サーバーサイドエンジニアとは?仕事内容や資格、勉強方法などを紹介

最終更新日:2024年10月2日

Webアプリケーションの開発は、ブラウザ画面などユーザーから見える部分を開発する「フロントエンド」と、データベース処理などユーザーの目に見えない処理を開発する「サーバーサイド」に分かれています。

後者のサーバーサイドエンジニアは、その名のとおりサーバー処理に関する開発を担当するエンジニアであり、開発するアプリケーションには正確性と処理速度が求められます。また、プログラミング以外にも幅広いスキルを身につけることが必要です。

この記事では、エンジニアとしてレベルアップして担当可能な範囲の幅を広げ、サーバーサイドエンジニアを目指す方に向け、仕事内容から勉強すべき知識とスキル、役立つ資格について解説します。

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この記事のまとめ

  • サーバーサイドエンジニアは、主にWebシステムでのサーバー側の開発を担当する
  • サーバーサイドエンジニアには、PHP、Ruby、Pythonなどのプログラミング言語とデータベースを扱うスキルが求められる
  • サーバーサイドエンジニアはフロントエンドのスキルを習得することで、フルスタックなスキルセットを備えることが可能

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サーバーサイドエンジニアとは

サーバサイドエンジニアとは、WebサービスやWebアプリケーションのサーバ側で実行される処理を設計・開発・運用・保守を行う職種のことです。サーバーサイドはバックエンドとも呼ばれ、ユーザーの目に見えるフロントエンドと対になる形で利用されます。そのため、サーバーサイドエンジニアはバックエンドエンジニアと同一視されることもあります。

サーバーサイドとは

サーバーサイドは主にサーバー側の処理を指しますが、サーバーといってもデータベースサーバーやWebサーバー、アプリケーションサーバー、ファイルサーバーなどさまざまな種類が存在します。利用するサーバーの種類によっては、サーバーサイドエンジニアに求められるスキルも変わります。最も一般的なのは、Webアプリケーション開発におけるアプリケーションサーバー上の処理構築です。

近年ではオンプレミスでのサーバー構築ではなくクラウドサービスを利用するケースが増加しました。代表的なクラウドサービスであるAWSやMicrosoft Azure、Google Cloudといったクラウドサービスについての知識も必要です。

バックエンドエンジニアとの違い

サーバーサイドエンジニアと同一視される職種として、バックエンドエンジニアがあります。双方とも、ユーザーの目に触れない部分の開発を担当する職種です。ただし、サーバーサイドエンジニアとバックエンドエンジニアとでは、業務範囲に違いがあります。

バックエンドエンジニアは、主にWebサイトのサーバーやシステム開発を担当します。一方、サーバーサイドエンジニアは、より広範な領域をカバーする傾向があります。

バックエンドエンジニアとサーバーサイドエンジニアが共に存在する職場では、バックエンドエンジニアがサーバー関連の業務を中心に担当すると考えておきましょう。

サーバーエンジニアとの違い

サーバーサイドエンジニアとサーバーエンジニアの間には、「担当する領域」において明確な違いが存在します。

サーバーエンジニアは、ウェブサイトや業務システムなどを公開するためのサーバーの設計と構築、そしてその運用と保守に従事します。インフラ領域が業務の対象です。

一方で、サーバーサイドエンジニアは、既に構築されたサーバー内でシステムを開発し、新たな機能の実装やセキュリティの強化などに取り組む役割を担います。アプリケーション領域が業務の対象です。

言い換えれば、サーバーエンジニアは主にサーバー自体に焦点を当てるのに対し、サーバーサイドエンジニアはサーバー上で動くアプリケーションに注力することになります。

フロントエンドエンジニアとの違い

サーバーサイドエンジニアとフロントエンドエンジニアとの違いは、システムの担当領域にあります。フロントエンドエンジニアは、ユーザーが直接目にするWebサイトやWebアプリケーションの画面設計・操作に関する部分などを担当します。

そのため、フロントエンドエンジニアにはUI/UXに関する専門知識が欠かせません。一方、サーバーサイドエンジニアは、ユーザーの目に触れないバックエンドの処理を担当します。

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サーバーサイドエンジニアの平均年収

2024年9月17日時点で、レバテックキャリアに公開中かつ募集中の求人・転職情報より職種「サーバーサイドエンジニア」の情報を30件抽出し、年収の最低額と最高額の中間の平均値より平均年収を推定しました。これによると、サーバーサイドエンジニアの平均年収は約825.5万円です。

もちろん企業や本人のスキル・経験にも大きく左右されるので、中には1000万円以上の最大年収を提示する求人もあります。

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サーバーサイドエンジニアの仕事内容

一般的に、システム開発には要件定義、設計、開発、テスト、運用保守という工程があります。この中で、サーバーサイドエンジニアは主に設計からテストを担当することが多いです。また、Webサービスを提供する場合には、初回のリリース後にも継続的に改修や機能追加を行うため、運用保守と開発を並行して行う形態も珍しくありません。

システム開発と一言でいっても組み込み開発や業務システム開発もありますが、サーバーサイドエンジニアはWebアプリケーションの開発に従事するケースがほとんどです。代表的な機能としては、会員登録や検索、データ更新、自動メール配信機といった機能があります。

システムの設計・開発

Webシステムの開発プロジェクトやWebサービスの運営において、Webシステムの設計・開発を行います。Web画面の表示や送受信するデータに対し、どのように処理を行い、どのようなレスポンスを返すかを定めるのが設計です。

設計においては、画面表示側の処理と歩調を合わせてインタフェースを定めることが重要です。また、多くのサーバーサイド処理ではデータベースへのアクセスが発生します。

データベースに対して行う操作も設計で定める内容です。設計で定めた内容は設計書に記載し、他者が参照したり、メンテナンスの場合にも確認できるようにしておきます。

システムの開発では、設計した内容に沿ってプログラムの作成を行います。設計内容をプログラムに落とし込むコーディングスキルが必要となる工程です。作成したプログラムに対し、テストの実施を行い、設計書の通りに動作することを保証します。

システムの運用・保守

システムの運用・保守は、リリース後のWebシステムを継続的に稼働させ、利用可能な状態で提供する仕事です。

WebシステムはWebサーバー、アプリケーションサーバー、データベースサーバーなどの複数の機能が連係して稼働します。これらの仕組みが期待通りのパフォーマンスで動作していることを監視し、問題が発生した際には、問題の原因追及やシステムの復旧を図ります。

定期的なメンテナンスやセキュリティアップデートの適用など、バックアップ作業なども運用・保守業務の一部です。

データの管理

サーバーサイドではデータベースに対する処理を行うことが多く、データベースの設計やデータのメンテナンスなどもサーバーサイドエンジニアが管理するケースは少なくありません

従来はデータベースエンジニアやDBAなどの専門の担当者を置く場合が多かったのですが、データベース製品の改良などによりデータベースの取り扱いがコモディティ化し、サーバーサイドエンジニアが担当するケースが増加したと考えられます。

なお、データそのものの管理担当者については、所属組織やプロジェクトなどにより変わるためサーバーサイドエンジニア以外が担当する場合も多々あります。

不具合の修正や改善

Webシステムにおいて発生した不具合への対応も、サーバーサイドエンジニアの主な業務の一つです。不具合の影響範囲や原因の調査と現状復旧、サーバーサイドの処理に根本的な原因がある場合はその対処までを行います

また、Webシステムを提供する中で、利用者の要望やサービス提供者側の都合で機能の追加や修正などのシステムの改善が図られます。この際の、設計や開発もサーバーサイドエンジニアの業務の一つです。

セキュリティ対策

サーバーサイドエンジニアの業務のひとつに、セキュリティ対策があります。セキュリティ対策を怠ると、サイバー攻撃の標的となり、システム障害やデータ流出など深刻な被害を招く恐れがあります。

そのため、サーバーサイドの脆弱性のチェックやシステムの更新が欠かせません。さらに、既存システムの検証や改善も継続的に行う必要があります。

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サーバーサイドエンジニアの仕事に活かせる知識とスキル

サーバーサイドエンジニアが身につけるべき知識やスキルをご紹介します。プログラミング言語やWeb関連技術に関するスキルを習得することで、サーバーサイドエンジニアとしての業務に活かすことができます。

サーバーサイドエンジニアを目指す方にとって、これらの知識やスキルを身につけることは、転職活動にも大いに役立つでしょう。

プログラミング言語

Webアプリケーションを開発するためには、プログラミング言語の習得が必須です。Web開発のサーバーサイドで使用される代表的な言語には、PHPや Ruby、Python、Java、JavaScript、C#などがあります。これらすべての習得が必要というわけではなく、どの言語が必要になるかは会社や案件によって異なります。

しかし実際には1つだけの言語でなく、システムに応じて最適な言語を選択できるよう複数の言語を習得するエンジニアが多いでしょう。プログラミングの概念は多くの言語で共通するため、1つの言語を習得すればほかの言語の習得も比較的容易です。

PHP

PHPはWeb開発で広く使われる言語であり、サーバーサイドのプログラミング言語としては有名です。実行速度が速くソースコードのままサーバー上で動作することができ、軽量なプログラミング言語であることからさまざまなサービスで使用されています。難易度は比較的易しいので、これからどのプログラミング言語を学習しようか悩んでいる人にはおすすめです。

Ruby

国産のプログラミング言語であるRubyも、サーバーサイドでは広く利用されています。Rubyはコーディングのしやすさに加えてソースコードの可読性も高く、Ruby on Railsと呼ばれるフレームワークを利用することで効率的に開発を行うことができます。PHPと同様に比較的学習しやすいので、初心者でも取り掛かりやすいプログラミング言語といえるでしょう。

Python

Pythonは、データ解析やAIの開発で人気の高いプログラミング言語ですが、Webのサーバーサイドにも利用されています。AIや数学的処理に向けたライブラリが充実しており、機械学習やディープラーニングはもちろん、顧客のデータ分析にも活用が可能です。

習得するための難易度はPHPやRubyよりは高いですが、注目が集まっており需要がある言語です。プログラミングの基礎を習得している人なら案件の選択肢が広がるチャンスですので、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。

Java

Javaはオブジェクト指向を採用した汎用的なプログラミング言語です。Webのサーバーサイド開発でも利用することができ、大規模プロジェクトや信頼性の高い処理を構築する場合によく選択されます。

フレームワークやライブラリも充実しており、柔軟性の高いプログラム開発が可能です。PHPやRuby、Pythonに比べると学習難易度は高く、学習コストはかかりますが、ベーシックな言語のため習得後は、他の言語習得はスムーズになりやすいといわれています。

JavaScript

JavaScriptはWebページに動的要素を加えることのできるプログラミング言語です。元々、Web開発のフロントエンド向けに作成されました。近年では利用範囲が広がっており、Node.jsという実行環境を用いることでサーバーサイドのプログラミングにも対応しています。フロントエンドと同一の言語でサーバーサイドが開発できるため、Webシステム全体に対応できるエンジニアが増えるメリットがあります。

C#

C#はマイクロソフトが開発したプログラミング言語で、C++やJavaと同じオブジェクト指向が採用されています。文法はJavaに似ている部分もあり、C#の経験があれば少し学習するだけでJavaも扱えるようになるのが特徴です。Windows向けのアプリケーションや、マイクロソフト製品との連携した開発には向いているでしょう。

統合開発環境(IDE)のVisual Studioを使うことで、フォームやボタン、テキストボックスを張り付けながらの開発もできます。簡単で綺麗なGUIアプリケーションを作成したいプログラミング初心者にはおすすめです。

HTML/CSS

HTMLはWebページの静的要素を作る言語です。直感的に扱える言語で、ロジックなどもありません。そのため、最初に学習する言語として選ばれることが多いです。具体的には、タグというもので文字列などを囲めば画面に出力されます。

CSSは、HTMLで作った静的要素を配置、装飾する言語です。HTMLで静的要素を作ったら、それをページ内のどこに設置するか、どのような文字サイズ、カラーにするか、などを指示します。HTMLとCSSはセットなので、この2つを連動させる形で使用する場合が多いです。そのため、HTMLを学習するならCSSもセットで学習することになるでしょう。

サーバーサイドエンジニアにとっては、通信相手となるクライアントサイドで利用される言語です。クライアントサイドのアプリケーションを理解することにより、アプリケーション開発スキルを高めることに繋がります。

フレームワークを扱うスキル

Web開発では、生産性や品質の向上を目的としてフレームワークを用いて開発することが一般的です。フレームワークには開発に必要な機能が一通り揃っており、それらを活用することでイチから作ることなく効率的な開発を可能にします。

代表的なフレームワークには、Rubyの「Ruby on Rails」やPHPの「Laravel」などがあります。実際の求人には特定のフレームワーク知識が必須となっている場合もあるので、言語ごとの代表的なフレームワークは習得しておくと良いでしょう。

データベースの知識とスキル

ほとんどのWebアプリケーションでは、何らかのデータベースと連携をしています。例えば、ECサイトであれば顧客情報や商品情報などをデータベースに格納する設計が広く普及しています。

サーバーサイド開発においてはデータベースから情報を抽出したり、データベースの情報を更新したりといった処理が発生します。これらの処理を実装するには、データベースの知識とSQLと呼ばれる操作言語スキルも必須です。

Webに関する固有技術の知識

Web開発ではユーザー認証やクッキーを用いたセッション管理はもちろん、インターネット上でデータを転送するためのプロトコルなどを扱います。OSやブラウザに関する仕様、ファイル転送、表示する画像や動画など、サーバーサイドエンジニアはサーバーに限らずWebに関する固有技術の知識を身につける必要があるでしょう。

Linuxの知識とスキル

Linuxに関する知識とスキルは必ずしも必要ではありませんが、開発案件によっては求められるケースもあるでしょう。LinuxはWebサーバーに適用されることの多いOSです。

もしもLinuxの知識がまったくなければ、開発環境の構築にも困る場合があります。学習して損をすることはないので、時間に余力があれば学んでおくほうがよいでしょう。

プロトコルについての知識

Web開発ではインターネット上での画像やテキストなど、データ転送に必要な通信プロトコルを扱います。サーバーサイドエンジニアを目指すならHTTP通信などの基本的な知識や、プロトコルに関する内容も勉強しておきましょう。実際の開発現場においても、仕様の理解や障害対応といった場合に役立つことは間違いありません。

関連記事:サーバーサイドエンジニアに必要なスキルは?資格や勉強方法まで解説

論理的思考力

Webシステムやサーバーサイドに限らず、ITシステムやアプリケーションは小さな理論の積み上げで作られています。プログラムも一文ずつはコンピュータに対する命令であり、それを積み重ねて複雑な処理を実現します。

サーバーサイドエンジニアの場合も、それぞれのアプリケーションを開発する上で論理を積み上げて大きな仕組みを作っています。論理的な思考はアプリケーションやシステムの設計、構築に欠かせないスキルなのです。

フロントエンドの知識も身につけると市場価値が上がる

サーバーサイドエンジニアとフロントエンドエンジニアは業務領域を分け合い、それぞれに担当範囲があります。

しかしながら、特に小規模なプロジェクトや新興のスタートアップ企業においては、フロントエンドとサーバーサイドの両方を手がけることができる、いわゆるフルスタックな人材を求める案件が増えてきています。

今後は、両方の領域をカバーできるエンジニアとしてスキルを磨き、報酬アップを図るだけでなく、キャリアパスの一つとしても展望が開けるでしょう。

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サーバーサイドエンジニアの仕事に役立つ資格

サーバーサイドエンジニアとしてスキルを証明するには、資格を取得することが有効です。サーバーサイドエンジニアの仕事に役立つ資格は、プログラミング言語に関する資格とプログラミング言語以外のスキルの習得・証明に役立つ資格の2つの種類に分けられます。本章では、取得しておきたい言語ごとの資格や、ITに関する国家資格などについて解説します。

関連記事:サーバーサイドエンジニアの年収実態!仕事内容や転職のポイント

プログラミング言語に関する資格

プログラミング言語の資格では、特定言語のスキルレベルを証明します。すべての言語において資格制度があるわけではありませんが、多くの言語ではレベルごとに分かれた資格が用意されています。

PHP技術者認定試験

PHP技術者認定試験には初級、準上級、上級、認定ウィザードという4つのレベルがあります。初級は未経験者向けで、PHPプログラミングの基礎力を測る試験です。出題範囲は変数の操作をはじめ、配列操作や関数、データベースへの接続操作など基本的な内容です。

次の準上級、上級を取得すれば、マニュアルを参照しながらPHPプログラミングを行えるスキルを有するものとみなされます。ITSSのスキルレベルではレベル2と3に該当します。最後の認定ウィザードは当試験における、最も高位に位置付けられています。

認定審査にあたっては匿名でコードや論文を公開し、法人関係者および資格合格者が投票を実施します。多くの票を獲得し、なおかつ条件を満たした場合のみ認定されるルールです。

Oracle認定Javaプログラマ

Oracle認定Javaプログラマは、Javaの開発元であるOracle社が提供するベンダー資格です。Bronze、Silver(Associate)、Gold(Professional)の3段階にレベル分けされており、入門者から開発初級者、上級者までをカバーしています。Bronzeは日本国内のみですが、SilverとGoldは国際資格なので知名度があります。

主な対応バージョンとして、Java SE8、SE11、SE17に関する試験が提供されています。(2024年9月17日時点)

Ruby技術者認定試験

Ruby技術者認定試験は、開発者のまつもとゆきひろ氏が理事長として就任している非営利団体Ruby Associationが主催している試験です。Ruby技術者として必要な知識や能力を証明する資格で、SilverとGoldの2つのレベルで試験が実施されています。

Webサービスやアプリ開発の分野で需要がある言語ですが、ほかの言語と比較して難易度は易しいとも言われています。未経験者向けのスクールも多く、学習コストも低いのでRubyから勉強を始める初心者も多いのではないでしょうか。

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言語以外のスキルの習得・証明に役立つ資格

ITエンジニアを対象とした国家資格には、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が運営する情報処理技術者試験があります。言語スキルだけが試される試験ではなく、ソフトウェア工学やハードウェア、ネットワーク、経営戦略、法務などあらゆる領域の知識を証明するものです。

「基本情報技術者試験」と呼ばれる資格がもっとも基礎的な資格です。まずはこの資格から取得するとよいでしょう。このほかにもベンダーに依存しない外部団体による資格試験や、サーバーサイドエンジニアの利用する技術に関するベンダー試験が役立つ資格としてあげられます。

基本情報技術者試験

基本情報技術者試験はITエンジニアが理解しておきたい、基本的な知識を体系的に学べる資格で、IT業界への登竜門とも呼ばれる試験です。情報処理以外の企業経営やマネジメントの知識も出題されるので、エンジニアとしてキャリアアップを見据えた知識も身に着けられるでしょう。

合格率は令和6年は40%台を推移しており、ITSSスキルレベル2に該当します。また、令和5年からCBT方式での受験が導入され、以前よりも受験しやすくなりました。

応用情報技術者試験

応用情報技術者試験は高度なIT人材として認定するための資格で、出題範囲は基本情報技術者と同等ですが、合格するためにはより深い知識が必要となります。令和6年度春期試験の合格率は23.6%の難関資格であり、基本情報技術者試験の上位試験(ITSSスキルレベル3)に位置付けられています。基本情報技術者試験の合格者が、さらにステップアップを目指して受験するケースも多いようです。

システムアーキテクト試験

システムアーキテクト試験は企業における情報システム戦略を理解し、業務モデル全体を検討できる能力が問われる試験です。システムアーキテクトは「ITシステムの設計者」という意味で、システム化の対象となる業務内容の分析、要件定義や基本設計など設計の基礎を作れる人材を目標とします。

またシステムエンジニアが詳細設計する際に、設計のルール作りなども行っています。最難関資格である高度区分試験(ITSSスキルレベル4)のひとつであり、合格率は直近の令和6年春期で15.0%とかなりの狭き門です。

Linux技術者認定試験(LPIC)

LPICはサーバーOSとしてよく利用されるLinuxについての知識やスキルを示すことのできる資格試験です。Linuxをはじめとするオープンソース技術者の支援を行うNPO団体Linux Professional Instituteによって運営されており、世界的に知名度があります。

LPIC-1からLPIC-3までの三つのグレードがあり、さらにLPIC-3には専門領域によってMixed Environments、Security、Virtualization and Containerization、High Availability and Storage Clustersの4つのカテゴリが用意されています。

サーバーサイドエンジニアにとっては、Webサーバーとしてよく利用されるLinuxに関する知見を示せる資格となります。

AWS認定

AWS認定は、クラウドサービスAWSに関する技術スキルと専門知識を認定する資格試験です。AWSの提供元Amazonによって提供されており、クラウドサービスとしてのシェアが高いことから、サーバーサイドエンジニアにとっても有用なスキルと知識が示せます。

FOUNDATIONAL、ASSOCIATE、PROFESSIONAL、SPECIALTYの4つのグレードがあり、エンジニアのロールごとにさらに複数の試験に分割して提供されています。サーバーサイドエンジニアの場合には、AWS Certified Developer - AssociateAWS Certified DevOps Engineer - Professionalが特に業務と関連深いためおすすめです。

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サーバーサイドエンジニアのスキル取得に効率的な勉強方法

サーバーサイドエンジニアはプログラム言語にとどまらず、データベースやサーバーOS、フロントエンドなど必要な学習は多岐にわたります。これらを効率的に学習するために「スクール」「学習サイト」「書籍」「セミナーやテックイベント」を包括的に活用しましょう。本章では、サーバーサイドエンジニアのスキル取得に役立つ効率的な勉強方法を紹介します。

スクール

スクールではカリキュラムに沿った学習だけでなく、講師が疑問点に答えてくれるなどの厚いサポートも特徴です。言語によっては資格取得までをサポートしているスクールもあるでしょう。

コストはかかりますがプログラミング未経験者や初心者にとって、効率的に知識とスキルを習得できるでしょう。

学習サイト

最近では動画やオンライン授業など、気軽に始められるプログラミング学習サイトも人気を集めています。サポート面ではスクールと比べて劣る部分もありますが、学習コストを抑えて勉強できるという大きなメリットがあります。

学習ロードマップがすでに用意されていることが多く、体系的に受講しながらポートフォリオを作成することも可能です。

書籍

プログラミングに関する書籍は多数販売されているので、学習コストを最小に抑えられます。ただし完全に独学となるため、プログラミング初心者にとってはハードルが高い方法です。スクールや学習サイトを併用しながら、必要に応じて知識を補填すると良いでしょう。

セミナーやテックイベント

セミナーやテックイベント、勉強会などを通じてスキルの取得を目指す方法もあります。同じサーバーサイドの技術を学ぶ仲間を見つけ、刺激を受けながら学習することで学習モチベーションの維持がしやすくなるメリットがあります。

また、独学で起こりがちな技術的な問題での学習の行き詰まりを他者のアドバイスにより解決できるメリットも見込めます。セミナーやテックイベント、勉強会などの開催については、情報を集めたサイトなどを利用して参加しやすいイベントを探してみてください。一例として、下記のサイトなどがあげられます。

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未経験からサーバーサイドエンジニアへ転職するための勉強のコツ

未経験からWebアプリケーション開発で求められるサーバーサイドエンジニアへ転職するために、必要なスキルや勉強方法について解説します。

Webアプリケーションの学習においては、最も簡単なHTML/CSSから学習し、その後にフロントエンドとサーバーサイドの領域を並行して学習することがスタンダードです。サーバーサイドだけではWebアプリケーションは構築できないため、フロントエンドについての学習も発生する点には注意ください。

フロントエンドの基礎を身につける

フロントエンドはサーバーサイドとは対照的に、ユーザーが直接見る画面のデザインやWebページの構成を担当します。Webアプリケーションの開発スキルだけでなく、フロントエンドの開発スキルを身に付けることで、サーバーからフロント側にデータを受け渡す処理も作成できます。

フロントエンド言語にもいくつかの種類がありますが、HTML、CSS、JavaScriptはWebページの構成では必須なので、基礎だけでも覚えておきましょう

ユーザー認証について学ぶ

ログインなどのユーザー認証機能は多くのWebサービスに搭載されており、Webサイトの構成を考える際に最初に利用する画面となる場合が多いです。ユーザー認証による利用制限は、セキュリティ確保のために重要な考え方であり、このためサーバーサイドエンジニアには、ユーザー認証機能に対して深い理解が必要です。単に作れるだけでは不十分で、深く理解したうえでセキュリティを意識した設計スキルが求められます

セッション管理について学ぶ

セッション管理とは、クライアントとサーバーの間で通信を行う際に、通信相手を特定し状態を把握するために利用される機能です。Webアプリケーション上では、一度ログインした情報の引継ぎを行うために、多くのWebアプリケーションで利用しています。

Webアプリケーションのセキュリティ強化のためにも理解は必須です。

プロトコルについて学ぶ

プロトコルとは、コンピューター同士が通信する際の手順や規格です。クライアントとサーバーが通信を行う際にも通信プロトコルを扱うことになります。そのため、サーバーエンジニアはプロトコルについて学習する必要があります。

アプリ開発を実際に行う

アプリケーション開発を実際に行うことをおすすめする理由は、システム開発の手法や工程といった全体が理解できるためです。自分で構築したサーバーが正しく動作するかの確認や、サーバーサイドの処理を通じてフロント側の仕組みを理解することにもつながります。

サーバーサイドエンジニアとして開発の実務を経験すると、フロントとサーバー両方を理解できるようになり、開発現場で重宝される人材になることは間違いありません。

資格取得を目指して勉強する

IT資格の取得を目指して勉強することは、知識やスキルの保有を客観的に証明することに繋がります。就職や転職、フリーランスの案件獲得にも役立つので、サーバーサイドエンジニアを目指す初心者の方はチャレンジしてみてはいかがでしょうか。特に独学の場合はモチベーションを維持するために、資格取得を目標に学習してもよいかもしれません。

関連記事:未経験からサーバーサイドエンジニアに転職する方法

レバテックキャリアアドバイザー 原から一言!

他職種からサーバーサイド(バックエンド)エンジニアに転向するケースも一定存在します。ただし、別の領域から転向する場合、自己研鑽がほぼ必須です。業界の親和性が高かったり、似たようなプログラミング言語を使用できたりする場合はそれほど難しくないでしょう。

例えば、インフラエンジニアからサーバーサイドエンジニアへと転向したいという場合、大手SIerなどでまずはインフラ系の案件に参画しつつ、社内の研修制度を利用してサーバーサイドの言語の技術を習得し、ゆくゆくはサーバーサイドの案件にチャレンジする…といったキャリアも考えられるでしょう。

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サーバーサイドエンジニアの求人傾向

本章では、レバテックキャリアの求人・転職情報をもとに、サーバーサイドエンジニアの求人傾向について解説します。今回紹介するサーバーサイドエンジニアの求人情報例は、「Webシステム、スマホアプリ、自社プロダクト開発」と「ECサイト、CMS設計・開発など」の2件です。これらの求人情報を今後のキャリア選択の参考にご活用ください。

Webシステム、スマホアプリ、自社プロダクト開発

Webシステムやスマートフォンアプリの開発においては、JavaやPHP、Rubyなどのプログラミング言語が幅広く活用されています。

特に、LaravelやCakePHP、Ruby on Railsといったフレームワークを駆使して、ゼロからWebシステムを構築するスキルが非常に重要視されるポイントとなっています。

【業務内容】
PHP(CakePHP、Laravel)、Ruby(Ruby on Rails)を活用してシステム開発を行っています。
同社では、Webシステムやスマートフォンアプリ、自社プロダクトの開発を行っています。「客先に常駐をしない」「上流工程から関わる」を徹底しているため、全エンジニアは社内で日常的に、相談やコミュニケーションを取りながらシステム開発を進めます。

【求められるスキル・経験】
・Java、PHP、Ruby
・PHP、Ruby以外での業務経験(3年以上)
・コミュニケーションを通した信頼関係構築に喜びを感じられる方
・プログラミングスクールやProgateなどを活用して独学で勉強完了後、0からLaravel/CakePHPやRuby on Railsといったフレームワークを利用してWebシステムを作りきったことがある方

【想定年収】
380~600万円

【勤務地】
福岡県

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ECサイト、CMS設計・開発など

ECとはElectric Commerceの略で、ECサイトといった場合にはWeb上の通信販売システムを意味します。

「CMS」とは、「Contents Management System」の略称であり、Webサイトの構成要素であるテキスト、画像、デザイン・レイアウト情報などを一元的に保存・管理するシステムを指します。

ECサイト、CMSシステムはユーザーがコンテンツを差し替えることができるWeb上の仕組みであり、設計・構築する際には、データベースの周辺知識などのサーバーサイドのスキルと共に、Webデザインなどのフロントエンドに関する知識も不可欠です。

【業務内容】
小売業界(ドラッグストアやコンビニエンスストアなど)のエンドユーザー向けアプリ・サービス開発を行うチームのリーダーをお任せいたします。
本ポジションは、ユーザー数の多い小売業界のアプリを支えるセキュリティを意識したシステムインフラの設計・構築・運用・改善の業務がミッションです。

【求められるスキル・経験】
・Java、Go、Python、SwiftKotlin、TypeScript、React、Vue.jsAWS、GCP、Azure、Docker、SnowflakeTerraform、GitHubActions
・GitHubを利用したプロジェクトでのチーム開発経験1年以上
・Webアプリケーションの開発経験1年以上
・パブリッククラウド(AWSやGCP)での設計/運用経験1年以上

【想定年収】
408~1,000万円

【勤務地】
東京

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サーバーサイドエンジニアに関するよくある質問

サーバーサイドエンジニアへの転職を考えている方からよくあるご質問とその回答を紹介します。サーバーサイドエンジニアに関するよくある質問では、仕事内容やサーバーエンジニアとの違い、サーバーサイドプログラムの意味、サーバーサイドエンジニアの平均年収についてがよくあがります。自分自身が疑問に思っていることに近い内容があれば、ぜひ参考にしてみてください。

Q1. サーバーサイドエンジニアは何をする職種ですか?

「サーバーサイドエンジニア」とはその名の通り、Webシステムのサーバーサイド開発を専門とするエンジニアのことを指します。

システム開発のプロセスにおいて、サーバーサイドエンジニアは主に設計段階からテストまでの範囲を担当します。

Q2. サーバーサイドエンジニアとサーバーエンジニアの違いは何ですか?

サーバーエンジニアとは、サーバーの設計・構築・運用・保守を担当するインフラエンジニアの一種です。一方で、サーバーサイドエンジニアは、既に構築されたサーバー内で動作するシステムを開発し、新規機能の追加やセキュリティの強化などに取り組みます。

Q3. サーバーサイドプログラムとは何ですか?

サーバーサイドプログラムはサーバーで動くプログラムのことです。例えば、Webサービスやデータベースマネジメントシステムなどがあります。

これらのプログラムは、クライアントからの要求を受け取り、データの処理や保管、リソースの管理などを行います。

Q4. サーバーサイドエンジニアの平均年収を教えてください

レバテックキャリアにて2024年9月17日時点で公開中の求人・転職情報より職種「サーバーサイドエンジニア」の情報から平均年収を推定することができます。該当の情報より30件を抽出し、年収の最低額と最高額の中間の平均値から算出すると、サーバーサイドエンジニアの平均年収は約825.5万円です。

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まとめ

サーバーサイドエンジニアとは、主にWebシステムでのサーバー側の開発を担当するエンジニアです。サーバーの処理で必要なプログラム開発や、運用保守を行うのが主な仕事です。

サーバーサイドエンジニアには、PHP、Ruby、Pythonなどのプログラミング言語の知識やデータベースを扱うためのスキルを必要とします。

サーバーサイドエンジニアがフロントエンドのスキルを習得することで、フルスタックエンジニアのような多岐にわたるスキルセットを備えることが可能となります。これにより、自身の市場価値を一層向上させることができます。

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この記事の監修

レバテックキャリアアドバイザー 原プロフィールはこちら

大学卒業後、大手素材メーカーの情報システム部門の社内SEとして業務に従事。
Javaをメインに要件定義から一貫して経験し、Salesforce導入プロジェクトやDX推進プロジェクトにも参画。
その後、レバレジーズに入社し、現在は、キャリアアドバイザーのリーダーとして11名のメンバーのマネジメントに従事しながら、自身もプレイヤーとして活動している。
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