- 業界ごとの組み込みエンジニアの需要状況
- 組み込みエンジニアの将来性
- 年齢層別の組み込みエンジニアの需要状況
- 転職市場で求められる組み込みエンジニアになるには?
- 組み込みエンジニアとは
- 組み込みエンジニアの需要に関するよくある質問
- まとめ
業界ごとの組み込みエンジニアの需要状況
組み込みエンジニアの構築対象は、プログラムを組み込むハードウェア全般です。対象は冷蔵庫やテレビ、電子レンジなどの家電、自動車やPC周辺機器、医療機器、産業用のロボットなどと幅広いため、あらゆる業界で需要が高いといえます。
特に近年では、自動車業界での組み込み系・制御系エンジニアの採用数が増加傾向にあり、需要が増しているのは明らかです。また、遠隔診療の必要性などを理由に医療機器業界においても、需要が高まってきています。
本項では、自動車業界、医療機器業界、電気・家電業界での組み込みエンジニアの需要状況について詳しく説明します。
関連記事:組み込みエンジニアとは?仕事内容や年収、資格、将来性などを解説
自動車業界
組み込みエンジニアの自動車業界での需要は高まっています。需要増加の主な理由としては、自動運転技術の進化やAI技術を活用したブレーキシステム搭載車の誕生、ハイブリッド車の生産拡大などが挙げられるでしょう。これらの開発には、電気部品を制御するプログラムが必要不可欠なので、それを構築できる組み込みのエンジニアの需要が高まっています。
また、国土交通省などが推進する日本版MaaS(Mobility as a Service)の実現においても、IoTをはじめとした組み込みプログラムは欠かせない技術です。こちらも組み込みエンジニアの活躍が期待される分野となっています。
AIによる自動運転の実用化や、電子制御ユニットへの需要の高まりが、組み込みエンジニアへの需要を高める結果につながっています。
医療機器業界
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、国内では遠隔医療診療の普及が進みました。遠隔医療診療には、診断に使われる高度なセンサーや、インターネット経由で情報を処理するためのIoT機器が必須です。これらの研究開発は主に組み込みエンジニアが担います。
医療機器業界におけるIoTは「Internet of Medical Things」を略してIoMTと呼ばれています。医療機器システムをオンラインネットワークに接続して活用する概念は、医療の重要性や人的リソースの負担軽減、利便性の高さなどの面で重要視されており、今後も進歩が期待される分野の1つです。
たとえば、「CALM-M」は、活動量、睡眠、脈拍、心拍、心電位などの患者バイタルデータを、体に装着するゲルパッドやベルトから取得できます。バイタルのデータ分析をし、施設内でも在宅でもオンライン上で患者を見守れます。
「RecoFinder」は、通過検知システムで、電波の放出範囲を制限する技術を採用しています。RFIDタグを各種の医療機器に装着すると、医療機器の移動や所在の管理が可能です。医療機器使用者の利便性の向上を図るとともに、機器管理情報を確実かつリアルタイムに取得できる環境を整えられます。
また、遠隔診療以外にもウェアラブルデバイスを用いた、健康状態を確認する習慣の普及も組み込みエンジニアには追い風です。Apple Watchなどのウェアラブルデバイスに搭載するプログラムも組み込みエンジニアの開発対象のため、需要のある分野といえます。
電機・家電業界
組み込みエンジニアが古くから活躍しているのが、電機・家電業界です。特に最近ではIoTやAIの技術を組み合わせた家電製品が登場しています。
IoTの登場以前は、電機・家電は職場や家庭内などで限定された用途で使用されていました。しかしIoTの普及により、現在は家電同士のネットワークを経由した接続や遠隔操作が可能です。
今後の組み込みエンジニアは、単純にハードウェアを制御するための知識に加えて、ネットワークに関する知識や、ネットワーク接続を前提とした電機機器や家電を設計するセキュリティ技術が求められるでしょう。IoTやそのセキュリティに関するスキルを持った組み込みエンジニアは、要求スキルが多い一方で需要が高まっていくと考えられます。
電機・家電業界のIoT事例として、電通の「domus optima」が挙げられます。エアコンや空気清浄機、オーブンレンジなど約60万台のIoT家電のデータを収集し、利用の時間・方法から生活者の潜在的な需要を推定して広告配信やその効果検証に活用できるサービスです。
玄関の鍵をスマートフォンから制御するスマートロック、スピーカー型の操作機器による家電の制御を行うスマートスピーカー、エアコンや風呂のスマートフォンからの遠隔制御などがより身近な事例です。
組み込みエンジニアの将来性
インターネットやスマートフォン、クラウドサービスなど新たなIT技術が次々と生まれ、普及が進んでいますが、組み込みエンジニアの将来性に期待する声も無視できないでしょう。各種のIT技術の発展は、組み込みエンジニアを含めたすべてのIT技術者の需要を後押しするきっかけといえます。本項では、今後の組み込みエンジニアの将来性について解説します。
組み込みエンジニアの将来性は高い
組み込みエンジニアの需要は、IoT活用やAI技術の進歩によって伸びています。そして今後ますます需要が伸びていく可能性が高いため、将来性は高いと考えられるでしょう。IoT、AIの分野と組み込みエンジニアの関係について解説していきます。
IoT化により一層需要が高まる見込み
IT業界の主軸はWeb、スマホアプリ、AIなどで、組み込みソフトウェア業界に対しては古いイメージを持つ方も多いでしょう。実際にはIoTの普及が進むにつれて、組み込みソフトウェア業界にも新しい風が入ってきています。
IoTは各種の機器をインターネットで接続して活用する技術です。組み込みエンジニアは機器上のプログラムでセンサーによるデータの収集や機器の遠隔制御を行います。
一方、WebやAIなどの仕組みはサーバーサイドと呼ばれるネットワーク上に接続された環境で動作します。IoTで集めたデータを収集して分析して活用したり、IoTで捉えた変化をAIによって判断しレスポンスを返したりするなど、組み込みソフトウェアとは対になって仕組みを作る関係です。スマホアプリとサーバーサイドプログラムと似た関係性ともいえるでしょう。
つまり、両者がお互いに必要とされるため、技術の進展は組み込みエンジニアにとっても新たな需要を生み出しているのです。
組み込みエンジニアが高齢化していたり、古いシステムやプログラムが多く残っていたりする状況は事実ですが、将来的な需要が落ち込む結論にはつながりません。また、若手が参画する価値は十分あります。組み込みソフトウェア業界を構成する年齢からも、若手の組み込みエンジニアが求められる傾向にあるといえるでしょう。
AI技術の発達でも需要は増える見込み
AI技術が発達していく中で、モノにAIを組み込む開発も活発化しています。つまりIoTとAIの技術を組み合わせる開発も昨今では珍しくありません。たとえば、車の自動制御システムなどもAIとIoTの技術の応用事例です。ほかにも、スマート家電なども一部AI技術が活用されています。
AIもIoTもますます技術が進んでいくので、組み込みエンジニアの活躍機会は増えるでしょう。今はまだ事例のない機器にも今後AIが組み込まれる可能性は高いです。組み込みエンジニアの需要が単純に増えるだけでなく、新たなジャンルでの採用も増えると予想されます。
組み込みエンジニアが「オワコン」「やめとけ」と言われる理由
組み込みエンジニアに対して、「オワコン」「やめとけ」といったネガティブな声が聞こえることもあります。その背景と想定されるのは、下記のような事情があります。
「技術的に需要がなくなる=将来性が低くなる」という論旨にはならないため注意が必要です。また、これらの事情も時代背景や技術の発展により解消が図られてきている状況です。
企業によっては激務になることがある
組み込みソフトウェアは製品の特性上、ソフトウェアアップデートの適用が難しいです。製品のリリース後にバグが発見された場合にも簡単には差し替えられないため、初期納品時のソフトウェア品質が重視されます。
高品質なソフトウェアを作るためには、綿密な設計とあらゆるパターンを想定したテストが必要です。とはいえ、製品の開発サイクルが長くなることはなく、結果としてハードワークになる原因にもなります。
また、組み込みエンジニアは慢性的な人材不足といわれており、需要の高さを埋める供給がないのも激務となりやすい理由の1つです。
高度な知識や技術力を求められやすい
組み込みエンジニアの仕事は小型のコンピュータ向けのプログラム作成が多いですが、専門的な知識と技術的なスキルが多く求められる傾向があります。その理由の1つは、リリース後のプログラムアップデートが難しく高品質なプログラムが求められるためです。
また、小型のコンピュータの場合メモリや記憶領域などに制限があったり、マシンパワーでの解決が望めないためプログラムロジックを丁寧に作成する必要があったりするのも高度なスキルの要求につながります。さらに、組み込み先環境のハードウェア制御を行うためハードウェアに関する知識も必要なケースが多々あります。
プロジェクトによって必要な知識が異なる場合もある
組み込みエンジニアの仕事は対象システムごとに必要となる知識の差が大きいです。なぜなら、組み込み対象によってハードウェアが異なり、その結果ソフトウェアの機能やプログラムも大きく変わってくるからです。たとえば、パチンコ台の制御システムと車の制御システムではハードウェアもソフトウェアも大幅に異なります。
技術的に共通する部分も多いため、対象システムが変わってもある程度対応できる場合もあるでしょう。しかし、Webシステムやスマホアプリなどハードウェアが変わらない分野に比べるとプロジェクトごとに必要な知識やスキルが変わってきます。
フリーランスの組み込みエンジニアとして独立する道も
組み込みエンジニアには高い需要があるため、フリーランスとして独立するのもキャリアパスの選択肢に含まれます。業務の特性上、開発現場に常駐する案件へ参画すれば、会社員エンジニアよりも高い収入を望めるでしょう。
エンジニアの中でも、とりわけ組み込みエンジニアが不足していることや、IoTの導入が進んでいる背景が有利に働き、フリーランスとして活動しやすい状況が生まれています。需要に対して供給が足りていないので、一定のスキルがあればフリーランスとして活躍できる機会は十分に広がっています。
年齢層別の組み込みエンジニアの需要状況
年齢層によって、組み込みエンジニアに対する需要は異なります。これは組み込みエンジニアに限らず、ほかのエンジニアについても同じです。年齢が若いほどスキルがなくてもやる気などでカバーできますが、年齢が高くなると高いスキルや豊富な経験が重要視される傾向があるでしょう。
IT業界の人材不足もあいまって即戦力を求める企業が多いため、スキルや経験があれば年齢はさほど関係ないですが、一方で若手エンジニアの育成に注力している企業もあります。
特に若手の人材が不足し採用・育成に意欲的な企業が多い
組み込みエンジニアに限らず、システムエンジニアは慢性的に不足しています。さらにインターネットの普及により、クラウドやSaaSなどのWebサービスを開発しているWeb系企業への人気が高まっており、若いエンジニアが流れている傾向があります。
現在、オンラインでプログラミングが学べるWebサイトが隆盛していますが、学べるプログラミング言語はPHPやRuby、Pythonなど軽量言語がメインです。組み込みエンジニアが扱うCやC++などを学べる学習サイトは目立ちません。このような現状も、若手の組み込みエンジニアが少ない原因と考えられます。
組み込みエンジニアが使うCやC++は習得するのが難しく、業務で使えるレベルに達するまでにかなりの学習量と時間がかかります。そのため知識や技術を習得する意欲の強い若年層を採用して育てようと奮起する企業が多いです。
また、制限されたリソース内でパフォーマンスの高い処理が求められる組み込みエンジニアの仕事には、高いレベルのスキルが必要とされる背景もあります。プログラムが作れるだけでは、実務で活躍できるレベルとはいえないでしょう。ハードウェアを含めたアーキテクチャを理解し、その中で性能を出すための方法を考えられるハイレベルな要件が求められます。
40代以上は実務経験や並列処理できる力があれば採用されやすくなる
40代以上の組み込みエンジニアには、実務経験に加えて並列処理を構築するスキルが求められます。並列処理とは、マルチコアやマルチスレッドに対応したプログラミングを指し、複数の命令を同時に処理できる仕組みです。
ハードウェアに組み込まれているCPUの進化により、多くのデバイスで並列処理が可能になりました。この並列処理機能を活かすには、CPUだけでなくソフトウェア(プログラム)での実装が不可欠です。デバイス本来の性能を発揮するためにも、並列処理を実装できる組み込みエンジニアの力が求められています。
関連記事:組み込みエンジニアは難しい?なぜ人材不足なのか
転職市場で求められる組み込みエンジニアになるには?
転職市場で需要のある組み込みエンジニアになるには、求められるスキルを身につける必要があります。プログラミングや設計などの具体的なスキルはもちろん、今後の成長のためには、より土台となる能力も重要です。具体的には、組み込みエンジニアに必須となるスキルと汎用スキルの両方を高めていくと良いでしょう。
組み込みエンジニアの需要の高さに甘んじず、実直に知識やスキルを身につけていければ、転職市場でも求められる人材になれます。
コミュニケーションスキルを磨く
組み込みエンジニアが開発するデバイスは、ハードウェアとソフトウェアから構成されており、それぞれの開発には専門的なスキルが必要です。
そのため一人のエンジニアがすべての工程を担当するケースは通常ありません。開発は複数のエンジニアがチームになって行う場合がほとんどです。チームワークを発揮し、ほかのメンバーと円滑なコミュニケーションがとれるスキルが必須です。
課題発見力、解決力を養う
組み込みエンジニアはインターネットが普及する前から需要のある職種です。しかしテクノロジーやネットワークの進化により、組み込みエンジニアに求められるスキルは変化してきています。またスマートフォンなど、これまでには誰も考えていなかったデバイスも登場しています。
このようなイノベーションを起こすために必要なスキルが課題発見力や解決力です。市場で求められる組み込みエンジニアになるには、現状の延長線上で仕事をするのではなく、誰も気づいていなかった課題を発見し、知識と技量で解決するスキルが必要でしょう。
新しいITの知識や言語を身につける
組み込みエンジニアにとっても、ほかの分野に対しても新しいITの知識やプログラミング言語を身につけるのは重要です。
IoTやAI、クラウド上でのデータ集約などの技術は組み込みエンジニアの技術とあわせて活用されます。これらの知識を身につければ技術の変化に対応できます。自身のスキルをアップデートできることは、組み込みエンジニアにも求められる素養の1つです。
関連記事:組み込みエンジニアに役立つおすすめ資格6選!参考書籍や求められるスキルも解説
C言語のほかにもC++、C#など複数言語を扱えるようになる
組み込みエンジニアが扱う代表的なプログラミング言語はC言語です。しかし、以下の言語で組み込みシステムの開発を行うケースもあります。余力がある場合にはぜひ習得しておきたい言語です。
・C++
C++は、手続き型言語であるC言語を拡張し、オブジェクト指向の要素を追加したものです。
・Java
同じくオブジェクト指向言語のJavaも組み込みシステムに使われる場合があります。組み込みシステムには、動作が遅くメモリ消費量の多いJavaは適さないとされていましたが、Androidを搭載したスマートフォンなどでは開発言語として使われています。
・C#
JavaやC++を発展させたC#も用いられるケースが増えてきました。C#はマイクロソフトが開発したプログラミング言語です。従来はWindowsのデスクトップアプリケーションに使われていましたが、現在では多くの組み込みシステムの開発にも採用されています。
・Python
組み込みシステムにAIが搭載される事例も増えているため、AI開発の主要言語であるPythonを扱えると今後参画できる案件が増えていくでしょう。
ETEC(ミドルレベル)を取得する
ETEC(組込み技術者試験制度)とは、一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)が運営している組み込みエンジニア向けの試験です。試験は以下の2つのクラスに分かれています。
・クラス2
詳細設計と実装、実装検証を担当するエントリレベル
・クラス1
システムや構造の設計、システム検証を担当するミドルレベル
組み込みエンジニアとして活躍するためには、クラス1の合格を目指すと良いでしょう。試験はコンピュータを使って解答するCBT形式です。また、クラス1の受験資格として、クラス2の試験で500点以上取得するのが条件となっています。
エンベデッドシステムスペシャリスト試験を取得する
エンベデッドシステムスペシャリスト試験は、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施している国家試験です。対象者は、IoTを含む組み込みシステムの開発に関係する幅広い知識やスキルを活用して、構築や設計、製造を行う者です。
試験はマークシートで解答する午前Ⅰと午前Ⅱ、記述式で解答する午後Ⅰと午後Ⅱから構成されています。令和5年度秋期試験の合格率16.6%を含む、直近5回の平均合格率は17.4%と2割を下回る難易度です。また、情報処理試験のほかの区分と比較して、組み込みシステム分野の学習にフォーカスした書籍が少ないことも、試験を難しくしている要因といえます。
Linux技術者認定試験(LinuC)を取得する
Linux技術者認定試験(LinuC)は、Linuxに関する技術者向けの著名な試験として、LPI日本支部の運営するLPICによって運営されています。組み込みプログラムも小型コンピュータ上のOSで稼働しています。そして、そのほとんどがLinux系です。このため、組み込みエンジニアにとってLinuxに関する技術力も評価の対象となります。
英語を身につける
英語力があると、組み込みエンジニアとして転職市場で有利です。英語力を養うと得られるメリットは複数あり、具体的には以下が挙げられます。
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・海外のメンバーと交流/意思疎通ができる
・グローバルに活躍するチャンスがつかめる
・海外製の製品理解ができる
・最新の技術情報は英語で発信される場合が多いため、情報収集がスムーズになる
組み込みエンジニアだけでなく、ほかのエンジニアにも当てはまりますが、IT業界では英語力が大きな武器になります。たとえば、自分が海外に赴任したりプロジェクトで外国人と直接やりとりしたりする場合、英語でコミュニケーションができれば市場価値のアップにつながるでしょう。
また、IT技術の最先端はアメリカなど英語圏が発端となる場合が多く、最新情報は英語で発信されます。日本語でしか情報収集できないと、最新情報のキャッチアップに遅れが生じる場合もあるでしょう。
プログラミングをしていてエラーが出た際に、日本語で検索してもヒットせず、英語で検索すると必要な情報が出てくる場合、英語力があると即座に解決できます。英語で情報収集ができるだけでも技術力向上に役立つでしょう。
関連記事:
組み込みエンジニアが英語を使えることで得られるメリット
組み込みエンジニアになるために必要な勉強
組み込みエンジニアの転職市場は?評価されるスキルや経験も解説
組み込みエンジニアとは
組み込みエンジニアに関心があれば、働く上での実情が気になる方は多いでしょう。ここでは、組み込みエンジニアとはどのような職種なのか把握できるよう、仕事内容や平均年収、求人例などを紹介します。実際の求人情報を参考にすると、より具体的にイメージしやすくなるでしょう。また、スキル習得の方向性なども実際の案件を見てから判断するのがおすすめです。
組み込みエンジニアの仕事内容
組み込みエンジニアの仕事は、小型のコンピュータやさまざまなデバイスに向けた組み込みプログラム、アプリケーションの設計、作成、テストなどです。組み込みプログラムにより各種の機器の制御を行います。
対象となる製品やカテゴリは幅広く、車載器や家電製品、医療機器など、ありとあらゆる電気製品です。工場や倉庫などで利用する大型の設備に搭載するプログラムも対象とする場合があります。
組み込みエンジニアの業務領域では、デバイスをネットワークに接続して情報の収集や遠隔操作を行うIoTの利用も盛んです。組み込みプログラムでは各種の計算処理に加え、表示や操作といった機器の制御も行うため、ハードウェアの知識が必要です。これは、ほかの開発エンジニア職との大きな違いといえるでしょう。
組み込みエンジニアの平均年収
厚生労働省の職業情報提供サイトjobtagによると、令和5年賃金構造基本統計調査の結果をもとに算出されたシステムエンジニア(組込み、IoT)の平均年収は557.6万円です。なお、賃金構造基本統計調査において、組み込みエンジニアは、職業分類「ソフトウェア開発技術者」に属しています。
また、レバテックキャリアにて2024年6月18日時点で募集中の「組込・制御エンジニア」の求人・転職情報より90件を抽出し、算出した平均年収は約617万円です。組み込みソフトウェアの開発でも上流工程のスキル・経験を持つ場合、IoTやロボット制御に関するスキルを持つ場合は高い評価につながる傾向です。最大年収が1,000万円を超える求人も存在しています。
組込・制御エンジニアの転職・求人情報>
関連記事:組み込みエンジニアの年収は?求人例や年収を上げる方法も解説
【医療】組み込みエンジニアの求人例
【平均年収】
430~533万円
【主な仕事内容】
・大手医療メーカー企業の案件へ従事
・設計から製造、評価までのシステム開発
【職場環境・働き方】
働き方:フルリモート
チームでの客先常駐
【必須条件】
・組み込み系開発の経験(分野、経験年数不問)
・モデルベース開発経験
・自分で目標を掲げ、コツコツと努力を続けられる方
・より良いサービスや新しいサービスを作るにはどうすれば良いのか考え、行動に移せる方
・お客様と円滑にコミュニケーションをとりながら提案することが好きな方
【製造】組み込みエンジニアの求人例
【平均年収】
500~1,000万円
【主な仕事内容】
・3次元設計/PLMに関するソリューションの導入、立ち上げ
・3DCAD/PLM/ALMのアプリケーションに対するアドオン機能の設計、開発
【職場環境・働き方】
働き方:一部リモート、フレックスタイム制
【必須条件】
・企業へアプリケーションを導入した経験
・自社内システムの導入、立ち上げの経験
・プログラミングをはじめとするシステム開発経験
・円滑にコミュニケーションが取れる方
組み込みエンジニアの需要に関するよくある質問
組み込みエンジニアの需要に関するよくある質問と回答を紹介します。以下の質問にあるような、組み込みエンジニアになる難易度、楽しさ、仕事のやりがい、適性などをあらかじめ把握しておけば、自分が組み込みエンジニアを目指すべきかの判断に役立ちます。また、なりたい職種について理解を深めることはモチベーションアップにもつながるでしょう。
Q1. 組み込みエンジニアの倍率を教えてください。
jobtagによると、令和4年度のシステムエンジニア(組込み、IoT)の全国で見た求人倍率は、1.79倍です。ただし、地域によって差があります。たとえば、東京都の場合は3.69倍となっており、全国平均とは大きく異なっています。そのため、転職先として希望する地域の求人倍率を確認すると良いでしょう。
Q2. 組み込みエンジニアの楽しさは何ですか?
組み込みエンジニアは、自身で作成したデバイスやシステムを直接操作できるのが楽しさといえるでしょう。また、システムとデバイスを組み合わせて構築するため、不測の事態が起こり得るケースが多いです。試行錯誤を繰り返しながら、より良い製品を作り上げていく過程を追えるのも楽しさといえます。
Q3. 組み込みエンジニアのやりがいは何ですか?
組み込みエンジニアが開発したシステムは世の中にリリースされます。開発する機器の種類によってどのような形でリリースされるかは異なりますが、いずれも人々の役に立ちます。仕事をとおして世の中の役に立っている実感を得られるので、やりがいを感じられるでしょう。
Q4. 組み込みエンジニアに向いている人はどのような人ですか?
組み込みエンジニアに向いている人の特徴として、モノづくりが好き、一般消費者の役に立つ製品を作りたい、問題解決や粘り強く取り組むことが好き、といったものが挙げられます。ほかのエンジニアと比較すると、ソフトウェアだけでなくハードウェアも好きな人に向いているでしょう。
まとめ
組み込みエンジニアはIT業界の中でも古くからある、需要の高い職種です。そのためエンジニアの高齢化が進んでおり、若手エンジニアやこれからエンジニアを目指す方にとっては、古いイメージもあるでしょう。
しかし、IoTなどにより組み込みエンジニアの業界にも新しい風が入っており、今後需要はさらに伸びると考えられます。フリーランスでも常駐案件が多々見られるため、将来的には独立したいと考えている方も、組み込み系のスキルを身につけておいて損はありません。
若いエンジニアの人気がWebやスマホアプリに集中しているので、エンジニアとしての差別化戦略としても組み込み領域の選択は有効でしょう。
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レバテックキャリアのサービスについて