【ITエンジニア向け】転職内定者の退職から入社までの流れを解説

最終更新日:2024年2月5日

転職活動は内定獲得をゴールと捉えがちですが、内定後も現職の退職交渉や業務引き継ぎ、税金・保険をはじめとした各種手続きなど、やらなければならないことはたくさんあります。転職を控えている内定者は「どのように引き継ぎを行えばよいのか」「同業界での転職の場合、どんな挨拶が適切か」と疑問は尽きないでしょう。そこで、ITエンジニアが内定を獲得した後、退職から入社までの間にやるべきことを転職エージェントを行う当サイトの視点から詳しく解説します。

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この記事のまとめ

  • 転職内定後は順序を守り退職の意志を現職の上司に伝えるが、引き継ぎ期間などに余裕を持つため早めに行うことが大切
  • 退職にあたり現職から受け取るべき書類や手続きが存在するため、あらかじめ確認しておくと安心
  • 円満退職をするには退職時期などを交渉することがポイントとなり、相手の意志とこちらの意見の落としどころを冷静に見極めることが重要

内定後の流れと退職にあたってやるべきこと

まず、内定承諾をしてからの退職までの流れと、やるべきことについて解説します。企業によっては退職時の手続きに独自のルールを設けている場合もあるため、就業規則は必ず確認するようにしましょう。

退職交渉をする

内定を獲得し、現在の職場を退職する意思が固まったら退職交渉を行います。円満退職を迎えられるよう、次の順序に沿って交渉を進めるとよいでしょう。

まずは直属の上長に口頭で報告する

一般的に、まず退職の意思を伝えるのは、直属の上長です。報告後、上長から人事部に退職の旨を伝えてもらうのが一般的な流れなので、同僚や代表に先に話すことは避けたほうが無難です。

まず「お話があります」と切り出し、面談の場を設けてもらいます。面談は「報告と退職手続きに必要なプロセスを確認する」場と捉え、退職の意思を明確に提示することが大切です。今後の流れ(誰に話を通す必要があるか、どこまで承認を得られば退職が確定するのか)や、面談が複数回に渡る場合は次の面談までにやるべきことやスケジュールを確認します。

面談後は直属の上司宛てに、議事録を兼ねたお礼メールを送っておくと認識の齟齬が生まれにくく、トラブル防止にもなるでしょう。

退職日を決める

退職日は自身の希望を伝えた上で、上長との話し合いによって決めます。民法上は退職意思を報告して2週間で退職できますが(※)、就業規則に則って引き継ぎを開始し、会社への負担を最小限に留めて退職するのが望ましいでしょう。

退職の意思表示から退職日までに2ヶ月ほどの期間があるのが理想ですが、転職先に早期入社を求められることも多いため、約1ヶ月後の退職となるのが一般的です。

※参照:民法 第六百二十七条(2022年12月10日時点)

必要に応じて退職願を提出する

上長への退職報告が完了したら、必要に応じて退職願(会社に退職を願い出るための書類)を提出します。退職願の提出が必要かどうかは企業によって異なるため、就業規則を確認しましょう。口頭での報告のみで、書面は必要としない企業もあります。

会社の規定に沿って、退職届を提出する

退職が確定し、退職日も決まったら、会社の規定に沿って退職届(会社に退職を届け出るための書類)を提出します。退職届は会社規定のフォーマットがある場合が多いため、会社の案内に従い対応します。

業務の引継ぎをする

退職を決意したタイミングから、業務引き継ぎの準備を始めておきましょう。特別な理由がなければ、最低1ヶ月程度は引き継ぎ期間を見積もっておくとよいでしょう。

具体的には、以下の手順で引き継ぎを進めていきます。
 

  • (1)引き継ぎ事項を洗い出す

    (2)引き継ぎスケジュールを作成する(WBSを作成して管理するとなお良い)

    (3)自分の業務に関わるマニュアル等が存在するか確認をする

    (4)マニュアルがなければ引き継ぎ資料を作成し、業務のレクチャーを実施する

    (5)業務で使用するデータや資料は一覧表にまとめて共有する

    (6)退職後の連絡先を後任者と上司に共有する

準備すべき資料

ITエンジニアの場合、以下の書類などが引き継ぎ資料にあたりますので、自分がいなくても資料を見れば後任者がスムーズに開発が進められるように準備しておきましょう。

  • ・担当システムの手順書(特にインターネット検索では答えが得られない手順は重点的に記載)

    ・定例業務の一覧表(週/月/年)

    ・業務で使用する各種アカウントやパスワードの一覧表

    ・着手中業務の今後のToDoリスト

    ・担当システムの技術的負債の一覧(改善項目の一覧)

また、一方的な引き継ぎにならないよう、退職が社内で周知されたタイミングで、引き継ぎ先の担当者と合意形成をとっておくことも忘れないようにしましょう。

会社から貸与されているものを返却する

会社からの案内に従い、貸与物をまとめて返します。返すべきものは企業によって異なりますが、一般的には以下のものが該当します。

  • ・社員証(身分証明書)

    ・名刺(自分の名刺、取引先の名刺)

    ・健康保険証

    ・通勤定期券

    ・パソコン、スマートフォン

    ・業務で作成した資料やデータ(ソースコード含む)

    ・その他備品(書籍や文房具など

特別な契約を締結していない限り、業務上で得た資料やデータといった成果物はすべて会社に帰属することになりますので、持ち出さないように注意しましょう。

退職・転職にあたって必要なものを受け取る

また、入社時に会社に預けていたものの返却と、転職にあたって必要な書類の発行を会社側に依頼します。次に挙げるものは忘れずに受け取りましょう。

  • ・雇用保険被保険者証(または雇用保険被保険者資格喪失確認通知書)

    ・年金手帳(会社に保管されている場合)

    ・源泉徴収票(退職後、1ヶ月以内を目安に発行される)

雇用保険被保険者証は、雇用保険加入時に会社から本人に返却されている場合もあるので、手元にないかあらかじめ確認しておきましょう。また、次の転職先が決まっていない人の場合は、上記に加えて「離職票」も受け取る必要があります(退職後に発行)。

職場のデスクやロッカーを整理する

職場で支給されたデスクや使用していたロッカーは整理し、私物は持ち帰ります。会社の備品を持ち帰るとトラブルになりやすいため、持ち物の整理は慎重に行いましょう。
余裕があればデスク、ロッカーを掃除しておくと好印象です。

退職の挨拶をする

お世話になった人への挨拶も忘れずに行いましょう。基本的にメールまたは対面で行うのが一般的です。

挨拶する相手は上司、同僚、クライアント、常駐先などが挙げられますが、常駐先には社内での承認を得てから報告するのがマナーです。

社内向けの挨拶は最終出社日に行うのが通常ですが、会社によってルールがある場合は慣例に従います。社内宛に退職の挨拶メールを送付するときは、TOに自分のメールアドレスを、BCCに送付先のアドレスを設定するようにしましょう。また、挨拶メールに退職理由を記載する場合は、ネガティブな印象を与えない書き方を心がけます。

関連記事:退職の挨拶に手土産(お菓子)を配るときに注意すべき5つのポイント

税金、年金、社会保険の手続きをする

転職の際には、税金や社会保険に関する手続きも行う必要があります。退職時期や入社時期、離職期間の有無などで対応が変わるものもありますので、ルールを理解した上で適切に対応しましょう。

住民税

会社員の場合は給与から天引きされる形で、前年度の所得額により決定した金額を6月から翌年5月にかけて納めています。

1~5月の間に退職する場合は、5月までに納める住民税の残額が、退職する月の給与から一括で天引きされます。一方、6~12月に退職する場合は、給与からの一括支払いのほか、自治体から届く納付書を使って分割で支払う方法もあります。

また、退職前に会社に申し出れば、継続して新しい勤務先でも給与天引きで住民税を納めることが可能です。その場合は、必要事項を記入した「給与所得者異動届出書」を現勤務先から受け取るか新しい勤務先に送付してもらい、新しい勤務先でも所定の事項を記入した後、退職月の翌月10日までに自治体に提出してもらいます(※)。

※参考:渋谷区公式サイト「特別徴収に係る異動届出書など」(2022年12月10日時点)

所得税

給与所得額に応じて支払う税金で、概算した1年間の収入をもとに税額を算出し、12分割した額を毎月の給与から納めています。年末に正確な納税額が計算され、余分に払っていた場合は返納されます(年末調整)。

年内に再就職する場合は、退職後に発行される「源泉徴収票」を転職先に提出することで、その年の年末調整を新しい職場で行ってもらえます。一方、年内に再就職しない場合、あるいは12月に再就職したものの年末調整の時期に間に合わなかった場合は、自分で確定申告をする必要があります。

厚生年金保険

原則、民間企業は「厚生年金保険」に加入する義務があります。厚生年金保険への加入手続きは、転職先に「年金手帳」を提出すれば会社側で行ってもらえます。

退職後すぐに再就職しない場合は、退職後14日以内に「国民年金保険」への種別変更手続きをする必要があります。

健康保険

転職に伴い、健康保険の加入先も変わります。離職期間なく転職する場合は、転職先の案内に従って手続きを進めれば新しい保険証が交付されます。

退職後に離職期間があったり、転職先企業が健康保険に加入していなかったりする場合は、「国民健康保険」の加入手続きを自分で行う必要があります。また、「任意継続被保険者制度」を利用すれば、国民健康保険に切り替えず、前職で加入していた健康保険の被保険者資格を最長2年間まで継続することも可能です(資格喪失日から20日(土日・祝日の場合は翌営業日)以内に手続きが必要)。(※)

※参照:全国健康保険協会ホームページ(2023年12月時点)

月末退職&翌月半ば入社の場合は任意継続に注意が必要

月末に退職して翌月の半ばに新しい会社に入社する方は、健康保険の切り替え手続きを進める際に注意が必要です。

健康保険料は加入した月から発生します。そのため、月初に任意継続被保険者制度で以前と同じ健康保険に加入し、同月中に転職して別の健康保険に加入すると、保険料を2重で納めなくてはならなくなります。離職期間が1ヶ月以上空く場合は問題ありませんが、月末退職・翌月半ば入社をするのであれば、任意継続被保険者制度を利用するのは避けたほうがよいでしょう。

退職から入社までの期間が短く対応方法に迷う場合は、転職エージェントでもアドバイスを行っていますので担当のアドバイザーに相談してみてください。

雇用保険

退職時に会社から「雇用保険被保険者証(または雇用保険被保険者資格喪失確認通知書)」を受け取り、転職先に提出します。

失業期間中に「失業手当(基本手当)」が受給できるのは、雇用保険に加入しているためです。すでに離職している人で、失業手当の支給残日数が3分の1以上ある状態で新しい勤務先に入社し、一定の要件を満たした場合は「再就職手当」を受け取ることができますので、併せて手続きをしましょう。

再就職手当を申請するには、「採用証明書」を転職先企業に記入してもらい、ハローワークに提出する必要があります。さらに入社後、会社に「再就職手当支給申請書」の事業主欄の記入をしてもらい、その他の必要事項を自分で記入した後、原則として入社日から1ヶ月以内にハローワークに提出(郵送)します。(※1)

しかし、もし1ヶ月に間に合わなかった場合でも、時効を迎えるまでの期間(2年)であれば再就職手当てを申請することが可能です。(※2)時効の考え方は、転職先に就いた日の翌日を起点とし、そこから2年経過した日を終点とします

※1 参考:厚生労働省ホームページ「Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~」(2023年12月時点)
※2 参考:厚生労働省ホームページ「申請期限が過ぎたことにより給付を受けられなかった方へ」(2023年12月時点)

円満退職のための退職交渉のポイント

退職は会社にとって必ずしもポジティブな印象だけを残しませんが、できるなら円満退職として気持ちよく次の職場に向かいたいものです。そこで、欠かせないのが退職交渉です。
中には退職時期を会社側から希望を伝えられたり、退職そのものを引き留められたりするかもしれないため、退職の意志を伝える際に考えておきたい交渉のポイントをチェックしてみましょう。

就業規則を確認しておく

入社時に説明された、もしくは書面上で説明を受けた就業規則には、退職の申し出期間が明記されていることが多いです。法律上は2週間前に退職の意志を伝えれば問題ありませんが、一般的には1~3か月前と決められていることが多いため、確認しておくと安心でしょう。
では「就業規則に反しているから退職時期の希望が出せない」のかというとそうではありません。就業規則は社内のルールであるため、最終的には就業規則よりも民法が優先されます。
いずれにしても不要なトラブルを避けるため、早めに申し出ることをおすすめします。

伝え方に気をつける

転職理由はさまざまですが、多くの場合で現職場に待遇や給与面の不満があり退職を決定します。どんな不満があったとしても、一方的に不満をぶつける形で退職を伝えるのはおすすめできません。
退職交渉をスムーズに進めるためには、退職を伝えられた会社側の立場も考えるとうまくいきます。これまでの感謝の気持ちも伝えながら、退職の意志を示しましょう。

余裕を持ったスケジュールを立てる

退職希望日から逆算し、有給休暇の消化と引き継ぎ期間があるかどうかを先に確認しておきましょう。退職までの日数が短すぎると会社側では準備が追い付かず、また有給消化の期間がない場合も会社側に迷惑をかけてしまいます。
エンジニアの中でも顧客とやり取りする部門では、後任に顧客の情報や紹介など引き継ぎも必要です。転職後に完全に関係がなくなるかというとそうではないため、社会人として責任を持って退職準備を進めましょう。

退職交渉でよくあるトラブル

先述した順序に沿って退職交渉を進めていても、予期せぬトラブルに見舞われてしまうことがあります。ここでは、レバテックが転職支援を行う中で実際に起きた事例をもとに、トラブルが生じた際の対処法について解説します。

強引に引き止められ、退職の意思を聞き入れてもらえない

退職交渉でもっとも生じやすいのが現職場からの「強引な引き止め」です。「ポジションや給与を見直すから考え直してほしい」「後任や引き継ぎ先が見つかるまではやめないでほしい」など、さまざまな理由で引き止められることがあります。

この場合、まずやるべきは「転職先が決まっており、退職の意思は揺らがない」と言葉にして伝えることです。1度の面談で話がつかなかった場合はもう1度アポイントをとり、次の面談では退職願を持参するなどして、冷静かつ明確な意思表示をします。それでも受け入れてもらえなかった場合は、人事部に退職を申し出ましょう。

引き止めにあったからといって、すぐに人事部や代表に直接申し出るのではなく、まずは上長に納得してもらえるように誠意を持って対応することが大切です。

損害賠償を請求するといわれる

客先常駐で働いているITエンジニアの方に多いのが、損害賠償の請求をほのめかされるケースです。通常、開発会社はクライアント企業と期間契約を結んでいるため、契約期間中に常駐社員が抜ければその分のリソース補填をしなければならなくなります。そういった不利益を被ることを理由に「プロジェクトを抜けることで生じる損害を補償してもらう」と企業側から伝えられることがあります。

しかし、当然ながらそれらの要求に応じる必要はありません

退職で現職場に損失が生じることがあっても、その損害を社員に請求することはできません。なぜなら、契約は企業間で取り交わされているものだからです。社員自身が故意に問題を起こしていない限り、損害賠償を請求する権利は企業にないのです。実際に、レバテックが転職支援をする中で本当に賠償請求されたケースは1件もありません。

このような事態に陥った場合も、まずは退職の意思が固いことを伝え続け、それでもなお企業側が賠償請求の姿勢を崩さないときは、業務契約上そのような請求はできないことを伝えましょう。

ただし、契約期間中の退職が企業にとって痛手であることは事実です。契約の節目や担当するプロジェクトの終了後など、できるだけキリのいいタイミングに退職を申し出るのが理想でしょう。

転職エージェントを利用しているのであれば、このようなトラブルに見舞われた際は担当のアドバイザーに相談することをおすすめします。

有給取得申請の許可が降りない

企業は、繁忙期などで「事業の正常な運営を妨げる場合」は有給取得の時季変更を願い出る権利は認められていますが、社員の有給取得申請を拒否することはできません(※)。

しかし、有給を消化できないまま退職する方も多いのが実情です。レバテックでは上述した法律の知識は伝えていますが、最終的に有給を取得するかどうかはトレードオフで考えましょうとアドバイスしています。

転職しても同じ業界内であれば、共通の知り合いを通じて前職の関係者と繋がる可能性があります。有給を取得することに執着して自身の評判を下げてしまうと、回り回って自分自身が損をしてしまうかもしれません。有給取得に関しては、今後の自分にとってベストな状態を作ることを軸に判断を下す必要があります。

※参照:労働基準法 第三十九条(2023年12月時点)

即日退職を要求される

これは稀なケースですが、退職の意思を伝えると即日退職を要求された事例もあります。

しかし、労働基準法では「労働者を解雇しようとする場合においては、少なくとも三十日前にその予告をしなければならない。三十日前に予告をしない使用者は、三十日分以上の平均賃金を支払わなければならない」とあり(※1)、即日解雇をすることはできません。退職日まで自宅待機を要求するのであれば、平均賃金の6割以上を休業補償として支払う義務があります(※2)。

さらに、労働契約法では「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」と定められており(※3)、そもそも退職の意思を理由に解雇することはできないのです。

そのため、即日退職を要求されたとしても応じる必要はありません。対処に困る場合は転職エージェントの担当アドバイザーや労働基準行政の相談窓口に相談しましょう。

※1 参照:労働基準法 第二十条(2023年12月時点)
※2 参照:労働基準法 第二十六条(2023年12月時点)
※3 参照:労働契約法 第十六条(2023年12月時点)

退職交渉が長期化する

上述した事例などが原因で、退職交渉が長期化してしまうことがあります。実際に、レバテックの転職支援でも退職交渉に半年以上の時間がかかったケースもあります。

長期化すると求職者自身が疲弊してしまいますし、入社予定日を変更しなければならなくなり、最悪の場合は内定取り消しに繋がってしまうこともあります。

退職交渉は内定後にやるべきことの中で、もっとも骨の折れるやりとりのひとつです。転職エージェントはこういった退職交渉のトラブル対応にも慣れていますので、交渉が長期化しそうだと感じた場合には、早めに担当のアドバイザーに相談するようにしてください。

転職エージェントを頼るのも一つの手

これまでレバテックでの事例をもとに退職時のトラブルを解説しましたが、中には転職エージェントである弊社が解決・アドバイスできる分野もあります。特に「退職」というのはそこまで機会がないものであり、初めての転職の際には契約ややるべきことの取りこぼしがあるのも珍しくありません。
転職エージェントの中には次の職場の準備を退職者に代わって進めてくれるところや、配属先や始業日の調整を行うところも多いです。
次の職場の手続きはエージェントに頼り、退職交渉やトラブルの対策に集中するというのも、おすすめできる手段です。

入社にあたってやるべきこと

続いて、入社までにやるべきことを解説します。退職から入社までの期間は、さまざまな不安を感じやすい時期でもありますので、気持ちよく新生活のスタートが切れるよう準備を進めましょう。

入社手続きに必要な書類を用意する

転職先企業の案内に従い、入社手続きに必要な書類を準備します。提出を求められる書類は企業によって異なりますが、一般的には以下のものが挙げられます。

  • ・年金手帳

    ・雇用保険被保険者証(または雇用保険被保険者資格喪失確認通知書)

    ・源泉徴収票

    ・マイナンバー

    ・健康診断書

    ・雇用誓約書

    ・給与振込先の届書(企業が指定する書類に記入)

    ・扶養控除等申告書(企業が指定する書類に記入)

    ・健康保険被扶養者異動届(扶養義務のある家族がいる人のみ提出)

健康保険被扶養者異動届については、被扶養者との続柄や年齢等によって追加書類が求められる場合があるため、事前に内定先の人事に確認するとよいでしょう。

業務に必要な知識・技術を身につける

基本的に、中途採用では即戦力としての活躍が期待されています。そのため、できるだけ早く事業に貢献できるよう、入社前に必要な知識や技術について勉強しておくことをおすすめします。

難しく考える必要はなく、次に挙げる内容に取り組むだけでも知識を増やすことは可能です。

  • ・自身が開発に携わるサービスを使ってみる

    ・競合にあたるサービスを使い、自社との違いをまとめてみる

    ・新しい技術を扱うのであれば、最低限チュートリアルは確認しておく

    ・転職先企業が主催するイベントや勉強会に参加する

    ・書籍などで、転職先企業が属する業界についての理解を深める

事前に知識や技術のキャッチアップができていれば、業務の難易度や躓きやすいポイントを自分自身で把握することができます。

勉強すべきことの優先順位に迷う場合は、入社前に何を勉強すべきか質問してもよいでしょう。企業によっては、学習用のカリキュラムを用意していることもあります。

レバテックで支援してきた方の中には「入社するまでの期間、アルバイトとしてでもいいので実際のミーティングや開発に参加させてほしい」と自ら企業側にかけあい、スキル習得に励んでいた方もいます。必ずしもここまでする必要はありませんが、入社後に活躍できるか不安な気持ちが少しでもあるのであれば、自ら学ぶ姿勢を持ち、何らかのアクションを起こしましょう。

雇用条件を再確認する

転職先企業から届く労働条件通知書(雇用契約書や内定通知書、採用通知書と呼ばれる場合もあります)に記載の雇用条件を再確認しましょう。

労働条件通知書には以下のような情報が記載されています。

  • ・就業場所や従事する業務に関する事項

    ・労働契約の期間や雇用形態に関する事項

    ・始業と終業の時刻、時間外労働に関する事項、休憩時間や休日、休暇および交代勤務に関する事項

    ・賃金とその支払い方法、昇給に関する事項

    ・退職に関する事項

転職活動時に確認していた中途社員募集要項や、面接を通して決まった事項などが認識通りに盛り込まれているか確認しましょう。

内定承諾後は転職先企業と労働契約を結ぶことになります。労働条件通知書には、入社後に内定者と企業が遵守すべき事項が書かれており、たとえ内定者の認識と異なっている場合でも、書面に記載されている内容が正となります。

つまり、就労に関する諸条件について交渉できる最後のチャンスがこの場面といえます。しかしあなたへの内定を決めた企業は、現在の雇用条件を内定者の評価としているため、その内容の変更を求めることは大きなリスクを伴うことを理解しておきましょう。

転職後に想定外の事態に陥らないよう、今一度自らの転職の目的を振り返りましょう。その目的を達成できるような雇用条件であるかを確認し、しっかり考えることがとても大切です。

転職後に活躍するためのマインドセットを整える

転職は今後の人生に影響を与える一大イベントです。働き慣れた職場を離れ、新しい会社でスタートを切るとき、そこには大小さまざまな期待と不安があるでしょう。ここでは、レバテックが内定者の方にお伝えしている、転職後に大切にしてもらいたいマインドセットを紹介します。

目的志向で物事を考える

大前提として、転職することは目的ではなく手段です。入社してからがスタートなので、転職の目的やキャリアの目標を見失わないようにしましょう。

たとえば、「技術力を高めてユーザーの課題解決ができるようなITエンジニアになりたい」というキャリア目標があって自社サービス企業に転職した場合、当然ながら入社しただけで目標達成できることはありません。

新しい環境の中でインプットとアウトプットを繰り返し、経験を積んでいく中で徐々に目標に近づいていきます。転職後に以下のような取り組みを継続しながら、目標達成を目指しましょう。

  • ・Will Can Mustなどのフレームワークを使って、定期的にキャリアプランの振り返りをする

    ・目標達成のためのマイルストーンを立てる(実現イメージが持てる内容かつ詳細に設定できているとなお良い)

    ・周囲に目標を共有する(宣言することで自分自身の意識が変わり、周囲の協力も得やすくなる)

ストレス対処の手段を持つ

働く環境が大きく変わる転職に、ストレスはつきものです。転職してから最初の1ヶ月は特にストレスを抱えやすいため、それらに打ち勝つための手段をあらかじめ用意しておきましょう。睡眠や食事、運動など、自分自身がリラックスできることであれば何でも構いません。また、上司や同僚など、新しい職場でメンターを作ることができると、ストレスを軽減しやすくなるでしょう。

機会は自ら作る意識を持つ

中途社員は即戦力としての活躍が期待されるため、入社後は「待ち」の姿勢ではなく、「自ら学び、情報を取りに行く」姿勢を大切にしましょう。もちろん、採用企業側もオンボーディングに取り組む必要はありますが、主体的な姿勢を持つことがその後の成果にも繋がっていきます。わからないことは早めに質問し、足りない知識があれば積極的に学んでいきましょう。

初出勤の服装、出社時間を確認しておく

職場の雰囲気や立場によって通勤の服装は異なります。髪型や服装にはルールを設けていることもあるため、初出勤時は服装を確認しておきましょう。特にルールがなければスーツでの通勤がほとんどです。
また、出社時間を確認しておきます。入社当日の遅刻は厳禁です。前日までに新しい会社までの所要時間を調べておき、ラッシュや乗り継ぎなどの移動も考えて余裕をもって出社しましょう。

内定をもらう前に退職の意思を上司に伝えた方がいい?

転職活動が進むにつれて、内定をもらう前に上司へ退職の意志を伝えるべきかどうか悩むこともありますが、基本的にはその必要はありません。その理由について解説します。

内定が出ていない状況では、上司がタスクコントロールできない

内定が出ていない状況では、あなたがいつ組織から居なくなってしまうのかわからないため、上司は業務振り分けなどのタスクコントロールをうまく実行できません。

どれだけ転職活動が順調に進んでいるように思えても、内定が出るまでは転職確定ではありません。最終面接まで滞りなく進んだにもかかわらず、転職先企業の経営状況の変化などで不採用となり、思い通りにいかないケースもみられます。

このような予測できない事態によって転職活動が難航することもあるため、転職時期が確定するのは内定が出たあとになります。

内定が確定しておらず、あなたが組織を離れる時期もわからない状況で仮に転職の意向を伝えたとしても、上司はどのような対応を取れば良いのか判断できないのです。

チームメンバーの士気を低下させる恐れがある

上司経由などでチームに退職の意向が伝わった場合、チームメンバーの士気を低下させる恐れがあります。特にあなたがキーパーソンであれば、それがチームに与えるインパクトは大きいでしょう。

いずれチームを抜ける人がいるとわかっている状況下では、チームの士気がなかなか上がらず、本来のパフォーマンスを発揮できずにプロジェクトの進行に影響を与える恐れもあります。

現在勤めている企業に留まる場合に印象が悪くなる

転職活動を行なうも、希望する企業になかなか内定が決まらず、最終的に現在勤めている企業に残るという判断を下す方も珍しくありません。

事前に退職の意向を伝えている場合、上司はあなたが居なくなる前提で業務編成を考えることもあるでしょう。このような状況で転職活動を止めてしまうと、上司は業務編成を考え直さなければならず、余計な労力がかかってしまいます。

また、一度「出ていきます」と伝えた相手に対して「やっぱり残ります」と撤回することは印象的にもよくないのではないでしょうか。これまで仕事で積み上げてきた信頼を崩してしまう事態になりかねません。

退職の意志を伝えるのは、転職先から内定が出た後に、慎重に計画的に行いましょう。

内定に関するよくあるご質問

ITエンジニアの内定から転職までの流れの中で、よくある質問をまとめました。レバテックでもよく疑問にのぼるポイントを押さえたので、一つずつチェックしていきましょう。

Q1. 景気悪化などの理由により、内定取り消しになることはありませんか?

原則ありません。会社都合で内定を取り消す場合、それ相応の合理的な事由(整理解雇の要件を満たすほどの企業の業績悪化など)が必要になります。ただし、景気動向にマイナスの影響を受けているのであれば、入社後のミッションや成果へのコミットは通常以上に必要になるでしょう。どうしても不安な点があれば、転職エージェントを利用している方は担当のアドバイザーに相談してみてください。

Q2. リモートワーク推奨企業のため、入社後すぐに業務のキャッチアップができるか不安です

積極的に業務に関わる姿勢を示し、情報取得に努めましょう。

リモートワークはコロナ禍の影響で導入が加速した背景があり、多くの企業でその運用や業務教育システムなどの整備が行われています。企業によっては、リモートワークの運用が未発達のため、転職直後の業務キャッチアップに不安を抱える方もいらっしゃるでしょう。

このような場面で何も行動を起こさなければ、職場の誰かが気づいてくれるのを待つことになります。少しでも早く転職先で成果を上げるためにも、自ら声を出して業務に積極的に関わり、わからないことや知りたい情報を聞き出しましょう。

積極的に業務に関わりさまざまな情報を取っていく姿勢は、単に業務キャッチアップが進むだけではなく、新たなメンバーであるあなたの存在を職場に周知する手段となり、あらゆるプラスの効果が期待できます。

たとえリモートワークでなくとも、転職直後から主体的・積極的な行動を心がけ、スタートダッシュを目指しましょう。

Q3. 内定をもらった後に辞退することはできますか?

内定承諾後でも内定辞退は可能です。法律上で内定を辞退する権利は認められており、これは内定承諾後と承諾前でも変わりありません。
企業から内定通知をもらい、「内定承諾書」を会社側に提出すると労働契約が成立します。労働契約成立後は2週間前であれば雇用の解約が可能となり、実際に退職するときと同様に「2週間前の退職・解約」を企業が受け入れ、雇用関係が終了します。
辞退とは異なるかもしれませんが、以上のように内定後でも行動は可能です。民法に従っているため、違法性もありません。

まとめ

転職先への内定が決まったあとは、退職までさまざまなやるべきことがあります。退職時にはトラブルも起きがちで会社からもらっておく書類も多数あるため、忘れないようにToDoリストなどにまとめておくとよいでしょう。
今の会社の退職から転職先への出社までの流れをスムーズに行えるよう、ぜひ参考にしてください。

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