ITエンジニアの転職市場状況
スマートフォンの普及や企業のDX化の推進による影響で、IT業界は常態的に人手不足が叫ばれていますが、実際の状況はどうなのでしょうか。本章では、ITエンジニアの転職市場状況を政府の統計データなどをもとに解説します。
経済産業省に所管される独立行政法人情報処理推進機構が発表したDX白書2023を確認すると、ITエンジニア人材が不足していることが分かります。
「事実戦略上、変革を担う人材の「量」の確保」では45.2%の企業が「やや不足している」、30.8%の企業が「大幅に不足している」と回答しています。また「AI技術の活用状況」では「AI人材が不足している」と回答した企業が55.8%でした。
このように、各業界のIT人材は不足しており、企業はこれらを解決する人材を求めていることが分かります。
引用元:『DX白書2023』情報処理推進機構
ITエンジニア転職のメリット・デメリット
ITエンジニアへの転職を考える際、そのプラス面とマイナス面を事前に理解しておくことが重要です。他の職種と比較して、ITエンジニアの転職には明確なメリットとデメリットがあります。
ITエンジニアへの転職を成功させるためには、これらの要素を十分に把握しておくことが欠かせません。本章では、ITエンジニア転職のメリット・デメリットについて解説します。
転職のメリット
ITエンジニアへの転職には、複数のメリットが考えられます。主なメリットとしては、年収アップや職域やスキルの幅が広がる可能性が期待できます。
また、新しいことにチャレンジできる点も大きな魅力のひとつです。さらに、ライフワークバランスが向上する可能性も見逃せません。以下では、ITエンジニアに転職することで得られるこれらのメリットについて、詳しく解説していきます。
年収アップの可能性
幅広い技術領域の経験やAIなど市場価値が高いスキルを身につけていれば、現在よりも年収がアップする可能性があります。
関連記事:ITエンジニアの平均年収とは?年収を上げるためのポイントも解説
職域やスキルの幅が広がる
同じ言語を使用する案件であっても、担当する職域や開発内容は企業によってさまざまです。今の仕事に物足りなさを感じている方は、転職することで職域やスキルを広げやすくなるでしょう。
新しいことにチャレンジできる
ルーティンワークが増えてくると、勤続年数が長くなってもなかなか新しいことにチャレンジする機会に恵まれない場合もあります。異動制度や、スキルアップ支援制度が充実している企業、社内プロジェクトが活発な企業などに転職することにより、成長の機会を得られる可能性があります。
ライフワークバランスの向上
長時間勤務の常態化や子育て、介護などライフステージの変化などにより、ライフワークバランスの改善を求めるITエンジニアも多いかと思います。改善できるかは会社の制度や文化によりますので、自分が望む働き方ができる会社に転職することでライフワークバランスの向上が見込めるでしょう。
転職のデメリット
ITエンジニアへの転職にはメリットがある一方で、考慮すべきデメリットも存在します。例えば、入社してみないと分からない面が多いことが挙げられます。
また、事前に知らされていた求人条件と相違が生じる可能性も無視できません。さらに、人間関係の構築や入社した会社の文化へ適用する必要があることも、デメリットといえるでしょう。以下では、ITエンジニアへの転職に伴うこれらのデメリットについて、詳しく解説していきます。
入社してみないとわからないこともある
いくら転職市場を精査してから転職しても、人間関係や職場環境、取り組む案件の詳細など、実際に入社してみないとわからない部分は必ずあります。イメージと齟齬が発生しないよう、事前に人間関係や制度、入社後の配属先、携わる業務などを確認して少しでも多くリスクヘッジしておくことが重要です。
事前に知らされていた求人条件と相違が生じる場合がある
転職におけるトラブルで多いのが、求人条件との相違によるものです。求人媒体に掲載されている情報から得られる情報には限りがありますので、面接で制度や勤務時間・業務内容などについてはできるだけ確認しておくことが重要です。
人間関係の構築や入社した会社の文化へ適応する必要がある
転職は環境をリセットすることができる反面、新しい会社での人間関係の構築や業務スタイルへ適応していくことが求められます。新しい環境への順応はそれなりに力がいることを覚悟しておいた方が良いでしょう。
ITエンジニアの転職が成功しやすいタイミング
ITエンジニアへの転職を成功させるためには、適切なタイミングが重要です。一般的な転職活動のタイミングとしては、年度末と上半期終了時が挙げられます。また、10〜12月もITエンジニアの転職が成功しやすいタイミングです。本章では、これらのITエンジニアの転職が成功しやすいタイミングについて詳しく解説します。
年度末と上半期終了時
ボーナスに合わせて退職する人が多い日本では、2〜3月や9〜10月頃に退職者が増加する傾向にあります。特に日本ではこちらの傾向が顕著にでているため、多くの企業で中途採用が行われやすいです。求人が増えればそれだけ市場価値が上がるため、目的の企業に入りやすくなるでしょう。
10〜12月
外資系企業の場合、新年度の1月に向けて10月〜12月に採用する企業が多いため、10〜12月も狙い目です。希望の企業が外資系の場合、10月に向けて準備するといいでしょう。
ITエンジニア転職の流れ
ITエンジニア転職の流れはある程度固定されています。ここからは、一般的なITエンジニアの転職の流れを確認しましょう。一般的に、ITエンジニアは以下のプロセスを踏みます。
-
プロセス1:転職の目的を明確にする
プロセス2:自分のスキルや経験の棚卸しをする
プロセス3:転職市場をリサーチする
プロセス4:応募書類を作成する
プロセス5:面接対策をする
プロセス6:内定がきまったら入社の準備をする
本章では、これらのITエンジニア転職の流れを各プロセスごとに解説します。
関連記事:ITエンジニアになるには?必要なスキルや未経験者の転職方法を解説
プロセス1:転職の目的を明確にする
自分が何のために転職するのかをまず明確にします。なんとなく今の職場をやめたいから、といった漠然とした理由で転職活動を行うと、採用担当者にもその考えは伝わってしまいます。転職活動の緻密なプランを立てるには、明確な目標設定が必要不可欠です。
プロセス2:自分のスキルや経験の棚卸しをする
慌ただしく日々の実務に取り組んでいると、自分が持っているスキルや経験の全体像が分からなくなりがちです。転職活動をするのなら、まず一度時間を作って自分自身のキャリアすべてを俯瞰して、スキルや経験を整理します。できれば紙に書きだしたりExcelなどでまとめたりするのが良いでしょう。
プロセス3:転職市場をリサーチする
どのような企業が、どのような人材を求めているのか転職市場をリサーチします。上記で棚卸した自分のスキルや経歴、そして転職の目的を踏まえて、応募すべき企業をピックアップしていきます。
プロセス4:応募書類を作成する
応募先が決まったら書類作成です。書類選考を通過しないと面接にはたどり着けませんので、自分自身をセールスするつもりで時間と手間をかけて、ベストな応募書類を作成することがポイントです。
汎用的なものを作成するのではなく、きめ細かく訴求できるように応募先企業によって内容を調整することをお薦めします。
関連記事:ITエンジニア向け志望動機の書き方とは?【職種別例文あり】
プロセス 5:面接対策をする
採用担当者と対面する面接は、転職活動において採否を分ける最も重要なプロセスです。何の準備もなしに挑むのではなく、どのような質問が来ても困らないように企業研究を行ったり、スピーチ練習をしたりするなど十分に対策してから望みましょう。面接で聞かれるポイントはある程度決まっています。後述していますので参考にしてください。
プロセス 6:内定が決まったら入社の準備をする
内定が決まったら、各種手続きや引き継ぎのための職務の棚卸、引き継ぎ作業など、新しい就業先への入社準備を行います。入念に準備を行うことで、不慣れな新しい環境により早く適応できるようにするのが目的です。
前職の在籍中に転職活動を行ったのなら、引継ぎや挨拶など必要なプロセスを踏んで円満退社を目指しましょう。
ITエンジニアの転職先の選び方(業界内)
ITエンジニアの転職先は、大きく分けて5つに分類できます。まず、大手SI企業(外資系を含む)や中小SI企業が挙げられます。
次に、インターネット企業も人気の転職先です。また、ベンチャー企業を選ぶITエンジニアも少なくありません。さらに、事業会社のシステム部門の社内SEを目指す方もいます。本章では、ITエンジニアの転職先の選び方について解説します。
大手SI企業(外資系を含む)
基本的にSI案件は、大手IT企業が受注して、要件定義や基本設計を行った後、開発以降の工程は外部の開発会社に依頼することが多いです。いわゆる元請けですので、利益の確保ができており、労働時間や報酬、福利厚生などが整っています。
また、数千万円から数億円規模の比較的規模の大きい案件の上流工程に携われるという面も魅力です。自社プロダクトの部門に配属されれば、製品の企画から携わることも可能です。
中小SI企業
中小IT企業は自社開発を行う企業もありますが、大手IT企業から依頼された案件の開発工程を担当したり、人的リソースの支援を行ったりするケースが多いでしょう。特定の技術領域に強みを持っている企業も多くありますので、技術志向の人やプログラミングをメインに行いたい人には向いている環境と言えます。
インターネット企業
インターネット企業とは、インターネット広告やEコマースなど、インターネット関連のサービスを提供する企業を言います。このような企業は、自社製品の開発やお客様のシステム開発、運用保守まで幅広くITエンジニアが携わる業務があります。
また、洗練されたオフィスで、かつ福利厚生や年収など採用条件が優れている企業が多いため、転職先として人気の業界です。AIやIoT、AR・VRなど、最先端の技術を使った開発も活発ですので、このような環境で働きたい人に向いています。
ベンチャー企業
機械学習やディープラーニングを用いたサービスなど、まだ世の中にない新しいITサービスを開発するベンチャー企業も転職先の選択肢となります。このような企業は、大手企業のように福利厚生が整っている企業は少ないですが、先進的な社風や制度、おしゃれなオフィスなどが特徴です。
意思決定のスピードも速く、個人に与えられる裁量も大きい傾向にあるため、若手や勤続が浅い社員でも、やりがいや責任感のある仕事に取り組むことができるのがメリットです。
待遇面は企業によりますが、成果を出せば高い報酬が得られたり、上級職を狙いやすかったりするのもベンチャー企業特有の特徴でしょう。ただし、人事制度が整っていない企業もありますので、応募する際にはよく調べることが重要です。
事業会社のシステム部門(社内SE)
社内SEは、大手SI企業やインターネット企業に勤務するよりは年収は低くなりがちですが、所属先企業に腰を据えて働くことができ、ライフワークバランスも比較的とりやすい傾向にあります。
企業によっては、プログラミングスキルからサーバースキル、ネットワークスキルまでゼネラリスト的な要素が求められたり、企画やベンダーコントロールに携わったりするなど、ITエンジニアとは異なったスキルが必要な場合もあります。企業によっては、要件定義よりさらに上の工程であるIT企画から携われることもあります。
ITエンジニアの転職に必須の職務経歴書の書き方
ITエンジニアの転職では、自身のスキルと経験を効果的にアピールするため、職務経歴書の書き方を工夫する必要があります。重要なポイントとして、経験した業界や案件について明確に記載することが挙げられます。
また、経験した案件でのポジションを明記することも欠かせません。さらに、習得したテクニカルスキルや使用経験のある開発環境を明記するといいでしょう。本章では、ITエンジニアの転職に必須の職務経歴書の書き方について解説します。
関連記事:ITエンジニア・クリエイターの履歴書作成マニュアル【テンプレート付き】
経験した業界を明記する
採用担当者が知りたいのは自社の開発案件に近い経験があるかどうかなので、取り組んできた業界について明確に記す必要があります。特に、金融系IT企業や事業会社は業界の経験を重視する傾向があります。アピールするというよりは、正確に記載することが重要です。
経験した案件の概要(目的や開発システムの内容など)を明記する
職務経歴書の開発経歴には、下記項目をわかりやすく記載する必要があります。
-
・どのような規模のプロジェクトか
・どのような内容のプロジェクトか
・プロジェクトの期間
書類に初めて目を通す採用担当者に内容が伝わるよう、具体的かつ簡潔に記載し、読みやすいように表組みを使用するなど、見せ方も工夫すると良いでしょう。
経験した案件でのポジション(自分の役割)を明記する
どのようなポジションで業務に携わってきたかも、採用担当者が知りたい重要な情報です。採用担当者は、自社で想定しているポジションに応募者が合うか判断します。よって、以下の項目を必ず明記しましょう。
-
・担当した業務や役割
・工夫した点や成果
開発スキルだけではなく、プロジェクトの管理を行ったり業務改善を行ったりしたことがあれば、立派なアピールになります。
保有するテクニカルスキルと開発環境を明記する
OS・開発言語・フレームワーク・工程などを項目ごとにスキルレベルと使用期間をセットにしてまとめます。採用担当者がスキルレベルを判断できるよう、開発した機能内容などを具体的に書くと良いでしょう。
また、資格を保有しているのであれば、資格名と取得年度を明記します。Oracle資格など、知識とスキル体系がバージョンアップされていく資格は、どのバージョンか採用担当者は見ますので明記しておきましょう。
ITエンジニアが転職を成功させるための面接ノウハウ
ITエンジニアが転職を成功させるためには、面接での印象が大きく影響します。面接を突破するには、採用担当者が求める情報を的確に伝えることが重要です。
一般的なエンジニアの面接時に聞かれる主なポイントを理解することで、転職を成功させる可能性が高まります。本章では、ITエンジニアが転職を成功させるための面接ノウハウを解説します。
関連記事:ITエンジニアの面接質問集42選!各種回答例を紹介
面接で質問される主な内容
面接を突破するには、採用担当者が知りたい情報へ的確に回答することが鍵となります。一般的なエンジニアの面接時に聞かれるポイントを踏まえて説明します。
関連記事:ITエンジニアの採用面接 - 自己紹介で見られるポイント【例文付き】
志望意欲(やる気)
志望動機や意気込みは面接でよく質問される項目です。志望動機や意気込みから、自社が期待する人材であるかを確認したいからです。特に、若手社員の採用の場合では、社員の自発性が今後の成長に大きく寄与することから志望動機を重視する傾向にあるようです。
職務経歴
ITエンジニアに限らず、中途採用の面接で職務経歴は必ず説明を求められます。これまで取り組んできたことや、結果を出すために工夫したことや努力したことを素直にPRすると良いでしょう。
得意な言語や開発環境、強み
採用担当者は、自社と転職希望者のスキルや開発環境、得意分野などができるだけマッチする人材を採用したいと考えています。齟齬が無いように正確に伝えることが、結果的に満足度の高い転職の実現につながっていきます。
経験した開発内容の詳細
言語や環境について自社にマッチングする人材であると判断された場合に、更にマッチングの精度を高めるために説明を求められる場合が多いです。どのようなプロジェクトに、どのようなポジションで参加して、どのような開発を行ったのか要点を説明できるようにしておくと良いでしょう。
失敗体験
あまり説明したくない項目かもしれませんが、企業が失敗体験を確認する場合は、失敗した場合にどう対処するのか、もしくは失敗を繰り返さないためにどういう取り組みをするのかという点を知りたいと考えています。論理的かつ前向きな回答ができるように準備しておきましょう。
転職理由
転職理由は、どの企業も重視する項目です。たとえ本音がネガティブでも、そのまま伝えるのは得策ではありません。嘘をつく必要はありませんが、キャリアアップなど前向きな理由にすることが大切です。
例えば、ワークライフバランスの不満を理由とする場合、生活環境の変化という観点から説明すると好印象です。体調面が理由の場合は、企業側も理解を示しやすいですが、回復済みであることを強調しましょう。
会社の将来性への不安については、事実のみを述べ、より可能性のある環境で貢献したい意欲を伝えるのが効果的です。やりたい仕事への希望は、自己分析で強みや価値観を明確にしてから伝えましょう。
また、待遇面の不満については特に慎重に伝える必要があります。給与ではなく、適切な評価や自身の能力に見合う環境を求めている点をアピールすることが重要です。
今後のキャリアプラン
今後のキャリアプランについても面接前に必ず整理しておきましょう。採用担当者が応募者のキャリアプランと自社の組織計画の適合性を判断するために重視する情報ですので、聞かれた時に分かりやすく説明できるよう準備しておくことが肝要です。
面接官がIT技術力以外で見ているポイント
ITエンジニアの採用面接では、IT技術力だけでなく多面的な評価が行われます。例えば、応募者のプレゼンテーション力の有無が見られます。
また、技術に対する熱意や探求心も重要な判断材料です。さらに、困難に立ち向かう忍耐力や仕事に対する責任感も評価されます。以下では、面接官がIT技術力以外で見ているポイントについて解説します。
プレゼンテーション力の有無
エンジニア職であれば、セミナー登壇やスピーチをするのではないのですから、営業職のように流暢に話せる必要はありません。細かい仕様を調整しながら開発を進めてゆくITエンジニアは、必要なポイントを上手くまとめて、わかりやすく伝えらえる能力を持っているかを確認される場合があります。セールスエンジニアなどの技術営業職であればかなり重視されます。
技術志向性の高さ
ITエンジニアは技術職です。特にIT業界においては日々目覚ましく進化してゆく技術に対応する必要があるため、技術探求心を持っている人材であることは重要です。
単に「興味があります」といった回答をするのではなく、セミナーや技術的コミュニティに参加しているなど、普段から技術を追求するために行っている方法を具体的に伝えることが大切です。
忍耐力の高さ
要件定義など、まだ見えていないお客様の要件を引き出すような難しい仕事や、緊急度が高い障害対応など、多少の負荷がかかる仕事でも耐えうる忍耐力を持っている人材であるかを確認される場合があります。企業は一度入社した社員には長く働いてもらいたいと考えていますから、少々の困難でも折れない忍耐力がある人材を企業が欲しがるのは必然です。
責任感の有無
プロジェクトはコストと工数を見積もって、スケジュールに従って進めてゆくものですから、責任感を持って取り組める人材であることは大前提です。
ITエンジニア年齢別転職ポイント
ITエンジニアの転職において、年齢は重要な要素です。各年代で重視されるポイントが異なるため、応募者のアピール方法も変わってきます。
20代では技術力に加え、ポテンシャルが重視されます。30代になると、チームを率いる能力が求められるでしょう。
また、40代以上の場合は経験や実績のアピールが欠かせません。本章では、20代、30代、40代以上の各年代における、ITエンジニアの転職成功のポイントについて詳しく解説していきます。
20代の場合
20代で転職する場合は、スキルだけでなくポテンシャルを重視されます。そのため、学習意欲や向上心をアピールすることで転職の成功率が上がるでしょう。
また、第2新卒と呼ばれる26歳前後で転職する場合、ビジネスマナーなど社会人の基本を身につけているのが前提になります。面接時や待合時間も見られているという意識を忘れないようにしましょう。
30代の場合
30代で転職する場合は業界や業種によってプロジェクトリーダーなどを任される年齢のため、技術力だけでなくマネジメントスキルを見られるようになります。
特に30代後半の場合、管理職として求人を出される機会も増えるため、社員を牽引する姿勢を見せるといいでしょう。
また、ITスキルは前提として求人が出されることが多いため、30代で未経験転職するのは厳しくなってきます。IT企業を目指したい方は20代で挑戦すると成功率が上がるでしょう。
40代以上の場合
40代以上で転職する場合、スキルだけでなく経験のアピールが重要になります。40代以上となると社会人歴が20年を超えてくるため、同年代で比較しても大きな差が生まれています。いかに豊富な経験を積んでこれたかをアピールすることで転職の目的を達成できるでしょう。
ITエンジニアの転職に役立つ資格
自身の目指している職種に合った資格を取得することで、転職は有利に進みます。ITエンジニアの転職に役立つ資格は、以下の表の7つの資格です。いずれも難易度の高い資格ですが、取得することで大きな味方になりますので、転職前に挑戦してみましょう。
資格名 | 運営 | 出題内容 | 対象者像 |
---|---|---|---|
システムアーキテクト試験 | IPA(独立行政法人) 情報処理推進機構 |
システムアーキテクトに関する知識・技能 | システム設計や運用に携わる技術者 |
ネットワークスペシャリスト試験 | IPA(独立行政法人) 情報処理推進機構 |
ネットワークに関する知識・技能 | ネットワーク構築や運用に従事する技術者 |
データベーススペシャリスト試験 | IPA(独立行政法人) 情報処理推進機構 |
データベースに関する知識・技能 | データベース設計や運用に関わる技術者 |
クラウド関連の試験 (AWS、GCP、Azure) |
各クラウドプロバイダ | クラウドサービスに関する知識・技能 | クラウド技術の専門知識を持つ技術者 |
情報処理安全確保支援士試験 | IPA(独立行政法人) 情報処理推進機構 |
セキュリティに関する知識・技能 | 情報セキュリティ対策や監査に従事する技術者 |
ITストラテジスト試験 | IPA(独立行政法人) 情報処理推進機構 |
IT戦略に関する知識・技能 | IT戦略企画や経営戦略に携わる技術者 |
プロジェクトマネージャ試験 | IPA(独立行政法人) 情報処理推進機構 |
プロジェクト管理に関する知識・技能 | プロジェクトマネジメントを担当する プロフェッショナル |
関連記事:ITエンジニアにおすすめの資格30選!分野別に難易度も解説
システムアーキテクト試験
システムアーキテクト試験とは、情報処理推進機構(IPA)の実施する国家試験です。ITSSレベル4に分類される高難度試験のひとつで対象者像を「高度 IT 人材として確立した専門分野をもち、IT ストラテジストによる提案を受けて、情報システムを利用したシステムの開発に必要となる要件を定義し、それを実現するためのアーキテクチャを設計し、開発を主導する者」と定められています。
試験内容は情報システム戦略を具体化するためのシステム設計に関する知識や要件定義、設計のスキルが要求されます。
ネットワークスペシャリスト試験
ネットワークスペシャリスト試験とは、情報処理推進機構(IPA)の実施する国家試験です。ITSSレベル4に分類される高難度試験のひとつで、情報セキュリティを含む情報システムの企画・要件定義・開発・運用・保守への技術支援を行う人が対象です。
試験内容はネットワークシステムの企画から構築、運用・保守に関する知識が要求されます。
データベーススペシャリスト試験
データベーススペシャリスト試験とは、情報処理推進機構(IPA)の実施する国家試験です。ITSSレベル4に分類される高難度試験のひとつで対象者像を「高度 IT 人材として確立した専門分野をもち、データベースに関係する固有技術を活用し、最適な情報システム基盤の企画・要件定義・開発・運用・保守において中心的 な役割を果たすとともに、固有技術の専門家として、情報システムの企画・要件定義・開発・運用・保守への技術支援を行う者」と定められています。
試験内容はデータベースに関係する固有技術を中心に、企画から要件定義、開発から運用・保守まで幅広い範囲から出題されます。
クラウド関連の試験(AWS、GCP、Azure)
主要なクラウドサービスはいずれも認定試験を行なっています。クラウドシェア上位3つの試験に挑戦することで、多くの企業にアピールできるスキルを証明できるでしょう。
最もシェア率の高いAWSはAmazonの運営するサービスです。AWSでは、AWSの知識やスキルを問うAWS認定があります。資格レベルは4つ設定されており、最上位のレベルはITSS4に該当します。
GCPはGoogleの運営するサービスです。GCPに関する資格は、Google Cloud 認定資格があります。こちらもAWS同様さまざまな資格試験を運用しています。
AzureはMicrosoftの運営するサービスです。Azureに関する資格は、マイクロソフト社が運営するMicrosoft Azure認定資格があります。こちらもさまざまな専門分野システムをAzureで構築する場合の知識が問われます。
いずれの資格試験も各専門分野に特化した資格が用意されています。AIエンジニアなら機械学習系の資格、セキュリティエンジニアならセキュリティ系の資格と、自身の職種に合わせて取得するといいでしょう。
情報処理安全確保支援士試験
情報処理安全確保支援士試験とは、情報処理推進機構(IPA)の実施する国家試験です。ITSSレベル4に分類される高難度試験のひとつで、サイバーセキュリティの専門家に向けた資格試験です。
試験内容は情報セキュリティマネジメントに関する出題からシステム利用におけるセキュリティ対策まで広く出題されます。
ITストラテジスト試験
ITストラテジスト試験とは、情報処理推進機構(IPA)の実施する国家試験です。ITSSレベル4に分類される高難度試験のひとつで、情報技術(IT)を活用して企業における事業や経営に際して、より良くするための基本戦略を策定・提案・推進する者が対象です。
試験内容はITサービス企画に関する内容から下位者を指導するための必要知識まで多岐に渡ります。
プロジェクトマネージャ試験
プロジェクトマネージャ試験とは、情報処理推進機構(IPA)の実施する国家試験です。ITSSレベル4に分類される高難度試験のひとつで、システムの開発において、プロジェクトのマネジメントをする者が対象です。
試験内容はシステム開発に関するプロジェクトの目的を実現するためのメンバーマネジメントや業務分担、役割の指導に関する知識など多岐にわたります。
ITエンジニアが転職に失敗しないためのコツ
ITエンジニアが転職を成功させるためには、いくつかのポイントを押さえる必要があります。例えば、過去の失敗事例を学ぶことで、転職後のミスマッチを回避できるかもしれません。
また、成功のためのコツを把握すれば、転職の成功確率を高められるでしょう。本章では、ITエンジニアが転職に失敗しないためのコツについて解説します。
ITエンジニアの転職失敗事例
転職活動において、過去の失敗事例から学ぶことは非常に有益です。もちろん、ITエンジニアの転職でも例外ではありません。
ITエンジニアの転職失敗事例としては、思ったのと違う仕事を任されてしまうことや、スキル不足でついていけないなどが挙げられます。また、面接で聞いていた内容と実態が異なることもあるでしょう。以下では、ITエンジニアの転職失敗事例を3つご紹介します。
思ったのと違う仕事を任される
企業や業界をしっかり研究しないまま転職すると、思っていたのと違う仕事を任されてしまう場合があります。転職する際は企業の口コミなど実際に働いている人の声を集めて、求人票の情報以外も確認しましょう。
スキル不足でついていけない
企業が募集要項で示しているスキルに満たないまま応募してしまうと、転職は失敗しやすくなります。大幅に不足していれば選考が通らず、なんとか内定を獲得しても仕事についていけず理想の働き方とはほど遠くなるでしょう。
まずは自身のスキルレベルにあった企業に応募し、地道に市場価値を上げてみてはいかがでしょうか。
面接で聞いていた内容と実態が異なる
転職では、面接時に聞いていた内容と実態が異なる場合があります。例えば「面接で聞いた平均残業は会社全体の残業時間で、所属している部署の平均残業時間と大幅に異なっていた」といったケースもあり得ます。
特にエンジニアは残業時間が長い傾向にあるので、必ずエンジニア単体、もしくは所属する部署の平均残業時間を確認しましょう。
ITエンジニアが転職に失敗しないためには
ITエンジニアの転職を成功に導くには、いくつかのポイントがあります。まずは、自分のやりたい仕事を明確にしておくことが重要です。また、最低限のスキルを習得することも欠かせません。
さらに、自身の実力をアピールするためのポートフォリオ作成も大切な準備のひとつです。そして、転職サイトや転職エージェントの活用は、成功の可能性を高める有効な手段となります。以下では、これらのポイントを詳しく解説します。
自分のやりたい仕事を明確にしておく
転職活動において、自分のやりたい仕事を明確にしておくのは非常に重要です。自分のやりたいことに沿ったキャリアプランを設定してから転職活動を行いましょう。キャリアプランを設定すると今学ぶべきことが分かり、正しい方向の努力ができます。
最低限のスキルは身につけておく
求人に未経験歓迎と書かれてたからといって、入社前の努力を怠ってはいけません。転職先の研修についていけるように、最低限の基礎スキルは確保しておきましょう。転職先の研修についていけず、再度転職活動が必要になるケースもありますので、余裕を持って取り組むことがおすすめです。
関連記事:IT技術者(ITエンジニア)に必要なスキルとは?
ポートフォリオを作成する
ITエンジニアへの転職を目指す方には、スキルアップと並行してポートフォリオの作成をおすすめします。転職活動向けのポートフォリオは、Webアプリやスマホアプリ、プログラミングコードの公開、技術ブログの執筆などが挙げられます。
特にアプリをリリースする際は、ダウンロード数やユーザー評価など、具体的な数字で実績をアピールできるよう心がけましょう。また、ポートフォリオに関する質問に自信を持って答えられるよう、各プロジェクトの詳細を把握しておくことが重要です。
転職サイトを活用する
ITエンジニアの転職活動では、転職サイトを活用することが重要です。転職サイトは職種や地域、年収など、詳細な求人検索が可能で、希望する条件の求人情報を知ることができます。
また、複数の求人を比較検討できるため、自分に最適な企業を見つけやすくなります。さらに、転職市場の動向や業界の最新情報を得るために役立つ点もメリットです。
転職エージェントを活用する
一人で転職できそうなケースでも転職エージェントの活用は非常におすすめです。転職活動のプロの意見を取り入れて、履歴書の改善や面談対策が期待できます。
また、ITエンジニアの転職の場合、既に志望企業に内定者を輩出していることもあります。過去にどのような質問がされたのかを事例を基に紹介してもらえるので、転職エージェントを活用していきましょう。
関連記事:転職エージェントを利用したITエンジニアの志望動機の書き方や例文|添削ポイントも解説
ITエンジニアの転職に関するよくある質問
本章では、ITエンジニアの転職に関するよくある質問と回答を紹介します。よく寄せられる質問には、ITエンジニアの人材不足の理由や人気を集める理由などが挙げられます。
また、ITエンジニアに適した資質や将来性についての質問も多いです。これらのよくある質問と回答を、ITエンジニアへの転職活動にお役立てください。
Q1. ITエンジニアが人材不足とされる理由は何ですか?
ITエンジニアの人材不足は、複数の要因が絡み合っています。急速なデジタル化によるIT需要の増加、ベテラン世代の大量退職、少子化の進行などが主な原因です。さらに、一部に根強く残るITエンジニアへのネガティブなイメージも人材不足の一因となっています。
Q2. ITエンジニアが人気な理由は何ですか?
ITエンジニアが人気な理由は、フレックスタイムや在宅勤務など、柔軟な勤務形態の企業が多いことが一因です。また、好待遇や充実した福利厚生、業界の成長性も大きな魅力となっています。さらに、仕事の内容自体に興味を持つ方も少なくありません。
Q3. ITエンジニアはどんな人が向いていますか?
ITエンジニアに向いている人の特徴には、いくつかの共通点があります。具体的には、優れたコミュニケーションスキルや旺盛な好奇心、新技術への高い適応力などが挙げられます。これらの特徴を持つ方は、ITエンジニアとして活躍できる可能性が高いでしょう。
Q4. ITエンジニアの将来性は高いですか?
ITエンジニアの将来性は、一般的には高いといわれています。デジタル化が加速する現代社会において、ITエンジニアの需要は高まり続けています。特に注目すべき分野として、IoTやネットワーク技術、人工知能、サイバーセキュリティが挙げられます。
関連記事:ITエンジニアには将来性がない?需要の高い分野や注目の職種も紹介
まとめ
本記事では、ITエンジニアが転職を検討すべきタイミングから転職のメリット・デメリット、転職市場の状況や転職ノウハウまで、転職活動を始める前に知っておくべき情報を解説しました。
解説したように、転職活動におけるノウハウは多岐に渡り、一人ですべてを準備することは困難といえます。近年のエンジニアの転職では、エージェントやアドバイザーなどからの支援を受けられるサービスを利用することが一般的です。専門家に客観的な視点で支援してもらうことで、転職の成功確率は上がるでしょう。
レバテックキャリアはITエンジニア・Webクリエイター専門で転職支援を行っていますので、転職を検討している方はぜひ一度ご相談ください。
ITエンジニアの転職ならレバテックキャリア
レバテックキャリアはIT・Web業界のエンジニア職を専門とする転職エージェントです。最新の技術情報や業界動向に精通しており、現状は転職のご意思がない場合でも、ご相談いただければ客観的な市場価値や市場動向をお伝えし、あなたの「選択肢」を広げるお手伝いをいたします。
「将来に向けた漠然とした不安がある」「特定のエンジニア職に興味がある」など、ご自身のキャリアに何らかの悩みを抱えている方は、ぜひ無料のオンライン個別相談会にお申し込みください。業界知識が豊富なキャリアアドバイザーが、一対一でさまざまなご質問に対応させていただきます。
「個別相談会」に申し込む
転職支援サービスに申し込む
※転職活動を強制することはございません。
レバテックキャリアのサービスについて