CTOとは
CTOの正式名称は、Chief Technology Officer（チーフ・テクノロジー・オフィサー）またはChief Technical Officer（チーフ・テクニカル・オフィサー）です。日本語では、最高技術責任者といいます。
CTOはCEO（Chief Executive Officer：最高経営責任者）やCOO（Chief Operating Officer：最高執行責任者）などと同様に、アメリカの企業で生まれたポジションの名称です。主にIT関連の企業で設けられています。
「最高技術責任者」の名の通り、技術的な分野の最高責任者として活躍します。IT業界におけるCTOは、企業の経営戦略的な部分にも深く関わるため、企業の現状やこれからの方向性を最も明確に理解している人物の一人であるといえます。
またCTOはCIO（Chief Information Officer：最高情報責任者）と役割が重複している部分があるため、2つのポジションを兼任することもあります。この場合は扱う情報についての責任を持つとともに、企業内の情報システムの構築も行います。
CTOの仕事内容
技術面の最高責任者として、企業の経営に関わっていくのが仕事です。技術面での方向性の決定や、技術開発に関する企画の立案を行います。
最高技術責任者と聞くと「企業の核となる技術をメインに担当する」「新しい技術を追求する」といった業務を連想しがちです。しかし、具体的な仕事内容は企業によって異なります。なぜなら、CTOは日本の会社法において規定がなく、明確にポジション定義がされていないためです。
CTOに求められる役割
CTOの主な役割は「企業内でのソフトウェア利用」「ビジネス面における研究開発の監督」「技術的な方向性の決定」の3点です。企業により各種の認可申請や特許などに関する法務的な知識を求められます。
CTOの決定権は企業によりますが、企業の方向性を判断する中心人物であることに変わりはありません。そのため、CTOは常に社内・社外にて新しい技術や社会の需要などの情報収集を行わなければなりません。
多数の技術者がいる中で責任者を務めるからには、企業にとって最善な選択をすることがCTOの使命となります。技術が経営の基盤であるIT企業にとって、CTOは非常に重要な役割を持っているのです。
関連記事：CTOの役割とは？CIO・CDOなどとの違いなども解説
役職ごとの役割
CTOと似た単語でCEOやCIOなど様々な役職が存在します。それぞれ異なる役割が与えられているので、ご注意ください。
| 略称 | 正式名称 | 役割 |
|---|---|---|
| CEO | Chief Executive Officer | 最高経営責任者として、企業の利益を最大化する |
| CIO | Chief Information Officer | 最高情報責任者として情報関連システムを安定稼働させる |
| COO | Chief Operating Officer | 最高執行責任者として事業活動を成功させる |
| CKO | Chief Knowledge Officer | 最高知識責任者として企業の知識を最大化、普及させる |
| CSO | Chief Sustainability Officer | 最高戦略責任者として、経営陣と共に戦略立案を行い、利益を最大化させる |
関連記事：CTOとは？CEOとの違いや各役職の役割について解説
CTOに求められるスキル
CTOは責任重大な役割なので、多くのスキルを高い水準で求められます。ただしCTOは明確な定義がないため、求められるスキルは企業によって異なります。
ここからは、CTOが求められやすいスキルを3つ紹介します。
コミュニケーション能力
CTOは技術的な最高責任者として企業の経営戦略部分にも深く関わります。そのため、企業の方向性を決める会議などでコミュニケーションが発生するので、高いコミュニケーション能力が求められます。
マネジメント力
CTOは技術部の最高責任者ですので、チームのマネジメント力が求められます。チームメンバーが何を行っているかを把握し、チーム全体の生産性を最大化しなければなりません。
自身の技術力や経験を基に、どのように運用していくかを判断し、企業の利益を最大化させるマネジメント能力は必要不可欠です。
リーダーシップ
CTOは技術部の最高責任者として人の上に立つ存在になるため、リーダーシップスキルも求められます。技術部での連携力やパフォーマンスはCTOの技量によって変わるため、高いレベルで求められることが多いです。現場の技術者のモチベーションを高め、彼らの能力が最大限発揮できる環境を整備し、彼らに経営側が描くビジョンを浸透させる力が必要となります。
CTOになるには
CTOへの要求レベルは非常に高いですが、その分市場価値が高く、やりがいも大きいので目指す方は多いです。ここからはCTOになるための方法を3つ紹介します。
CTOの役職がある企業に転職
CTOの需要は高まっているため、今後もCTOを役職とする企業は増えるでしょう。そのためCTOの求人も増えていくため、転職することでCTOになれる可能性が上がります。
要求レベルは非常に高くなりますが、最も堅実な方法といえるでしょう。
現職の企業でCTOへの昇進を目指す
既に勤めている企業にCTOのポジションがある場合は、昇進して目指すのも手です。CTOを目指す場合は技術的なスキルだけでなく、企業方針やマネジメントスキルなど多くのスキルが求められるので、経営陣との繋がりを増やして積極的に学習していきましょう。
起業する
自身で起業してCTOを兼任して会社を運用するのも1つの手です。自身のスキルで好きなように運営できるので、やりたいことが明確なら最良の手段となるでしょう。しかし、他の方法より安定性は低いのでご注意ください。
CTOの仕事内容に関するよくある質問
この章では、CTOの仕事内容に関するよくある質問について回答します。
Q1. CTOの業務内容は？
CTOの仕事内容は次の3点からなります。1点目は企業の技術力を監督し、新しい事業や業務改善における技術採用の意思決定を行うこと。2点目は企業戦略と技術面のすり合わせ作業。3点目は技術やプロジェクトの管理です。
Q2. CTOにはどんな人がなる？
CTOは企業の技術責任者として、技術力だけでなく経営的目線やマネジメント能力だけでなく、技術面におけるチームメンバーのサポートや品質の担保など、高い技術力が求められます。一方でコストやリスクを検討して使用する技術を選定することやプロジェクトの全体の進捗管理、チーム間の調整など会社の経営を意識することとプロジェクトをマネジメントする能力も必要です。そのため、技術面と経営面の両方に対して強い興味がある人がCTOに向いています。
Q3. CTOの年収相場はいくらですか？
CTOの年収相場は800〜1000万円と言われています。CTOはプロジェクトマネージャーよりも上層で経営のトップに近いポジションのため、年収相場は高くなります。ただし年収は企業規模によって異なります。企業の役員という立場であったり企業規模が大きい場合には、管理・監督対象となる従業員の数が増え業績への影響が非常に大きくなるため、年収もさらに高くなる傾向があります。
Q4. CTOに求められる能力は？
CTOには以下の能力が求められます。
-
・IT技術の知識・スキル・経営能力
・マネジメントの能力
・コミュニケーション能力
・柔軟性
まとめ
CTOは技術面の最高責任者として、企業の経営に関わっていくのが仕事です。技術面での方向性の決定や、技術開発に関する企画の立案といったことを行います。様々なスキルを高いレベルで要求されますが、その分市場価値が高く、やりがいも大きいです。
CTOを採用する企業は今後増えていくことが予想されます。企業に大きな影響を与えたい技術者の方は目指してはいかがでしょうか。
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