- DX(デジタルトランスフォーメーション)とは
- DX人材のスキルマップの指針「デジタルスキル標準」
- デジタルスキル標準に基づく5つのDX人材類型とそれぞれの役割
- DX人材に必要な共通スキルリスト
- DX人材に必要なマインド・スタンス
- DX人材に役立つ資格・検定
- DX人材のスキルに関するよくある質問
- まとめ
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、「企業がデジタル技術やデータを用いて事業を変革し、競争優位性を高めること」を指します。経済産業省のデジタルガバナンス・コード2.0の中では、「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」と説明されています。
このようにDXは、デジタル化・デジタルデータ活用・ビジネスモデル変革までを合わせた一連の施策を指す用語です。このことからDX人材も、エンジニア・マーケター・コンサルタントなど複数の職種が想定されています。
DX人材の定義
「DX人材」については、明確な定義があるわけではありません。一般的には、DXの推進に必要となるスキル、マインドを持った人材のことを指します。また、DX人材には、「現状を変え、慣習や旧来のビジネスモデルを改善する」「自分で考え、行動して解決する」「変化に対するアレルギーを示さない」など、複数のマインド・スタンスが求められます。
参考として、経済産業省、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)により2023年8月に改訂されたデジタルスキル標準ver.1.1を参照すると、デジタルスキル標準の対象人材は「デジタル技術を活用して競争力を向上させる企業等に所属する人材を想定」とされています。さらにデジタルスキル標準の中でも「DX推進スキル標準」は「企業・組織において専門性を持ってDXの取組みを推進する人材(DXを推進する人材)」を対象としており、これはDX人材の定義と非常に近いと考えられます。
注意が必要な点として、DX人材はデジタル分野の専門家に限らないということです。DXには確かにデジタル技術は欠かせませんが、その一方で企業の事業をよく知り、その改革を行うビジネスパーソンも必要です。後述するDX推進スキル標準の人材の類型のうち、ビジネスアーキテクトがこれにあたります。
IT人材との違い
IT人材とは、ITの活用や情報システムの導入を企画、推進、運用する人材を指す言葉です。非IT系の企業では情報システム部門やIT担当者がIT人材にあたります。また、IT業界の各種エンジニア職種もIT人材といえるでしょう。IT人材は、IT技術を専門として、業務の効率化などのメリットをもたらします。
DX人材もITを活用し情報システムの導入なども行いますが、ITの活用はビジネスの一つの方策であり、DXによる業務変革を最終的な目的としていることが大きな違いです。DX人材は企業の課題解決や経営戦略を実現し、新たな価値をもたらす人材といえます。
DX人材の需要増加の背景
DXの必要性は、経済産業省が2018年に発表したレポート『DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~』の前後より強く認知されるようになりました。しかしながら、多くの企業がDXに挑みながら成果に結びつかず、成功に導く人材が必要であると考えるようになったことで需要が大きく増加していると推測されます。
IPAによる「DX白書2023」では、依然として日本国内の80%を超える企業がDXを推進する人材の「量」「質」に不足を感じているという調査結果が報告されています。DXの取り組みの成果を実感できている企業は58%であり、米国の89%から大きく遅れをとっていることも、DX人材が求められる背景を裏付けるものです。
リスキリングなどの対策を講じてはいるものの、労働者人口の減少も相まってIT人材が不足している状況下では、DXを推進できる人材に強い需要が生まれることは自然な動きとも言えるでしょう。
DX人材不足の現状
前項でも説明していますが、IPAのDX白書2023においてDXを推進する人材の不足状況について詳細に報告されています。日本国内の企業の80%以上が質、量ともにDX推進人材の不足を感じているのですが、その要因として考えられるのがDXを推進する人材像が明確に定義できていないことです。
米国では、人材像を設定して社内に周知している企業は48%、設定しているが社内に周知はしていない企業が19.9%と人材像を設定している企業の方が多い状態です。日本では人材像を設定して社内に周知している企業は18.4%、設定しているが周知はしていない企業は12%にとどまっています。日本国内でもDXを推進する人材像が明確化できている企業ほど、DX推進人材の量的な不足が解消できているというデータもあるため、DX人材の明確化が急務といえそうです。
DX人材のスキルマップの指針「デジタルスキル標準」
デジタルスキル標準とは、2022年12月に経済産業省が発表したDX人材に関する個人の学習や企業の人材確保・育成方針です。2023年8月に生成AIの登場や進化によるスキルの変化に伴う改訂版が公表されました。
デジタルスキル標準はDX推進における人材の重要性を踏まえて、個人の学習や企業の人材確保・育成の指針として策定されました。さらに、デジタルスキル標準は「DXリテラシー標準」「DX推進スキル標準」の2つから構成されており、それぞれで指針内容が異なります。
-
・DXリテラシー標準:全てのビジネスパーソンが身につけるべき能力・スキルの標準
・DX推進スキル標準:DXを推進する人材の役割や習得すべきスキルの標準
DX人材を目指す方は、自身の展望や立場に応じて必要な標準を確認すると良いでしょう。
デジタルスキル標準に基づく5つのDX人材類型とそれぞれの役割
DX推進スキル標準では、DXを推進する5つの人材類型の役割や類型ごとに必要なスキルを定義しています。ここからは5つの人材類型についてくわしく紹介します。
DX推進スキル標準で定義された人材類型は以下の5つです。
類型 | 役割 |
---|---|
1.ビジネスアーキテクト | ・新規事業開発 ・既存事業の高度化 ・社内業務の高度化・効率化 |
2.デザイナー | ・サービスデザイナー ・UX/UIデザイナー ・グラフィックデザイナー |
3.データサイエンティスト | ・データサイエンティスト ・データサイエンスプロフェッショナル ・データエンジニア |
4.ソフトウェアエンジニア | ・フロントエンドエンジニア ・バックエンドエンジニア ・クラウドエンジニア ・フィジカルコンピューティングエンジニア |
5.サイバーセキュリティ | ・サイバーセキュリティマネージャー ・サイバーセキュリティエンジニア |
1.ビジネスアーキテクト
ビジネスアーキテクトとは、DX推進の取り組みにおいて目的を設定し、関係者の認識合わせや協働関係を調整するプロジェクトマネージャーのような立ち位置の人材です。デジタルを活用したビジネスの設計スキルだけでなく、設計したビジネス実現の責任、各専門分野のスペシャリスト達をまとめ、それぞれが自身のスキルを最大限発揮するためのリーダーシップなど多岐に渡る期待が寄せられます。
2.デザイナー
デザイナーとは、DX推進の視点、顧客やユーザーの視点を持ち総合的な視点で開発の方針やプロセスを設計、サービスのあり方のデザインを担う人材です。DX推進において見落とされがちな顧客やユーザーの視点を反映させたデザインの作成、非倫理的な要素の差し戻しなどが求められます。
3.データサイエンティスト
データサイエンティストとは、DX推進の取り組みにおいて必要なデータの収集や解析、蓄積したデータを活用した業務改革や提案を担う人材です。蓄積したデータを基に自社の競争力向上や顧客価値の拡大の施策検討を求められます。
関連記事:データサイエンティストとは?仕事内容や必要なスキル、学習法を紹介
4.ソフトウェアエンジニア
ソフトウェアエンジニアとは、DX推進の取り組みにおいてデジタル技術を活用した製品やサービスを設計から実装、運用まで担う人材です。高い技術力で自社や組織の競争力を向上させるだけでなく、変化の激しいIT業界で他のステークホルダーと柔軟に連携することを求められます。
関連記事:
フロントエンドエンジニアとは?仕事内容、年収や必要なスキルも解説
未経験からフロントエンドエンジニアになるには?志望動機の書き方も解説
クラウドエンジニアの需要が高い理由を解説!将来性や年収も紹介
5.サイバーセキュリティ
サイバーセキュリティとは、DX推進におけるデジタル環境のセキュリティリスクを洗い出し、対策の検討を担う人材です。サイバーセキュリティの専門性に特化したスキルセットより、他のステークホルダーと連携してセキュリティレベルと利便性のバランスを調整することを求められます。
関連記事:サイバーセキュリティのおすすめ資格11選!難易度と勉強方法も紹介
DX人材に必要な共通スキルリスト
ここからはDX人材に必要なスキルを確認していきましょう。デジタルスキル標準では、DX人材に必要な49個のスキルを5つのカテゴリと12のサブカテゴリで分類しています。ここからは各カテゴリごとに必要なスキルを確認していきましょう。
カテゴリ | サブカテゴリ |
---|---|
ビジネス変革 | 戦略・マネジメント・システム ビジネスモデル・プロセス デザイン |
データ活用 | データ・AIの戦略的活用 AI・データサイエンス データエンジニアリング |
テクノロジー | ソフトウェア開発 デジタルテクノロジー |
セキュリティ | セキュリティマネジメント セキュリティ技術 |
パーソナルスキル | ビジネススキル コンセプチュアルスキル |
カテゴリ1:ビジネス変革
ビジネス変革の中では3つのサブカテゴリが設定されています。それぞれのサブカテゴリで必要とされるスキルを確認していきましょう。
戦略・マネジメント・システム
戦略・マネジメント・システムには6つのスキルがあげられています。
ビジネス戦略策定・実行
ビジネス戦略を策定し、製品や商品のマネジメントを行うスキル
プロダクトマネジメント
商品やサービスの顧客に提供できる価値を明確にし、価値提供による収益を上げる方法を実現するスキル
変革マネジメント
DXを推進する上で障害となる文化や組織体制を明確にし、対策を検討するスキル
システムズエンジニアリング
複数の要素の相互関係を捉え、複数の専門領域にまたがる価値を最適化するための方法を検討するスキル
エンタープライズアーキテクチャ
組織の事業や業務、データやインフラなど様々な要素を整理し、階層構造化・標準化して全体を最適に調整するスキル
プロジェクトマネジメント
-
・短い期間での反復を繰り返し、ビジネス環境や要求事項の変化へ柔軟に対応するスキル
・複数を含むプロジェクトのプログラムをQCDを守って予定通りに遂行するスキル
ビジネスモデル・プロセス
ビジネスモデル・プロセスには6つのスキルがあげられています。
ビジネス調査
市場の規模や課題、トレンドや成長性を把握するスキル
ビジネスモデル設計
-
・成功要因や成長課題から、新サービスや商品の目的を策定するスキル
・コスト構造や収益モデルを選定し、売上を生み出す仕組みを設計するスキル
ビジネスアナリシス
-
・製品やサービスの提供に必要な工程や作業と現状や将来の姿を可視化するスキル
・現状と将来を比較して、重要な要素を明確にするスキル
検証(ビジネス視点)
開発した商品やサービスの持続性や優位性を維持し、不要コストの削減を検証するスキル
マーケティング
作成した商品やサービスの顧客層を明確にし、適切な方法で顧客に価値を届ける仕組みを実行・改善するスキル
ブランディング
自社組織のブランド性を高め、ファンの獲得など競合との差別化を図るスキル
デザイン
デザインには5つのスキルがあげられています。
顧客・ユーザー理解
顧客満足度や使用量の調査や、競合他社の設計・実施するスキル
価値発見・定義
ステークホルダーと協力して課題解決しつつ、ニーズを基にアイデアを生み出し価値の組み合わせを定義するスキル
設計
-
・顧客やユーザーのニーズを踏まえて必要なコンテンツや商品を明確にするスキル
・顧客やユーザーへの分かりやすさや見つけやすさを考慮して機能の取捨選択やコンテンツを選定するスキル
・ユーザーの使用しやすい外見や動的要素を設計するスキル
検証(顧客・ユーザー視点)
定義した価値の組み合わせをサービスや商品で顧客に提供できているか確かめるスキル
その他デザイン技術
-
・マーケティングに用いる画像やLPのグラフィックをデザインするスキル
・電子書籍やカタログ、配布資料を読みやすくレイアウトするスキル
カテゴリ2:データ活用
データ活用の中では3つのサブカテゴリが設定されています。それぞれのサブカテゴリで必要とされるスキルを確認していきましょう。
データ・AIの戦略的活用
データ・AIの戦略的活用カテゴリには次の3つのスキルがあげられています。
データ理解・活用
グラフや図などを活用してデータ分析の結果を正確に理解、背景を洞察するスキル
データ・AI活用戦略
事業戦略や組織の課題、顧客のニーズを踏まえてデータやAIを活用した課題解決案を提案するスキル
データ・AI活用業務の設計・事業実装・評価
データ・AI戦略上の目的実現に向けて分析内容を明確にし、アプロ―チを設計~実装し継続的に改善するスキル
AI・データサイエンス
AI・データサイエンスカテゴリには次のスキルがあげられています。
数理統計・多変量解析・データ可視化
統計学の知見を基に、データの解析や解析結果を洞察するスキル
機械学習・深層学習
機械学習や深層学習、様々な手法で適切な機械学習モデルの構築・評価するスキル
データエンジニアリング
データエンジニアリングカテゴリには次のスキルがあげられています。
データ活用基盤設計
データから成果を生む活用基盤の作成段階で、必要なシステム環境や収集データのカラム、テーブルの要件を固めるスキル
データ活用基盤実装・運用
データから成果を生むデータ活用基盤を実装し、効果的に運用するために必要なデータを扱うスキル
カテゴリ3:テクノロジー
テクノロジーの中では2つのサブカテゴリが設定されています。それぞれのサブカテゴリで必要とされるスキルを確認していきましょう。
ソフトウェア開発
ソフトウェア開発には10のスキルがあげられています。
コンピュータサイエンス
ソフトウェア開発に求められるデータ構造の理解や、アルゴリズム設計に関するスキル
チーム開発
チームでソフトウェア開発の生産性を高めるために必要なツールを活用するスキル
ソフトウェア設計手法
目的の実現に向けたソフトウェア実装に向けてデータ構造や内部構造を検討し、設計に落としこむスキル
ソフトウェア開発プロセス
ソフトウェア開発において開発計画や品質を管理するスキル
Webアプリケーション基本技術
Webアプリケーションの設計、開発に必要となる基本的なスキル
フロントエンドシステム開発
ユーザーが直接触れる画面を設計、開発するスキル
バックエンドシステム開発
ユーザーには見えないデータベースなどの設計、開発するスキル
クラウドインフラ活用
クラウドサービスを利用したシステムインフラの構築や運用するスキル
SREプロセス
開発と運用の関係を良くし、リリースサイクルの向上やサービスの安定を目指すスキル
サービス活用
基幹システムを含む社内のシステムや外部サービスとのデータ連携を行うスキル
デジタルテクノロジー
デジタルテクノロジーには3つのスキルがあげられています。
フィジカルコンピューティング
センサーやロボットをIoT化等を活用して物理的な事象をデジタル化するスキル
その他先端技術
上記以外の実装技術やWeb3など応用事例の少ない実装技術に関する知識を扱うスキル
テクノロジートレンド
新しいデジタル技術を応用したサービスやビジネスに関する知識をかみ砕くスキル
カテゴリ4:セキュリティ
セキュリティの中では2つのサブカテゴリが設定されています。それぞれのサブカテゴリで必要とされるスキルを確認していきましょう。
セキュリティマネジメント
セキュリティマネジメントには4つのスキルがあげられています。
セキュリティ体制構築・運営
-
・セキュリティ対策を実施する体制の構築や体制を維持するための運営を円滑に行うスキル
・組織のセキュリティレベルを上げる活動を行うスキル
セキュリティマネジメント
サイバー空間やIoT環境などのセキュリティマネジメントのプロセスを組織レベルで考え、実施するスキル
インシデント対応と事業継続
サイバー攻撃や障害など様々なリスクが重大な事件や事故に発展する可能性がある際に影響範囲を抑制し、事業の継続を可能とするためのスキル
プライバシー保護
パーソナルデータやプライバシーの保護に求められる要件の理解と実施するために必要なスキル
セキュリティ技術
セキュリティ技術には2つのスキルがあげられています。
セキュア設計・開発・構築
-
・デジタルサービスや製品の企画設計を行う際に、サイバー攻撃をはじめとした様々な悪意のあるアクセスへの対策基準や要件の明確化、要件を基にした設計や開発を行うスキル
・デジタルサービスの脆弱性を理解し、適切な判断を実施するスキル
セキュリティ運用・保守・監視
-
・デジタルサービスをセキュアに運用するための保守と対策を実践するスキル
・セキュリティに関する監視と事故に繋がる要因の解明を適切に実施するためのスキル
カテゴリ5:パーソナルスキル
パーソナルスキルの中では2つのサブカテゴリが設定されています。それぞれのサブカテゴリで必要とされるスキルを確認していきましょう。
ヒューマンスキル
ヒューマンスキルには2つのスキルがあげられています。
リーダーシップ
-
・プロジェクトや組織にゴール達成のイメージを伝達、良い関係づくりを通じて関係者の働きやすい環境をつくるスキル
・必要なタスクを明確にし、関係者のスキルセットなどを基に的確にタスクを振り分け、チームの生産性を高めるスキル
コラボレーション
意見の対立や矛盾を引き出して、議論を深めることで、顧客やユーザーを含めた多様な価値観の間で合意を得るために協働するスキル
コンセプチュアルスキル
コンセプチュアルスキルには4つのスキルがあげられています。
ゴール設定
-
・様々な視点から問題提起、未来を想像し、目的やゴールを設定するスキル
・合理的な判断だけでなく、時には感情や心理的反応へ訴える物語を作り、ゴールのビジョンを描くスキル
創造的な問題解決
複数の専門性や顧客の動向を踏まえて、これまでに無かった新しいアイデアを構築し、創造的に問題を解決するスキル
批判的思考
得た情報を鵜呑みにせず、自身の知見のフィルターを通して評価・信頼できる情報源を基に合理的な方法で選定するスキル
適応力
-
・変化に適応し、短い期間でサイクルを回してフィードバックを継続的に反映、改善していくスキル
・新たに必要なスキルを把握し、学習するスキル
DX人材に必要なマインド・スタンス
ここからはDX人材に必要なマインド・スタンスを8つご紹介します。2023年8月の改訂により、マインド・スタンスの項目追加や、既存の項目の中に新たなマインド・スタンスの内容追加が行われました。DXではIT技術だけでなく、IT技術を活用して成果につなげるためのマインドやスタンスもアップデートされているということです。
変化への適応
変化への適応は、環境や働き方の変化を受け入れるために自ら学習し続ける、既存の価値観を尊重しつつ変化に応じて新たな価値観を受け入れるためのマインドになります。
顧客・ユーザーへの共感
顧客・ユーザーへの共感は、多くの視点に立ちニーズや課題を見つけるためのマインドになります。
常識にとらわれない発想
常識にとらわれない発想は、既存のサービスが概念に囚われずに考える、従来の進め方に疑問を持ち改善の余地は無いか考えるためのマインドになります。
反復的なアプローチ
反復的なアプローチは、新しい取り組みや改善を小さいサイクルで行い、定期的に改善するためのマインドになります。
柔軟な意思決定
柔軟な意思決定は、既存の価値観に基づいた判断が難しい際に、必要に応じて価値創造に向けた意思決定を行うためのマインドになります。
事実に基づく判断
事実に基づく判断は、勘や経験だけでなく客観的な事実やデータを基に判断するためのマインドになります。適切なデータを用いることにより、事実やデータに基づく判断が有効になることを理解し、適切なデータの入力を意識して行うマインドです。
コラボレーション
価値創造のためには、様々な専門性を持った人と社内・社外問わずに協働することが重要であることを理解し、多様性を尊重するマインドです。
生成AI利用において求められるマインド・スタンス
2023年8月の改訂により、新たに追加されたマインド・スタンスです。生成AIの登場、進化に対応するため、下記の3つが求められます。
-
・生成AIを「問いを立てる」「仮説を立てる・検証する」等のビジネスパーソンとしてのスキルと掛け合わせることで、生産性向上やビジネス変革へ適切に利用しようとしている
・生成AI利用において、期待しない結果が出力されることや、著作権等の権利侵害・情報漏洩、倫理的な問題等に注意することが必要であることを理解している
・生成AIの登場・普及による生活やビジネスへの影響や近い将来の身近な変化にアンテナを張りながら、変化をいとわず学び続けている
DX人材に役立つ資格・検定
DXを推進する人材に必要なスキル、マインド・スタンスなどを身に着けるために役立つ資格や検定について紹介します。資格を選定する際には、人材類型なども意識して選択するとよいでしょう。DXのためのスキル習得と言っても何から始めるべきか迷う人は多いはずなので、資格取得は知識が体系化されている分取り組みやすいです。
+DX認定資格
+DX認定資格試験はIoT検定制度委員会DX認定プロジェクトにより運営される資格試験です。「DX推進するすべてのビジネスパーソンに向けて、ビジネスの現場でDXするための基礎力を測る認定資格」であり、一般的にいわれる「DXとは何か」についての知識を持つことが認定されます。DX推進に挑む際に、最初のステップとして活用できます。
DX検定™
DX検定™は正式名称は「DX検定™(日本イノベーション融合学会*ITBT(R)検定)」といい、一般社団法人 日本イノベーション融合学会と株式会社ネクストエデュケーションシンクが連携して実施している検定制度です。IT先端技術トレンド(IT)とビジネストレンド(BT)の知識検定であり、ビジネスパーソンがDX関連用語を理解するのに役立ちます。
DX推進アドバイザー認定試験
DX推進アドバイザー認定試験は一般財団法人全日本情報学習振興協会によって行われる認定試験です。DX推進の実務者を目指す方に向けた試験で、具体的には下記を対象としています。
-
・各業務のリーダー・一般管理職
・理系学生
試験内容は「DXの現状」、「DXの技術」、「DXの展開」の大きく3つの課題に分けられています。知識ベースの試験であり、こちらもDXの基礎的な理解に役立つ資格です。
ITストラテジスト試験
ITストラテジスト試験は、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が運営し、経済産業省が認定する国家資格「情報処理技術者試験」の高度分野の一つです。企業の経営戦略に基づき、ITによって事業の改革を行う基本戦略の策定、提案、推進をする立場の方に向けた資格で、CIO、CTO、ITコンサルタントに最適とされています。
企業において、ITを活用した基本戦略による事業変革を実現することは、まさにDXそのものであり、DX推進に関する高いスキルを示せる資格となります。直近の令和5年春期では合格率15.5%と難関です。
ITコーディネータ試験
ITコーディネータ試験は、特定非営利団体ITコーディネータ協会の運営する経済産業省推進資格です。企業存続や組織の成長のために、変革構想立案からシステム導入・評価改善までを一貫して推進・支援し、IT経営とDXを実現するプロフェッショナル人材向けに提供されており、DX推進人材にも適した資格試験といえます。資格認定には試験への合格と研修の終了、フォローアップ研修の受講などの条件があります。
AWS認定
AWS認定はクラウドサービスAWS(Amazon Web Services)を提供するAmazonによるベンダー資格です。
DXの実現において重要な課題としてITプラットフォームの構築および運用があげられますが、その際に利用されることの多い技術がクラウドサービスです。米国Synergy Research Groupが2023年8月に発表した調査結果によると、クラウドサービスの中でもAWSが2017年の調査開始からトップシェアを維持し続けています。
ITプラットフォームの構築もDXに欠かせない要素であり、その中でも著名なサービスにおけるスキルの保有はDX推進に向けた人材として有用といえます。
DX人材のスキルに関するよくある質問
DXを推進する人材のスキルに関するQ&Aを確認していきましょう。スキルアップの方向性やキャリアパスの検討にご活用ください。DXは名前ばかりが先行し、実際に何をすべきか多くの人が迷っている状況でしょう。DX自体は抽象的で幅がある概念なので、DXやDX人材について具体例を交えて把握していくことが重要です。
Q1. DXを推進する人材のスキル定義は?
DX人材に必要なスキルは、デジタルスキル標準において「企業や組織のDX推進における業務遂行に必要とされる知識や能力などの項目」と定義されています。ビジネス変革、データ活用、テクノロジー、セキュリティ、パーソナルスキルという大枠があり、これらの中でさらに細分化されます。
Q2. DX人材の具体例は?
デジタルスキル標準では、DX人材は16ロールに分類されており、ビジネスアーキテクトやUX/UIデザイナー、フロントエンドエンジニアやサイバーセキュリティマネージャーなどが含まれています。これらのロールは一人の人材が複数担う場合も想定されています。
Q3. DX人材の役割は?
DXを推進する人材の役割は、企業や組織において専門性を持ってDXの取り組みを推進することです。デジタルスキル標準では、スキルセットに応じて5つの人材類型、16のロールに分類されており、それぞれに果たすべき役割が分けられています。
Q4. DX人材に求められるマインド・スタンスとは?
デジタルスキル標準において定められているDXを推進する人材に求められるマインド・スタンスは以下の8つです。
-
・変化への適応
・顧客・ユーザーへの共感
・常識にとらわれない発想
・反復的なアプローチ
・柔軟な意思決定
・事実に基づく判断
・コラボレーション
・生成AI利用において求められるマインド・スタンス
Q5. DXにおいて重要なことは?
DXは企業が激しいビジネス環境に対応するために、データとデジタル技術を活用した事業変革です。単にITの仕組みを導入して業務効率化を図るだけでなく、新たな製品・サービス・価値を生み出し、ビジネスモデルや業務そのものも変えることをターゲットとした取り組みが重要なポイントとなります。
まとめ
DXは、企業が国際的な競争の中で今後も生き残るための重要な課題です。データやデジタル技術の活用により、新たな価値を生み出し、ビジネスモデルや事業そのものを変える取り組みといえます。
このDXの実現には多方面の専門的な知識、スキルをもった専門家による取り組みが必要です。このDX推進を実現する専門的なスキルを持った人材がDX推進人材です。
経済産業省ではDX推進を目的として、2022年にデジタルスキル標準を定めました。このデジタルスキル標準では、DX推進人材に必要なスキル、マインド・スタンスや人材類型とロールなどが提示されており、日本のDX推進の課題である人材育成に役立てるスキルマップの方針を示しています。
DXを推進する人材を目指すためには、デジタルスキル標準によりスキル習得の方針を定め、スキルの習得に励むことが効率的なルートとなります。是非ともデジタルスキル標準を参照し、今後を担う人材へのスキル習得プランをたてましょう。
ITエンジニアの転職ならレバテックキャリア
レバテックキャリアはIT・Web業界のエンジニア職を専門とする転職エージェントです。最新の技術情報や業界動向に精通しており、現状は転職のご意思がない場合でも、ご相談いただければ客観的な市場価値や市場動向をお伝えし、あなたの「選択肢」を広げるお手伝いをいたします。
「将来に向けた漠然とした不安がある」「特定のエンジニア職に興味がある」など、ご自身のキャリアに何らかの悩みを抱えている方は、ぜひ無料のオンライン個別相談会にお申し込みください。業界知識が豊富なキャリアアドバイザーが、一対一でさまざまなご質問に対応させていただきます。
「個別相談会」に申し込む
転職支援サービスに申し込む
※転職活動を強制することはございません。
レバテックキャリアのサービスについて