M2Mともユビキタスとも異なるIoT~「つながり」を作る分散型の仕組みとは?IoT技術とは?活用事例・周辺技術・課題も併せて解説

最終更新日:2021年8月24日

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IoT(Internet of things)とは、インターネットを介して人間とモノがつながる状態を指す概念です。小型デバイスや高速・広域通信の発達で、今後はIoTが生活の中に浸透していくと予想されます。ITエンジニアとしてのスキル・経験を活かしてキャリアの選択肢を増やすためにも、IoT技術の動向は必ず抑えておきたいところです。ここでは、IoTを構成する技術的な要素や活用事例、周辺技術、課題などを解説しています。

1. IoT技術とは?

まず、IoTの概要と主要な技術要素を紹介します。

IoTとは

IoTとは「Internet of things(モノのインターネット)」を略した言葉です。日本では2015年ころから急速に広まった概念で、デジタルデバイス・産業機械・自動車・家電・その他さまざまなデバイスがインターネットを介してつながる様子を表しています。一般的には「デバイスに装着されたセンサー検知したデータをインターネット経由で収集・分析し、活用する仕組み」がIoTシステムと呼ばれます。

IoTという言葉は、1999年にマサチューセッツ工科大学のケビン・アシュトン氏が用いたことで知られるようになりました。しかしその後は、機械同士がつながる「M2M(Machine to Machine)」やネットワークとデータの遍在を表す「ユビキタス」といった概念が台頭したこともあり、それほど注目されていなかったようです。

ちなみにIoTは、デジタルデバイスやネットワークがあらゆる場所に存在するという点で、ユビキタスと似ています。しかし、データ収集と解析・活用も視野に入れている点でユビキタスとは異なる概念だと言えるでしょう。

IoTを構成する技術要素

IoTは複数の技術で構成される仕組みです。2021年時点では「無線通信」「SoC搭載の小型デバイス」「センシング技術」「ソフトウェア(アプリケーション)」の4つによって構成されています。

無線通信

デバイスをローカルネットワークやインターネット接続するために、無線通信が使われています。無線通信の規格としては、モバイル回線にも使用される長距離向けの3G・4G・5G回線や、近距離向けのWi-fiなどが一般的です。しかし近年は、通信速度よりも距離・安定性・コスト(省電力性)を重視したIoT向けの通信規格「LPWA」も普及し始めました。

SoC搭載の小型デバイス

IoTで使用されるのは「SoC」と呼ばれる組込み型の技術です。SoCにはCPUをはじめとした各種コントローラが集約されており、超小型でありながら単体で動作するデバイスを構築する際に使用されます。

センシング技術

センシング技術とは、センサー(感知器)を使用して種々の情報を計測し、定量化(数値化)する技術を指します。IoTで使用されるセンシング技術としては、超長距離での活用を視野に入れた「リモートセンシング」と、温度・光・衝撃といった人間の感覚に即した情報を検知する「スマートセンシング」の2つが代表的です。

IoTではデバイス上に何らかのセンサーを配置し、センサーが検知した情報を収集・分析することが多いです。したがって、センシング技術の向上はIoTの進化に直結していると言えます。

アプリケーション

IoTでは、センサーを搭載したデバイスから収集した情報を、専用のアプリケーションで分析し、活用につなげていきます。また、デバイスをリモートで操作するためのアプリケーションも必要です。そのため、「可視化」「通知」「制御」などの機能を持つアプリケーションが開発されています。

2. IoTの活用事例

次に、IoTの活用事例を紹介します。IoTはBtoC、BtoB双方で活用が進んでいるため、2つの領域から事例をピックアップしました。

BtoC領域の活用事例

BtoC領域では、紛失防止や見守りなど「可視化」「通知」などの機能を持つIoT技術が活用されています。

コロナ禍における商業施設内の混雑状況を事前に可視化

東京都内のある商業施設では、IoT技術によってコロナ禍に対応した混雑回避のための仕組みを実現しています。消費者自身が来店前に商業施設の混雑状況を知ることで、三密を回避できるような仕組みを目指したとのこと。

具体的には、AIを搭載した小型カメラの映像をクラウドシステムへ送信し、施設内の混雑状況をイラストで表示しています。ここで注目したいのは、消費者のプライバシー保護の観点から、小型カメラで撮影した映像をそのまま使用せず、イラストを用いた画像に置き換えている点です。

小型カメラ側では、撮影した映像をベースに来店者の「位置」や「数」を数値化し、クラウドシステムへ送信します。クラウドシステム側では、受信したデータをイラストへ変換し、疑似的な館内情報をリアルタイムに提供しています。「数値化⇒イラスト化」という過程を経ることで、「プライバシー保護」と「リアルタイムな情報の可視化」を両立しているわけです。

このように、一定の処理能力をもったIoTデバイスを「エッジコンピューティング」や「エッジIoT」と呼びます。エッジコンピューティングを用いることで、情報を吸い上げるクラウドシステム側の負担が軽くなり、低コストで遅延の少ない仕組みを構築することが可能です。

タグ方式の紛失防止デバイス

IoT技術を「紛失防止」に役立てている企業もあります。この企業では、ICチップを内蔵した小型タグと、タグを検知するアプリケーションによって、小型タグの場所を通知する仕組みを構築しました。

ICチップ内蔵の小型タグを所持品に装着すると、スマートフォンにインストールした専用アプリケーションが存在を認識するようになっています。移動前にアプリケーションから小型タグの存在を確認することで、忘れ物の発生を防止できるわけです。

また、紛失の際には、他のスマートフォンや任意の場所に設置されたセンサースポットなどと連携し、小型タグを添付したモノを探すこともできます。

電球内のIoT SIMを遠隔見守りに活用

IoT技術を用いた電球を、遠隔見守りに活用する事例もあります。この事例では、センサーと通信機能を内蔵した電球から「照明の利用時間」をクラウドシステムへ送信し、屋内の照明利用時間が不自然に増減していないかを監視することができます。

この仕組みの特長は、照明の利用時間(電球のON/OFFデータ)から生活リズムの変化を検知しつつ、対象者のプライバシーも保護できる点です。映像情報を使用せずに照明の稼働状況を収集することで、プライバシー保護を実現しています。

電球に内蔵されているIoTデバイスには、LTE通信機能が搭載されており、照明の利用状況をAPI経由でクラウドシステムへ送信します。また、クラウドシステムから見守り対象者の家族へと通知が行われる機能もあります。電球という昔ながらの生活家電の中にIoT技術を組み込むことで、生活の中にテクノロジーをうまく浸透させた事例と言えるでしょう。

BtoB領域の活用事例

BtoB領域では「予測」「観測」の精度向上に向けた活用が進んでいます。予測や観測の精度を向上することで、安全性を高めたりシステムの運用方法を改善したりといった使われ方が多いようです。

AI+IoTによる故障確率予測システム

国内の大手保険会社では、AIとIoTを組み合わせたシステムを開発しました。また、同システムで検知した予兆に基づいた対応に対する補償なども提供しています。

例えば石油化学プラントでは、プラントを構成する機器が正常に動作していても、石油の流量・圧力・温度など複数の要因が重なりプラントが停止することがあります。こうしたトラブルは個別の機器から判断しにくく、プラント運用者の経験に頼ることが多かったそうです。

しかし、熟練のプラント運用者の確保が年々難しくなり、デジタル技術による効率化が求められるようになりました。この課題を解決するのが前述の故障確率予測システムです。

同システムでは正常稼働時の各種データ(圧力、水位、流量、温度など)をAIが学習し、新規に取得したデータが正常なカテゴリに分類されるかを判断します。また、各種データの取得にはIoTデバイスが使用されており、各種データを定量化して送信できるようになっています。

IoT+クラウド活用による気象観測システム

国内のIoTシステムベンダーでは、IoTデバイスとクラウドを組み合わせた気象観測システムを提供しています。このシステムでは、複数のIoT技術を活用した気象センサーで風速・風向・雨量・湿度・温度などを計測し、クラウドシステムへと送信します。クラウドシステム側では送信されたがグラフなどで可視化され、利用者はいつでも詳細な気象状況を把握できます。

従来の気象観測システムでは設置が難しかった場所にもセンサーを置けるようになったことで、柔軟な気象観測が可能になりました。また、小型デバイスを中心としたシステムゆえに、コストパフォーマンスも優れているようです。こうした強みを活かし、工事現場による安全対策や宅地造成前の事前環境調査、地域の防災・減災対策などでの活用が期待されています。

気象観測データでダム運用の効率化

国内の大手電力会社が中心となって開発された、ダム運用の改善に向けたIoTシステムの事例です。IoTデバイスで気温・雨量・積雪量などを計測し、これに予測結果を加味することでダムに流入する水量や時期の予測精度を向上させます。

ダムの運用では、流入する水の量や水位を動的に計測し、発電運用計画に役立てる方法が一般的でした。これに気象観測データを加えることで、ダムの発電量を向上させようという狙いがあるようです。

3. IoTを支える周辺技術

IoTはいくつもの技術に支えられている仕組みです。ここではその中でも特に重要度が高いものをピックアップして紹介します。

5G(第5世代移動通信システム)

5Gは4Gの20倍の通信速度(20Gps)を誇り、同時接続可能な機器数も10倍(1㎢あたり100万デバイス)に増加しています。また、遅延速度は4G比で10分の1(1ms)まで低下していることから、高速・大容量・低遅延なネットワークに大量のIoTデバイスを接続することが可能です。

IoTシステムでは、デバイスから吸い上げる情報量が多くなると遅延や通信速度の低下が発生し、リアルタイム性が維持できなくなるという課題がありました。しかし5Gが普及すれば、こうした課題は解決されるかもしれません。

LPWA(Low Power Wide Area)

LPWAは無線通信規格のひとつで、その名のとおり「低消費電力かつ広域での通信」を想定しています。また、長距離でも安定した通信状況を保ちやすいというメリットもあります。5Gや4Gに比べると通信速度は大きく劣る一方、ボタン電池レベルの低電力で数km~数十kmレベルの長距離伝送を年単位で継続できるため、IoTシステムの構築に欠かせない技術です。2021年時点では、無線通信免許が必要な「ライセンスバンド」と、免許が必要ない「アンライセンスバンド」があり、それぞれに複数の規格が紐づいている状態です。

LPWA規格の注目株としては、SONYが中心となって開発した「ELTRES(エルトレス)」が挙げられます。ELTRESは100km以上の長距離伝送に加え、時速100kmを超える状況でも通信が可能だとされています。

電子タグ(RFID)

IoTシステムでは情報収集を電子タグによって行うことがあります。電子タグに関する仕組みとしては「RFID」が挙げられます。RFIDは、リーダー/ライターから発する電磁波/電波を動作電力とし、任意の信号を送受信できることが特徴です。RFIDは交通系電子マネーの「Suica」や「ICOCA」にも採用されており、数十cm~数十mレベルの近距離通信を得意とします。

M2M(Machine to Machine)

M2M(Machine to Machine)とは、マシン(機械、デバイス)同士がネットワークで直に接続され、相互に情報をやり取りしながら自動的に制御を行う仕組みを指す言葉です。ネットワークでデバイス同士が接続されるという点では、IoTに似ています。しかし、IoTは機械以外のあらゆる”モノ”から情報を取得し、なおかつインターネットを活用するという点でM2Mとは異なる概念です。

ただし、M2Mによる「機械と機械の接続・制御」はIoTにも活かされています。例えばビルの照明をリモートから監視・制御する仕組みでは、ビル内の人感センサーを制御機器でコントロールします。この状態はM2Mですが、人感センサーをインターネット経由でクラウドへ接続し、クラウド上の制御コンソールでコントロールする場合は、IoTシステムになるわけです。このようにM2MとIoTは明確な線引きが難しく、関係性の高い技術のひとつと言えます。

エッジコンピューティング

エッジコンピューティングとは、エッジ(システムの末端、先端)にあるデバイスに一定の処理能力を持たせる仕組みや考え方のことです。IoTシステムでは、多数のIoTデバイスから収集した情報をクラウドシステムに送信し、クラウドシステム側で分析・可視化などを行うケースが一般的でした。しかしこのケースでは、クラウドシステムに負担がかかるほか、データを送信するネットワークにも相応のスペックが求められます。つまり、全体的に高コストな仕組みになりがちで、なおかつ負荷による遅延や不具合の発生も懸念されるわけです。

一方、エッジコンピューティングではIoTデバイス側に数値化・定量化処理を担当させることで負荷を分散しています。また、処理完了後に本当に必要なデータのみを送信することで、低速で安価なネットワークであってもリアルタイム性に優れたシステムを構築しやすくなるわけです。

4. IoT技術の課題とは?

最後にIoT技術の課題を解説します。2021年時点で発生している技術的課題としては、以下2つが挙げられるでしょう。

ネットワーク負荷の増大

IoTデバイスを多数配置することで通信拠点が増加し、それにともなって通信量(トラフィック)も増加することから、ネットワークが常にキャパシティオーバーのリスクに晒されます。これを解決するためには、分散型かつ自律的に負荷調整を行うネットワークの普及が必要になるでしょう。ただし、現時点でもLPWAやエッジコンピューティングの活用で、ある程度は緩和することができるようです。

ネットワークセキュリティ

IoTデバイスから送信されるデータを保護するにあたり、デバイスごとに暗号化技術を実装する必要があります。しかし、IoT機器側の処理能力や電力が不足し、暗号化技術を稼働させることができないこともあるようです。小さなリソースでも十分なデータ保護能力を発揮する暗号化技術の登場が期待されています。

5. まとめ

IoT(Internet of Things)は2015年ころから急速に広まった概念で、インターネットを介して人間やデバイスがつながる状態を指します。小型デバイスや高速・広域通信の発達で、今後数年でIoTが生活の中に浸透すると予想されます。IoT業界ではITエンジニアとしてのスキル・経験を活かす土壌があります。キャリアの選択肢を増やすためにも、最新の事例や技術動向を押さえておくことが重要です。

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