Android™技術者認定試験制度とは?難易度や勉強方法を解説

最終更新日:2024年6月27日

スマートフォン向けOSとして普及したAndroidは、今やさまざまなデバイスに搭載されています。Android上での開発スキルを身につけることで、アプリケーション開発者としてのキャリアパスが広がっていくこと可能性が高いです。

そこで、Android向けアプリ開発の基礎を身につけるために、資格取得を目指してみましょう。

本記事では、Android™技術者認定試験制度の受験を検討しているアプリケーションエンジニアに向けて、Android™技術者認定試験について解説しています。

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この記事のまとめ

  • Android™技術者認定試験制度とは、Androidアプリ開発における知識、スキルを問う試験
  • Android™技術者認定試験に合格することでアプリ開発に必要な基礎知識、スキルが身につき就職、転職市場での一定の評価にもつながる
  • Android™技術者認定試験の難易度は経済産業省が認定するITスキル標準でレベル2に該当する

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Android™技術者認定試験制度とは?

Android™技術者認定試験制度は、Android OS上でのアプリケーション開発における知識・スキルを証明するための試験です。アプリケーションエンジニアがAndroid™技術者認定試験に合格することで、仕事の幅を広げることができるでしょう。本章では、Android™技術者認定試験の概要や構成要素、申し込み手順などについて解説します。

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Android™技術者認定試験の概要

Android™技術者認定試験は、2010年に「一般社団法人Open Embedded Software Foundation」によって開始されました。現在は「一般社団法人 IT職業能力支援機構 Android技術者認定試験制度委員会」に運営が移管されています。

Android向けアプリケーション開発に関する資格としては、2024年時点で唯一かつスタンダードなものといって良いでしょう。

Android™技術者認定試験は、IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)が定めるITスキル標準(ITSS)「レベル2(初級〜中級者向け)」に該当しており、実務寄りの資格です。

また、組込みスキル標準(ETSS)に準拠した組込み技術者試験制度(ETEC)とも連動しており、組込みエンジニアとしてのスキルを証明することも可能です。

ITSSやETSSに組み込まれることで、ほかのIT系国家資格と同様に知識・スキルのレベルを証明しやすくなっています。

Android™技術者認定試験の構成要素

Android™認定技術者試験制度は「アプリケーション技術者認定試験」と「プラットフォーム技術者認定試験」のいずれかに合格することで認定されます。どちらの試験も概要は以下のようになっています。

試験時間 90分
問題形式 四肢択一のCBT方式
費用 税込1万6,500円
試験会場 全国のプロメトリック公認テストセンター(APTC)
試験日時 随時(※テストセンターの営業時間や定休日に準ずる)
出題数 70問
合格基準 70%以上
受験資格 なし
アプリケーション技術者認定試験

アプリケーション技術者認定試験は、Androidアプリケーション開発の基礎知識、スキルをチェックするための試験です。日本国内向けとしては「アプリケーション技術者認定試験ベーシック」がリリースされています。

主な内容は「Androidプログラミング」「Javaプログラミング」「スクリプト言語」「オブジェクト指向」「Androidアプリ基礎知識」などです。また、後述のプラットフォーム技術者試験と共通する試験項目として「開発環境」「デバッグ技術」「デバッグ手法」なども設けられています。Androidのみならず、Javaやスクリプト言語全体の知識も問われるため、汎用的なアプリケーション開発の知識が必要になるでしょう。

また、2024年5月時点ではより実務者向けの「プロフェッショナル」も準備中となっており、今後提供予定とされています。

プラットフォーム技術者認定試験

プラットフォーム技術者認定試験は、アプリケーションよりもプラットフォーム開発関連の知識に重きを置いた試験です。

主な内容は「Linuxの知識」「ライブラリ」「Bionic(Androidで使用されるC言語の標準ライブラリ)」「HAL」「起動シーケンス」「Androidプラットフォーム基礎知識」などです。また、開発環境やデバッグに関する問題も出題されます。内容を見て分かるように、開発用のプラットフォーム構築・運用・移植などを担うエンジニアが対象です。

アプリケーション技術者認定試験と同様に、2024年5月時点で受験可能なのは基礎レベルの「ベーシック」のみで、「プロフェッショナル」は今後展開予定です。

Android™技術者認定試験の申し込み手順

Android™技術者認定試験はインターネットのオンライン予約をすることで受験できます。試験は全国にあるプロメトリック社の試験会場で毎日実施されているので、予約後は受験会場に行きます。受験結果は試験後2日以内にメールで案内が通知されます。

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Android™技術者認定試験を受験するメリット

Android技術者認定試験のメリット


Android™技術者認定試験を受験することで複数のメリットを得られます。主なメリットとしては、Androidを含むアプリ開発の知識やスキルが定着することが挙げられます。

また、IT・Web系企業の就職・転職に役立つことも資格取得のメリットです。さらに、資格手当や昇給につながる可能性もあります。本章では、Android™技術者認定試験を受験するメリットを解説します。

Androidを含むアプリ開発の知識・スキルが定着する

Android™技術者認定試験を受験すると、Androidを含むアプリ開発の知識とスキルが身につきます。実際にアプリを開発するためには手を動かして実践していく必要がありますが、試験を通して基礎知識が網羅的に身につきます。受験後にアプリ開発を始めれば、予備知識がない人よりもスムーズに進むでしょう。

IT・Web系企業の就職・転職に役立つ

Android™技術者認定試験に合格することで、IT・Web系企業から一定の評価を得られます。そのため、就職・転職に役立ちます。Android™技術者認定試験は国際的に評価されているので、海外企業への転職にも役立つでしょう。

資格手当や昇給につながる可能性がある

企業によっては、Android™技術者認定試験の合格者に対して資格手当や昇給制度を設けています。具体的な条件は企業によって異なります。手当や昇給制度を設けていない企業でも、資格取得によって評価が上がり、間接的に収入アップにつながる可能性はあるでしょう。

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Android™技術者認定試験の難易度と勉強方法

Android™技術者認定試験の合格を目指すなら、事前に試験の難易度や勉強方法を理解しておくことは重要です。的確な準備を行うことで、合格への道が大きく開けるでしょう。

本章では、Android™技術者認定試験の難易度と勉強方法について詳しく解説していきます。Android™技術者認定試験の受験対策の参考にしてください。

Android™技術者認定試験の難易度について

Android™認定技術者試験制度の難易度は、それほど高くありません。もちろん、個々のITリテラシーによって難易度が変わるため、誰でも合格できるという意味ではありません。

Javaなどを用いたアプリケーション開発経験が1年程度あれば、1カ月〜3カ月程度の勉強で十分に合格可能です。ちなみに、各試験の合格ラインの目安は正答率7割です。

アプリケーション技術者認定試験ベーシックの難易度

アプリケーション技術者認定試験ベーシックの難易度は、開発に必要となる基本的なレベルです。経済産業省が認定するITスキル標準では、レベル2に該当します。比較的取得しやすいとされているOracle認定JavaプログラマのGoldや基本情報技術者試験と同程度のレベルです。

プラットフォーム技術者認定試験ベーシックの難易度

プラットフォーム技術者認定試験ベーシックの難易度も、同様にレベル2です。しかし、プラットフォーム技術者認定試験ベーシックの方がアプリケーション技術者認定試験ベーシックよりも難易度は高いです。2つの試験では、合格率や受験者の声から難易度の違いがうかがえます。

Android™技術者認定試験の勉強方法

Android™技術者認定試験に合格するためには、効果的な勉強方法を把握することが重要です。代表的な勉強方法としては、参考書を活用して独学で勉強することが挙げられます。

また、公式サイトで紹介されている合格体験記を活用することも受験勉強に役立つでしょう。そのほかにも、公式サイト記載の模擬試験の活用もおすすめです。以下では、Android™技術者認定試験の勉強方法について解説します。

参考書の活用

参考書は試験勉強の王道の方法です。具体的な書籍は、公式サイトで推奨されているものがおすすめです。中でも初心者から資格取得目指すなら以下3冊を推奨します。

『Androidアプリケーション技術者認定試験ベーシック対策実践問題集〔改訂版〕』(日経BP、Androidアプリケーション技術者認定試験対策委員会)
『Android技術者認定試験教科書 やさしいアプリケーションベーシック』(秀和システム、川添 真智子、中村 修太 )
『3週間完全マスター Androidアプリケーション技術者認定試験ベーシック』(日経BP、Android技術者育成チーム)

公式サイトで紹介されている合格体験記の活用

Android™認定技術者認定試験制度の公式サイトには、合格体験記のリンクが設置されています。合格体験記では、合格者がどのように勉強し、どれくらいの期間で合格できたかが記されています。また、勉強に用いた書籍の概要や試験後の感想も記載されているため、試験対策の指針として活用してみてください。

公式サイト記載の模擬試験の活用

Android™認定技術者認定試験制度の公式サイトには、10問の模擬試験が用意されています。問題数こそ多くはありませんが、実際の試験がどのようなものかを掴むには十分でしょう。この模擬試験を活用することで、本番に向けてのイメージトレーニングができます。受験前の準備として、ぜひこの模擬試験に取り組んでみてください。

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Android™技術者認定試験の受験が向いている人

Android™技術者認定試験は、さまざまな職種の人にとって有益な資格です。具体的な受験に向いている人としては、Androidアプリケーション開発者が挙げられます。

また、インフラ担当者やサーバーサイドエンジニアもAndroid™技術者認定試験の受験が向いている職種です。そして、Javaエンジニアも受験に向いているといえるでしょう。本章では、Android™認定技術者試験制度の受験が向いている人を、職種別に整理して紹介します。

Androidアプリケーション開発者

Androidアプリケーション開発者であれば、受験自体が知識・スキルの体系化につながるはずです。また、認定を受けることで自身の経歴を補強することができるため、積極的に受験していきましょう。Androidアプリケーション開発者におすすめの資格は「アプリケーション技術者認定試験」です。

関連記事:アプリケーションエンジニアの仕事内容は?年収・将来性も解説

インフラ担当者・サーバーサイドエンジニア

開発環境を構築・運用することが多いインフラ担当者ならば、「プラットフォーム技術者認定試験」の受験がおすすめです。また、Android開発環境はLinuxの派生バージョンであるUbuntuをベースとすることが多いため、Ubuntuを触る機会が多いエンジニアにもおすすめできます。

Javaエンジニア

アプリケーション技術者認定試験の内容には、JavaプログラミングやEclipse、SDKなどのJava開発環境項目が含まれています。これは、Androidアプリケーション開発でJavaがよく使われるからでしょう。

実際にJavaの経験者がAndroidアプリケーション開発者に転身するケースは珍しくありません。今後のキャリアパスを拡げる意味でも、受験を検討してみましょう。

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Android™技術者認定試験合格者の将来性

Android™技術者認定試験に合格すれば、就職や転職活動で大きなアドバンテージになるでしょう。Webトラフィック分析サービス「StatCounter」の2024年4月の調査結果では、Androidの世界シェアは43.35%と高水準です。そのため、Androidに関する知識やスキルを持つITエンジニアの需要も高まっています。

また、Android™技術者認定試験に合格した後には、さらなるスキルアップを目指して「Oracle認定Javaプログラマ」の資格取得を目指すと良いでしょう。その理由は、Androidアプリの多くはJavaで開発されているためです。

Oracle認定Javaプログラマは、Javaの開発元であるオラクル社が主催する資格試験で、Javaの知識やスキルを証明することができます。AndroidとJavaの両方の知識を持つことで、ITエンジニアとしての市場価値が大きく高まるでしょう。

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Android™技術者認定試験に関するよくある質問

本章では、Android™技術者認定試験に関するよくある質問と回答を紹介します。Android™技術者認定試験に関するよくある質問には、Android™技術者認定試験の勉強時間や難易度、受験料に関する質問が挙げられます。

また、Android™技術者認定試験の有効期限やAndroid™技術者認定試験が「古い」といわれる理由についての質問も多いです。これらのよくある質問と回答を参考に、Android™技術者認定試験の受験に役立ててください。

Q1. Android™技術者認定試験の勉強時間を教えてください。

Android™技術者認定試験の勉強時間の目安は、1日1時間〜2時間、合計1ヶ月〜2ヶ月程度です。ただし今までのプログラミング経験や試験勉強の得手不得手、集中力によって大きく差が出てくるでしょう。そのため上記はあくまでも目安とお考えください。

Q2. Android™技術者認定試験は難しいですか?

Android™技術者認定試験は経済産業省が認定するITスキル標準では、レベル2に該当します。基本情報技術者試験と同程度のレベルなので、IT資格の中では比較的難易度が低いものの、易しいわけではない、といった程度でしょう。

Q3. Android™技術者認定試験の受験料はいくらですか?

Android™技術者認定試験の受験料は税込で1万6,500円です。アプリケーション技術者認定試験もプラットフォーム技術者認定試験も同じ受験料になります。安くはない金額ですが、今後何らかの形で役立つため、投資する価値があるといえるでしょう。

Q4. Android™技術者認定試験に有効期限はありますか?

Android™技術者認定試験には、有効期限はありません。一度取得すれば、永続的にAndroid技術者としての能力を証明できます。ただし、技術は日進月歩で進化していくため、常に最新の知識を身につけておくことが重要です。資格取得後も、継続的な学習を怠らないようにしましょう。

Q5. Android™技術者認定試験が「古い」といわれる理由は何ですか?

Android™技術者認定試験は、近年アップデートされておらず、その内容は多少古くなっています。最新のツールや言語であるAndroid JetpackやKotlinは、試験の出題範囲に含まれていません。しかし、Android開発の基礎を学ぶ入門者にとっては、資格取得が知識の習得に役立ちます。

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まとめ

本記事では、Android™技術者認定試験の概要や受験するメリット、難易度と勉強方法、受験が向いている人、合格者の将来性などについて解説しました。Androidはスマートフォン以外のデバイスでも活用されていることから、Android上での開発スキルを身につけることで、アプリケーション開発者としてのキャリアパスが広がるといえるでしょう。

Android技術者認定の資格を取得することで、Androidアプリ開発の基礎を身につけられます。転職活動でも有利に働く可能性が高いので、ぜひ取得を検討してみてください。

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