データベースエンジニアは、データベースの設計・構築や管理、運用・保守に携わるエンジニア職です。ビックデータ時代と言われるように、企業ではデータベースの活用が不可欠となり、その専門家であるデータベースエンジニアの需要が高まっています。この記事ではデータベースエンジニアの仕事内容と求められるスキルと知識、エンジニア未経験からデータベースエンジニアを目指す方法について解説します。
1. データベースエンジニアの仕事内容
まず、データベースエンジニアの仕事内容を解説します。データベースエンジニアは、エンジニア職の中でも高度な技術力を持つエンジニアとされており、経済産業省のデータ(※)では平均年収は758.2万円と非常に高い給与水準にあります。
具体的な仕事内容は、データベースの設計、構築、運用・保守に区分することができます。
設計
システムに要求されるデータベースの構造やデータの種類などをヒアリングし、仕様書に落とし込んで開発可能な状態にします。設計結果はシステムパフォーマンスに大きく影響するため、経験豊富なデータベースエンジニアが担当する事が多いでしょう。
構築
サーバーにデータベースをインストールし、仕様書に従って構築します。構築する際はSQLと呼ばれるデータベース操作言語を使用します。
運用・保守
運用では、構築したデータベースにおけるデータの保存や利用が効率よくできるように、パフォーマンスを監視して必要な設定変更を行ったり、データベースへのアクセス権の設定変更、データのバックアップ作業を行ったりします。
若手のエンジニアは、先輩エンジニアに指示されながら運用・保守業務から任されるケースが一般的です。そして、スキルが上がるにつれて構築作業や設計作業の一部(特定テーブルの設計など)を任せてもらえるようになります。
企業によってはデータベースエンジニア職がない場合も多く、その場合はインフラエンジニアやアプリケーションエンジニア(SE)がデータベースに関する業務を兼任します。
※参考:経済産業省「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果(平成29年8月21日)」P.6
2. データベースエンジニアに必要な知識とスキル
ここでは、データベースエンジニアに必要な知識とスキルを紹介します。
情報システムに関する全般的な知識
サーバーやネットワーク、アプリケーション、ミドルウェア、セキュリティなど情報システムに関する全般的な知識は、どのようなエンジニアにも求められる知識であり、データベースエンジニアにも必須です。
例えば、データベースのインストール先はサーバーとなりますので、サーバーの知識がなくてはインストールすらできません。また、アプリケーションエンジニアと共にデータ構造やバックエンド処理などを連携しながら設計するため、非常に幅広い知識が問われます。
一般的にデータベースエンジニアは、アプリケーションエンジニアなど他のエンジニア職を経験した後に、キャリアアップで目指す職種です。
データベースに関する知識
データベースの構造や、データベース上のデータの流れを表現するためのデータモデル、正規化など、データベースに関する知識が必須です。データ容量の計算方法、パフォーマンスの改善手法、セキュリティ対策など、実用的なデータベースを構築するための知識も求められます。
データベースソフトの知識・スキル
データベースエンジニアには、データベース操作に必要なSQL言語を理解するだけでなく、各種のソフトの知識・スキルも必要です。案件の規模や予算、利用目的によって、適切なデータベースソフトも変わるため、違いを知り、適切に選定できることが望まれます。
特に市場シェアの高いオラクル製品やSQL Server、Web系のシステムで使われることの多いMySQL、PostgreSQLなどの知識・スキルがあれば多くの現場で活躍できるでしょう。
3. エンジニア未経験でもデータベースエンジニアは目指せるのか?
ここでは、エンジニア未経験の状態から、データベースエンジニアを目指せるかどうかを考察します。
結論からいうと、エンジニア未経験者がデータベースエンジニアとして採用されるケースは限りなく0に近く、現実的ではないでしょう。
データベースエンジニアの採用を行う企業は、データウェアハウスやデータマートの開発に携わる企業、数十人以上の規模の情報システム部門を持つ企業です。こうした企業では、大学院でデータサイエンスを学んだ即戦力人材を除いて、エンジニア未経験者を採用することはほぼないでしょう。
ただし、他のエンジニア職を経てからキャリアアップで目指すことは十分に可能です。
次の章では、具体的な目指し方を解説します。
4. 未経験からデータベースエンジニアを目指す方法
ここでは、エンジニア未経験からデータベースエンジニアを目指す方法を解説します。
ステップ1:アプリケーションエンジニアやインフラエンジニアなど、PG・SEとして就職する
未経験でプログラマー(PG)やシステムエンジニア(SE)として採用されるのもハードルは高いですが、エンジニアスクールの卒業実績やIT資格などでスキルを証明できれば、エンジニア未経験であっても採用される可能性は十分にあります。
また、数は多くないですが、社内研修制度が整っている企業などで、エンジニア未経験者を積極的に採用・教育しているケースもあります。
ステップ2:実務経験を積みながらデータベースエンジニアのスキルを身につける
プログラマーやシステムエンジニアは、データベースを扱う事が多い職種です。よって、実務を通じてデータベースの知識とスキルを身につける事が可能です。
例えば、プログラマーであればデータベースへのデータ処理(登録・更新・削除・抽出)などの処理をプログラミングしますし、システムエンジニアであればデータベース処理の設計に携わります。なかでもサーバーエンジニアは、企業にもよりますがデータベースのインストールから構築、運用・保守まで担うため、データベースエンジニアに求められるスキルを磨く事ができます。
ステップ3:データベース関連の資格を取得する
資格取得は、効率的な知識・スキルの習得と、スキル証明に効果的です。
データベースエンジニアとしての評価が上がる、代表的な資格を紹介します。
データベーススペシャリスト試験(DB)
IPAの国家資格で、データベースに関する深い知識と高度なスキルを証明する資格です。データベースの設計から開発、既存データベースの評価、チューニング、セキュリティなど幅広く出題されます。平成30年の合格率は13.8%と難易度の高い資格です。
Oracle Database
世界的にシェアの高いデータベースソフトである、オラクル社のデータベース製品の知識・スキルを証明する資格です。ブロンズ、シルバー、ゴールド、プラチナという4種類に試験が分けられています。合格率は非公開ですが、ゴールド、プラチナは非常に難易度が高い試験といわれています。
OSS-DB技術者認定資格
オープンソースのデータベースに関する、実践的なスキルと知識を証明する民間資格です。多くの企業で利用されているPostgreSQLを基準に、インストールや設置、SQL、運用、開発についての問題が出題されます。難易度により、SilverとGoldの2つのレベルがあります。合格率は非公開ですが、実務経験者向けの資格です。
ステップ3までくれば、データベースの実務経験があり、かつスキル証明もできる状態になっています。さらに、実務経験のポートフォリオを作成すればデータベースエンジニアへのキャリアアップ準備は万端といえるでしょう。
5. まとめ
この記事では、データベースエンジニアの仕事内容と必要なスキルと知識、エンジニア未経験から目指す方法を解説しました。データベースエンジニアは、高度な技術力が求められる職種であり、エンジニア未経験者がいきなり目指すことは現実的ではありません。
しかし、他のエンジニア職で実務経験を積み、データベースに関する資格を取得すれば目指す事は十分に可能です。この記事で紹介したステップを参考にしながら、データベースエンジニアを目指してみて下さい。
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