SIerの種類とは?業界構造を理解して最適な転職先を選ぼう

最終更新日:2024年3月8日

SIerは顧客企業の要望に合わせた情報システムを開発する業態です。大企業から独立したユーザー系や、ハードウェア開発会社から独立したメーカー系など、企業の成り立ちによっていくつかの種類に分類されます。また、大手のSIerはプロジェクト全体を統括し、中小のSIerは開発を担当するなど、企業規模で仕事内容が変わる傾向にあります。自分に合ったSIerへの転職先を考えるためには、SIerの違いや特徴をよく理解しておくと良いでしょう。

本記事では、SIerの種類や転職先選びのポイントについて解説します。

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この記事のまとめ

  • Slerの種類は、大きく分けてユーザー系、メーカー系、独立系、コンサル系、外資系の5種類
  • それぞれのSlerに特徴があり、自身に適した転職先を選ぶ必要がある
  • 転職時には、開発工程や求められるスキル、案件の規模や種類から選ぶと良い

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SIerとは?

SIer(System integrator、エスアイヤー)は顧客企業から情報システム開発案件の委託を受ける会社の総称です。中型〜大型の案件が多く、金融・官公庁・運輸・医療・教育・インフラなど、あらゆる業界・業務のシステム開発を網羅しています。

また、業務分析・要件定義・設計・開発・テスト・運用を含めた全行程を統括する役割を果たすのが特徴です。SIerに所属するSE(システムエンジニア)は、関係者とコミュニケーションをとりながら設計や開発、プロジェクト管理などを進めていきます。

SIerの種類によって得意とする分野が異なるので、転職する際は注意が必要です。たとえば、上流工程を得意とする大手SIerや、大手からの委託を受けて開発を行う中小SIerといった業界構造が存在します。また、SIerによっては、特定の業界や技術に最適化されたソリューションに強みを持っています。

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SIerの種類

企業の成り立ちの観点から、SIerは「ユーザー系SIer」「メーカー系SIer」「独立系SIer」「外資系SIer」「コンサル系」の5種類に分類でき、それぞれ業務内容が異なります。以下では、SIerの種類や将来性について解説します。

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ユーザー系SIer

IT以外を本業としていた大手企業が、情報システム部門を子会社として独立させた業態を指します。ユーザー系SIerは、その業界に応じて金融系・通信系・商社系など、細分化される場合もあります。親会社からシステム開発や運用・保守の案件を受注するのはもちろん、そこで培った業務知識をもとに、他社からの案件も受けるのが特徴です。

ユーザー系SIerの将来性

ユーザー系SIerは、親会社からの受注がメインとなるので仕事が安定しており、親会社に準じた福利厚生を受けられるなど、安定性の高さと好待遇が強みといえるでしょう。一方で、親会社の影響が大きいため、企業方針や業績は親会社に左右されます

また、エンジニアとして入社した場合、数年後にはマネジメント職を任されるケースが多くあります。将来エンジニアとして活躍し続けたいと考えている人は、自分の理想のキャリアパスを描けるかどうかよく検討しましょう。

ユーザー系SIer一覧

代表的なユーザー系Sler企業は以下の7つです。

  • ・NTTデータ

    ・伊藤忠テクノソリューションズ

    ・日鉄ソリューションズ

    ・電通国際情報サービス

    ・豊田通商システムズ

    ・コベルコシステム

    ・SCSK

メーカー系SIer

ハードウェアを中心に開発を行う情報機器メーカーが、システム開発部門を独立させた業態です。インフラを提供するのに加え、そこで稼働するアプリケーションを開発するので、一箇所でソリューションを完結させます。サーバーやIoT(Internet of Things)機器と組み合わせたシステム開発案件に強みを持ちます。

メーカー系SIerの将来性

メーカー系SIerは、ユーザーの課題に対して親会社が展開しているハードウェアと組み合わせた情報システムの提案から構築・運用までをトータルで手掛けています。大手メーカーのグループ企業なので経営が安定しており、年収が高めで、福利厚生が充実していることが強みです。

親会社自体がハードウェアメーカー系SIerというケースもあるため、親会社とSIer企業間の関係性の見極めも必要になるでしょう。メーカー系SIerは、大規模なプロジェクトに携わりながら、IT関連の知識をより深めていくことができます。転職市場では、メーカー系SIerの豊富な経験が高く評価されるため、キャリア形成の大きな糧となるでしょう。

メーカー系SIer一覧

代表的なメーカー系Sler企業は以下の7つです。

  • ・富士通

    ・富士通エフサス

    ・NEC

    ・NECネッツエスアイ

    ・日立製作所

    ・日立ソリューションズ

    ・日立システムズ

独立系SIer

親会社を持たず、独立した経営がなされている企業を指します。特定のベンダーに縛られず、ソフトウェアやハードウェアの観点から、多様な技術を追求できるのが利点です。大手企業から中小企業まで、さまざまなSIerが存在します。

独立系SIerの将来性

独立した経営によって、さまざまな業界や企業の開発に携わることができます。メーカーやベンダーに捉われないため、システム開発において制限が少ないのが強みです。

親会社に経営を左右されないので昇進・出世はしやすい傾向です。その反面、親会社のあるSierと比べると企業体制が整っていなかったり、収入や福利厚生などの待遇面で満足しにくかったりする面があります。転職先として独立系Sierを選ぶ際は、自分の将来をよく見据えた上で慎重に検討する必要があるでしょう。

独立系SIer一覧

代表的な独立系Sler企業は以下の9つです。

  • ・大塚商会

    ・BIPROGY(旧日本ユニシス)

    ・オービック

    ・TIS

    ・ユニアデックス

    ・ネットワンシステムズ

    ・JBCCホールディングス

    ・テクマトリックス

    ・富士ソフト

外資系SIer

グローバルなIT企業が日本法人を設立し、システム開発事業を展開した業態です。海外で開発されたパッケージやソリューションを日本企業へ導入するのが主な役割です。特に、コンサルティング業務から携わり、パートナー企業と連携して開発業務を推進する案件が多く見られます。

外資系SIerの将来性

外資系SIerが扱う案件は国際的な大規模プロジェクトで、プロジェクトに参画する人材は多国籍にわたります。将来的に世界規模での活躍を目指す人や、最先端技術に触れながらスキルを磨きたい人には向いているでしょう。

待遇面においては、異文化との交流で視野が広がることや高収入が望めることは魅力です。また、評価方法は年功序列のようなものはなく実績によって評価されるため、年齢・性別に関係なく活躍できます。ただし、外資系SIerで一定水準以上の収入を望む場合は、成果を出し続ける必要があるでしょう。

関連記事:外資系SIerの企業例9選!年収、メリットやデメリットも解説

外資系SIer一覧

代表的な外資系Sler企業は以下の9つです。

  • ・日本オラクル

    ・KPMGコンサルティング

    ・SAPジャパン

    ・PwCコンサルティング

    ・デロイト・トーマツ・コンサルティング

    ・日本アイ・ビー・エム

    ・日本ヒューレット・パッカード

    ・アクセンチュア

    ・EYストラテジー・アンド・コンサルティング

コンサル系SIer

企業の経営課題に焦点を当てたITコンサルティングファームも、システム開発に携わります。経営戦略やIT戦略の支援を入口にして、開発案件にも着手します。

コンサル系SIerの将来性

デジタル化が加速されていく中で、今後もコンサル系SIerの需要がより高まっていくことが予想されます。IT技術を活用し、顧客の業務改善や経営戦略に一気通貫で携わるため、円滑なコミュニケーションや提案力が求められ、総合的な業務遂行能力の高さが問われるでしょう。

スキル要件の高さから、ITコンサルタントはIT業界の職種の中でも高収入です。コンサル系SIerへの転職を検討する場合は、高収入であることだけに捉われず、コンサル職が自分に合っているか、将来的に理想のキャリアを目指せるかなど、よく検討すると良いでしょう。

コンサル系SIer一覧

代表的なコンサル系Sler企業は以下の6つです。

  • ・野村総合研究所

    ・ベイカレント・コンサルティング

    ・三菱総合研究所

    ・オービックビジネスコンサルタント

    ・シグマクシス

    ・フューチャー

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SIerの規模による、担当業務の違い

SIerが携わる大型の開発案件では、一般的に「下請け構造」が見られます。具体的には、顧客企業から依頼を受けた大手SIerが全体を統括し、個別の作業を中小のSIerへ再委託する仕組みです。転職を検討する上では、このような業界構造を理解しておくと良いでしょう。

大手SIer

大規模案件の受託が主な仕事となり、顧客企業と直接コミュニケーションをとって、プロジェクト全体を統括する役割を担うケースが多く見られます。要件定義や設計といった上流工程に携わり、開発作業はパートナー企業へ委託するケースが多いです。

中小SIer

大規模案件の場合、大手SIerから一部の工程を委託され、中小規模のSIerが開発・テストの工程を担当します。一方、小型案件であれば、全行程を担当するケースもあります。

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転職の際に検討するべきSIerの選び方

SIerは一般的に、継続した受託契約を結ぶため、経営状態が安定した企業が多いです。安定した環境でさまざまな案件に携わりスキルアップしたい人には、転職先として適しているでしょう。以下では、SIerへの転職の際に検討するべきポイントについて解説します。

関連記事:SIer・SESや未経験からWeb系企業への転職を成功させるには

開発工程から選ぶ

システム開発は、業務分析・要件定義・設計・開発・運用といった工程に分かれます。SIerの種類によって強みが異なるため、どの局面に興味があるかによって転職先を検討しましょう。

たとえば、業務分析や要件定義などの上流工程に強いのはコンサル系や外資系です。また、設計・開発に強いのはメーカー系や独立系、運用・保守の案件が多いのはメーカー系やユーザー系といわれています。

求められるスキルから選ぶ

開発工程による違いに関連して、その局面によって求められるスキルも異なってきます。具体的には、上流工程においては業務知識やプロジェクト管理のスキルが求められる傾向にあります。

一方、設計・開発の局面では、プログラミングやインフラに関する知識が必要です。さらに、ユーザー系SIerは、その親会社に合わせて特定の業界知識が必要となるのが特徴です。

案件の規模・種類から選ぶ

一般的に、大規模案件は大企業や官公庁といった社会インフラに関わるものの、確立された技術を展開していく傾向にあります。一方、小規模なプロジェクトでは、新しい技術に触れたり、裁量を持って仕事を進めたりできるケースも見られます。

大規模案件に携わりたい人には、大企業とのつながりが強いメーカー系やユーザー系が適しているでしょう。裁量を持って多様な小型案件を進めたい場合は、独立系やコンサル系が向いています。そして、世界的に標準化された案件に関わりたいなら外資系SIerが推奨されます。

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SIerに関するよくある質問

SIerの種類や特徴について、皆さんが特に疑問を抱く点について回答します。SIerへの転職を検討している人にとっても、良い判断材料になるでしょう。SIerに関しての理解をより深めるためにも、ぜひお役立てください。

Q1. メーカー系SIerに転職するデメリットは何でしょうか?

メーカー系Slerに転職するデメリットは以下の2つです。


  • ・客先常駐の可能性がある

    ・出世が難しい


常駐先のルールや人間関係によるストレスを感じる人が多い傾向があります。さらに、元々親会社で働いていた人が管理職に就くケースが多いため、昇進ポストは空きにくいでしょう。また、積める経験はハードウェアの開発といった特定分野に偏ってしまうので、ほかの分野にも挑戦したいと考えている人は注意が必要です。

Q2. ユーザー系SIerに転職するメリットは何でしょうか?

ユーザー系Slerに転職するメリットは以下の2つです。


  • ・自社内開発がメイン

    ・上流工程を経験できる


客先常駐も少なく、自社の特性に合わせた開発が可能です。また、上流工程から携わることが多いため、コンサルティングや要件定義といった、上流工程に特化したスキルを身につけることができます。責任の大きさや求められるスキルも多いですが、そのぶん下流工程の仕事よりも高い収入が望めるでしょう。

Q3. SIerで働くメリットはありますか?

Slerで働くメリットは以下の2点です。


  • ・大規模案件の経験が積める

    ・さまざまな企業や業界に携われる


SIer企業は、大手企業や官公庁、自治体などのクライアントから大規模案件を受託することが多いです。大きなプロジェクトほど難易度は高いですが、そのぶん幅広い経験と業界知識を得ることができます。また、多くの企業や業界と関わることで、視野が広がり貴重な経験を得られるでしょう。

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まとめ

この記事では、Slerの種類や特徴、将来性について解説しました。Slerは種類によって携われる案件の規模や分野が異なるため、転職を考える場合は事前に違いをよく理解しておく必要があります。

どこまでの収入を求めるか、将来のキャリアをどうしたいかなど、まずは自分の希望を再確認してみるとよいでしょう。また、自分のキャリアだけでなく企業の将来性についても見据えることで、転職時のミスマッチを防げます。その上で、どの種類のSIerが自分に合っているのかを慎重に判断しましょう。

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