30代未経験からでもプログラマーを目指せる理由
一般的に、「30代未経験」はどの職種においても転職市場では不利になりやすいです。しかしプログラマーという職種においては、プログラミング未経験の30代の方でも転職は可能です。
30代未経験からでもプログラマーを目指せる理由は、慢性的なプログラマー不足や学習環境が充実していることなどが挙げられるでしょう。本章では、30代未経験からでもプログラマーを目指せる理由を解説します。
慢性的なプログラマー不足
DXの推進や最新ゲームの開発など、さまざまなシーンでプログラマーはなくてはならない存在になりました。しかし、こうした需要の急増から、ほとんどの業界において人材が不足している状況です。人手不足を補うために企業側は教育環境や多様な人材の受け入れ体制を整えており、年齢や経験関係なくスキルさえあれば転職がしやすい状況であるともいえます。
講座やスクールが充実し、プログラミングを勉強しやすくなった
Webサービスが充実するまでは独学でのプログラミング勉強といえば、初心者向けの分厚い本を読みながら学習するという方法が一般的でした。チャレンジしても途中で挫折するパターンも珍しくない状況です。
しかし最近では、動画形式で時間や場所に縛られずに学べる無料講座や、有料のスクールが充実しています。動画サイトで「プログラミング 初心者」と検索するだけでもさまざまな言語の入門動画があり、以前と比べて働きながらでも勉強しやすい環境であることは確かです。
これまでの経験や知識を活かせる場面がある
30代でプログラミングが未経験であっても、前職の経験や知識を活かせば、活躍できる可能性はあります。30〜40代の場合は、IT以外の業界で働いていたとしても、今までに培ったスキルや経験を持っているからです。たとえば、製造業だと製造の過程を理解しているため、プログラムを通じ自動化できる部分を見つけ効率化を図ることができます。また、製品の品質を管理するためのシステムを構築できるスキルも役立ち、プログラマーとしての価値をさらに高めることができるでしょう。
30代でプログラマーへの転職が無理とされる理由
30代でプログラマーへの転職は無理と言われることも多いです。無理という声を鵜呑みにする必要はないものの、言われる要因はあらかじめ知っておいた方が良いでしょう。無理と言われる理由を把握したうえで対処し、不可能を可能にしていくことが重要だからです。ここでは、無理といわれる理由を解説します。
IT業界の平均年齢が若い
IT業界は若い人材が多いです。20代の若手エンジニアが中心といえるでしょう。
若手エンジニアが多いことで、30代の未経験プログラマーが部下、20代の上司という年齢が逆転する構図が生まれる可能性があります。そのため、指導方法や接し方に困ったり、指示が出しづらいなどの悩みが発生しやすくなるでしょう。
20代と比べると求人が減る
法律により、労働者の募集・採用の際に年齢制限をかけることは禁止されています。その上で、IT業界では特にキャリア形成の観点などから若手の採用が積極的に行われ、20代のプログラマーには多くの求人があるといえるでしょう。一方で、30代以降の採用は限られる傾向にあります。
加えて20代は、30代に比べて最新の技術やツールに精通していることが多く、新しい技術の習得が早い傾向にあります。企業側は、これらのスキルを活用していきたいと考えるため、若手の採用が優先されることがあるでしょう。また、新しいアイディアをもたらしてくれることを期待されている場合もあるといえます。
しかし、30代以降のプログラマーでも、自己投資やスキルアップに取り組むことで転職市場で競争力を高められるでしょう。未経験からプログラマーを目指す場合、スキル強化や多様化など自己成長を行っておくことが大切です。
スキルが重視されるから
プログラマーには、新しい技術や言語を素早く習得し、開発速度を上げることが求められます。なかでも。30代以降のプログラマーはプロジェクトの中心となって、開発や成果物の品質を高めていく役割が期待されます。
そして、上記のような役割が求められることは未経験であっても同じです。言い換えると、30代未経験でプログラマーになる場合、短期間でプロジェクトを牽引するような存在になれるというアピールが重要といえます。
そのためには実際に勉強していることや、マネジメントにも積極的に取り組みたいといった姿勢が求められるでしょう。
30代未経験からプログラマーを目指すメリット
現在の職場や職種への不満、エンジニア職への興味など、30代未経験からプログラマーを目指す動機は人によってさまざまです。ここでは、プログラマーを目指すメリットについて解説します。プログラマーを目指すメリットをあらかじめ知っておくことで、学習する際のモチベーションアップにつながるでしょう。学習効率も上がるはずです。
今後確実に需要が増える職種であり、活躍の場が広がる
ビジネスでのIT活用が当たり前になっている今、IT人材を貴重な戦力とみなす企業が増えています。経済産業省が発表したIT人材需給に関する調査でも2030年までに43~79万人のIT人材の不足が危惧されています。プログラマーとしてエンジニアのキャリアを積むことで、SEを含めさまざまなエンジニア職のキャリアの選択肢を得られるでしょう。
関連記事:プログラマーの将来性と、今後需要が高まるスキル
スキル次第で年収アップが見込める
IT業界は年功序列よりも実力主義の傾向が強く、スキルアップが年収アップに直結しやすい特徴があります。もちろん、企業ごとの賃金体系や技術トレンドにも左右されますが、需要のある言語を身につければ継続的な年収アップができるでしょう。
未経験でも転職できる可能性あり
未経験であっても人手不足という市場環境や学習環境の充実などの背景から、プログラマーへ転職しやすいといえます。書籍やスクールなど自身で勉強する方法が増えているため取り組みやすく、スキルアップを目指すことができるでしょう。しかし、「特定の言語について勉強して知識がある」というレベルではアピールとしては少し弱いといえます。
プログラマーとして働いた実務経験がなくても、自分で企画、設計、開発、テスト、リリースまで行った経験が分かるポートフォリオを用意することで、それを武器にプログラマーを目指すことが可能です。「HTMLとCSSで作ったWebサイトにPHPとMySQLを使用したWebサービスを実装する」という具合に、実務レベルに近い経験があることをアピールすると良いでしょう。
フリーランスも目指せる
プログラマーは需要が高い職種です。開発工程やテスト工程で必要なため、期間限定でプロジェクトに参画できる人材を求める企業も多いです。そのため、正社員の雇用だけでなく、フリーランスも積極的に採用されています。
フリーランスは生活が不安定になると思われがちでうすが、スキルと経験があれば年齢に関係なく、多くのシステム開発プロジェクトに携われます。
さらにスキルがあってプロジェクトで重宝される存在になれば、継続的に仕事を受注できるでしょう。フリーランスを目指す人にとって、プログラマーという職業は苦労してでも目指す価値があるはずです。
関連記事:プログラマーのキャリアパスは?キャリアアップに必要なスキルも解説
30代未経験からプログラマーを目指すデメリット
IT業界に限った話ではありませんが、ポテンシャル採用が積極的に行われる20代に比べ、30代未経験からの応募では書類選考を通過する可能性が下がります。また、20代に比べると、30代は現職で重要なポジションを担っていたり家庭を持っていたりするなど、時間的にも制限があるケースも多いでしょう。プログラミングの勉強にも苦労する可能性があります。
ただしIT業界は慢性的な人材不足なので、30代未経験からでも採用される求人は見つかります。またスクールや動画学習・書籍など、自分の状況に応じて学ぶ手段を選べるので、勉強のハードルは実は一般的に考えられているイメージより低いです。
30代未経験者が学ぶべき言語は?
プログラミング言語は次々と新しいものが登場し、技術トレンドも日々変化しています。需要が多い言語・技術を身につけていれば、未経験者でも採用される可能性は高くなるでしょう。そのため、30代未経験からプログラマーを目指すときには、「言語の選定」を慎重に行うべきです。本章では、30代未経験者が学ぶべきプログラミング言語について解説します。
関連記事:プログラマーが扱うプログラミング言語|種類別の特徴や選び方も解説
Ruby
Webサービス、アプリ開発の分野で需要が多い言語です。他言語と比較して習得難易度が低いといわれています。未経験者向けのスクールも多く学習しやすい言語の一つです。市場でも人気のある言語という点でも、最初のプログラミング言語として選ぶ価値があるでしょう。スキルを習得することで転職市場で自分の価値が上がります。
学習・勉強の流れ
Rubyは「書きやすく、読みやすく」を念頭に作られた言語です。そのため初心者の学習にも適しています。まずはRubyの基礎文法やデータ型、制御構造などを学習してください。動画講座や書籍などを活用しましょう。
Rubyの基礎ができたら、Ruby on RailsというWebアプリケーションフレームワーク、MVCアーキテクチャ、データベースの操作などを学ぶと良いです。
Rubyの基礎学習やRuby on Railsの学習を終えたら、実践的なプログラム開発に取り組んでみましょう。たとえば、Twitter APIを使ったアプリケーション開発、スクレイピングなどの実践的なプログラム開発が挙げられます。開発を通して、より実践的なスキルを身につけられるでしょう。
Java
オブジェクト指向型の代表的な言語です。スクールでの学習期間は6ヶ月程度〜と比較的長いですが、資格取得および就職まで支援しているスクールが多くあります。Javaはいろいろな開発現場で使われている歴史のある言語なので、学習環境も充実しています。プロジェクトの数も豊富なので、最初に身につける言語としての価値は高いです。
学習・勉強の流れ
Javaの学習では、Javaの基礎的な文法や制御構文、データ型、演算子、制御文などを習得してください。次に、Javaはオブジェクト指向プログラミング言語なので、クラス、オブジェクト、継承、ポリモーフィズムなどの概念を理解することが重要です。
Javaには多くのフレームワークが存在し、たとえばSpring Frameworkが挙げられます。フレームワークのスキルを身につけることで、開発の効率化が可能です。これらの内容が身についたら、Webアプリケーションやモバイルアプリケーションの開発に取り組んでください。
またJavaには多くのサンプルコードが存在します。これらを参照することで、実践的なプログラムの書き方を学べるでしょう。
関連記事:独学でプログラマーを目指すには?習得方法や役立つツールを紹介
Python
シンプルで扱いやすいプログラミング言語といわれています。スクールの数はまだ少ないものの、機械学習の分野で注目されており、今後も需要の増加が見込まれるでしょう。AIは今後ますます普及していくと考えられているので、プログラマーとしてもスキル習得しておくべき言語です。もちろんWebスキルも重要ですが、AIと組み合わさっていくことも今後増えると考えられます。
関連記事:未経験からPythonエンジニアになるには?学習方法や需要・将来性も紹介
学習・勉強の流れ
Pythonは文法が簡潔です。そのためほかのプログラミング言語に比べて、初心者でも比較的簡単に学べます。まずは変数の扱い方、データ型、条件分岐、ループ、関数などのPython基礎文法を学びましょう。
Pythonはデータ処理に優れており、機械学習や人工知能、Webアプリケーションなど幅広い分野で使われています。Pythonを学習するならセットでデータ処理の方法を学ぶとより良いです。具体的には、NumpyやPandasライブラリの使い方などが挙げられます。
Pythonは多くのライブラリがあり、その多くは無料で利用できます。機械学習ライブラリのscikit-learnやTensorFlow、WebアプリケーションフレームワークのDjangoやFlaskなどです。これらのライブラリを利用することで、効率的かつ高度なプログラム開発ができます。
一通り基礎が身についたら、Webアプリケーションや機械学習モデルを開発してみると良いです。Pythonの使い方を実践的に学ぶことができるでしょう。また、GitHubやKaggleなどのオンラインプラットフォームを利用することで、ほかの人が開発したプログラムを見られるので参考になります。
PHP
PHPとは、Webアプリケーションのサーバーサイドで動作するプログラミング言語です。Webページの生成、データベースとの連携、ファイル操作、メール送信などさまざまな処理ができます。PHPは多くのWebアプリケーションやCMSと呼ばれるコンテンツ管理システムで利用されているのも特徴です。また、PHPは簡単な文法で書かれており、初心者にも学習しやすい言語となっています。
学習・勉強の流れ
最初にPHPの文法を学習します。学習する文法は変数、条件分岐、ループ、関数、クラスなどの基本的な文法が挙げられるでしょう。次に、フレームワークを学習します。フレームワークを使えばすでに用意された機能やライブラリを組み合わせることが可能です。
結果として、効率的なWebアプリケーションの開発を可能にします。代表的なフレームワークとしては、Laravel、CakePHP、Symfonyなどが挙げられるでしょう。PHPで開発するようなWebアプリケーションにはデータベースが必要です。
PHPでデータベースを扱う方法を学習し、データの取得や更新、削除などができるとより良いです。たとえば代表的なデータベースとしてMySQLがあります。基礎的な内容が身についたら、開発を行います。実際に手を動かして開発することで、理解が深まり実践的なスキルが身につくでしょう。
C#
マイクロソフト社が2000年に独自開発したオブジェクト指向言語です。Webアプリやスマートフォンアプリ、業務用システムなど幅広く開発が可能で、汎用性が高いことが特徴です。マイクロソフト関連の開発でも多用されており高い需要があります。反面、構文が難しく初学者にはややハードルが高いといえるでしょう。C#は、ゲーム開発プラットフォームのUnityで使用されることが多いプログラミング言語です。
学習・勉強の流れ
Rubyのインストールは初心者には少しハードルが高い作業といわれます。
AWS Cloud9のようなオンラインIDE(※)を利用すると開発環境の構築に必要な手順が簡略化されるので、利用を考えてみるのも良いでしょう。
(※)IDE=統合開発環境の略。Cloud9はオンラインIDEとして、ブラウザ上でコードの記述や実行、デバッグを行うことができます。
HTML・CSS・JavaScript
Webサイトのフロントデザインに使われている言語です。HTML、CSS、JavaScriptはそれぞれ別の言語ですが、スクールでは1つのコース内でセットとして学べるものが多くあります。フロントエンドエンジニアを目指す人には必須の言語です。環境構築もプログラミング自体も学習難易度が低いので、初心者向けの言語といえます。
学習・勉強の流れ
HTML、CSS、JavaScriptと一括りに紹介しましたが、一般的な学習の流れとしては、まずHTMLとCSSを学習してその後にJavaScriptを学ぶ流れです。
そもそもWebサイトの構築にあたってはJavaScriptは必須というわけではなく、HTMLとCSSさえ理解していれば、静的なWebサイトは概ね作ることができます。そのためまずは座学でHTMLとCSSの基礎的な知識をインプットし、その後は実際に手を動かす形で既存のWebサイトの模写などを行う流れがおすすめです。
なお、Webサイト構築にあたって必須ではないものの、さまざまな機能要件が求められる現在のWebサイト制作にあたっては、実際のところJavaScriptも使われることがほとんどです。HTMLとCSSの学習がある程度進んだら、JavaScriptの学習も進めましょう。
30代未経験でプログラマーを目指すときの勉強方法
30代未経験でプログラマーを目指すには、漫然と勉強するのではなく、目標とする成果物を明確にして取り組んでいくと良いでしょう。ゴールが明確になれば、そのための必要なスキルが分かり、集中して勉強できます。本章では、30代未経験でプログラマーを目指すときの勉強方法について解説します。
関連記事:プログラマーになるには|未経験から独学で目指す方法を紹介
独学におすすめの学習サイト
アプリやWebサービスなどを使い独学でプログラミングを学ぶ方法があります。自分が効率的に学べるコンテンツを選ぶことが鍵になるため、それぞれの方法を少し試してみて自分に合った方法を見つけるのがおすすめです。
インプットだけでは知識が身につきづらく、転職のアピールとしても弱いため、実際に自分の手を動かしながら成果物を作ることを一つのゴールとして取り組みましょう。
Progate
Progateは100ヶ国以上、320万ユーザーに提供されているオンラインでプログラミングを学べるサービスです。スマートフォン向けアプリもあり、イラスト中心のスライドで分かりやすくなるよう工夫されています。移動などの隙間時間でも復習ができるといったメリットもあります。
ドットインストール
ドットインストールは3分間の動画で、初心者や独学の方でも無理なく勉強が続けられるプログラミング学習サービスです。Web制作の基礎、子供向けのゲーム制作、システム開発に使われるフレームワークやライブラリなどに関する内容も学習できます。
また、自分が学んだことを記録に残す機能もあるので、ドットインストールを通して自分の学習量や進捗を管理できるのも良い点です。
Udemy
Udemy(ユーデミー)とは、21万以上の講座があるオンライン学習プラットフォームです。学びたいユーザーは数多くの講座の中から自分に合ったものを選ぶことができます。各講座は買い切り型なので必要な出費だけで済み、一度購入した講座は何度でも観ることができるのも魅力です。また度々セールも行われている点にも注目です。
スクール
スクールは独学の弱点である「初歩的な部分でのつまずき」を講師が素早く解消してくれ、決まったカリキュラムがあることでモチベーションを落としにくいという利点があります。また、スクールによっては、アプリ開発や就職までサポートしているコースもあり、未経験者の転職において心強い味方になってくれるでしょう。
プログラマーを目指す30代がやるべきこと
プログラマーを目指す30代がやるべきことをしっかり把握することで、目標設定が明確になります。また努力の方向性を正すことにもつながり、プログラマーという目標が現実的になっていくでしょう。特に、プログラミングは知識習得だけでなく実践的なものづくりということは意識しておくのがおすすめです。ここでは、プログラマーを目指す30代がやるべきことを紹介します。
関連記事:プログラマーの志望動機の書き方を解説!例文や未経験向けポイントも
仕事を探す前にスキルを磨く
スキルを磨くことで、選択肢の幅が広がります。また求人に応募する際に自身のスキルや経験をアピールすることができ、採用担当者に良い印象を与えることができるでしょう。スキル磨きの方法は、オンライン学習サイト、書籍、セミナーや勉強会の参加、オープンソースプロジェクトへの参加などが挙げられます。
スキル磨きをすることで、自分が本当にやりたいことや、得意分野を発見することにもつながります。仕事を探す前にスキル磨きをすることで、より良い未来につながる可能性が高いです。
成果物をアピールする
成果物とは、自分がこれまでに作成したアプリケーションやWebサイトなどのことです。実務経験がなくても、成果物があれば自分のスキル証明につながるでしょう。成果物や成果物の説明資料、自分自身のスキルシートなどをまとめたものをポートフォリオと呼びます。
成果物と資料をポートフォリオという形でまとめることで、企業にアピールできます。そのほかの実践スキルのアピール方法としては、オープンソースに自分のコードを公開する、コンテストに参加する、といったものがあります。
関連記事:プログラマー転職の極意!未経験から成功する方法
未経験からプログラマーになるために身につけておくスキル
未経験からプログラマーになるためには、プログラミングに関連する知識と技術を身につける必要があります。まず、ITの基礎知識が求められるのが基本です。また、論理的思考力やコミュニケーション能力といったスキルも重要でしょう。そして、困難に立ち向かう粘り強さも不可欠です。本章では、未経験からプログラマーになるために、身につけておくべきスキルについて解説します。
関連記事:プログラマーに必要なスキル・知識とは?資格や学習方法も紹介
IT全般の基本的な知識
IT業界では、プログラミングスキルだけでなくIT全般の基礎知識を学習することが重要です。具体的には、インターネットやプログラミングの仕組みなどが挙げられます。ただしこれだけでは実務に対応できません。
Web開発では、WebサイトやWebサービスの仕組みに関する知識が必要です。AI開発では、人工知能の仕組みや人工知能にできることについて理解する必要があるでしょう。
基礎知識は分野によって異なるため、対象分野に応じて学習します。また、業務内で自然に覚えることもあるため、プログラミング言語のように長時間かけて学習する必要はありません。基礎知識の習得は、プログラミングスキル向上にもつながります。座学として学習しておくことは、今後のスキルアップにもつながるでしょう。
論理的思考力
論理的思考は別名ロジカルシンキングともいいます。プログラミングにおいては、物事を順序立てて丁寧に考え、一つひとつ構築していける能力が求められます。
たとえば、コンピューターにどのようにプログラミング言語を理解させるかを考えたとき、「言語を正しい順序で選んで組み立て、的確な指示を出す」ことが必要です。この思考があればプログラマーとして成長していけるといえます。また、チームで開発を行う際は、難しい内容をできるだけ理解しやすいように伝えることも大切です。
コミュニケーション能力
プログラマーは、常にパソコンに向かって黙々と仕事をするというイメージが強いため、「人とのコミュニケーション能力は必要ないのでは」と思いがちです。しかし、プログラマーも人とのコミュニケーション能力は必須となります。
プログラマーの仕事においては、相手が何を要求しているのかをきちんと理解することが大切だからです。また、デザイナーやシステムエンジニア、ほかのプログラマーの人たちと電話やメールを使って、コミュニケーションをとりながら作業を進めていきます。
顧客や取引先の相手と連絡をとることもあるので、円滑なコミュニケーション力、ビジネスマナーはきちんと身につけておくことが大事です。
粘り強さ
プログラミング作業においては、トラブルがつきもので「どこでエラーが起きているのか分からない」なんてことも日常茶飯事です。そういったトラブルにも徹底的に向き合い、改修していく粘り強さは必須でしょう。
またプログラミング言語は頻繁にアップデートされるため、臨機応変に対応していく能力と勤勉さも重要です。
スキル証明に役立つ資格
スキル証明に役立つ資格を紹介します。プログラマーの転職にあたって資格は必須ではなく、ここで紹介する資格すべての取得が必要というわけではありません。しかし、学んだ言語のスキル証明として活用することで、アピールポイントの1つとして自身の強みになるでしょう。ここでは、転職の際に役立つであろう4つの資格を紹介しています。
基本情報処理技術者試験
基本情報処理技術者試験は、IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)が主催するITエンジニアへの登竜門的な資格です。プログラミングのみならず、ITシステムの設計、開発、運用に関する基礎的な知識を習得できるでしょう。プログラマーとして働く上で知っておくべき知識が詰まっているので、30代未経験者は取得することをおすすめします。
Javaプログラミング能力認定試験
Javaプログラミング能力認定試験は、株式会社サーティファイが主催する、Java技術者のための認定試験です。難易度によって1級から3級に分類されており、最も難易度が高い1級には実技試験(コーディング、コンパイル、デバッグ)や仕様書の作成も含まれています。
Python試験
Python試験には複数の試験がありますが、Pythonの基礎スキルを証明するためのPython3エンジニア認定基礎試験とPythonを使ったデータ分析の基礎や方法が問われるPython3エンジニア認定データ分析試験の2つが主な試験です。どちらも選択式の問題が40問出題され、合格ラインは正答率が70%になります。
ウェブデザイン技能検定
ウェブデザイン技能検定は、ウェブデザインに関する知識やスキルを証明する国家資格です。1~3級まであり、いずれも学科・実技の両方を受けます。試験内容にHTML・CSS・JavaScriptも含まれているため、フロントエンドエンジニアを目指す30代未経験の人向けといえる試験です。
代表的なプログラマーの種類
プログラマーはいくつかの種類に分かれており、業務内容や必要なプログラミング言語もそれぞれ異なります。代表的なプログラマーの種類を紹介するので、どのプログラマーを目指すか、また、どの言語を勉強するかを考える際の参考になれば幸いです。
関連記事:プログラマーとは?仕事内容や必要なスキルをわかりやすく解説
Web系プログラマー
Web系プログラマーは、WebサービスやWebアプリケーションを動かすためのプログラミングを行います。基本的にブラウザ上で動作するサービスやアプリケーションが対象になり、Webに強い興味のある方におすすめです。
フロントエンド(ブラウザ側)ではJavaScriptが使用され、サーバーサイドではPHP、Ruby、Pythonなどの言語が使用されます。
組み込み系プログラマー
組み込み系プログラマーは、電子機器・設備を制御し動かすためのプログラミングを行います。洗濯機やテレビなど身近な家電製品の動作もプログラムが組み込まれることで動いており、古くから存在し今後の需要も安定していることが予想される職種です。
主にCやC++、アセンブラなどの言語が使われていますが、いずれもプログラミング未経験者にとって学習難易度が高いです。ある程度まとまった勉強時間を確保する必要があるでしょう。
アプリケーションプログラマー
アプリケーションプログラマーは、スマートフォンやタブレット端末、PCにおける特定のOSやハードウェアで動くアプリケーションのプログラミングを行います。Web系プログラマーやゲームプログラマーと混合されやすい職種ですが、Webブラウザ上で動くアプリケーション以外、ゲーム以外のアプリケーションは基本的にアプリケーションプログラマーの領域といって良いでしょう。
iOSであればSwiftやObjective-C、AndroidであればJavaやKotlinなど、OSやハードウェアによって使われている主流な開発言語は異なります。
ゲームプログラマー
ゲームプログラマーは家庭用ゲームやPC・スマートフォン向けゲームアプリケーションを動かすためのプログラミングを行います。キャラクターや背景の動きの制御、BGMや効果音の切り替えなどゲーム内部の処理は基本的にゲームプログラマーが行っているといえるでしょう。
これまでのゲーム開発現場ではCやC++が使われることが多く、最近ではUnityというゲーム開発用エンジンが使われることが増えました。
汎用系プログラマー
大規模な基幹システムのことを「汎用系システム」と呼びます。この汎用系システムの開発・プログラミングに携わるのが、汎用系プログラマーです。
言語としてはCOBOLが多く使われているほか、FORTRANやRPGといった他領域ではあまり使われない言語も使われることがあります。現在の時流として汎用系システムからオープン系システムへ移行する動きも強くなっており、汎用系プログラマーを目指すかどうかは業界の動向も見極めつつ検討することがおすすめです。
未経験可のプログラマーの求人例をチェック
紹介した主要なプログラマーの各種類について、それぞれレバテックキャリアの内容をもとに未経験可の求人例を紹介します。想定年収には幅があり、未経験の場合は低めになりますがスキルアップに応じて年収は上がっていくでしょう。実際の求人例を見て習得するスキルを選定することも重要です。ぜひ参考にしてください。
関連記事:プログラマーへの就職!就職先別の仕事内容や年収など実情を紹介
Webプログラマーの求人例
以下は、Webプログラマーの求人例になります。
【想定年収】
300~700万円
【業務内容】
・Webサービスのフロントエンド開発
・BtoCスマートフォンアプリ開発
・CMS構築
・UI設計
【求められるスキル・経験】
解析ソフト(R、SPSS、SASなど)の使用経験、マーケティング知識、論理的思考
【応募条件】
・Webサービスの開発実務経験(JavaScript、PHP、Rubyなど)
※業界未経験でも、学校などでプログラミングを学ばれた方
・キャリアアップしたい方
・自身の可能性を追求したい方
・コミュニケーションを取れる方
・チームワークを重視する方
・チャレンジ精神のある方
組み込み系プログラマーの求人例
以下は、組み込み系プログラマーの求人例になります。
【想定年収】
300~700万円
【業務内容】
・マイコンソフトウェア設計
・マイコンハードウェア設計
・デジタル/アナログ混載回路設計
・FPGA/ASIC回路設計
・基板パターン設計など
【主な開発実績】
・車載用オーディオ
・車載用TVチューナー
・証明写真機
・FA制御機器
・家電AV機器
【応募条件】
以下のスキルや経験
・基本的なパソコン操作(Word、Excel)
・ソフトウェア開発
・何らかの設計
・学校での何らかの研究開発
・アウトソーシングでの勤務
以下のマインド
・コンピュータに興味がある
・モノづくりに関心がある
・ものごとの仕組みをイチから考えるのが好き
・英語や中国語をマスターしたい
アプリケーションプログラマーの求人例
以下は、アプリケーションプログラマーの求人例になります。
【想定年収】
264~300万円
【業務内容】
・システムの設計/開発/テストなどの一連の工程
・Webのアプリケーション開発
【プロダクトの例】
・交通系決済の決済データ集約システム
・保険の営業用ツール
【応募条件】
経験
・社会人としての就労(1年以上)
スキル
・ひと通りのPC操作
・タッチタイピング
マインド
・自らの成長に向けトライできる方
・チームを優先しながら働くことができる方
ゲームプログラマーの求人例
以下は、ゲームプログラマーの求人例になります。
【想定年収】
400~600万円
【業務内容】
各種モバイル向けのソーシャルゲーム開発および他社ゲームの運営フェーズの開発
・性能管理 (負荷状況分析、パフォーマンスチューニング、費用対効果最大化)
・障害対応 (検知〜復旧、原因分析、再発防止策実施)
・設計
・開発
・施策の効果検証
・コードレビュー
【開発環境】
・ブラウザタイトル
すべてLinux,Apache,MySQL,PerlなどのLAMP環境
・アプリタイトル
Unity(C#)
Cocos2d-x(C++)
【応募条件】
経験
特になし
仕事へのマインド
・自らサービスを考え「自分のサービス」をつくる意欲
・自発的に業務を推進する能力
・論理的思考力
・成長意欲
・エンジニアという職種の枠にこだわらず成長する視野
汎用系プログラマーの求人例
以下は、汎用系プログラマーの求人例になります。
【想定年収】
350~700万円
【業務内容】
大手通信事業者の基幹システム
・設備保全システムの要件定義
大手自動車メーカーのグループ会社共通基盤設計
・要件のすり合わせ、調整を含む基本設計
【開発環境】
言語
Java/C言語/C#/C++/VB/VC#/VC++/COBOL/PHP/Delphiなど
開発対象
オープン系/Web系/スマホアプリ/クラウド/汎用系/組込系/制御系など
【応募条件】
・何かしらの開発経験
※実務経験がなくても知識をお持ちであれば歓迎
・IT業界において継続的にキャリアを積みたい方
・新たな知識を習得し、エンジニアのプロとして理想を追い求めたい方
・積極的にスキルアップできる方
・バイタリティのある方
・キャリアパスがハッキリしている方
・今後自信をつけたい方
・実績を作りたい方
・新しい環境でこれまでの経験を活かしたい方
※ITエンジニアとしてスキルアップしたい方など、人物や意欲を重視
30代プログラマー未経験者に関するよくある質問
30代でプログラマー未経験の方が感じやすいよくある質問とその回答を紹介します。知っておくことで、現実的な目標設定をしやすくなるでしょう。年収やスキルレベルなどについて知り、自分自身の現状や可能性を把握し、目標を設定してください。
また30代からでもプログラマーになれると再認識し、自信を持つことも重要です。自信を持ってプログラミングを学ぶことで、スキル習得も加速するでしょう。
Q1. 30代でプログラマーを目指すのは遅いですか?
30代以降にプログラマーになる人は多いです。プログラマーになるために必要なスキルを身につけ、熱意を持って取り組むことができれば、年齢は関係ありません。
多くの企業では、多様性を重視し経験豊富な人材を求めています。30代以降でプログラマーになることは、むしろ大きなアドバンテージになる可能性もあるでしょう。
Q2. 30代未経験からプログラマーになった場合、年収はいくらですか?
厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると、企業規模やポジションによって異なりますが、目安としては最初は300〜500万程です。スキル次第では早期の昇給も見込めますが、最初のうちは前職よりも年収が下がってしまう可能性があるため、これからプログラマーを目指すという方は注意しましょう。
関連記事:プログラマーで年収1000万円を目指す方法とは?
Q3. 30代後半ですがプログラマーを目指すのは無理でしょうか?
「35歳の壁」という言葉もありますが、慢性的な人材不足に悩まされているプログラマーは30代後半からの転身でも十分チャンスがあるでしょう。ただし20代や30代前半の未経験と比べられると不利は否めないので、学習による成果物など「武器」を用意しておくことをおすすめします。
Q4. 女性でも30代未経験からプログラマーを目指せますか?
一般社団法人情報サービス産業協会が発表したJISA基本統計調査2023によると、2023年時点でITエンジニアのうち15.8%が女性です。必要なスキルを身に付けておけば30代からでも目指せることから、女性の30代未経験者でもプログラマーを目指すことは可能でしょう。
関連記事:女性プログラマーが増加している理由や働くメリットを解説
まとめ
この記事では、30代未経験者がプログラマーに転職するメリットやデメリット、勉強方法、学ぶべき言語について解説しました。人手不足にあえぐIT業界でも、年齢によるハンディキャップは存在します。
特に30代は、自分への投資を怠らず、適性や言語を見極めながら自己研鑽を続けることが大切です。30代未経験での転職は、時間が経つほどハードルが高くなります。少しでも早く実務経験を積み、経験と実績の蓄積に注力していきましょう。
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