セキュリティエンジニアとは
セキュリティエンジニアは、企業や組織のサーバーやネットワークなどのインフラやITシステムやサービスなどにおけるセキュリティ確保を行うエンジニア職種です。ITインフラ上のセキュリティ脆弱性の発見、セキュリティ施策の実施、セキュリティポリシーの策定や従業員に向けたセキュリティ教育などが業務に含まれます。
各種のITシステム、ソフトウェア、アプリケーションは多くのメリットを企業や組織にもたらしてくれますが、その一方で課題となるのがセキュリティです。インターネットなどのネットワークへの接続は利便性だけでなく、外部からの攻撃に身をさらすリスクも持っています。近年では情報漏えいやランサムウェアによる攻撃は企業にとって経営上の大きなリスクという認識が浸透してきました。
セキュリティエンジニアは、これらのセキュリティリスクから未然に企業や組織を守ることがミッションとなります。ミッションの達成のため、システムやソフトウェアに対する技術的なセキュリティ対策から、組織におけるセキュリティルールの策定などの仕組みづくりまで、セキュリティエンジニアの業務範囲は幅広い領域に渡ります。
セキュリティエンジニアの仕事内容
セキュリティエンジニアは前項で触れた通り、ITのセキュリティ確保のため幅広く業務に携わります。エンジニアの習熟度や所属組織などにより業務対象は変わってきますが、その中でも代表的な業務内容について紹介します。
企画・提案
組織の情報セキュリティ確保における企画・提案レベルの業務も、セキュリティエンジニアの仕事に含まれます。セキュリティ対策のためのハードウェア、ソフトウェア導入の検討、企業のセキュリティを守るためのセキュリティポリシーの策定とセキュリティマネジメントシステム(ISMS)の構築、全社的なセキュリティルールを定めて浸透を図ることなども、セキュリティエンジニアが起点となって行う業務です。
システムのセキュリティ診断
企業の持つ既存システムや新規に開発するシステムに対し、セキュリティ診断を行います。脆弱性などのウィークポイント、将来的なリスクとなりえる構成などを洗い出し、状況を報告、対策の提言までが対象業務です。脆弱性やリスクとなる点については、セキュリティ対策の実施までを行うこともあります。
セキュリティ診断と同様にセキュリティ確保状況を調査する目的で定期的にペネトレーションテストを行う場合もあります。疑似的にサイバー攻撃を行い外部からの侵入を図るペネトレーションテストにより、インフラや組織、ルールによるセキュリティ確保の十分性を確認するケースです。
情報セキュリティマネジメントの企画立案・設計・運用支援
セキュリティマネジメントコンサルティングの発展的な仕事で、要件を詳しくヒアリングし、企画書を作り具体的なセキュリティ対策方法を提案します。対策方法の導入に終わらず、その後の運用支援までも視野に入れた計画が必要です。
企画提案が受け入れられた場合、より詳細にその組織に最適な情報セキュリティマネジメントを設計します。具体的には、対象範囲の明確化や、組織体制や業務ルールの考案、情報システムの各レイヤーおよび一般業務フロー内におけるチェック項目の設定、情報システムや業務ルールの運用方法の設計などを行います。場合によっては、顧客に業務を変更してもらえるよう依頼しなければならないこともあります。
設計・実装
組織の持つシステムに対し、セキュリティ対策を施す場合には、設計・実装のフェーズが発生します。サイバー攻撃の手法に対し有効な対策をインフラ、ソフトウェアの各領域に対して実施します。
要件定義・設計
システム構築に必要なセキュリティ要件を洗い出し、要件定義書に落とし込みます。具体的には、OSやファイアウォール、認証、ソフトウェア上の攻撃対策などのレイヤー別に要件を整理します。特にインフラに関連するセキュリティ要件は、ハードウェア、ミドルウェア構成に影響を及ぼすことも多く、機器選定前に実施することが重要です。
要件定義書を作成したら、設計書に落とし込みます。具体的には、ネットワークやサーバーなどを分析した上で、ファイアウォールなどレイヤー別にどのようなセキュリティ対策を実装するか設計書に落とし込みます。
アプリケーション上のセキュリティ脆弱性となる点についても、どのような攻撃を想定して、どう対策するかをアプリケーションの設計に反映しておきます。
セキュリティ対策の実装
設計書に従って、ネットワークやサーバー、OS、アプリケーションなど各レイヤーにおいてセキュリティ対策を実装します。ほかのエンジニアと協力しながら、機器のマウンティングやコンフィグ作業、暗号や認証の設定、アクセス権設定、セキュアプログラミングなどを行います。
テスト・運用・保守
設計・実装を行ったセキュリティ対策に対してテストを行います。また、セキュリティ対策が永続的に有効であるよう運用・保守業務を行うこともセキュリティエンジニアの仕事となります。
ペネトレーションテスト(侵入テスト)
完成したシステムやアプリケーションを対象に、脆弱性の有無を確認するためのテストを行います。特に外部に向けて開かれているWebシステムなどでは重要な工程です。
これまでに発見されたサイバー攻撃の手口を実際にシステムに実行して、問題が発生しないかを確認します。脆弱性が発見された場合、設計・実装工程に戻って対応策を検討します。
セキュリティ面でのシステムの運用、保守
システムの完成後は、セキュリティインシデントが発生しないように運用・保守を担当します。アプリケーションやOSのアップデート、通信データの監視、アクセス権の管理、ログファイルのチェックや保存などを行い、セキュリティ性を維持します。
情報セキュリティ分野では、新たな脅威が次々と生まれています。担当するシステムなどが新たな脅威の対象となるかどうかを見極め、対象となる場合は素早いリアクションを起こすこともセキュリティエンジニアの重要な仕事となります。
セキュリティエンジニアの年収例
セキュリティエンジニアの平均年収は約731万円でした。
算出方法は、レバテックキャリアに掲載されている求人・転職情報から30件を抽出、年収の上限、下限の中間値の平均を平均年収としています。(2024年2月14日時点)
上記のデータを観察すると年収の幅は大きく差があり、スキルの高いセキュリティエンジニアには高い年収の求人があることがわかります。年収の最大値に1000万円を超える額を設定する求人が半数ほど存在しており、他のエンジニア職種と比較しても需要が高いといえるでしょう。
セキュリティエンジニアの求人・転職情報
関連記事:セキュリティエンジニアが年収1000万円を目指すには?想定年収や将来性も紹介
セキュリティエンジニアのやりがいと厳しさ
セキュリティエンジニアは専門性の高いエンジニア職種です。その仕事には、やりがいもあれば厳しさを感じるエンジニアもいます。セキュリティという重要な役割を担うことから、大きなプレッシャーの中で働いている場合もあります。具体的にどのような要素があるのかご紹介します。
セキュリティエンジニアのやりがい・楽しいと感じるとき
まずはセキュリティエンジニアがやりがいとしてあげることの多い点をご紹介します。大きな責任と高い専門性がやりがいに繋がっている職種といえます。
IT犯罪から企業やユーザーを守れる
セキュリティエンジニアは、高い専門スキルで企業やユーザーをIT犯罪から守ります。IT犯罪は企業やユーザーに大きなダメージを与えることがあり、経営上のリスクとして重視されるようになってきました。サイバー攻撃の被害により信頼を無くし、倒産してしまう企業や、今までの暮らしができなくなってしまうユーザーもいます。
セキュリティエンジニアは自身のスキルを活かしてこのような被害者を未然に助けることになります。人を助ける職業と言っても過言ではないでしょう。多くの人がセキュリティエンジニアによって助けられていると考えると、大きなやりがいがあります。
高い専門性と幅広い業務知識を身につけられる
セキュリティエンジニアはセキュリティだけでなく、IT全般に関する知識を身に付けることが求められます。その理由は、セキュリティはITインフラやシステム、アプリケーションと密接に関わっており、不可分であるためです。インフラエンジニアはインフラに特化していてシステムエンジニアはソフトウェアに特化していますが、セキュリティエンジニアはインフラの知識もソフトウェアの知識も求められます。
またセキュリティエンジニアは顧客のシステムにセキュリティ対策を施す場合が多いです。その場合顧客システムを知る必要があり、同時に顧客業務の知識もある程度必要になります。システムの流れを把握するためには顧客業務を把握する必要がでてきます。
セキュリティエンジニアは業務上必要となる知識が多く、働きながら知識を身に着け、成長することができる職種であることはエンジニアのやりがいの一つです。
セキュリティエンジニアの厳しさ・きついと感じるとき
セキュリティエンジニアはやりがいがある一方で、厳しさもあります。厳しいからこそやりがいが生まれる面があるのですが、その厳しさの詳細を説明します。
責任が大きい
セキュリティエンジニアは責任が大きい職業です。なぜなら、セキュリティが突破されると企業や組織の機密情報、顧客などの個人情報が流出・漏洩する、システムが破壊される、システムを乗っ取られる、など甚大な被害が発生するからです。セキュリティに穴があれば攻撃を受けるのはもちろん、対策していても被害を受けてしまう可能性があります。
これらの問題が起きた場合、企業や組織は顧客からの信頼の損失やシステムが利用できないことによる業務の中断という影響を受けます。近年では、医療機関を狙ったサイバー攻撃により医療の提供が妨げられる社会的な基盤確保もセキュリティエンジニアは考えなければなりません。
最新の知識を学び続ける必要がある
セキュリティエンジニアにはもともと高いスキルが求められますが、さらにセキュリティの世界は日々進化しています。その背景にはIT技術が進化すると同時に、IT犯罪も進化していることがあります。常に新たな技術を活用して攻撃してくるIT犯罪者がいるので、セキュリティエンジニアも対抗してスキルを更新していく必要があるということです。
セキュリティエンジニアが新たなセキュリティ対策を講じるとIT犯罪者が新たなセキュリティ攻撃をしかけ、またセキュリティエンジニアが新たなセキュリティ策を講じるといういたちごっこの関係になっています。
未経験からセキュリティエンジニアになるには
セキュリティエンジニアはインフラ、ネットワーク、ソフトウェアなど幅広い分野に対する知識、スキルが必要な職種です。エンジニア未経験から直接なるには難しい職種といえます。
本項ではより具体的にセキュリティエンジニアを目指す際に必要となるスキルの習得方法について紹介します。
関連記事:未経験からセキュリティエンジニアに転職する方法
大学・専門学校で学ぶ
大学・専門学校で情報系の学部・学科を専攻することで、体系的にIT知識とスキルを学ぶことが可能です。幅広くITについて網羅しつつ、特定の言語・技術に対して深く学習し、セキュリティエンジニアとして必要な素養を身に着けることができます。情報セキュリティを専門に学ぶコースは多くはありませんが、ベースとなるスキルの獲得は確実なセキュリティエンジニアへの一歩です。
まずはほかのITエンジニアとしての経験を積む
未経験からセキュリティエンジニアを目指すのであれば、インフラエンジニア、ネットワークエンジニア、ソフトウェア開発のエンジニアなどとして実務経験を積んでからキャリアアップを図るとよいでしょう。実務経験とともにスキル、知識を獲得し、そのあいだに資格の取得も行っておくとよりスムーズです。
未経験可の求人に応募する
実際にはセキュリティエンジニアも仕事の内容によって細かく分かれています。脆弱性診断エンジニア、SOC(Security Operation Center)運用エンジニアといった職種は募集人員も多く、ほかのセキュリティエンジニア職と比べて要求されるスキルも多少は少なくても済むこともあり、エンジニア未経験者の募集もみられます。
正社員以外の雇用形態から目指す
正社員といった雇用形態にこだわらずに、派遣社員やフリーランスとしてセキュリティエンジニアを目指すのもひとつの方法です。派遣社員としての求人が比較的多いこともあり、経験が浅くても採用されるケースはめずらしくありません。まずはセキュリティエンジニアとしての実務経験を積みながら、スキルの習得やキャリアアップを目指すのも有効的です。
資格を取得し知識・スキルを証明する
ここまでに出てきたスキルの習得方法と並行し、関連する資格の取得を行うとより効果的です。資格の取得は必須ではありませんが、セキュリティ分野における一定の知識・スキルを証明することができます。具体的な資格については、後述します。
セキュリティエンジニアに必要なスキルと知識
セキュリティエンジニアに必要なスキルと知識は、幅広い分野・領域に渡ります。以下では、どのような分野が対象となるのか紹介します。
関連記事:
セキュリティエンジニアになるには?必要なスキルや知識も紹介
セキュリティエンジニアになるための効果的な勉強方法
インフラ、ソフトウェアの知識とこれらを用いた脆弱性診断スキル
まずセキュリティエンジニアには、ITシステムの全体像に対し、知識とスキルが必要です。ハードウェアやミドルウェア、プログラミング言語といった個別の要素に対するセキュリティ知識に加え、それらの組み合わせで起こり得る脆弱性についても知っていなければなりません。インフラエンジニアとアプリケーションエンジニアの両者向けの知識、スキルが求められます。
また、インフラ、ソフトウェアの知識をベースに、セキュリティ診断を行うためのスキルも必要になります。インフラ、ソフトウェアに関して、幅広く知識を持ち、技術的なトレンドも取り入れて、ITシステム全体から脆弱性を探せる広い見識が求められます。
システム、ソフトウェアのセキュリティ脆弱性・対策スキル
システム、ソフトウェアの脆弱性は放置しておけばいつ攻撃を受けるともわからないものです。必然的に、セキュリティエンジニアは脆弱性を発見し次第、対応を行わなくてはならない場合が多くなります。
また、脆弱性そのものを探すためには、システム、ソフトウェアに対する攻撃方法を知り、ときには実際に行えるスキルも必要となります。「脆弱性の発見、対応」と「システムへの攻撃方法」、情報セキュリティの両面についての知識、スキルを求められる職種です。
セキュリティマネジメントルールの策定、運用スキル
情報セキュリティにおいては、インフラやソフトウェアといったシステム面とともに、その利用者による扱い方も重要な要素です。技術的なセキュリティ対策が万全でも、利用者が誤った使い方をすればセキュリティ事故、インシデントは簡単に起きてしまいます。
このような事態に備え、IT機器、システムの利用を管理するのがセキュリティマネジメントルールです。組織とIT環境にマッチしたセキュリティマネジメントルールの策定とその運用の仕組みづくりができることは、セキュリティエンジニアの重要なスキルの一つです。
また、対外的に企業や組織がセキュリティ対策を適切に行っていることを示すために、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)を構築し、ISMS認証の取得と維持を図る場合もあります。セキュリティエンジニアはこれらの認証に適合するセキュリティマネジメントを知り、対応することも必要です。
セキュリティ監視の構築スキル
システム、ソフトウェアやネットワークに対し、外部からのアクセス、侵入、攻撃が行われていないか監視するための仕組みの構築もセキュリティエンジニアに求められる役割です。セキュリティツール、ソフトウェアの選定、導入、設定を行い、問題発生時に通知する仕組みを構築するスキルが必要となります。
プログラミング言語に関する知識・スキル
セキュリティエンジニアのメイン業務はプログラミングではありません。しかし、プログラミングスキルは必要です。サイバー攻撃の土台はプログラミングで、それを防止するためにプログラミングが必要な場合があるからです。
また、プログラムが読めなければ対象システムの脆弱性を詳細に判断することができません。システムは必ずプログラムでできているので、プログラミングができないとセキュリティエンジニアとしての要件を満たしていないということです。
セキュリティを確保したプログラミングをセキュアプログラミングと呼びます。ただ動くアプリケーションを作るよりも考慮することが多く、セキュリティエンジニアに求められるレベルは低くありません。
関連記事:セキュリティエンジニアに求められるプログラミングスキルとは
最新のセキュリティ対策の教育・啓蒙スキル
セキュリティエンジニアは、コンサルティング業務の一環として情報セキュリティに関する教育を行う場合もあります。情報セキュリティに関する知識を持ち、顧客に分かりやすく正確に教えるスキルが必要です。
情報セキュリティに関しては、日々技術的な進展があり、情報が古いと誤った知識を教えてしまうこともあり得るため、最新の事情をチェックし続けることが重要となります。また、セキュリティに関する意識を変えさせる啓蒙的な活動を行うこともあります。
コミュニケーションスキル
セキュリティエンジニアの仕事は、コンピュータと向き合うだけでは完結しません。ITインフラやアプリケーションの担当者にセキュリティへの対策状況を確認することも重要な職務であり、その他にも従業員へのセキュリティ教育なども業務に含まれます。
情報セキュリティはITの仕組みだけで全てを対処できず、設計者が意図した内容を理解し、利用者が適切に利用できるよう教育することも必要です。その際の仕事の相手は人であり、コミュニケーションスキルも重視されます。
セキュリティエンジニアの仕事に役立つ資格
セキュリティエンジニアにとって資格は必須ではありませんが、資格を持つことで対外的にスキルをアピールすることができます。資格は転職においては、自身の付加価値となります。また、資格取得のための学習により、体系的に情報を習得することが可能です。
幅広く、最新の情報を更新していかなければならないセキュリティエンジニアにとっては、資格のための学習を知識獲得の場とすると、一石二鳥といえます。
関連記事:セキュリティエンジニアへの転職を成功させる方法|年収や求人例も紹介
情報処理安全確保支援士試験
情報処理安全確保支援士試験は独立行政法人情報処理推進機構(IPA)によって運用される、情報セキュリティに関する知識、技能を有することを認定してくれる試験です。情報セキュリティに関するネットワークやハードウェア、アプリケーション、法令まで幅広い知識が問われます。
共通キャリア・スキルフレームワークの人材像:テクニカルスペシャリストのレベル4の前提要件に位置づけられる高度な試験です。合格者は所定の手続きを行うことで、国家資格「情報処理安全確保支援士(登録セキスぺ)」の資格保持者となることができます。
CASP+
CompTIAはベンダーニュートラルなIT関連資格です。IT実務スキルの認定資格としてワールドワイドで300万人以上に取得され、いくつかの資格はISO17024の認証を受けています。セキュリティ、ネットワーク、サーバーなど複数の資格があり、さらにそれぞれ3~4つのレベルに試験が分かれています。
合格率は非公開ですが、セキュリティの最高レベルの試験であるCASP+は、公式サイトに『IT全般の管理者として10年、そのうちセキュリティ管理者として5年以上の実務スキルを評価します。』と記載されており、高度なエンジニア向けの資格です。
情報セキュリティマネジメント試験
情報セキュリティマネジメント試験は独立行政法人情報処理推進機構IPAによって運営されている、ITの安全な利活用を推進する者を対象とする国家試験です。情報セキュリティマネジメント人材を対象としており、業務の現場で情報セキュリティマネジメントを実施する立場の人材が想定されています。
共通キャリア・スキルフレームワークのレベル2相当です。セキュリティエンジニアにとっては、企業におけるセキュリティマネジメント人材がどの程度の知識を持つべきかを知ることのできる試験といえます。
シスコ技術者認定
シスコ技術者認定はネットワーク製品大手のシスコシステムズの認定する資格で、ネットワークに関する知識やシスコ製品を扱うスキルを証明します。エントリ、アソシエイト、プロフェッショナル、エキスパートの4つのレベルに分かれており、プロフェッショナル以上の試験ではSecurity、Data Center、Collaborationなど技術領域別にさらに詳細化された試験が存在しています。ネットワークセキュリティを学ぶ際に適した技術者認定制度です。
LinuC
LinuCはサーバーOSとして高いシェアを持つLinuxの技術力を証明する資格です。レベル1~3に分かれており、それぞれ「ITSSのキャリアフレームワークと認定試験・資格」において「ITスペシャリスト」の「セキュリティ」分野で、レベル1~3に相当する難易度です。また、2023年11月より新区分システムアーキテクトが追加されています。サーバーセキュリティも出題されるため、知識の補填に役立つでしょう。
セキュリティエンジニアの将来性が高いと考えられる理由
セキュリティエンジニアの将来性が高いと考えられる理由として、企業が情報セキュリティを重要視するようになったことがあげられます。企業はどのような脅威から身を守るために、セキュリティエンジニアの活躍を期待しているのでしょうか。
関連記事:セキュリティエンジニアの将来性は?やめとけと言われる理由
ITの普及で情報資産の価値が高まっている
ITの普及で企業が持つ情報資産の価値は、昔とくらべてかなり高まりました。テレワークといった働き方の推進も重なり、あらゆる情報がデータとして蓄積され参照しやすい環境になったといえるでしょう。デジタル化による利便性が向上した一方で、第三者からのサイバー攻撃から情報を守る対策が急務となっています。
個人情報漏洩の防止意識の高まり
ITシステムやデバイス上に格納される・利用される機会が増えています。それと同時に、個人情報の漏洩の防止意識は日々上昇しており、マイナンバーなどより厳密な管理が必要な項目も登場しています。
実は個人情報が漏洩する原因の多くは、企業内部の人間によるミスといわれているのも事実です。このような事故を防ぐことも、情報セキュリティ部門の大切な役割といえます。
日々進化するマルウェアの感染防止のため
マルウェアへの感染によって、甚大な被害を受ける企業も少なくありません。マルウェア感染によるシステムの不具合だけでなく、個人情報や機密データの漏洩や破損する恐れも考えられます。
企業サイトが不正に改ざんされれば、ネットバンキングやクレジットカード決済による不正送金といった被害が出るかもしれません。企業の信頼を失わないためにも、マルウェア対策をはじめ万が一の対策を施すのがセキュリティエンジニアの役割です。
近年では感染した端末のデータを盾に取り身代金を要求するランサムウェアなどのマルウェアも登場しており、マルウェア対策はますます重要なセキュリティエンジニアの業務となっています。
セキュリティエンジニアのキャリアパス
セキュリティエンジニアとしての経験、スキルを活かせる職種として、セキュリティアナリスト、セキュリティコンサルタント、セキュリティアーキテクトがあります。いずれも情報セキュリティに関連するスペシャリストな職種であり、セキュリティエンジニアの職務の一部に特化した職種です。
また、セキュリティエンジニアとしての知見を活かし、クライアントユーザー側のセキュリティマネジメント担当者となるキャリアパスも考えることができます。企業によっては情報セキュリティ責任者(CISO:Chief Information Security Office)といったポストを設けている場合もあり、セキュリティエンジニアの経験、スキルを活用できる役職です。
関連記事:セキュリティエンジニアのキャリアパス - 同分野・異分野に分けて解説
セキュリティエンジニアの仕事内容に関するよくある質問
セキュリティエンジニアの仕事内容について、よくある質問に回答します。セキュリティエンジニアをキャリアパスとして検討する方は参考にしてください。
Q1. セキュリティエンジニアとはどんな仕事ですか?
ITインフラに必要なサーバーに関連する業務など、情報セキュリティを専門に担当するのがセキュリティエンジニアです。 サーバー構築から運用・保守、セキュリティに配慮したシステム設計や運用、サイバー攻撃を未然に防ぐための調査や対策など仕事内容は多岐にわたります。
Q2. セキュリティエンジニアの仕事の魅力は何ですか?
セキュリティエンジニアの仕事には、常に新たな脅威や攻撃手法に対処することが求められます。技術やスキルを常に磨き続けて、対応策を講じることで自己成長を実感できます。
企業や組織の重要なデータやプライバシーを保護することで、社会全体の安全と信頼に貢献しているという意義を感じることもできるでしょう。日本ではまだ比較的新しい職種ということもあり、高い報酬とキャリアの成長も見込めることも魅力といえます。
Q3. セキュリティエンジニアに向いているのはどんな人ですか?
セキュリティエンジニアは目立ちませんが、リスクからシステムや企業、個人情報などを守る責任ある仕事です。重要な仕事をプレッシャーだけでなくやりがいと捉えられる人が向いているといえます。また、セキュリティ関連技術の進展は早く、これらの分野に強い興味を持ち学習を続けられる人も向いているといえるでしょう。
まとめ
セキュリティエンジニアは企業などの組織における情報セキュリティの確保を専門とするエンジニアです。大きくはコンサルティング領域、技術領域に特化したエンジニアに分けることが出来ます。必要となる資格やスキルは、この領域によって分かれてきます。
コンサルティング領域に特化したセキュリティエンジニアは、企業のセキュリティ診断および発見された脆弱性への対応、セキュリティマネジメントのルール、仕組み、組織作り、セキュリティに関する知識の教育などが主な仕事内容となります。
技術領域に特化したセキュリティエンジニアは、システム開発プロジェクトにおいて情報セキュリティの観点から要件定義、設計、実装に携わります。セキュリティ脆弱性を見つけ出すためのペネトレーションテスト、セキュリティ監視の仕組みを構築することも仕事内容となります。既存のITインフラやシステムに対し、セキュリティ対策の導入を図ることも仕事に含まれます。
セキュリティエンジニアはスキル、知識が必要となる専門的なエンジニアであるため、完全な未経験からなることは難しい職種です。インフラ、ネットワーク、アプリケーションエンジニアなどとして経験を積み、スキルや知識、資格を身に着け、キャリアアップを目指すとよいでしょう。
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