ネットワークエンジニアの資格14選!難易度やおすすめの種類を紹介

最終更新日:2024年6月28日

ネットワークエンジニアは、ネットワークの設計、構築、運用だけでなく、セキュリティの設計、運用など幅広い専門的なスキルが求められる職種です。そのため、スキルアップやキャリアアップに向けて資格取得を検討するネットワークエンジニアは多いです。また、転職市場においても、関連資格を取得しているエンジニアが歓迎されるケースも多く、資格を取得するメリットは非常に大きいです。

この記事では、ネットワークエンジニアを目指す人やスキルアップを目指す現役ネットワークエンジニアに向けて、業務に役立つ資格を幅広く紹介します。

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この記事のまとめ

  • ネットワークエンジニアに必須の資格はないが、資格を取得すると多くのメリットが得られる
  • ネットワークエンジニアのおすすめの資格として、民間資格では「Cisco認定試験」、国家資格では「ネットワークスペシャリスト試験」がある
  • ネットワーク仮想化が進んでおり、ネットワークエンジニアもプログラミングを学ぶ必要がある

ネットワークエンジニアの資格取得のメリットと注意点

ネットワークエンジニアは、ネットワークシステムの設計から構築、運用までを担う専門職です。ネットワークに関する基礎知識はもちろん、ルーターやスイッチなどのネットワーク機器の選定、設置作業まで業務内容は幅広く、極めて専門的な知識が要求されます。

とはいえ、「この資格がなければネットワークエンジニアとして働くことはできない」ということはありません。実務経験やスキルさえあれば、一切の資格をもっていなくてもネットワークエンジニアとして活躍することも可能です。

ではなぜ、資格を取得するとよいのでしょうか。それは、資格を持っていることでさまざまなメリットが得られるからです。最初に、ネットワークエンジニアが資格を取得することのメリットについて説明します。

関連記事:ネットワークエンジニアになるには?必要なスキルや資格も紹介

ネットワークエンジニアが資格を取得するメリット

ネットワークエンジニアは専門職であるため、専門的なスキルを有していることの証明となる資格を取得することで、主に3つのメリットが得られます。最初にその3つのメリットについて解説します。

ネットワークエンジニアに必要なスキルや知識を得られる

ネットワークエンジニアの仕事は大きく分けて「設計」「構築」「運用」「保守」に分けられます。一般的に経験の浅い新人エンジニアは運用や保守からスタートすることが多く、徐々に構築や設計といった上流工程に携わっていくようになります。

ネットワークエンジニアに求められるスキルや知識を網羅しておくことで、普段の仕事に対する見方も変わってきて、やりがいを感じられるようになることもあるでしょう。ネットワークエンジニアにとって必要な知識を身につけることで仕事の幅が広がる可能性もあり、決して無駄ではないのです。

資格なしよりも必要なスキルを保有していることを証明できる

これからネットワークエンジニアになるために就職や転職活動を始めようと考えている方にとっては、必要な知識を持っていることを客観的に証明する材料になります。

すでにネットワークエンジニアとしてのキャリアを積んできた方は、職歴やこれまで携わってきたプロジェクトなどを面接でアピールすることができますが、一切の経験がなかったりキャリアが浅い方にとっては、そのような材料がありません。

選考において経験者を含むライバルに打ち勝つためには、資格という武器を持っておくことが極めて重要です。

年収アップにつながる

IT関連の資格を取得することで、さまざまな手当が給与に加算される会社もあります。資格のレベルによっても多少異なりますが、難易度の高い資格ほど専門性が評価されるため、その分年収アップにつながりやすい傾向があることも確かです。

また、同じ会社の中だけではなく、専門的な資格が評価されて転職活動に成功し、大幅な年収アップにつながることも十分考えられます。働き方が多様化している現在、高度なスキルを活かしフリーランスとして独立するエンジニアも少なくありません。その場合においても、客観的に高い評価を得られる資格はクライアントに安心感を与えることができるのです。

関連記事:ネットワークエンジニアへの転職方法|ポイントやキャリアパスも紹介

ネットワークエンジニアの資格取得時の注意点

資格を取得すればメリットが得られますが、資格を取得するために考慮しておくべき注意点がいくつかあります。資格取得を目指す前に、確認しておきましょう。

難易度の低い資格でもそれなりに学習時間を要する

ネットワークエンジニアとしての業務経験がある方は別として、どんなに難易度の低い資格でも、資格を取得するためにはある程度学習時間が必要です。資格を取得することで一定の知識・スキルをもっていることが認定される以上、その知識・スキルを学習して身につけないと試験を受けても合格は困難です。

そのため、少なくとも数か月程度は学習時間を設けておくべきです。仕事をしながらの試験勉強時間の確保が難しい人もいるかもしれませんが、十分な準備を行わなければ資格取得は難しいでしょう。

受験料が高額

資格を取得するためには、学習に必要な教材だけでなく、試験を受験するだけでも費用がかかります。受験料は数千円から数万円、資格によっては数十万円を超えるものも存在します。

また、受験料以外にも費用が発生するケースがあります。たとえば資格取得のために講座を受講しないといけないものや、認定に有効期限が設定されており、定期的に再試験を受ける必要があるものも存在します。

このように、資格は一度試験に合格すれば永続的に認定されるものもあれば、継続して学習を続ける必要があるものも存在します。資格によって価値が異なるため、やみくもに試験を受験するよりも、自分にとってコストに見合った価値が得られるかどうか検討した上で、資格取得を目指しましょう

ネットワークエンジニアにおすすめの民間資格一覧と難易度

ネットワークエンジニアに役立つ民間資格を紹介します。この中でも特におすすめの資格はCisco(シスコ)技術者認定資格です。「ネットワークエンジニアといえばこれ!」といえるほど代表的な資格なので、ぜひ取得を目指しましょう。

Cisco(シスコ)技術者認定

Cisco(シスコ)技術者認定はネットワーク関連の機器を販売する業界最大手の企業であるCisco Systems合同会社が、ネットワーク関連スキルを認定する試験です。世界共通の資格であるため、海外でも評価されます。ネットワーク技術とともに、ルーターやスイッチなどのCisco製品に関する技術について問われます。

CCNA

CCNA(Cisco Certified Network Associate)は、Cisco技術者認定資格の中でも入門社向けにあたる視覚で、ネットワークエンジニアに必要な基本的なスキルを持っていることを証明します。2020年の改定により、それまで細かく試験区分が分かれていましたが、1つに統一されたことによって試験範囲が広くなり、難易度があがりました。

実際にネットワーク機器や端末を操作し、コマンドを入力して解答するシミュレーション問題も出題されるため、可能であればルーターなど実機で操作して勉強することをおすすめします。

受験資格 なし
試験範囲 ・ネットワーク基礎
・ネットワークアクセス
・IP接続
・IPサービス・セキュリティの基礎
・自動化とプログラマビリティ
受験料(税込み) 42,900円
有効期限 3年

関連記事:「CCNAとは?概要から難易度、取得のメリットまで解説

CCNP Enterprise

CCNP(Cisco Certified Network Professional)は、CCNAの上位資格にあたるプロフェッショナル資格です。CCNPは5種類ありますが、最も取得者数が多いのが「CCNP Enterprise」です。

CCNP Enterpriseは「コア試験」と「コンセントレーション試験」の2つの試験に合格することで認定されます。コンセントレーション試験は選択試験で、SDWANやネットワークデザイン、無線LAN実装など6つの中から1つを選択して受験します。

CCNPは3年〜5年程度のネットワーク実務経験をもつ人を対象としているため、難易度が高いです。2020年の制度改定により受験資格の条件が撤廃され、CCNAを保有せずともCCNPを受験できますが、CCNAに合格してからCCNPを受験することをおすすめします。

受験資格 なし
試験範囲 コア試験:
・アーキテクチャ
・仮想化
・インフラストラクチャ
・ネットワークアシュアランス
・セキュリティ
・自動化

コンセントレーション試験:
・ネットワークデザイン
・SD-WAN
・ワイヤレス
・自動化
など
受験料(税込み) コア試験:57,200円
コンセントレーション試験:42,900円
有効期限 3年
CCIE

CCIE(Cisco Certified Internetwork Expert)は、Cisco技術者認定の中でもエキスパートレベルの技術者を認定する資格です。資格はEnterprise Infrastructure やSecurityなど6種類あり、どれか1つ合格すれば、CCIEとして認定されます。

試験は筆記試験とラボ試験(実技試験)の2段階あり、筆記試験に合格すればラボ試験を受験できます。ラボ試験は問題がすべて英語であるため、最低限英語ができないと合格は困難です。5年〜7年程度のネットワーク実務経験をもつ人を対象としており、非常に難易度が高い資格です。その分価値も高いため、取得すると年収アップが期待できます。

受験資格 なし
試験範囲 CCIE Enterprise Infrastructure
筆記試験:
・アーキテクチャ
・仮想化/インフラストラクチャ
・ネットワークアシュアランス・セキュリティ
・自動化

ラボ試験:
・無線周波数と規格
・エンタープライズ ワイヤード キャンパス
・エンタープライズ ワイヤレス ネットワーク
・ワイヤレス セキュリティと ID 管理
・ワイヤレス ビジネス アプリケーションとサービス
・自動化、分析、保証
受験料(税込み) 筆記試験:49,280円
ラボ試験:1600ドル
有効期限 3年

CCIEについては、「CCIEの難易度は高い?試験対策や取得者の将来性を解説」の記事でも詳しく解説しています。

LinuC(リナック)認定資格

LinuCはLPI-Japanが認定するLinux技術者向けの資格です。LinuCは国内向けに最適化されており、Linuxだけでなくクラウドや仮想環境が試験範囲に含まれています。

LinuCはスキルレベルに応じてレベル1〜3の3段階あります。それぞれのレベルについて詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。

LinuCレベル1

レベル1は主に仮想環境を含むLinuxの基本操作およびシステム管理を中心に問題が出題されます。101試験、102試験両方に合格してレベル1に認定されます。

参考書や問題集は一般の書店でも購入できます。また、Linuxは無料でダウンロードが可能なので、実機を使って学習するのがおすすめです。

受験資格 なし
試験範囲 101試験:
・Linuxのインストールと仮想マシン/コンテナの利用
・ファイル
・ディレクトリの操作と管理
・GNUとUnixコマンド
・リポジトリとパッケージ管理
・ハードウェア、ディスク、パーティション、ファイルシステム

102試験:
・シェルおよびスクリプト
・ネットワークの基礎
・システム管理
・重要なシステムサービス
・セキュリティ
・オープンソースの文化
受験料(税込み) 1試験16,500円(税込)
有効期限 5年
LinuCレベル2

レベル2では、仮想環境を含むシステムの設計や構築、トラブルシューティングのほか、ネットワーク構築が試験範囲に含まれます。また、Linuxを利用したドメインネームサーバー(DNS)や電子メールサービスなど、各サーバーの機能について問われます。

201試験と202試験の2つの試験に合格することで認定されます。レベル1認定を取得していなくとも受験は可能ですが、取得していないとレベル2認定が得られないので注意が必要です。

受験資格 なし
試験範囲 201試験:
・システムの起動とLinuxカーネル
・ファイルシステムとストレージ管理
・ネットワーク構成
・システムの保守と運用管理
・仮想化サーバー
・コンテナ

202試験:
・ネットワーククライアントの管理
・ドメインネームサーバー
・HTTPサーバーとプロキシサーバー
・電子メールサービス
・ファイル共有サービス
・システムのセキュリティ
・システムアーキテクチャ
受験料(税込み) 1試験16,500円
有効期限 5年
LinuCレベル3

レベル3には、3つの専門分野に分かれて試験が用意されています。レベル2認定を取得の上、さらにレベル3の試験のいずれか1つに合格することで認定されます。専門分野は、以下の3つに分かれます。


  • ・「300試験 Mixed Environment」
    混在環境のシステム設計・構築、および複数のシステム統合を行うためのスキルを認定


    ・「303 Security」
    安全性の高いシステム設計、サーバー構築ができるスキルを認定


    ・「304 Virtualization」
    仮想化システムや信頼性の高いシステムの構築・運用スキルを認定


セキュリティや仮想化の分野は、ネットワークエンジニアでも必要なスキルであるため、取得しておく価値はあります。

受験資格 なし(ただしレベル2認定を取得しないとレベル3は認定されない)
試験範囲 300試験:
・OpenLDAPの設定
・OpenLDAPの認証バックエンドとしての利用
・Sambaの基礎
・Sambaの共有の設定
・Sambaのユーザーとグループの管理
・Sambaのドメイン統合
・Sambaのネームサービス
・LinuxおよびWindowsクライアントの操作

303試験:
・暗号化
・ホストセキュリティ
・アクセス制御
・ネットワークセキュリティ

304試験:
・仮想化
・高可用クラスタ管理
・高可用クラスタストレージ
受験料(税込み) 1試験16,500円
有効期限 5年

ORACLE MASTER

ORACLE MASTERは、日本オラクルが運営するOracle製品に関する技術を認定する資格です。オラクル製品はデータベースのほか、アプリケーションサーバーやJavaなど多数の製品を扱っており、それにあわせて資格も分類されています。また、クラウドサービスの1つ、Oracle Cloudも資格の1つとして含まれています。

資格はBronze、Silver、Gold、Platinumの4種類のグレードのほか、特定分野に特化したExportの資格もあります。もし、Javaやデータベースを扱う場合は、資格を取っておくと良いでしょう。まずはBronzeからの資格取得を想定し、Bronzeの概要を以下に記載します。

受験資格 なし
試験範囲 ・Oracleデータベース管理の概要
・Oracleデータベースのインストールおよびデータベースの作成
・データベース記憶域構造の管理
・Oracle Network環境の構成、スキーマ
・オブジェクトの管理
・ユーザーおよびセキュリティの管理
など
受験料(税込み) 37,730円
有効期限 なし

CompTIA Network+

CompTIA Network+はあらゆるプラットフォームでネットワーク環境をサポートするエンジニアの育成を目的に、ネットワーク関連のスキルを認定する資格です。特定企業によらないベンダーニュートラルな資格であり、ネットワークの基礎からトラブルシューティングまで、幅広い分野から問題が出題されます。

受験条件はありませんが、ネットワークエンジニアとして9〜12か月の実務経験を持っている人を対象としています。また、CompTIA A+認定資格または同等の知識とスキルをもつことが推奨されているので、スキルに自信がない人はComTIA A+の取得から始めるとよいでしょう。

受験資格 なし
試験範囲 ・ネットワーク設計
・ネットワーク運用
・ネットワークセキュリティ
・トラブルシューティング
・業界標準、標準手法、ネットワーク理論
受験料(税込み) 47,672円
有効期限 3年

JNCIA-DevOps

JNCIA-DevOpsは、Ciscoと同じくネットワーク機器の開発、データセンターや通信キャリアなどの事業も手掛けるJuniper Networks社が認定する資格の1つです。さまざまな分野の資格と、それぞれアソシエイト、スペシャリスト、プロフェッショナル、エキスパートの4つのグレードがあります。

JNCIA-DevOpsは、自動化およびDevOpsに関する技術を認定するアソシエイトレベルの資格です。自動化ツールやXML、JSONといったプログラミング系の問題が出題されます。Juniper製品を扱っている場合、これらの技術を習得することでネットワーク設定の自動化ができるようになるので、Juniper製品を扱っている場合は資格取得を目指すとよいでしょう。

受験資格 なし
試験範囲 ・Junos自動化スタックとDevOpsの概要
・NETCONF/XML API
・データのシリアル化
・Python/PyEZ
・Rest API
受験料(税込み) 22,427円
有効期限 3年

ネットワークエンジニアに役立つ国家資格一覧と難易度

ネットワークエンジニアに役立つ国家資格を5つ紹介します。この中でもネットワークスペシャリスト試験は高度なネットワーク関連のスキルをもっていることを証明できるおすすめの資格です。ぜひ参考にしてください。

基本情報技術者試験

基本情報技術者試験はIPA(独立行政法人 情報処理推進機構)が主催する情報処理技術者試験の1つで、経済産業省より認定される国家資格です。情報処理技術者試験は12種類あり、基本情報技術者試験はその中でもITエンジニア入門者向けの試験です。

IT全般の基本的な知識・スキルが問われる内容であり、出題範囲はネットワークに限らずシステムの設計・開発やプログラミングなど広範囲です。情報処理技術者試験の中ではレベル2に相当しており、合格率は40~50%程度となっています。

試験は令和5年度からCBT方式により随時実施されるようになりました。自分のスケジュールにあわせて計画を立て、資格取得を目指しましょう。

応用情報技術者

応用情報技術者は、情報処理技術者試験の1つで、レベル3に相当し、基本情報技術者試験の上位資格にあたります。試験は春と秋の年2回実施され、合格率は20~30%程度となっています。

基本情報技術者試験と比べてより深い知識が問われるほか、午後の試験が記述式となっているため、難易度が高い試験です。

応用情報技術者試験に合格すると、合格後2年までネットワークスペシャリスト試験など上位資格の一部の試験が免除されます。試験の免除を受けるためには別途申請が必要です。

ネットワークスペシャリスト試験

ネットワークスペシャリスト試験は情報処理技術者試験の中でも最も難易度の高いレベル4に該当し、ネットワーク技術に関する知識・技術が問われる内容となっています。ネットワークエンジニアを目指す人はぜひ取得しておきたい資格の1つです。

ネットワークシステムの設計・構築はもちろん、情報セキュリティに関する内容も含め、幅広い知識・実践能力が求められます。

試験は年1回4月に実施されます。合格率は15%前後と非常に難易度が高いため、事前に十分な学習を行った上で試験に臨みましょう。

情報処理安全確保支援士

情報処理安全確保支援士は、情報処理技術者試験の1つで、情報セキュリティを担う人材の育成と確保を目指すことを目的とした資格です。サイバーセキュリティに関する専門的な知識・技能に関する問題が出題されます。ネットワークスペシャリスト試験と同じくレベル4に相当し、合格率は20%前後と難易度の高い資格です。

ネットワークエンジニアもセキュリティに関するスキルが求められるため、ネットワークスペシャリスト試験とともに資格取得を目指すと良いでしょう。

電気通信主任技術者試験

電気通信主任技術者は総務省が認定する国家資格です。電気通信主任技術者は電気通信ネットワークの工事や維持・運用を監督する仕事を行います。電気通信事業者は、電気通信設備の工事、維持および運用にあたり、電気通信主任技術者を選任し監督に当たらねばならないことが法律で定められています。そのため価値の高い資格です。

電気通信主任技術者試験は、監督する設備の種類によって「伝送交換主任技術者」と「線路主任技術者」の2つに分かれます。それぞれで試験科目が異なるので、内容を確認しておきましょう。

受験資格は特になく、誰でも受験できます。試験は7月中旬および1月下旬の年2回実施され
試験は3科目ありますが、指定された養成課程を修了することで、一部科目が免除されます。

ITパスポート試験

ITパスポートはIPA主催の国家資格の一つで、基本情報技術者試験よりさらに易しい内容になっています。基本情報技術者試験がIT業界の登竜門的な資格なら、ITパスポートはその前段階のITに関する基礎中の基礎を問われる試験です。

これからIT業界を目指す方や、まずはIT業界でどのようなことを勉強すべきか分からない場合などは、ITパスポート試験から始めてみるのもおすすめです。

ネットワークエンジニアに役立つクラウド関連の資格一覧と難易度

ネットワークエンジニアの技術環境は近年大幅に変化しており、中でも特に変化が大きいのがサーバー環境です。今までは自社にサーバーを設置するのが一般的だったのが、クラウドサービスの普及により、サーバーのクラウド移行が進んでいます。そのため、クラウド関連のスキルや知識があるネットワークエンジニアの需要は高いです。

以下では、クラウド関連の資格と難易度を紹介します。

AWSクラウドプラクティショナー

AWSクラウドプラクティショナーはAWS認定試験の一つです。AWSでのクラウド構築、運用に関する知識、スキルが問われます。AWSは、クラウドサービス市場においてもはや主流といえるほど活用している企業が多く、AWS関連の資格を持っていると評価が高いでしょう。

AWS認定は4つのレベルに分けられ、AWSクラウドプラクティショナーは最も易しいレベルのFOUNDATIONALに該当します。

AWSソリューションアーキテクトアソシエイト

AWSソリューションアーキテクトアソシエイトは、AWS認定試験の一つで、AWSを用いたアーキテクチャ設計に必要な知識、スキルを問う内容の試験です。

AWSソリューションアーキテクトアソシエイトは、AWS認定のレベル分けでいうと下から2番目のASSOCIATEに該当します。AWSクラウドプラクティショナーよりもやや難易度が高めで、クラウド知識やIT業務経験がある方の受験を推奨しています。AWSの基礎知識を身につけて、構築や運用に慣れてから取得を目指すのが一般的でしょう。

AWSソリューションアーキテクトプロフェッショナル

AWSソリューションアーキテクトプロフェッショナルは、AWS認定試験において、上から2番目のPROFESSIONALレベルに該当する試験です。受験資格として2年以上のAWS実務経験が必要な難易度が高い資格です。試験の内容としては、複雑で高度なシステム設計、継続運用などに関する知識、スキルが問われます。

Google Cloud認定資格

Google Cloud認定資格はGoogleが提供するクラウドサービスであるGoogle Cloud Platform(GCP)に関する知識、スキルを問う資格試験です。案件数としてはAWSでの開発のほうが多いと考えられますが、GCPを使用した開発案件も今後増えていく可能性があります。そのため、参画したいと考えているプロジェクトの環境によってはGoogle Cloud認定資格は有効です。

ベンダー資格と国家資格どちらを取得するか迷ったら?

ここまでネットワークエンジニアにおすすめの資格を紹介しました。資格は企業や団体が認定するベンダー資格(民間資格)と、経済産業省などの省庁が認定する国家資格に分かれます。どちらを取得すればよいか、迷う人もいるでしょう。

ここでは、それぞれの資格のメリットについて解説します。

随時受験でき実践スキルを習得できるのがベンダー資格のメリット

ベンダー資格のメリットは、ほとんどの試験が随時実施されており、いつでも受験できることです。そのため、自分のスケジュールにあわせて計画を立て、受験に臨むことができます。

また、ベンダー資格は特定の製品に特化した内容のものが多く、業務に活かしやすいという特徴があります。たとえばCisco(シスコ)技術者認定であればシスコ社製ネットワーク機器に関する問題が出題され、LinuCではLinuxに特化した問題が出題されます。

このようにベンダー資格は、自分の業務に合わせて資格を取得することで業務に活かしやすいというメリットがあります。

更新不要で受験料が安いのが国家資格を取得するメリット

国家資格は情報処理技術者試験であれば経済産業省、電気通信主任技術者であれば総務省から認定されます。大きなメリットは2点あり、ベンダー試験と比べて受験料が比較的安いという点、また現時点有効期限が設定されていない点があります。そのため、一度試験に合格すれば、その資格をずっと保有し続けられます。

また国内において価値が高く、多くの企業で評価される点もポイントです。試験日は年数回など決められていますが、主に国内で働く場合は取得しておきたいところです。

ネットワークエンジニアの資格を効率的に取得するための手順

スキルアップのために、さまざまな資格の取得を目指すことになるでしょう。効率的に資格試験の勉強をするためには、学習の流れを知っておくと良いでしょう。挑戦したい試験の概要を知り、スケジュールを立て、勉強に取り掛かるのが重要です。

以下では、ネットワークエンジニアに役立つ資格を効率的に取得するための学習手順を紹介します。

関連記事:ネットワークエンジニアに必要な勉強内容とその学習方法

試験概要を把握する

ネットワークエンジニアが取得を目指す資格は出題範囲が広いものが多いため、勉強時間が膨大にかかります。技術の範囲もネットワークだけに限らない試験もありますので、問題集などに記載の情報を元に頻出の問題を中心に学習すると良いでしょう。

学習スケジュールを立てる

学習する範囲を理解したら、学習するためのスケジュールを立てます。スケジュールを立てないと「まだ時間があるから明日やればいいや」などと先延ばしにしてしまい、学習に時間を割かなくなってしまいます。そのような事態を防ぐために学習開始前に試験日から逆算したスケジュールを組みましょう。

参考書などを使い苦手分野を対策する

参考書や過去問を活用して実際に問題を解くことで、自分の苦手分野を知ることができます。正解率の低かった部分を念入りに繰り返して学習することで、本番の試験でも正解できるようになります。

また、問題集よりも本番の試験のほうが難しい言い回しを使って出題されることが多いため、問題を落ち着いて読む練習も併せて行うと良いでしょう。

実際に手を動かしてみる

試験によっては、選択問題だけでなく、コマンド入力など実際に記述する問題もあります。そのため、練習から実際に手を動かしておくことは必須です。頭で理解していても、慣れていないと試験で時間がかかってしまいます。

試験でコマンド入力しない場合も、実際に手を動かしてみるのはおすすめです。実際にやってみることで理解が深まり、記憶にも定着しやすいです。

そもそも、実務において手を動かして業務することは当たり前であるため、本来の目的であるスキルアップを見据えるのであれば、実技の練習はしておいたほうが良いでしょう。

ネットワークエンジニアの資格取得に向けた勉強方法

ネットワークエンジニアの資格取得に向けた勉強方法はさまざまです。どの方法が優れているということはありません。自分に合った勉強方法を見つけ、学習を進めていくのが良いでしょう。

資格取得に向けた勉強方法として、「書籍で独学する」「Webサイトを活用する」「e-learningを利用する」「スクールに通う」などが代表的です。これらの方法について、以下で詳しく説明していきます。

書籍で独学する

書籍での独学は、資格取得の勉強方法としては王道です。ネットワークを含むIT関連の資格でも書籍での独学のみで合格できる場合も多いです。ただしコマンド入力を行う資格試験や、プログラミング関連の資格試験は実際にパソコンに向かって手を動かすことが重要になります。参考書や入門書によっては、環境構築やコマンド入力の手順も記載されているため、それらをもとに実際に手を動かして構築などをしてみると良いでしょう。

Webサイトを活用して独学する

IT関連の資格に向けたWebサイトは、豊富に存在しています。資格の種類によっては情報が少ないものもありますが、王道の資格であれば基本的に充実しています。Webサイトには、動画・文章解説、コマンドを入力してシミュレーションできるツールなどさまざまなコンテンツが用意されており、手軽に始められるのが強みです。気に入ったコンテンツで学習を進めると良いでしょう。

e-learningを利用する

e-learningはオンライン上で学習できる教材で、講義の動画を視聴する形が一般的です。e-learningは無料から始めて、本格的に学習する場合は月額制などになることが多いです。月額制といってもプログラミングスクールのように高額ではなく、月額1,000円程度が相場と考えられます。独学が苦手で、コストもあまりかけたくないといった方におすすめです。

スクールに通う

プログラミングスクールによっては、ネットワークエンジニア向けのコースも用意されています。書籍やe-learningなどの方法に比べると費用はかかりますが、学習カリキュラムが効率的で、また分からない点を質問できるなど講師のサポートを受けられます。自分一人で学習するわけではないため、学習を継続できるでしょう。

ネットワークエンジニアの仕事でよく使用される言語

「ネットワークエンジニアはプログラミング不要」と考えている人もいるでしょう。しかし、昨今ではネットワーク仮想化技術が急速に進み、ネットワークエンジニアもプログラミングが求められています。

ネットワーク仮想化では、ルーターやスイッチなどのハードウェアを使ってネットワークを構築するのではなく、ソフトウェアで構築する技術です。ハードウェアでネットワークを構築する場合は、機器の設置やケーブルの接続などが必要ですが、ソフトウェアではそのような物理的な作業が不要になります。

加えて、プログラミングによってネットワークの設定や構築作業を自動化することが可能です。

ネットワークエンジニアの仕事でよく使用される言語としては、Linuxなどのサーバーで使われるシェルスクリプトのほか、ネットワーク仮想化に対応したPythonやC言語があります。

関連記事:ネットワークエンジニアが習得すべきプログラミングスキルは?おすすめ言語や学習法も解説

技術面以外でネットワークエンジニアに求められる資質

ネットワークエンジニアとしての技術的なスキル・知識は資格取得を通じて身につけることができますが、技術面以外でも求められるスキルはあります。次に紹介するスキルも併せて身につけることで、活躍の幅を広げていくことができるでしょう。

接続相手との調整力

コンピュータ同士のやり取りはデータの形式、送り方、受け取り方など、細かい取り決めを守った上で成り立っています。特に、マルチベンダーのシステムを担当する場合は相手側が何を採用しているかなどのプロトコル確認が重要です。

中堅以降のエンジニアになれば、リーダーやプロジェクトマネージャを任せられる機会も増えてくるため、技術力に加え周囲との調節できるスキルが重視されます。

全体を見渡せる論理的な考え方

ネットワークの設計では、障害発生時にも対応できるように考えて設計されており、障害発生時と正常時のデータの流れと仕組みをそれぞれ比較しながら障害の場所や種類を特定していきます。

そのためにはルーティングプロトコル、二重化のための仕組みを十分に理解し、広い視野を持ってロジカルに対処する力が必要です。

IT機器に興味があり知識を習得するのが好き

ネットワークエンジニアが仕事で触れることになるIT機器はクライアントPC、サーバーのほかにもスイッチやルーターなどさまざまなものがあります。

それぞれの機器はプロジェクトごとに同じものを使っているということもなく、プロジェクトに合わせて仕様の違いや設定方法の違いなどを理解していく必要があるため、機器に興味をもって使い方を覚えていくことが重要です。

たとえば、スイッチといってもCiscoやJuniperなどのメーカーごとにOSが変わり、それにより設定するコマンドが変わってきます。とはいえ、まずは最初のプロジェクトで触れる機器をベースに覚えていけば問題ありません。

同じ作業を繰り返すのが苦にならない

ネットワークの設定はポートごとにIPアドレスやVLANの設定をすることがあり、同じような操作を何度も繰り返すことになります。そのため、同じ作業をコツコツとできて、苦にならない人が向いていると言えます。

ネットワークのポートのほかにも企業の社員一人一人に貸与するパソコンの初期設定を行ったり、設定したIPアドレスやMACアドレスの管理などもあります。

関連記事:ネットワークエンジニアの志望動機の書き方は?例文も交えて解説

ネットワークエンジニアの平均年収

2024年4月時点のレバテックキャリアの求人情報によると、ネットワークエンジニアの平均年収は約610万円でした。ネットワークエンジニアの年収は幅が広く、未経験者や実務経験が乏しい人で300〜400万円、実務経験が豊富な人や高い技術力をもった人だと年収が1,000万円を超える人もいます。

ネットワーク技術だけでなく、Linuxなどのサーバー関連の技術や、プロジェクトマネジメント、クラウドなど幅広くスキルを身につけることで、年収が上がっていきます。

ネットワークエンジニアのキャリアパス

ネットワークエンジニアから、さらに複数の職種にキャリアアップすることができます。

ネットワークエンジニアのキャリアパスとして、プロジェクトマネージャーやクラウドエンジニア、ネットワークスペシャリストなどが代表的です。現在ネットワークエンジニアとして活躍し、ほかの職種へのキャリアチェンジを検討している方は、ぜひ参考にしてください。

関連記事:ネットワークエンジニアのキャリアパス|キャリアアップの要点も解説

プロジェクトマネージャー

プロジェクトマネージャーは、システム開発プロジェクトの責任者として、プロジェクトマネジメント業務を行う職種です。プロジェクトの目的達成のために必要なメンバーやリソースを確保し、円滑に遂行できるようマネジメントしていきます。

ネットワークエンジニアも経験を積むと、ネットワーク業務を担当するチームのリーダーとしてチーム全体を統括する立場になり、チームマネジメントを行うようになります。そのマネジメント経験を活かして、プロジェクト全体を管理する人間としてプロジェクトマネージャーにキャリアチェンジできます。

クラウドエンジニア

クラウドエンジニアは、AWSやMicrosoft Azureといったクラウドサービス上でインフラ環境を構築する業務を担当します。それぞれのクラウドサービスに対する深い知識とともに、仮想サーバーや仮想ネットワークを構築する上でサーバーやネットワーク関連スキルが必要です。

クラウドサービスは昨今急速に普及しており、それに伴いクラウドエンジニアの需要が高まっています。ネットワークスキルも活かしつつ、クラウドサービスの知識を深めることで、クラウドエンジニアへのキャリアチェンジが可能です。

ネットワークスペシャリスト

ネットワークスペシャリストは、ネットワークエンジニアとしての経験を活かし、大規模ネットワークシステムの構築や、ネットワーク全体の企画・設計といった上流工程・技術支援など幅広く業務を行う職種です。ネットワークエンジニア業務を3年~5年経験してネットワークスペシャリストへとキャリアアップできます。

ネットワークエンジニアの資格に関するよくある質問

ここでは、ネットワークエンジニアの資格に関してよくある質問について解説します。主にCCNAに関する内容ですので、これからCCNAの受験を考えている方はぜひ参考にしてください。

Q1. ネットワークスペシャリストとCCNAの違いを教えてください

ネットワークスペシャリストは、ネットワークエンジニアに関する国家資格です。難易度は非常に高く、ネットワークだけでなくセキュリティやマネジメントなど幅広く実践的な内容が問われます。

CCNAはベンダー資格であり、Cisco技術者認定試験の中でも入門者向けの試験です。ネットワーク関連の知識、Cisco社製のルーターやスイッチに関する内容が問われます。

Q2. CCNAの受験料について教えてください

CCNAの受験料は2024年4月時点で、42,600円(税込)です。2020年、2022年に改定されており、受験料が変わっており、今後も改定され金額が変わる可能性があります。受験するタイミングで受験料を確認したほうがよいでしょう。

Q3. CCNAの合格率はどれくらいですか?

CCNAの合格率は非公開ですが、平均で25%前後といわれています。ただし、CCNAは2020年2月に改訂され、それまで技術分野ごとに複数の試験に分かれていたものが、1つに統合されました。これにより試験内容が幅広くなり、難易度が上がったと言えます。

まとめ

これからネットワークエンジニアを目指している方はもちろん、現役で活躍しているネットワークエンジニアの中にも、スキルを磨くために資格の取得に向けて努力している方は多いです。

今回紹介した資格はあくまでも一例であり、ネットワークエンジニアにとって有効な資格はほかにも多くあります。自身のスキルや経験に応じて、徐々に難易度の高い資格にチャレンジしてみると良いでしょう。

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