Pythonの将来性は?メリットやJava・Rubyとの比較も解説

最終更新日:2024年7月10日

Pythonは現在、世界で最も人気の高いプログラミング言語のひとつとして知られています。日本国内でも、Pythonエンジニアの需要は年々高まっており、これからプログラミングを学び始める人はもちろん、他の言語を扱う現役エンジニアも習得しておくべき言語といえます。

一方で、日本ではJavaやPHP、Rubyなどのプログラミング言語が、開発現場でよく使われています。この記事では、Pythonエンジニアの将来性を知りたい方に向けて、Pythonエンジニアの将来性や平均年収、Pythonのメリット・デメリットなどを解説します。

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この記事のまとめ

  • Pythonエンジニアの将来性は、AIや機械学習、データサイエンスなど先端分野で需要があり、高いと予測されている
  • 他言語とPythonを比較すると、Rubyはデータサイエンスに弱く、Javaは学習難易度が高いなどもデメリットがある
  • Pythonエンジニアの平均年収は、ITエンジニアの中では高い水準にある。また、日本と海外とでは約2倍の差が出ている

Pythonの将来性が期待できる理由

Pythonは、国内外の企業やITエンジニアから将来性が期待されているプログラミング言語です。その理由は、飛躍的に進化するAIや機械学習、データサイエンスの分野に適しており、先端分野で高い需要があるからです。Pythonエンジニアの市場需要や将来性は、世間的に高いといわれています。そのため、求人数も年々増加傾向にあります。それは、どのような理由からでしょうか。ここでは、Pythonエンジニアの将来性について、さまざまな角度から解説します。

関連記事:Pythonは就職に有利!そのメリットと就職の3ステップ

Pythonは世界で利用されているため

世界中で利用されているPythonは、開発者向けのナレッジ共有サイトStack Overflowが世界中の開発者9万人以上を対象に行った「Developer Survey Results 2023」(※1)によると、Pythonは49.28%の回答者から支持を得ています。また、TIOBEが2024年1月に発表した月間プログラム言語人気ランキング「TIOBE Index」(※2)では、Pythonの順位は2年連続の1位となっています。

Googleにおける言語チュートリアルの検索回数を分析・ランキング化する「PYPL(PopularitY of Programming Language)」(※3)の2024年1月発表では、Pythonの検索回数が最も多く、去年に引き続き1位の座をキープしています。

これらの調査結果から、Pythonは世界中の開発者に利用されており、世間からの関心度も高い言語であることが証明されています。

※1 Stack Overflow「Developer Survey Results2023」(2024年1月21日アクセス)
※2 TIOBE「TIOBE Index」(2024年1月21日アクセス)
※3 PYPL「PopularitY of Programming Language」(2024年1月21日アクセス)

データサイエンス分野での需要が高いため

Pythonは、統計やデータ分析に強く、データサイエンス分野で高い需要があります。データ分析では、外れ値や欠損値の除外・補完、データの結合・分割などの前処理が必要になります。Pythonには、データ処理に優れたライブラリがあるため、データサイエンスに応用しやすいとされています。

データサイエンスは、ビッグデータの活用が盛んになり注目されています。企業が蓄積してきた膨大なデータを、今後の事業計画やマーケティングに活用するには、抽出や解析などの処理が必要です。Pythonはこれらに対応できるため、データサイエンスに必要不可欠な言語と言えます。

AI開発や機械学習に適している

Pythonには、AI開発や機械学習に強いという特徴があります。AI開発や機械学習に適したライブラリやフレームワークが充実しており、TensorFlowやKerasなどのライブラリを用いて、機械学習や統計処理などに応用できます。

形態は画像認識や文章の規則抽出にとどまらず、最近は自動車の自動運転にも活用されています。また、5Gの普及により、AIを活用したIoTが広範囲にわたって活性化されるのが予測されています。それに伴い、Pythonの需要も拡大する見込みがあります。

日本市場でもPythonは大きく期待されている

日本国内でも、海外から優秀なエンジニアを採用するために、Pythonを主要なプログラミング言語として採用する企業やサービスが増えています。この傾向からも、Pythonがますます人気が高まることは明らかです。

関連記事:プログラマー未経験者がPythonエンジニアになるには

そもそもPythonとは?

世界中の開発者から人気のプログラミング言語Pythonとは、そもそもどのようなプログラミング言語なのでしょうか。Pythonは、さまざまな分野で利用されていますが、実際にどのようなことができるのでしょうか。Pythonを使ったことが無い方にとっては、気になることでしょう。ここでは、Pythonでできることについて解説します。

Pythonでできること

Pythonは、さまざまな用途で利用されています。具体的には、AI開発・機械学習やデータ分析・解析、ブロックチェーンの開発、WebアプリケーションやWebサービス開発、Web上の画像やテキストデータの自動収集、組み込みアプリケーション作成などの用途で使われています。ここでは、これらPythonでできることについて解説します。

関連記事:Pythonとは?特徴やできること・活用事例などを解説!

AI開発・機械学習

Pythonは、AI開発や機械学習分野において充実したライブラリがあり、簡潔なコードで高度なAI開発や機械学習を実現できます。Rubyも可読性が高く、習得ハードルが低いなど、多くの共通点がありますが、AI開発や機械学習分野のライブラリの数では、Rubyは適性が低いとされています。

2017年から開発が進められているPycallは、Rubyとのブリッジライブラリですが、現時点ではこの分野において最適な選択肢とはなっていません。

Pythonの代表的なAI開発・機械学習ライブラリには、NumPy、SciPy、pandasが挙げられます。AIや機械学習分野は近年加速度的に需要が高まっており、今後もこの傾向は続くことが予想されます。

データ分析・解析

データサイエンスが事業にインパクトを与える要素のひとつとして、AI・機械学習のほかに、データ分析・解析を通してビジネス改善の示唆を得るというものがあります。Pythonは、豊富なデータ分析ライブラリを備え、この分野でも強みを発揮しています。

ブロックチェーンの開発

仮想通貨やメタバースを中心としたWeb3の領域で、重要なポジションを担うブロックチェーンの開発において、Pythonは強みを持っています。これからのインターネットを支える技術として、Pythonによるブロックチェーン開発は大きな強みとなることでしょう。Pythonにおけるブロックチェーン開発のライブラリには、hashibというものが存在します。

WebアプリケーションやWebサービス開発

Pythonは、Webアプリケーション開発のために、Djangoというライブラリを備えています。高度なデータ分析やAIを使ったPythonによるアプリケーションを、手軽にWebアプリケーション化して全世界に公開できることは、Pythonの大きなアドバンテージといえます。現在、Webサービス大手のYoutubeやInstagramも、Pythonを利用して開発されています。

Web上の画像やテキストデータの自動収集

Web上の画像やテキストデータの自動収集も「BeautifulSoup」や「Selenium」といったライブラリを使用したスクレイピングで可能です。スクレイピングとは、HTML上にある指定した情報を自動抽出する技術を指します。

スクレイピングの例としては、企業サイトから株価や業績情報を自動取得して、求める情報だけを抽出できます。従来のやり方では、人力で参照から収集までの作業が必要でした。スクレイピング技術は、企業にとって負担であった業務を削減できるため、本来の業務に注力できます。

組み込みアプリケーション作成

組み込みアプリケーションとは、電子機器や機械を動かすために組み込まれたアプリケーションです。組み込みアプリケーションに使用される言語は、処理速度が早いC言語やC++が多く使われています。Pythonは、C言語やC++と高い親和性があり、これらの言語の処理を出力できます。そのため、今後は組み込みアプリケーションにもPythonが採用されると予想されています

他言語との比較から見るPythonエンジニアの将来性

日本国内ではJavaやPHP、Rubyなどのプログラミング言語は、以前から高い需要があります。レバテックキャリアが2020年7月に発表した「プログラミング言語別の求人ランキング」でも、新規求人割合の上位にはJava、PHP、Rubyがあります。ここでは、これらの言語の中から、Pythonとの共通点の多いRubyと、国内市場では圧倒的に需要が高いJavaとの比較を通して、Pythonの将来性を解説します。

RubyはWebサービス開発に強くデータサイエンスに弱い

Rubyは日本発のプログラミング言語であり、日本発祥の言語としては初めてIECで国際規格として認められました。現在は世界中に愛用者がおり、国内外で強く支持されている言語のひとつです。

Pythonと同じスクリプト言語で、可読性や保守性に優れており、初心者にとっても学習しやすいのが特徴です。SNSや口コミ情報サービスなどのWebサービス開発に広く採用されており、私たちにとって身近なサービスの多くがRubyで開発されています。

また、フレームワークを使った短時間での開発が可能なため、開発サイクルが回りやすく、スピード重視のベンチャー企業やスタートアップ企業からも注目されています。

RubyとPythonとは異なる領域に長けている言語で、今後はともに需要が高いでしょう。ただし、さらなる飛躍が期待されている人工知能や機械学習の領域においては、Pythonのほうが汎用性が高く、将来性があるといえます。

関連記事:RubyとPythonを比較|選ぶポイントや学習方法も解説

Javaは依然として需要が高いが学習難易度は比較的高い

Javaは、多くの業務系システムやWebサービス開発で使われる言語で、Pythonと共にGoogleの3大言語(Googleで社内標準として使われているプログラミング言語)のひとつです。環境に依存せず、WindowsやMacなど、様々なOS上で実行できる汎用性の高さが特徴です。この言語は高い安全性と信頼性が評価され、開発現場で広く採用されています。

IPAが発行している「ソフトウェア開発分析データ集2022」によると、システム開発で使用された言語のうち、Javaが実に42.4%を占めています(※6)。白書の作成に資料提供している会社には、大規模システムを開発する大手企業が多いことも勘案すべきですが、Javaの国内での需要は依然として高いことは間違いないでしょう。

一方、Javaはコンパイル言語であるため、PythonやRubyと比較した際に、学習難易度が比較的高いとされます。ただし、Javaは大規模な開発に多く使われる言語であり、一方Pythonは新興分野での需要が高いため、それぞれの言語において活躍する場が異なりますが、両者とも学習に値する言語です。

※6 IPA「ソフトウェア開発分析データ集2022」(2024年1月21日アクセス)

C言語は汎用性が高いが、学習難易度が高い

C言語は幅広い分野で使用されていて、そこまで使用頻度の多くないWeb開発でも実はC言語を使用することは可能です。昔ながらのシステムはWebシステムでもC言語が使用されている場合があります。このようにC言語は汎用性が高いのですが、別の言語が選択されることも多いです。その理由は、C言語の学習難易度が高いからです。他の言語では自動化されている部分もC言語では実装しなければなりません。

C++は実行速度が速いが、学習難易度が高い

Pythonは処理速度は比較的遅いので、処理速度の速いC++の方が速度面では分があります。しかし、他のC系の言語同様にC++も学習難易度が高く、結果的に他の言語が使用できる場合は他の言語が使用されることが多いです。

Pythonを学ぶメリット・デメリット

Pythonは、これまで挙げてきたほかにも、さまざまな特徴を持つプログラミング言語です。多くの分野でPythonは活用されており、ITエンジニアからの注目も高まっています。一方で、用途によっては他のプログラミング言語を習得したほうがメリットがある場合もあります。ここでは、これからPythonを学ぶ方に向けて、Pythonのメリット・デメリットを紹介します。

Pythonを学ぶメリット

Pythonを学ぶメリットは、どのようなことがあるでしょうか。Pythonは初心者でも学習しやすいことやミスやエラーを見つけやすいこと、開発環境の準備がしやすい、ライブラリやフレームワークが充実していることなどが挙げられます。ここでは、これらのPythonのメリットについて具体的に紹介します。

初心者でも勉強しやすい

Pythonは近年急速に需要が高まり、エンジニアの数も増加しているプログラミング言語です。Pythonは教える人も多くいるため、初心者にとっては学習しやすい環境となっています。また、Pythonはインタープリタ言語であり、コンパイルの必要がないため、勉強のしやすさを後押ししています。インタープリタ言語は、コードを書いて実行するだけで動作結果が確認できるため、初めて学習するプログラミング言語として最適です。

また、Pythonには日本法人による資格試験があるため、資格取得を検討することもおすすめです。

関連記事:Pythonの資格一覧|取得するメリットや難易度、勉強方法も解説

コードがシンプルでソースコードが読みやすい

Pythonはコードがシンプルで、ソースコードが読みやすいため、初心者でも他人の書いたコードの理解が比較的容易です。Pythonのシンプルなコードは、豊富なライブラリによって更に加速されます。Pythonと共にライブラリを学ぶことで、様々な処理を効率的に実装できます。

ミスやエラーを発見しやすい

Pythonの利用者の多さにより、インターネット上の情報サイトやコミュニティには、Pythonに関する情報が多数掲載されています。ミスやエラーでつまづいたときに、こうしたサイトを参照することで、すぐに修正の糸口が見つかります。

開発環境の準備をしやすい

開発環境の構築は、プログラミング言語の学習をはじめる多くの人が戸惑うポイントです。Pythonは、インターネット上からパッケージをダウンロードするだけで、すぐに利用開始できます。そのため、開発環境の準備がしやすいメリットがあります。

ライブラリやフレームワークが充実している

Pythonが機械学習やデータサイエンスの分野で強い理由は、豊富なライブラリがあるためです。他のプログラミング言語では、機械学習やデータサイエンス関連の実装には複雑なコードが必要ですが、Pythonではライブラリが充実しているため、シンプルなコードで実装できます

Pythonを学ぶデメリット

世界中の開発者から人気のPythonですが、もちろんデメリットもあります。デメリットとしては、独自のルールや実行速度の遅さ、スマホアプリ開発に不向きなどがあります。以下では、Pythonを学ぶデメリットについて具体的に紹介します。

独自のルールがある

Pythonには、条件分岐や繰り返しで実行内容を指定するときに、実行内容を記述したコードをインデントを使ってブロックという形で表現するという独特の決まりがあります。こうした独自のルールは、他のプログラミング言語に慣れている方にとって、戸惑う原因になるかもしれません。

実行速度が遅い

Pythonはインタープリタ型言語で、コンパイルが不要な点がひとつのメリットです。しかし、その反面、インタープリタ型言語は、他の言語に比べて実行速度が遅いというデメリットもあります。中でもPythonは特に実行速度が遅く、スピードが重視される基幹システムの構築においては、採用するかどうか熟考する必要があります。それでもPythonは汎用性が高いプログラミング言語であるため、使い方によっては優れた成果を出せます。

スマホアプリ開発には向いていない

スマホアプリ開発では、主に利用されるプログラミング言語はSwiftやKotolinなどです。SwiftやKotolinは、スマホアプリ開発に長けていると言われている言語といわれています。そのため、スマホアプリ開発に、Pythonが利用されることは滅多にありません。

Pythonを利用してスマホアプリの構築も可能ですが、スマホアプリ開発を得意とする言語がすでにあるなかで、あえてPythonを採用する企業は皆無に等しく、需要はないと考えたほうがよいでしょう。

日本語の情報が少ない

利用者が多いため、情報が比較的豊富に存在するPythonは、日本で古くから使われているJavaや、開発元が日本であるRubyと比較すると、日本語での情報はまだまだ不足している状況です。これは、Pythonが海外で需要が高まり、日本での普及が海外と比べて遅れていたことが影響しているといえます。

Pythonエンジニアの平均年収

将来性が期待され、需要が高まっているPythonですが、Pythonを扱うエンジニアの平均年収はどれくらいなのでしょうか。レバテックキャリアで「Python」の条件で検索し、表示された求人データから20件を抽出して、年収の上限、下限の中間値の平均を計算しました。(2024年1月21日現在)

その結果、Pythonエンジニアの平均年収は約680万円となりました。Pythonのスキルだけでなく、プロジェクトマネジメント経験やAI・データ分析の知識やスキルがあると年収が高くなる傾向があります。

関連記事:Pythonエンジニアの年収が高い理由は?需要と将来性も解説

Pythonエンジニアに関するよくある質問

Pythonエンジニアに関するよくある質問と回答を紹介します。他の言語との比較や需要について把握しておくことで、Pythonのスキル習得に力を入れるべきかどうかを判断できるでしょう。プログラミング言語は複数あるので、状況によって優先順位をつける必要があります。

Q1. 世界でのPythonエンジニアの需要は?

Pythonは世界中の開発者に利用されており、世間からの関心度も高い言語です。開発者向けのナレッジ共有サイトStack Overflowが世界中の開発者9万人以上を対象に行った「Developer Survey Results 2023」によると、Pythonは回答者の49.28%から支持を得ています。

Q2. 日本国内でのPythonエンジニアの需要動向は?

日本国内でも、海外の優秀なエンジニアの採用を目的に、Pythonをメイン言語として開発に採用する会社やサービスが引き続き増加傾向にあります。今後もPythonは、人気の向上が見込まれる言語であることは間違いないでしょう。

Q3. Pythonがデータサイエンスの分野で需要が高い理由は?

シンプルな文法と可読性の高いコードがAI・機械学習分野に適しており、AI・機械学習に強いライブラリやフレームワークが充実している点が理由として挙げられます。

Q4. RubyやJavaと比較した、Pythonの将来性は?

Rubyは、機械学習やデータサイエンス領域における適性がPythonより劣ります。Javaは高い需要がありますが、学習難易度が比較的高いという特徴があります。このような理由から、人工知能や機械学習の領域においては、今後もPythonの需要が高いことが予想されます

まとめ

この記事では、Pythonエンジニアの将来性を知りたい方に向けて、Pythonエンジニアの将来性や平均年収、Pythonのメリット・デメリットなどを解説しました。PythonはAI・機械学習やデータサイエンスなど、これからの世界を牽引していく最先端技術に強いプログラミング言語であるため、高い将来性が期待されています。また、他のプログラミング言語に比べて習得の難易度が低いため、初心者にも学習しやすいです。

Pythonについて興味がある方は、この記事を参考にして、Pythonエンジニアへの転職を目指してみてはいかがでしょうか。

関連記事:Pythonエンジニアの転職事情を解説!求人数や年収も紹介

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