- 転職市場から見るC#エンジニアの需要状況
- そもそもC#とは
- 未経験でもC#エンジニアへの転職は可能
- C#エンジニアとして転職するためのポイント
- C#エンジニアの求人例
- C#エンジニアの転職で評価されるスキルと経験
- C#エンジニアの平均年収
- C#に関するよくある質問
- まとめ
転職市場から見るC#エンジニアの需要状況
C#はMicrosoft社によって開発された言語のため、同じMicrosoft社製のOS「Windows」上で稼働するデスクトップアプリケーション開発がしやすいことが特徴の一つです。この特徴から、C#エンジニアには、Windows用の業務システムの開発案件において安定的な需要があります。企業におけるWindows OSのシェアは非常に高く、今後も業務システム開発での需要は継続的に続くと考えられます。
また、C#は汎用的な言語であり、Webアプリケーション、ゲーム、スマホアプリなどの開発でも利用されています。マルチプラットフォームへも対応していることも、C#のエンジニアの需要に繋がっています。
レバテックキャリアに2024年09月18日時点で掲載されている求人・転職情報のうち、言語「C#」に該当するのは3,015件、そのうち募集中は1,198件でした。言語別でみてもJava、JavaScript、Python、PHP、Rubyに次ぐ6番目の件数であり、確実な需要が存在していることがわかります。
C#の求人・転職情報>
関連記事:C#エンジニアの将来性が高い8つの理由!Javaとの比較や平均年収も解説
ゲーム業界の市場成長
ゲーム(スマホアプリ含む)やVR/ARなどの市場成長に伴うC#エンジニアの需要拡大も見込まれます。C#はゲームエンジンUnityの開発言語であり、ゲーム開発分野でもC#エンジニアが求められる理由となっています。
特に、ゲーム業界の市場拡大スピードが著しく、ファミ通『ファミ通ゲーム白書2024』 によると、2023年世界ゲームコンテンツ市場規模は29兆5162億円、同一為替レートで前年比3.1%増でした。また、国内ゲーム市場規模は前年比4.6%増の2兆1255億円とこちらも成長傾向を見せています。
このような背景も、C#エンジニアの将来性を明るくする要因の一つです。
そもそもC#とは
C#は、C++とJavaを参考にしてMicrosoft社によって開発されたオブジェクト指向のプログラミング言語です。2000年頃に開発され、バージョン1.0は2002年にリリースされました。その後も継続的に開発が続けられており、2020年のバージョン9.0からは毎年11月にリリースされており、2024年09月18日時点の最新版はバージョン12(2023年11月リリース)です。
C#は多くのプラットフォームで活用できる柔軟性と、オブジェクト指向のメリットを持つ言語として、幅広い開発ニーズに応えています。
関連記事:C#とは?特徴やメリット、C言語やC++との違いを解説
C#の特徴
C#の特徴としては、マルチプラットフォームに対応していることやC系言語の中では比較的習得しやすいと言うことが挙げられます。
ただし、「C#」という名前からC言語やC++と互換性があるように思えるかもしれませんが、実際にはC言語やC++とは異なり、同時に使用することはできません。
マルチプラットフォームで幅広い開発ができる
C#の最大の特徴は、マルチプラットフォームで幅広い開発に活用できることです。従来はマイクロソフト社の.NET Framework上で動作するように作られており、その後は後継の.NET上で動作することが標準となり、これらの環境がマルチプラットフォームに対応したことによって様々な環境に対応しました。その他周辺技術と組み合わせて利用することで、C#によってWindowsをはじめ、MacOS、iOS / Androidアプリ、Webアプリケーションなどの開発が可能になります。
C#はオブジェクト指向を採用しているため、システム部品の再利用が容易であり、プログラムの修正や流用が容易であるというメリットがあります。
C系言語のなかでは比較的習得しやすい
C#はC系言語の中でも比較的習得しやすい言語と言われています。C#はCやC++から多くの構文や概念を引き継いでおり、C系言語の知識を持つ開発者にとってはスムーズな移行が期待できます。
C#は新しい言語ですが、C系から派生しており、C・C++・Javaと構文や文法が類似しています。特に条件分岐や繰り返しといった制御構文において、その類似性が見られます。
C#を学ぶ際には、CやC++の知識を活かすことができるでしょう。
関連記事:C言語とは!特徴やC++やC#との違いを分かりやすく解説
C系言語との互換性はない
C#はC++やJavaを基に開発された言語であり、C言語やC++などのC系言語に分類されますが、互換性はありません。
C#とCやC++を同時に実行することはできません。C#は実行に仮想マシンを使用するため、実行速度が比較的高速なのもC#の特徴です。この点でもC言語とは異なる部分です。
Windows環境に強い
C#は、Windowsアプリケーションの開発に広く利用されています。マイクロソフトが開発したC#は、Windowsとの相性が非常に良いという特徴があります。
C#の開発によるWindowsアプリケーションは、マイクロソフトの開発環境やフレームワークとシームレスに統合されるため、効率的で高度な機能を提供できます。また、C#はWindows向けに最適化された機能やAPIを豊富に備えており、Windowsプラットフォームの特性を十分に活かすことができます。
C#がよく使われている分野
ここでは、C#が使われている分野の中でも、特に近年よく使われる領域について具体例を交えて紹介します。
関連記事:C#でできることは?メリット・デメリットや学習方法も紹介
Webサービス
C#は、口コミサイトや求人サイト、Eコマースサイトなど、Webサービスの開発に採用されています。具体的には、MSNポータルサイトや検索エンジンBing、Skypeの公式サイトなどが挙げられます。
業務システム
C#は、Windows OSに搭載されている「.NET Framework」というアプリケーションの実行環境上で動作するシステムの開発に強みを持っています。世界的に見てWindows OSのシェアが高いことから、経理システム、在庫管理システムなど、業務システムの開発言語として多くの企業で採用されています。
ゲーム
C#は、代表的なゲームエンジンであるUnity上で使用できる言語であることから、コンシューマーゲームなどの開発にも多く採用されています。UnityはVR/AR開発も可能であることから、UnityとC#を使ったVR/AR開発も盛んになってきています。
スマホアプリ
C#の代表的な開発環境であるVisual Studioは.NET MAUI(旧Xamarin)を適用することで、スマホアプリの開発にも対応できます。Android、iOSを中心にスマホゲームなどさまざまなアプリが開発でき、macOS上のアプリ開発も可能です。
未経験でもC#エンジニアへの転職は可能
C#はC系言語としては比較的習得しやすいため、他のプログラミング言語の実務経験を持つエンジニアであれば、C#未経験でも転職の可能性は十分にあります。特に、C++やJavaの構文や文法に慣れているエンジニアであれば、C#への転職は難しくありません。
また、完全な未経験者の場合でも、新卒での就職や第二新卒までのポテンシャル採用枠を利用すれば、C#エンジニアとしての転職が可能です。
完全な未経験でエンジニア業務の経験もなく新卒、第二新卒にも該当しない場合には、C#エンジニアへの転職難易度は高いです。コンパイラ言語であり、言語習得難易度も低くないことが一つの理由でしょう。まれに入社後の研修制度などで未経験者のC#学習をフォローしている場合もあり、未経験者のC#エンジニアへの転職のチャンスとなります。
関連記事:
C#の効率的な勉強方法は?学習時間の目安やおすすめのサイトも紹介
C#エンジニアにおすすめの資格10選
C#エンジニアとして転職するためのポイント
C#エンジニアとして転職する場合には、C#の特徴に合わせて注意するポイントが存在します。汎用性が高いことは言語としてのメリットですが、開発するアプリの種別によって身につけるべきスキルセットが異なることには注意しましょう。
また、転職においての選択肢を増やす意味で、複数の言語の習得や転職エージェントの活用もおすすめです。
以下では、C#エンジニアとして転職を成功させるためのポイントを紹介します。
何の開発を行うか明確にする
汎用性の高いC#はいろいろな業種・業界の多様な分野で採用されているため求められるスキルセットはそれぞれの分野ごとに異なります。まずは自分の得意な分野を見定めてその分野で活躍できるスキルを磨くと良いでしょう。例えば、業務アプリ、Webアプリ、スマホアプリ、ゲームなどの分野からまずは一つを選択します。その上でさまざまなニーズに対応できるように幅を広げて行けば、C#エンジニアとして引く手あまたになるでしょう。
複数の言語を習得する
幅を広げるという意味では、C#だけでなく他の言語を習得することも有効です。基本となるC#を押さえたうえで、他の言語も扱えるようになれば、飛躍的な年収アップも期待できます。
C#の次に習得する言語としておすすめなのはC#と言語仕様が似ていて案件も多い「Java」です。JavaはC#と同じオブジェクト指向言語なので比較的習得しやすいでしょう。
その他にも転職市場では、C#と同時に求められる言語スキルとして「C++」「JavaScript」「Ruby」「SQL」などが挙げられます。
転職サイトや転職エージェントを活用する
C#エンジニアの転職活動において、転職サイトの活用は非常に有効です。
転職サイトでは、多くの求人案件から自身の希望に合ったものを選んで応募することができます。掲載されている求人は、採用企業が広告として掲載しているものです。
転職サイトのメリットは、まず多くの求人案件を閲覧できることです。自身の希望条件やスキルに合った案件を比較検討できるため、適切な選択がしやすくなります。また、転職サイトのマイページ機能を活用することで、自身の転職活動の状況やスケジュールを管理することができます。これにより、応募先の管理や面接の予定などをスムーズに進めることができます。
さらに、転職サイトを利用することで、自身のペースで転職活動を進めることができます。好きな時期に自分の希望に合った求人を探し、マイペースで応募や面接を進めることができるので、ストレスなく転職活動に取り組むことができます。
C#エンジニアの求人例
レバテックキャリアに掲載されている求人・転職情報をもとに、C#エンジニアの求人例を紹介します。異なる開発分野向けの求人例を紹介していますので、求められるスキルや経験、業務内容と年収などの違いを知り、自身にあった転職先を探す際に役立てましょう。他にも多数の求人がありますので、転職前にイメージを掴む意味でもレバテックキャリアの求人を参照してみてください。
C#の求人・転職情報>
ITサービス・ソーシャルゲームの開発会社
スマホ向けソーシャルゲームなどを開発するゲーム会社の求人例です。
【想定年収】
420~1000万円
【業務内容】
・iPhone/Android向けゲームのサーバーサイド開発(Unityを使用)
・ゲームプランニング、開発、テスト
【必要なスキル・経験】
・B2CのWebサービス開発経験
・問題解決能力
SIer企業
クライアント向けの業務アプリケーション開発やパッケージソフトウェアを用いてソリューションを提供するSI企業の求人例です。
【想定年収】
350~600万円
【業務内容】
・会計システムの開発・保守
・パッケージソフトウェアを利用した開発・保守
【必要なスキル・経験】
・C#(又はJava)の開発経験
・システムの開発工程についての知識(ウォーターフォール、アジャイル、テスト手法等)
・会計についての知識
・プロジェクトマネジメント経験
C#エンジニアの転職で評価されるスキルと経験
C#エンジニアとして転職する際に評価されるスキルと経験について解説します。
こちらで紹介している経験や知識については、C#エンジニアの中でもどの分野で働くのかで重要度が異なります。また、すべてを持ち合わせなければ評価に繋がらないというものでもありません。自分のキャリアの志向性と合わせてスキルを磨き、経験を積み上げてください。
Windowsアプリケーションの開発経験
C#は、Windowsアプリケーションの開発に長らく使われてきました。そのため、「.NET Framework」を含め、マイクロソフトの開発環境での開発経験があるエンジニアは評価されやすいです。また、Windowsアプリケーションの開発はVBが採用されることもあるため、VBでの開発経験もあれば合わせてアピールすると良いでしょう。
業務システムに関する知識
C#は業務システムの開発案件に用いられることが多いことため、CRM(顧客関係管理システム)・SFA(営業支援システム)、SCM(サプライチェーン管理)・ERP(統合基幹業務システム)といった業務システムの知識が求められる傾向があります。また、業務システムの開発は、その業界の業務知識を有するエンジニアでチームを作るケースが多いことから、小売業や製造業、金融業といった特定業界の業務知識も合わせて有しているとより評価が上がる傾向にあります。
さらに、今後はいずれの業務システムにおいてもビッグデータやIoT、人工知能といった先端技術を活用したシステムが主流となっていくため、これらの知識も身につけておくと良いでしょう。
Visual Studioの使用経験
C#での業務システムやスマホアプリの開発は、マイクロソフト社が提供するVisual Studioを使うケースが主流です。Visual Studioには、無料で使える「Visual Studio Community」や小規模開発を対象とした「Visual Studio Professional」、業務システムの開発など比較的大規模なシステム開発での利用を想定した「Visual Studio Enterprise」などの種類があります。企業で導入されるのは「Visual Studio Enterprise」がほとんどであるため、Enterpriseの実務経験があるとより高い評価につながります。
近年では、軽量なコードエディターVisual Studio Code(VSCode)やスマホアプリ開発にも利用できる.NET MAUIを組み合わせて利用するケースも増えています。
Unityの使用経験
ゲーム開発では、ゲームエンジンとしてシェアが高く、VRやARゲームの開発にも対応しているUnityを使うケースも多いです。最近では、Unityを使ったVRゲームやARゲームの開発経験者の需要が特に高まっているため、ゲーム業界への転職を目指すのであれば身につけておきたいスキルの一つです。
モバイル開発の経験
モバイル端末は、OSによって挙動が変わることがあるほか、GPSといったパソコンにない機能を有しています。そのため、モバイル開発領域においては、モバイル向けのアプリケーション開発経験が重視される傾向にあります。また、操作性や見栄えが重要であることから、UI設計やUX設計に強みを持つエンジニアは高い評価を得られるでしょう。
従来、C#でのスマホアプリ開発ではXamarinを用いることが多々あったのですが、その後継の.NET MAUIを用いることで同様にマルチプラットフォーム向けの開発が可能です。
C#エンジニアの平均年収
レバテックキャリアにて2024年09月18日時点で掲載されているスキル「C#」の求人・転職情報より、30件を抽出し、年収の最大値と最小値の中間の平均から平均年収を算出しました。これによると、C#エンジニアの平均年収は約715万円と想定できます。
転職・求人情報の中には最大1,000万円を超えるものも多数存在しました。これらの求人では、他言語との組み合わせやマネジメントスキル、AI分野との連携など、C#に+αの要素が加わっているため、求められるスキルレベルの高い点が共通した特徴です。
C#に関するよくある質問
C#エンジニアへの転職を考えているエンジニアからよくあるご質問を紹介します。
C#でできること、未経験からの転職、将来性などについての質問が多いです。自分自身が疑問に思っていることに近い質問があれば、本記事の内容とあわせてぜひ参考にしてみてください。疑問を解消して、気持ちよく転職活動に取り組みましょう。
Q1. C#では何ができますか?
C#は汎用的な言語で、幅広い開発領域で使用されています。
例えば、Webシステムやサービス、モバイルアプリ、ゲームの開発などに使われています。
その他にも、Windowsデスクトップアプリの開発やクラサバ、自動化ツールの作成など多くの領域でC#が使用されています。
Q2. C#に将来性はありますか?
C#は汎用性が高く、活用分野は多岐に渡ります。柔軟性と多機能性から、幅広い開発プロジェクトでの重要な選択肢です。
特にゲーム開発においては、VR/AR開発も可能なエンジンUnityでC#が一般的なスクリプト言語として採用されています。
したがって、C#の将来性は高いと言えます。
Q3. 未経験からC#エンジニアに転職できますか?
未経験からC#エンジニアとして転職することは可能ですが、他の言語やIT業界の経験がない場合は難しいと言えます。エンジニア業務が未経験の場合には、他のエンジニア職種として働き基本的なIT業界の知識やプログラミングのスキルを身につけることから始めましょう。
まとめ
C#は、Webアプリケーションやスマートフォンアプリなど、様々なアプリケーション開発が可能です。開発するアプリケーションの種類によって開発環境が変わります。そのため、C#エンジニアへの転職では目指す分野に応じて、関連技術を身につけていく必要があります。
また転職により年収アップを図るためには、VR/ARなどの最新技術や、C#が広く採用されている業務用システムについて理解を深めておくべきでしょう。
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