AIプログラマーとは
AIプログラマーとはその名の通りAI技術を用いて開発を行う職種です。
AIの普及・発展が続き、AIが人の仕事を取って代わるというニュースをよく目にします。しかし、実際には単純な仕事は置き換え可能だとしても、それを支えるAI領域のプログラムを作成する仕事はなくなりません。なぜAIプログラマーの仕事はAI化できないのか、AIの作成を行うAIプログラマーについて詳しく見ていきましょう。
関連記事:AIエンジニアとは?仕事内容や必要なスキル、年収の相場を解説
AIプログラマーの仕事内容
AIプログラマーはアプリケーションエンジニアの一種です。主な開発対象はAI向けのプログラムとなります。関連する職種としてAIエンジニアがあり、AIプログラマーはAIエンジニアによって設計されたAIの実装やテストが仕事となります。
今後も活躍するには専門性の高いAIプログラマーになるのも手
AI技術の発展とコンピュータの進化により、AIを使ったプログラムは業務での適用が行われるレベルのコストパフォーマンスを持つようになりました。IT専門調査会社IDCによる「国内AIシステム市場予測」によれば、2020年の国内企業のAI市場規模は3,883億6,700万円となり、2023年以降も更なる市場拡大を続けると予測しています。
参考:IDC「国内AIシステム市場予測を発表」
このAIの普及、発展を背景に、専門性を持ったAI領域の技術者の需要が高まっています。AIを専門領域とした、AIプログラマーとなることもエンジニアの選択肢の一つとして有望です。
AI発展でプログラマーの仕事はなくなるのか
AIの発達により、「近い将来、AIがプログラミングの全てを代替し、プログラマーは不要になる」という話題をよく見かけるようになりました。それでは、なぜこうした話題が頻繁に語られるようになったのでしょうか。AIとプログラマーの関係性について解説します。
AIが発展してもすぐにプログラマーが不要になるとは限らない
結論からいうとAIの発展が進んだとしても、すぐにプログラマーが不要になるとは考えられません。既存のITシステムを活かすためにはプログラマーが必要であり、AIを作る側にもプログラマーが必要だからです。
ただし、プログラマーの受け持つ範囲の作業において、AI化が進めば一部の作業を置き換えることはできるでしょう。AIを利用する目的はあくまで作業効率化であり、プログラマーの仕事そのものがAI化できる将来はかなり遠いとされています。
システム、アプリの点検や保守作業は引き続き必要だと考えられる
AIの導入、発展が進んだとしても、既存業務に利用するシステム、アプリが即時に置き換わることはありません。時間をかけて徐々にAIの適用分野が広がる形をとることが想定され、そのあいだシステム、アプリの点検、保守作業などは継続的に必要となります。
AIの導入により既存のシステム、アプリを使った業務に対してコストメリットが作れる仕組みがある場合にのみ、AIの適用が行われていくでしょう。
AI発展でプログラマーの仕事がなくなるといわれる背景
AIが人間の職を奪うといった論調は、2013年ころから強まりました。その原点とも言えるのが、「フレイ&オズボーンの推計値」です。オックスフォード大学のフレイ&オズボーンが2013年9月に発表した推計値では、「米国内労働人口の47%の仕事は、7割以上の確率で、10〜20年以内に、機械が代替する」という内容が示されました。
参考:総務省「平成30年版 情報通信白書|第1部 特集 人口減少時代のICTによる持続的成長
|第5節 ICTの進化によるこれからのしごと」
この推計値は、日本国内において「AIが約半分の労働者の仕事を高い確率で奪う」というかたちで伝わり、ネットメディアなどで盛んに報じられたのです。また、同結果をきっかけとして「テクノロジーと雇用の未来」が本格的に研究されるようになり、さまざまな可能性の示唆につながりました。
しかし、フレイ&オズボーンの推計値は、計算方法に疑問が呈されたことや、発表者のひとりであるマイケル・オズボーン準教授が「技術的な可能性の話であり、技術革新に伴う雇用増については考慮していない」と話したことで一時のブームが沈静化します。現在では、あくまでも参考程度の情報として扱われるケースが多いでしょう。
プログラマーとして活躍し続けるにはAIの知識とスキルが必要
しかしながら、AIが省力化に貢献することは確かであり、実際に人手不足対策として活用されています。したがって、今後は定型業務などを中心にAIが人間の仕事を代替し、雇用量の減少をもたらすかもしれません。厚生労働省の調査結果においても、「AIが雇用量を減らす」と考える企業が「増やす」と考える企業を上回っています。
参考:厚生労働省「IoT・ビッグデータ・AI 等が雇用・労働に与える影響に関する研究会報告書」
ただし、全体として見れば「雇用量に大きな変化は発生しない」と考える企業が多数を占めることも見逃せません。「昨今の人手不足と相殺される」「技術革新によって新たに仕事が増える職種もある」といった意見が根強いです。
さらに、IT関連リサーチ大手のガートナー社は、「AIによる雇用創出が消失を上回り、その差は年々拡大傾向にある(雇用増が続く)」という見方を示しています。
18世紀から19世紀に欧州で起こった産業革命を見ても、手作業の職人など「消える職種」がある一方で、操縦士やメンテナンス要員など、新たな仕事が生まれました。このように技術革新は「消失と創出」を同時に促進することから、職種単位で仕事の増減を分析していく必要がありそうです。
参考:ZDNet Japan「2020年以降、AIで生まれる雇用は失う雇用を上回る--ガートナーのテイ氏」
AIプログラマーの需要
AIに取って代われない仕事だからこそ、AIプログラマーの需要は高い水準をキープしているといえます。理由としては下記が挙げられます。
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・AIプログラマー不足が世界的に深刻だから
・将来的にAIプログラマーの需要が高いから
・AIビジネスはこれからも発展し続けると予測されているから
富士キメラ総研が2022年に発表した「2022人工知能ビジネス総調査」によると、AI技術の活用が進展することにより労働不足の解消が進められつつありますが、AIプログラマーを含むエンジニアの人材不足は今後も課題とされています。
AIプログラマーの平均年収
AIプログラマーについて、平均年収を調べるためのデータは多くはありません。オープンな求人なども多くはなく、公的な機関による情報においてもAIプログラマーに限った平均年収のデータはないためAIプログラマーも含んだ年収データを目安として紹介します。
レバテックキャリアのAIエンジニア求人を参考にすると、平均年収およそ600万円であることがわかります。年収は約400万円〜1,100万円と上下の差が大きく、受け持つ分野の難易度や経験、知識によって年収に差が出ると考えられるでしょう。
スキルと技術があれば、年収アップが目指せる職業だといえます。
関連記事:AIエンジニアの年収を年代・業務内容・業務形態別に紹介します
AIプログラマーに必要なスキル
AI向けプログラム作成が主業務となるAIプログラマーですが、必要となるスキルについて紹介します。
AI関連の言語によるプログラミングスキル
AIプログラマーにはAIを作るのに向いたプログラミング言語のスキルが必要となります。AI開発によく利用されるプログラミング言語として、Python、Julia、C++があげられます。
AI向けのプログラムには計算速度と開発効率が必要です。Pythonはスクリプト言語のため実行速度は早くありませんが、AIを作る際に利用できるライブラリが充実しています。複雑な処理は高速に動作するライブラリに任せることができ、ライブラリを使った効率的な開発ができることが最大の魅力です。
Juliaは2012年に公開された比較的新しいプログラミング言語です。計算速度に優れ、AI領域の開発用途でも注目を集めています。後発の言語のため、ライブラリの充実、情報収集などの面で難があるものの、AIプログラマーにとっては将来性に期待できる言語です。
C++はC言語の後継のプログラミング言語で、その処理速度も受け継いでいます。メモリ管理や記述などで習得する難易度は高めですが、AIの領域でも高速な処理が求められるシーンでは必要とされる言語です。
機械学習ライブラリを実装するスキル
AIのプログラミングの際にも、そのロジック全てを一からプログラムすることはまれで、一般的には用意されたライブラリを組み合わせることで処理を実現します。AIや機械学習の仕組みを理解し、用意されたライブラリを使ってその仕組みを組み立てるスキルが、AIエンジニアには必要となります。
数学・統計学の知識
AIを設計、構築する際に必要となるのが数学や統計学についての知識です。AIによる思考は人間の脳を模した形ではなく、数学的な論理の積み重ねによって実現されています。この考え方を理解し、構築するべく、AIの実装に利用される数学・統計学の知識を持ったプログラマが求められます。
データベース・データ処理の知識
AIは多くのデータを判断や学習の基準として取り込むことで、精度を向上させます。データの取り扱いは必須で、必然的にデータベース、データ処理の知識、スキルが必要です。
AIプログラマーのスキル習得に役立つ資格試験
AIプログラマー向けのプログラミングスキル習得に役立つ資格試験を紹介します。
G検定
AIを事業活用する人材(ジェネラリスト)向けの資格試験です。「ディープラーニングの基礎知識を有し、適切な活用方針を決定して、事業活用する能力や知識を有している」ことを示せる資格となっています。
試験範囲は人工知能(AI)、機械学習、ディープラーニングの手法や活用に関するものです。
E資格
ディープラーニングを実装する人材(エンジニア)向けの資格試験です。「ディープラーニングの理論を理解し、適切な手法を選択して実装する能力や知識を有している」ことを示す資格となります。
試験範囲は応用数学、機械学習、深層学習、開発・運用環境と基礎理論から構築に関する知識までが問われます。
Python3エンジニア認定データ分析試験
Python3エンジニア認定データ分析試験は一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会によって運営される「Pythonを使ったデータ分析の基礎や方法を問う試験」です。
直接的にAIの実装に関する資格ではないものの、AIエンジニアに必要となるPythonの言語スキルおよび数学、統計学に関するライブラリの使用などが設問内容となるため、AIエンジニアにとっても一定のスキルを示すことができる資格となります。
統計検定
統計検定とは、統計に関する知識や活用力を評価する検定資格です。AIプログラマーには統計学の知識が必要不可欠であるため、基礎知識をある程度所有しているという証明のために役立ちます。
統計検定は一般財団法人統計質保証推進協会が主催しており、1〜4級の4段階に分けられています。AIプログラマーに必要な知識は2級以上であるため、2級の合格を目指すのがおすすめです。
関連記事:AIエンジニアほかAI関連の転職で役に立つ資格
AIプログラマーのキャリアパス
AIプログラマーで経験を積んだら、その後のキャリアパスはどのようなものがあるか、解説します。
AIエンジニア
AIエンジニアは、AIに関わるさまざまな業務を行うエンジニアのことです。AIアルゴリズムの設計や実装のほか、AIをつかってデータ分析をする人もAIエンジニアと呼ばれます。AIプログラマーは主にAIアルゴリズムのプログラミングを担当しますが、その上位職種にあたるといえるでしょう。
AIエンジニアはAIプログラマーに比べてさらにアルゴリズムの設計を含めた知識や、AIを活用する業界の知識も必要となるため、業務範囲がさらに広くなります。
機械学習エンジニア
機械学習エンジニアもAIエンジニアの1つといえますが、AIエンジニアがAI全般の設計・開発を行うのに対し、機械学習エンジニアは機械学習に特化した業務を行います。
機械学習とは、大量のデータをもとにアルゴリズムに基づいてデータを分析する仕組みのことです。機械学習では分析する際の基準となる特徴をパラメータ(特徴量)として人間が選択しますが、深層学習(ディープラーニング)では、その特徴量もコンピューター自身が判断します。
機械学習エンジニアは、機械学習や深層学習を行うためのアルゴリズムの設計やモデリング、実装を行います。
AIプログラマーはきつい?その理由とは
ITエンジニアの中でも特に注目されている職種の1つであるAIエンジニアですが、「AIエンジニアはきついのでは」と疑問に思う人もいるのではないでしょうか。
結論からいうと、AIプログラマーはきついです。なぜAIプログラマーはきついといわれるのか、その理由について解説します。
人材不足で業務量が多い
AIプログラマーはどの企業も求めるほど需要が高いものの人材が不足しているため、一人あたりの業務量は非常に多くなります。そのため激務となり、業務量の多さから「きつい」と感じる人が多いようです。
業務範囲が広い
AIプログラマーは基本的にAIエンジニアが設計したAIの実装およびテストが仕事ですが、業務についてもある程度は理解しておく必要があります。
しかし、今やAIはIT業界に限らず多くの業界で需要があり、業務範囲も広くなっています。機械学習やデータ分析などそれぞれの目的にあわせたAIプログラムを組んでいくためには、技術とともに業務も理解していかなければなりません。業務範囲が広いとその分理解すべき内容も増えていきます。
技術の進歩が速く、常に勉強が必要
AIの技術は進歩が非常に早く、AIエンジニアやAIプログラマーは常に新しい技術をキャッチアップしていかなければなりません。そのうえ内容が統計学・数学、機械学習といった非常に高度であるため、ついていけないと感じる人も少なくありません。
ただでさえ人材不足で業務量が多いうえに、日々勉強してスキルアップしていかないとついていけなくなる可能性があることが、きついと感じる要因の1つとなっています。
関連記事:未経験でAIエンジニアになるには?求められるスキルや役立つスキルを紹介
AIプログラマーが活躍できる業界
AIプログラマーへの需要があり、今後の活躍が期待できる業界について記載します。
自動車業界
自動車業界はAIを使ったプロダクト開発を推し進めており、自動運転や制御の分野でのAIの活用に力を入れています。また、自動運転とスマートシティを掛け合わせた分野等でもAIプログラマーへの需要があります。製造における設計、開発、検査でもAIの活用を進めている業界です。
金融業界
金融とデジタルデータをあわせたFintechの分野においてAIプログラマーの需要が存在しています。株、金融資産、金などの経済の動きの予測を行い、提案するサービスなどでAIの利用が進められています。
医療業界
医療業界も多くのデータを取り扱うため、AIの活用に注目が集まっています。保険証とマイナンバーカードの連携などのデータ収集、活用分野での利用もその一つです。また、医療現場での判断の向上、業務効率化、医療の質の向上のためのAI活用なども進められています。例えば、画像認識によりレントゲンの画像読み取りを補助する際にAIを活用することが想定できます。
未経験からAIプログラマーになれる?
今からエンジニアを目指すなら、最先端技術かつ将来性の高いAIプログラマーがいいと考える人もいるのではないでしょうか。IT未経験からでもAIプログラマーになれるのか?その答えを解説します。
関連記事:AIエンジニアに未経験から転職可能?必要な知識・スキルも紹介
未経験からAIプログラマーになるには
AIエンジニアは大変需要が高く、それに対して人材不足という状況であるため、「未経験歓迎」の求人もあります。そのため、未経験でもAIプログラマーの求人に採用される可能性はあります。
しかし後ほど解説するように、AIプログラマーはITスキル以外にも数学・統計学やデータ分析など高度なスキルが求められます。そのため、IT未経験でもITスキル以外でスキル・経験をもっていることをアピールできなければ、採用されることは難しいでしょう。
例えば、情報系の大学・大学院を出ている、Pythonのプログラミング経験がある、などなにかしらのスキルがあれば、採用される可能性が出てきます。
しかし、採用されたとしてもAIプログラマーの業務についていくことも難しいことが予想されます。未経験歓迎の企業で教育・研修環境が整っているとしても、長い時間研修が受けられるわけではありません。少しでも早く業務ができるよう、自己研さんは必須です。
AIプログラマーになるには大学にいかないとだめ?
AIプログラマーになるために、大学・大学院にいくことは必須ではありません。AI・機械学習が学べるプログラミングスクールや専門学校に通うことでも、AIプログラマーになることは可能です。求められるのはAI関連のスキルであるため、スキルをもっていることをアピールすればAIプログラマーになれます。
ただ、大学に通ったほうが有利なのは間違いありません。採用条件に「大卒・大学院卒以上」としている企業もありますし、給与の面でも有利です。さらに、データサイエンスや情報システム系の専門の学科に行ったほうが、より高度で専門的な知識を学ぶことができます。
AIプログラマーに関するよくある質問
AIプログラマーに関するよくある質問をまとめました。仕事内容や平均年収などを振り返ってチェックしましょう。
Q1. AIプログラマーとは何ですか?
AIプログラマーとは、自然言語処理や音声認識、画像認識などのAIシステムを開発するエンジニアを指します。AIエンジニアと混同して考えられがちですが、AIエンジニアが設計を担当するのに対しAIプログラマーは実装やテストを行います。
Q2. AIプログラマーの仕事内容を教えてください。
AIシステムの開発、主にプログラミングを担当します。端的にいうとAIを利用した製品やサービスを制作するのがAIプログラマーの仕事です。
Q3. AIプログラマーの平均年収はいくらですか?
AIプログラマーを含めるAIエンジニアの平均年収はレバテックキャリアの求人から見ると、およそ600万円です。ただし求人から見た年収には約400~1,100万円と差があり、仕事内容や資格・経験などプログラマーのスキルによって大きく左右されることがわかります。扱う言語によっても年収は異なるため、専門性の高い知識を身につけると年収アップも狙えるでしょう。
Q4. AIプログラマーになるにはどうすれば良いですか?
AIプログラマーになるには未経験からでは難しく、まずはIT知識やIT職でのエンジニア経験を積むことから始めるのが一般的です。AIプログラマーを含むプログラマーになるために、プログラミング言語やIT知識を学習し、スクールや専門学校などを経てスキルと技術を身につけるとよいでしょう。
まとめ
AI業界の発展にともない注目されるAIプログラマー。これからAIはIT業界にとって欠かせない存在であるため、将来性の高い職業ともいわれています。AIプログラマーになるには複雑なスキルや深い専門知識が必要ですが、身につけておくとAIエンジニアや機械学習エンジニアなどのキャリアアップも目指せます。この記事を参考に、AIプログラマーへの理解を深めてみましょう。
ITエンジニアの転職ならレバテックキャリア
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