- 組み込みエンジニアになるために勉強すべきこと
- 組み込みエンジニアになるための勉強法
- 組み込みエンジニアとしてステップアップするには
- 組み込みエンジニアの仕事に役立つ資格
- 組み込みエンジニアの需要と将来性
- 組み込みエンジニアの平均年収
- 組み込みエンジニアのキャリアパス
- 組み込みエンジニアに関するよくある質問
- まとめ
組み込みエンジニアになるために勉強すべきこと
組み込みエンジニアになるには、まずはプログラミングスキルが重要です。ただし、プログラミング言語の中でも組み込みエンジニアに役立つ言語を選ぶ必要があります。またプログラミングスキル以外にも必要なスキルがあります。
組み込みエンジニアを目指す場合、具体的に何を勉強し、どのような知識・スキルを身につけるべきかを紹介します。
プログラミングスキルを身につける
組み込みエンジニアを目指す上で、プログラミング言語の勉強は必要不可欠です。そのため、まずプログラミングスキルを身につけましょう。
組み込みエンジニアの業務で利用されることの多いプログラミング言語として、C言語やC++、Javaやアセンブリなどが挙げられます。以下で、言語の特徴や組み込みシステムとの関係性などを説明していきます。
C言語
組み込み系で用いられる言語の中で、代表的なのがC言語です。C言語が重宝される理由として、組み込み系の主流の開発資産がC言語で設計されていることやシンプルで互換性が高いこと、処理速度が早いことが挙げられます。OSによって変わることもありますが、組み込みエンジニアになる上でC言語は一番関わりが深く、さまざまな言語の基礎となっている言語であるため、最初に学ぶべき言語といえるでしょう。
ただし、C言語はプログラミング言語のなかでも比較的難易度が高く、途中で挫折してしまう人も少なくありません。自分にとって分かりやすい書籍やWebサイトを参考にしながら身につけていくことが重要です。
C++
C++はC言語と記述が似ており、ハードウェアの操作や高速な処理ができる特徴も同様に持つオブジェクト指向言語です。C言語をマスターしたら、C++も理解できるよう勉強しておくと良いでしょう。
C++言語が利用される理由として、自由度が高く難しい処理の実現が可能な点が挙げられます。C++はC言語と共通する部分も多いため、C言語の資産を活用しやすい点も大きなメリットです。
また、C++と同様に組み込みソフトウェアに利用されるオブジェクト指向言語にはJavaがあります。C++の習得とともにオブジェクト指向を理解すれば、Javaの習得も比較的容易になりますので、こちらも併せて学習しておくと良いでしょう。
Java
プログラミング言語には、Windowsがインストールされたマシンでしか動かない言語やMac OSでしか動かない言語などがあります。しかし、JavaはOSの種類を問わずに動かすことができるプログラミング言語です。これは組み込みシステムにおいて、異なるハードウェアや環境に対応するために重要です。
Javaは、Googleが開発三大言語としている内の1つであり、応用しやすい言語として人気があります。
アセンブリ
アセンブリは、アセンブラとも呼ばれ、機械の制御を行う組み込みで使われる言語です。特に、FAXや電卓など数字を使用する組み込みシステムで多く用いられています。アセンブリは機械語に近く、記述もC言語と比べてかなり多いため、未経験者には難易度が高いですが、組み込みエンジニアを目指しているなら習得しておいて損はないでしょう。
上記のとおり、アセンブリ言語はコンピュータのハードウェアに直接アクセスできるため、組み込みシステムの制御や最適化が可能です。特にリアルタイム制御やパフォーマンスの向上を求める場合に有用です。
また、メモリの効率的な利用や最適化が行いやすくなります。特にリソース制約の厳しい組み込み環境では、メモリの使い方が重要です。勉強していくうちにコンピュータに関する知識も増えていくはずです。
ハードウェア、ソフトウェアの基礎知識を身につける
組み込みエンジニアとして仕事をするなら、プログラミングスキルのほかに、ソフトウェアやハードウェア、使用するOSなどについての知識も必要になります。
実際に仕事に就く前に組み込み技術を体験することは難しく、知識は現場で教わらないと身につかない場合も多いものです。しかし、たとえばWindowsやMacなどの汎用OSと組み込みシステムに採用されるOSの違いなどを事前に理解しておけば、現場に入った後の理解も速いでしょう。自力で勉強できる部分を見つけ、できる限り基礎知識を身につけておきましょう。
「ITRON」「T-Kernel」など特殊なOSの知識も必要
OSと聞くとWindowsやMacなどを連想する人も多いと思いますが、組み込みシステム開発の現場で多く使用されているのは「ITRON」や「T-Kernel」などといった特殊なものです。特に日本では、組込みシステムに採用されているOSとして「ITRON」が高いシェアを誇っています。
ただし、最近ではネットワーク機能を搭載した高度な機器が登場しており、それらに対応するために「Linux」や「Windows」といった汎用OSが採用されるケースもあります。
ハードウェアとソフトウェアの違い
組み込みエンジニアとして知識を深めるためにはハードウェアとソフトウェアの違いを理解する必要があります。まず、大きな違いは目に見えるかどうかです。コンピュータのマザーボードやCPU、メモリなどは実際に目に見える「物」です。
一方、ソフトウェアは目に見えません。WindowsなどのOSやWord、Excelなどがソフトウェアにあたります。モニターには映りますが、ソフトウェアそのものが「物」として見えるわけではありません。
ハードウェアとソフトウェアの違いを理解することで、組み込み系の業務においては要件をデバイスと組み込みソフトウェアのどちらで解決するのかを判断できます。
機械学習やディープラーニングに関する知識を身につける
すべての組み込みシステムに、機械学習やディープラーニングの技術が用いられているわけではありません。特に古くからある組み込みシステムは、機械学習やディープラーニングとは無縁の場合もあるでしょう。しかし、これから組み込みエンジニアを目指すのであれば機械学習やディープラーニングの知識も身につけたほうが案件の幅は広がり、自分の市場価値アップや年収アップに役立ちます。
電子基板やマイクロプロセッサに関する知識を身につける
組み込みエンジニアはソフトウェアだけでなくハードウェアにも触れるので、電子基板やマイクロプロセッサの知識もある程度必要です。ある程度というのは、組み込みエンジニアは電子基板やマイクロプロセッサに触れるものの、作るわけではないためです。物理的な仕組みを意識して設計を考える場合があるので、理解していたほうが良いでしょう。
英語力を高める
組み込みエンジニアは複数の観点から英語力があるとより良いです。まず、プログラミング言語は英語がベースになっているので、最低限の簡単な英語力は必要になります。このレベルなら簡単ですが、情報収集や技術書・仕様書の読解にも英語力が役立ちます。IT関連の情報は英語のほうが最新である場合が多く、これらを読めるレベルの英語力があると便利でしょう。
関連記事:組み込みエンジニアが英語を使えることで得られるメリット
組み込みエンジニアになるための勉強法
組み込みエンジニアにとって不可欠なプログラミングをはじめとしたスキルを身につけるための、効率的な学習方法について紹介します。勉強方法は複数ありますが、好みや自分に合いそうな方法で勉強を進めることが、習得への近道です。この方法でないとスキルが身につかないといったことはないですが、向き不向きもあるため、参考にしてみてください。
独学で勉強する
組み込みエンジニアという職種は、コンピュータ上でプログラミングをするだけではなく、実際にハードウェアを動かし制御することを目的としています。そのため、一流の組み込みエンジニアになるためにはさまざまな案件に携わり経験を積み上げていく必要があります。
しかし、社会人になってから組み込みエンジニアを目指す方の多くは、独学で資格を取得したり、プログラミング言語を学んだりして基礎的なスキルを身につけています。ここでは独学で効率良くスキルを身につけるための勉強法をいくつか紹介します。
プログラミング学習サイトを活用する
たとえばスマートフォンアプリとして提供している「Progate」では、組み込みシステムに使用されることもあるJavaの学習コースが用意されていて、無料でプログラミングが勉強できます。
また、「ドットインストール」というプログラミング学習サイトでは、C言語やJavaなどの学習動画が無料で閲覧できます。動画1本あたり約3分にまとめられているため、通勤時間や寝る前の時間などを活用して無理なく継続できるはずです。
ほかにも、「Udemy」も数多くの専門知識を学ぶことができるサービスです。
もちろん組み込みエンジニア向けのコースも提供しています。たとえば、組み込みシステムの基本概念やC言語プログラミング、RTOSの活用、ARMプロセッサのプログラミング、ハードウェアとソフトウェアの統合など、多岐にわたる内容が提供されています。これらのコースは、組み込みエンジニアとしてのスキルアップや新しい知識の獲得に役立つでしょう。
ただし、これらのプログラミング学習ツールの利用は、あくまでもプログラミングの基本を押さえることが目的であり、その後は実際に手を動かしてプログラムを作りながら体系的に学習していくことが重要といえるでしょう。
Arduino、PICなどのマイコンを使う
実際にプログラムを組んでマイコン(マイクロコンピュータ)を動かすのは非常に勉強になります。プログラミング言語などをすでに勉強していることが前提ですが、特に電子工作が好きな方は楽しく学ぶことができるでしょう。
Arduinoは、電子工作の初心者でも電気やプログラミングに深い知識を持っていなくても取り扱いが容易な、オープンソースのマイコンボードです。
Arduinoの利点は、簡単なプログラミング言語(Arduino IDE)を使用してコードを書くことができることです。さらに、多くのライブラリやサンプルコードが利用可能で、センサーからアクチュエータまでさまざまなデバイスを簡単に統合できます。これにより、学習者やプロトタイピングに適したプラットフォームとして広く利用されています。
PICは、Microchip Technology社によって開発された組み込みシステム向けのマイコンファミリーです。PICマイコンは、高性能なデジタル信号処理能力や周辺デバイスインターフェースを提供し、産業制御、自動車電子、医療機器など幅広いアプリケーションで使用されています。
PICの利点は、その高度な制御機能や信頼性、拡張性にあります。PICマイコンは、低電力モードから高速なデータ処理まで、多様な要件に対応できるよう設計されています。また、Microchip社の提供する統合開発環境や豊富なライブラリも、開発効率を向上させます。
各マイコンメーカーでは初心者でもマイコンを動かせる入門セットを販売しています。マイコンを作るにはさまざまなツールを揃える必要があり、決して手軽ではないのですが、実際に手を動かす良い機会です。時間や費用に余裕がある方にはおすすめです。
書籍・本で知識を身につける
数多くの独学の方法の中で最も手軽にできるのが、書籍を読んで知識を身につけることです。以下では、組み込みエンジニアを目指す方におすすめの書籍を紹介します。
『組み込みエンジニアの教科書』(渡辺登・牧野進二、シーアンドアール研究所)
組み込みエンジニアの基本的な仕事内容から、ハードウェア、ソフトウェアの基本、C言語によるプログラミング、組み込みのソフトウェアの開発プロセスまでを網羅した書籍です。それぞれの概要を知ることができ、教科書として利用するのにうってつけの一冊です。今後確実に需要が高まっていくIoTやAIといった最新のテクノロジーを活用した組み込みソフトウェア開発についても解説されています。
『これだけ!組込みシステム』(藤広 哲也、秀和システム)
「これだけ!」シリーズの本で、組み込みシステムの全体像をイラストを使って図解しています。これを知っておけばまずは大丈夫という部分を紹介してくれる初心者に向けた一冊です。組み込みをする上で必要な知識はかなり多いため、「浅く広く知識を身につけておきたい」という方は読んでみてください。自動車、マイコン、家電など、どの分野に進みたい方にもおすすめできます。
『組込み現場の「C」プログラミング基礎からわかる徹底入門』(SESSAME、技術評論社)
C言語の文法を一通り学んだ方向けですが、C言語の基礎力を身につけたいならこれがおすすめです。LEDを点灯させるプログラムなど、実際にハードウェアを動かすための組み込みに特化したコードが載っています。また、ハードウェアについての基本的な疑問にも一から答えてくれるため、全く知らないという方でも読みやすい本となっています。
『CPUの創りかた』(渡波 郁、毎日コミュニケーションズ)
4bitCPUを例に、基本原理~設計までを解説してくれます。タイトルに創りかたとありますが、実際に作らない人にとってもためになる内容です。CPU周りの知識を深めたい方や、OS周りの開発に関わりたいという方は一読しておくと良いでしょう。一般的な学習用の書籍と比べ、イラストも多く使われているため読みやすいです。
『モータ制御で学ぶ電子回路と組み込みプログラミング』(坂井 亮介(著)・水川 真 (監修)、毎日コミュニケーションズ)
マイコンの開発周りでは頻繁に出てくるモータ制御を題材にした本です。この本では、A/D変換のやり方や、PWM制御、割り込み処理などモータ制御に関わるところを解説してくれます。実際にデバイスを用いた組み込みの初歩として取り組むのに適しています。自動車業界に進みたいという方は読んでおいて損はないでしょう。
『情報処理教科書 エンベデッドシステムスペシャリスト 2024~2025年版』(松原 敬二・牧 隆史、翔泳社)
エンベデッドシステムスペシャリストの資格を取るための教本で難易度も高めです。リアルタイムOS、ネットワーク、ハードウェアと幅広い分野について深く書かれています。この一冊を理解すれば、どこの組み込みの現場でも活躍できるはずです。もし自信があれば、資格を取ってしまうのもいいかもしれません。
プログラミングスクールに通って勉強する
効率的な勉強の方法が分からない場合や、具体的に何から手をつければ良いのか分からない方は、プログラミングスクールに通ってみるのもおすすめです。入学金や受講料などのコストはかかってしまいますが、少ない時間をできるだけ有効に活用し最短ルートでスキルを確実に身につけたい方にはおすすめの方法です。
一口にスクールといってもC言語やC++などのプログラミングを勉強するコースや、マイコンを実際に使用して組み込みシステムを体験しながら勉強できるコースもあります。組み込みシステム開発のコースはほとんどの場合、C言語などのプログラミングスキルが身についている方を対象としているため、まったくのゼロから始めるのであれば、まずはプログラミングのコースから受講してみましょう。
スクールによってもカリキュラムの内容や受講スタイル、講師との相性などの問題もあるため、まずは無料体験レッスンなどを受けてみて自分に合ったスクールを吟味してみてください。特に最近ではオンラインでの学習コースも充実しているため、近所にプログラミングスクールがない場合であっても選びやすいはずです。
組み込みエンジニアとしてステップアップするには
実際に組み込みエンジニアとなった後、さらなるステップアップを目指すための方法について説明します。方法を把握して、計画的に取り組んでいけば組み込みエンジニアに必要なスキルは確実に身についていくでしょう。やる気があればスキル習得は難しくないはずです。
まずは自分に足りない知識・スキルを把握する
組み込みエンジニアにはプログラミング、OSなどに加えて下記の知識を持つことで活躍の場を広げることができます。いずれもIoTや先端技術を組み込みに導入するために必要となる分野です。
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・センサー・ネットワーク
・セキュリティ
・組み込みAI(エッジAI)
自分に不足している知識を整理することで、次に習得すべき内容を選択することが可能です。
新たに開発言語を学ぶ
組み込み系で利用する言語以外のプログラミング言語を習得し視野を広げることは、スキルアップにつながります。たとえば、IoTではスマートフォンやタブレットからの操作も想定されます。androidやiOS向けのアプリケーション作成に利用される言語を身につけることで、これらに対応することが可能です。
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・Kotlin・Swift
これらのプログラミング言語は、それぞれAndroidアプリケーション開発(Kotlin)とiOSアプリケーション開発(Swift)のために設計されていますが、その適用範囲はそれだけにとどまりません。
これらの言語を使ったフレームワークであるKotlin MultiplatformやSwiftUIなどを学ぶことで、これらの言語を使用してクロスプラットフォームのアプリを開発する手法が広がっています。一度学んだスキルを異なるプラットフォームに応用できるため、幅広いプロジェクトで活躍できます。
また、IoTの場合には、ネットワークを経由し通信を行うことが必須となります。通信の先はサーバーがあり、そこにはサーバーサイドのプログラムが存在することがほとんどです。サーバーサイド言語の習得も視野と業務を広げてくれるでしょう。
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・Python・Java
・C#
未経験から組み込みエンジニアを目指せる?
組み込みエンジニアという職種に求められるプログラミングのレベルは、ただ動くプログラムを作ればよいというものではありません。案件ごとに別のハードウェアを動かし制御することを目的としています。また、機器に組み込まれてしまったあとで更新する事は難しいため、障害の起きない高い品質と性能を発揮するプログラミングが求められます。
独学の学習環境だけでは実践に対応できるようなスキルが身につかないこともあり、一流の組み込みエンジニアになるためにはさまざまな案件に携わり経験を積み上げていく必要があります。
多くの企業では組み込みエンジニアとして実務経験がある人材を募集していますが、もし未経験から目指すのであれば、C言語やC++に対応したシステム開発に携わっていくのが良いでしょう。また、組み込みエンジニアとして未経験から直接開発に携わることは難しいですが、テストや運用担当など幅広い職種が募集されており、未経験からであっても挑戦できるポジションが増えています。
組み込みエンジニアの仕事に役立つ資格
未経験から組み込みエンジニアを目指す場合、客観的に評価できる資格を取得することも有効です。特におすすめの資格を3つご紹介します。
ETECの資格詳細とともに、当資格関連の求人情報も掲載していますので、気になる方はぜひチェックしてみてください!
関連記事:組み込みエンジニアに役立つおすすめ資格6選|参考書籍や求められるスキルも解説
応用情報技術者試験
応用情報技術者試験は応用的なITの知識があることを証明する試験です。独立行政法人情報処理推進機構(IPA)により運営されている国家資格です。統計情報から合格率は20%強となっており、難関の試験です。
総合的なITの知識の保有を示すことができます。また、電子回路や制御に関する内容なども試験範囲に含まれているため、組み込みの現場でも必要になる知識の学習に役立ちます。
ETEC(組込み技術者試験制度)
ETECは組込みソフトウェア技術者試験ともよばれ、社団法人組込みシステム技術協会が運営している試験です。合否を判断する認定試験ではなく、グレード評価と正答率評価を通して、受験者の足りない知識・スキルを明白にする仕組みになっています。
試験はエントリーレベルのクラス2、ミドルレベルのクラス1に分かれており、クラス2は受験資格に制限がありませんが、クラス1の場合はクラス2で500点以上の点数を獲得した人のみが受験できます。
試験自体は日本全国にあるピアソンVUE社公認試験会場にて受験ができます。全国140ヶ所以上の会場で毎日受験できますが、受験料はクラス2が15,000円(税別)、クラス1が20,000円(税別)と比較的高額です。クラス1はより実践的な内容も含まれているため、組み込みエンジニアとして転職活動をする際には、最低限クラス1の試験に合格しておくと良いでしょう。
エンベデッドシステムスペシャリスト試験
エンベデッドシステムスペシャリスト試験は独立行政法人情報処理推進機構の運営する情報技術者試験のうちの高度情報技術者試験の一つです。組み込みシステム開発の幅広い知識があり、製造や設計をリードする事ができる能力を証明する国家試験です。
この試験では、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、センサ、アクチュエータなどの基本的なコンポーネントに関する組み込みシステム基礎知識から、リアルタイム処理やデッドラインの管理や応答時間の確保に関する知識、通信技術や電子回路設計、省電力技術などの応用的なスキルも問われます。これらの知識を持っていることが証明できれば、さらなるキャリアアップも目指せるでしょう。
統計データより 合格率は17%前後と難しい試験となっているため、応用情報技術者試験合格後に目指すといいかもしれません。試験は午前と午後に分かれており、合格には午前Ⅰ・Ⅱ、午後Ⅰ・Ⅱのすべてで60%以上を獲得する必要があります。
関連記事:IoTエンジニア向け資格4つを試験内容や難易度で徹底比較
組み込みエンジニアの需要と将来性
組み込みエンジニアの現在の需要と、将来的な傾向について説明します。エンジニア全般人手不足で需要がある状況ですが、組み込みエンジニアはIT業界の中でも急速な技術進歩や需要増大が発生しています。AI化の推進などにより、今後より需要は伸びると想定されるでしょう。
関連記事:
組み込みエンジニアは難しい?なぜ人材不足なのか
組み込みエンジニアの需要と将来性について
組み込みエンジニアは慢性的な人手不足
そもそも組み込みエンジニアは最近になって登場した新しい職種ではなく、インターネットが登場する以前から存在していました。世の中に存在している家電製品や建物内の設備など、組み込みシステムの技術がなければ実現できない製品も多いです。
エスカレーターや自動ドアなど比較的単純な作業を繰り返す製品はもちろん、最近ではスマートフォンやスマートウォッチなどのデバイスを開発する上でも組み込みシステムは欠かせないものとなっています。そのため、高まり続ける需要に対して、組み込みエンジニアの需要が追いつかず、慢性的な人手不足が続いているのが現状です。
組み込みエンジニアは将来性の見込める職種
インターネットが登場する以前から存在している組み込みエンジニアですが、なぜ今となって改めて注目される存在となったのでしょうか。その背景にはIoT技術の発展があります。
IoTとは一般的に、あらゆるものをインターネットを介して接続し、データを収集してビッグデータを形成したり、モノを制御したりすることを目的とした技術です。たとえば自宅の鍵をオンライン経由で施錠・解錠するスマートロックや、不在時でも自宅に設置したカメラでスマートフォンから確認できるネットワークカメラなど、多様な使い方が実現できます。
モノにインターネット接続の機能を搭載するとなると、組み込みシステムを構築するノウハウが必要不可欠です。たとえば、スマートロックを開発しようと考えた場合、鍵そのものを開発するノウハウ以外にも、オンライン経由で鍵を制御する仕組みが求められます。
このように、IoTが社会に広く浸透していく過程において、これまでIT分野とは無縁だと思われてきた業界においても、今後は組み込みシステムのノウハウが不可欠になっていくと予想されます。ITエンジニアは全般的に人手不足で需要が高い傾向にありますが、特に組み込みエンジニアの場合は今後ますます需要が高くなっていくと予想されているのです。
関連記事:組み込みエンジニアの転職市場|評価されるスキルや経験も解説
他分野の知識・経験がある人材は活躍の場が多い
IoTの活用やエッジAIなど組み込みエンジニアの活躍する業種でも新たな技術要素の重要性が高まってきています。これまでの組み込みソフトウェアのように、ソフトウェア内で処理が完結するわけではなく連携先と合わせた処理を作り上げる必要があるため、より幅広い知識・経験が求められるようになってきています。ほかのエンジニア分野からの参入やほかの分野での活躍経験を持つエンジニアは、活躍の場を選びやすくなるでしょう。
組み込みエンジニアの平均年収
レバテックキャリアに公開されている組み込みエンジニアの求人・転職情報より、組み込みエンジニアの平均年収の想定値を算出しました。2024年3月時点で公開中の職種「組込・制御エンジニア」より30件を抽出し、年収の最大値と最小値の中間値から平均年収を算出すると、約590万円でした。各種のエンジニアの中でも高い年収が望める職種といえます。
求人・転職情報からみられる傾向として、IoT、エッジAI、ロボット制御、MaaS関連など新たな技術を活用する分野では、特に高い年収が望める傾向があります。また、上流工程から担当できる場合にも、高年収の求人が見られました。
関連記事:組み込みエンジニアの年収は?求人例や年収を上げる方法も解説
組み込みエンジニアのキャリアパス
組み込みエンジニアとして活躍の幅を広げていくためには、できるだけ多くの開発経験を積んでいくことが何よりも重要です。たとえばC言語での開発を経験した後は、C++やJavaなど複数の言語を勉強し、活躍の幅を広げていくことも考えられます。
また、さらなるステップアップを目指すためにはAIやIoTといった先端テクノロジーとの関わりも不可欠です。従来の組み込みシステムの開発だけではなく、付加価値の高いスキルや経験を積み上げていくことがキャリアパスを考える上で重要な要素といえるでしょう。
組み込みエンジニアとして十分な経験を積み上げていくと、開発案件を統括するプロジェクトマネージャーや、エンジニアとしてトップクラスの技術スキルを持つスペシャリストへの道も見えてきます。
組み込みエンジニアに関するよくある質問
組み込みエンジニアに関するよくある質問に回答していきます。
組み込みエンジニアは、ほかのエンジニアと比較して特殊です。プログラミングによるシステム開発が中心になるのでハードウェア側のエンジニアよりは、ソフトウェア側のエンジニア寄りなのですが、ハードウェアにも触れる機会が多く、その分技術的にも違いが出てくるためです。まずは組み込みエンジニアについて把握しましょう。
Q1. 組み込みエンジニアは何をする職種ですか?
家電や工業機器などの製品に組み込むプログラムを開発するのが組み込みソフトウェアエンジニアの仕事です。製品の「機械設計/金型設計/光学設計」や「回路設計」が物理的な構造と仕組みを決定し、その後ろに組み込みエンジニアがソフトウェアの開発を行います。多くの場合、最初の段階からこれらの3つの専門家が協力して設計を進めることがあります。
Q2. 組み込み系エンジニアの例は?
組み込みエンジニアが活躍する業界として、「家電業界」「情報通信機業界」「産業機械業界」「ゲーム業界」などがあります。
それぞれの分野における具体的な事例として、家電業界では炊飯器や冷蔵庫のような製品があります。情報通信機業界では、携帯電話やルーターなどが該当します。同様に、産業機械業界では工場内で動作する産業用ロボットが、ゲーム業界では携帯ゲーム機や据え置き型ゲーム機が挙げられます。
Q3. ハードウェアエンジニアと組み込みエンジニアの違いは何ですか?
ハードウェアエンジニアと組み込みエンジニアの異なる点は、何を設計・開発するかにあります。
組み込みエンジニアの主な役割は、C言語、C++、Javaなどのプログラミング言語を使用して、「ハードウェアを制御するソフトウェアを開発する」ことです。
一方で、ハードウェアエンジニアは機械設計や電気設計などを行い、「ハードウェア自体を設計・開発する」ことが主な業務です。
Q4. 組み込み制御エンジニアの仕事内容は?
制御・組み込み系システムエンジニア(SE)に必要な職務内容は、システム開発の要件定義から設計、運用保守までのプロセスを適切に統括するスキルが求められます。単にプログラムに関連する知識だけでなく、対応するハードウェアにも精通し、最適な設計と開発手法を選択して、システム開発を成功に導くことが使命とされます。
まとめ
組み込みエンジニアの需要は高いままであるにも関わらず、慢性的に人材が不足しています。求められる知識のレベルや量が障害となっていますが、プログラミングを学べる書籍やサービスを利用すれば未経験からでも転職できないことはありません。
組み込みシステムの開発をしていく中で、身につけた言語を応用して別の言語を習得したり、エッジAIなどの需要の高い技術を勉強したりすることで、組み込みエンジニアとしてキャリアアップも可能です。
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