する各種のソフトウェア、サービスに関するスキル・知識を認定するベンダー資格として、Microsoft認定資格プログラムがあります。クラウドプラットフォームのAzure、Microsoft365、WindowsServerなど、製品ごとに試験が分かれています。試験レベルもいくつかにわかれており、それぞれの専門スキルをレベルにあわせて受験することが可能です。

Microsoft社関連ではMOS(Microsoft Office Specialist)もよく知られた資格です。マイクロソフトのオフィス製品のスキルを証明するベンダー資格で、株式会社オデッセイ コミュニケーションズにより運営されています。サポート業務でもよく問い合わせがあり、業務上でも活用できるのでサポートエンジニアにとって役立つ資格といえるでしょう。

ほかにもサポート対象と関連する各種のベンダー資格(AWSやORACLEなど)の取得は、サポートエンジニアの評価にもつながります。

サポートエンジニアに向いてる人

サポートエンジニアは名称にエンジニアとつくものの、開発や設計にはあまり携わらないという特徴を持つエンジニア職種です。その分、他のエンジニア職種とは適性も異なります。

本項ではサポートエンジニアに向いている人、適性について説明します。

困っている人の手助けにやりがいを感じる人

サポートエンジニアは名前の通り、ユーザーやクライアントの困りごと、課題解決に向けたサポートを主な仕事とする職種です。問い合わせや相談をしてくる段階で、何らかの困りごとを抱えているケースがほとんどという特殊な状況となります。

これらの課題をユーザーやクライアントと一緒になって考え、解決に導くことは相手を助けることにつながります。よって、人助けに喜びを感じる人は、サポートエンジニアに向いているといえます。

ユーザー視点を持った人

サポートエンジニアは、ユーザー(クライアント)の問い合わせに対し、相手の立場に立って考えることが重要です。親身に話しを聞き、相手の困っているポイントを引き出し効果的に対応することが大切です。

エンジニア職種として働いていると、ITリテラシーを持ち技術的な知識を前提として話すことが習慣となってしまいます。サポートエンジニアの場合はユーザー(クライアント)に寄り添うためにも、ユーザー視点を持ち続けられることも適性となります。

サポートエンジニアのメリット・やりがい

サポートエンジニアはエンジニアの中でも、直接アプリケーション開発には携わらない特殊な職種です。そこにはサポートエンジニア職ならではといえる独特のメリットが存在します。

OSやアプリなどさまざまな製品に対する技術・知識を深められる

サポートエンジニアが扱う技術領域の範囲はさまざまですが、顧客が製品・サービスを使う上での問題、疑問などを直接受け付ける立場としては共通した基礎知識が必要となります。問い合わせ対応には問題や事象の切り分けから始める必要があり、必然的にOSやアプリ、ハードウェア、クラウドといったすべてのIT技術に触れる機会があります。

会社に求められる価値は、単純に売上だけではありません。顧客からの信頼、顧客満足度の向上といった目的のために働き、コストに縛られることなく技術的な調査を行う機会が多い仕事といえるでしょう。

幅広い問い合わせに対する課題解決ができるようになる

サポートエンジニアの仕事は、目の前で発生している問題に対して問題解決の能力が問われます。問題が目の前で発生したとき、効率的に正解にたどり着くプロセスが重要です。自社のメンバーやIT技術のサポート部門だけでなく、場合によっては顧客のキーマンとも連携が必要になります。一つの課題に対し関係各所の力を借りながら解決する仕事内容は、大きな達成感にもつながるものです。

最新の技術にいち早く触れられる可能性がある

サポートエンジニアは自社の製品・サービスだけでなく、顧客が利用している製品・サービスに対してもサポートするケースがあります。普段から最新の技術情報を収集できるなど、多くの技術に触れる機会があることでしょう。

通常は社外秘となる技術知識についても、サポート目的なら情報を得られる可能性が高まります。ITの新技術に興味のあるエンジニアにとっては、新たな技術に他者よりも早く触れられる喜びを感じられるでしょう。

人の手助けになっていると実感できる

マイナスイメージも多いサポートエンジニアですが、悩んでいる人や困っている人を助けることにやりがいを感じる人にとっては天職かもしれません。一日に何回もユーザーの悩み解決のお手伝いができるので、日々の業務で「人の役に立った実感」を得られます

サポートエンジニアが「やめとけ」と言われる理由

サポートエンジニアという仕事や会社を調べると「激務できついからやめとけ」という情報が目に入ります。本当にサポートエンジニアは激務なのでしょうか?そのような言説の理由となりえるサポートエンジニアの仕事のつらい点について説明します。

顧客とのやりとりが多く、クレームを言われることもあるため

顧客とは電話やメール、対面でのやりとりが発生します。案内したことや対応したことで解決すれば感謝されますが、調査に時間がかかってしまったり、なかなか原因究明に至らなかったりするとクレームに発展してしまうことがあります。システムの停止時間を少しでも短くしたいとユーザーは思うでしょうが、ベンダーが調査に難航するなどサポートエンジニアの範疇外でもクレームになるかもしれません。

夜間や休日に急に呼び出されるケースがあるため

24時間対応での窓口の場合は、夜間や休日にトラブルや障害が発生すると急な呼び出し連絡があるかもしれません。ほかのメンバーへ引き継ぎがあれば問題ないのですが、さまざまな要因で引き継ぎができない場合は長時間の労働になることがあります。

単純作業や同じような業務が多くつまらないと感じる人も

対応できる製品数が少ない時期は、似たようなパターンの問い合わせばかり対応することになります。同じ回答を別のユーザーにも説明するなど、業務がつまらないと感じる人もいます。ただし類似した問い合わせであっても、経緯や背景が変われば案内する内容も変わるので、すべて同じ回答というわけではありません。

サポートエンジニアのキャリアパス

サポートエンジニアの職務経験を生かしたキャリアパスについては、サポート業務で扱っていたプロダクトが大きく影響します。サポートエンジニア業務で培った知見は転職時にアピールポイントとなるためです。

基幹系の業務システムのサポートをしていたのならばシステムエンジニア、WebサービスのサポートであればWeb系のエンジニアといった、地続きのエンジニア領域への転職であればこれまでの実績が役立つでしょう。サポートエンジニアとして管理業務を行っていた場合は、プロジェクトリーダーやプロジェクトマネージャーへのキャリアパスも考えられます。

サポートエンジニアから他のエンジニア職種へのキャリアチェンジを図る場合には、実務スキルが求められます。独学やスクールを利用した学習により、システム開発などのスキル習得をして、キャリアチェンジに挑んでください。

サポートエンジニアの平均年収

2023年9月19日時点でレバテックキャリアにて職種「テクニカルサポート、ヘルプデスク」を条件に転職・求人情報を検索すると416件の情報が得られます。そこから30件を抽出し、年収の最大値と最小値の中間からサポートエンジニアの平均年収を算出しました。

上記計算方法では、サポートエンジニアの平均年収は約535万円となります。

昨今ではDXの実現の中でもユーザーエクスペリエンスが重要視されており、それを支えるテクニカルサポートは高い年収を提示される傾向があります。扱う製品の専門性が高く、高度な技術スキルが必要とされる場合にも高年収が期待できるでしょう。

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サポートエンジニアの求人例

レバテックキャリアよりサポートエンジニア向けの案件・求人例を紹介します。

【求人例1】
BtoB向けクラウドサービスのサポート業務の管理・運営

■業務内容
自社の提供する各種BtoB向けクラウドサービスに関する技術的なサポートチーム管理
顧客のご利用クラウドサービスに関する課題を迅速に解決するのがミッションのチームです
ヘルプデスク業務は外部に委託しており、技術的なサポートが主となります
サポートチームの利用する基盤システムの更新も業務の対象となります
サポート業務で受けた顧客の声を開発チームにフィードバックし、さらなるカスタマーエクスペリエンス向上に繋げます

■求められるスキル・経験
企業向けの各種システムにおける企画、設計、構築、導入、運用の経験3年以上
ネットワークサービスおよびクラウドサービスについてのスキル・知識

■想定年収
450万円

■勤務地
東京都

【求人例2】
自社SaaSサービスの導入準備~設定作業など/フルフレックス/フルリモート可

■業務内容
自社SaaSサービスの導入準備、設定作業
サービス導入に関する顧客とのやり取り
導入時の検証作業やチェック作業
顧客からのお問い合わせへの対応
新オプションの開発
社内業務最適化のための拡張機能などの開発

■求められるスキル・経験
Webアプリケーションに関わったことがある
CSS/JavaScriptのコーディング
経験や年齢に関わらず、積極的にコミュニケーションを取れる方
ルールやフローに沿って丁寧に仕事ができる方
あらゆる物事を自分事として考えられ、上昇志向のある方

■想定年収
500万円

■勤務地
東京都

【求人例3】
社内外の関係者に向けた自社製品に関する技術支援

■業務内容
システムのパフォーマンス調査、ヒアリングからの改善提案
システムコンサルタントやソリューションエンジニアに対しての社内サポート
営業に対しての社内サポート
国内外パートナーからの技術的な相談、トラブル対応(日本語、英語)
コールセンター(テクニカルサポート)からのエスカレーション対応
パッケージ版製品および、クラウドサービスのトラブル対応

■求められるスキル・経験
システムエンジニアとして3年以上の経験
ソフトウェアメーカーなどのテクニカルサポートエンジニアとしての3年以上の経験
ビジネスレベルの英語力

■想定年収
600万円

■勤務地
大阪府

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サポートエンジニアの将来性

マイクロソフトを始めとした巨大IT企業においても、サポートエンジニアの採用強化が図られています。これはサポートエンジニアの果たす役割が重要視されている証であり、将来性の高さを示しているともいえるでしょう。

製品・サービスを販売したのち顧客との信頼関係を築き上げるべく、カスタマーエクスペリエンスが重要視されるようになったことが一つの大きな要因です。とくにIT関連のソフトウェアやクラウドサービスを製品とする場合は、カスタマーサポートが販売後の顧客満足度を上げる唯一の方法となり得ることも、サポートエンジニアの重要性を高めているでしょう。

また、サブスクリプション型のサービス提供形態の普及もサポートエンジニアが必要とされる理由となっています。サブスクリプション型のビジネスでは、ユーザーに契約を継続してもらわなければ収益があがりません。継続的な契約を確保するべく、手厚い顧客サポートを支えるサポートエンジニアの必要性が増しています。

未経験者がサポートエンジニアになるためには

IT業務の未経験者がサポートエンジニアを目指すにあたって、まずは基礎知識を習得して、転職活動時にスキル保有を証明することが重要です。先に解説したIT系の資格取得は、いずれも有効手段であるといえるでしょう。実務経験はなくても、PCの操作やOfficeといったアプリケーションの活用は実務に役立つ経験となります。

段階的にスキルを習得することで、サポートエンジニアはIT職種未経験でも比較的なりやすい職種といえるでしょう。サポートエンジニア職についた後のキャリアビジョンのアピールも、転職理由や志望動機の説得力を増すために有効です。

サポートエンジニアへの転職理由・志望動機の例

IT職種が未経験の場合は、なぜ応募先の企業を選んだのかを前向きに表現しましょう。最も記述しやすいのは「(応募先企業の)製品やサービスが好き、興味がある」という理由・動機です。この場合は製品・サービスについて事前リサーチは必要ですが、他社ではなく志望先の企業でなくてはならない明確な理由となりアピールポイントになるでしょう。

【未経験者の志望動機例】
エンジニア職は未経験ですが、前職では〇〇〇の販売に携わってきました。貴社で販売している製品(サービス)をいつも愛用しており、私も貴社の事業に貢献したく応募いたしました。

貴社の製品・サービスに興味を持ったことがきっかけで、独学でプログラムやIT知識を学習するようになりました。現在は〇〇〇〇試験を取得しまして、入社後は〇〇〇〇試験にも挑戦してプロフェッショナル職を目指したいと考えています。

一方でIT職種の経験がある場合、持っているスキルをアピールすることで前向きな動機となります。例えば、「サポートエンジニア職は自分の長所である技術的なスキルとコミュニケーションスキルを生かせる仕事と考えたため」といった具合です。

【経験者の志望動機例】
前職では〇〇〇〇サービスのサポートエンジニアとして従事しておりました。今回募集されている〇〇〇〇サービスのサポートエンジニアは、前職の経験を活かして即戦力として貴社の事業に貢献できると自負しています。サポートエンジニア職は自分の長所である技術的なスキルと、コミュニケーションスキルを生かせる仕事と考えたため、応募いたしました。

サポートエンジニアに関するよくある質問

サポートエンジニアに関する、よくある質問と回答をまとめました。サポートエンジニアを目指す方の参考になれば幸いです。

Q1. サポートエンジニアとはどんな仕事ですか?

サポートエンジニアは、自社で提供するプロダクトやサービスのユーザーが持つ課題解決をサポートするエンジニア職です。開発・運用には関わらず顧客のサポートを行うことが主な業務となります。

具体的には、顧客からの問い合わせへの対応、トラブルに対する調査、関係部署への取次などを行います。顧客にユーザーエクスペリエンスを提供することも業務には含まれています。

Q2. サポートエンジニアの年収はいくらですか?

レバテックキャリアに掲載中の職種「テクニカルサポート、ヘルプデスク」の求人・転職情報から、サポートエンジニアの平均年収は約535万円と想定できます。(2023年9月19日時点。計算式は本文「サポートエンジニアの平均年収」参照)

DXの一環としてユーザーエクスペリエンスを与えるテクニカルサポートや、高度な技術を用いた製品に関するテクニカルサポートはスキルに応じて高年収につながる傾向があります。

Q3. サポートエンジニアは激務ですか?

サポートエンジニアに限らずIT業界で、かつて激務やブラックといわれる仕事が存在したのは事実です。近年では労働環境が問題視され、改善が進んでいます。労働基準監督署でもIT業界の長時間労働対策に乗り出しており、以前のような問題のある状況はほとんどありません。

Q4. 同じ作業の繰り返しでつまらないと感じないか不安です

サポートエンジニアは顧客からの問い合わせに対して回答するだけではなく、裏側にはさまざまな要素が存在します。トラブルがまったく同じ環境で起こることは少なく、都度条件は変わるので単純な繰り返しとにはなりません。

また、日々の問い合わせ内容の蓄積はケーススタディの連続であり、企業にとって財産となるノウハウが詰まっています。これらをドキュメント化、ナレッジ化することで大きな価値を提供できます。業務効率化や知識の蓄積を考えると、やるべきことは非常に多くある職務です。

Q5. サポートエンジニアへの転職で評価されるスキルは何ですか?

担当する領域によって異なりますが、BtoC領域のサポートエンジニアの場合はヘルプデスク、テクニカルサポートの経験、Office製品を扱うスキルがアピールポイントになるでしょう。BtoB領域のサポートエンジニアはOSやアプリケーション、ハードウェアの技術仕様に関する知識が求められます。

関連記事:テクニカルサポートに転職したい人向け!志望動機の書き方と伝え方

まとめ

サポートエンジニアは、自社の提供するプロダクトやサービスについて、顧客の利用をサポートするエンジニア職種です。開発は行わず、顧客の支援を主に行います。提供する製品や立ち位置により、カスタマーサポート、プロダクトサポート、テクニカルサポートやヘルプデスクと呼ばれる場合もあり、業務領域も少しずつ差異があります。

主な業務内容として、問い合わせ対応やトラブル対応、遠隔サポート、製品に関するドキュメント作成などがあげられます。顧客とのやり取りにおいて窓口となり、課題を解決し、顧客の満足度を高めることがミッションです。ユーザーエクスペリエンスの提供も業務の一つであり、DXを推進する企業が重要視しているポイントの一つです。

サポートエンジニアの活躍する業種には、ソフトウェアやハードウェアのメーカー、Webサービス事業者、SIerなどがあげられます。DXの一環として、様々な企業がWebサービス事業に乗り出しており、今後これらの企業もサポートエンジニアの活躍の場となるでしょう。

サポートエンジニアに求められるスキル・知識には、基礎的なITに関する知識、自社製品に関する知識、コミュニケーションスキル、問題解決力などがあります。転職を目指す場合には、これらのスキルの習得が評価につながります。資格の取得によりスキルを示すことも有効です。

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この記事の監修

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