- ITコンサルタントは激務?残業の実態
- ITコンサルタントは「やめとけ」といわれる理由
- ITコンサルタントの仕事の種類
- ITコンサルタントになるメリット
- ITコンサルタントに向いている人
- ITコンサルタントに転職する際に気をつけるポイント
- ITコンサルタントに関するよくある質問
- まとめ
ITコンサルタントは激務?残業の実態
ITコンサルタントは残業時間が多いイメージを持たれがちです。実態については、激務のため残業が多くなってしまっているのはたしかです。激務な理由には、ITコンサルタントの業務範囲の広さやタスクが膨大といった仕事内容の特徴が関係しています。
たとえば、打ち合わせに必要な情報を精査しながら集めたり資料を作ったりするのは時間がかかる作業です。また、打ち合わせ自体が長時間に及ぶケースもあります。複数の企業を同時に担当する場合には、必然的にタスクが増え、マルチに業務を進めていかなくてはいけません。
さらに、顧客から厳しい要望を受けたりトラブルが発生したりすれば、激務と感じる場合もあるでしょう。トラブルが多ければ多いほど、残業や時間外労働も増えやすいです。やるべき作業にどれだけの時間がかかるかは、もちろん本人の能力にもよりますが、いくつもの要因によってITコンサルタントの残業が多くなり、激務につながっています。
ITコンサルタントは残業時間が長くなりがちな職業とはいえ、働き方に関する良い兆しが見られます。政府が推進する「働き方改革」の影響などから、数年前と比較すると残業時間は短くなりつつあるようです。
残業代に対する変化
最近では、ITコンサルタントの残業代の扱い方に変化が見られます。一般的にはITコンサルタントの場合、年俸制を導入している企業が多い傾向にあり、実力・成果主義の世界となっています。
年俸制であっても基本的に残業代は別途支払われます。しかし、「1ヶ月につき40時間の時間外手当を含む」といった形で一定時間分の残業代が年俸に含まれている場合もあります。
一方で、残業代の扱いについて、「みなし残業」としない企業もあります。法定労働時間を超えた場合は、その時間に応じて支払う給与体系をとるコンサルティングファームも増えてきているようです。みなし残業の制度は、長時間労働の慢性化や上限を超過した場合の未払いが懸念されます。そのため、残業した分だけ正当にもらいたいという人も少なくありません。
ITコンサルタントに限らず、社会全体の動向として労働時間に応じた給料の支給が期待できる環境に改善されてきています。
ITコンサルタントは「やめとけ」といわれる理由
ITコンサルタントは「やめとけ」といわれるようにネガティブな印象が持たれやすい職種です。しかし、その理由は過去のほかの職種に起因するものや、単なるイメージにしか過ぎない場合もあります。また、残業が発生するケースはITコンサルタントに限った話ではないため、自分の目指す軸を明確にした上で職種について俯瞰してみると良いでしょう。
ITコンサルタントが「やめとけ」といわれる理由について、一般的に考えられる理由を以下で解説します。
以前の肉体労働イメージの名残
ITコンサルタントと激務時代のシステムエンジニアのイメージが現在に至っても混同されているようです。
以前は、ITコンサルタントが担当する業務をすべてシステムエンジニアが行っていた時期がありました。そのため、その頃はシステムエンジニアは納期を守るため残業が当たり前となり肉体労働のような激務が続いていました。
その後のIT技術の進歩に伴い、ITコンサルタントが新たな職種として誕生し、システムエンジニアが担っていた業務の一部を担当するようになりました。
このような背景から、今もなおITコンサルタントは残業が多く、激務であるといったネガティブなイメージを持たれがちです。
常に最新の技術を勉強しなければならない
IT業界の動向は変化が早く、最新技術やトレンドに適応できなければ活躍し続けるのは難しいでしょう。ITコンサルタントとして企業の課題解決のために最適な提案をするには、業界動向を注視し、向上心を持ってスキルをアップデートし続けなければいけません。
クライアントに振り回されがち
ITコンサルタントはクライアントの経営課題に寄り添い、課題解決のために最善を尽くします。しかし、順調なときもあればクライアントから無理な要求を受ける場合もあるでしょう。また、意見の相違により方針の擦り合わせが思うようにいかない場合も考えられます。
とはいえ、ITコンサルタントはクライアントの要望に応えつつも問題解決への打診をする必要があります。そのため、折衝のあらゆる場面においてクライアントの意図を理解し最善策へ導くための提案力やコミュニケーション能力が重要です。
ITコンサルタントの仕事の種類
ITコンサルタントの業務範囲は非常に広いため、具体的な仕事内容が分かりづらいと感じる方もいるでしょう。ITコンサルタントの仕事内容は事業の得意分野や提供するサービスによって分けられる場合があります。そのため、転職を考える場合は自分が携わりたい分野について、ある程度希望を固めておくと良いでしょう。
ここでは、ITコンサルタントの仕事のうち主な4種類を紹介します。
IT戦略コンサルタント
戦略コンサルタントとは、企業の経営幹部が抱えるさまざまな経営課題の解決を行う仕事です。
事業計画や新規事業立案などについても相談を受け、提案を行います。
IT戦略コンサルタントはITを問題解決のツールとし、経営戦略に基づいたIT戦略推進と計画の策定を支援していきます。
ITシステムの面だけではなく、経営全体を俯瞰して顧客企業の経営課題の解決をサポートしていく立場です。ITの専門家の顔を持ちながら、一方で経営に一番近いところで企業の改革・変革に関われるのがこの仕事の面白さです。
パッケージ導入コンサルタント (ERP、CRM)
パッケージ導入コンサルタントとは、企業がERP(Enterprise Resource Planning)やCRM(Customer Relationship Management)といったソフトウェアパッケージを導入する際のサポートをします。企業の業務内容や技術的な面について調査しスムーズな導入を支援する仕事です。
ERPとは、企業経営の根幹となる資源「人・モノ・金・情報」の流れを適切に管理するためのパッケージシステムです。
また、CRMとは顧客データ管理システムを指し、顧客情報や販売履歴のデータを記録し、顧客との良好な関係を維持することを目的としています。
扱っている商品の種類やターゲットなど企業の事業内容もさまざまです。そのような多種多様な業態に合わせてシステムをカスタマイズするのもパッケージ導入コンサルタントの主要な役割です。
情報セキュリティコンサルタント
情報セキュリティコンサルタントとは、企業の情報セキュリティに関する課題を解決する職業です。
現代の高度情報化社会では、個人情報漏洩やサイバー攻撃、データの破損・改ざんなど多くの情報セキュリティ上のリスクが存在します。情報漏洩などが発生すると社会的信用の失墜につながり、事業存続にも関わりかねません。そのため、どの企業でも情報セキュリティリスクへの対策は不可欠です。
セキュリティコンサルタントはクライアント企業の経営戦略を理解した上で、ITスキルやセキュリティの知識を最大限に活かし最適な提案を行う必要があります。
デジタルコンサルタント
デジタルコンサルタントはITにおける先端技術を駆使し、経営課題や業務改善のための提案、新規事業創出の支援をします。
IT戦略コンサルタントと仕事内容が似ていますが、デジタルコンサルタントは「企業のDX化推進」を念頭においているのが特徴です。たとえば、「既存業務のコストを削減したい」「在宅ワークを導入して働き方を選択できるようにしたい」といった企業の課題を最先端のデジタル技術によって解決します。
企業のDX化がますます加速する中で、デジタルコンサルタントが求められる場も増えてきています。
関連記事:ITコンサルタントとは?仕事内容や必要なスキル・年収を紹介
ITコンサルタントになるメリット
ITコンサルタントは「残業が多い」「やめとけ」という人もいますが、転職先候補として興味を持っている人も少なくありません。また、エンジニアからのキャリアアップを考えるのであれば、ITコンサルタントのような高度なスキルを必要とする職種を目指すのは当然ともいえます。簡単な仕事ではありませんがITコンサルタントになれば、以下のようなメリットが得られます。
高年収である
ITコンサルタントになると高年収が期待できます。ただし、その分仕事の責任が重く、残業が必要になったりスキルの向上のために勉強し続けたりするためストイックさが求められます。
厚生労働省の職業情報提供サイト「jop tag」を見ると、ITコンサルタントの年収は令和4年時点で660.4万円と高い水準です。ほかのエンジニア職と比べてもITコンサルタントの年収は高く、高収入を得たい人にとっては魅力的に感じる点でしょう。
ITコンサルタントは、残業が発生したり過密なスケジュールの中でさまざまなタスクをこなしたりとハードな仕事ではありますが、実力に応じた対価を得られる職種です。ほかの職種ではなかなか得られない高年収を目指せる点は大きなメリットといえます。
関連記事:ITコンサルタントの年収が高い理由や転職活動のポイントを徹底解説
やりがいがある
ITコンサルタントは、企業の経営課題を解決するのが仕事です。担当する企業が自分の提案によって改善されていく過程を確認できるため、やりがいを感じやすいでしょう。また、企業に寄り添い良好な関係を築いていく中で頼りにされる存在となれれば、モチベーションにもつながり大きな達成感を感じられます。
仕事を長く続けていく上でやりがいやモチベーションといった要素は大切です。その点においてITコンサルタントは得るところの多い職種といえるでしょう。
市場価値が高い
ITコンサルティング市場は年々拡大しており、ITコンサルタントの需要も高まる一方です。また、ITコンサルタントのような高スキルと適応性に富んだ人材はどのような企業からも高く評価されるでしょう。
ITコンサルタントとしての実績があれば、その後のキャリアパスも豊富でほかの職種に転職するのも難しくないでしょう。さらに企業と密接に関わる職種でもあるため、能力が高ければ直接スカウトされる可能性も十分に考えられます。それだけITコンサルタントは市場価値が高くハイスペックな職種です。
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ITコンサルタントからの転職|転職先例や面接のポイント
ITコンサルタントに向いている人
どのような職業にも適性がありますが、ITコンサルタントも例外ではありません。技術的なスキルや知見があるだけでは向いているとはいえず、あらゆる局面で幅広いスキルが求められます。
では、ITコンサルタントとはどのような人に向いているのでしょうか。以下で解説していきます。
コミュニケーション能力が高い
ITコンサルタントには、企業の問題解決や経営戦略を成功に導くためにコミュニケーション力が要求されます。
ここでいうコミュニケーション力とは、社内チームやクライアントと良好な関係を築き維持するスキルのことです。いくらITコンサルタントが頭脳明晰で知識があっても、チームメンバーの協力やクライアントの理解が得られなければ目的の達成はおぼつきません。
具体的には、数千万円もするシステムの導入をクライアントに提案して承認をもらったり、現場のオペレータにヒアリングして、現状の業務の問題点を洗い出したりなどコミュニケーションを必要とする場面が仕事の多くを占めています。
確かな信頼関係を築くには単に情報のやり取りだけではなく、相手の気持ちを汲み取るスキルが必要です。相手に対する関心を常に持ち、表情や仕草から感情を読み取る察知能力も大切です。
ITに関する知識が豊富で向上心が強い
ITコンサルタントの問題解決力の主軸となるのは、基礎であるITに関する知識です。ITコンサルタントにはシステム開発の全般的な知識が求められます。システム開発についての知識を身につけるにはシステムエンジニアとして開発に携わるのが一番良いでしょう。
IT知識と一言でいってもその範囲は非常に広く、クライアントの業種によっても必要とされるスキルは違います。基礎を身につけたあとも継続して勉強し専門性を深めていかなければいけません。
そのため、ITコンサルタントには知的好奇心が強く、向上心がある人が向いているといえます。
体力、気力がある
ITコンサルタントは企業の問題解決を行うため、対応するタスクが非常に多くハードな仕事ともいわれます。残業になる場合もあり激務に耐えられるだけの体力や気力が必要になります。
多くの案件を抱えながら、それぞれのクライアントには質の高いアウトプットを提供するため、仕事量が膨大になりがちです。それゆえ、ITコンサルタントには精神的な強さや仕事をこなす十分な体力がある人が向いています。
論理的思考ができる
ITコンサルタントには論理的な思考も欠かせません。企業の現状から問題点を分析し解決への施策を導き出すのがITコンサルタントです。因果関係を正確に捉え、適切な打開策を見つけられるロジカルな思考を持っているのが望ましいといえます。また、論理的思考ができれば、コミュニケーションの場でも分かりやすい会話の組み立て方ができ企業への提案力にもつながります。
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ITコンサルタントになるには?役立つ資格や向いている人の特徴とは
ITコンサルタントに必要なスキル
ITコンサルタントに転職する際に気をつけるポイント
残業や激務といったイメージはあるものの、強い意志を持ってITコンサルタントへの転職を目指す方も多くいます。ハードな労働環境を覚悟しているとしても、なるべく条件が良く、かつ自分に合った転職先を見つけるのが理想でしょう。ITコンサルタントに転職する際は、以下の2つのポイントに注意すると良いです。
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1.事前の企業研究を念入りに行う
2.健康経営優良法人かどうかを確認する
企業研究は面接対策においても非常に重要です。自分に向いているかどうかや理想のキャリアパスが描けるかなど、転職前によく検討しましょう。企業に興味があることをアピールするためにも事前の下調べは必須といえます。
また、「健康経営優良法人」に認定されている企業かどうかを確認するのもポイントです。経済産業省が認定する「健康経営優良法人」は健康経営に取り組んでいる企業を見える化し、社会的に評価するものです。転職先企業が認定されていれば、よりホワイトな労働環境が期待しやすいでしょう。
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ITコンサルタントに関するよくある質問
ITコンサルタントは激務といわれるために転職を迷う人は多いです。残業が多い職種は避けたいと思う人もいる一方、高年収ややりがいを求めてITコンサルタントを目指す人もいます。そのようなさまざまな考えがある中で多くの質問も日々寄せられています。
ここでは、ITコンサルタントに関するよくある質問に回答します。
Q1.ITコンサルタントの平均残業時間はどのくらいですか?
企業や担当する仕事内容にもよりますが、ITコンサルタントの残業は月30時間前後である場合が多いです。「やめとけ」といわれるように、ほかの職種と比べても残業時間が多い傾向が見られますが、その分ITコンサルタントは年収ややりがいといった点におけるメリットが大きいです。
Q2.ITコンサルタントの残業が多い理由を教えてください
ITコンサルタントの残業が多い要因として、「クライアントからの要求レベルが高い」「複数のプロジェクトを並行して担当している」「納期が短い」などが挙げられます。このような背景や業務領域の広さから激務といわれる職種イメージにもつながっています。
まとめ
この記事では残業が多いといわれているITコンサルタントの業務について紹介しました。確かにITコンサルタントは残業が多くなりがちで激務といわれるハードな職種です。とはいえ、ITコンサルタントになれば高年収が期待できる点や仕事にやりがいを感じられる点、ほかの職種への転職の際に有利となる点は大きなメリットといえます。
また、「働き方改革」などによって労働環境や残業時間は改善されつつあるため、今後は従来よりも働きやすい職種になっていくと考えられます。ITコンサルタントは市場価値も高くハイレベルな能力が求められますが、自分が向いていると思うのであれば、ぜひ目指してみてはいかがでしょうか。
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