CCIEとは
CCIEはCisco Certified Internetwork Expertの略で、ネットワーク企業のシスコシステムズ社が提供するシスコ技術者認定の1つです。ネットワークに関する最高水準のスキルを証明する資格であり、合格の難易度は高いです。ここでは、CCIEの位置付けや試験内容について詳しく解説します。
CCIEの位置付け
CCIEは、エキスパートレベルに位置する資格です。シスコ技術者認定は、以下の4つに分かれています。
レベル | 認定試験 |
---|---|
エントリ | CCST |
アソシエイト | CCNA/DevNet Associate/ CyberOps Associate |
プロフェッショナル | CCNP/DevNet Professional/ CyberOps Professional |
エキスパート | CCDE/CCIE/DevNet |
CCIEは、シスコ全般の専門知識およびネットワークにおいて、最も高い水準のスキルを持つことを世界中で証明できます。CCIEはネットワークエンジニアの中では非常に価値のある資格といえるでしょう。
関連記事:CCNAの資格概要を解説!難易度や勉強方法も紹介
試験コースは6種類
CCIEの試験コースは6種類に分けられています。6つのうちいずれか1つに合格すればCCIEが認定されます。6つのコースは以下の通りです。
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・CCIE Enterprise Infrastructure(エンタープライズインフラストラクチャ)
・CCIE Security(セキュリティ)
・CCIE Collaboration(コラボレーション)
・CCIE Data Center(データセンター)
・CCIE Enterprise Wireless(エンタープライズワイヤレス)
・CCIE Service Provider(サービスプロバイダー)
もし受験するコースを迷っているのであれば、エンタープライズインフラストラクチャがおすすめです。ルーティングやスイッチングなどの通信技術の中でもコアになるスキルが証明できるからです。また、試験対策の情報などが他コースよりも多いため、勉強の準備や計画をしやすいでしょう。
受験の前提条件
CCIEの受験の前提条件は18歳以上であることです(13歳以上17歳未満は保護者または法定後見人の同意が必要)。それ以外の条件は特にありませんが、試験は英語で出題されるため、英語力と5年から7年の高度なネットワークの実務経験があることが推奨されています。
また、シスコ独特の試験の雰囲気や問題の出し方などに慣れるため、下位資格のCCNPから段階を踏んで受験するのも良いでしょう。
CCIEの試験概要
勉強計画を立てるためにも必要なCCIEの出題範囲、試験時間、問題数について解説します。出題内容は6つのコースすべてで異なるため、それぞれを確認しておく必要があります。間違った範囲を勉強しても損にはなりませんが、合格できる可能性が低くなってしまうので要注意です。以下はCCIEの試験概要です。
資格試験 | ラボ試験 | |
---|---|---|
試験時間 | 120分 | 480分 |
出題形式 | コンピューター方式 (CBT方式) |
実技試験 |
受験申し込み | 全国のピアソンVUE試験センター | シスコシステムズ指定会場(CCIE Online) |
受験料 | 44,800円 (税抜き) |
1,600 (税抜き) |
受験言語 | 日本語、英語 | 英語 |
合否発表 | 試験終了後に表示 | 試験終了後48時間以内に確認可 |
各コースの概要を紹介していきます。
CCIE Enterprise Infrastructure
CCNAやCCNPの知識がベースになることから、人気のコースです。CCIE Enterprise Infrastructureの試験範囲と試験時間、問題数は以下の通りです。
試験番号 | 試験範囲 |
---|---|
筆記試験:350-401 Implementing Cisco Enterprise Network Core Technologies (350-401 ENCOR) |
・デュアルスタック(IPv4 および IPv6)アーキテクチャ ・仮想化 ・インフラストラクチャ ・ネットワークアシュアランス ・セキュリティ ・自動化 |
ラボ試験:CCIE Enterprise Infrastructure v1.1 |
・ネットワークインフラストラクチャ ・ソフトウェア防御インフラストラクチャ ・輸送技術およびソリューション ・インフラストラクチャサービスおよびセキュリティ ・インフラストラクチャ自動化およびプログラマビリティ |
CCIE Security
複雑なセキュリティソリューションのスキルを証明できるのがCCIE Securityです。
試験番号 | 試験範囲 |
---|---|
筆記試験:350-701 Implementing and Operating Cisco Security Core Technologies (SCOR 350-701) |
・コンテンツ セキュリティ ・エンドポイントの保護および検出 ・ネットワークセキュリティ ・クラウドセキュリティ ・セキュアなネットワーク アクセス ・可視性、およびエンフォースメント |
ラボ試験:CCIE Security v6.0 | ・境界防御と侵入防止 ・セキュア接続およびセグメンテーション ・インフラストラクチャセキュリティ ・アイデンティティ管理、情報交換、およびアクセスコントロール ・高度な脅威防御およびコンテンツセキュリティ |
CCIE Collaboration
シームレスなコラボレーションを実現することで、コスト削減や生産性向上など、働き方の変革を図ることができます。具体的には、電話やメール、テレビ会議などのコミュニケーションツールの統合です。
試験番号 | 試験範囲 |
---|---|
筆記試験:350-801 Implementing Cisco Collaboration Core Technologies (350-801 CLCOR) |
・インフラストラクチャーおよびデザイン ・プロトコル、コーデック、およびエンドポイント ・Cisco IOS XEゲートウェイとメディアリソース ・コールコントロール ・QoS ・コラボレーション アプリケーション |
ラボ試験:CCIE Collaboration v3.1 | ・プロトコルとAPI ・インフラストラクチャおよびサービス品質 ・通信制御およびダイヤルプラン ・エンドポイントおよびユーザー管理 ・エッジサービス ・メディアリソースおよびミーティング ・コラボレーションアプリケーションおよびサービス |
CCIE Data Center
複雑なデータセンターソリューションスキルの証明ができるのがCCIE Data Centerです。
試験番号 | 試験範囲 |
---|---|
筆記試験:350-601 Implementing Cisco Data Center Core Technologies(350-601 DCCOR) |
・ネットワーク ・コンピューティング ・ストレージネットワーク ・自動化 ・セキュリティ |
ラボ試験:CCIE Data Center v3.0 | ・データセンターL2/L3コネクティビティ ・データセンターファブリックインフラストラクチャ ・データセンターファブリックコネクティビティ ・データセンターコンピュート ・データセンターストレージプロトコルおよび機能 ・データセンターセキュリティおよびネットワークサービス |
CCIE Enterprise Wireless
複雑なエンタープライズワイヤレスソリューションスキルの証明ができるのがCCIE Enterprise Wirelessです。
試験番号 | 試験範囲 |
---|---|
筆記試験:350-401 Implementing Cisco Enterprise Network Core Technologies (350-401 ENCOR) |
・デュアルスタック(IPv4およびIPv6)アーキテクチャ ・仮想化 ・インフラストラクチャ ・ネットワークアシュアランス ・セキュリティ ・自動化 |
ラボ試験:CCIE Enterprise Wireless v1.0 | ・無線周波数と規格 ・エンタープライズ有線キャンパス ・エンタープライズワイヤレスネットワーク ・ワイヤレスセキュリティおよびアイデンティティ管理 ・ワイヤレスビジネスアプリケーションおよびサービス ・自動化、分析、およびアシュアランス |
CCIE Service Provider
複雑なサービスプロバイダーソリューションスキルの証明ができるのがCCIE Service Providerです。
試験番号 | 試験範囲 |
---|---|
筆記試験:350-501 Implementing and Operating Cisco Service Provider Network Core Technologies(350-501 SPCOR) |
・コアアーキテクチャ ・サービス ・ネットワーキング ・自動化 ・QoS ・セキュリティ ・ネットワーク アシュアランス |
ラボ試験:CCIE Service Provider v5.0 | ・コアルーティング ・アーキテクチャおよびサービス ・アクセスコネクティビティ ・ハイアベイラビリティとファーストコンバージェンス ・セキュリティ ・アシュアランスおよび自動化 |
CCIEの難易度
CCIEの難易度は、ITSS(ITスキル標準)のレベル4です。レベル4はIT国家資格の上位資格と同等なので、難易度は高いと言えるでしょう。具体的には、応用情報技術者の上位に位置するプロジェクトマネージャ試験、ITストラテジスト試験、システムアーキテクト試験、データベーススペシャリスト試験などが該当します。難易度が高い試験なので、勉強期間としても数年単位で考える必要があるでしょう。
CCIEの市場価値
ネットワークエンジニアにとって、資格は非常に重要視されます。ネットワーク業界では、シスコシステムズなどが展開するネットワーク関連製品の使用が業界の基本です。資格を取得していれば、スキルを保有していることの証明になります。
そしてシスコシステムズは、ネットワークエンジニアの能力の証明のためにCCNAやCCNP、CCIEの資格を展開しています。難易度によって分類されていますが、中でもCCIEは最上位の資格であり、ネットワークエンジニアにとって最も価値がある資格といえるでしょう。
CCIE取得者の将来性
CCIEはネットワーク業界で最も評価される資格であるため、転職活動時の有力なアピールポイントになるでしょう。しかし、転職では実務経験も重視されることに注意が必要です。
キャリアアップを考えた場合、CCIEで得られる知識は高度ネットワークの業務をスムーズに遂行するための土台となるため、取得することで評価される場も増えるでしょう。単なるスキルアップだけでなく、昇給や転職によるキャリアアップを目指す人の大きな手助けとなるのがCCIEです。
CCIE合格のための学習ロードマップ
試験範囲が広いCCIE合格のためには、出題範囲の把握や十分な勉強時間の確保など、学習計画を立て効率よく進めるためのポイントがあります。難易度の高いCCIEに合格するためには、入念にスケジュールを立て、毎日コツコツと学習する必要があるでしょう。まずは以下の内容を確認し、今後やるべきことを明確にしていってください。
試験範囲を把握する
CCIEの試験範囲は他資格と比べても広いです。まずは、どこまでがCCIE試験に含まれるか把握することが重要です。
試験範囲になっているネットワーク技術を認識し、そのネットワーク技術をどのレベルまで理解する必要があるかを把握しましょう。試験範囲を認識するためには、シスコシステムズのホームページに公開されているblueprintで確認しましょう。
勉強方法を検討する
次に、試験範囲になっているネットワーク技術をどのような方法で勉強するか検討します。CCIEは筆記試験とラボ試験の2段階に分けられているため、それぞれに適切な勉強方法を考える必要があります。以下は一般的な勉強方法です。
参考書の熟読
シスコ唯一の公式本が出版されています。CCIEの試験範囲は非常に広いため、まずは公式の参考書を読み進めていくことが重要です。英語表記の本ですが、英語が苦手な人も読み進めることで、シスコの問題の表現方法などに慣れることができます。
公式トレーニングコースの活用
シスコが公式に認定するパートナー企業により、CCIEの学習ができるトレーニングコースが展開されています。トレーニングコースだけでなく、資格取得を目指す受験者同士の情報交換や、シスコ技術者認定の最新情報など、試験に関するあらゆる情報が公開されています。これらの情報は全て日本語で提供されています。
また、インタビューのページでは実際にCCIEを取得した人の勉強方法も掲載されているため、参考になるでしょう。
実機での検証
ラボ試験の対策として、実機での検証を繰り返すことが必要です。具体的には、試験範囲のシスコ公式ドキュメントを読み込み、掲載されている技術を1つずつ検証したり、Workbookを活用して検証力とトラブルシューテング能力を身につけたりします。これらを繰り返し実施することにより、理解度の低い技術の対策を行いましょう。
英語力の強化
CCIEは英語力が必要な試験です。大体TOEIC400点レベルの英語力が必要といわれています。英語ができなければ試験対策に使用する参考書での勉強ができません。またCCIEの情報が記載されたサイトも参考にすることができません。
英語の勉強に関しては人それぞれ効果的な勉強方法があるため、自分にどの方法が合っているのか分からない人や時間を少しでも短縮したい人は、英会話スクールへ通うことも検討しましょう。
勉強スケジュールの策定
いつまでにCCIEを取得したいかを明確に定め、それまでに合格可能なレベルに達成できるようスケジュールを策定します。
合格するためには、約1000〜2000時間の勉強が必要といわれています。blueprintをベースに、各ネットワーク技術の検証をいつまでに完了する必要があるのかを明確にしてスケジュールを立てましょう。
CCIEに関するよくある質問
CCIEに関するよくある質問と回答を紹介します。IT関連の資格は多数存在し、目的やレベルによって細かくいろいろな区分がされています。そのため、CCIEに関しても分類や条件がよくわからないと感じている人は多いでしょう。実際に勉強を始める前に、CCIEを含めて試験の位置づけや概要把握に力を入れるのがおすすめです。
Q1. CCIEの有効期間は何年ですか?
CCIEの有効期間は3年間です。資格を失効させないためには、同じ認定以上の試験に合格する、継続教育単位を獲得する、といった方法があります。3年以内に別の試験を受験する予定がないのであれば、単位を取得して資格を失効させないようにするのが一般的です。
Q2. CCIEを受験する条件はありますか?
CCIEは18歳以上であれば誰でも受験できます。ただし5年から7年程度のシスコ社製品の実務経験が推奨されているので、推奨されている条件を満たしているか、それと同程度のスキルや知識を持った状態で受験するのが得策でしょう。
まとめ
CCIEは数あるIT資格の中でも取得難易度の高い資格です。具体的にはITSS(ITスキル標準)のレベル4です。レベル4は上位IT国家資格であるプロジェクトマネージャ試験やITアーキテクト試験と同程度のレベルなので、資格取得のための勉強期間としても年単位で考えた方が良いでしょう。少なくとも、一般的には数か月の勉強期間で簡単に合格できるような難易度ではありません。
またCCIEを含めて資格は細かく区分されていて、目的に応じて受験すべき試験が変わってきます。有効期間や期間更新のためのルールなどもあるので、勉強を始める前に全体像を把握しておくのがおすすめです。
事前に計画を立てて着実に勉強を進めていってください。試験の難易度が高い分勉強期間も数年単位になる可能性が高いので、自分なりにモチベーションを維持の方法を模索することも重要でしょう。
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