- 組み込みエンジニアが人材不足である4つの理由
- 組み込みエンジニアに転職するメリット
- 組み込みエンジニアに向いてる人、不向きな人
- 組み込みエンジニアへの転職で求められるスキル・経験
- 組み込みエンジニアに関するよくある質問
- まとめ
組み込みエンジニアが人材不足である4つの理由
組み込みエンジニアが人材不足である理由として、必要な知識・スキルの習得が難しいなどの理由が挙げられます。
組み込みエンジニアは製品を実際に動かすシステムを組み込むソフトウェアを開発するため、ソフトウェアだけでなくハードウェアの知識も必要など、ほかのエンジニアとは違う領域のスキルも求められるからです。
そのほかの理由も含めて、以下では4つの人材不足の要因を説明します。
1.知識・スキルの習得難易度が高い
組み込みエンジニアには、一般的なIT業界のエンジニアとは一線を画した知識・スキルが求められます。たとえば、「RTOS(タスク処理のリアルタイム性に特化したOS)を扱うスキル」や「電子回路の知識」などです。
組み込みエンジニアの多くは、組み込み対象となるハードウェアの回路図面をもとに仕様を理解し、ソフトウェアの仕様を確定させていきます。このとき、必ずしもハードウェアの仕様書や設計書が完成しているとは限りません。
設計書や仕様書の不足分を補完しながら開発を進めるためには、電子回路をはじめとしたハードウェアの知識が必須といえるでしょう。ハードウェアの理解には理系の素養・下地が必須であり、参入のハードルが高くなる一因となっています。
2.C言語、アセンブリ言語など比較的古い言語が使われている
組み込みの分野では、近年人気を集めている「軽量言語(Python、Rubyなど)」がハードウェア操作に長けていないことから、組み込み開発では使用する機会が少ないのが現状です。主流となるのは、「C言語」や「アセンブリ言語」で、これらはハードウェアの操作に適しており、組み込みの分野で広く使用されています。
未経験者がプログラミングを学ぶとき、文法がシンプルなどの理由から学習難易度が低いと言われている軽量言語を選ぶ傾向にあるため、組み込みエンジニアが不足する一因と考えられています。
3.納期のスケジュールが厳しい場合がある
組み込みエンジニアにとって、クライアントからの納期は絶対です。突然の仕様変更や、開発中に起こるバグの修正も含めて納期に間に合うようにしなければなりません。厳しいスケジュールの中で間に合わせるために、残業時間が増えてしまうこともあります。
このようなことから「組み込みエンジニアはやめとけ」「組み込みエンジニアはきつい」といわれ、組み込みエンジニアになりたいと思う人材が減っていることも理由の一つです。
4.純粋な需要増
組み込みエンジニアは、家電製品や業務用機器といった既存分野に加え、IoT機器の分野からも注目されています。IoTエンジニアは組み込みエンジニアとしての経験・スキルがあるかどうかを重視される傾向にあるからです。
IoTとは「Internet of Things(モノのインターネット)」の略称で、モノをインターネットを通じてつなぐということです。具体的にはデバイスを介して自身の健康状態を計測したり、遠隔操作で施錠したりできるのはIoTの推進によるものです。こうした製品の需要が増えているため、組み込みエンジニアの需要も拡大しているといえるでしょう。
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組み込みエンジニアに転職するメリット
組み込みエンジニアへの転職を考える際にどのようなメリットがあるのでしょうか。組み込みエンジニアは「きつい」「つまらない」といったイメージが持たれがちですが、もちろんメリットもあります。人材不足が嘆かれていますが、裏を返せば需要が高く、転職しやすいといえるでしょう。
以下では、組み込みエンジニアに転職するメリットを4つ紹介します。
IoT推進により将来性は明るい
組み込み系システムは古く、高齢化が進んでいるというイメージが強いでしょう。これは間違いではありません。しかし、IoTの推進により、かつての組み込み系業界とは事情が変わってきています。近年のIoT推進の流れにより、多くの分野でデジタル化が進み、特に自動車業界や医療業界でAI技術やネットワーク機能を搭載した製品が次々と開発されています。
組み込み系エンジニアにとってはIoTがカギになるので、組み込み系エンジニアを目指すなら可能な限りIoTに携われる企業を狙うのがおすすめです。いきなりIoTに携わるのが難しい場合、最終的にはIoTに携わることを狙ってキャリアアップしていくのがおすすめです。
大手メーカーへ就職・転職できる可能性が広がる
組み込み系に関する事業を展開しているベンチャー企業は少数派で、大手企業が開発に力を入れています。組み込み系システムは、Webサービスやスマホアプリのようにシステムの開発だけをすれば良いのではありません。
システムのほか、インターネットに接続する物理的な製品の開発が必須です。機器を大規模生産するだけの資金力や設備が必要になるので、少ない資本で参入するのが難しく、大手企業でないと開発が難しいという事情があります。そのため、組み込み系のスキルがあれば大手メーカーへ就職・転職できる可能性が広がります。
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人材不足で需要が高いため競争倍率が低い
組み込みエンジニアには専門的で高度な知識が必要になります。使用するプログラミング言語は、C言語やアセンブリといった、比較的古く学習難易度が高めの言語です。そのため、積極的に組み込みエンジニアとしてのスキルを積もうという方が、ほかの分野のエンジニアに比べると少ないのが現状です。
しかし、こうした状況にも関わらず、組み込みエンジニアが手掛ける仕事は家電や業務機器など、人々の生活になくてはならないものであることから、一定以上のニーズが常に存在しています。また、今後IoTの分野が発展していくにつれて、さらにニーズが高まることになるでしょう。
こうした背景から、組み込みエンジニアの求人は競争倍率が低く、しっかりと準備をしていれば比較的転職が実現しやすいと考えられます。
キャリアパスが豊富
組み込みエンジニアにはさまざまなキャリアパスがあります。
組み込みエンジニアはC言語などのプログラミング言語に加え、ソフトウェア関連やハードウェア関連の知識などさまざまなスキルが必要です。それだけの知識を持ち合わせていれば、組み込みエンジニア以外の他ITエンジニアにキャリアチェンジすることも可能です。例えば、Webエンジニアやソフトウェアエンジニア、アプリケーションエンジニアなどを目指せます。
また、組み込みエンジニアとしての実務経験を積んでいくことで、プロジェクトマネージャーやシステムアーキテクトなどのキャリアアップも見込めるでしょう。
組み込みエンジニアに向いてる人、不向きな人
組み込みエンジニアへの転職を検討するにあたって、自身に適性があるのかを知っておくことはとても重要です。転職してから「この仕事向いていないかもしれない」と思ってしまわないように、しっかり確認しておきましょう。
ここからは、組み込みエンジニアになるにあたって向いている人の特徴、不向きな人の特徴について紹介します。
「ものづくりが好きな人」は適性がある
プログラミングはものづくりと言われますが、組み込みエンジニアはITエンジニアの中でも特にものづくりの要素が強いです。多くのプログラミング環境では、プログラムを書いてもWebやスマホ上でアプリケーションが動いたり、業務用システムでも専用の端末上で処理が動くだけです。
結局のところ画面上で動くだけなので、物理的なものづくりとは少し異なるといえるでしょう。しかし、組み込みシステムならプログラミングしたものが実際にものとして動きます。そのため、自分が書いたプログラムが実際にものを物理的に動かす面白さがあります。
このような理由から、ものづくりが好きな人は組み込みエンジニアに向いているといえるでしょう。
新しい技術でないとつまらないと感じる人は不向き
組み込みエンジニアはものづくりの楽しさを経験できますが、どのような製品でも開発できるわけではありません。所属している企業が扱っている製品に限られますし、さらに一人のエンジニアが担当する製品はより限定されます。
一つの製品に対する組み込みプログラミングでもプロジェクト内で役割分担があるので、全体を経験できるわけではありません。まとめると「特定の製品」の「特定のパーツ」のプログラミングを繰り返す可能性が高いということです。
スキルアップには役立ちますが、しばらく経験を積むと真新しいことはなくなってくるでしょう。結果的に飽きてしまう可能性はあります。
そのため、最新の技術にどんどん触れたい、活用したい方にはつまらないと感じてしまうかもしれません。
組み込みエンジニアへの転職で求められるスキル・経験
組み込みエンジニアへ転職する際に、求められるスキルや経験を知っておくことは、転職活動を円滑に進めるために非常に重要です。企業側がどのような人材、スキルを求めているか、組み込みエンジニアにはどのようなスキルが必要かを押さえておきましょう。
以下では、エンジニア経験者の場合と未経験者の場合に分けて解説します。
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組み込みエンジニアの転職で評価されるスキル・経験とは
エンジニア経験者の場合
エンジニア経験者の場合、一般的なシステムエンジニアとしての開発経験はもちろん評価の対象となります。組み込みエンジニアとしてのスキル・経験も持っていれば、なお評価は高まることでしょう。
以下の経験があるならば、積極的にアピールしていきましょう。また、持っていない場合でも、独学で勉強したり、身につける意欲があることを見せましょう。
基本設計からデバッグまでの一連の開発経験
組み込みエンジニアといっても、開発プロセスの多くは一般的なシステムエンジニアと共通する部分が多くなります。こうした一連のスキルを持っていれば、組み込みエンジニアの求人においても、即戦力として歓迎されることでしょう。
ファームウェアやドライバの開発経験
ファームウェアやドライバは、システムを利用してハードウェアをコントロールするという意味で、組み込みエンジニアの業務領域と似通ったものがあります。こうしたシステムの開発経験があることをアピールすることができれば、組み込みエンジニアとしてのスキルは十分に持ち合わせていると評価されることでしょう。
並列処理スキル
並列処理とは、CPUに搭載された複数のコアを使って複数の処理を同時に実行することです。近年では、組み込み用のソフトウェアでも並列処理が前提として設計されることが多いものの、この並列処理に関するスキルを持ち合わせていない組み込みエンジニアが散見されます。スキルを所有している組み込みエンジニアが少ない分、もしこのスキルを持っていれば、貴重な人材として重宝されることでしょう。
プログラミング言語とITのトレンドや知識
最新のITの知識やプログラミング言語を習得することも重要です。IoTや人工知能といったIT業界のトレンドも知識として頭に入れておくことで、時代の流れに適応できているエンジニアとして転職市場でも評価が上がります。
また、組み込みエンジニアがよく使用するC言語だけでなく、C++やJavaなども習得しておくと対応可能な業務が増え、さらに市場価値が高まるでしょう。
エンジニア未経験者の場合
組み込みエンジニアは慢性的な人材が不足している状況なので、未経験可の求人募集もたびたびあります。未経験から組み込みエンジニアになりたいという方は、こうした求人を見逃さずに応募するようにしましょう。未経験でも、組み込みエンジニアの仕事でよく使うC言語・アセンブリ言語を独学で習得していたり、関連する資格を取得していたりすると大きなアドバンテージになるので、積極的に取り組むことをおすすめします。
関連記事:組み込みエンジニアになるために必要な勉強
組み込みエンジニアに関するよくある質問
組み込みエンジニアに興味を持つ方の中には、適性や将来性、年齢が気になる方が多いようです。
ここでは、組み込みエンジニアに関してよくある質問に答えていきます。類似の疑問を持つ方は参考にしてみてください。
Q1. 組み込みエンジニアにはどのような人が向いていますか?
組み込みエンジニアに向いている人は以下のような人です。
・ものづくりが好きな人
・コツコツ物事に取り組める人
・論理的に考えられる人
・素直に話を聞くことができる人
製品の開発に携わることが多いため、地道な作業などが好きな人が向いているといえるでしょう。
Q2. 組み込みエンジニアに将来性はありますか?
2010年頃からのIoTの拡大により、組み込みエンジニアの将来性は高いといえるでしょう。
さまざまな分野でデジタル化が進み、自動車業界や医療機器業界ではAI技術やネットワーク機能を搭載した製品が作られるようになりました。そのような製品を作るためには、組み込みエンジニアは必要不可欠です。
Q3. 組み込みエンジニアになるのは難しいですか?
組み込みエンジニアの難易度は高いです。組み込みエンジニアの仕事内容として、ハードウェアの知識も必要であり、分野によっては命に関わるシステムを開発します。
一つの失敗が大きな損害につながる可能性もあるため責任も大きく、一人前になるためには少なくとも5年はかかるといわれています。
まとめ
この記事では、組み込みエンジニアへの転職を検討している方へ向けて、組み込みエンジニアの人材不足の理由と転職するメリット、求められるスキルなどについて解説しました。組み込みエンジニアの人材不足の理由は主に、必要な知識、スキルの習得が難しいことや納期の厳しさなどでした。
IT業界全体で人材不足と言われていますが、組み込みエンジニアはさらに顕著で高齢化も問題となっています。一方で、組み込みエンジニアの需要は高く、転職の競争率は低いです。未経験でもOKという求人もあるので、組み込みエンジニアとして活躍する上で必要となるスキルが備わっていれば挑戦できます。
組み込みエンジニアへの転職を検討している方は、この記事を参考に転職を目指してみてはいかがでしょうか。
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