- 「AWS」「GCP」「Azure」の特徴
- 「AWS」「GCP」「Azure」の機能比較
- クラウドサービス活用のメリット
- クラウドサービス活用のデメリット
- AWS、GCP、Azureに関するよくある質問
- まとめ
「AWS」「GCP」「Azure」の特徴
まず、AWS・GCP・Azureの概要や市場シェアについて解説します。
AWSとは
AWSは、Amazonが提供する世界最大のクラウドプラットフォームです。市場シェア1位を独走しており、2023年時点で40%(※1)ものシェアを獲得しています。
AWSとは、単一のサービスを指す名称ではなく100以上のクラウドサービスの総称です。著名なサービスとしては、仮想実行環境を提供する「Amazon EC2」やDockerコンテナサービスの「ECS」があります。
AWSの特徴は「実績」と「使いやすさ」の2点に集約されています。AWSはシェア1位を独走しているだけあって、複数の大規模サービスで実績を持つプラットフォームです。また、仕様経験を持つユーザーやエンジニアが多く、Web上に公開されているノウハウも豊富です。AWSに対する疑問をWebで検索すると、比較的容易に解決策を得られるという利点があります。
GCPとは
GCPとは、Google社が提供する世界最大級のクラウドプラットフォームです。市場シェアは2023年時点で7.5%(※2)、クラウドプラットフォーム市場では4位のサービスです。クラウドプラットフォームとしては後発であるものの、先端ITの分野で強みを持つため、徐々にシェアを拡大しています。
GCPの特徴は「AI・機械学習関連のサービスが強い」ことです。AI・機械学習関連の開発では、GCPの活用が事実上のスタンダードになりつつあります。そもそもGoogle自体が自社サービスの中でAIや機械学習をふんだんに使用しているため、そのノウハウが流用されているわけです。
また、ネットワークの安定性が高いこともGCPの強みといえます。Googleのデータセンターは、独自開発のサーバーやネットワーク機器が使用されていることで知られています。特に「Jupiter」と呼ばれる独自開発のネットワークスイッチは、2005年頃に開発され、何度も改良を重ねながら使用されてきました。2015年にその存在が公になり、世界のIT業界を驚かせたという経緯があります。こうした独自開発の機器が、急激なトラフィック増減に耐えうるデータセンターを支えているのです。
Azureとは
AzureはMicrosoft社が提供するクラウドプラットフォームです。こちらも世界最大級の規模を誇り、市場シェアは2023年時点で21.5%(※3)、AWSに次いで2位に位置しています。
Azureの特徴は、「オンプレミス環境との親和性が高い」という点に集約されます。長らく業務用アプリケーションの定番であった「Officeシリーズ」のクラウド版である「Micosoft365シリーズ」との連携に強みを持ち、業務アプリケーションのクラウド化が容易です。また、社内ネットワークでオンプレミス型のActive Directoryを用いている場合、Azure AD(Azure Active Directory)の活用で容易にクラウド移行が達成できます。
できることの違いは?
AWS・GCP・Azureは3社ともクラウドサービスとして一通りのラインナップを揃えており、「できること」に大きな違いはありません。ただし、それぞれが得意とする分野はあります。そのため、まず「クラウドで何を実現したいか」を明確にしたうえで、該当する機能単位での比較を行うのが良いでしょう。
※1、※2、※3参考:Gartner Says Worldwide IaaS Public Cloud Services Revenue Grew 30% in 2022, Exceeding $100 Billion for the First Time
「AWS」「GCP」「Azure」の機能比較
次に、AWS・GCP・Azureの3サービスを比較していきます。
AWS・GCP・Azureのリージョン数、課金単位、無料期間
まず、3つのサービスの「リージョン数」と「課金単位」「無料試用期間」を表形式で確認していきましょう。
クラウドサービス | AWS | GCP | Azure |
---|---|---|---|
リージョン数 | 21リージョン (66アベイラビティゾーン) |
20リージョン (61ゾーン) |
55リージョン |
課金単位 | 秒もしくは時間単位 | 大半のサービスが秒単位 | 大半のサービスが分単位 |
無料試用期間 | 初回のみ12カ月一部機能が無料、一部機能は永続的に無料使用可 | 初回のみ3000ドル分のクレジットを含む90日の無料トライアル、一部機能は永続的に無料使用可 | 初回のみ200ドル分のクレジット付与、一部機能は永続的に無料使用可 |
リージョン数
リージョンとは、クラウドプラットフォームにおける「サービス提供地域」の区切りです。一般的には「領域」「地理的エリア」と翻訳されます。
課金単位
クラウドプラットフォームの課金単位は「利用時間」で区切られることが多いです。AWS・GCP・Azureも例外ではなく、次のような課金単位を採用しています。
無料期間
各サービスはそれぞれ無料期間を設定しています。いずれも条件が異なるため、使用する際は必ず確認しましょう。
AWS・GCP・Azureの分野別機能比較
次に、分野別の機能比較を行います。3つのクラウドプラットフォームは、いずれも数十〜100程度のサービスが存在するため、すべてのサービスを網羅することは難しいでしょう。主要な分野をピックアップし、各プラットフォームの得意分野を把握しておくことで、クラウド移行がスムーズに進められます。
今回ピックアップしたのは、以下の5分野です。
-
・クラウドコンピューティング・コンテナ
・アナリティクス
・データ活用基盤
・ネットワーク
・機械学習
以下、各分野の機能をサービスごとにまとめて確認しましょう。
AWS | GCP | Azure | |
---|---|---|---|
クラウドコンピューティング | EC2 | Compute Engine | Azure Virtual Machines |
コンテナ | Fargate | Cloud Run | Container Instance |
アナリティクス | Amazon Athena | Google BigQuery | Azure Data Lake Analytics |
ストレージ | Amazon S3 | Cloud Storage | Azure Blob |
ネットワーク | Amazon Virtual Private Cloud | Virtual Private Cloud | Azure Virtual Network |
機械学習 | 機械学習モデル構築…Amazon SageMaker 自然言語処理…Amazon Comprehend 画像認識…Amazon Rekognition 翻訳… 深層学習を応用した音声読み上げ…Amazon Polly |
機械学習モデル構築…AI Platform 自然言語処理…Cloud Natural Language 画像認識…Cloud Vision 翻訳…Cloud Translation 深層学習を応用した音声読み上げ…Cloud Text-to-Speech |
機械学習モデル構築…Azure Machine Learning 自然言語処理…Language Understanding 画像認識…Computer Vision 翻訳…Translator Text 深層学習を応用した音声読み上げ…Speech Services |
クラウドコンピューティング
AWSのEC2は仮想マシンのラインナップが非常に豊富です。CPUやメモリなどリソースの組合せを自由に選択でき、その種類は100以上に及びます。計算リソースをきめ細やかに設定できることから、規模に応じて最適な仮想環境を構築できるでしょう。
GCPのCompute Engineは、処理性能が非常に高く、一説では3つの仮想マシンの中で最も起動時間が早いと言われています。また、インスタンス作成が数十秒で完了し、環境構築と廃棄のサイクルがスムーズに回せることも強みです。
Azure Virtual Machinesはハイブリッド環境の構築で強みを発揮します。これはAzure Stackという機能で実現されており、オンプレミス環境をベースとしつつ、社内向けのプライベートクラウドやホスティング型のパブリッククラウドを容易に構築可能です。また、Azure Stackは仮想マシンのパフォーマンスやセキュリティを一か所で管理できる「Azure Advisor」によって管理コストを低減できる点も特徴のひとつです。
以上の事柄を総合すると「カスタマイズの柔軟性ならばAWS」「単純な処理速度ならばGCP」「管理機能やオンプレミスとの併用を重視するならばAzure」と結論できます。
コンテナ
コンテナサービスは、コンテナのライフサイクルを管理する「コンテナオーケストレーター」、コンテナイメージを管理・配布する「コンテナレジストリ」などで構成されています。
AWS・GCP・AzureすべてがKubernetesサービスを提供しており、コンテナ運用の負荷軽減に役立てることが出来ます。一方、ラインナップを見ていくと、AWSはコンテナオーケストレーター・コンテナレジストリ・kubernetesサービスなどコンテナ関連のサービスを一通り保有しています。これに対し、GCPにはコンテナオーケストレーターがありません。また、Azureは既存アプリのコンテナ化に対応しておらず、ラインナップの豊富さではAWSが最も優秀です。
ただし、開発環境の快適さという点から見ると、GCPが最も優秀かもしれません。これは、Googleが長い間、自社のクラウド基盤にコンテナ環境を採用してきたからです。Googleは自社開発・運用のノウハウを社外向けサービスとして提供する能力に定評があります。また、Kubernetesも元をたどればGoogleのコンテナ管理ツールがOSSとなったものです。
以上の事柄を総合すると、コンテナに関しては「何でもできる便利なAWS」「性能と実績のGCP」と言えるでしょう。
アナリティクス
アナリティクスサービスでは、「データ分析」や「データ活用」に関する機能を提供します。AWSは、Amazon Athenaはオブジェクトストレージ「S3」と連携しながら、データレイク上に直接SQLでアクセスすることができます。
GCPの「BigQuery」は、Googleが自社サービスで使用している技術を応用し、大容量データを分散環境で高速に処理する能力に長けています。BigQueryは数兆件のデータを数秒で検索可能とも言われるほど高速で、「速さ」を求めるシステムには最適なツールだといえるのではないでしょうか。
Azure Data Lake Analyticsは、SQLと似たデータベース言語である「U-SQL」を使用し、ジョブ実行によって大容量データを処理します。
いずれもサーバーレス環境での運用が可能です。アナリティクスサービスはデータ量やデータの質にもよるため単純比較が難しいものの、単純なクエリ実行時間であればGCPの「BigQuery」が最も優れているといえるでしょう。
ストレージ
ストレージは、ビッグデータ活用や分析作業の土台となるサービスです。また、企業のDX推進はデータ活用が鍵になるため、ストレージを中心としたデータ活用基盤の優秀さは要注目の選定ポイントです。
AWSについては、「Amazon S3」がストレージサービスの中核であり、あらゆるデータをS3に読み込んでデータレイクを構築することができます。また、データレイクのデータをETLサービス「Glie」で整形したのち、SQLで直接アクセスして使うこともできます。
GCPの「Cloud Storage」は、複数のストレージクラスをAPIで操作できる点が強みです。また、冗長化構成やレイテンシの低さなど、安定性と速度にも定評があります。
Azureの「Azure Blob」は、特に冗長性に優れており、リージョンやデータセンターが何らかの理由でダウンしたとしても、データが失われないというメリットがあります。また、自然災害などでリージョンやデータセンターへアクセスできないときでも、運営元であるMicrosoft社が同期先に切り替え作業を行なうため、自社での接続先変更作業が必要ありません。さらに、読み取り専用ではあるものの、同期先へのアクセスも可能です。
以上のことから、「データレイクとしての活用ならばAWS」「レイテンシの低さならばGCP」「冗長性を重視するならばAzure」と言えるのではないでしょうか。
ネットワーク
ネットワークサービスについては、サービス内容に優劣がつけにくい状況です。3社ともに、IPアドレスの持ち込みやオンプレミス環境との接続などが可能です。DNSサービスについても同様で、3社いずれも権威DNSを中心としたサービスを提供しています。どのDNSサービスを使用しても大きな差はないでしょう。ただし、VPNサービスについてはGCPのみIPsec VPNとなっている点に注意が必要です。IPsec VPNを用いた通信では、グローバルIPアドレスの保持が前提となるため、設定に多少の手間が必要です。もし通信拠点にグローバルIPアドレスが設定できない場合は、Cloud VPNやジャンプサーバー(踏み台、中継店)を経由して接続する必要があります。
機械学習
クラウドプラットフォームのサービスとして、近年注目を集めているのが機械学習の分野です。機械学習の分野で中心となるのは「機械学習モデルの構築」に関するサービスです。AWSでは「Amazon SageMaker」、GCPでは「AI Platform」、Azureでは「Azure Machine Learning」といった機能が該当します。また、自然言語処理、画像認識などのサービスも頻繁に使われています。
ただし、AWSには「センサーデータ分析による異常動作検出」「エンドツーエンドの産業機器監視」「産業用機械の状態モニタリングサービス」など、製造業などを対象としたサービスが用意されています。こうしたサービスはGCPやAzureに存在せず、AWS独自のものと言って良いでしょう。
また「機械学習モデル構築」ではAWSのAmazon SageMakerが「学習済みモデルの豊富さ」で強みを持っており、GCPは「バックエンドの処理能力の強さ」が持ち味だと言えます。さらに「自然言語処理」では、AWSが「医療分野」、GCPが「固有表現や構文解析」、Azureが「チャットbot向け機能」という具合に、それぞれ異なる強みを持っています。
AWSは医療分野向けの自然言語処理サービス「Amazon Comprehend Medical」の応用によって医療記録の分析や治療法の抽出などが可能です。これに対しGCPは、「Google Assistant」で使用された自然言語理解システムを応用し、固有表現・感情分析・構文解析などを得意とします。Azureは人の発言の意図を理解する仕組みを利用し、チャットbotや音声対応などカスタマーサービス向けのプラットフォーム構築に活用されているようです。
このように、3社とも機械学習の分野には非常に力を入れており、単純比較が難しい状況にあります。まずは用途と目的を整理したうえで、最適なサービスを選定していくべきでしょう。
AWS・GCP・Azureの総評
これまでの内容から、総合的に見て3者の間に決定的な差はないと言えそうです。ただし、次のように大まかな特徴があることはわかります。
-
・AWS…ラインナップの豊富さ、使いやすさ
・GCP…高速な処理速度
・Azure…オンプレミス環境とクラウド環境の融合(ハイブリッド化)が容易
クラウドサービス活用のメリット
クラウドサービスを活用することで、従来のオンプレミス環境と比較して複数のメリットがあります。この章では、クラウドサービスを活用するメリットを紹介します。
導入コストを抑えられる
クラウドサービスを活用する大きなメリットは、初期の導入コストを抑えられることです。クラウドサービスはインターネットを経由してサービスを利用するため、サーバーや周辺機器といった設備への投資や物理的な環境構築が不要となります。
自社でサーバーなど用意するオンプレミスの場合は大規模なデータセンターの構築やメンテナンスに多額の費用がかかりますが、クラウドサービスではそういったコストがかかりません。そのため導入コストを抑えられます。またクラウドサービスは従量課金が一般的で、実際に利用したリソースやサービスに対してのみ料金が発生します。そのため利用者は必要なときに必要な分だけリソースを利用でき、無駄なコストを抑制できます。
システム構築の時間を短縮できる
システム構築の時間を短縮できることもクラウドサービスを利用する大きなメリットです。クラウドサービス事業者が予め用意している環境やサービスが豊富なため、企業はイチからシステムを構築する必要がありません。そのため必要な機能やサービスを選択し、設定するだけでシステムを迅速に構築できます。
またクラウドサービスではリソース拡張が簡単にできます。需要の変動や急激なアクセスの増加等に対して、クラウドサービスは迅速に対応できるため、システムを柔軟にスケーリングできます。そのため企業は将来の成長や変化に対応しながら、リソースを効率的に利用できるため、構築時間を短縮できます。
オンプレミスでシステム構築を行う場合、使用するハードウェアの検討や購入、システムの設計を行う必要があるため導入から利用開始までに数ヶ月以上の期間を要することが多いです。また急激な変動に対しても、場合によっては機器の交換などが発生するため、対応までに多くの時間を要してしまいます。そのためクラウドサービスの利用は早期に利用を開始したいサイトや、スモールスタートしたいプロジェクトにとっては特に大きなメリットとなります。
運用コストを抑えられる
クラウドサービスを利用する場合、運用コストを抑えられます。オンプレミスの場合、物理的なサーバーやネットワークインフラ設備の維持や更新、保守には多くのコストと時間がかかります。一方クラウドを利用する場合はこれらの業務をクラウドサービス事業者が行います。
その運用にかかるコストはクラウドサービスの利用料金に含まれるため、利用者は運用・保守にかかるコストを削減できます。またクラウドサービスは自動化が進んでおり、運用業務の自動化によって人的ミスを減らせます。例えば自動でサーバーのスケーリングやリソースの最適化が行われます。そのため人的作業が不要となり、人件費を削減できます。
またクラウドサービス事業者は大規模かつ効率的なデータセンターを運用しており、エネルギーコストや施設管理コストを最適化しているため、オンプレミス環境を運用する場合よりコストが低くなる場合が多いです。
クラウドサービス活用のデメリット
クラウドサービスには多くのメリットが存在する一方で、デメリットも存在します。そのためクラウドサービスは、メリット・デメリットを理解した上で使用する必要があります。この章では、クラウドサービスのデメリットについて紹介します。
カスタマイズの自由度が低い
クラウドサービスを活用するデメリットの一つは、カスタマイズの自由度が低い点です。クラウドサービスを利用することで簡単にサーバー環境を用意できますが、一方でクラウドサービス事業者が用意している範囲でしかサーバー環境を構築できません。
クラウドサービスは、標準的な機能や仕様に基づいています。そのため自社独自の要件や業務プロセスに合わせるなど特定のシステムを構築する場合、システム構築に必要なサービスがクラウドサービス事業者から提供されておらず、要件を満たせないことがあります。そういった場合には要件に合わせて設計・サービスが選択できるオンプレミスの方が向いているでしょう。
またクラウドサービスのアップデートや変更は、一括で行われるのが一般的です。これにより導入される新機能や変更は利用者が直接管理できる範囲を超えてしまいます。そのため利用者が独自のカスタマイズを行っている場合には、アップデートによる影響を受ける可能性があります。
サービスが終了・停止する場合がある
クラウドサービスはサービス停止となることや最悪の場合にはサービスが終了するおそれがあります。クラウドサービスはネットワーク障害が発生した場合やサイバー攻撃を受けた場合など、復旧までサービス停止となる場合があります。また使用されにくくなった技術に対応したサービスは終了してしまう場合があります。
IT技術は日々進歩しています。そのため古くなり使用頻度が低くなった技術のサービスは、クラウドサービス事業者の運用コストとサービス料の採算が取れなくなり、サービスを終了させてしまうことも考えられます。
そのためクラウドサービスを利用する際には、サービス終了ポリシーやデータの取り扱いについて事前に確認し、終了や停止となった場合にどうすべきか、対応策を考えておくことが必要となります。
インターネット環境の影響を受けやすい
クラウドサービスがインターネット環境の影響を受けやすい理由はネットワークに依存しているためです。これはサービスへのアクセスやデータ転送が、インターネットを介してクラウドサービスのデータセンターとユーザーのデバイス間で行われるためです。
クラウドサービスはデータ処理を遠隔のサーバーで実施します。その結果はインターネットを介してユーザーに戻ってくるため、インターネットの接続が安定していない場合や通信遅延が発生すると、サービスの利用に支障が生じる可能性があります。
これはリアルタイムのデータ処理や要求に対して特に影響が大きくなります。一方でオンプレミス環境では、通信が組織内のローカルネットワークで完結するため、外部のインターネット環境の影響を受けにくい傾向にあります。データセンターが組織内にあり、社内のネットワークでデータの受け渡しが行われるため、通信の遅延が発生しにくいです。
AWS、GCP、Azureに関するよくある質問
この章では、AWS、GCP、Azureに関するよくある質問について回答します。
Q1.AWS、GCP、Azureの強みは何ですか?
AWS、GCP、Azureにはそれぞれ以下のような強みがあります。
AWS
-
・サービスが多いため、使用したい要件に合わせてサービスが選べる
・クラウドサービスの中で一番シェア率が高く、エンジニアも多いためインターネット上や書籍で情報を集めやすい
・世界中にデータセンターを持っているため、世界中の顧客を相手にする場合にもデータの遅延等が少ない状態でサービスを提供できる。
GCP
-
・他のクラウドサービスよりも、データ分析やAI・機械学習に強いサービスが存在する
・Google WorkSpaceなどGoogle製品との連携が容易に行える
Azure
-
・他のクラウドサービスよりもセキュリティが高い
・Microsoft 365などMicrosoft製品との連携が容易に行える
Q2.AWS、GCP、Azureのそれぞれのシェア率を教えてください
AWS、GCP、Azureのシェア率はそれぞれ以下のようになっています。(2023年12月現在)
-
AWS:40.0%GCP:7.5%
Azure:21.5%
シェア率のランキングとしてはAWSが第1位、Azureが第2位、GCPが第4位となります。
参考:Gartner Says Worldwide IaaS Public Cloud Services Revenue Grew 30% in 2022, Exceeding $100 Billion for the First Time
まとめ
パブリッククラウドに関しては、現状、AWS、GCP、Azureの3つが市場シェアの多くを占めています。日本国内でもクラウド関連のプロジェクトはこの3つのうちいずれかを使用しているものが大半です。これらのプラットフォームの特性を理解したうえで、スキルを身に付けられれば、今後クラウド人材として市場価値を高められるでしょう。
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