スクラムマスターとは?役割や必要なスキル、転職方法を解説!

最終更新日:2024年4月18日

アジャイル開発を導入する企業が増え、スクラムマスターという職種を耳にする機会も増えましたが、役割や必要なスキルがよく分からないと感じる方も多いのではないでしょうか。スクラムマスターという職種を理解するには、スクラム開発について理解する必要があります。
本記事ではスクラムマスターとは何か、スクラムマスターの役割や必要なスキル、スクラム開発の概要や流れ、転職方法について解説します。本記事を読むことで、スクラムマスターとは何か理解でき、スクラムマスターを目指すべきか判断できるようになるでしょう。

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この記事のまとめ

  • スクラムマスターとは、メンバーにスクラム開発の手順やポイントを教え、開発での障害を取り除きプロジェクトが円滑に進むようサポートする役割がある
  • スクラムマスターには、ファシリテーションスキルや計画スキル、コーチング/メンタリングスキル、問題解決能力、アジャイルとスクラムの理解など、幅広いスキルが必要
  • スクラムマスターのポジションに就くには、スクラムマスター関連の資格取得や、コーチングなどのコアスキルを身につけると良い

スクラムマスターとは?

スクラムマスターとはどのような職種なのか、一般的な定義について解説します。また、スクラム開発・アジャイル開発・ウォーターフォール開発などの基本用語についても解説します。これらの基本要素を知らなければ、自分に適性のある職種か判断できません。まずは概要を理解し、その後に必要スキルなどを把握していくと良いでしょう。

スクラムマスターの定義

スクラムマスターとは、スクラム開発をサポートする職種です。具体的には、メンバーにスクラム開発の方法を指導したり、スクラム開発がスムーズに行えるように障害を取り除いたりします。

スクラムマスターはリーダーではないため、一般的にはシステムの仕様やプロジェクトの計画に対する決定権はありません。あくまでサポート役という位置づけです。ただし、明確に定義づけられているわけではなく、スクラムマスターの仕事内容・役割は企業によって少しずつ異なります。

スクラム開発とは?

スクラム開発とは、アジャイル開発手法の1つで、中でもメンバーの連携を重視した開発手法のことです。メンバー全員で開発計画を立て、設計・開発・テストを行います。また、メンバー全員で頻繁に進捗情報を共有するミーティングを行います。そして、メンバー間のミーティングや開発計画の立案を先導するのがスクラムマスターの役割です。

アジャイル開発とは?

アジャイル開発はシステム開発の手法の1つで、リリースまでの期間を1週間〜1ヶ月程度で短く区切り、短スパンで計画〜リリースを繰り返すのが特徴です。アジャイル開発では開発の単位を「イテレーション」といいます。

リリース後はレビューを行いユーザーや顧客の反応を見て改善点を洗い出し、改善要求と開発タスクの優先順位をつけたうえで次のイテレーションに進みます。これを繰り返すことでプロダクトの質を高めていきます。

アジャイル開発のメリット

アジャイル開発はプロジェクト管理の難易度は高いものの、仕様変更やMVP開発(必要最小限の製品)などに対応しやすいのがメリットです。たとえば、SNSやオンラインゲームなど、ユーザーの反応や競合の動向を見ながら仕様を変更したいプロダクトに適しています。

関連記事:アジャイル開発とは?開発プロセスやウォーターフォールとの違いをわかりやすく解説

ウォーターフォール開発とは?

ウォーターフォール開発は、システムの各工程(計画・要件定義・設計・開発・テスト・リリース)を順番通りに行っていく、一般的な開発手法を指します。各工程で企画書や要件定義書などの成果物を作成し、基準を満たしていると判断される場合のみ次の工程に進みます。
一度終了した工程に戻ることは基本行わず、どうしても戻らざるを得ない場合は、前工程の計画などからやり直します。

ウォーターフォール開発はプロジェクトの計画や見積もりを比較的しやすいのがメリットで、急な仕様変更やトラブルに対応するのが難しいのがデメリットです。

スクラム開発の流れとスクラムマスターの役割

スクラム開発がどのような流れで進められていくのか、フローについて解説します。スクラム開発は大きく分けて5つのフローで進められます。各工程の詳細および、各工程でスクラムマスターがどのように動くのか確認しましょう。

また、以下の参考資料ではスクラムの流れやロール(役割)の解説の詳細が記載されているので、こちらも参考にすると良いでしょう。

参考:~情報システム・モデル取引・契約書<アジャイル開発版>~アジャイル開発進め方の指針|IPA 独立行政法人 情報処理推進機構

1. プロダクトバックログの作成

プロダクトバックログとは、プロダクトオーナーが必要な機能をリスト化して優先順位をつけたものです。たとえばSNS開発の場合、フォロー機能、いいね機能、拡散機能などそれぞれの機能をリスト化し、リストごとに、目的・工数・優先順位などを整理します。

プロダクトオーナーは必要に応じて、リファイメントという会議を開催します。チームメンバーおよびプロダクトオーナーと一緒に、プロダクトバックログの改善を行います。

2. スプリント会議の実施

スクラム開発では、スプリントという単位で期間を区切って作業を進めます。1つのスプリントで計画〜リリースまで通して行います。

そのため、最初にメンバー内でスプリント会議を行い、スプリントをどのように進めていくか計画を立てなければなりません。スプリント会議では最終的にスプリントバックログを完成させ、タスクをリスト化する必要があります。このリストごとに担当者や見積もりを整理していきます。スプリントバックログの作成は各メンバーが行い、スクラムマスターは作成をサポートします。

3. スプリントを進める

スプリント会議で作成したスプリントバックログに従って、各メンバーは作業を進めます。スクラム開発では1日に1回、デイリースクラムという短時間のミーティングを開催し、進捗の共有や問題点の相談などを行います。

スクラムマスターはデイリースクラムを進行し、メンバーの進捗を管理します。必要に応じてタスクの調整やメンバーにアドバイスを行います。

4. スプリントレビューの実施

スプリントが終了したらスプリントレビューを行います。プロダクトオーナーの前でシステムを実際に動かし、要求仕様通りかなどをプロダクトオーナーに確認します。
また、次のスプリントの計画を立てます。スクラムマスターは、スプリントレビューのサポートを行います。

5. レトロスペクティブ(ふりかえり)の実施

スプリントの終了ごとにレトロスペクティブ(ふりかえり)を行います。レトロスペクティブを行うことで、自己組織化やチームの成長を促します。

スクラムマスターがチームにいることのメリット

スクラムマスターはリーダーではなく、チーム内の1つの役割にすぎません。あくまでメンバーと同列でサポートのような役割ですが、スクラムマスターがいることのメリットは多くあります。もしスクラムマスターがいないままスクラム開発をした場合、開発の進行が遅れる可能性があるほど重要な存在です。スクラムマスターがいることのメリットについて詳しく解説していきます。

スクラム開発を組織に浸透させられる

スクラムマスターがいることで、スクラム開発を組織に浸透させやすくなります。組織がスクラム開発を理解していない場合や慣れていない場合など、スクラム開発が機能せず形式だけが残っていることも多いです。
スクラム開発を熟知したスクラムマスターが組織にいれば、メンバーがスクラム開発の進め方・考え方を理解でき、プロダクトの質を上げられる可能性も高くなります。

プロジェクトをスムーズに進行できる

スクラムマスターがいれば、プロジェクトがスムーズに進行できます。スクラムマスターはチームがスプリントゴールに集中し、優先順位の高いタスクに焦点を合わせるよう支援します。これにより、重要な機能やプロダクトのリリースがスムーズに進行します。

コミュニケーションを活性化させる

スクラム開発はチーム内でのコミュニケーションが要です。日頃の朝会などで進捗の共有や問題点の相談を行えないと、後々問題が大きくなり、開発が大幅に遅れてしまうこともあります。スクラム開発の経験が豊富なスクラムマスターがファシリテーションを行えば、積極的な意見交換がしやすくなり、形だけの会議になることを避けられます。

また、スクラムマスターは開発知識のないプロダクトオーナーと開発メンバーの橋渡し役にもなります。プロダクトオーナーの意向を汲み、開発メンバーに分かりやすく伝えることで、双方の認識に齟齬が生じることを避けられます。

スクラムマスターに必要なスキル

スクラムマスターに必要なスキルについても確認しましょう。必要なスキルを満たしていなければ就職・転職は難しく、もしなれたとしても活躍するのは難しいです。スクラム開発やチーム全体を乱してしまうリスクがあるでしょう。現在は必要なスキルを満たしていなくても、これから身につけていけるので、諦めないことが大切です。

ファシリテーションスキル

スクラムマスターには、チームミーティングなどを効果的にリードし、チームメンバーから意見を引き出して議論を進める責任があります。スプリント会議・デイリースクラム・スプリントレビュー・レトロスペクティブなどのスクラムイベントでは、ファシリテーションスキルを発揮する必要があります。

ゴール設定と計画スキル

スクラムマスターには、チームがリアルな目標を設定し、達成できるよう支援する能力も必要です。スプリントとプロジェクトの進捗管理はスクラムマスターの役割です。スクラム開発はウォーターフォール開発と違い、スケジュール管理が難しいため、スクラム開発の経験が豊富なスクラムマスターが開発に必要な工数を正確に見積もる必要があります。

コーチングとメンタリングスキル

個々のチームメンバーやチーム全体の能力開発を支援し、自己組織化を促すコーチングスキルも求められます。スクラムのさまざまなプラクティス(スクラム開発を実現するための手段)やアジャイルのマインドセット(考え方・ものの見方)の教育と指導を行う必要があります。

たとえば、スプリントバックログの作成方法や、どこまで細かく共有すべきかなど進捗を共有する際のルール、スプリントレビューの具体的段取りなどを教育します。コーチングでは、事務的に情報を伝えるだけでなく、聞き手のモチベーションを高められる伝え方を心がける必要があります。そのためには、聞き手との信頼関係を短時間で構築するスキルも重要です。

また、相手に答えを直接教えるのではなく、自ら答えに気がつくように促すことも大切です。問題点を洗い出す際の考え方の段取りを教えたり、相手に「それはなぜ?」と質問を繰り返すことによって問題の本質を気づかせたりする必要があります。

問題解決能力

スクラムマスターはプロジェクトを進める際に障害となるものを取り除き、メンバーがスムーズにシステム開発を行えるようにすることに責任を持ちます。責任を果たすためには、問題解決能力が必要です。さらに、問題を見つけたら自分で解決するのではなく、メンバーの中に解決できる者がいないか探し、その人が問題を解決できるようにサポートする必要があります。

アジャイルとスクラムの理解

スクラムマスターには、アジャイルとスクラムフレームワークの深い理解も必要です。単に手法を知っているだけでなく、それらを実践に落とし込む方法を理解し、プロジェクトやチームに適したフレームワークの適用などを柔軟に行う必要があります。

スクラムマスターに転職する方法

スクラムマスターは責任もあり高度なスキルを必要とする仕事です。そのため、未経験でスクラムマスターのポジションに転職することは難しいでしょう。まずはスクラム開発を行っている企業に転職し、そこで経験を積む必要があります。具体的にどのような手順でスクラムマスターを目指すのか、解説していきます。

スクラム開発を行っている企業に転職する

まず、スクラム開発を行っている企業に転職する必要があるでしょう。転職を成功させるためにも、転職エージェントを活用することをおすすめします。エージェントには求人サイトにはない優良求人が多数存在するうえに、職務経歴書の添削や面接練習を行ってくれます。

IT業界に特化したレバテックキャリアには、スクラム開発の求人も多くあります。実績やキャリアパスを分析しスクラムマスターに適性があるのか判断することも可能なため、スクラムマスターを目指すか迷っている方にもおすすめです。

スクラム開発の経験を積む

スクラムマスターとして働くには、スクラム開発の経験が必要不可欠です。転職に成功したら、実務を通じてタスク管理の方法や会議の進め方、プロダクトオーナーとのやり取り方法などを学んでいきます。いきなり全ての仕事を担当できなくても、一部の役割のみを任せてもらえる場合もあるので、地道に仕事をこなしていくことが大切です。

スクラムマスター関連の資格を取得する

実務経験を積むことと並行して、スクラムマスター関連の資格取得を目指すことをおすすめします。たとえば、認定スクラムマスターではスクラムマスターの考え方や、コーチングやメンタリングなどのコアスキルを身につけられます。

そのほかのおすすめ資格や資格取得に向けての勉強方法については以下の記事で解説しています。

関連記事:
スクラムマスターの資格一覧とその勉強方法
アジャイル開発関連のおすすめ資格10選と需要を徹底解説

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