AIが雇用に与える影響とは?対策やAI導入のメリットも紹介

最終更新日:2024年2月26日

「AIが雇用(仕事)を奪う」という予測は、2015年前後から急速に広まりました。同様の議論は過去にもあり、やがて沈静化すると考えられてきましたが、生成AIの台頭により再び現実味を帯び様々な変化の兆しが見えてきています。

今後も、AI技術の革新や量子コンピュータ実用化など、AIの活用が進むことは想像に難くなく、労働者もAIへの正しい知見と対策が必要です。AI時代では「何が無くなり、何が生まれるか」を見据えたキャリア構築が重要となります。

本記事では、AIの進化による雇用の減少が気になるIT技術者に向けて、AIによりなくなる仕事と生まれる仕事、AI進化後も将来性がある仕事・職種について解説します。

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この記事のまとめ

  • AIの普及により、パターン化しやすい業務では人間を代替するケースが発生し始めています
  • AIにより雇用が減少する職種もありますが、新たに生まれる職種もあり、労働全体に対する需要が低下するわけではありません
  • ITエンジニア職種は、AIを活用するスキルを持つことで今後も高い需要を望むことが可能です

「AIの普及で雇用が減少する」は本当?

2015年前後に「AIが雇用を奪う」という論調が形成された背景について解説します。その後一旦は沈静化してきましたが、2022年以降のChatGPTなどの生成AIの躍進により、再び現実味を帯びた予測とする声が増えています。

20年以内に労働人口の半数が機械に?「フレイ&オズボーン」の理論

技術革新が人間の職を奪うといった論調は、かなり昔から存在しています。古くは18世紀から19世紀にかけ、欧州で巻き起こった「産業革命」でも、同様の論調が生まれました。

職人の多くが機械に仕事を奪われるという噂が横行し、機械が破壊される事件が多発したのです。この噂の出所ははっきりとしませんが、現在のAIブームでいえば「フレイ&オズボーンの推計値(※)」が該当するのではないでしょうか。

2013年9月、オックスフォード大学のフレイ&オズボーンは、「米国内の労働人口の47%がおよそ70%以上の確率で、10~20年以内に仕事を代替される」という推計値を発表しました。この推計値が、「AIが約半数の労働者の雇用を高確率で奪ってしまう」という言い方へと姿を変えていったようです。

日本国内についてもフレイ&オズボーンと野村総合研究所が2015年に行った合同研究「日本におけるコンピューター化と仕事の未来」では、「日本における被雇用者全体の 49 パーセントが、高い自動化リスクにさらされていること」としています。

しかし、後々になって計算ミスが発覚したことや、発表者のひとりであるマイケル・オズボーン準教授が「技術的な可能性の話であり、技術革新に伴う雇用増については考慮していない」と発したことから、現在は参考情報程度にとどまっています。

以上のことから、「AIに雇用が奪われる」という論調は、やや過熱気味のブームだとも考えられるわけです。

「雇用量が減る仕事」の増加は懸念事項

ただし、AIが省力化や人手不足対策として活用されている側面から、定型業務などを中心に雇用量が減ることは十分に予想されます。実際に平成29年の厚生労働省の調査結果においても、「AIが雇用量を減らす」と考える企業が「増やす」と考える企業を上回っています。

一方で、「昨今の人手不足と相殺され、俯瞰すると大きな変化はない」「増える職種、減る職種があり、全体としては相殺され、結果的に総量として変わらない」と回答した企業が最も多い点にも注目すべきです。

また、IT関連リサーチ大手のガートナー社からは、「AIによる雇用創出が消失を上回り、その差は年々拡大傾向にある(つまり雇用増になる)」という結果が示されています。

労働全体では総量は変わらないとする予測は継続的なものとなりつつあります。2024年1月にはIMFが「人工知能(AI)が世界の全雇用の約40%に影響を与える見通しだとする最新の分析」を発表しましたが、雇用の減少よりも「AIが全体の不平等を悪化させる可能性がある」点を懸念するものとなっています。

ポイントは「ルーティーン業務」

そもそも米国では、どれだけ専門知識が必要な業務であろうとも、「ルーティーン化」されてしまえば、当該業務に従事する労働者は雇用されなくなる傾向にありました。この流れは日本国内でも徐々に加速しており、AIの台頭によって「ルーティーン業務」の水準が上がり、ハイスキルな人材以外はAIによる雇用減少の影響に巻き込まれるリスクがあるわけです。

ただし、日本は技術革新によって雇用を減少させた企業よりも、増加させた企業のほうが多く、現時点ではさほど影響が出ていません。しかし「強いAI」の台頭が今までの流れを変える可能性は十二分にあるでしょう。

企業がAIの普及や導入において行うべき対策

企業や組織においては、AIの導入・活用は生産性の向上や人材不足の解消に欠かせない施策となります。その一方で、先にも上げた雇用の代替が発生することにも目を向けて置くことが必要です。

AIの強み・弱みを把握する

AIは利便性が高く、幅広い業務に適用できることが予測されます。しかしながら、万能ではなく、現在も進化の途上にある技術です。業務への導入を図る際には、導入時点でのAIの強み・弱み、できること・できないことを把握して、適切な効果が期待できる分野を見極める必要があります。

例えば、AIでは定まったルールに沿って繰り返し行うルーティン作業に対しては、高い正確性を活かした大きな成果が期待できます。一方で、クリエイティブな作業においては、アイデア出しは得意ですが、学習において得られた内容以外の判断は仕組み上難しいため、最終的な人間の判断の余地が残ります。

人材の配置調整の検討

AIを導入することにより効率化される業務が生まれ、業務量が減少するポジションも出てきます。必要とする人的リソースが減少するためコスト削減の効果が期待できますが、これまで業務を担当していた人材には配置転換が必要です。

また、次項で言及するAIの利用により新たに生まれる業務も想定されます。こちらにも企業内での人的リソースの割り当てが必要となりますが、AIを用いた業務への適性などの考慮もいるでしょう。

AIの普及によって生まれる新たな仕事への対応

これまで、産業革命が起こる度、業務が効率化された部分では人員の削減が行われてきましたが、新たな業務も多く生まれてきました。AI導入によっても、現状では予測しきれていない新たな業務が登場することが想定されます。

特にAIに関する知識やスキルが必要な業務の場合には人材確保が難しいため、早期からAI関連人材の育成に着手するなどの手を打つ必要があります。

AIの強み・弱み

AIには何でもできそうなイメージがありますが、決して万能ではありません。AIにも得意な分野や対応できない分野があります。技術の進展により弱みの克服は図られているため、現時点の強み・弱みを把握しておくことが大切です。

AIの強み

AIが得意とすることを紹介します。ルールが決まった作業ならば人間が行った場合よりも高い成果が期待できることが強みとなります。

正確性

AIの一番の強みとしては「正確性」が挙げられます。ルールに従って情報を処理・判断する能力は人間よりAIの方が格段に高いです。

例えば、レントゲンの画像診断で病気の可能性のある「影」を見つけるという作業については、今では人間の医師よりもAIに任せた方が精度の高い結果が得られると言われています。

処理スピード

大量のデータを処理するスピードを比較した場合、人間とAIでは比較にならないでしょう。処理スピードについては圧倒的にAIの勝利です。

AIの処理スピードはコンピューターのハードウェア(GPU)の処理能力に依存しています。GPUは、一般的なPCやスマートフォンに搭載されているCPUとはコア(Core)と呼ばれる演算機構の数が桁違いです。CPUのコア数は普通2〜7なのに対し、GPUの場合数千のコアを搭載しています。それぞれのコアで並列処理を行うので高速な演算が可能なのです。

疲労しない

人間は長時間働くと疲労が溜まるため適度な休憩が必要ですし、寝ずに働き続けるのは不可能です。一方AIは電源の供給さえあれば連続で稼働することができます。AIには疲労という概念はないので、長時間にわたって安定した結果を出力することができます。

AIの弱み

AIが苦手としていること、弱みには下記が挙げられます。2024年1月時点では、あらゆることを人間と同じように実現できるAIは未だ登場していません。

クリエイティブな作業

AIはクリエイティブ(創造的)な作業が苦手です。何をもって「クリエイティブ」とするかによっても異なってきますが、AIはあらかじめ用意されたデータに基づいて処理を行うことを得意としています。したがって今まで誰も思いつかなかったものを「クリエイティブ」とするならば、AIが全く新しいものを生み出す力は高くないと言えるでしょう。

しかし、クリエイティブと言われる絵画や小説の分野でもAIが自動生成で作品を作ることができるようになってきています。これまで人間にしかできないと思われていた分野でもAIが活躍できる未来がやってくるかもしれません。

想像力

AIには人間のような想像力はありません。人間の想像力は目の前にないものをイメージする力であり身体感覚を基礎としていますが、AIに人間の五感のようなセンサーを全て搭載するのは困難です。

また、想像力が豊かな人は、常識や既存の枠組みを超えて自由に考えることができます。自ら「問い」を立て、自分なりの答えをイメージすることで想像が広がり、大きな視野や新しい角度で物事を見ることができます。

ITコンサルタントが顧客に「営業事務を効率化したい」と相談された場合、「なぜ、効率化したいのか?」と疑問を持ち、「他に真の問題点があるかもしれない」という仮説を立てることができます。想像力によって根本的な解決策に効率的に到達できる場合があるのです。

AIは「なんのために分析するのか」と目的を問うことはありません。AIは大量のデータから有益なパターンを見つけ出すのは得意ですが、自ら問いを立て仮説を設定することは苦手です。

感情に寄り添う行動

現在のAIには人間の感情を理解して共感する能力はありません。人間には友達や親しい人に良いことがあったときに自分のことのように嬉しくなったり、友達に悲しいことがあったとき自分も同じように悲しくなるということがあります。こうした他人の気持ちを、まるで自分の気持ちと同じように感じてしまうことを「共感」といいます。しかし、現状では人間の感情についてまだ科学的に解明できていないことが多く、感情についてAIに教え込むことは困難なのです。

現在、コールセンターにもAIを搭載したボイスボットが導入される事例が増えています。24時間365日対応できるという点がAIのメリットですが、顧客に「話を聞いてもらってよかった」という心理的な安心感を与えるということではAIは人間のオペレータにはまだまだ及びません。

企業がAIを導入するメリット

企業がAIを導入することにより得られるメリットとして、下記があげられます。AIによる業務の効率化・自動化により、企業の価値向上、課題解決が図れます。

人材不足の解消

労働人口減が背景にある人材不足は、今後も継続的に企業にとっての課題です。AIによる業務の効率化は、人材不足の解消手段の一つとして期待されます。

現在、人が直接行っている作業をAIがサポートを行うことにより効率化できれば、必要な人的リソースを減らすことができます。AIとロボットなどの技術を用いた自動化が実現できれば、更なる効果が期待できます。

生産性の向上

業務効率の向上は、同一の作業時間で生産性を高めることにもつながります。また、人が関与する作業を減らすことで、作業そのものの稼働時間を伸ばすことも可能です。人的ミスを削減できることも生産性を向上させる要因となります。

さらには、AIを適用して業務を効率化する際には、業務を分析し、明確化することが必要となるため、業務プロセスを定義し直す機会ともなります。業務内の手順やノウハウを明らかにすることで属人化を防ぎ、継続的な生産性確保が可能です。

人件費削減

AIによる業務効率化により人材不足の解消、生産性向上ができれば、既存業務に対しては人件費の削減が可能となります。より少ない人数で現行の業務がこなせるためです。

金銭および人的なリソースの余裕は、企業の成長に対する投資や別分野への注力に利用できます。

顧客・従業員満足度の向上

AIによる業務の効率化および品質の向上は、顧客の満足度向上にもつながります。提供する製品やサービスの価値を高め、提供に必要なコストを下げることができるためです。

また、従業員は単調な繰り返しの作業はAIに任せて、より創造性の高い業務に注力することができます。従業員の満足度を高める効果も期待可能です。

AIの普及により減る仕事・増える仕事

これまでの内容から、「AIが雇用を奪う」というよりは「職種ごとにAIに代替される可能性が異なる」という言い方のほうが適切であるといえます。そこで、AIの台頭で雇用が減る仕事・増える仕事を整理してみましょう。

ただし、これらはあくまでも予測です。実際には企業の経営体力や技術革新のスピードによって、変化する可能性があります。また、これらの予測に関してはAIの影響のみを考慮しており、その他のIT技術により状況が大きく変化することは考慮の範囲外です。

減る可能性のある仕事

AIに代替され減る可能性がある仕事には下記があげられます。

総じて、仕事の内容をパターン化できる職種は、AIの導入により効率化や品質の向上が見込みやすいため減少の可能性が高いといえます。やがてAI導入に必要なコストが下がり、人間が労働するコストを下回った場合には業務が代替されると考える必要があるでしょう。

バックオフィス関連職の一部

経理、人事といった「バックオフィス」の業務は、その一部がルーティーン化しやすいことから、AIに取って代わられる可能性が高いと言えます。

厚生労働省の報告によると、実際にAIを組み込んだERPパッケージが2015年末にリリースされました。高度な人事・経理業務を代替することが可能であり、理論上はバックオフィス部門の時間効率を倍にし、社員がPCに向かう時間を半分にすることができるとしています。

営業部門の一部

かつて「機械では代替できない職業」の代表格と考えられてきた営業職も、AIの導入により代替される業務が多くあるとされています。インサイドセールスの台頭やコロナ禍によって「非接触かつオンラインでの営業活動」が浸透しはじめていることがその背景となっています。

特にSFAやCRM、MAなどを連携させることで、かつて営業担当者やアシスタントが担っていた業務の一部が、AIで代替可能になっています。「商談」などのコア業務は依然として人間が行うものの、付随する業務が代替されることで、結果的に雇用が減るというわけです。

監視、監督、定期報告に関する業務

いわゆる「見張り(監視や監督)」と「定期報告」に関する業務も雇用減の対象になるでしょう。AIが持つ各種認識能力や、学習機能、予測機能、センサーとの連動などで充分に対応できてしまうからです。

税務、会計、金融業の一部

税務や会計、金融商品の価格推移など、特定の数値だけを専門的に扱う仕事の一部も、AIによって代替されるのではないかと言われています。また、顧客自体がAIの扱いに慣れ、運用ノウハウを得ることで、かなり高度な業務も自動化されることが予測されます。

増える可能性のある仕事

AIの普及により増える可能性がある仕事として、下記があげられます。

AIの利活用に関わる職種は増加が見込め、創造性の高い仕事や教育関連、人間の精神や感情に関わる仕事は代替が難しいため需要が維持されるという予測が有力です。

現状、AIはビッグデータを分析し、データ内の最適な組み合わせを探して出力するような仕事は得意ですが、何もないところから着想、発想を得て試行錯誤しながら正解を探す創造的な仕事をすることは不得手です。このような得手・不得手が増加の予測と強く関連しています。

IT関連の技術職

AIのアルゴリズム開発、AI関連の運用保守エンジニア、AIを産業機器、デジタルデバイスへ組み込むエンジニアなどは、AIが普及することにより需要が増えていくと考えられます。AIは本格的な普及期の直前にあるため、既存のテクノロジーとの融合はこれからです。

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コンサルティング関連職

ビッグデータ、AI活用などのコンサルティング関連職も有望な職種かもしれません。「AIの民主化」という言葉があるように、AIは年々ユーザーフレンドリーなツールになりつつあります。しかし、学習の必要性や学習用データの整備、分析結果からビジネス的な知見を発見する業務などは、まだまだ専門知識が必要です。

医療関連職

医療とITは非常に親和性が高く、AIを活用した診断システムや医療情報管理システムなども徐々に一般化していくと考えられます。これらのシステムは、当然のことながら開発・運用保守を行う人材が必要です。いわゆる「院内SE」などの医療系SEと呼ばれる人材です。

また、医療の現場では人と寄り添うホスピタリティも重要です。現状ではAIには不得手な分野のため、代替される可能性が低い理由ともなっています。

その他「対面」「伴走」型の業務

AIによって代替不可能な業務もあります。それは「物理的な対面、随伴が必要な職種」です。接客業や介護職の一部は、AIのみで完全に代替することができないため、大幅な雇用減には至りにくいでしょう。ただし、労働市場やコロナ禍の影響は大いに受けるため、AIの普及とは別の観点から対策が必要かもしれません。

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AI活用時の問題点

今後AIの活用が広がっていく際に、企業や社会で起きうる問題についても知っておくべきです。AIの周囲は発展途上で変化が大きいため、利活用には柔軟な対応が求められます。

AIが不具合を起こしたときの責任問題

AIは高い精度を持っていますが、必ずしも100%の確実性を保証する仕組みではありません。AIが不具合や事故を起こした場合、誰が責任を取るかという問題があります。

例えば自動運転技術にもAIの技術が多く使われていますが、完全な自動運転が実現すると運転手がハンドルを握る必要もなくなります。このような自動運転車が事故を起こした場合、それは誰の責任となるでしょうか?自動運転技術を開発した会社でしょうか?それとも車を販売した販売店でしょうか?あるいは運転手でしょうか?

このような問題に対しては、法律の整備が全く間に合っていません。法律だけではなく、自動運転の車が起こした事故を想定した保険もまだありません。人間側の社会のルールがAIの進歩に追いついていないというのが現状です。

生成AIによるコンテンツの作成でも、著作権などの他者の知的財産権侵害やコンテンツの不正確性という問題があり、最終的にはコンテンツを利用する人がチェックを行い責任を負う必要があります。

AIがプライバシーに関わる情報を扱う

2つ目の問題点は、プライバシーや個人情報の問題です。AIがプライバシーに関わる情報を集めるのはどこまで許されるかという問題は盛んに議論されています。

現に、YouTubeのおすすめ動画やWebサイトに掲載される広告などはすでにAIの力を借りています。
ユーザーがこれまでに見たサイトや検索履歴などのデータを元にAIが判断してユーザーの趣向に合った広告やおすすめ動画を表示しています。

企業がどの程度まで利用者の個人情報を収集できるのか、集めた個人情報をどのように管理するべきなのかという点は、今後も考えていかなくてはならない課題です。

AIを扱える人間が少ない

3つ目の問題点は、AIを扱える人材が少ないことです。

AIを正しく扱うには、AIのしくみやアルゴリズムを理解し、正しく管理できるようなAIエンジニアが必要です。しかし、現状ではIT企業ですらAIに詳しい人材が不足している状況です。社会全体としてAIの適切な扱いを教えられる指導者も不足している状況です。

国内でAIに関する技術や知見のある人材は大きく不足していることから、今後AIの導入を進めていくためには、人材の確保・育成から周到な計画を立てて実行に移す必要があります。

AI・雇用に関するよくある質問

AIと雇用に関して、よくある質問と回答をまとめました。詳細については、本文内でより詳しく言及していますので、そちらもご参照ください。

Q1. AIの普及によってどれほどの職業がなくなりますか?

フレイ&オズボーンと野村総合研究所の合同研究「日本におけるコンピューター化と仕事の未来」によると、被雇用者全体の49パーセントが就業する職業が、今後数十年で自動化されるリスクがあるとしています。

ただし、この研究は自動化の可能性について論じており、AIの登場により生まれる職業や需要が高まる職業などを考慮した労働需要の減少を示すものではありません。

Q2. AIが普及してもなくならない職業は?

AIによって代替が効かない職種として人間の精神に関わる仕事、教育関連の仕事、創造性の高い仕事などがあげられます。また、AIの利活用を行うIT関連の職業も増加が予測されます。よって、以下の職業はAIの普及によって無くならないと想定されます。


  • ・教員

    ・保育士

    ・医師

    ・看護師

    ・介護士

    ・ITエンジニア

    ・ITコンサルタント


など

まとめ

精度の高いAIや量子コンピュータの実用化を目前に控えていることや生成AIの普及により、「AIによって人間の仕事が代替される」という論調が一層強まっている現状があります。

確かに、作業(タスク)レベルで見れば、これまでと同様の業務は減っていくかもしれません。しかし、職種レベルでみれば、ITエンジニアの需要は減少するとは言い難いでしょう。

AIに代替されない創造性のある仕事ができるエンジニアをめざすことが、今後もエンジニアが生き残る戦略といえるかもしれません。

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