COBOLエンジニアは転職できない?市場需要と将来性について解説

最終更新日:2024年10月15日

COBOLは汎用機と呼ばれる大型のコンピューターを中心に使用されてきたプログラミング言語です。企業の情報システム基盤は、汎用機からクライアントサーバーシステム、さらにはクラウドへと移行してきており、COBOLの需要は徐々に減少しています。

しかし、これら新しい環境を構築するためには、汎用機内に存在する情報資産の保守・運用・移行作業が必要です。こうした作業を担うCOBOL人材への需要は、今後一定の間は継続すると考えられます。

本記事では、COBOLの経験をもったエンジニアがスキルを活かして転職できるよう、保有スキルや経験年数の活かし方、年収例、COBOLエンジニアの強みなどを紹介します。また、これからCOBOLの習得を検討する際の材料としてもご利用ください。

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この記事のまとめ

  • これまで培ってきたソースコードの利用が続くと考えられるため、COBOLは今も一定の需要がある
  • COBOLエンジニアの転職で評価されるスキル/経験はプログラミングスキルのほか、上流工程に必要なスキル、マネジメントスキルなどが挙げられる
  • COBOLの経験があれば、ブランクがあったり50代や60代であったりしても転職は可能
  • COBOLから別の言語への移行も進んでおり今後は案件が減少していくと見込まれるため、他言語のスキルも身につけておく必要がある

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COBOLでの転職は可能?需要と将来性

COBOLは古くからあるプログラミング言語ですが、今なお根強く開発現場で使用されています。ただし新規プロジェクトでどんどん使われている言語というわけではなく、長年続いている既存のプロジェクトでCOBOLが使用されている状況です。このような状況を踏まえ、COBOLの需要や将来性について紹介します。

関連記事:COBOLとは?学ぶメリットや将来性などをわかりやすく解説

根強いCOBOLエンジニアの需要

結論から述べると、COBOLエンジニアは一定の需要があります。

かつて日本企業では、汎用機と呼ばれる大型コンピューター上で動作するシステムが業務を支えていました。汎用機は企業の基幹業務システムなどに用いられる一極集中型の大型コンピューターのことで、メインフレームやホストコンピュータとも呼ばれます。COBOLはこれら汎用機の中で動作する言語として、一世を風靡しました。

汎用機の多くは2000年代までにクライアントサーバーシステムに置き換わったものの、一部は金融機関や官公庁、交通系機関などを中心に現在でも稼働し続けています。

たとえば、2019年に大規模なシステム移行を完了したメガバンクグループの新システムでは、台数こそ減らしたものの、汎用機を継続採用しています。また、大手企業や老舗企業ではCOBOLで記述された数万~数千万ステップのソースコードを抱えているケースが少なくありません。これらのソースコードは良くも悪くも企業にとっては資産です。

汎用機は大規模システムが多く、新システムへのスイッチングコストが非常に高いため、継続利用している企業が多いという実情があります。

安定性と信頼性の高さ

大手企業や老舗企業でCOBOLが使われ続ける理由として、安定性と信頼性が挙げられます。金融や保険業界、官公庁などで扱われるシステムは、大量の重要なデータを扱っており、正確性やセキュリティは極めて重要です。そのため、システムの安定性や信頼性を確保できるよう、COBOLを使い堅牢性のあるシステムを維持している場合があります。

これまで培ってきたソースコードの利用が続くと考えられるため

膨大なCOBOLのソースコードには、企業の業務プロセスや効率化・安定稼働のノウハウが詰め込まれています。そのため、貴重なノウハウが失われないように慎重に、まずは一部機能のみといった部分的な移行が進められています。

現在も稼働しているCOBOLのソースコードは企業の根幹となる業務を支えていることが多く、その規模は膨大です。移行コストも大きく、移行が失敗した場合のリスクも大きいことは想像に難くありません。移行の必要性は認識されながらも、既存のソースコードを稼働させつつ、少しずつ新システムに置き換えていくという流れが続いています

新規案件や更新作業などでも一定の需要がある

COBOLエンジニアの年齢層は高めです。その分野での経験やスキルを持ち合わせている場合が多く、新しい開発でも経験を活かして活躍する可能性があります。

また、新規開発の案件数は減ったものの、新規業務や法改正対応への対応などを含め、COBOLを用いたシステム維持・更新作業は常に発生しています。

COBOLエンジニアの将来性

COBOLには一定の需要があるものの、COBOLエンジニアは減少の流れにあります。COBOLが隆盛を極めた時期に活躍していた人材は、マネジメント層への昇進や定年退職によって現場から退いていることが多いからです。

一方で、若年層はCOBOLよりもPythonやJava、Rubyなどの言語を学ぶ傾向にあり、COBOLエンジニア内では世代交代は進んでいません。したがって、ここ数年はCOBOLエンジニアは常に人材不足の状態が続いています。

レバテックキャリアにてプログラミング言語「COBOL」の求人・転職情報を検索すると、307件の情報が該当します。ここまでの流れをまとめると、COBOLエンジニアには将来性があるものの、COBOLの需要が伸びるわけではないのでこの点も踏まえてキャリアプランを考える必要があるでしょう。

関連記事:COBOLしかできないと将来どうなる?スキルチェンジの道も紹介

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COBOLエンジニアとして転職するには

COBOLエンジニアとして転職するには、以下のような方法があります。

  • ・求人サイトで探す

    ・転職エージェントを活用する

他にも、ハローワークで探す方法や、SNSや知人の紹介でCOBOLエンジニアになる方法もあります。しかし、おすすめの方法は上記2つです。まずハローワークについては、企業側も無料で利用することができるため、すでに人材が満たされていても募集の掲載を止めていない空求人がある場合があります。また、ハローワーク側は企業調査などを行っていないため、なかにはブラック企業が存在することもあるでしょう。

SNSでは募集している企業を見つけ出すのが大変で、知人の紹介については声がかからなければ転職するのが難しく、受け身な転職活動になります。特に方法が決まっていない場合は、求人サイトか転職エージェントの活用がおすすめです。

求人サイトで探す

求人サイトなら自分のタイミングで求人を探して応募することができます。自分自身でどのような求人を選びたいかが決まっている、書類や面接でも適切なアピールができそう、といった場合は求人サイトから自分で求人を選択するのも良いです。

ただし、求人サイトでは掲載できる文字数や画像枚数などの制限から、限られた情報しか掲載されていない可能性があります。実際に転職してみたら実務内容が想定と違っていたミスマッチが起こらないよう、面接時によく確認すべきです。

転職エージェントを活用する

転職エージェントに登録すると、専任のキャリアアドバイザーなどが求人を紹介してくれます。自分の希望をヒアリングしたうえで自分に合った求人を紹介してくれるので、よりマッチした求人が見つかるメリットがあります。一般の求人サイトにはない非公開求人を紹介してくれることもあります。

またキャリアアドバイザーは転職のためのサポートを行います。書類や面接の対策も手伝ってくれるので、採用率が高まる点も魅力でしょう。転職エージェントの力を借りてCOBOLエンジニアを目指す選択肢もあります。

COBOLエンジニアの転職のポイント

COBOLエンジニアに転職するにはいくつかのポイントを押させておく必要がありますが、転職という点により焦点を当てると職務経歴書の作成は重要です。

選考の際、採用担当者は職務経歴書を参考に、求職者がCOBOLや関連した内容のスキル・経験がどれくらいあるのかを確認します。COBOLを用いた開発経験はもちろん、経験がないまたは浅い場合でも、COBOL開発に活かせる経験を記載し内容を充実させることで評価が高まります。

自身の保有している知識やスキル、今までの経験やどのような成果を成し遂げてきたのかを伝えましょう。

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COBOLエンジニアの転職で評価されるスキル・経験

COBOLエンジニアへの転職で評価されるスキル・経験について解説します。COBOLエンジニアとして活躍するためには、これから紹介するスキルを身につけておくと転職に有利になるでしょう。COBOLエンジニアへの転職を成功させるためには書類や面接も重要ですが、大前提として求められているスキルレベルに達していることが重要です。

COBOL以外のプログラミングスキル

COBOL以外のプログラミングスキルを習得することで、COBOLエンジニアとしての評価も上がります。なぜならCOBOLから別のプログラミング言語に書き換える案件や、COBOLと別のプログラミング言語が混在しているような案件もあるからです。

また自身のエンジニアとしてのキャリアプランを考えるうえでもCOBOLだけに特化するのはリスクが高いので、以下に紹介するような言語スキルを身につけておくのがおすすめです。

C言語

C言語はCOBOLほどではないものの言語としての歴史が長く、今後も需要が続くと考えられます。COBOLからC言語に移行されるシステムもあり、COBOLとの相性も良いでしょう。

C言語は、COBOLと比較してプログラムの記述量が少なく、ネイティブコンパイルされるため高速に処理ができるという特徴があります。しかし、C言語は、COBOLと異なる文法や機能が存在しており、特にポインタなどは複雑な機能であるため、一から新しいプログラミング言語を勉強する覚悟が必要です。

関連記事:
C言語を効率的に勉強!習得するメリットや理解度別の学習法も紹介
C言語とは!特徴やC++やC#との違いを分かりやすく解説

Java

JavaはOracle社が開発元としてサポートしており、安定した処理の構築と今後の継続的サポートが望めるプログラミング言語です。また、普及している言語で技術者が確保しやすく、企業が大規模開発で選択する言語でもあります。

C言語同様、COBOLからJavaに移行する案件もあります。Javaは多くの大規模システムで採用されていることから、ネット上にも多くのノウハウがあります。また、資格試験なども存在しているため、自分に合った方法でJavaのスキル習得を目指しましょう。

関連記事:
Java資格の最新一覧と各試験の難易度やおすすめの書籍を紹介
Javaエンジニアが転職するときの6つのポイント!求人例も紹介

要件定義、基本設計、詳細設計スキル・経験

要件定義、基本設計、詳細設計スキルは重要な評価ポイントです。上流工程ほど習得難易度が高いため、スキルを保有している場合には年収が上がる傾向にあります。これらの知識は転職先でどのようなプログラミング言語を扱うとしても共通して使えるスキルであるため、積極的にスキル習得を目指しましょう。

金融、保険業界、官公庁などの業務知識

COBOLの需要は、金融・保険業界や官公庁に集中しています。COBOLは1960年代に開発されたプログラミング言語で、当時の主要なコンピュータシステムで使われたことから、金融業界や官公庁のシステム開発に広く採用されたためです。その後もこれらの業界では長年にわたってCOBOLシステムが継続して使用されています。

金融・保険業界の専門的な業務知識をシステムに落とし込むスキルは、評価に関わる重要なポイントです。

マネジメントスキル・PM経験

COBOLエンジニアは、年齢が高めで経験年数も長いことから、マネジメントスキルを期待される傾向にあります。設計・開発・実装・進捗管理スキルのほか、チームやプロジェクト全体を見渡せるスキルがあれば、評価の対象となるでしょう。特に、PMを担当した経験があれば、高年収を狙いやすくなります。

データベースやOSなどの知識

COBOL以外にサーバーサイドのプログラミング言語を扱うのであればデータベースやOSの操作がセットになる場合が多いです。データベースやOSの担当者が別のプロジェクトもありますが、その場合も理解しておくことは必須です。

また、COBOLを書きながらデータベースを書き換える場合、データベースの理解はさらに重要です。

資料作成力

COBOLエンジニアは、業務の中で進捗状況などをプロジェクトリーダーやプロジェクトマネージャーに情報共有します。分かりやすい資料を作成できないと、相手は資料を読み取れず進捗が滞ったりトラブルのもととなったりします。スムーズな情報共有をするために、資料作成能力は必須といえるでしょう。

そのほかのスキル・経験

COBOL案件で問われることが多い経験としては、以下の内容が挙げられます。

  • ・汎用機からオープン系、ERPパッケージなどへの移行プロジェクト経験

    ・AS400やIBMiなど、代表的な汎用機での開発、運用、保守経験

汎用機が採用されている案件への参画経験がある場合には、志望動機や過去の実務経験を伝える際にアピールしていきましょう。

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COBOLエンジニアの転職に役立つ資格

COBOLエンジニアが転職する場合、上流工程もこなせる高いスキルが求められる傾向があります。このため、上級のエンジニアに向けた資格を取得することで、転職時にアピールポイントすることが可能です。COBOLに特化した資格を取得するよりも、システム開発プロジェクトで幅広く生かせる資格を取得するのが良いでしょう。COBOLの転職に役立つ資格を紹介します。

応用情報技術者試験

応用情報技術者試験はIPAが運営し、経済産業省によって認定される国家資格試験で、情報処理技術者試験の中でも技術を応用できるレベルのエンジニア向けの資格です。

COBOLエンジニアとしての転職を検討する場合、上流工程やシステム開発プロジェクトに精通したエンジニアが求められる傾向があります。応用技術者試験の資格保有は一定以上の高いスキルがあることを示したいCOBOLエンジニアにうってつけの資格です。

システムアーキテクト試験

システムアーキテクト試験はIPAが運営し、経済産業省によって認定される国家資格試験、情報処理技術者試験のうち高度なスキルを有する上級エンジニア向けの資格です。ITシステム開発プロジェクトで主導的な役割を果たすレベルのスキルが求められます。

COBOL資産を別言語へリプレースしたり新環境へ移行したりするなど、企業の長期的な将来性を確保する立場を目指すCOBOLエンジニアにとって、スキルを示せる有効な資格です。

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COBOLエンジニアの年収と求人例

レバテックキャリアにてプログラミング言語「COBOL」で求人・転職情報を検索し、COBOLエンジニアの平均年収を算出すると約550万円となります。

このようなCOBOLエンジニアの年収層が行う業務内容は、新規開発よりも運用保守や追加改修案件が大半といえるでしょう金融・保険業界、官公庁系の汎用系システムの開発経験や上流工程の経験、運用・保守チームのリーダー経験などがあれば、600万円以上の年収で採用されるケースもあります。

以下では、実際の求人からCOBOLエンジニア求人の年収例を紹介します。

生命損保の基幹システム

生命保険会社と損害保険会社の基幹システム保守が主な業務内容となっている求人例です。

【想定年収】
400~750万円

【業務内容】
生損保の基幹システム保守
・運用/保守

【求められるスキル・経験】
・IBMのメインフレーム(z/OS)の開発経験

【勤務地】
東京都

製造業向けの生産管理システム開発

製造業で生産管理システムの要件定義から保守まで幅広く担当する求人例です。

【想定年収】
400~700万円

【業務内容】
生産管理の大規模改修プロジェクトの要件定義から保守
・既存システムの大規模改修、一部改修作業
・使用言語はホストCOBOL、PL/I、JCL

【求められるスキル・経験】
・汎用系システム開発経験

【勤務地】
兵庫県

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COBOLでの転職に関するよくある質問

COBOLでの転職に興味を持つ方の中には、在宅勤務が可能か、ブランクがあっても転職可能かなどが気になる方が多いようです。また年齢が気になって一歩踏み出せないといった悩みもあるかもしれません。ここではCOBOLでの転職に関するよくある質問に答えています。似たような疑問を持つ方は参考にしてみてください。

Q1. COBOLの転職で、在宅勤務は可能ですか?

COBOL開発では多くの企業がリモートワークを採用しており、転職者(中途採用者)も対象であることが多いでしょう。しかし、セキュリティ上の理由や業務の性質上、オフィスでの勤務が求められる場合もあります。企業によって異なるため、転職先の求人情報や面接で確認することが必要です。

Q2. COBOLの経験があればブランクがあっても転職できますか?

COBOLの経験があれば、ブランクがあっても転職することは可能です。多くの企業がCOBOLベースのシステムを使用しているため、知識やスキルを持つ人材は依然として需要があるといえます。ブランク有りで転職を成功させるためには、新しい技術にも興味を持ち、自己研鑽することが重要です。

Q3. 50代や60代でもCOBOLの経験があれば転職できますか?

50代や60代でもCOBOLの経験があれば転職できる可能性はあります。COBOLは金融業界を中心に現在も多くのシステムで採用されており、COBOL経験が重宝される案件があるでしょう。また、年齢による差別は法律で禁止されているため、転職が可能であるといえます。

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まとめ

本記事では、COBOLエンジニアの需要と将来性、転職に必要なスキル・経験・実際の年収例などを紹介しました。今後も汎用機からクラウドサーバーシステムへの移行が行われている間は、COBOLエンジニアには一定の需要が続くと考えられます。しかし、移行が進んだ10年、20年先には需要が減少する可能性が高いです。COBOLのスキルを磨くことはもちろんですが、長期的な観点では、新たに他言語を習得し、選択肢を広げておくことが必要となります。

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