C言語とは
C言語は、UNIXと呼ばれるオペレーティングシステム(OS)を作るために開発された汎用的なプログラミング言語です。自然言語の文法を用いた数式に似た記法という高水準言語の特性を持ちながらも、メモリ管理のような低水準の操作も可能です。これにより、C言語は非常に強力で柔軟なプログラミング言語となっています。
1972年にAT&Tベル研究所で開発された言語であり、2024年時点で登場から半世紀以上も経過していますが、高速な動作とハードウェア制御のしやすさなどから人気と需要が続いています。この長期に渡り利用されてきた経緯が、開発者に向けた情報の充実と豊富な事例を提供しており、過去の資産の再利用がしやすいというメリットも生み出しています。
C++やC#との違い
C言語、C++、そしてC#の違いについて短く説明します。
C++は、C言語を基にオブジェクト指向の概念を追加して開発されたプログラミング言語です。C言語の高速な動作やハードウェア制御に適している長所を残しつつ、より複雑なプログラムを効率的に開発することが可能になりました。自由度も高いため、AIやVR/ARなどの先端分野でも利用されています。
一方、C#はC言語と名前が似ていますが、実際にはJavaに近い文法を持つ全く別のプログラミング言語です。Microsoft社の開発したプログラミング言語で、主にMicrosoftの.NETフレームワークでの開発に用いられています。Webアプリやスマホアプリ、デスクトップ、サーバーサイドアプリなどに対応した非常に汎用性の高い言語です。
関連記事:C#とは?特徴やメリット、C言語やC++との違いを解説
C言語の特徴
C言語の主な特徴は以下の5点です。
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・手続き型言語のため構造がシンプル
・ハードウェアを直接的に操作する低階層の言語の特徴も併せ持つ
・コンパイラ言語の中でも処理速度が速い
・多くの環境にコンパイルや実行用のモジュールが提供されている
・様々な分野に使用されている
特に処理速度の速さは広く評価されており、C言語が選択される理由の一つとなっています。メモリの制約が厳しいハードウェアの制御やパフォーマンスを求められるソフトウェアの開発においては、C言語による開発は有力な選択肢の一つです。この特徴によって、JavaやC#などが登場してもなおC言語が使われているといえるでしょう。
関連記事:C言語とは!特徴やC++やC#との違いを分かりやすく解説
C言語で開発されるソフトウェア
C言語で開発されるソフトウェアには、どのようなソフトウェアがあるのでしょうか。C言語で開発されるソフトウェアは具体的には、組み込みプログラムやオペレーティングシステム(OS)、大規模な業務用ソフトウェアなどがあります。本章では、これらのC言語で開発されるソフトウェアについて詳しく解説していきます。
組み込みプログラムの開発
組み込みプログラムでは、C言語が第一の選択肢となります。
組み込みプログラムとは、家電製品、車載器、産業機器などの内部システムに直接組み込まれ、そのデバイスの動作を制御する役割を持つものです。組み込みプログラムには、デバイスが適切に動作するための機能を提供する必要があり、ハードウェアの制御に適したC言語に高い需要が存在します。また、組み込みシステムではメモリなどのリソースが限られていることも多く、C言語の少ない利用リソースで機能できる特性もマッチしています。
OSの開発
C言語は、コンピュータの基本的なソフトウェアであるオペレーティングシステム(OS)の開発にも広く用いられています。具体的には、MacOS XやLinuxは、C言語を用いて開発されたOSです。他にも組み込み系のOS開発では、C言語が選ばれることが多いです。これらのシステムは、コンピュータの基本的な動作を制御し、他のソフトウェアが効率的に動作するための環境を提供します。
大規模な業務用ソフトウェア
C言語は高性能なソフトウェアを作成する能力があるため、大規模なビジネスアプリケーションの開発に頻繁に使用されます。その高いパフォーマンスと効率性は、大量のデータを処理する必要がある大規模な業務用ソフトウェアにとって重要です。また、Windows OSに標準で搭載されているメモ帳やエクスプローラーなどのアプリケーションも、C言語で開発されています。
C言語エンジニアの転職市場
C言語エンジニアの転職市場はどのような状況にあるのでしょうか。
C言語は長い歴史を持つプログラミング言語であり、その人気は現在も続いています。さらに、C言語エンジニアの将来性は非常に高いとされています。
本章では、C言語の需要とその将来性を考慮に入れて、C言語エンジニアの転職市場について詳しく説明します。
C言語は人気の言語でエンジニアの需要も高い
C言語は、決して新しい言語ではありません。しかしながら、プログラミング言語の人気を指標化しているTIOBEのTIOBE Indexによれば、2024年8月時点でC言語は4位にランクインしています。C言語と互換性もあるC++は1位のPythonに次ぐ2位であり、C言語そのものの人気も高いといえるでしょう。また、同時点でレバテックキャリアに掲載されている求人・転職情報の中でC言語に該当する情報は約1,700件で全体的にも多い件数です。
C言語の求人・転職情報>
C言語は主に組み込み系の分野で、国内外を問わずスタンダードな言語として使用されてきました。そのため、大手企業や老舗企業のシステムにはC言語で記述された情報資産(ソースコード)が大量に残されており、これらに対する追加開発、保守業務の需要が継続的に存在しています。
企業にとっては実績のあるシステムを他の環境・言語へ移行するよりも、C言語をベースにした改修や追加開発を進めるメリットの方が大きく、今後もC言語を使用するシーンは継続すると考えられるでしょう。
また、C言語の拡張版ともいえるC++の登場で、オブジェクト指向への対応も可能になりました。企業によっては、C言語を「プログラミングの基礎」と見なし、C言語のスキル・経験をプログラミングスキルの指標とする場合もあります。
さらに組込み開発ではハードウェアの操作も発生するため、C言語エンジニアにはOSやメモリ、ハードウェアの知識も必要になります。このような背景から、「C言語出身のエンジニアはハードウェア・ソフトウェアの双方に高いITリテラシーを持つ」とみなされる傾向も見逃せません。
関連記事:C言語でできることは?メリット・デメリットや学習方法も解説
C言語エンジニアは将来性も高い
IoT市場が拡大していることから、C言語の将来性は比較的有望であるといえます。IoTは既存のデバイスをネットワークに接続し、情報収集・分析・遠隔操作などを可能にする技術であり、その土台には組み込み系の技術があります。そのため、組み込み系の分野で実績が豊富なC言語のスキルはIoT市場でも評価される傾向です。
さらに、組み込み系の分野では今後AIを組み込んだ仕組みが普及していくことが予測されており、こちらもC言語エンジニアの将来性を高める要因の一つです。
また、C++までスキルセットに含めることで、ゲーム・アプリケーション開発の分野でも活躍できる可能性が高まるでしょう。
C言語エンジニアの年収相場
2024年9月時点でレバテックキャリアに登録されている求人情報から算出すると、C言語エンジニアの年収平均は約595万円です。年収の高い求人では約2,000万円のものもあり、企業選びやエンジニアとしてのポジション、個人の裁量や実務経験によって年収は大きく変わるといえるでしょう。
高年収の求人では、エンジニア業務と合わせてプロジェクトリーダーなどマネジメント業務も求められる傾向です。より大規模なプロジェクトを担当したり、役割を兼任できたりすると年収も相応に上がるため、高年収も期待できる職種といえます。
C言語の求人・転職情報>
C言語エンジニアの求人例
<想定年収>
400~1,200万円
<仕事内容>
・外部企業との共同プロジェクトへの参画
・オーソリシステムの開発推進
・国際的なブランドからの仕様要求を満たすシステム開発と改善
・要件定義、基本設計、ベンダーへの依頼対応
<求められるスキル>
・クレジットカード関連の業務経験
・システム開発経験3年以上
・SQLでのコーディング経験
・ビジネス、ユーザーの変化に迅速に対応できる人
C言語エンジニアが転職時に評価されるスキル・経験
C言語エンジニアが転職をする際に、評価されるスキルや経験は何があるのでしょうか。
評価されるスキルや経験としては、他言語での開発経験や要件定義、基本設計、詳細設計などの上流工程に関するスキル、業界知識、プロジェクトマネジメントスキルなどがあります。
本章では、C言語エンジニアの転職で評価される、具体的なスキルや経験についてご紹介します。
要件定義、基本設計、詳細設計スキル
C言語エンジニアの求人を参考にすると、他のプログラミング言語のエンジニアと同じく、プロジェクトの上流工程を担当できる能力は需要が高い傾向にあります。
これらのスキルは要件定義から基本設計、詳細設計までの工程を自分で行うことができる能力です。したがって、上流工程を自力で遂行できるスキルを習得することや実務経験があることは、転職時に自己アピールしておきたいポイントになります。
他言語での開発経験
C言語エンジニアが転職市場で評価されるポイントの一つとして、他のプログラミング言語での開発経験が挙げられます。
C言語と共によく使用される言語、例えばC++、Java、Python、PHP、VBなどを用いた開発経験は、転職成功のための重要な要素です。他言語での開発スキルを身につけることで、応用の効く開発スキルを持つことを示せるため、より広範な開発環境で活躍することが可能になります。
業界知識
C言語エンジニアとして開発に関する広い知識とスキルは必須ですが、IT業界だけでなく他業界の知識も重要となります。過去の経験から得た特定の業界に関する深い知識は、C言語エンジニアとしての職務範囲を広げる大切な要素です。経験で得た業界知識を活用することで、問題解決に対する多角的な視点を持つことができます。
プロジェクトマネジメントスキル
実務経験を5年程度積んだエンジニアには、リソース管理や進捗管理といった一部のプロジェクトマネジメントスキルや折衝スキルも求められます。これらは、チームを統括してプロジェクトを円滑に進めたり、上流工程で顧客要求から仕様を確定させたりする場合に必要なスキルです。
プロジェクトマネジメント・折衝スキルを必須要件に掲げている求人は実際には少ないです。しかし、マネジメント経験は転職時に評価が得やすいポイントになるため、どんな規模感でマネジメントに関わったのか、その際に考慮した点や結果などを面接時に伝えやすいようまとめておきましょう。
Linux系OSスキル
C言語を用いた開発は、Windows系OSとLinux系OSで開発環境が異なります。Linuxは企業のサーバーOSとして圧倒的なシェアを占めているため、Linux環境でのC言語プログラミングスキルは、転職時の大きな武器となるでしょう。コンパイラやエディタの扱い方や、コマンドライン操作、ファイル操作など基本的なスキルは身に着けておきたいところです。
ライブラリ・フレームワークの知識と利用スキル
C言語には多くのライブラリが提供されており、これらを活用することで開発の効率を高め、ソフトウェアの品質向上に貢献します。ライブラリについての知見を広げ、積極的に活用しましょう。
C言語は、RubyやPythonといった言語と比較してフレームワークの種類が少なく、フレームワークを使わない開発も一般的です。しかしながら、小規模かつスピーディーな開発案件ではフレームワークが積極的に導入され始めています。C言語の代表的なテスト用フレームワークであるCppUTestやUnityなどの経験があると評価されることがあります。
その他、評価されやすいスキル
その他のC言語エンジニアが転職時に評価されるスキルとしては、中〜大規模の組み込み系開発の経験や小規模チームのリーダー経験などがあります。他言語での開発経験や要件定義、基本設計、詳細設計スキル、業界知識、プロジェクトマネジメントスキルなどを身につけたうえで、需要の高いこれらのような経験があれば転職時に有利になるでしょう。
中~大規模の組み込み系開発の経験
組み込み系プログラムではC言語が使われることが多いため、中規模から大規模な組み込み系開発の経験があれば、C言語エンジニアとして評価されやすいでしょう。
中規模から大規模の組み込み系開発では、複数のハードウェアや複数のソフトウェアを組み合わせた案件になることが多く、開発期間が長期化し、開発人員も多数いることが一般的です。このような組み込み系開発の経験があれば、C言語エンジニアとしてさらに評価されるでしょう。
小規模チームのリーダー経験
小規模なチームにおいてリーダー経験を持つ方も、C言語エンジニアとして転職時に評価されやすいです。複数のC言語エンジニアによる業務を取りまとめたうえでプロジェクトリーダーとしての役割を経験した場合は、プログラマーとしてだけでなくマネジメントができる人材として評価される可能性があります。
C言語エンジニアの転職に役立つ資格
C言語エンジニアとして仕事をするうえでは必須資格はありません。しかし、C言語エンジニアの仕事に役立つ資格を保有することで、転職時に自身の能力のアピール材料として活用できます。企業の求める業務経験とはやや角度が異なる場合や、他業種からの転職で経験に自信がないときにも、スキルを証明するために役立つでしょう。
C言語エンジニアの転職時に評価される資格には、C言語プログラミング能力認定試験やETEC(組込み技術者試験制度)などがあります。これらの資格について解説します。
C言語プログラミング能力認定試験
C言語プログラミング能力認定試験とは、ビジネス能力検定サーティファイが実施する試験です。プログラミングの知識や理解度を客観的に測る指標として、IT業界で高く評価されています。初学者向けの3級から上級者向けの1級まで階級が分かれており、レベルによって難易度は異なります。C言語エンジニアとしてキャリアをスタートさせる場合は3級の合格を、より専門的な職種への転職を検討する場合は上級を受験するのがおすすめです。
ETEC(組込み技術者試験制度)
ETEC(組込み技術者試験制度)とは、一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)が運営する組込みエンジニア向けの試験制度です。組込み開発に向けた知識とスキルを計る試験で、組込みソフトウェア技術者試験クラス2と上位試験の組込みソフトウェア技術者試験クラス1の2種類の試験があります。
合否判定ではなくスコアによって自己スキルを評価できるため、現状の知識レベルを測るためにも活用できます。また、JASAでは試験対策として入門から上級者向けの参考書も紹介しており、C言語に触れたばかりの人でも受験しやすい試験です。
未経験からC言語エンジニアに転職できる?
C言語の習得が難しいことから未経験だと転職をためらう人も多いのですが、結論として未経験でもC言語エンジニアとして転職することは可能です。実際にレバテックキャリアで公開中の求人には未経験可の条件の求人や、C言語以外のプログラミング言語の経験で足りる求人も含まれています。
C言語が未経験でも、入社後に学習する意欲を見せれば、積極的に採用しようとする企業に出会える可能性は十分にあります。さらにC言語はプログラミング言語の中でも、さまざまなシステムやソフトウェアの開発に用いられている言語であり、学習する手段も豊富です。
以上のことからたとえ未経験でC言語エンジニアに転職しても、個人の裁量次第で十分活躍できるといえるでしょう。
未経験者のC言語の習得難易度は?
C言語は他のプログラミング言語も未経験の場合、習得難易度の高い言語です。その理由として、下記があげられます。
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・複雑な文法と厳格な型設定
・コンパイル時に頻繁に発生するエラー対処
・メモリの確保解放を細かく実装する必要がある
・ポインタの概念が理解が難しい
これらの理由により、技術的な躓きが起き、独力での課題解決ができなくなり学習に挫折するパターンが少なくありません。挫折を避けるためには、周囲にC言語ができる人を探すか、Webなどで質問できる掲示板、メンターなどを確保しておくことが有効です。
ただし、C言語以外の他言語経験者だと難易度は下がります。プログラミング未経験者がC言語習得に200~250時間程度を要するのに対し、基本的な文法の理解がある他言語経験者は50~100時間ほどの勉強時間で習得可能です。1度でもプログラミング経験がある場合はC言語にも取り組みやすいため、まずは始めてみることをおすすめします。
未経験者がC言語エンジニアになるロードマップ
未経験者がC言語エンジニアになるためには、目的をしっかりと決めて効率的にステップアップすることが重要です。そのためにはITの知識を深め、プログラミングに関する基礎スキルを習得し、成果物のポートフォリオを作成するといいでしょう。
以下では、未経験者がC言語エンジニアになるロードマップを解説します。
ITの知識を深める
プログラミングを学ぶ前に、まずはIT全般についての知識を深めることが重要です。ITの知識が不足していると実際に就職した際に、他のエンジニアとのコミュニケーションや仕事の応用が難しくなります。
ITの知識を深めるには、国家資格であるITパスポートの取得もおすすめです。ITパスポートは、広範なIT知識を必要とする入門レベルの資格で、この資格を取得できるレベルのIT知識があれば、未経験からの転職でも困ることは少なくなります。
プログラミングの基礎スキルや検索スキルなどを身につける
プログラミングでは言語に関わらず共通した部分も存在します。C言語の学習を通して、プログラミング全般の基礎を身につけることが大切です。プログラミング一般に適用される内容なのか、C言語特有の記述なのかを意識しながら学習できると、その違いが分かりやすいでしょう。
また、C言語エンジニアとして成功するためには、情報収集や課題解決のためにWebでの検索スキルも必要です。その他にも、エンジニア業務を行う場合には、ビジネスチャットやクラウドストレージなどの各種ツールを使いこなすことも求められます。自分の知らないことでも拒否感を持たずに利用しながら理解を深めることをおすすめします。
サンプルをもとに成果物を作成する
C言語は歴史があり広く使われているプログラミング言語で、インターネット上には多くのサンプルコードが存在します。基本的なC言語の理解ができたら、これらのサンプルを参考に自分だけのプログラムを作成することをおすすめします。成果物である自作のプログラムは、未経験からの転職を考えている方にとって、自身のスキルを証明するポートフォリオとして非常に有用です。
ポートフォリオを作成する
ポートフォリオは、未経験者がC言語エンジニアに転職を成功するための重要なツールです。自身が開発したプログラムの集合体であるポートフォリオは、様々なプログラムを開発できる能力を証明します。面接官はポートフォリオを通じて、プログラミング基礎能力、他人が理解できるコードを書く能力、問題解決力、そして特に意欲を評価します。
実務経験がない場合、これらの能力を示す唯一の証拠がポートフォリオです。したがって、未経験からの転職を考えている方は、必ずポートフォリオを作成しましょう。
C言語以外のプログラミング言語も習得していると転職に有利
C言語のエンジニアを目指す場合でも、他の言語も習得していることで転職における選択肢を増やすことが可能です。C言語の案件のみ対応できるエンジニアより、複数言語に対応できるエンジニアの方が需要は高いでしょう。
所属組織によってはプロジェクトごとに利用言語は変わり、エンジニアには柔軟な対応が求められます。また、他の言語を知っていることでC言語の特徴やメリットもより明確に理解できるうえ、企業に対して「C言語の経験は少ないが他言語を扱った経験を活かして早期習得ができる」とアピールできます。
C言語は他の言語の元となっている場合も多く、C言語習得後にJavaやC#を学んだ場合には効率的に学習することが可能です。
転職前にC言語に加えて他の言語を学習しておくことには、このようなメリットがあり、転職でも有利に働きます。
C言語を身につける具体的な方法
言語の習得には、実際にコードを書き、その動作を確認するという反復練習が効果的です。ただし、コードを書けるようになるには、事前にC言語の文法やアルゴリズムを理解する必要があります。
文法やアルゴリズムを理解するための学習方法として、オンラインの学習サイトを利用する方法と、書籍を用いる方法、スクールなどで学ぶ方法が考えられます。これらの方法を組み合わせて、自分に合った学習スタイルを見つけることが重要です。
関連記事:C言語を効率的に勉強!習得するメリットや理解度別の学習法も紹介
学習サイトを利用して身につける
C言語を身につける具体的な方法のひとつは、学習サイトを利用して身につけることです。C言語を学習できるWebサイトとしては「ドットインストール」「一週間で身に付くC言語の基本」「苦しんで覚えるC言語」などがあります。本格的な学習の前にC言語の全体像をざっと確認したい方にとって、無料で勉強できるWebサイトは非常に役立ちます。
ドットインストール
ドットインストールは1レッスン3分程度の動画コンテンツでプログラミングなどを学習できるサイトです。C言語に関する基本的な22のレッスンは全て無料で学習できます。有料会員として登録すると、動画コンテンツで解説されているプログラムのソースコードのダウンロードが可能になり、動画コンテンツの文字起こしの閲覧もできます。
一週間で身につくC言語の基本
一週間で身につくC言語の基本は、C言語の基礎を効率的に学ぶためのWebサイトです。14日間のプログラムで、最初の7日間は基本的な文法を、次の7日間は応用的な内容を学びます。具体的なプログラムの例を通じて、C言語の理解を深めることが可能です。この学習サイトは、自分のペースで学べるため、初心者でも安心して学べます。
苦しんで覚えるC言語
苦しんで覚えるC言語は、C言語の基本的な文法から、少し技術的に深掘りした内容まで、全20章のコンテンツで学習できるWebサイトです。単純な文法の解説だけでなく、「どうしてそのように記述するのか」のように少し難易度の解説がされているのが特徴です。
初心者には少し難しく感じられるかもしれませんが、C言語の初心者から中級者へのステップアップには適した内容といえます。
書籍を購入して身につける
体系的にC言語を学びたい方は、書籍を通した学習がおすすめです。書籍は独学が可能であり、自分のペースで進められるメリットがあります。復習もしやすい学び方である一方で、自由度が高い分難易度は高めです。また、書籍を購入する場合は必ず最新版かを確認し、信頼できる出版元のものを選びましょう。
ここではC言語の初学者向けの基礎を学べる書籍を紹介します。
かんたん C言語 [改訂2版] プログラミングの教科書
『かんたん C言語 [改訂2版] プログラミングの教科書』(技術評論社、大川内隆朗・大原竜男)は、C言語の文法を基礎から学べる1冊です。丁寧な解説に加えてイラストを使うことで、プログラミングが初めての方でも安心して読み進められます。C言語の一通りの機能を学ぶにはこの1冊ですべて身につけられるようになっています。
やさしいC 第5版
『やさしいC 第5版』(SBクリエイティブ、高橋 麻奈)は、プログラミング教科書の定番「やさしい」シリーズのC言語版です。こちらも読みやすい解説に加えて、イラストを使うことで、C言語の概念をイメージしやすいようになっています。C言語の基本から一つずつ丁寧に解説しているため、プログラミングが初めての人でもしっかりと学べる一冊です。
新・明解C言語 入門編 第2版
『新・明解C言語 入門編 第2版』(SBクリエイティブ、柴田 望洋)は、全編を語り口調で解説しているC言語の入門書です。243編の完成したプログラムと、245点の図表を使って、C言語の全体像をわかりやすく解説しています。断片的な知識ではなく、実際にプログラミングできるスキルを身につけたい方におすすめの一冊です。
スクールを活用する
C言語を学ぶスクールにはプログラミングスクールなどが挙げられます。効率的なカリキュラムがあるため学習しやすく、初心者にとっては基礎から応用までを最短で学べる手段だといえるでしょう。
最近ではオンラインスクールが一般的であり、通うことなく自宅から学ぶことも可能です。働きながら学習を進められるため、転職のための学習方法としてもおすすめできます。独学では続かなかった、途中で挫折してしまったという人には推奨したい学習方法です。
C言語の習得がおすすめな人
学習するプログラミング言語によってキャリアは大きく変わります。C言語はどのような人におすすめなのでしょうか。
C言語の習得がおすすめな人は、IoTやAI分野に関わりたい人やプログラミングの基礎を学びたい人などが当てはまります。
本章では、これらのC言語の習得がおすすめな人について解説していきます。
IoTやAI分野に関わりたい人
C言語は、IoTやAIといった先端技術分野での活用が期待されるプログラミング言語です。その理由は、C言語が組み込みシステムに強く、リソースが限られた環境でも高いパフォーマンスを発揮できるからです。IoTデバイスの開発やAIの実装に興味がある方には、C言語の習得がおすすめです。C言語の習得は、最新の技術トレンドに直接関与する機会を増やすことにつながります。
プログラミングの基礎を学びたい人
C言語は、その長い歴史と高い難易度から、新しいプログラミング言語を学ぶ際の基礎として非常に価値があります。C言語では、他の多くの言語が自動的に処理する部分を手動でコーディングする必要があります。習得するには大変かもしれませんが、その結果としてプログラミングの深い理解を得ることができます。さらにC言語を理解すると他の言語を学ぶ際にも役立ち、より効率的なコードを書く能力を習得できます。
C言語関連の仕事の大変さ
C言語に関連する仕事は、C言語の知識とスキルが求められるため、一部のC言語エンジニアにとっては大変なものと感じられるかもしれません。具体的には、古い開発環境での作業や下請けの場合では残業が多くなってしまうなどがあります。
本章では、これらのC言語関連の仕事の大変さについて詳しく解説していきます。
開発環境が古め
C言語のプロジェクトでは、開発環境が古いと感じることがあります。これは、人気の高い統合開発環境(IDE)にはMicrosoft社のVisual Studioがあり、こちらの製品も長く歴史を持つことが古く感じる理由の一つと考えられます。
また、C言語の案件は受託開発が主流であり、顧客とのコミュニケーションが頻繁に必要となるため、効率性に欠けると感じるC言語エンジニアも少なくありません。
下請けだと残業が多い場合がある
C言語エンジニアの仕事は、特に下請けの場合多くの残業が伴います。システムのバグ修正や急な仕様変更など、予期せぬ問題が発生すると、残業は避けられないでしょう。
長時間の残業が続くと心身への負担が大きくなり、これらの課題はC言語エンジニアの仕事の大変さにつながります。
C言語に関するよくある質問
C言語での転職を考えている人にとって、求人でよく見かける「C++との違いは?」といった疑問の声が良く聞かれます。また、学習するにあたってC言語の用途や長所も気になるポイントです。
ここからはC言語に関する質問の中から「C言語とC++の違いは何ですか?」「C言語は何に使われていますか?」「C言語の長所を教えてください」の3点を解説します。
Q1. C言語とC++の違いは何ですか?
C++は、C言語をベースにオブジェクト指向プログラミングなどの機能を追加したプログラミング言語です。C言語の基本的な文法や構造を継承しつつ、オブジェクト指向の概念を導入しています。
C++ではC言語よりも複雑なプログラムの開発が可能となり、大規模なソフトウェア開発にも活用可能です。また、C言語の知識を活かせるのも特徴の1つです。
Q2. C言語は何に使われていますか?
C言語は、ハードウェアの制御に適しているプログラミング言語です。C言語は、組み込みプログラムやOS(オペレーションシステム)、ゲームや業務システムなどさまざまなソフトウェア開発に使われています。
JavaやRuby、Pythonなどの動作環境もC言語で作られているため、C言語を習得すると他言語の仕組みを理解することにもつながります。
Q3. C言語の長所を教えてください
C言語の長所は、高い処理速度と汎用性です。パフォーマンスを重視した開発が可能で、さまざまな分野で活用できます。
また、C言語は他の多くのプログラミング言語に影響を与えており、C言語を理解していれば他の言語の文法も容易に理解できます。これらの長所により、C言語は長年にわたり多くの企業で活用され続けています。
まとめ
本記事では、C言語での転職を検討中のエンジニアに向けて、C言語の特徴やC言語エンジニアの転職市場、転職時に評価されるスキル・経験、学習方法、年収・求人例などについて解説しました。
C言語は組み込み系開発を中心に根強い人気のある言語で、今後もIoTシステムの開発などにおいて需要の拡大が見込まれています。さらに、拡張版であるC++などのスキルがあれば、ゲーム・アプリケーション開発などの領域にも活躍の幅を広げることができます。
C言語での転職を考えている方は、C言語のスキルを磨くことはもちろん、C++のスキル習得も視野に入れて、転職活動を行ってみてはいかがでしょうか。
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