ユーザー系SIerはホワイト企業?メリット・デメリットを解説

最終更新日:2023年4月17日

ユーザー系SIerはホワイトなイメージも強いため、ユーザー系SIerへの転職を考えたことがある人も多いでしょう。しかし、ユーザー系が必ずホワイトとは限らないため、注意が必要と言えます。本記事ではユーザー系SIerの特徴や独立系・メーカー系との違いについて解説していきます。また、ユーザー系には大きく「外販中心」と「内販中心」の企業があるため、それぞれの違いやメリット・デメリットについても解説します。
ユーザー系SIerへの転職を視野に入れている方は本記事をぜひ参考にしてください。

この記事のまとめ

  • ユーザー系SIerとは、企業の情報システム部門が子会社や関連会社として独立してできた企業
  • ユーザー系SIerは上流過程に関わる機会が多く、その業界の専門知識を身につけられる
  • ユーザー系SIerは、親会社に業務内容や労働環境を依存しているため、親会社の企業研究も重要

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ユーザー系SIerとは?

まず、ユーザー系SIerの意味について解説します。ユーザー系と独立系、メーカー系の違いについてもみていきましょう。

ユーザー系SIerは、通信、金融、商社などIT業界以外の一般企業を親会社に持つSIer企業を指します。一般企業の情報システム部門が独立して子会社となったケースが多いと言われています。ユーザー系SIerの役割は親会社で扱うシステムを開発することで、いわゆる「内販」と呼ばれるものです。
しかし、企業によっては親会社のシステム開発で培ったスキルを活用し、他社向けに開発を行う「外販」を行う場合もあります。内販と外販の業務比率は同じユーザー系でも企業によって異なります。
また、ユーザー系SIerの多くは、プロジェクト管理や要件定義といったシステム開発の上流工程をメインに担当し、システム開発のプログラミング・詳細設計は下請けSIerに外注することがほとんどで、この点もユーザー系SIerの注目すべき特徴と言えるでしょう。

ユーザー系とメーカー系の違い

メーカー系SIerは、パソコンやネットワーク機器などハードウェアを提供しているメーカーを親会社に持つSIer企業を指します。大手家電メーカーの子会社などがメーカー系に該当するでしょう。メーカー系SIerはユーザー系と違い、親会社向けではなく他社向けのシステム開発が中心となります。親会社のハードウェアで動くソフトウェアを開発し他社に提供することがメインであり、他社に常駐して働くケースも多くあります。

ユーザー系と独立系の違い

独立系SIerは、親会社を持たず1つの会社として独立しているSIer企業を指します。独立系SIerは他社に提供するシステムの開発をメインに行います。他社と直接契約して他社の要望に基づくシステムを1から開発します。独立系SIerの場合ユーザー系と異なり、上流工程ではなくプログラミングやテストなど下流工程を中心に行います。
また、顧客が指定する納期に合わせるため、開発スケジュールに余裕がないことも多く、繁忙期には残業が多く発生するケースもあります。

業界別のユーザー系SIer企業一覧

ユーザー系のSIerの中でも、様々な業界に分かれています。各業界の特徴とそれに属する企業について解説します。

金融・保険系

金融・保険系SIerは、銀行や証券会社、保険会社などの金融業の顧客に向けて、業務システム開発を行うSIer企業を指します。

【企業例

  • ・東京海上日動システムズ

    ・中央コンピュータシステム

    ・ニッセイ情報テクノロジー

通信・ライフライン系

通信・ライフライン系SIerとは、インターネット回線や電話回線といった回線通信網や通信回線、それらを運用するために必要なシステムを開発するSIer企業です。

【企業例】

  • ・NTTデータ

    ・NTTコミュニケーションズ

    ・ソニーネットワークコミュニケーションズ

物流・運輸系

物流・運輸系SIerとは、物流に関する工程や原料や製品の在庫などの情報を管理するシステムを開発するSIer企業です。

【企業例】

  • ・ヤマトシステム開発

    ・日立製作所

    ・JR東日本情報システム

商社系

商社系SIerとは、商社のシステム部門が独立してできたSIer企業です。商社系SIerの多くは「外販」を目的に作られており、さまざまな業界のシステム開発を請け負います。

【企業例】

  • ・伊藤忠テクノソリューションズ

    ・インフォコム

    ・兼松エレクトロニクス

製造系

製造系SIerとは、製鉄業や自動車業などの製造業の企業のシステム部門が独立してできたSIer企業です。製造においてのシステム開発のノウハウを生かし、他の業界にも携わっている企業もあります。

【企業例】

  • ・日鉄ソリューションズ

    ・豊田自動織機ITソリューションズ

    ・デンソーITソリューションズ

建設系

建設系SIerとは、建設業企業のシステム部門が独立したSIer企業です。建設業における、施工や発注業務などの一連の業務を管理するシステム開発を請け負います。

【企業例】

  • ・コンピュータ・システム研究所

    ・住友林業情報システム

    ・メルカードテクノ開発

その他

他にも、エネルギー系や小売系、コンサルディング系のSIer企業もあります。それぞれ元となる企業のシステム部門が独立したものとなっています。
【企業例】

  • ・テプコシステムズ(エネルギー系)

    ・セブン&アイ・ネットメディア(小売系)

    ・野村総合研究所(コンサルティング系)

ユーザー系SIerの年収ランキング一覧

ユーザー系SIerの年収ランキングは以下の通りです。
※上記企業の有価証券報告書または公開資料に基づき掲載

順位 企業名 売上高
1 野村総合研究所 1,232万円
2 三菱総合研究所 1,111万円
3 SRAホールディングス 1,080万円
4 電通国際情報サービス 1,057万円
5 Alinside/td> 1,013万円
6 Kudan 969万円
7 オービック 959万円
8 GMOペイメントゲートウェイ 955万円
9 伊藤忠テクノソリューションズ 941万円
10 CAC Holdings 938万円

ユーザー系SIerで働くメリット・デメリット

ここから、独立系やメーカー系SIerと比べ、ユーザー系SIerで働くことでどんなメリット・デメリットがあるのか解説していきます。

メリット

親会社のシステム開発に関わる内販と、他社向けの開発に関わる外販のそれぞれにメリットがあります。
内販の場合、親会社やグループ会社のシステム部門と一緒にシステム開発を行うことが多いです。そのため、開発の上流工程から携われます。また、開発終了後も保守・運用を任されるケースもあり、下流工程の経験も積めます。このように、内販では上流から下流まで一貫して関わることで、業界に対する知識やスキルを十分に深めることが可能です。また、システムを使用するユーザーの感想も直に聞けるため、やりがいを感じやすい環境といえます。

一方外販の場合、他社からの案件となるため、さまざまな業界に携われます。また、クライアント企業からの直請けの案件である場合、上流工程から開発に関わることが多いです。そのため、クライアントの業界知識を得られ、将来的に幅広い知識を得られます。

デメリット

内販・外販問わず、保守・運用を任されない限り、案件の上流過程の業務がメインとなります。そのため、開発業務のプログラミング実務は外注することが多くなり、プログラミングなどのITスキルを磨く機会は少ないです。
また、企業によっては親会社がシステム企画や要件定義を担当し、設計以降の工程を渡されるケースもあります。この場合は、企画などの最上流に携わることが難しくなります。

内販が中心のユーザー系SIerのメリット・デメリット

ユーザー系SIerは内販が中心の企業と外販が中心の企業に分かれます。これら2つは企業の性質や仕事内容が大きく変わるので、同じユーザー系でも分けて考えることが大切です。
まずは、内販中心のユーザー系SIerのメリット・デメリットについて解説します。一般的には下記のような点が内販中心のユーザー系SIerのメリット、デメリットだと言われています。

メリット

内販中心のユーザー系SIerのメリットは「ホワイト企業が多い」「上流工程に携わることができる」などがよく言われています。内販の場合親会社が顧客のため「納期を短くして欲しい」など無理な要求がなく、残業が発生しにくい傾向があります。加えて、親会社から継続して仕事を受注できるため、会社の経営が安定しており安心して働くことができます。また、メーカー系SIerで多いと言われる客先常駐がほぼないため、客先常駐がストレスに感じる方にとっても働きやすいでしょう。
また、プログラミング作業自体は外部に依頼するため、ユーザー系SIerは上流工程の業務に集中することができます。親会社の業界に特化した上流スキルを身につけたい方にも、ユーザー系SIerは検討してみてよい企業形態のひとつと言えます。

デメリット

内販中心のユーザー系SIerのデメリットは「携われる仕事の幅が狭い」「出世が難しい」などがよく言われています。親会社で扱うシステムを専門で開発することに加え、上流工程を担当することが多いため、身につくスキルが偏ってしまい転職で不利になってしまう可能性もあります。ユーザー系SIerへの転職はあくまで通過点、という方は注意が必要です。
また、ユーザー系SIerの管理職の多くは親会社からの出向であることも多く、転職時に管理職入社をしていない限り課長クラス以上の出世が難しいというケースもあります。

外販が中心のユーザー系SIerのメリット・デメリット

続いて、外販中心のユーザー系SIerのメリット・デメリットについて解説します。一般的には下記のような点が外販中心のユーザー系SIerのメリット、デメリットだと言われています。

メリット

外販中心のユーザー系SIerのメリットは「幅広い仕事に携われる」などがよく言われています。内販中心とは逆に様々な企業向けにシステムを開発するため、幅広いスキルを身につけることが可能です。Web系などに転職する際にも幅広く身につけたスキルは役立つでしょう。また、内販中心の場合と同様ですが、親会社がいるため会社の経営が安定していることもメリットです。

デメリット

外販中心のユーザー系SIerのデメリットは「労働時間が増えやすい」などがよく言われています。顧客の要望に対応するために、急に納期が短くなるなどのケースもあり残業が発生しやすい傾向にあります。「ホワイトだから」という理由でユーザー系SIerを志望する方はこの点に関して注意が必要でしょう。
また、内販中心の場合と同様ですが、課長クラス以上の出世が難しいケースが存在することもデメリットと言えます。

ホワイトなユーザー系SIerを選択するポイント

最後に、ホワイトなユーザー系SIerを選択するポイントを解説します。ユーザー系はホワイトなイメージが強いですが、必ずしもそうとは限らない場合もあります。
転職活動のためにホワイト企業の特徴を知っておきましょう。

親会社がどの業界に属しているか

特に内販中心のユーザー系SIerの場合、親会社の業界によって身につけられるスキルの種類が異なります。たとえば親会社が金融会社の場合は金融関連の知識が身につきます。もし金融関連に興味がない場合、仕事をしても楽しくない状況に陥ってしまうことも考えられます。そうならないために、自分のやりたいことやキャリアアップを考え、マッチしている業界を選択しましょう。

親会社の経営は安定しているか

ユーザー系SIerの場合、給料・ボーナスは親会社の状況に左右されます。親会社の経営が傾いた場合、ボーナスなどが減少してしまう可能性もあるでしょう。安心して仕事ができるようにするためにも、親会社の現状や将来性に関するリサーチは念入りに行うことをおすすめします。

親会社以外から発注がどの程度あるか

ユーザー系SIerの中には外販を中心に行う企業もあることは解説した通りです。外販が多い場合、残業時間が増えやすい傾向があります。ホワイトな環境を目指す場合、内販・外販の割合がどうなっているかは確認しておきましょう。

よくある質問

最後にユーザー系Slerを目指す方の抱きやすい疑問に回答していきます。

Q1. ユーザー系SIerの特徴には何がありますか?

ユーザー系SIerとは、一般企業の情報システム部門が独立して子会社となった企業です。そのため、親会社で扱うシステムの開発業務や、自社システムの開発で培ったスキルを活かした他社向けの開発業務に関わることが多くなります。また、ユーザー系SIer企業の多くは、プロジェクト管理や要件定義といったシステム開発の上流工程を担当することが多いです。そのため、システム開発のプログラミングや詳細設計は、下請けSIerに外注することが多くなります。

Q2. ユーザー系SIerの強みは何でしょうか?

システム開発の上流工程から携わることが多いため、業界に対する知識やスキルを身につけられます。また外販の場合、他社からの案件となるため自社の業界だけでなくさまざまな業界に携わることが可能です。また、クライアント企業からの直請けの案件である場合、上流工程から開発に関わることが多いです。そのため多くの業界知識を得られ、将来的に幅広い知識を得られます。

まとめ

ユーザー系Slerとは、一般企業の情報システム部門が独立した子会社で、親会社で扱うシステムの開発などを手がけています。ユーザー系SIer企業はシステム開発の上流過程に関わる機会が多く、その業界の専門知識や業界知識を身につけることができます。そのため、その分野に特化した人材としてステップアップしていくことができます。しかし、労働環境は親会社に依存している部分が多く、企業理解には親会社の理解もしっかり行うことが重要であります。

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