Perlとは?経験別Perlエンジニアへの転職のポイントについても解説

最終更新日:2024年2月9日

Perlは、テキスト処理やファイル処理に特化したスクリプト型のプログラミング言語です。本記事では、Perlの概要や基本文法、学習方法、最新トレンド、Perlエンジニア転職のポイントなどを解説します。Perlエンジニアを目指している方は、Perlの最新トレンドや将来性などを把握し、自身のキャリアパスを整理したうえで学習を進めるとよいでしょう。

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この記事のまとめ

  • Perlはテキスト処理やファイル処理に強みを持っている
  • Web開発用途での利用は減少しているが、既存システムで多く用いられている
  • Perlエンジニアを目指す場合は、Perlの最新トレンドや状況を踏まえて検討するとよい

Perlとは

Perlは、1987年に開発された動的型付けのプログラミング言語です。主にテキスト処理やファイル処理に強みがあります。また、Windows、Linux、macOSなどの異なるプラットフォームで動作することからプラットフォーム依存性が低いです。用途が幅広く、テキスト処理以外にも、Web開発、システム管理、ネットワークプログラミング、バイオインフォマティックスなどに用いられます。

Perlの用途

次に、Perlの用途について解説します。テキスト処理だけでなく、Web開発、システム管理、ネットワークプログラミング、バイオインフォマティックスなどPerlの幅広い用途について知ることができます。

テキスト処理やデータ変換

Perlは正規表現をサポートしているなど、テキスト処理に強力であるため、ログファイルの解析、データの変換、テキストの検索・置換などに利用されます。

Web開発

CGIスクリプトの開発にPerlがよく使われます。特に初期のWeb開発では、Perlが一般的でした。しかし、2024年現在では、Web開発に他の新しいプログラミング言語が用いられるケースが増えています。

システム管理や自動化

ログの監視、ディスクのクリーンアップ、バックアップの実行などのシステムタスクや、プロセスを自動化するスクリプトを書くために利用されています。

ネットワークプログラミング

ソケットを使用してクライアント・サーバーアプリケーションを構築したり、HTTPリクエストを処理したりする際に利用されます。

バイオインフォマティックス

生命科学の現象を情報科学や計算機科学の技術を用いて解析する学際的な分野において、Perlは生物学的なデータ処理などに用いられます。

Perlの技術要素

Perlの技術要素の代表的なものとして、動的型付け、テキスト処理、CPANなどがあります。これら技術要素を知ることでPerlがどのような言語なのか理解を深めることができるでしょう。それぞれ解説します。

動的型付け

Perlは、変数の型をプログラム実行時に解釈する動的型付け言語です。そのため、プログラミングの柔軟性は高い一方、実行時の型エラーやその追跡などでデバックが難しくなります。静的型付け言語と比較すると、プログラム実行時にデータ型解釈を行う処理が必要となるため、実行速度が低下する傾向があります。

テキスト処理

Perlはテキスト処理に適しているプログラミング言語です。ファイルの読み書きやパターンマッチングなどを簡潔に実現できます。また、強力な正規表現をサポートしているため、文字列の検索や置換、抽出などの操作が容易です。

CPAN

CPAN(Comprehensive Perl Archive Network)では、Perlの拡張モジュールやライブラリのリポジトリで、数千ものモジュールが提供されています。これにより、豊富なリソースを利用して効率的にプログラミングできます。

オブジェクト指向

Perlは、基本的なオブジェクト指向の概念をサポートしています。しかし、Python、Java、Rubyなどのプログラミング言語と比較すると、機能面で一部制約があります。そのため、より本格的なオブジェクト指向を求める場合などには向いていません。

クロスプラットフォーム

Perlはクロスプラットフォームな言語であり、プラットフォーム依存性が低い点が特徴です。Windows、Linux、macOSなどの異なるオペレーティングシステム上で同じコードを実行できます。

Perlと他プログラミング言語との比較

次に、Perlの特徴や用途について、他のプログラミング言語と比較していきます。

PerlとPythonの比較

PerlとPythonは、どちらもテキスト処理に強みを持つプログラミング言語ですが、それぞれの言語の特徴や用途が異なります。以下に解説します。

プログラミング言語としての違い

PerlとPythonはどちらもスクリプト言語ですが、Perlはテキスト処理に強い点が特徴です。文法が特殊かつ多様で、あらゆるパターンに対応できます。一方Pythonは、シンプルで読みやすい文法で、初心者にやさしい言語です。テキスト処理においては、Perlほど柔軟ではありません。

用途の違い

Perlはテキスト処理に強みを持つ汎用スクリプト言語であり、システム管理やログ解析などに多く用いられます。一方Pythonは、データサイエンス、Web開発、人工知能、自動化、科学計算など多岐にわたる分野で用いられています。

PerlとJavaの比較

PerlとJavaは、どちらもプラットフォーム依存性が低いプログラミング言語ですが、それぞれの言語の特徴や用途が異なります。以下に解説します。

プログラミング言語としての違い

Perlはスクリプト言語で、Javaはコンパイル言語という違いがあります。Javaはオブジェクト指向の静的型付け言語で、構文はC++と似ています。また、Perlもオブジェクト指向をサポートしています。PerlとJavaは、どちらもプラットフォーム依存性が低い言語です。

用途の違い

Perlの用途については、前述の通りです。Javaは、プラットフォーム依存性の低さから、大規模アプリケーションやWebアプリケーション、モバイルアプリケーション、組み込みシステムなど広範囲に用いられます。

PerlとRubyの比較

最後に、Rubyとの比較について解説します。どちらもオブジェクト指向のプログラミング言語ですが、それぞれの言語の特徴や用途が異なります。以下に解説します。

プログラミング言語としての違い

PerlとRubyはどちらもスクリプト言語ですが、Rubyはオブジェクト指向が強く、クラスとオブジェクトの概念を中心にプログラムを記述します。また、Rubyは文字列処理が得意で、直感的に取り扱うことが可能ですが、Perlほどの柔軟性はありません。

用途の違い

Perlの用途については、前述の通りです。RubyはWeb開発を重視したデザインとなっており、Ruby on Railsというフレームワークを用いることで開発効率を高められます。また、シンプルで可読性が高いため、一般的なプログラミングにも広く使用されます。

Perlの基本文法

次に、Perlの基本的な文法について解説します。変数の定義、データ型、制御機構、サブルーチン、ファイル操作におけるプログラミングの記述例をみていきましょう。

変数定義とデータ型

Perlで取り扱う主なデータ型にはスカラー、配列、ハッシュがあります。スカラーは単一のデータを表し、数値、文字列、またはリファレンスなどが含まれます。配列は複数のスカラー値を順序付けて格納するデータ構造です。ハッシュはキーと値のペアを格納するデータ構造です。キーは一意であり、それに対応する値を取得できます。

# スカラー変数
$number = 42;
$string = "Hello, World!";
$float = 3.14;

# 配列
@array = (1, 2, 3, 4, 5);

# ハッシュ
%hash = ('key1' => 'value1', 'key2' => 'value2');

制御構造

Perlで取り扱う制御構造としては、他のプログラミング言語と同様にif文やループ処理などが挙げられます。

条件分岐の記述例

if ($condition) {
# 条件が真の場合の処理
}

elsif ($another_condition) {
# 別の条件が真の場合の処理
}

else {
# どの条件も満たさない場合の処理
}

ループ処理の記述例

# forループ
for my $item (@array) {
# ループ内の処理
}

# whileループ
while ($condition) {
# 条件が真の間、ループ内の処理
}

# foreachループ(リストをイテレート)
foreach my $key (keys %hash) {
# ハッシュのキーに対する処理

サブルーチン

Perlのサブルーチンは、サブプログラムや関数とも呼ばれ、再利用可能なコードブロックを定義するための仕組みです。以下は、名前を引数として受け取り、挨拶のメッセージを出力するサブルーチンの記述例です。

サブルーチンの定義と呼び出しの記述例

# サブルーチンの定義
sub greet {
my ($name) = @_;
print "Hello, $name!\n";
}

# サブルーチンの呼び出し
greet("Alice");

ファイル操作

Perlでは、ファイルの読み込みや書き込みなどのファイル操作を簡単に行えます。以下は基本的なファイル操作の記述例です。

# ファイルの読み込み
open(my $file, '<', 'filename.txt') or die "Cannot open file: $!";
while (<$file>) {
print $_;
}
close($file);

# ファイルへの書き込み
open(my $output, '>', 'output.txt') or die "Cannot open file for writing: $!";
print $output "Hello, File!\n";
close($output);

Perlの学習方法

ここでは、Perlの効果的な学習方法を解説します。書籍を用いる方法や、オンラインでの学習方法、関連コミュニティやカンファレンスについて紹介します。

書籍を用いる

プログラミング言語の学習方法として最も一般的なのが関連書籍の活用です。Perl自体を学ぶ書籍が主ですが、関連してテキスト処理を学べる書籍もあります。

かんたん Perl」と「Perlではじめる プログラミング超入門

かんたん PerlPerlではじめる プログラミング超入門 (かんたんIT基礎講座)は、はじめてPerlでプログラムを作成する人向けに書かれた入門書です。Perlの強みである日本語処理や正規表現などのテキスト処理についても解説しています。

初めてのPerl 第7版

初めてのPerl 第7版は1993年の第1版から、Perl入門の定番とされている書籍です。Perlの基礎だけではなく、より実践的に学びたい方にはおすすめの一冊ですが、他の書籍と比べると、初めての書籍としてはややハードルが高いでしょう。

Perlテキスト処理のエッセンス

Perlテキスト処理のエッセンスは、Perlを用いてテキスト処理の基本と応用を学べる書籍です。Perlの強みであるテキスト処理を中心に学びたい方におすすめです。

オンラインでの学習方法

Perlをオンラインで学習する方法もあります。Perlの公式ドキュメントでは、プログラミング言語の解説、学習方法、コミュニティ、CPANなどの情報を参照できます。また、プログラミング学習サイトを活用するのもよいでしょう。

代表的なコミュニティやカンファレンス

Perlの代表的なコミュニティとカンファレンスを紹介します。

Japan Perl Association

Japan Perl Association(日本Perl協会)は、Perlプログラミング言語の普及促進およびPerlコミュニティの支援を目的とする組織です。

YAPC::Hiroshima2024

YAPC(Yet Another Perl Conference)は、Perlプログラミング言語のユーザーコミュニティによって開催される年次の国際カンファレンスです。Perl開発者やプログラミング愛好者が一堂に会し、技術的なプレゼンテーションやネットワーキングの場が提供されます。

Perlの最新トレンド

次に、Perlの最新トレンドについて解説します。Web開発を効率的に行えるフレームワークの開発、コンテナ化やクラウド技術を用いたデプロイやシステム管理方法、Perl7へのバージョンアップについて取り上げます。

モダンなPerlフレームワーク

Catalyst、Dancer、Mojoliciousなど、モダンで柔軟なPerlのフレームワークが広まっています。これらを利用することで、PerlでWeb開発を行う際に、モダンかつ効率的なアプローチが可能となります。

コンテナ化とクラウド

Dockerなどのコンテナ化技術や、AWS、Azure、Google Cloudなどのクラウドプラットフォームの普及により、Perlアプリケーションのデプロイと管理がより柔軟になってきています。

Perl7

Perl7は、Perl5の後継として開発されています。strictとwarningsがデフォルトで有効化される以外、Perl 5.3.2との違いはほとんどありません。

Perlエンジニアの需要・年収

Perlエンジニアの需要や平均年収について、プログラミング言語の人気指標や求人情報をもとに解説します。

Perlエンジニアの需要

オランダのTIOBEが毎月発表している、プログラミング言語の人気を指標化したTIOBEインデックスによると、2023年12月現在、Perlは28位にランクインしています。他のプログラミング言語の順位は、Pythonが1位、Javaが4位、Rubyが18位です。

Perlエンジニアの年収

2023年12月現在、レバテックキャリアに登録されているPerlエンジニアの求人情報514件のうち、30件の求人情報の年収下限の平均値は約449万円で、年収上限の平均値は約778万円です。最も多い年収はテックリードポジションで1,200万円となっています。

関連記事:Perlエンジニア転職市場は?将来性や年収、必要なスキルも解説

Perlエンジニアのキャリアパス

Perlエンジニアには、技術要素を深めていく職種やマネージャー、企画職などさまざまなキャリアパスがあります。それぞれに求められるスキルを解説します。

Perlエンジニアのエキスパート

Perlエンジニアのエキスパートには、Perlに対する深い理解が求められます。その理解を開発チーム全体に伝え、開発効率を向上させるスキルも必要となるでしょう。

システムアーキテクト

システムアーキテクトは、システム設計やアーキテクチャ策定を担当し、システム全体の方向性を決定する役割を担います。設計の知識はもちろん、システム全体を考えた技術的な戦略を立てて実行するスキルや、他メンバーへの説明スキルも必要です。

テックリード

テックリードは開発チームのなかでリーダーシップを発揮し、メンバーを指導・サポートする役割を担います。そのため、開発進捗状況の把握、開発を進めるうえでの懸念事項の解消、コードの品質を担保するためのスキルが求められます。

エンジニアリングマネージャー

エンジニアリングマネージャーには、開発チームをリードしてプロジェクトを成功させること、エンジニアリング部門の効果的な運営に貢献することが求められます。プロジェクト管理スキル、人材マネジメントスキル、技術的なビジョンと計画を立てるスキルが必要です。

経験別Perlエンジニア転職のポイント

Perlエンジニアへの転職を目指す際には、これまでの経験をどのように活用できるかを整理することが重要です。経験別に、Perlエンジニアへの転職のポイントを解説します。

Perlを用いた業務経験がある場合

Perlを用いた業務経験がある場合、テキスト処理やスクリプト言語の理解、マルチプラットフォームでの開発経験など、転職後に即戦力として活躍できる経験があることをアピールしましょう。

Perlを用いた業務経験がない場合

Perlを用いた業務経験はないものの、他のプログラミング言語での業務経験がある場合、スクリプト言語やオブジェクト指向などPerlでの開発業務に活かせそうな内容であるかを整理しましょう。
プログラマーとしての業務経験自体がない場合は、テスターなど他職種で業務経験を積んでからPerlエンジニアを目指すとよいでしょう。

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この記事の監修

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