インフラエンジニアに資格は必要?
インフラエンジニアに必須の資格はありません。日本のエンジニア業界は、資格よりも実務経験を重視するケースが多いです。ただし、資格を持っておくと役立ちます。
資格を所有する最も大きいメリットとして挙げられるのは、自分の持っているスキルを目に見える形で証明できることです。ここでは、資格取得によって得られるメリットとその際の注意点について解説します。
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インフラエンジニアが資格を取得する利点
インフラエンジニアの業務成果は、サーバーやネットワークをはじめとするインフラ構成や運用が主となるため、ポートフォリオで成果物を示すのは難しいと考えられます。
そのため資格を取得すると、企業との面接の際に自分の持っているスキルの証明になります。
さらに、資格取得に向けて勉強することで、専門知識を学ぶことができるため、自身のスキルアップにもなります。
また、企業によりますが、資格手当が貰える企業があります。資格を取得することで得られる利点は多いといえるでしょう。
インフラエンジニアが資格を取得する際の注意点
インフラエンジニアが資格を取得するとメリットが多いですが、その一方で注意点も存在します。たとえば、受験料や参考書、教材を購入する費用がかかることや、資格取得のための勉強に時間がかかることなどです。
特に仕事をしながら取得を目指す方は、仕事と平行しての学習は負担が大きいでしょう。インフラエンジニアの資格は高度な専門知識が求められるため、難易度の高い試験に合格するには、相当な努力が必要です。
しかし、資格取得のために学習して得られた知識やスキルは、必ず自分のためになります。十分な貯蓄をしてから臨む、ゆとりを持ったスケジュールを組むといった対策をして取得を目指すと良いでしょう。
インフラエンジニアにおすすめの資格11選と難易度一覧
インフラエンジニアに役立つ資格を大きく分けると、国家資格とベンダー資格があります。以下は各資格をまとめました。勉強時間は、受験する人の経験やスキルによって多少異なるため、あくまで目安です。たとえば、すでに下位資格に合格している場合は、必要な勉強時間が短くなるでしょう。ここでは、インフラエンジニアにおすすめの資格を11個ご紹介します。
資格名 | 難易度 | 合格率 | 更新有無 | 勉強時間目安 |
---|---|---|---|---|
ITパスポート | 低い | 50%~60%程度 | 無 | 150時間程度 |
基本情報技術者試験 | 低い | 50%程度 | 無 | 200時間程度 |
応用情報技術者試験 | 普通 | 20%~25%程度 | 無 | 500時間程度 |
データベーススペシャリスト試験 | 高い | 15%~20%程度 | 無 | 500時間程度 |
ネットワークスペシャリスト試験 | 高い | 15%~20%程度 | 無 | 500時間程度 |
情報処理安全確保支援士試験 | 高い | 20%程度 | 無 | 500時間程度 |
AWS認定 | 普通 | 50%程度 | 有 | 60~120時間程度 |
CompTIA Cloud+ | 普通 | 非公開かつ不明 | 有 | 100時間程度 |
LinuC | 低い~高い | LinuC-1:50%程度 LinuC-2:20%程度 LinuC-3:15%程度 |
有 | 200時間程度 |
シスコ技術者認定 | 低い~高い | 20%~30%程度 | 有 | 160時間程度 |
オラクルマスター | 普通 | 非公開かつ不明 | 無 | 40時間程度 |
国家資格
国家資格は、国が定めた基準に基づいて、一定の知識やスキルを有していることを証明する資格です。国が認定しているため、資格の価値が安定しており、長期的なキャリア形成に役立ちます。また、IT全般に関する幅広い知識が必要です。以下で、インフラエンジニアにおすすめの国家資格をご紹介します。
1.ITパスポート試験
ITパスポート試験は独立行政法人情報処理機構が実施している国家資格です。対象はエンジニアだけでなく、ITに携わる人や、ITの基礎知識を身につけたい人も含まれます。IT関連の資格の中では難易度が低く、短期間の勉強で合格できる可能性が高いでしょう。内容も一問一答形式で、複雑な計算やプログラムのトレースなどの問題はありません。あくまでも基本的な知識を問う内容です。
2.基本情報技術者試験(FE)
基本情報技術者試験は、ITエンジニアの登竜門的な国家資格で、ITエンジニアに求められる基礎知識を証明する事ができます。資格取得の学習を行うことで、サーバーやネットワーク、セキュリティに関する基礎知識を網羅的に身につけることが可能です。
2023年から制度が変わり、それまで上期・下期の年2回の実施から、通年で実施されるようになりました。自身の都合の良い日時・場所で受験できるようになり、受験方式もコンピューターを使ったCBT方式に変更されています。
新制度になって以降、合格率は50%前後となっており、取得しやすい傾向です。まずはこの資格から取得してステップアップで他の資格の取得を目指すと良いでしょう。
3.応用情報技術者試験(AP)
応用情報技術者試験とは、 高度IT人材となるために必要な応用的知識・技能を持ち、高度IT人材としての方向性を確立した者が取得できる資格です。基本情報技術者試験よりも難易度があがり、合格率も20%台となっています。令和6年(2024年)春期の合格率は26.3%となっています。
4.データベーススペシャリスト試験(DB)
データベーススペシャリスト試験は、データベースに関係する固有技術を活用し、情報システムの企画・要件定義・開発・運用・保守などの技術支援を行うエンジニア向けの資格です。情報処理技術者試験のレベル区分において最高難易度のレベル4にあり、十分な知識と経験が必要です。データベース設計やSQL、DBMS関連など、データベース技術に特化した問題が出題されます。試験は毎年秋に行われ、令和5年秋期の合格率は18.5%です。
5.ネットワークスペシャリスト試験(NW)
ネットワークスペシャリスト試験は、ネットワークに関する高度な専門知識を証明する国家資格です。サーバーはネットワークを介して通信するため、インフラ設計を行う際に役立つでしょう。情報処理技術者試験のレベル区分において最高難易度のレベル4にあり、ネットワーク技術に関する十分な知識と経験が必要になります。試験は毎年春に行われ、令和5年春期の合格率は14.3%です。
6.情報処理安全確保支援士試験(SC)
情報処理安全確保支援士試験は、情報セキュリティマネジメントの計画・運用・評価・改善を通して組織の情報セキュリティ確保に貢献し、脅威から継続的に組織を守るための基本的なスキルを認定する試験です。
2016年に廃止となった情報セキュリティスペシャリストの後継資格です。サイバーセキュリティに関する専門的な知識を持っていることを証明できます。ITインフラはシステムの基盤であるため、セキュリティの知識が欠かせません。
令和6年春期の合格率は19.3%です。
ベンダー資格
ベンダー資格は企業が認定する資格で、製品やサービスに関する専門知識を証明することができます。国家資格と異なり有効期限が設けられているものもあり、合格しても定期的に再受験しなければなりません。以下で、インフラエンジニアが取得しておくと業務に役立つベンダー資格を紹介します。
7.AWS認定
Amazonが運営するクラウドサービス「AWS(Amazon Web Service)」の認定資格です。AWSは国内だけでなく世界でシェアトップクラスであるため、おすすめの資格です。AWSにはさまざまな資格がありますが、インフラエンジニアとしては次の3つの資格取得を目指すと良いでしょう。
-
・クラウドプラクティショナー(ファンデーショナル):クラウドの基礎知識を証明する資 格
・ソリューションアーキテクト(アソシエイト):AWSを使ったインフラ構築に関する基礎 スキルを証明する資格
・ソリューションアーキテクト(プロフェッショナル):AWSを使ったインフラ構築に関す る高度なスキルを証明する資格
合格率は非公開ですが、ファンデーショナルが半年の実務経験レベル、アソシエイトが一年の実務経験レベル、プロフェッショナルが2年の実務経験レベルを対象です。資格の有効期限は3年となっており、効果を継続するには同じ資格を再度受験し合格するか、上位の資格を取得することが必要です。上記以外にも、データベースやセキュリティなど、特定分野に特化した「スペシャリティ」資格も存在します。
8.CompTIA Cloud+(CV0-003)
CompTIA Cloud+(CV0-003)は、クラウドコンピューティングに必要な知識とスキルを証明する国際資格です。AWS認定がAWSの専門的な知識とスキルを証明する資格とすれば、CompTIA Cloud+は製品を特定しない汎用的なクラウド知識を証明できる資格といえるでしょう。ITシステム管理またはITネットワーキングにおいて最低2〜3年間の業務経験がある人を想定しているため、基本的な知識を持っている人が対象といえます。
以下は、取得すると証明できる知識とスキルです。
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・標準的なクラウド手法に対する理解
・クラウドテクノロジー(ネットワーク、ストレージ、仮想化テクノロジなど)の実装、保 守、提供
・ITセキュリティについて理解し、クラウドの実装に関連する業界のベストプラクティスを 使用できる
合格率は非公開です。有効期限は3年で、更新には改定試験の合格が必要になります。
9.LinuC(Linux認定資格)
LinuCとは、LPI-Japanが提供する、Linuxをベースとしたシステム構築・運用の基礎が学べる民間資格です。Linuxサーバーは、Windowsサーバーと並んでシェアの高いサーバーであり、インフラエンジニア必須のスキルです。LinuC-1・LinuC-2・LinuC-3と、レベル別に3つの試験が提供されています。
LinuC-1、LinuC-2はどちらも基礎的な内容のため、まずはLinuC-2までの取得を目指すことがおすすめです。さらに、Linuxサーバーに強みを持ったインフラエンジニアを目指すのであれば、LinuC-3の取得を目指しましょう。合格率は非公開ですが、LinuC-1は50%程度、LinuC-2は20%程度、LinuC-3は15%程度の合格率だと言われています。資格の有効期間は5年間であり、効果を維持するには認定日から5年以内に再認定が必要です。
10.シスコ技術者認定(CCNA)
シスコ技術者認定は、ネットワーク製品として高いシェアを持つシスコシステムズ社が主催する認定資格です。取得すればシスコシステムズ社の製品を使ったネットワーク設計スキルや構築スキル、運用スキルを証明できます。
また、エントリー、アソシエイト、プロフェッショナル、エキスパートと難易度別に試験が分かれており、技術領域とスキルレベルに応じて受験することが可能です。
合格率は非公開ですが、プロフェッショナル以降は非常に難易度が高いといわれています。有効期間は3年です。
11.オラクルマスター
オラクルマスターは、データベース管理システムのOracle Databaseを提供するOracle社が運営する資格試験です。4段階のレベルに分けられていて、上からPlatinum、Gold、Silver、Bronzeとなっています。データベースの管理、運用、SQLのスキルを問う問題が出題範囲です。
Oracle Databaseは世界中でシェアの高いデータベースであるため、オラクルマスターを取得することでデータベースのスキルの証明になります。また、基本的にデータベースの使い方はデータベース管理システムの種類を問わず共通しているため、別のデータベース管理システムのスキル証明も可能です。
オラクルマスターは有効期間が定められていませんが、資格にはバージョンが設定されているため、定期的に再受験するか上位資格を取得し、バージョンアップしましょう。
インフラエンジニアの資格取得に向けた学習方法
インフラエンジニアに役立つ資格を取得するためには、最低限ITインフラに関する知識が求められます。ここでは、「本や参考書を利用する」「学習サイトを利用する」「スクールに通う」「勉強会に参加する」など、資格取得に向けておすすめの学習方法を解説します。
本や参考書を利用する
書店にいけばITインフラに関する書籍が多数あります。目的の資格試験の対策本があれば良いですが、ない場合や基本的な知識を身につけたい場合は、専門書を利用しましょう。ここでは、ITインフラの基礎を学ぶためにおすすめの書籍を3冊紹介します。
『改訂新版 インフラエンジニアの教科書』(シーアンドアール研究所、佐野裕)
インフラエンジニアとはどういう仕事か、というところから解説されており、サーバーやネットワーク、ストレージ、クラウドなど多くの分野を扱っている1冊です。広く浅く学べるため、まずこの書籍をベースに知識を深めると良いでしょう。
『[試して理解]Linuxのしくみ ―実験と図解で学ぶOS、仮想マシン、コンテナの基礎知識【増補改訂版】』(技術評論社、武内 覚)
サーバーOSとして広く扱われているLinuxを学ぶことができる良書です。また、仮想マシンやコンテナなどサーバーに関して必要な知識も網羅されているため、一度手にとってみてみると良いでしょう。
『マスタリングTCP/IP 入門編(第6版)』(オーム社、井上直也、村山公保、 竹下隆史、荒井透、苅田幸雄)
ネットワーク技術の基本を学ぶのにぴったりの書籍です。イラストや図が豊富に使用されており、IT初心者の人にもわかりやすい解説によって学ぶことができます。
学習サイトを活用する
インターネット上では、資格に関する学習サイトも多数あり、中には無料で利用できるものもあります。たとえば、AWS資格においてはAWSがAWS Skill Builderを公開しており、無料で多数のコンテンツが利用可能です。
また、AWSやオラクル社などのクラウドベンダーは無償で環境を利用できるサービスも提供しています。このような学習サイトやオンライン上の環境を活用して知識を深めることもおすすめです。
スクールに通う
独学で勉強するのが難しいと感じる人は、ITスクールに通うのも1つの方法です。費用は発生しますが、まとまったカリキュラムで着実に学べる点や、困ったときに講師に質問できる点は独学に比べ大きなメリットになります。十分な時間や費用が用意できる人は、検討してみると良いでしょう。
勉強会に参加する
有識者が開く勉強会に参加して、直接話を聞くのも良い学習方法です。ほかの参加者とも交流して知識を深められるほか、人脈が広げられるというメリットもあります。勉強会はオンラインで実施しているものもあるので、探してみると良いでしょう。
ほかにも、さまざまな勉強方法があります。以下の記事では、IT未経験者、IT初心者でもできる勉強方法を詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。
関連記事:インフラエンジニアの勉強方法は?未経験・初心者にもわかりやすく解説
インフラエンジニアの資格取得に向けたロードマップ
インフラエンジニアの資格取得に向けたロードマップには「キャリアプランや目標を明確にする」「どの領域の資格に挑戦するか検討する」「自分のレベルを把握する」「資格取得に向けて勉強する」などが挙げられます。自身の目指すキャリアプランに合わせて最適なロードマップを作成しましょう。ここでは、それぞれ具体的に解説します。
1.キャリアプランや目標を明確にする
まずは、自分がどのようなインフラエンジニアになりたいのか、どのようなスキルが必要なのかといった具体的な目標を設定します。キャリアを明確にしておけば、将来的にどのようなキャリアを築いていきたいのか、キャリアパスを設計することが可能です。目標設定、資格選択、学習計画、キャリア設計を立てておくことをおすすめします。
また、どのくらいの期間で資格を取得したいかも目標として設定しておくと、勉強に必要な時間が明確になり学習を進めやすいでしょう。
2.どの領域の資格に挑戦するか検討する
キャリアビジョンが明確になったら、どの領域の資格に挑戦するか検討することも必要です。たとえば、インフラエンジニアであれば、サーバーやシステム管理を中心に学べる資格としてLinux認定資格やマイクロソフト認定資格があります。
また、システムエンジニアであれば、ネットワーク部分に関わる業務が多いためシスコ技術者認定資格が役立つといったように、保有していると役立つ資格に分けることが可能です。
自身が、どのキャリアを目指すのかを明確にしておくと、自然とどの資格に挑戦するべきか見えてくるでしょう。
3.自分のレベルを把握する
インフラエンジニアの資格取得に向けて、自分の知識レベルを正確に把握し、計画的な学習を進めることは大切です。ITの資格は、ITSS(ITスキル標準)によって表されており、資格選定のための基準になります。ITSSは、各種IT関連サービスの提供に必要とされる能力を明確化・体系化した指標です。自身が現在どのレベルにいるのかを知り、自分に必要な資格を目指すことをおすすめします。
4.資格取得に向けて勉強する
資格取得に向けて、「キャリアプランや目標を明確にする」「どの領域の資格に挑戦するか検討する」「自分のレベルを把握する」を達成したら、いよいよ勉強を開始します。
実際にどのように勉強していくべきか、学習計画を立てるとスムーズに進めることができるでしょう。自分に合った学習方法を見つけて、目標へ向かっていくことが大切です。
インフラエンジニアの種類
インフラエンジニアは、企業や組織のITシステムの基盤となる部分を設計、構築、運用する専門職です。安定的な稼働を維持する役割を担っています。ひとことにインフラエンジニアといっても、複数の種類に分けることが可能です。ここでは、代表的な種類として、サーバーエンジニア、セキュリティエンジニア、ネットワークエンジニアについて紹介します。
関連記事:インフラエンジニアになるには?必要なスキルや資格とは
サーバーエンジニア
サーバーエンジニアは、サーバーの設計、構築、運用などを担当するエンジニアです。具体的には、サーバーの選定、構築、セキュリティ設定、ネットワークの構築や監視、障害対応などが主な業務となります。
また、サーバーエンジニアには、クラウドサーバーや仮想化技術に精通したエンジニアも多いため、インフラの最新技術にも精通していることが求められるでしょう。
セキュリティエンジニア
セキュリティエンジニアは、情報セキュリティの専門家です。システムやネットワークの脆弱性を分析し、改善策を提案します。具体的には、セキュリティ対策の企画・立案、検証・実行、監視・運用などが主な業務です。
また、脆弱性診断やペネトレーションテスト、セキュリティ対策のコンサルティングなど、セキュリティに関する専門知識が求められる業務全般も担当することがあります。
ネットワークエンジニア
ネットワークエンジニアは、システムやサービスを提供するためのネットワーク設計、構築、運用などを担当するエンジニアです。具体的には、ネットワーク設計や構築、ルーターやスイッチの設定、セキュリティ対策、障害対応などが主な業務です。
また、ネットワークエンジニアには、クラウドネットワークに対応できるスキルや、SDN(Software Defined Network)やNFV(Network Function Virtualization)などの最新技術にも精通していることも求められます。
インフラエンジニアに必要な知識とスキル
インフラエンジニアは、サーバー・ネットワーク・セキュリティといった分野に精通している必要があります。近年ではクラウドに関する知識やスキルも欠かせません。ITシステムの基盤を支える重要な役割を担っているため、幅広い知識とスキルが求められるといえるでしょう。ここでは、インフラエンジニアに必要な知識とスキルについて詳しく説明します。
関連記事:インフラエンジニアに必要なスキルは?知識、資格まで徹底解説
サーバーおよびネットワークに関する知識とスキル
サーバーOSは、Linux/Unix/Windowsが主流です。なかでもLinuxサーバーは業務用として利用頻度が高いため、専門的な知識とスキルが求められます。また、システム間をつなぐネットワークに関する知識も欠かせません。スイッチやルーター、ファイアウォール、ロードバランサなどの知識とそれらを扱うスキルが求められます。
トラブルの原因はサーバーだけでなく、クライアント側や、プログラム内など多岐にわたる可能性があるため、インフラについての基礎知識だけでは問題解決に至ることはできません。
関連記事:インフラエンジニアのスペシャリストになるには
セキュリティに関する知識とスキル
サーバーは外部に公開するものや、機密情報を取り扱う場合もあるため、セキュリティ対策が欠かせません。
不正アクセスやDoS攻撃、標的型攻撃などに対応できるよう、サーバーとネットワークの両面でセキュリティ対策を施すための知識とスキルが求められます。また、最新のセキュリティに関するニュースや技術動向を常に把握しておくことも大切です。
クラウドに関する知識
総務省が公開している令和5年版 情報通信白書によると、パブリッククラウドサービス市場規模の推移および予測が、世界と日本のどちらも増加傾向で今後も高い成長が見込まれることが分かります。
また、株式会社MM総研ニュースリリース「国内クラウドサービス需要動向(2022年版)」によると、大手クラウド3社のPaaS/IaaS利用率が高まったことが分かっています。この資料は、MM総研が国内企業3万3922社の情報システム担当者を対象にWebアンケートを実施しまとめたものです。パブリッククラウドのIaaS環境上にインフラを構築する方法が主流になっているといえるでしょう。
PaaS利用企業のうち、AWS(Amazon Web Services)を利用している企業は60.0%と半数以上を占めています。次いでAzure(Microsoft Azure)が48.2%、GCP(Google Cloud Platform)が28.8%です。IaaS利用者では、AWSが40.3%、Azureが26.3%、GCPが13.7%でした。
クラウドに関する需要が高まっているため、インフラエンジニアにはクラウドに関する知識も求められるといえるでしょう。
関連記事:インフラエンジニアにAWSスキルが求められる理由
インフラ設計の知識とスキル
インフラエンジニアとして上流工程を担当するためには、インフラ設計スキルが必要です。インフラエンジニアとして数年間は、主に保守運用という下流工程を担う場合が多いでしょう。下流工程の作業になれたら上流工程の設計や構築を行うようになるので、設計スキルが必要になります。
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インフラエンジニアが英語を使えることで得られるメリット
インフラエンジニアの平均年収
2024年7月時点でレバテックキャリアに登録されている求人案件によると、インフラエンジニアの年収はおよそ626.5万円です。300万円を提示する求人をはじめ、の1200万円以上を提示している求人もあるなど年収の幅が広いため、実務経験の有無や技術力によって年収は大きく異なるといえるでしょう。
関連記事:インフラエンジニアの年収は?さらに年収を上げるポイントも紹介
インフラエンジニアのやりがいと注意点
インフラエンジニアにはやりがいもありますが、同時に注意点もあります。これについてはどのような職業でも同じでしょう。どちらの点も踏まえて、自分のキャリアプランと照らし合わせ選択することが必要です。知っておくことで選択のための材料になるでしょう。以下では、インフラエンジニアのやりがいと注意点をそれぞれ詳しく紹介します。
関連記事:インフラエンジニアのやりがいは?仕事内容や年収も紹介
やりがい
インフラエンジニアのやりがいには、「1人作業の機会も多いためキャリアアップしやすい」「事業基盤を支える職業である」が挙げられます。やりがいを知ることは、仕事に対するモチベーションを維持し、仕事を長く続けていく上で、とても大切です。それぞれ詳しく見ていきましょう。
実力主義で1人作業の機会も多いためキャリアアップしやすい
インフラエンジニアは、システムやネットワークの構築や運用・保守など、企業の基幹業務を支える重要な役割を担っています。そのため、確実に業務をこなせるスキルが求められるでしょう。具体的な成果が評価されるため、自分の技術力を磨けば市場価値が上がり、キャリアアップしやすいことに繋がります。また、1人で作業を進めることが多いため、自らの力で問題解決するスキルも身につくでしょう。
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インフラエンジニアもプログラミングスキルが必要な理由を解説
事業基盤を支える職業である
インフラエンジニアは、企業のITシステムを支えている職種です。今の時代においては、企業の事業基盤を支える役割を担っています。自分が構築したシステムが安定稼働し、サービスが円滑に提供されていることを実感できると大きなやりがいを感じるでしょう。さらに、自分が手掛けたシステムが企業を支えているので、やりがいにつながります。
注意点
インフラエンジニアにはスキルアップや企業の事業基盤を支えるやりがいがありますが、その一方で大変な部分もあるので注意が必要です。注意点をしっかり理解することで、心の準備をしておくことができます。また、自分に合った企業を選ぶための判断材料にもなるでしょう。
土日や深夜帯などに出勤を求められる可能性がある
インフラエンジニアはシステムの稼働状況を常に監視し、トラブルが発生した場合には迅速な対応が必要です。そのため、土日や深夜帯などに出勤することがあります。
またシステムの変更や改修作業がある場合には、システム利用者が作業している時間帯は避ける必要があるので、最初から深夜帯の出勤がシフトに組み込まれている場合も多いでしょう。
関連記事:インフラエンジニアに夜勤がある理由とは?回避方法も解説
インフラエンジニアに関するよくある質問
インフラエンジニアを目指している方や興味のある方の中には、どのような知識が必要かや未経験から目指す際の取得すべき資格についてなどに疑問を持っているようです。資格についても詳しく知っておくと良いでしょう。ここでは、インフラエンジニアに関するよくある質問について紹介していますので、似たような疑問を持っている方はぜひ参考にしてください。
Q1. 情報処理安全確保支援士試験はどのような資格ですか?
情報処理安全確保支援士は、情報セキュリティのスペシャリストを認定する国家資格です。セキュリティインシデントの管理体制構築およびインシデント発生時の対応を担い、支援するための技術を有していることを認定します。合格率は20%を下回るため、情報処理技術者試験の中でも難易度は高いです。
Q2. インフラエンジニアにはどのような知識が必要ですか?
スイッチやルーターといったネットワーク関連機器の知識のほか、ファイアウォールやロードバランサの知識、不正アクセスから守るためのセキュリティに関する知識、さらには最新の技術トレンドにも対応できるようクラウドに関連する知識も求められます。
Q3. AWS認定はどのような資格ですか?
Amazonのクラウドサービス「AWS」において、クラウドサービスに関する専門知識とスキルを有していることを認定する資格です。AWSはクラウドサービスの中でも世界トップクラスのシェアを誇るため、AWS認定資格は需要が高く、取得しておくと技術力のアピールにつながります。
Q4. 未経験から目指す際に最初に取得すべき資格は何ですか?
未経験から目指すなら、ITパスポートから基本情報技術者試験、応用情報技術者試験へとステップアップして資格取得を目指しましょう。インフラエンジニアは扱う分野が広いため、広く浅くスキルを身につけることが有効です。自分の興味がある分野を明確にしてその分野に特化した資格取得を目指すことをおすすめします。
まとめ
この記事では、インフラエンジニアに求められる知識とスキル、インフラエンジニアが取得すべき資格を解説しました。資格を取得することは、専門的な知識やスキルを証明するために有効な手段です。資格取得のための学習も、新たな知識とスキルを習得する効率的な機会となるでしょう。
また、インフラエンジニアになるにあたって役立つ資格と選び方のおすすめをご紹介しました。資格自体は多くあるため、どれから優先的に取得したらよいか迷う人は参考にしてみてください。
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