Vue.jsとは?他フレームワークやライブラリとの違いもわかりやすく解説

最終更新日:2023年2月20日

JavaScriptフレームワークはReact やAngularなどが定番ですが、Vue.jsの人気がじわじわと高まってきています。一方で、名前は最近よく聞くけれど、どんな特徴を持つJavaScriptフレームワークなのかよく分からないという方も多いのではないでしょうか?

そこで本記事では、Vue.jsの基本について分かりやすく解説します。よく比較されるReactとAngularとの違いについても解説していますので、Vue.jsに興味がある方、JavaScriptエンジニアとしてスキルアップしたい方はぜひご一読ください。

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Vue.jsとは?

Vue.js(ビュー)は、2014年2月にリリースされたJavaScriptフレームワークです。JavaScriptのフレームワークは数多く、それぞれに特徴があります。その中でVue.jsは、シンプルさ、学習の手軽さなどに強みのあるフレームワークです。

詳しくは後述しますが、比較的簡易的なフレームワークを使いたい、機能の豊富さよりも手軽な開発で軽量なフレームワークが欲しい、といった場合に選ばれることが多いです。

JavaScriptフレームワークとは?

JavaScriptフレームワークは、JavaScript開発でのWebアプリケーションの土台部分のことです。完成品のWebアプリケーションに対して、フレームワークはWebアプリケーションのひな形です。

フレームワークを使うことで、既存のアプリケーション設計を再利用でき、開発効率が上がります。また、使用頻度の高い処理はフレームワークの中にあらかじめ作られていて、さらに機能の追加や拡張が可能です。

関連記事:JavaScriptとは?Web業界で価値が高い理由について

Vue.jsでできること

Vue.jsでできることとして、以下が挙げられます。


  • ・リアクティブ機能

    ・コンポーネント指向

    ・トランジション機能


上記以外にもVue.jsでできることは数多いのですが、すべて挙げると多すぎるので代表的な機能に絞っています。フレームワークはプログラムの土台になるので当然できることは多いという前提で、3つの機能に絞ってご紹介します。

リアクティブ機能

リアクティブ機能とは、ユーザーの入力に対して即時に反応する機能です。例えば、ブラウザの検索ボックスに文字を入力すると、検索キーワードの候補が表示されます。そして、1文字入力するたびに、キーワードの候補が変化します。これがリアクティブ機能が働いている状態です。Vue.jsのリアクティブ機能によって、ユーザーの利便性向上に役立ちます。

コンポーネント指向

コンポーネントは「部品」という意味です。例えばオーディオ・コンポーネント(コンポ)では、チューナー、アンプ、プレーヤー、スピーカーなどの独立した機器を部品として組み合わせることによってオーディオシステムを構成します。

プログラミングも、既存のプログラムを部品として再利用することが可能です。すべてのコードを1から書くと膨大な工数がかかりますが、コンポーネントを利用して部品化することで省力化ができます。

トランジション機能

トランジションは「移り変わり」「移行」を意味します。ページが切り替わるときにアニメーションを表示させるなどの効果があります。CSSだけでもアニメーションを設定すること自体は可能ですが、Vue.jsのトランジション機能を使うことで、動的に表示が変わる要素についても比較的簡単な記述でアニメーションを設定することが可能です。

Vue.jsの特徴・メリット

JavaScriptの主要なフレームワークは複数あり、一つのフレームワークが市場を独占しているわけではありません。それぞれに特徴、メリットがあるからこそ、複数のフレームワークが生き残っています。ではその中で、Vue.jsにはどのような特徴、メリットがあるのでしょう。

新しく覚えることが少なく学習コストが低い

Vue.jsの設計はシンプルなため、他のフレームワークより理解しやすいというメリットがあります。また、HTMLに似た記述のためHTMLを既にマスターしている人には分かりやすいでしょう。国内ではVue.jsが広く採用されているため、ドキュメントも豊富で学習しやすい環境が整っていると言えます。

シンプルな設計で拡張性が高い

Vue.jsはシンプルに設計されたフレームワークなので、他のライブラリなどと組み合わせることができる拡張性の高さがあります。例えば、Vue.jsを使ったプロジェクトに他のフレームワークを追加することも可能です。また、サイトの一部のみをVue.jsで制御することも可能です。

SPAで開発しやすい

Vue.jsは、SPA(シングルページアプリケーション)開発に適したフレームワークです。SPAとは単一のページでコンテンツの切り替えを行うWeb アプリケーションを指します。Webブラウザ側でページの移動を行わず、最初に読み込んだWebページ上のスクリプトがサーバ側との通信や表示内容の更新を行う方式です。

コードの可読性が高い

HTML、 Vue.js(JavaScript)、 CSS(SASSなど)を一つのファイルにまとめて記述することができます。Vue.jsのコンポーネントは機能別のファイルに分けて保存されているため、関連するコードをすぐに探すことができます。問題が発生した時の調査・解析も容易です。

Vue.jsでは、HTML要素とJavaScript側の値(変数)やイベントの紐づけを自動的に行うことができます。そのため、DOMの操作のコードを簡略化でき、コードがシンプルになります。コードがシンプルになれば、読みやすく保守しやすいというメリットが生まれます。

コンポーネントを再利用できる

Vue.jsは一度作ったコンポーネントを簡単な記述で呼び出すことができます。コンポーネントは、上述した通りパーツのことです。つまり、処理をプログラムで記述し、これをコンポーネントという形でまとめておいて、いろいろなところで呼び出して使うことができます。オブジェクト指向プログラミングの経験がある方は、クラスを呼び出すイメージに近いです。もしくは、関数を呼び出すのも考え方としては似ています。

DOM操作を自動化できる

DOMとは、Document Object Modelの略です。DOMはHTMLデータを呼び出して使用する技術のことです。Vue.jsには仮想DOMというものが用意されており、自動的にHTMLデータをJavaScriptに反映させます。仮想DOMによって、JavaScriptの処理が高速化されます。

データの同期がしやすい

Vue.jsはHTMLとJavaScriptが自動的に紐づけられ、更新のたびに差分のみ取得して同期する仕様になっています。そのため、メンテナンスがしやすいです。詳細な仕組みとしては、Vue.jsはMVVMというモデルを採用しています。それぞれ、「Model」「View」「ViewModel」の3つの機能の大文字を取ったものです。

ModelとViewに関しては一般的なMVCモデルのものと同じ、Controllerの代わりにModelとViewを監視するViewModelが含まれています。ViewModelがあることで、自動更新が可能になっています。

Vue.jsのデメリット

Vue.jsには複数のメリットがありますが、他のフレームワークと比較してデメリットもあります。

大規模開発に向かない

Vue.jsは、シンプルなフレームワークであるため、大規模開発にはあまり向いていません。Vue.jsが得意としているSPAは1つのページ内で情報が変化していくものです。大規模なWebアプリケーションの場合、複数のページに遷移する構成になります。そのような場合には、同じJavaScriptのフレームワークである「Angular」や「React」が向いています。

リソースが限られている

Vue.jsは機能を絞ったシンプルなフレームワークです。そのため、たとえば対応するプラグインの数が少ないといったことがあります。Vue.jsはここ数年で著しく成長しましたが、対応するプラグインの数は従来のフレームワークにはまだまだ及びません。今後の発展に伴って使用できるプラグインの数も増えていくことでしょう。

Vue.jsが使われる理由

Vue.jsはReactやAngularJSのように仮想DOMやコンポーネントの機能を持っています。それにもかかわらず学習コストはそれほど高くないため、多くのエンジニアから支持されるようになりました。

TypeScript+Vue.jsを使用する現場が増加傾向

最近のWebアプリケーションのフロントエンド開発ではTypeScriptとVue.jsで開発をしている現場が多いようです。Vue.jsとTypeScriptで開発をする方法は大きく分けると下記の2つがあります。


  • ・「Vue.extend()」を用いた書き方(Object Style)

    ・「class MyComponent extends Vue」とする書き方(Class Style)


いずれにせよ、Vue.jsが使えればTypeScriptへの移行も容易になります。

Object Styleの特徴

大枠はほぼJavaScriptのコードと同様なので、JavaScriptからの移行は、TypeScriptの基本的な型注釈を適切に使用できれば問題ありません。JavaScript + Vue.jsで開発をしたことがある方は見慣れたスタイルでしょう。

Class Styleの特徴

クラス構文を使用するので、簡潔なコードになります。JavaScript + Vue.jsでの記述方法とは大きく異なり、よりTypeScript寄りの書き方と言えます。利用者が多いため、その分資料が豊富なのがメリットです。

他フレームワークやライブラリとの違い

JavaScriptには複数のフレームワーク、ライブラリがあります。そこで、Vue.jsと比較していきます。

Vue.jsとReactの比較・違い

Vue.jsがReactと大きく類似している点が2つあります。以下2つです。


  • ・仮想DOM (Virtual DOM)を実装している

    ・コンポーネントの機能を有している


Vue.jsもReactも軽量で高速なパフォーマンスを実現するという点では甲乙つけがたいです。学習コストの面で比較すると、Vue.jsはシンプルなコードで実装可能であるため、Reactよりも取り組みやすいと言えます。

また、VueとReactは同じUI構築のために開発されたものではありますが、Vueはフレームワーク、Reactはライブラリに分類されます。フレームワークがモデルハウスだとしたら、ライブラリは家具のようなもので、全体の枠組みと部分的なパーツというそもそもの概念としての違いがあります。

VueのコンポーネントはReactに似ているため、Reactからの乗り換えはしやすいと言えるでしょう。

Vue.jsとAngularの比較・違い

Vue.jsはAngularJSに影響を受けて開発されています。構文が似ている部分がありますが、学習難易度が高いAngularJS・Angularと比べると、Vue.jsはシンプルで学びやすいフレームワークです。Angularはルーティングやユニットテストなどの機能も含まれた「Webアプリケーション開発におけるフルスタックのフレームワーク」と言われ、その分学習難易度も高いとされています。

なお、Angular(Angular 2)はAngularJS(Angular 1)から大きく仕様変更されたため、別物と考えるほうがよいでしょう。Angular(Angular 2)では、主要な開発言語がJavaScriptからTypeScriptに変更されています。 TypeScriptはJavaScriptを大規模開発でも適用できるように拡張した新しい言語です。

TypeScriptベースであるAngular(Angular 2)と比べてVue.jsはTypeScriptへの統合性は低いと言われていましたが、Vue2からVue3へのメジャーアップデートに伴いTypeScriptがはじめからサポートされるようになり、Vue3ではTypeScriptの使用がより簡単になりました。

Vue.jsとjQueryの比較・違い

jQueryはJavaScriptの定番ライブラリで、JavaScriptの開発で重宝されてきました。Vue.jsとの違いは一言でいうと、「Vue.jsはフレームワークで、jQueryはライブラリ」ということです。

ではフレームワークとライブラリは何が異なるのでしょうか?フレームワークはWebアプリケーションの土台部分です。それに対して、ライブラリは自由に使用できる部品という位置付けです。

jQueryを使ってJavaScriptの記述を簡素化できますが、データ構造やUIの設計がきちんとできていないと、可読性、拡張性に難があるプログラムになる可能性があります。

Vue.jsとRiot.jsの比較・違い

Vue.jsがフレームワークであるのに対し、Riot.jsはライブラリです。Riot.jsもVue.js同様、軽量かつ学習コストが低いという特徴があります。ただしRiot.jsはライブラリにしては機能性が豊富です。

Vue.jsとHyperappの比較・違い

HyperappもVue.js同様、軽量かつスピーディーに動くという特徴があります。小規模開発には向いているが大規模開発には向かないという点も共通しています。違いとしては、Hyperappはは2017年に作られた新しいフレームワークで、特に日本語の情報が少ないということでしょう。

Vue.jsとEmberの比較・違い

Emberは機能性が高い分学習コストも高く、柔軟性には乏しいという特徴があります。大規模なシステム開発にはEmberが使用されることもあります。

Vue.jsとKnockoutの比較・違い

KnockoutはVue.js同様、MVVMを採用しているフレームワークです。JavaScriptのフレームワークの中では、かつて人気があったフレームワークという印象です。事実、Vue.jsに代替されてきているケースが多いでしょう。学習コストや自由度から考えると、Vue.jsはKnockoutの上位互換と言えます。

Vue.jsの学習・勉強方法

Vue.jsの具体的な学習方法をご紹介していきます。

公式ドキュメントで学ぶ

Vue.jsには、日本語で書かれた公式ドキュメントがあります。公式ドキュメントには基本的な使い方から内部の詳細な仕様まで開発に必要な情報が載っています。開発エンジニアにとって、公式ドキュメントは必読の資料と言えるでしょう。

多くのプログラミング技術の公式ドキュメントが英語で書かれているのに対して、日本初の技術であるVue.jsの公式ドキュメントは日本語なので、英語のドキュメントが苦手なエンジニアにも読みやすいはずです。

書籍で学習する

初心者にとってはいきなり公式ドキュメントを読むのはハードルが高いかもしれません。Vue.jsについて入門者向けの書籍が多く出版されています。以下のような本を参考にして、手を動かしたり概要をつかんだりした後で公式ドキュメントを読むと理解が深まると思います。

『Vue.jsのツボとコツがゼッタイにわかる本[第2版]』
Vue.jsに初めて触れる人に向けて、Vue.jsの基本的な機能やVue.jsをローカルPCで使うための環境構築について解説している本です。「ECサイトの商品一覧ページ」「ムービー制作サービス自動見積もりページ」などの具体的なサンプルを使い、JavaScriptで作ったページをVue.jsを使ったページに作り替えていく流れを解説しています。

『動かして学ぶ!Vue.js開発入門 (NEXT ONE)』
「Vue.js」でのWebアプリケーションの開発について、実際に手を動かして(作ったプログラムも動かして)学ぶ書籍です。フロントエンド開発の現場でよく使われるテクニックや実装方法を詳しく丁寧に説明しています。具体的には、データの表示、ユーザー入力、ユーザー操作と表示の連携、アニメーション、などを扱っています。また現在、注目されているシングルページアプリケーション(SPA)についての開発に役立つ情報も盛り込んでいます。

『Vue.js 3 超入門』
対象読者はJavaScriptの入門書を読み終えたばかりで、Vue.jsの経験がない人を想定しています。そのような初心者に向けてJavaScriptベースで解説しています。既存の入門書などでつまづいた人でもついていけるように、手取り足取り教える感じの懇切丁寧な説明になっています。

不明な点があればQiitaなどのコミュニティも活用する

「Qiita」(キータ)は一言でいうと、「エンジニアのための技術情報共有サイト」です。自分の知っている情報を公開することで誰かの役に立つことができるというコンセプトです。

Veu.jsについての記事も多く投稿されているので、興味のある記事を読むだけでも知識を広げ、理解を深めるのに役に立ちます。質問を投稿することもできるので、何か困ったことがあったとき問題解決の助けにもなります。

関連記事:【最新版】初心者~中上級者まで!JavaScriptが学べる学習サイト15選

プログラミング初心者はまずはJavaScriptの習得から

もし、これを読んでいる方がプログラミング初心者で、Vue.jsを勉強しようとしているなら、まずはJavaScriptをしっかりと習得したほうがいいでしょう。なぜなら、Vue.jsはJavaScriptの文法を使うからです。

また、「Vue.jsは学習コストが低い」というのはJavaScriptを理解しているという前提の話です。Vue.jsのコードは一見すると簡単に見えますが、JavaScriptの知識がないと理解が難しい機能があるので、JavaScriptを先に学んでおくことを強く勧めます。

まとめ

Vue.jsがどのような特徴を持つJavaScriptフレームワークであるか、お分かりいただけたでしょうか?操作性や必要な知識、コスト面など幅広い意味で初心者に優しい仕様となっており、JavaScriptフレームワークに慣れていなくても心配はありません。

Vue.jsに興味はあるけどどうしようか悩んでいる方は、今からでも遅くはないので、ぜひVue.jsを始めてみてはいかがでしょう。

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