Scalaとは?将来性やメリット、Javaとの関係も解説

最終更新日:2024年12月17日

Scalaは、2003年にリリースされた比較的新しいプログラミング言語です。Webアプリケーションやスマホアプリ、業務系システムなど幅広い開発分野で採用されています。Javaとの互換性が高く、組み合わせて利用されるケースも少なくありません。

さらには、高年収につながる言語としても世界的に知られています。現時点では確かな支持を得ているScalaですが、将来的にはどのような見通しなのでしょうか?

この記事では、Scalaの習得とScalaエンジニアとしての転職を検討するITエンジニアや志望者に向け、Scalaの概要やメリット、将来性、Scalaエンジニアの需要状況や転職動向について解説します。

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この記事のまとめ

  • Scalaはオブジェクト指向と関数型をミックスして開発できるプログラミング言語で、両方のメリットを持ち合わせている
  • ScalaはJavaとの互換性が高いため、Javaからのスキルチェンジ、Javaシステムの置き換えなどに向いている

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Scalaとは

Scalaとは、2003年にリリースされた、関数型プログラミングとオブジェクト指向プログラミングの双方のパラダイムに対応可能なハイブリッド言語です。WebサイトやWebアプリケーション、スマホアプリ、業務システムの開発などに使われています。

Scalaは、Javaプラットフォーム(JVM)上で動作し、Javaのプログラムと連携させることが可能ということも大きな特徴です。

幅広い領域で使われているScalaですが、エンジニア人口が少ないことから市場価値が高い傾向にあります。

Scalaの成り立ち

スイス・ローザンヌにあるスイス連邦工科大学 (EPFL)教授のマーティン・オーダスキー氏を中心にScalaは開発されました。Scalaの公式ページ内のTOUR OF SCALAでは「一般的なプログラミング方法を簡潔かつエレガントかつ型安全な方法で表現するために設計」されているとしています。

オーダスキー氏はjavacなどの開発に携わった経験があり、Scalaはjavaとの親和性が高く設計されました。JVM(Java仮想マシン、Javaの実行環境)での実行が可能な互換性が保たれています。JVMで実行可能に設計されているため、マルチプラットフォームで動作させることが可能です。

オブジェクト指向と関数型の特徴を持つ

プログラミングパラダイムとして、オブジェクト指向プログラミングと関数型プログラミングという考え方があります。

オブジェクト指向プログラミングは、プログラム上で扱うモノ単位でプログラムを作成するという考え方です。プログラムの部品化がしやすく、一定のセキュリティも保てるというメリットがあるため、近年では多くのプログラミング言語が取り入れています。また、部品化がしやすいことにより作業分担もしやすく、大規模開発に適するというメリットもあります。

関数型プログラミングは、処理を関数という単位で記述します。関数を簡潔に記載し、その関数の組み合わせによってプログラミングを構成します。各関数は独立しており、実行中の他の処理の影響を受けません。このため、コード全体が簡潔で可読性が高く、再利用性や保守性が高い特徴を持ちます。

Scalaはこのオブジェクト指向と関数型プログラミングの両方のパラダイムに対応して作られており、両方の記述方法が利用可能です。それぞれのメリットを活用できることは、Scalaのメリットとなります。

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ScalaとJavaの関係

ScalaとJavaには密接な関係があります。開発者のマーティン・オーダスキー氏がJavaの一部の開発に携わっていたことから、Javaからの強い影響を受けており、共通する点が多い由縁です。

Javaとの関係での大きなポイントとして、Scalaの動作環境としてJVMが利用できることが挙げられます。JVMはJava Vertial Machine(Java仮想マシン)の略で、一般にJavaの動作環境として提供されており、広く普及しています。JVMはマルチプラットフォームでのプログラムの動作を実現しており、Scalaもその恩恵に預かってマルチプラットフォームで動作させることが可能です。また、Javaと同一の環境であることからJavaのプログラムとの連携の実現もしやすいです。

先のJVMとも関連して、Javaのライブラリの使用ができるところもScalaのメリットとなるポイントです。広く普及し、歴史も長いプログラミング言語のJavaには多数のライブラリが提供されており、活用することで生産性と品質を高めたプログラミングが可能となります。

Javaとの共通点と違い

プログラミング言語としての記述に関しては、ScalaとJavaには共通点と違いの両方が存在しています。例として変数、メソッド、型について記載します。

共通点として下記があげられます。

  • ・Scalaでの関数の定義は引数と戻り値を持ち、Javaでのメソッドの定義と同様

    ・Scalaは変数の型に値型と参照型があり、Javaにおける基本型(プリミティブ型)と参照型と同様の関係

    ・Scalaの参照型はAnyRefのサブタイプで、Javaの参照型におけるjava.lang.Objectの継承と同じ関係

    ・変数型の種類は、ScalaではInt、Double、Char、Javaではint、double、charで、先頭の大文字小文字以外は一致

違いには下記があげられます。

  • ・関数を定義する際、Scalaでは「def」キーワードを用い、呼び出し時にかっこの記述が省略できるが、Javaのメソッドの定義では「def」にあたるキーワードは存在しない

    ・変数の前のキーワードは、Scalaでは値の変更が可能な変数にはvar、定数の場合はvalをつけ、Javaでは定数の場合にfinalをつける

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Scalaを学習するメリット・デメリット

Scalaはこれから伸びると言われることの多いプログラミング言語で、著名なサービスでも使用されています。業界内で注目度の高い言語と言えるでしょう。しかしJavaやPHPと比較すると一般的な認知度は低いです。

Scalaのスペックが高いにも関わらず認知度が低めな理由は、以下に紹介するようなメリットとデメリットがあるためです。ハイスペックだからといって万人におすすめの言語ではないので、以下のメリット、デメリットを把握したうえでScalaの学習優先度を検討してください。

Scalaの学習メリット

Scalaの学習メリットとして以下が挙げられます。

  • ・Javaとの互換性が高く、JVMの知見も活かせる

    ・コードの記述量が少なく効率的に開発できる

    ・関数をオブジェクトとして扱える

    ・オープンソースのためカスタマイズしやすい

    ・処理速度が速い

    ・柔軟な開発が可能

    ・国内での需要が高まっている

Javaとの互換性が高く、JVMの知見も活かせる

ScalaはJavaとの互換性が高く、JVM上で動かすことが可能です。JVMはJava Virtual Machineの略で、Javaを動かす環境のことです。ScalaでJavaのライブラリを使用することも可能なので、JavaコードをそのままScalaに書き替えていくことができます。

ScalaはJavaの後継言語として選択することが可能であり、共存させることもできます。Oracleによれば、Javaは世界中に開発者が数百万人おり、510億のJVMが存在しています。この人気言語の代替言語となれば、需要、将来性ともに高いといえます。

コードの記述量が少なく効率的に開発できる

Scalaはコードがシンプルで記述量が少ないです。コードの記述量が少ないことで時間と労力が少なく済むだけでなく、エラーも減ります。プロジェクトで使用した場合、他の人がコードを読みやすいという点もメリットになります。

関数をオブジェクトとして扱える

Scalaの大きな特徴が、オブジェクト指向プログラミングと関数型プログラミングの両プログラミングパラダイムに対応していることです。この特徴を活かせる仕組みとして、関数をオブジェクトとして扱える機能が用意されています。

既存の関数についても、オブジェクト指向を採用したプロジェクトでも利用できるため、コードの再利用を容易にし開発効率を高める効果があります。

オープンソースのためカスタマイズしやすい

Scalaはオープンソースのプログラミング言語であり、必要に応じて利用して開発を行うエンジニアがカスタマイズすることが可能です。オープンソースでないプログラミング言語の場合は、提供者による仕様が問題となっても、基本的に対応する術はありません。オープンソースのプログラミング言語ならば、言語仕様そのものの変更や拡張までが開発者の選択肢に含まれます。

処理速度が速い

Scalaはコンパイル言語のため、RubyやPythonのようなスクリプト言語と比較して処理速度が速いというメリットがあります。コンパイルによりClassファイルを生成し、JVMを利用して動作するため、Javaと同程度の処理速度が見込めます。

また、非同期の計算のためにFutureというオブジェクトが用意されており、これを活用することで非同期処理を高速に処理できます。

柔軟な開発が可能

Scalaはオブジェクト指向と関数型の両方をミックスしたプログラミング言語なので、前述の関数をオブジェクトとして扱えることにより、コードの記述方法が柔軟です。システムの種類や拡張性と可読性のバランスなどを考えて、プロジェクトごとに異なるコード規約で開発を進められます。

国内での需要が高まっている

Scalaは国内での需要が高まっています。それを裏付けるのがScalaエンジニアの平均年収が他のプログラミング言語よりも高いという傾向です。統計にもよりますが、すべての言語の中でScalaがトップになっているケースも少なくありません。

ただしScalaの需要が全言語の中でトップというわけではなく、現時点で供給が少ないことも年収が上がっている大きな原因でしょう。需要に対して供給が少ない状況なので、エンジニアにとってはチャンスです。

Scalaの学習デメリット

学習する言語にScalaを選択するデメリットには下記があげられます。

  • ・習得の難易度が高い

    ・Javaと比較するとIDE(統合開発環境)が発展途上

    ・コンパイル速度が遅め

習得の難易度が高い

Scalaはオブジェクト指向プログラミングと関数型プログラミングの両方の要素を持っているため、習得には両方の考え方を理解している必要があります。

プログラミング経験がない方はどちらの概念も知らない可能性が高く、最初の言語がScalaだと混乱する可能性が高いでしょう。そのため、プログラミング未経験からScalaの習得を目指すのであれば、まずはオブジェクト指向の言語を学び、次に関数型言語を学習し、のちにScalaと段階を踏んでを学ぶとよいです。

Javaと比較するとIDE(統合開発環境)が発展途上

ScalaはJavaに比べるとIDEが発展途上です。プログラミングにおいてIDEの機能を使いこなすことはかなり重要で、開発効率が良くなることはもちろんエラーの大幅な削減にもつながります。Javaは歴史がある分IDEは充実度が高く、ScalaはまだJavaには至らない状況です。

コンパイル速度が遅め

他のコンパイラ言語と比較して、コンパイル速度が遅めという点も一応デメリットと言えるでしょう。ただし、遅めと言っても開発時に気になるほどではない可能性が高いです。膨大なステップ数になれば開発コストに影響してくる可能性もありますが、一般的なシステムでは大きく影響する可能性は低いでしょう。

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Scalaが用いられる場面

Scalaが用いられる場面として、Web開発、アプリ開発、ゲーム開発、データ分析などが挙げられます。もっとも多いのは、Web開発です。Webシステム開発、Webサイト開発など、Web関連の開発と相性が良いです。

また詳しくは「Scalaを学習するメリット・デメリット」で記述していますが、Javaとの互換性が高く、JavaをScalaに置き換えるケースも多いです。Javaが使われているシステムが幅広いので、結果的にScalaの用いられるシーンも幅広くなっています。

Scalaで開発されたサービス例

Scalaは著名なサービスにおいても活用されているプログラミング言語です。サービス構築にScalaを活用している事例を紹介します。

X(旧Twitter)

Twitter社(当時)のMarius Eriksen氏によるEffective Scalaによると、「Scala は Twitter で使われている主要なアプリケーションプログラミング言語の一つだ」としています。「Twitter のインフラの大部分は Scala で書かれ」ており、「業務を支える大規模ライブラリ」にもScalaを利用していることに言及しています。Twitterなどのサービスは日進月歩で進歩しており、本文書は2012年の記録ではあるものの、現在もScalaのプログラムが活用されていることが想定されます。

Spotify

音楽ストリーミングをサブスクリプション形式で提供するSpotifyもScalaを利用しています。特にデータ基盤領域で利用しており、OSSのライブラリも公開しています。

Chatwork

国内のサービスでScalaの利用を進めている企業としてはChatwork(現 株式会社kubell)が有名です。Chatwork Creator's Noteによると2014年と非常に早い段階から社内の開発言語としてScalaを取り入れています。その後の報告でも多くのプロダクトでScalaでの開発実績をあげており、今後も継続的に利用すると目されます。

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国内におけるScalaの将来性について

Scalaエンジニアの求人は、日本国内では徐々に増加している状況です。たとえばJavaやPHPからScalaに移行する企業が出てきているため、既存のソースコードの書き換えに向けた求人などが見られます。Scalaを開発言語に検討、選択する企業が増えていることから、国内におけるScalaの将来性は高いと考えられていることがわかります

ここでは国内におけるScalaの将来性に対する意見を紹介します。今後もScalaの案件は増えていくと推測されるので、現状学習の余力がある人はScalaのスキル習得も選択肢として検討ください。

Javaに変わる次世代言語として期待が高い

ScalaはJavaとある程度の互換性を持ち、関数型言語やオブジェクト指向言語の特性を併せ持ったハイブリッド言語です。パフォーマンスが高く、並行処理などに強みを持つため、負荷の高いWebサービスなどで利用が検討されることが増えています。

日本においてはまだ需要が少ないですが、IT企業やメディア系企業を中心に需要が高まってきています。Javaの後継言語になりうるという意見もあり、その将来性が期待されています。

関連記事:
Javaとは?特徴や学習方法などをわかりやすく解説
プログラマーの将来性と、今後需要が高まるスキル
Javaの将来性は?需要が高い理由や平均年収も紹介

Chatworkなどの著名なWebサービスで活用されている

Scalaの言語特性として、バグの少なさ、開発納期の短さ、ハイパフォーマンス、機能の改善や変更が比較的容易である点が挙げられます。この特性が評価され、安定性が求められる大規模なWebサービスの開発や、変化の激しい業界でのスピードを求められる開発に活用されている事例がいくつかあります

具体的な活用例としては、先述したチャットサービスの代表格である「Chatwork」、多くのエンジニアをユーザーに持つメディア「はてなブックマーク」などが挙げられます。

Scalaは国内では他の主要言語に比べて実績がやや少ないため、採用理由が気になるエンジニアも多いのではないでしょうか。ChatworkでScalaを採用した理由として、以下の情報がChatwork社(現 株式会社kubell)の開発ブログで公表されています。古めの記事ではありますが、現在にも共通する内容です。

  • ・静的言語としての保守性とパフォーマンスの高さ

    ・動的言語からスイッチして成功した実績があること(twitter、dwangoなど)

    ・AWSはJava SDKが最も充実しており、ずっと利用したかった

    ・チャットのリアルタイム処理と相性がいい

    ・Javaのスキルセットを持つメンバーが何人かいた

    ・PHPエンジニアでも短時間(開発合宿中)でそれなりに書けるようになった


引用:Chatwork Creator's Note.

他にもインターネット広告のツール、求人媒体などの検索サービス、ゲームアプリなどの開発にも利用され始めており、需要は拡大する可能性があります。

PHPなど他言語からScalaへ移行する案件が増えてきている

他言語で開発された既存のサービスやシステムを、Scalaへと移行するケースが増えています。多くの場合その理由は、長年の技術的負債です。Scalaのシンプルで可読性の高いコード、バグの少なさなどといった、言語としての完成度の高さが、技術的負債を清算するのに適していると判断されています。

先ほど紹介したChatwork社(現 株式会社kubell)もPHPからScalaに移行した企業のひとつであり、今後もScalaによる開発が増えていく可能性があります。

Scalaの将来性を危惧する意見もある

Scalaはオワコンなのでしょうか?現時点では、将来性についてのネガティブな意見はごく一部です。強いて言えば、Scalaはオブジェクト指向と関数型プログラミングの両方の概念を理解していないと使いこなせないため、習得ハードルがやや高い言語であることが挙げられます。

しかし、言語の難易度が高ければ将来性が低いということには繋がりません。たとえば2024 Stack Overflow Developer Surveyでは、2023年時点でScalaは言語別の年収でトップクラスの水準です。直近の年収水準の高さは企業が高い価値を認めているといえます。

また、XやLinkedIn、Sporifyなどの著名なサービスで採用されていることも将来性の高さを示しています。大規模なサービスでは言語の背景にあるエコシステムも含めて評価しているためです。

国内でも、JavaだけでなくPHPなどのプログラミング言語からScalaへ移行する企業が出てきており、エンジニアの求人が増加していることも将来性が高いと考えられる要因です。

したがって、Scalaは今後も期待できる将来性の高い言語と考えられます。

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Scalaで実際にコードを書く方法とは

Scalaを使って単純なプログラムを書いてみましょう。

なお、Scalaの実行にはJDK(Java Development Kit)のインストールとsbt(スカラのビルドツール)のインストールが必要となります。詳しくは、Scalaサイトのこちらのページを参照ください。
下記のコードについては、JDK16.0.2、sbt1.9.8を用いて動作を確認しております。

JDKとsbtのインストール後、下記をコマンドラインから実行し、githubよりHello-worldテンプレートを取得しました。

>sbt new scala/hello-world.g8
[info] [launcher] getting org.scala-sbt sbt 1.9.8 (this may take some time)...
[info] [launcher] getting Scala 2.12.18 (for sbt)...
(中略)
A template to demonstrate a minimal Scala application
name [Hello World template]: Hello-Levtech
Template applied in C:\Users\XXX\.\hello-levtech

Hello Worldの実行方法

テンプレートの上記で作成されたテンプレートによるプロジェクトフォルダにsrc/Main.scalaが作られています。こちらを編集して利用します。書き換えを行い保存しましょう。Predefオブジェクトのprintlnメソッドを利用します。

object Main extends App {
println("Hello, Levtech!")
}

コマンドラインからsbtを起動します。

>sbt
(中略)
[info] started sbt server
sbt:hello-world>

コンパイルコマンドを実行します。

>compile
(中略)
[success] Total time: 13 s, completed 2024/02/20 9:50:58

実行してみます。

sbt:hello-world> ~run
[info] running Main
Hello, Levtech!
[success] Total time: 0 s, completed 2024/02/20 9:57:12
(後略)

期待される出力「Hello, Levtech!」がコンソールに出力されたことを確認できます。

簡単な計算プログラムの作成方法

Hello Worldと同様にsrc/Main.scalaを編集し、簡単な四則演算を行うプログラムを記述します。Scalaでは、Appを継承した処理から起動されるため、今回のテンプレートではMainから処理が起動されます。

object Main extends App {
//変数a
val a = 3
val b = 5
//加算
println(a + " + " + b + " = " + (a +b ))
//減算
println(a + " - " + b + " = " + (a - b))
//乗算
println(a + " * " + b + " = " + (a * b))
//除算
println(a + " / " + b + " = " + (a / b))
}

Main.scalaを編集したら保存します。今回は単純なテキストエディタで編集を行いましたが、文字コードはUTF-8で保存するように指定ください。
コンパイルを実行します。

> compile
[info] compiling 1 Scala source to C:\Users\XXX\hello-levtech\target\scala-2.13\classes ...
[warn] 4 deprecations (since 2.13.0); re-run with -deprecation for details
[warn] one warning found
[success] Total time: 1 s, completed 2024/02/20 10:13:14

プログラムを起動します。

> run
[info] running Main
3 + 5 = 8
3 - 5 = -2
3 * 5 = 15
3 / 5 = 0
[success] Total time: 0 s, completed 2024/02/20 10:13:20

なお、除算の結果が0となるのは整数値型として扱われているためで正常な動作です。変数の指定やキャストを行うことで小数点以下の演算結果も出力できます。

関数の使い方

関数を作成し、呼び出してみます。Scalaでは関数とメソッドのいずれも定義できますが、下記は関数の記載例となります。Main.scalaを下記のように編集して保存します。

「()」の中には引数を定義できます。下記の例では引数はなしとしています。また、「=>」の後ろには関数の返す値の式を定義します。下記の例では、"Test Called"という文字列を返り値としています。

object Main extends App {
//関数testの定義
val test = () => "Test Called"
println("Hello,Levtech!")
//関数の呼び出し
println(test())
}

コンパイルを行います。

> compile
(中略)
[success] Total time: 0 s, completed 2024/02/20 10:56:05

プログラムを実行します。

> run
[info] running Main
Hello,Levtech!
Test Called
[success] Total time: 0 s, completed 2024/02/20 10:56:08

関数が呼び出されたことが確認できます。

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Scalaの学習方法

Scalaの学習方法は複数あり、自分に合う方法で学習を継続すればスキルが着実に身についていくでしょう。ただしScalaの学習教材は他の主流言語に比べて少ない傾向があります。特に日本語の教材はある程度絞られてきます。プログラミングスクールではScalaを取り扱っていない場合もありますが、オンライン講座や書籍はあるので日本語での学習も十分可能です。

公式のチュートリアルやオンライン講座で学ぶ

Scalaは公式チュートリアルがWebで公開されています。一部は英語情報のみですが、日本語でも基本的な内容を学習し、実際にScalaをインストールしてコードを書くことが可能です。オンライン講座は複数の企業が提供しているので、他のプログラミング言語同様に学習できます。

書籍を読む

書籍で学習することで、基礎知識を身につけた後に実際にコードを書きながらScalaのスキルを深めることが可能です。書籍には環境構築や基本的な開発手順も記載されているので、書籍に従って手を動かすことでプログラミングのイメージをつかめるでしょう。書籍での基礎学習と実際に手を動かして簡単なコードを書いた後、自分でシステム設計してScalaで構築してみるという流れです。

Scala入門者向けのおすすめ書籍

Scalaの学習におすすめの書籍を紹介します。プログラミング経験自体はあるがScalaは未経験の方を想定しています。

『実践Scala入門』(技術評論社、瀬良 和弘/水島 宏太/河内 崇/麻植 泰輔/青山 直紀)
Scalaの基本文法、言語機能、ビルド、テストなど開発に必要な基本知識を網羅した内容です。入門として概要を捉えるために利用し、詳細は下記の書籍などで学習するとよいでしょう。

『Scalaスケーラブルプログラミング 第4版』(インプレス、Martin Odersky/Lex Spoon/Bill Venners/麻植 泰輔/立野 靖博/田所 駿佑)
Scala言語の開発者たちが執筆した書籍です。開発者の視点からScalaの機能について細かく解説しています。機能の使い方に加え機能を作った理由も学べ、Scalaを効率的に使いこなすために役立ちます。

『Scala逆引きレシピ』(翔泳社、竹添 直樹/島本 多可子)
辞書的な使い方ができる書籍です。逆引き用ですが、ざっと眺めて、どのような処理ができるのか、どのように記述するのかを把握するのにも使えます。少し発行年月は古いですが、有用な一冊です。

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Scalaエンジニアの転職市場状況

2024年11月21日時点で、レバテックキャリアにて公開中のScalaエンジニアの求人・転職情報は759件でした。Javaの求人・転職情報が9,096件、Pythonが6,566件、Kotlinが2,103件であることから、国内では他の言語に比べてやや求人数が少ない状況といえます。

また、Scalaの求人・転職情報から30件を抽出し想定年収から平均年収を算出すると、Scalaエンジニアの平均年収は約785万円と推定できます(想定年収の最小値、最大値の中間値の平均より)。スキルによって開きがありますが、比較的高い年収の仕事が多い傾向があります。サーバーサイドエンジニア、データサイエンティスト、フルスタックエンジニア、QAエンジニアなど様々な職種で求められていることも特徴的です。

注意点として、上記の推定年収はScala専門のエンジニアではなく複数言語が扱えるエンジニアにとっての一言語としてScalaがあがっているケースが多いです。

Scalaエンジニアの求人・転職情報>

関連記事:プログラマーで年収1000万円を目指す方法とは?

求人例から見るScalaエンジニアの仕事内容と年収例

レバテックキャリアの求人・転職情報よりScalaエンジニアの求人例を紹介します。具体的な求人例を確認することで、仕事内容や年収、求められるスキルなどをイメージをしやすくなるため、Scalaエンジニアを目指す方はぜひ参考にしてください。

以下で紹介するのはあくまでも一例ですが、レバテックキャリアには類似する求人が複数あります。以下の内容を参考にし、その後レバテックキャリアで募集されている実際の求人を見てみてください。

検索サービスにおける機械学習・自然言語処理の活用

検索サービスにおける機械学習・自然言語処理に携わるScalaエンジニアの求人例です。

【業界】
IT・通信

【業務内容】
・自社の運営する検索サービスに対し、機械学習や自然言語処理などを活用して品質、性能を向上させる
・サービスにおけるサーバーサイドの開発・運用

【求められるスキル・経験】
・Javaを用いた開発業務経験
・ScalaまたはPythonによる開発経験
・チームでの協働ができる
・新たな技術を柔軟に取り込み、課題解決を図れる

【想定年収】
450~1,400万円

【勤務地】
東京都

データエンジニア

Scalaはデータ基盤構築や分析にも使える言語なので、データエンジニアの求人もあります。以下は、Scalaを利用するデータエンジニアの求人例です。

【業界】
IT・通信
広告

【業務内容】
・大規模データ処理基盤の設計、開発
・広告運用、計測を行う自社サービスの開発、運用

【求められるスキル・経験】
・RDBを用いたアプリケーション開発の経験1年以上
・プログラミング言語を用いた開発経験1年以上
・データエンジニア領域への興味関心
・新規の言語、技術の習得意欲がある

【想定年収】
450~800万円

【勤務地】
東京都

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Scalaエンジニアに求められるスキルと経験

Scalaエンジニアとして転職する場合に必要な重要視されるスキル・経験について説明します。

Scalaそのもののスキルに加え、Scalaのフレームワークに関する知見や関連性の高い言語であるJavaに関するスキルもあると評価に繋がります。また技術的なスキルだけでなく、リーダーやマネージャーに類似する経験があるとより良いでしょう。

Scalaを扱うプログラミングスキル

Scalaエンジニアとしての転職を行う場合、Scalaの基本文法とベースとなる考え方は学んでおく必要があります。Scalaは習得難易度が高い言語ですが、Javaに記法が近いためJavaエンジニアの経験があれば詳細な技術習得は入社後でも可能という企業、転職求人も存在します。

特にScalaを採用する現場では、Scala以外にもJava、C#、C++、GOなどマルチな言語を利用していることが多く、新たな言語習得が苦にならないという適正が必要です。

関連記事:プログラマーが扱うプログラミング言語は?種類別の特徴や選び方も解説

Javaの知識とScalaへの変換スキル

ScalaはJavaの後継としての期待が高い言語です。基本的な記述方法はJavaに似通っており、ライブラリも利用可能です。ただし、Scalaは非常に少ない行数でJavaと同じ処理を実装でき、開発コストや処理時間を圧縮できるという特長があります。

したがって、Javaの文法を念頭に置きながらScalaを使ってソースコードの判読性やシンプルさをより高めるスキルが求められます。さらには他言語への変換という点では別の選択肢も生まれてきています。

Scala.jsを利用することでScalaのプログラムをJavaScriptにトランスパイルすることも可能です。JavaScriptの各種ライブラリにも対応しており、Scalaでのフロントエンド開発が可能となります。Scala.jsを利用できるようになれば、よりWeb開発への適用範囲を広げることができます。

JVM言語での開発経験

ScalaはJavaの稼働環境であるJVM(Java仮想マシン)で動作します。JVMで稼働する言語は、バイトコードという中間言語にコンパイルし、その後実行時に再度解釈を行って稼働する形式を取ります。

このコンパイル形式によりもたらされるメリットとして、一度書いたプログラムはOSなどのプラットフォームに依然せず、マルチな環境で稼働させることが可能です。Scalaもこのメリットを活かすことが可能な言語であり、JavaおよびGroovy、Kotlinなどのバイトコードを生成する言語での開発経験があれば、同様の考え方を活用することができます。

フレームワークを扱うスキル

Webアプリケーション開発では、生産性の向上と品質の確保を目的として、フレームワークを採用することが一般的です。

Scalaでは「Play」「Spring Boot」といったフレームワークが人気があります。この2つのフレームワークはJavaで使用されており、多くの実績と情報があります。また、RubyのWebフレームワークSinatraに似せて作られたScalatraも利用数が増えてきています。

利用シーンの多い有用なフレームワークの出現に合わせ、フレームワークを学習して利用するスキルを有していることが必要となります。

そのほかの評価されやすい経験

Scalaが採用される現場では、必要に応じて難易度が高くとも適性のある言語を選択しているといえます。これは、総合的なエンジニアとしてのスキルが要求される現場であるとも言い換えられます。Scalaに限らず、他の言語のプロジェクトでも下記のような経験がある場合には評価の対象となります。

  • ・Webアプリケーション設計、開発の経験

    ・チームリーダーやプロジェクトリーダーなどチームのリーダー経験

    ・マネジメント業務の経験

    ・上流工程(要件定義、基本設計)の経験

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Scalaエンジニアとして転職するには

Scalaエンジニアとして転職するためには、Scalaや周辺スキルを習得すること、転職活動に向けて準備することの両方が必要です。また別の言語で開発経験を積める場合は、経験を積んだ方が有利です。プログラミングは言語が変わっても共通点が多いため、Scalaでなくても特に類似する言語の開発経験があれば大幅に評価を高めることが期待できます。

オブジェクト指向への理解を深める

Scalaという言語を利用する場合に活用したい特性が、オブジェクト指向および関数型の両プログラミングパラダイムに対応しているという点です。この二つのパラダイムは相反するものではなく、同時に成立しています。本当の意味でScalaを活用しきった開発を行うためには両者を有効活用できなくてはなりません。

オブジェクト指向、関数を引数に取れるというScalaの特性に理解を深め、利用シーンを見極められるようになっておくと、Scalaエンジニアとしての活躍に繋がります。

サーバーサイド開発などの実務経験を積んでおく

Scalaは特にWebのサーバーサイド処理に適した言語です。Scalaエンジニアとして活躍する場合の多くは、サーバーサイドエンジニアとなることが想定されます。

可能であれば近い言語でサーバーサイド開発のプロジェクトに従事することで、Scalaエンジニアとして活躍するための経験を積むことができます。言語や開発分野が違うとしても、開発業務につき、プロジェクト推進や開発工程といったシステム開発に必要な考え方を経験しておくことがScalaエンジニアとしての成功にも必要です。

ポートフォリオを作成する

Scalaを使ったポートフォリオとなるプログラムを作成し、公開するといったアプローチも、その後の成功に繋がっています。Webサイトや各種のプログラムを作成し公開することで、プログラミングスキルを対外的に明示することが可能です。

ソースコード上には意図を持った記述を行い、単純に開発ができることに加えて、整理されたソースコードが作成できる、ルールに沿ったコーディングができる、設計能力の高さなども示せます。
GitHub、Qiitaなどを利用してソースコードの公開、情報の発信をしていれば、エンジニアとしての幅の広さを分かりやすく伝えることができます。

関連記事:
プログラマーのキャリアパスは?キャリアアップに必要なスキルも解説
女性プログラマーが増加している理由や働くメリットを解説

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Scalaに関するよくある質問

Scalaエンジニアに関するよくある質問と回答を紹介します。

Scalaは人気上昇中のプログラミング言語であり、Scalaエンジニアには需要と将来性があるといえます。そんなScalaを優先的に身につけるべきかどうか迷っている人も多いでしょう。そこで重要になるのが、Javaとの違いなどScalaについてよく知り、目標を明確化したうえで学習に取り組むことです。

Q1. ScalaとJavaの違いは何ですか?

ScalaとJavaの違いは多数存在します。大きな違いの一つとして、Scalaはオブジェクト指向と関数型の両方のプログラミングパラダイムに対応していることがあります。両者の特性を併せ持つことで、簡潔な記述と高い生産性や再利用性を実現しています。

Q2. Scalaの人気の理由は何ですか?

Scalaの人気の理由として、Javaとの互換性の高さがあげられます。Javaの動作環境JVM上で実行することが可能なため、マルチプラットフォームという特徴をScalaも持っています。パフォーマンスが高く、並行処理に強いため、トラフィックの多いWebアプリ開発に適していることも人気の理由です。

Q3. Scalaの難易度を教えてください

ScalaはJavaの後継ともいわれている言語で、学習難易度は比較的高めです。 オブジェクト指向と関数型という二つのプログラミングパラダイムの理解が習得難易度を高くしています。

難易度の高いプログラミング言語ですが、使いこなせるようになれば柔軟かつ簡潔にプログラミングできることが大きな魅力です。

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まとめ

Scalaはオブジェクト指向プログラミングと関数型プログラミングの両者に対応しているという特徴を持つプログラミング言語です。Javaとの互換性が高く、Javaの後継言語としても期待されています。

柔軟で簡潔な記述ができ、開発生産性が高い点がScalaのメリットの一つです。Javaの資産を有効活用できることや、パフォーマンスが高く、並行処理に強いメリットもあります。

高負荷なWebアプリケーションやスマホアプリ、業務アプリなどの開発に利用されており、大規模で著名なサービスでも採用されている実績があります。このような背景から、Scalaエンジニアの将来性は高いと考えられます。

Scalaは、しっかりとしたスキルや実務経験を積み重ねればエンジニアとしての活躍が期待できる言語です。学習難易度は高いですが、高単価案件が多いので年収アップを希望するエンジニアは習得を検討してみてはいかがでしょうか。

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