Kubernetesとは?メリットやDockerとの違いを解説

最終更新日:2024年10月17日

IT業界で広く浸透している仮想化技術「コンテナ」。特に主流なのが「Docker」です。「Kubernetes」はDockerを管理するためによく利用されます。

Dockerの活用が一般化する中、Kubernetesの知識とスキルの習得は、コンテナを用いたITインフラの運用・管理能力が身に着き、キャリアアップにもつながります。特にインフラエンジニアやサーバーサイドエンジニアは業務に直結するため役立てる機会が多いでしょう。

本記事では、Kubernetesに対して興味を持ち利用を検討するエンジニアに向けて、仕組みや機能、Dockerとの関連性、メリット、資格情報などを解説します。

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この記事のまとめ

  • Kubernetesは大量のコンテナ管理を容易にするコンテナオーケストレーションツール
  • Kubernetesには、コンテナのリソース調整や自動回復、ノードへの最適な配置など、コンテナを安定稼働させる機能が備わっている
  • Kubernetesを用いることでリソースを効率よく活用できるため、アプリケーション開発の効率化にもつながる

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Kubernetes(クバネティス)とは

Kubernetesはコンテナ型仮想化技術を対象とした運用管理、自動化のツール、コンテナオーケストレーションツールの一つです。k8sとも表記されます。

アプリケーションの実行環境などに利用されるコンテナ環境は、一台のサーバー上に複数構築して利用することも多く、作り直しを頻繁に行うケースもあります。全てのコンテナ管理作業をエンジニアが手動で行う場合、せっかくの利便性が活かせないことも考えられます。

Kubernetesは、複数のコンテナを利用する場合に管理作業を効率化させることができるツールです。コンテナを管理・運用しつつ、各種操作を自動的に行うための機能が含まれています。

関連記事:インフラエンジニアに必要なスキルは?知識、資格まで徹底解説

コンテナとは

コンテナとは、アプリケーションの実行環境をパッケージ化する仮想化技術です。ホストOS上に複数のコンテナを作成することで、アプリケーションの実行環境を複数もつことができます。アプリケーションの実行環境をOSと分離して管理できることが大きな特徴です。

Linuxカーネルには、仮想的に独立した空間を作る機能が搭載されており、この機能を活用して他のプロセスから隔離された実行環境を構築します。具体的には、Linuxカーネルが持つ「namespaces」「cgroups」「overlayfs」という機能を使ってコンテナが構築されます。

この3機能を活用することで、「システムリソース」「固有の名称」「設定」を持つ独立した仮想マシン(=コンテナ)が構築可能です。

従来の仮想化ソフトウェアによるゲストOS環境では、OS層などで利用するリソースも必要でした。コンテナを利用した場合、OS層よりも上位のコンテナエンジン上にコンテナを作ることで、リソースの消費を抑えることができます。一方で、管理が複雑になりやすいという課題もあり、それを解決するためにKubernetesが活用されています。

Dockerとの違いとは

Dockerは簡単にコンテナの作成や削除ができるソフトウェアツールです。必要なパッケージのコード化や環境の再配布、チーム開発時の環境の統一などに使用されます。

一方、Kubernetesは複数のコンテナを用いた開発に使用するソフトウェアツールです。各コンテナの状態を確認し、問題のあるコンテナを再起動する、といった管理が可能です。

つまり、DockerとKubernetesは共にコンテナに関するツールですが、用途が異なります。使用用途に応じて両方を使いこなせるのが望ましいです。

この二つのツールの間では管理単位にも違いがあります。Dockerはあるマシン上の一つ一つのコンテナが最小の単位で、コンテナの乗ったマシンであるノードも管理の単位です。

一方のKubernetesでは最小の単位はPodです。Podは一つ以上のコンテナを持ちますが、1Podに1コンテナである場合が多いです。1つ以上のPodを持つマシンがノード(ワーカーノード)です。より大きい単位としてはクラスタがあります。クラスタはノードの集合体で、1つ以上のワーカーノードとそれを管理するマスターノードを持ちます。

  Kubernetes Docker
目的用途 コンテナ管理 アプリケーションのコンテナ化
管理単位 Pod、ノード、クラスタ コンテナ、ノード

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Dockerとは?特徴やできることを初心者向けにわかりやすく解説

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Kubernetesを使うメリット・デメリット

Kubernetesは、非常に効率よく大規模なITインフラを運用・管理できるツールです。しかし、万能のツールというわけではなく、実際には以下のようなメリット・デメリットを持ちます。

Kubernetesの利用を検討している場合には、導入の前にメリット・デメリットを確認して、検討しておくことが大切です。

Kubernetesを使うメリット

Kubernetesを使うメリットとしては以下9つが挙げられます。インフラ環境の運用・管理において利便性が高いメリットを多く持っています

コストを削減できる

Kubernetesには、負荷分散やリソース配分などを自動的に調整する機能が含まれています。こうした機能を活用することで、システムの安定稼働において非常に重要な「調整作業」を自動化できるため、運用コストの低減が可能です。

また、過去の実績に基づいて効率よくリソースを使用できるため、従量課金制を採用するクラウドプラットフォームの月額利用料を節約することができます。

大量のコンテナを一括管理できる

Kubernetesを利用することで、大量のコンテナを容易に管理できます。

例えば、多くのコンテナに対して設定を変更する際に、コンテナ1つ1つに変更作業を行うのは大変な労力がかかります。Kubernetesでは、複数のコンテナ間で設定ファイルを共有できるため、このような複数のコンテナに対する設定変更も個別に行う必要が無くなります。

また、ローリングアップデートに対応しているため、デプロイ作業を手動で行う必要がないという点も大きなメリットです。

起動が高速・軽量で迅速なアプリケーション開発を実現できる

コンテナはアプリケーションが必要とするリソースのみが含まれているため、リソース消費を抑え、従来の仮想マシンよりも高速かつ軽量で動作します。これにより、リソースを効率的に活用でき、アプリケーション開発を迅速に進められます。市場の変化に対応し迅速なリリースが求められる昨今では、Kubernetesの活用は非常に重要です。

DevOpsを実現しやすい

DevOpsとは「開発と運用の一体化によって、システムを常に最新の状態に保ち、ユーザーにいち早く新しい価値を届ける」という考え方です。特にWebサービスなどの継続的な機能の更新とリリースを行うシステムで取り入れられています。

Kubernetesには、アプリケーションの開発・運用に必要な機能がほぼ網羅されており、開発・運用をシームレスに連結することができます。本番環境を稼働させた状態で、改善点の実装と適用が行えるため、システム全体を常に最新・最善の状態に保ちつつダウンタイムを最小化することが可能です。これは「DevOps」の実現において威力を発揮します。

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インフラエンジニアの運用・保守業務とは?詳しい仕事内容を紹介

オンプレミスとクラウドのどちらでも利用できる

Kubernetesは複数のソフトウェア・ハードウェア上で動作します。更にクラウドのベンダーの多くがサポートしているためオンプレミス・クラウド問わずに利用可能です。

使用用途や前提を問わず使用できるため、複数コンテナを用いた開発をする場合は積極的に使用したい技術と言えるでしょう。

アプリケーションのデプロイも容易になる

Kubernetesではコンテナを基にデプロイを行うため、手動でデプロイする必要がありません。さらに、アプリケーションはローカルで動作するため、途中で止まってしまうなどの可能性が低いです。

スケーリングの柔軟性が高い

PodとはKubernetes内で作成・管理できるコンピューティングの最小単位です。

KubernetesではPodをスケーリングすることが可能です。そのため、使用する用途に応じてPodの自動生成などができ、柔軟にリソースを増減できます。

セキュリティを強化できる

Kubernetesは周辺技術を理解することでセキュリティの強化が可能です。例えばKubernetesはAPIを用いて操作するため、APIを使用するユーザーの認証・権限の制限をすることでセキュリティ性能を高めることができます。また、Podやコンテナなどのオブジェクトに対するリソース制限を加えることでもセキュリティの強化が期待できます。

このように様々なアクセス制限や機能制限、権限の設定を細かくできるため、使用用途に応じてセキュリティレベルを設定できます。一方、初期設定の状態だとセキュリティに懸念が残ります。Kubernetesを使用する場合は、扱う情報や使用用途に応じたセキュリティを確保するようにしましょう。

障害に強い

Kubernetesは自動回復機能を備えています。コンテナがダウンした場合や誤って削除してしまった場合にも、コンテナを自動で回復することができます。

この自動回復機能は、各種の障害に対する強さとなります。利用者は自動回復機能を頼りに、落ち着いて操作することができます。

Kubernetesを使うデメリット

Kubernetesを利用することで多くのメリットを得ることができますが、同時にデメリットも存在しています。主なデメリットは、利用するための準備が必要となることや、利用目的をハッキリさせないと無駄が発生することです。以下では、デメリットを3つ紹介します。

物理サーバーの台数が増える傾向にあり初期投資がかかりやすい

Kubernetesでは、実行マシンとしての「ワーカーノード」と管理マシンとしての「マスターノード」が必要です。実際の運用ではワーカーノードとマスターノードを別の物理マシンとして用意する必要があり、ノードの数に比例して必要となる物理サーバーの数も増加します。したがって、構成や規模によってはオンプレミス環境のようにある程度の初期投資が必要になる傾向があります。

更新頻度が高く、学習コストも高い

Kubernetesは機能が豊富で、進化の過程にあるツールでもあります。したがって、Kubernetesを上手く活用するためには継続的な学習が必要です。

また、Infrastructure as Code(IaC)を前提としたツールであるため、Infrastructure as Codeを経験したことがないエンジニアにとっては学習コストが高いことも覚えておくべきでしょう。

使いこなすには目的を明確にする必要がある

Kubernetesは豊富な機能を持っています。各機能を活用することで柔軟な設定が実現でき、拡張性も高いです。その分、利用機能の選択や設定にも多くの選択肢があります。

Kubernetesを用いて何を実現したいのか、運用管理の形を事前に明確にして利用する機能や設定内容を定める必要があります。せっかくのコスト削減や迅速なアプリケーションのデプロイなどのメリットを活かすためには、導入目的を明確化しておきましょう。

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Kubernetesを扱うエンジニア職種

Kubernetesをよく業務上で扱うエンジニア職種としてあげられるのが、インフラエンジニアとサーバーサイドエンジニアです。

インフラエンジニアが業務上でKubernetesをよく利用する理由は、コンテナを扱う環境の構築を行うためです。複数のアプリ実行環境を作成する必要がある場合に、以前は仮想OSを利用することが多かったのですが、コンテナの利用に人気がシフトしつつある状況です。とくにクラウド環境上とも相性が良いため、インフラエンジニアの中でもクラウドエンジニアはKubernetesに触れる機会が多いでしょう。

もう一つ、Kubernetesを使う機会が多いエンジニア職種としてサーバーサイドエンジニアがあげられます。Webサービスの提供において開発環境、検証環境と本番環境などをコンテナを用いて用意する場合があるためです。また、コンテナによるスムーズなリリースはWebサービスの現場で重視されるDevOpsでも欠かせない要素です。

インフラエンジニアやサーバーサイドエンジニアはKubernetesに関したスキルを業務上で役立てやすく、キャリアアップ、スキルアップに活用できるといえます。

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Kubernetesに関する用語

Kubernetesを理解するには、関連する用語を理解することが大切です。

Kubernetes上の管理単位については、それぞれの違いを知らなければ設定をすることができません。また、ツールの名称もある程度知っておかなければ、ドキュメントを読む際に混乱をきたすでしょう。

以下では、Kubernetesに関する用語について解説します。

Pod

Podとは、Kubernetesにおけるコンテナ管理・運用の最小単位です。ひとつのPodには最低1個以上のコンテナが含まれます。実際の運用では、Kubernetesが提唱するデザインパターン(コンテナ構成のパターン)に沿って構築されることが多いでしょう。

また1個もしくは複数のDockerコンテナをまとめた「Pod」は、ひとつのノード(仮想マシン)に割り当てられます。Pod単位でスケーリングを行うことが可能です。

ノード(Node)

いわゆる「実行マシン」に該当する単位です。ノードはそれぞれ異なった役割を持つことが多く、ひとつのノードには1個以上のPodが含まれます。

また、Podを含むノードを「ワーカーノード」、ワーカーノードを管理するノードを「マスターノード」と呼びます。ひとつ以上のマスターノードとワーカーノードを「まとまり」として管理するのがクラスタリング機能です。

Kubernetes cluster

Kubernetes clusterとは、1つのマスターノードと複数のワーカーノードで構成される、ノードの集合体です。特定のOSや仮想/物理、オンプレミス/クラウドといったマシン構成や環境に依存せず、複数のノードをグループ化し、どこでもコンテナを実行できます。

単体のノードでコンテナを動かすこともできますが、万が一ノードで障害が発生した場合、コンテナを動かすことができなくなります。クラスタリング機能で複数のワーカーノード上でコンテナを動かせるようにしておくことで、ワーカーノード1台で障害が発生しても、他のワーカーノードで処理が継続できます。

このように、Kubernetes clusterにより優れた耐障害性や、柔軟なコンテナの移動や管理を実現しています。

コントロールプレーン

コントロールプレーンとは、cluster内のワーカーノードとPodを管理する役割を持つコンポーネントで、マスターノード上で実行されます。よくマスターノード=コントロールプレーンと記載されることがありますが、厳密には異なります。

コントロールプレーンは、APIサーバーやスケジューラー、コントロールマネージャーなど複数のコンポーネントを含んでいます。どのノードでも実行可能ですが、管理をシンプルにするため、同じマシン上(マスターノード)で実行するのが一般的です。

レプリケーション・コントローラー

レプリケーション・コントローラーはPodを監視し、Podのレプリカ数がクラスタ全体で指定した数になるようにレプリケーション(複製)およびスケーリングを行います。レプリケーション・コントローラーによって作成されたPodが障害によって停止した場合、自動的に新しいPodが起動されます。

Kubelet

kubeletは、各ノードで実行するKubernetesのエージェントです。ワーカーノード上でPodの作成や起動、管理などの役割を担います。また、ノード、Podの状態を監視してマスターノードのkube-apiserverにレポートを送信します。

kubectl

kubectlは、Kubernetesが提供するコマンドラインツールです。KubernetesAPIを使用してKubernetes clusterのコントロールプレーンと通信し、さまざまなコマンドを実行できます。

スクリプトの中でkubectlでコマンドを使うことで、Kubernetes clusterの管理の自動化が可能です。よく使うコマンドは覚えておくとよいでしょう。

CustomResourceDefinition(CRD)

CustomResourceDefinition(CRD)は、Kubernetesが持つ機能の一つでKubernetes APIを拡張して独自のリソースを定義することができます。Podなどの標準で定義されているリソースに加え、自分でリソースを定義することでより柔軟な管理などが実現できます。

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Kubernetesの機能でできること

Kubernetesの機能で可能となる運用管理と自動化について紹介します。

Kubernetesを導入するにあたっては、環境構築などにかかるコストも大きいです。Kubernetesの導入が失敗とならないよう、事前に目的とする機能には見当を付けて調査しておきましょう。また、ビジネス、コスト、技術、運用など様々な視点をもって確認しておくことも重要です。

複数のコンテナの管理

Kubernetesは、状況に応じて複数のコンテナを最適に稼働させることができます。例えば、本番環境とシステムテスト用の環境、開発環境を別々のコンテナに分けておくことで、切り離して運用管理することが可能です。また、あらかじめ複数のコンテナを用意しておき、サービスがダウンした場合はすぐに別のコンテナを稼働させてダウンタイムが生じないようにすることもできます。

コンテナのスケジューリング

ノードに対するPodの割り当てを設定し、自由に制御することができます。

スケジューラーは新規に作成されたPodのうち、ノードに割り当てられていないものを監視します。未割当のPodを発見した際には、どのノードに配置すべきかをスケジューラーの設定から判断し、ノードへの割り当てを行います。これをスケジューリングと呼び、ノードへの割り当て条件を設定して運用の手間を軽減することが可能です。

Kubernetesにはデフォルトのスケジューラー機能のほか、ユーザーが自らカスタマイズしたカスタムスケジューラーを適用することもできます。

ロードバランシング・サービスディスカバリ

Kubernetesには「Service」と呼ばれるPodサポート機能が含まれています。Serviceは、Pod群(=コンテナ群)に対してロードバランシング(負荷分散)やサービスディスカバリなどを提供する機能です。

サービスディスカバリとは、サービス(アプリケーション)が持つ諸情報(IPアドレス、使用しているポートの番号、ホスト名など)をリアルタイムで検出する機能のことです。Service機能を使うことで、適切な負荷分散を行いつつ、Kubernetes内で動作するアプリケーションの状況をリアルタイムに把握できるようになります。

ローリングアップデート

ローリングアップデートとは、稼働中のシステムを停止させずにソフトウェアの更新・入れ替えを行う手法を指します。一般的には複数の機器を順番に停止させながら、一部は常に稼働している状況を維持して更新を行います。

Kubernetesではローリングアップデートのために、一時的にPod数の上限を引きあげ、稼働中のPodを維持したまま古いPodの停止と新しいPodへの入れ替えを行えます。常にPod内でコンテナが稼働している状況を維持しつつ、ダウンタイムを生じさせずにシステムの更新を実現できます。

オートスケーリング

Kubernetesでは、水平オートスケーリング機能によって、システムリソースに応じたコンテナ数の自動調整が可能です。また、各コンテナが使用するリソース(CPUやメモリなど)を自動的に調整する「垂直オートスケーリング機能」も搭載しているため、コンテナの数だけでなく各コンテナの処理能力についてもスケール作業を一任することができます。

コンテナの死活監視

Kubernetesでは、「タグ」と「ラベル」によってコンテナを認識し、それぞれのコンテナに対して死活監視を行うことができます。

具体的には「Liveness probe」機能によってコンテナ(=アプリケーション)が起動しているかを監視し、「Readiness probe」によって応答可能な状態であるかをチェックします。さらに独自のタグやラベルを設定すれば、異なる環境に点在する同一のアプリケーションを一括で監視することも可能です。

障害時の自己回復

Kubernetesは常にコンテナの数と性能を維持しようとするため、ある程度の障害ならば自己回復(セルフヒーリング)による復旧が可能です。

例えば、最低4つのWebサーバーアプリケーションを必要とするシステムがあるとしましょう。このとき、Webサーバーアプリケーションはいずれもコンテナとして配置されています。管理者が何かの手違いでコンテナを削除してしまったり、障害が発生してコンテナのひとつが停止したりしても、Kubernetesは新しいコンテナを生成してWebサーバーアプリケーションが4つの状態を維持します。この自己回復処理は、前述の死活監視機能(Liveness probe)がコンテナの再起動を行うことで実現されるものです。

ストレージオーケストレーション

ローカルストレージ、NFS、iSCSIなどのネットワークストレージ、クラウド上のストレージなどさまざまなストレージ(記憶領域)から、選択したストレージを自動でマウントする機能です。

自動ビンパッキング

Kubernetesで管理されているコンテナを、最適な形に自動で配置する機能です。各コンテナで必要となるリソース情報を計算し、使用可能なノードに配置します。これにより、可用性を維持しつつパフォーマンスが発揮できる環境を整えます。

セキュリティの向上

Kubernetesは、機密データの保存と管理を行う機能が備わっています。ここでいう機密データとは、パスワードやOAuthトークン、SSHキーなどです。機密情報をデプロイすることで、コンテナイメージを再作成することなく、アプリケーションの構成情報を更新できます。

Infrastructure as Codeの実現

Infrastructure as Code(IaC)とは、その名のとおり「ITインフラの構成をコードによって管理する」という考え方です。サーバーやネットワーク機器の設定をコードとして書き出し、プログラムとしてまとめておきます。このプログラムを実行することで、新環境の構築や環境の移設が発生した場合でも、自動的に設定を適用可能です。

Kubernetesでは標準でInfrastructure as Codeに対応しており、yamlファイルに構成情報をコーディングすることで各種設定が自動的に適用されるようになっています。IaCは環境の再現性を高め、繰り返しの設定作業を減らすために役立ちます。

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Kubernetesの学習に役立つコンテンツ

Kubernetesについて基礎から知識を得たい場合には、The Linux FoundationによるKubernetesサイトを参照することがおすすめです。ドキュメントトレーニングコンテンツなどが提供されており、概要から実際の構築に関する知識まで段階的に学習することができます。

特にドキュメントでは下記のメニューなどが提供されており、Kubernetesの学習をはじめたい人にもおすすめです。

  • ・コンセプトを学ぶ

    ・チュートリアルを見る

    ・Kubernetesを構築する

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Kubernetesの知識を身につけられる資格

Kubernetesは更新頻度が早く、学習コストも高い特徴があります。導入、活用に際しては、事前に基礎を固めておきたいところです。基礎知識を身に着けるためには、次のようなKubernetes関連資格の取得がおすすめの学習方法となります。

日本語で受験できるおすすめのKubernetes関連資格としては、LPI Japanが主催するKubernetes技術者認定の4つの資格が挙げられます。最も基礎的なKubernetesクラウドネイティブアソシエイト(KCNA-JP)は多岐選択式の試験、他3つはKubernetes上でのオペレーション(実技)による試験のため実務者よりの資格といえます。

LPI-JAPANのサイトでは各試験に向けたトレーニングとして、オンライントレーニングや研修コースも提供されています。これらは有償での提供ですが、多くが日本語対応されているため学習しやすいでしょう。

関連記事:インフラエンジニアに役立つ資格一覧!難易度やロードマップも紹介

認定Kubernetesクラウドネイティブアソシエイト(KCNA-JP)

認定Kubernetesクラウドネイティブアソシエイト(KCNA-JP)はプロフェッショナルなエンジニアを目指す人に向けた、Kubernetesの基礎的な知識やスキルの理解を問う資格試験です。保有によりKubernetesを中心に、幅広いクラウドネイティブエコシステムの基本知識を示すことができます。

試験範囲

認定Kubernetesクラウドネイティブアソシエイト(KCNA-JP)の試験範囲と出題数の割合は次のとおりです。

  • ・Kubernetes基礎…46%

    ・コンテナ オーケストレーション…22%

    ・クラウド ネイティブ アーキテクチャ…16%

    ・クラウド ネイティブの可観測性…8%

    ・クラウド ネイティブ アプリケーションの配信…8%

難易度

Linuxの基本的な知識とコマンドラインのスキル(LinuCレベル1相当)を前提としており、他の3つの資格に比べて難易度は低いです。

認定Kubernetes管理者(CKA-JP)

認定Kubernetes管理者(CKA-JP)は、Kubernetes管理者向けの資格です。Kubernetesのインストールを含む基本操作や、Podのデプロイ、クラスターの作成・管理を行えるレベルの知識を身に着けていることを証明できます。

試験範囲

認定Kubernetes管理者(CKA-JP)の試験範囲と出題数の割合は次のとおりです。

  • ・クラスタのアーキテクチャ、インストール、構成…25%

    ・サービスとネットワーク…20%

    ・トラブルシューティング…30%

    ・ワークロードとスケジューリング…15%

    ・ストレージ…10%

難易度

Linuxに関する基礎的な理解(LinuCレベル2相当)がある前提で、実用的なスキルが求められる中級者以上対象の試験といえます。ネット上では、普段業務に利用している方で3週間程度の学習で合格した報告も見られます。

認定Kubernetesアプリケーション開発者(CKAD-JP)

認定Kubernetesアプリケーション開発者(CKAD-JP)は、Kubernetes環境で実行されるアプリケーションを開発するエンジニア向けの資格です。CKA-JPよりも技術的な内容が多く含まれており、Kubernetes上での基本的なオペレーションに加えて、Kubernetes用のクラウドアプリケーションの設計、構築、公開ができるスキルを示すことができます。

試験範囲

認定Kubernetesアプリケーション開発者(CKAD-JP)の試験範囲度と出題数の割合は次のとおりです。

  • ・アプリケーションの設計と構築…20%

    ・アプリケーションの展開…20%

    ・アプリケーションの可観測性とメンテナンス…15%

    ・アプリケーション環境、構成、およびセキュリティ…25%

    ・サービスとネットワーキング…20%

難易度

認定Kubernetes管理者(CKA-JP)を取得している場合は、1週間~1カ月程度の学習で合格レベルに到達できたという報告が見られます。また、LinuCレベル1相当のコマンド操作や、Dockerの理解、PythonやJavaなどクラウド環境で使用されるプログラミング言語の知識があると、合格に近づきやすいでしょう。

認定Kubernetesセキュリティスペシャリスト(CKS-JP)

認定Kubernetesセキュリティスペシャリスト(CKS-JP)は、Kubernetesプラットフォームやコンテナ上のアプリケーションの保護を行うスキル、知識を認定する資格試験です。受験にはCKA-JP認定が前提となるため、より上位の資格といえます。

試験範囲

認定Kubernetesセキュリティスペシャリスト(CKS-JP)の試験範囲度と出題数の割合は次のとおりです。

  • ・クラスター設定…10%

    ・クラスター強化…15%

    ・システムの強化…15%

    ・マイクロサービスの脆弱性を最小限に抑える…20%

    ・サプライチェーンのセキュリティ…20%

    ・モニタリング、ロギング、ランタイムセキュリティ…20%

難易度

CKA-JP認定を前提としているため、中級~上級者向けの試験となります。難易度は非常に高く、対策となるコンテンツを利用した計画的な学習が必要となります。

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Kubernetesに関するよくある質問

Kubernetesに関してよくある質問と回答を紹介します。

Kubernetesは仮想化技術の中でもコンテナを利用する際に、管理および自動化に用いるツールです。さまざまな概念の上に成り立っている技術のため、周辺知識とあわせて理解する必要があります。下記の質問については、Kubernetesの概要理解に役立てていただき、それぞれの詳しい内容については記事内の記載などを参照ください。

Q1. Kubernetesとは何ですか?

Kubernetesは、Dockerをはじめとするコンテナを管理および自動化するコンテナオーケストレーションツールです。コンテナを大量に作成すると、運用管理に手間がかかります。Kubernetesを使用することで、多数のコンテナの管理を容易にし、運用の作業を自動化できるなどのメリットが得られます。

Q2. Kubernetesは具体的に何ができますか?

・複数のコンテナを最適に稼働させる

  • ・複数のコンテナを最適に稼働させる

    ・ローリングアップデート

    ・システムリソースに応じた稼働コンテナの自動調整

    ・コンテナの死活監視

    ・障害発生時の自動回復

    ・各ノードに対してコンテナを自動配置


これらの機能によって、複数のコンテナの安定稼働、障害の迅速な復旧、アプリケーション開発の効率化を実現します。

Q3. KubernetesとDockerとの違いを教えてください

KubernetesもDockerも、仮想化技術コンテナに関するソフトウェアです。実現する機能が異なります。

コンテナを作成して実行するための機能を持つのがDocker、多数のコンテナを管理し、複数のノードで実行するプラットフォームを持つのがKubernetesです。目的に応じた使い分けが必要です。

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まとめ

コンテナ型仮想化技術の中でも主流となっているのがDockerです。そして、そのDockerを管理するためのソフトウェアがKubernetesです。

Kubernetesはコンテナのオートスケーリングや負荷分散、ローリングアップデート、死活監視と自動復旧などの多彩な機能を持ちます。Kubernetesを用いることで、多数のコンテナ管理の効率化、運用の自動化をはかることが可能です。

Kubernetesの知識とスキルを身に着けることで、コンテナを用いたITインフラの運用・管理能力を向上させることができます。既にインフラエンジニアとして働いていてスキルアップを図りたい方や、クラウド領域に関心のある方、DevOpsの実現を目指す方などは、習得しておくことで自身の市場価値の向上につながるでしょう。

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