IoTや自動運転などの業界で組み込みエンジニアの堅調な求人増加が続く可能性がある組み込みエンジニアの年収相場は?仕事内容や需要が将来性についても解説

最終更新日:2022年11月8日

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組み込みエンジニアは、電気機器などの制御システムの設計・開発を行う職種です。IoTやロボット、ヘルスケア、自動運転といった業界でも組み込みエンジニアへの需要は堅調だと考えられています。また人材不足の影響もあり、ニーズの高い技術を習得した人には高い年収が提示される傾向が見受けられました。本記事では、組み込みエンジニアへの転職を検討している人に向けて、組み込みエンジニアの年収相場や将来性について解説します。

組み込みエンジニアとは

組み込みエンジニアは、小型コンピューターに含まれるソフトウェアの開発や、それを含んだシステム全体の開発を手掛ける職種と一般的に定義されています。代表的な仕事内容はエアコン、テレビ、洗濯機といった電気機器の制御プログラム開発です。C言語やC++言語、あるいはアセンブラといったプログラミング言語を用いて、ハードウェアを制御するソフトウェアやファームウェアの開発を手掛けます。

近年は、複数の電子機器をインターネット接続して新たなサービスを提供するIoT(Internet of Things)の開発が進み、組み込みエンジニアの対応範囲も変わりつつあります。例えば、センサーから周囲の情報を取得する、収集した情報をクラウド上に蓄積しデータを分析する、分析した結果に基づき機器を動かす、といった業務があります。

組み込みエンジニアの仕事内容

以下では、組み込みシステムの開発工程に沿って、仕事内容について解説します。仕事内容を理解する上では、組み込みエンジニアの代表的な資格であるIPA「エンベデッドシステムスペシャリスト試験」が参考になります。

要件の把握

開発対象とするハードウェアやソフトウェアに求められる性能、信頼性、セキュリティなどを分析します。構成する機器の特性を理解し、実現可能な要件を定義する必要があります。また、インターネット接続の有無など、他システムとの連携に関する要求を明らかにします。

アーキテクチャーの検討

ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアが持つべき機能を設計し、システム全体で整合性がとれるよう、アーキテクチャーを決定します。開発工程を計画し、どのような手順・順序で開発を進めるか、利害関係者と合意をとるステップです。また、後続の工程で必要な品質要件や開発環境などを決定する局面でもあります。

ソフトウェアの設計・開発

ハードウェア上で稼働するプログラムについて、リアルタイム性やセキュリティなどの要求を満たすよう詳細設計を実施します。場合によっては、専用ハードウェアに対するデバイスドライバの設計も必要です。作成したプログラムについては、品質要件に基づきテストを実施します。

ハードウェアの設計・製造

開発コストと機器の処理能力に応じてメモリー設計を実施したり、有線・無線の通信インターフェースの利用を決定し、設計に反映させます。ハードウェアを製造したら、ハードウェアとソフトウェアの結合試験を実施します。

システム評価、保守

組み込みシステム全体で、当初計画した要件を満たしている点を検証するステップです。障害や機能向上のための保守作業を円滑に行うために、必要な手順や環境を整備しておきます。

関連記事: 組み込みエンジニアとは?仕事内容などを解説します

組み込みエンジニアの年収相場

組み込みエンジニアは、スキルや経験によって評価されます。チームを牽引でき、ニーズの高いスキルを習得した人には、年収1,000万円以上が提示されるケースも見受けられます。
レバテックキャリアに掲載されている求人を例に、組み込みエンジニアの年収について考察します。(※2022年10月現在)

オーディオ製品の開発

想定年収

400万~800万円

仕事内容

オーディオ製品のソフトウェア設計、生産部門との協業、海外取引先との交渉

必要なスキル

・音響工学や人間の耳の構造を理解し、音質の改善や製品開発に応用できる能力
・チームで作業するにあたり円滑にコミュニケーションできる能力
・自ら課題を発見し、改善につなげられるリーダーシップ

ロボットの研究・開発

想定年収

600万~1,000万円

仕事内容

・ロボット要素技術(AI、画像認識、経路計算)の開発
・ロボットソフトウェアの要件定義、設計、開発
・ネットワークを通じてサーバーに接続し情報を交換する、あるいは、各種機器やシステムと連携する多様なシステムの開発
・POC(Proof of Concept)による新しい技術アイデアの検証

必要なスキル

・ソフトウェア開発5年以上、技術に対する意欲
・特定のベンダー製品に依存せず、最適なアーキテクチャーを考案できる
・最新技術やサービスの学習を継続して行える
・作業の自動化を促進し、ソフトウェア開発環境を改善できる

年収相場は400~1,000万円

組み込みエンジニアの年収は、保有するスキルや経験に応じて400万円から1,000万円まで幅があります。経験の浅い段階では、特定の分野におけるハードウェア・ソフトウェアの技術習得が期待されるでしょう。
一方、年収1,000万に達する求人では、先進技術の開発やチームをリードする立場を務めなければならないケースが多いです。特に、各種センサー機器やクラウドに接続する複雑なシステム全体の設計・開発を担える高度な人材は高年収です。

参考:組込・制御エンジニアの求人・転職情報一覧

組み込みエンジニアが将来的にも求められる業界

組み込みエンジニアへの転職を検討する際には、どの業界で求人が出されているかを理解する必要があります。従来のハードウェア機器に加え、近年ではネット接続を伴うIoTシステムの開発案件も増えています。ある調査(※)によるとIoT接続デバイスの数が2021年に100億台を超えたとされ、その市場は大きく拡大してきました。機器の大量生産を手掛ける大手メーカーからの求人もあり、将来性が期待できるでしょう。

※参考:アイティメディア「IoTデバイス100億台突破の“光と影” 次に伸びる分野と課題は

電気機器業界

多様なハードウェア製品を開発・製造する電気機器業界は、以前から組み込みエンジニアが活躍している業界です。最近では高機能を提供するスマート家電や、スマートホームを構成する製品が増えています。そのため、クラウドやセキュリティの技術を理解した上で、研究開発に携われる組み込みエンジニアは重宝されるでしょう。

自動車業界、運輸業界

無数の電子機器を制御して動作する自動車は、組み込みシステムの代表例です。電気自動車やハイブリッド車、自動運転車の登場によってアーキテクチャーにも大きな変化が見込まれており、組み込みエンジニアにも新技術への対応が求められています。今後は、電動トラックやドローン、空飛ぶ自動車といった革新的な輸送手段への対応が求められるでしょう。

医療業界

AI(人工知能)による画像診断など、医療業界ではデジタル機器を活用するケースが見受けられます。また、健康管理のためにスマートウォッチで血圧測定するなど、ウェアラブル機器の利用も増えてきました。医療機器に搭載される組み込みソフトウェアを開発できるエンジニアには、高い需要が集まるでしょう。

製造業界

工場の生産ラインを自動化・高度化するスマートファクトリーに注目が集まっています。工業用ロボットや、生産ラインに必要な各種センサーなどの開発で、組み込みエンジニアが求められています。

関連記事: 組み込みエンジニアの需要と将来性について

組み込みエンジニアの人材不足が続く理由

組み込みエンジニアに対する需要が堅調である一方、人材不足も課題となっています。IPAの調査(※)では、半数以上の企業で組み込みエンジニアの人数を1.5倍から2倍以上に増やす必要に迫られているとの回答がありました。人数の少ないチームでは、エンジニアに負担がかかり、労働環境がきついという印象を持つ人もいます。以下では、組み込みエンジニアの人材不足が続く背景について考察します。

※参考:IPA「組込み/IoT に関する動向調査」p61

専門性の高さ

組み込みエンジニアとして活躍するには、電子回路やハードウェアの知識を身につける必要があります。組み込みソフトウェアの開発においては、処理のリアルタイム性など、特殊な手法が求められることが特徴です。一般的なソフトウェアエンジニアとは異なる専門性が必要であり、スキル習得に時間がかかる点が人材不足に影響していると考えられます。これまでハードウェアの知識のなかった人が組み込みシステムの開発に挑戦する場合、その難しさや学習量の多さからきついと感じるかもしれません。

近年多用されているプログラミング言語があまり使われない

一般的に、組み込みシステムの開発には、C言語やアセンブラといったプログラミング言語が用いられています。しかし、多くの大学やプログラミングスクールでは、PHPのような比較的新しい言語が採用される傾向があります。組み込みシステムで使われる言語は最近のトレンドとは異なり、若い人にとって馴染みが薄い点が人材不足の一因と考えられるでしょう。

開発プロセスの違い

組み込みシステムでは、ハードウェアとソフトウェアを同時並行で開発し、上流工程から下流工程へ順序立てて進めるウォーターフォールモデルが多いです。一方、クラウド環境に接続するIoTシステムでは、ユーザーのニーズを柔軟に捉えるため、アジャイル開発を採用するケースもあります。加えて、自動車や医療など、人命や健康に直結し、高品質な製品が求められる業界では、アジャイル開発で品質を担保するのが困難になってしまいます。このような異なる開発プロセスに対応できる組み込みエンジニアは、まだ少ないと考えられるでしょう。

関連記事: 組み込みエンジニアの将来性|人手不足と囁かれる理由をご紹介

組み込みエンジニアに求められるスキル

今後も人材不足が見込まれる組み込みエンジニアとしてキャリアアップし、年収を上げていくには、需要の高いスキルを身につける必要があります。組み込みエンジニアのスキルを知るためには、IPA組み込みスキル標準(ETSS)「スキル基準」が参考になります。

技術スキル

組み込みエンジニアとしてキャリアを形成するには、C言語、C++、アセンブラといったプログラミング言語の習得は欠かせません。特に、ハードウェアの性能に応じてソフトウェアを設計・開発できる知識が必要となります。
また、オーディオ製品であれば音響工学、といったハードウェアの知識も求められます。ソフトウェアとハードウェアにまたがる領域に関われることは組み込みエンジニアの特徴でもあり、面白いと感じる部分ではないでしょうか。

組み込みシステム開発プロセス

ソフトウェアとハードウェアを連携する開発プロセスは、組み込みシステム特有のものです。組み込みエンジニアには、各種インターフェースやIoTシステム全体のアーキテクチャーを考案できるスキルが求められます。さらに、工程計画、品質基準、テストなど、一連の開発工程に習熟しているとよいでしょう。

ソフトスキル

ハードウェア製造部門をはじめとした、異なる部門と協業する機会も多くあります。組み込みエンジニアとしてキャリアアップするには、コミュニケーション力やプレゼンテーション能力が必要となるでしょう。また、リーダーとしての役割を担うためには、技術知識に基づいてチームを主導できる統率力や指導力が不可欠です。

英語力

組み込みシステムの開発では、ハードウェア製造や一部のソフトウェア開発を、海外パートナーに委託する場合があります。英語で書かれた技術文書の読み書きや、海外メンバーとの対話をスムーズに行うためにも、ある程度の英語力があると望ましいでしょう。

関連記事: 組み込みエンジニアに求められるスキルとは

組み込みエンジニアのキャリアパス

組み込みエンジニアとして経験を積めば、プロジェクトで中心的な役割を担えるようになるでしょう。そして、高度なスキルを習得することで、キャリアアップの道が開け、高い年収も期待できるでしょう。組み込みエンジニアのキャリアパスを考える上では、IPA組み込みスキル標準(ETSS)「キャリア基準」が参考になります。

プロダクトマネージャー

製品の企画から開発・製造・保守に至るまで、一連の製品ライフサイクルを統括する職種です。どのような機能を誰に届けるのかを検討し、製品の売り上げや収益に責任を持つ場合もあります。

プロジェクトマネージャー

製品開発プロジェクトの遂行にあたり、プロジェクト全体の計画を立案し、参加メンバーの指揮・監督を行います。プロジェクトに関する品質・コスト・納期に責任を持つ職種でもあります。

システムアーキテクト

ユーザーや顧客企業からの要件を踏まえ、それを実現する組み込みシステムのアーキテクチャーを設計し、開発プロセスを定義します。開発プロセスの効率性や製品品質を保つことに責任を持つのが特徴です。

ドメインスペシャリスト

組み込みシステムにおける特定の技術・製品分野について、高度で専門的な知識や開発経験を有し、開発チームを技術面からリードしていきます。例えば、画像処理やリアルタイムOSといった技術領域が該当します。

テストエンジニア

テストの設計、テストの実行など、テスト作業全般を担当する職種です。組み込みシステムの場合、ソフトウェアとハードウェアにまたがる知識が求められ、その要件に応じて製品品質を担保する工程に携わります。

未経験から目指す組み込みエンジニア

学習するには実機が必要となる組み込みシステムは、独学が難しい分野です。まずはC言語などの基本的なプログラミングスキルを習得し、未経験でも応募できる求人を探すとよいでしょう。以下では、未経験から組み込みエンジニアへ転職するためにできるステップについて解説します。

プログラミング技術の習得

組み込みエンジニアがよく使うC言語やC++のプログラミング技術を習得しましょう。文法や構文といったプログラミングの基礎については、入門書を使って独学で進める方法も考えられます。また、電気機器を制御する小型の電子部品であるマイコンを使い、簡単な組み込みシステムを扱うプログラミングスクールも開講されています。

IoTデバイスの学習

近年では、Raspberry Piと呼ばれる小型コンピューターを活用し、電子工作や組み込みシステム開発を個人で行う人が増えています。特に、Raspberry Piはプログラミング教育を目的に作られた経緯もあり、電子回路やプログラミングの知識を習得するのに役立つでしょう。

未経験の場合のキャリア戦略

組み込みシステムの経験がない場合は、少なくともソフトウェア開発の経験を積んでおくことが推奨されます。未経験の場合、まずは組み込みシステムのテストや運用・保守担当として就職してから、設計・開発を担当する組み込みエンジニアへとキャリアアップする戦略も考えられます。また、大手企業から開発を委託される中小企業では、未経験でも応募できる求人が出稿される場合があります。

関連記事: 組み込みエンジニアは難しい?なぜ人材不足なのか

組み込みエンジニアになるための準備

組み込みエンジニアへの転職を考える上では、企業が求める要件と自分のスキル・経験が合致しているかを確認する必要があります。以下では、組み込みエンジニアへ転職する際にするべき準備について解説します。

業界研究、企業研究

前述のように、電気機器業界や自動車業界など各分野で組み込みエンジニアの募集があり、求められる技術領域もそれぞれ異なります。そのため、まずは自らのスキルや興味を考慮し、どの業界へ応募するのがベストかを検討しましょう。大手メーカーだけではなく、コンサルティングを提供したり、他企業から開発を受託したりする企業も存在します。業界研究や企業研究を進める上では、転職エージェントから情報を収集してもよいでしょう。

自己分析

技術スキルやソフトスキルなど、希望する企業が求めている経験を有しているか、キャリアの棚卸しを行います。ハードウェアに携わる組み込みエンジニアの場合、該当する業界のものづくりに対する興味があると望ましいでしょう。検討した結果、足りないスキルがあれば、現在の仕事で習得できないか検討するべきです。

資格取得

転職に資格は必須ではありませんが、スキルや意欲をアピールするためには有効です。例えば、IPA「エンベデッドシステムスペシャリスト試験」は難易度の高い試験であり、業界では広く認知されています。組み込みシステム技術協会(JASA)「ETEC(組み込み技術者試験制度)」もよく知られており、保有するスキルの証明となるでしょう。

関連記事:
組み込みエンジニアになるために必要な勉強
組み込みエンジニアに役立つ資格

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